回転電機の固定子及び回転電機
【課題】同相間絶縁性能を確保でき、高電圧化に対応し、小型にして高出力化を図ることができる回転電機の固定子、及びこの固定子を備えた回転電機を提供する。
【解決手段】本実施形態の回転電機の固定子は、複数の単位コイルが連結されてなる複数相の固定子コイルが固定子鉄心に巻装される。各相の固定子コイルは、複数のコイルを直列に接続してなる複数のコイル列が各相の電源入力端子に接続されて構成される。この複数列のコイル列の各ターン数が等しくなるように設定される。各相の複数の単位コイルは、前記複数のコイル列のうちの2つ以上のコイル列のコイルを組み合わせて構成され、ターン数が等しくなるように設定されている。
【解決手段】本実施形態の回転電機の固定子は、複数の単位コイルが連結されてなる複数相の固定子コイルが固定子鉄心に巻装される。各相の固定子コイルは、複数のコイルを直列に接続してなる複数のコイル列が各相の電源入力端子に接続されて構成される。この複数列のコイル列の各ターン数が等しくなるように設定される。各相の複数の単位コイルは、前記複数のコイル列のうちの2つ以上のコイル列のコイルを組み合わせて構成され、ターン数が等しくなるように設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の固定子、及びこの固定子を備えた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車に駆動電動機として搭載される車両用の回転電機において、固定子を構成する複数相の固定子コイルの各相の固定子コイルとして、複数の単位コイルが直列に接続されて構成されるコイル列を複数個、例えば2個並列に接続したものがある。この複数の単位コイルは、各々が磁極を形成するように固定子鉄心に巻装される。
【0003】
このような固定子コイルの各単位コイルの巻回方法として、隣極接続と呼ばれるものがある。例えば、一相が8個の単位コイルから構成されるものの場合、その8個の単位コイルは、第1コイル列と第2コイル列とに二分される。これら第1及び第2コイル列の各単位コイルは、交互に逆極性になるようにして直列に接続される。そして、第1及び第2コイル列の直列回路が並列に接続される。この第1及び第2コイル列からなる並列回路において、一方の共通接続点は電源入力端子に接続され、他方の共通接続点は中性点端子に接続されている。
このような構成のものでは、同相の単位コイル間の絶縁(同相間絶縁)は、各単位コイルを構成する導線のエナメル被膜により行われるようになっている。
【0004】
ところで、電気自動車やハイブリット自動車などの車両用モータにおいては、小型にして高出力を得るために、印加電圧(使用電圧)を高くするようになってきており、使用電圧が高い場合には、同相単位コイル間の電位差が大きくなり、絶縁性能を確保できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−109796号公報(図7、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、同相間絶縁性能を確保でき、高電圧化に対応し、小型にして高出力化を図ることができる回転電機の固定子、及びこの固定子を備えた回転電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の回転電機の固定子は、複数の単位コイルが連結されてなる複数相の固定子コイルが固定子鉄心に巻装される。各相の固定子コイルは、複数のコイルを直列に接続してなる複数のコイル列が各相の電源入力端子に接続されて構成される。この複数列のコイル列の各ターン数が等しくなるように設定される。各相の複数の単位コイルは、前記複数のコイル列のうちの2つ以上のコイル列のコイルを組み合わせて構成され、ターン数が等しくなるように設定されている。
また、本実施形態の回転電機は、上記した固定子と、この固定子の界磁空間に配置された回転子とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態のU相の固定子コイルの接続構成を模式的に示す図
【図2】U相の固定子コイルの配置及び接続構成を簡略的に示す図
【図3】永久磁石電動機の構成を示す概略図
【図4】U相の固定子コイルの等価回路を示す図
【図5】三相の固定子コイルの等価回路を模式的に示す図
【図6】第1の実施形態との比較例を示す図1相当図
【図7】第2の実施形態を示す図1相当図
【図8】図2相当図
【図9】第2の実施形態との比較例を示す図1相当図
【図10】第3の実施形態を示す図1相当図
【図11】図2相当図
【図12】第3の実施形態との比較例を示す図1相当図
【図13】第4の実施形態を示す図1相当図
【図14】図2相当図
【図15】第4の実施形態との比較例を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、本発明を電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられるインバータ駆動方式の永久磁石電動機に適用した第1の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図3に示すように、永久磁石電動機1(回転電機)は、固定子2及び回転子3を備えている。固定子2は、固定子鉄心4に、複数相、例えば三相(U相、V相、W相)の固定子コイル5(U相コイル5u、V相コイル5v、W相コイル5w)が巻装された構成である。固定子鉄心4は、電磁鋼板からなる複数枚の円環状の鉄心材を積層して一体的に結着することで形成されていて、円筒状をなしている。
【0010】
固定子鉄心4の内周には、各相の固定子コイル5u〜5wを収納するための72個のスロット6が等角度で形成されている。各スロット6の内部にはそれぞれスロット絶縁紙(図示しない)が配置されていて、これにより、固定子鉄心4とスロット6内に配設される各相の固定子コイル5u〜5wとの間が絶縁されるようになっている。
【0011】
回転子3は、回転子鉄心7と、回転子鉄心7の内周側に設けられている回転軸8とを備えている。回転子鉄心7は、電磁鋼板からなる複数枚の円環状の鉄心材を積層して一体的に結着することで形成されていて、円筒状をなしている。回転子3は、固定子2の界磁空間に、その外周面と固定子2の内周面との間に僅かな隙間(エアギャップ)を隔てて配置され、固定子2に対して回転可能になっている。回転軸8は、回転子鉄心7を鉄心材の積層方向に貫いており、回転子鉄心7に固定されている。
【0012】
回転子鉄心7の外周部には、外周に向かうに従って対向距離が順次大となる一対の磁性体スロット9が複数対、例えば12対(12極)、周方向に一定の間隔を存して設けられていて、これらは回転子鉄心7を鉄心材の積層方向に貫いている。各磁性体スロット9には永久磁石10が挿入されている。一対の永久磁石10は、回転子鉄心7の外周側において極性(N極、S極)が交互に逆になるように配置され、永久磁石電動機1の磁極を形成している。
【0013】
図4は、U相の固定子コイル5uの等価回路を示している。U相コイル5uは、2つのコイル列5u1,5u2が並列に接続されて構成されている。コイル列5u1は、12個のコイルU1〜U12が直列に接続されたものである。コイル列5u2は、12個のコイルU1'〜U12'が直列に接続されたものである。そして、これらコイル列5u1,5u2の各一方の端子が電源入力端子Puに接続され、各他方の端子が中性点端子Nに接続されている。なお、V相コイル5v、W相コイル5wもU相コイル5uと同様の構成となっている。
【0014】
図5は、三相の固定子コイル5u,5v,5wの巻線構造の模式図を示している。U相コイル5u、V相コイル5v、W相コイル5wは、中性点端子Nを介してスター結線されている。そして、これらスター結線されたU相コイル5u、V相コイル5v、W相コイル5wの各一方の端子は、三相の電源入力端子Pu,Pv,Pwに接続されている。
【0015】
図1は、U相コイル5uにおける各コイルの接続構成を模式的に示す図で、図1に示すように、各コイルは渡り線を介して接続されている。U相コイル5uは、中性点端子Nを巻き始め端として巻装が開始され、コイルU12,U11,U10,U9,U8,U7,U6,U5,U4,U3,U2,U1の順に、交互に逆回りになるように巻回される。次に、コイルU1',U2',U3',U4',U5',U6',U7',U8',U9',U10',U11',U12'の順に,交互に逆回りになるように巻回され、中性点端子Nを巻き終わり端として巻装が終了される。
【0016】
コイルU1とコイルU1'との間の渡り線は切断され、コイル列5u1,5u2の各始端となり、U相の電源が供給される電源入力端子Puに接続される。一方、コイル列5u1,5u2の各他端であるコイルU12の巻き始め端及びコイルU12'の巻き終わり端は、中性点端子Nに接続される。
ここで、コイルU1〜U12のターン数(巻数)は、図1に示すように、順に、「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」となっている。また、コイルU1'〜U12'のターン数は、順に、「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」となっている。
【0017】
そして、コイル列5u1,5u2は、共に各始端から電源が入力され、各コイルU1〜U12,U1'〜U12'は、交互に逆回りになるように巻回されているので、交互に異なる極性となり、図1に示す上下に対応するコイルどうしは同一の極性となる。このような構成のコイル列5u1と5u2とを重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで、1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。これにより、12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6(図2参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルのターン数は、2個のコイルのターン数をたし合わせて、すべて「7」になっている。
【0018】
図2は、U相コイル5uの配置及び接続構成を簡略的に示す図である。図2に示すように、コイル列5u1と5u2とを重ね合わせて形成された12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6が、周方向に隣接して固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6の極性は、交互に異なるようになっている。
具体的には、コイルU1及びU1'で1個の単位コイルA1が形成され、以下同様に、コイルU2及びU2'、コイルU3及びU3'、・・・、コイルU11及びU11'、コイルU12及びU12'で、それぞれ単位コイルB1,A2,・・・,A6,B6が形成され、これらが時計回りに順に配置されている。
【0019】
なお、図3に示すように、V相コイル5vは、固定子鉄心4のスロット6に、U相コイル5uに対して右回りに4スロットずらして、上記したU相コイル5uと同様に各単位コイル間を渡り線で接続されて収納されている。また、W相コイル5wも、固定子鉄心4のスロット6に、V相コイル5vに対して右回りに4スロットずらして、上記したU相コイル5uと同様に各単位コイル間を渡り線で接続されて収納されている。
【0020】
各相の固定子コイル5u〜5wにおいて、異相間(U相とV相とのコイルエンド部間、V相とW相とのコイルエンド部間)は、図示しない相間絶縁紙により絶縁されるようになっている。これに対し、同相の各単位コイル間(例えばU相の場合、コイル列5u1の各コイルU1〜U12の隣接するコイルエンド部間及びコイル列5u2の各コイルU1'〜U12'の隣接するコイルエンド部間)は、各コイルを構成する導線のエナメル被膜により絶縁されるようになっている。
【0021】
この場合、U相コイル5uにおいて、U相コイル5uとV相コイル5vとのコイルエンド部間の相間絶縁紙の一部を折り曲げて、この折曲部を単位コイルA1(コイルU1,U1')と単位コイルB6(コイルU12,U12')との間に同相間絶縁紙として挿入するとよい。他のV相コイル5v及びW相コイル5wについても同様である。
【0022】
図6は、第1の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第1の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、6個の単位コイルA1'〜A3'及びB1'〜B3'が直列に接続されたコイル列と、6個の単位コイルA4'〜A6'及びB4'〜B6'が直列に接続されたコイル列との2つのコイル列が並列に接続されている。各単位コイルのターン数はすべて「7」ターンとなっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷2×7=7I/2となる。第1の実施形態の各単位コイルのアンペアターンも、同じように、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷2×(4+3)=7I/2となっている。
【0023】
上記した構成の固定子2によれば、各単位コイルを2個のコイルから構成しているので、図6に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルにおける最大電位差を小さくすることができる。これにより、絶縁性能を向上させることができ、高電圧化に対応できる。
すなわち、本実施形態では、図1に示すように、各単位コイルを構成する2個のコイルのターン数は「3」か「4」であるので、1個の単位コイルあたりの最大ターン数は「4」となり、単位コイルの分担電圧の割合は、4÷{(4+3)×6}=2/21になる。これに対して、比較例では、1個の単位コイルあたりのターン数は「7」であり、単位コイルの分担電圧の割合は、7÷(7×6)=1/6になる。単位コイルあたりの電位差はターン数が少ないほど小さくなることから、本実施形態の固定子2の方が比較例に比べて、単位コイルあたりの最大電位差を4/7に小さくすることができるのである。
そして、単位コイルの分担電圧を小さくすることができるので、同相の各コイル間に絶縁物を補強する必要がなく、充分に同相間絶縁性能を確保できる。
【0024】
上記した構成の回転電機1によれば、同相間絶縁性能を確保できることから絶縁物の補強の必要がなく、高電圧化に対応した固定子2を備えているので、小型にして高出力化を図ることができる。
なお、本実施形態では、各単位コイルは、ターン数が「7」であり、ターン数が「3」か「4」の2個のコイルから構成されているが、各単位コイルのターン数は、適宜変更してよい。例えば、各単位コイルを2個のコイルから構成し、各単位コイルのターン数を「8」として、各コイルのターン数をすべて「4」とする構成にしてもよい。
【0025】
次に、第2、第3、第4の実施形態について、図7〜図15を参照して説明する。なお、図7〜図15には上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。
【0026】
[第2の実施形態]
図7及び図8に示す第2の実施形態においては、U相コイル5uは、4つのコイル列5u1',5u2',5u3',5u4'が並列に接続されて構成される。コイル列5u1'は、コイルU1,U2,U3,U4,U5,U6が、交互に逆回りに巻回され、直列に接続されて構成されている。同様にして、コイル列5u2'は、コイルU1'〜U6'から構成され、コイル列5u3'は、コイルU1''〜U6''から構成され、コイル列5u4'は、コイルU1'''〜U6'''から構成されている。
各コイル列5u1',5u2',5u3',5u4'の各始端コイルU1,U1',U1'',U1'''の一端が電源入力端子Puに接続され、各終端コイルU6,U6',U6'',U6'''の一端が中性点端子Nに接続される。
【0027】
そして、コイル列5u1',5u2',5u3',5u4'は、共に各始端コイルの一端から電源が入力され、各コイルU1〜U6,U1'〜U6',U1''〜U6'',U1'''〜U6'''は、交互に逆回りになるように巻回されているので、交互に異なる極性となり、図7に示す上下に対応するコイルどうしは同一の極性となる。このような構成のコイル列5u1'と5u3'、コイル列5u2'と5u4'をそれぞれ重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。これにより、12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6(図8参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルのターン数は、すべて「7」になっている。
【0028】
図8に示すように、コイル列5u1'と5u3'、コイル列5u2'と5u4'をそれぞれ重ね合わせて形成された12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6が、周方向に隣接して固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルの極性は、交互に異なるようになっている。
具体的には、コイルU1及びU1''で単位コイルA1が構成され、以下同様に、コイルU2及びU2''、・・・、コイルU6及びU6''で、それぞれ単位コイルB1、・・・、B3が構成され、これらが時計回りに順に配置されている。また、コイルU1'及びU1'''、コイルU2'及びU2'''、・・・、コイルU6'及びU6'''で、それぞれ単位コイルB4,A4,・・・,A6が形成され、これらが反時計回りに順に配置されている。
なお、V相コイル5v及びW相コイル5wについても、U相コイル5uと同様に構成される。
【0029】
図9は、第2の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第2の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、それぞれ3個のコイルA1',B1',A2'と、B2',A3',B3'と、A4',B4',A5'と、B5',A6',B6'とが直列に接続された4つのコイル列が並列に接続されている。各単位コイルのターン数はすべて「7」ターンとなっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×7=7I/4となる。第2の実施形態の各単位コイルのアンペアターンも、同じように、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×(4+3)=7I/4となる。
【0030】
上記した構成の固定子2によれば、図9に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルの最大ターン数を少なくすることができるので、各単位コイルの最大電位差を小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
[第3の実施形態]
図10及び図11に示す第3の実施形態においては、U相コイル5uは、4つのコイル列5u1'',5u2'',5u3'',5u4''が並列に接続されて構成される。コイル列5u1''は、コイルU1〜U6が、同じ方向に巻回され、直列に接続されて構成されている。同様にして、コイル列5u2''は、コイルU1'〜U6'から構成され、コイル列5u3''は、コイルU1''〜U6''から構成され、コイル列5u4''は、コイルU1'''〜U6'''から構成されている。
各コイル列5u1'',5u2'',5u3'',5u4''の各始端コイルU1,U1',U1'',U1'''の一端が電源入力端子Puに接続され、各終端コイルU6,U6',U6'',U6'''の一端が中性点端子Nに接続される。
【0032】
そして、コイル列5u1'',5u2'',5u3'',5u4''は、共に各始端コイルの一端から電源が入力される。コイル列5u1''の各コイルU1〜U6と、コイル列5u2''の各コイルU1'〜U6'は、すべて同一の極性となる。また、コイル列5u3''の各コイルU1''〜U6''と、コイル列5u4''の各コイルU1'''〜U6'''は、すべて同一の極性となる。コイル列5u1''及び5u2''の各コイルと、コイル列5u3''及び5u4''の各コイルとは逆極性になる。
【0033】
このような構成のコイル列5u1''と5u2''、コイル列5u3''と5u4''をそれぞれ重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。そして、コイル列5u1''及び5u2''とコイル列5u3''及び5u4''を上下に対応させて重ね合わせる。これにより、12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6(図11参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルのターン数は、すべて「7」になっている。
【0034】
図11に示すように、コイル列5u1''及び5u2''を重ね合わせて構成された6個の単位コイルA1〜A6と、コイル列5u3''及び5u4''を重ね合わせて構成された6個の単位コイルB1〜B6とが、周方向に隣接せずに1つ置きとなるように交互に固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6の極性は、交互に異なるようになっている。
【0035】
具体的には、コイルU1及びU1'で単位コイルA1が構成され、以下同様に、コイルU2及びU2',・・・,コイルU6及びU6'で、それぞれ単位コイルA2,・・・,A6が構成され、これらが時計回りに順に1つ置きに配置されている。また、コイルU1''及びU1'''、コイルU2''及びU2'''、・・・、コイルU6''及びU6'''で、それぞれ単位コイルB1,B2,・・・,B6が形成され、これらが反時計回りに順に1つ置きに配置されている。
なお、V相コイル5v及びW相コイル5wについても、U相コイル5uと同様に構成される。
【0036】
図12は、第3の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第3の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、3個の単位コイルA1'〜A3'と、B1'〜B3'と、A4'〜A6'と、B4'〜B6'とが直列に接続された4つのコイル列が並列に接続されている。各コイル列の単位コイルが隣接せずに1つ置きとなるように交互に配置されて構成され、各単位コイルの極性は、交互に異なるようになっている。各単位コイルのターン数はすべて「7」ターンとなっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×7=7I/4となる。同じように、第3の実施形態の各単位コイルのアンペアターンも、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×(4+3)=7I/4となっている。
【0037】
上記した構成の固定子2によれば、図12に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルの最大ターン数を少なくすることができるので、各単位コイルの最大電位差を小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
[第4の実施形態]
図13及び図14に示す第4の実施形態においては、U相コイル5uは、4つのコイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''が並列に接続されて構成される。コイル列5u1'''は、コイルU1〜U9が直列に接続されて構成されている。同様にして、コイル列5u2'''は、コイルU1'〜U9'から構成され、コイル列5u3'''は、コイルU1''〜U9''から構成され、コイル列5u4'''は、コイルU1'''〜U9'''から構成されている。
【0039】
なお、コイル列5u1'''のコイルU1〜U3,U4〜U6,U7〜U9、コイル列5u2'''のコイルU3'〜U5',U6'〜U8'、コイル列5u3'''のコイルU2''〜U4'',U5''〜U7''、コイル列5u4'''のコイルU1'''〜U3''',U4'''〜U6''',U7'''〜U9'''は、交互に逆回りになるように巻回されている。
【0040】
各コイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''の各始端コイルU1,U1',U1'',U1'''の一端が電源入力端子Puに接続され、各終端コイルU9,U9',U9'',U9'''の一端が中性点端子Nに接続される。
そして、コイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''は、共に各始端コイルの一端から電源が入力され、各コイルU1〜U9,U1'〜U9',U1''〜U9'',U1'''〜U9'''は、図13に示す上下に対応するコイルどうしは同一の極性となる。
【0041】
このような構成の4つのコイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''をすべて重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。これにより、12個の単位コイルC1〜C6及びD1〜D6(図14参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルは3個のコイルから構成され、各単位コイルのターン数は、すべて「3」になっている。
【0042】
図14に示すように、コイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''を重ね合わせて構成された12個の単位コイルC1〜C6及びD1〜D6が、周方向に隣接して固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルC1〜C6及びD1〜D6の極性は、交互に異なるようになっている。
【0043】
具体的には、コイルU1,U1',U1''で単位コイルC1が形成され、以下同様に、コイルU2,U2',U1'''、コイルU3,U2'',U2'''、コイルU3',U3'',U3'''、コイルU4,U4',U4''、コイルU5,U5',U4'''、コイルU6,U5'',U5'''、コイルU6',U6'',U6'''、コイルU7,U7',U7''、コイルU8,U8',U7'''、コイルU9,U8'',U8'''、コイルU9',U9'',U9'''で、それぞれ単位コイルD1,C2,D2,C3,D3,C4,D4,C5,D5,C6,D6が形成され、これらが時計回りに順に配置されている。
なお、V相コイル5v及びW相コイル5wについても、U相コイル5uと同様に構成される。
【0044】
図15は、第4の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第4の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、12個の単位コイルC1'〜C6'及びD1'〜D6'がそれぞれ並列に接続されている。12個の単位コイルC1'〜C6'及びD1'〜D6'それぞれの一端が電源入力端子Puに接続され、他端が中性点端子Nに接続される。そして、各単位コイルのターン数はすべて「9」となっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷12×9=9I/12=3I/4となる。同じように、第4の実施形態の各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×(1+1+1)=3I/4となっている。
【0045】
上記した構成の固定子2によれば、図15に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルの最大ターン数を少なくすることができるので、各単位コイルの最大電位差を小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
上記実施形態では、12極の場合について述べたが、例えば、8極、16極など、磁極の数は適宜変更してよい。また、上記したように各単位コイルのターン数も適宜変更してよい。
また、各コイル列を構成するコイルのターン数も適宜変更してよく、例えば、すべて異なるターン数のコイルにより各コイル列を構成してもよい。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
以上の実施形態の固定子コイルは、以下に示される関係式に基づいて構成されている。まず、m個のコイル列が並列に接続され、各コイル列が直列に接続されたk個のコイルから構成されているものとする。
また、m個のコイル列のうち、1番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、n1,1,n1,2,・・・,n1,k-1,n1,k、2番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、n2,1,n2,2,・・・,n2,k-1,n2,k、・・・、m−1番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、nm-1,1,n1,2,・・・,nm-1,k-1,nm-1,k、m番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、nm,1,nm,2,・・・,nm,k-1,nm,kと表せるものとする。
このとき、各コイルのターン数は、以下の式に示す関係にある。ただし、m≧2とする。
【0048】
【数1】
【0049】
【数2】
【0050】
式(1)は、m個のコイル列において、各コイル列を構成するk個のコイルのターン数の和がどれも等しくなることを表している。
式(2)は、m個のコイル列それぞれのk番目のコイルどうしのターン数の和が、どれも等しくなることを表している。すなわち、上記した各単位コイルのターン数が等しくなることを表している。
【0051】
このような条件式に基づいて構成される本実施形態の固定子によれば、各単位コイルを2個以上のコイルから構成しているので、比較例の各単位コイルを1個のコイルから構成している巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルにおける最大電位差を小さくすることができる。これにより、同相間絶縁性能を確保することができ、高電圧化に対応できる。
上記した条件式に基づいて構成される固定子を備えた回転電機によれば、同相間絶縁性能を確保できることから絶縁物の補強の必要がなく、高電圧化に対応した固定子を備えているので、小型にして高出力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は永久磁石電動機(回転電機)、2は固定子、3は回転子、4は固定子鉄心、5は固定子コイル、5uはU相コイル、5vはV相コイル、5wはW相コイル、5u1,5u2,5u1'〜5u4',5u1''〜5u4'',5u1'''〜5u4'''はコイル列、U1〜U12,U1'〜U12',U1''〜U9'',U1'''〜U9'''はコイル、A1〜A6,A1'〜A6',B1〜B6,B1'〜B6',C1〜C6,C1'〜C6',D1〜D6,D1'〜D6'は単位コイル、Pu,Pv,Pwは電源入力端子、Nは中性点端子を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の固定子、及びこの固定子を備えた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車に駆動電動機として搭載される車両用の回転電機において、固定子を構成する複数相の固定子コイルの各相の固定子コイルとして、複数の単位コイルが直列に接続されて構成されるコイル列を複数個、例えば2個並列に接続したものがある。この複数の単位コイルは、各々が磁極を形成するように固定子鉄心に巻装される。
【0003】
このような固定子コイルの各単位コイルの巻回方法として、隣極接続と呼ばれるものがある。例えば、一相が8個の単位コイルから構成されるものの場合、その8個の単位コイルは、第1コイル列と第2コイル列とに二分される。これら第1及び第2コイル列の各単位コイルは、交互に逆極性になるようにして直列に接続される。そして、第1及び第2コイル列の直列回路が並列に接続される。この第1及び第2コイル列からなる並列回路において、一方の共通接続点は電源入力端子に接続され、他方の共通接続点は中性点端子に接続されている。
このような構成のものでは、同相の単位コイル間の絶縁(同相間絶縁)は、各単位コイルを構成する導線のエナメル被膜により行われるようになっている。
【0004】
ところで、電気自動車やハイブリット自動車などの車両用モータにおいては、小型にして高出力を得るために、印加電圧(使用電圧)を高くするようになってきており、使用電圧が高い場合には、同相単位コイル間の電位差が大きくなり、絶縁性能を確保できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−109796号公報(図7、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、同相間絶縁性能を確保でき、高電圧化に対応し、小型にして高出力化を図ることができる回転電機の固定子、及びこの固定子を備えた回転電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の回転電機の固定子は、複数の単位コイルが連結されてなる複数相の固定子コイルが固定子鉄心に巻装される。各相の固定子コイルは、複数のコイルを直列に接続してなる複数のコイル列が各相の電源入力端子に接続されて構成される。この複数列のコイル列の各ターン数が等しくなるように設定される。各相の複数の単位コイルは、前記複数のコイル列のうちの2つ以上のコイル列のコイルを組み合わせて構成され、ターン数が等しくなるように設定されている。
また、本実施形態の回転電機は、上記した固定子と、この固定子の界磁空間に配置された回転子とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態のU相の固定子コイルの接続構成を模式的に示す図
【図2】U相の固定子コイルの配置及び接続構成を簡略的に示す図
【図3】永久磁石電動機の構成を示す概略図
【図4】U相の固定子コイルの等価回路を示す図
【図5】三相の固定子コイルの等価回路を模式的に示す図
【図6】第1の実施形態との比較例を示す図1相当図
【図7】第2の実施形態を示す図1相当図
【図8】図2相当図
【図9】第2の実施形態との比較例を示す図1相当図
【図10】第3の実施形態を示す図1相当図
【図11】図2相当図
【図12】第3の実施形態との比較例を示す図1相当図
【図13】第4の実施形態を示す図1相当図
【図14】図2相当図
【図15】第4の実施形態との比較例を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、本発明を電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられるインバータ駆動方式の永久磁石電動機に適用した第1の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図3に示すように、永久磁石電動機1(回転電機)は、固定子2及び回転子3を備えている。固定子2は、固定子鉄心4に、複数相、例えば三相(U相、V相、W相)の固定子コイル5(U相コイル5u、V相コイル5v、W相コイル5w)が巻装された構成である。固定子鉄心4は、電磁鋼板からなる複数枚の円環状の鉄心材を積層して一体的に結着することで形成されていて、円筒状をなしている。
【0010】
固定子鉄心4の内周には、各相の固定子コイル5u〜5wを収納するための72個のスロット6が等角度で形成されている。各スロット6の内部にはそれぞれスロット絶縁紙(図示しない)が配置されていて、これにより、固定子鉄心4とスロット6内に配設される各相の固定子コイル5u〜5wとの間が絶縁されるようになっている。
【0011】
回転子3は、回転子鉄心7と、回転子鉄心7の内周側に設けられている回転軸8とを備えている。回転子鉄心7は、電磁鋼板からなる複数枚の円環状の鉄心材を積層して一体的に結着することで形成されていて、円筒状をなしている。回転子3は、固定子2の界磁空間に、その外周面と固定子2の内周面との間に僅かな隙間(エアギャップ)を隔てて配置され、固定子2に対して回転可能になっている。回転軸8は、回転子鉄心7を鉄心材の積層方向に貫いており、回転子鉄心7に固定されている。
【0012】
回転子鉄心7の外周部には、外周に向かうに従って対向距離が順次大となる一対の磁性体スロット9が複数対、例えば12対(12極)、周方向に一定の間隔を存して設けられていて、これらは回転子鉄心7を鉄心材の積層方向に貫いている。各磁性体スロット9には永久磁石10が挿入されている。一対の永久磁石10は、回転子鉄心7の外周側において極性(N極、S極)が交互に逆になるように配置され、永久磁石電動機1の磁極を形成している。
【0013】
図4は、U相の固定子コイル5uの等価回路を示している。U相コイル5uは、2つのコイル列5u1,5u2が並列に接続されて構成されている。コイル列5u1は、12個のコイルU1〜U12が直列に接続されたものである。コイル列5u2は、12個のコイルU1'〜U12'が直列に接続されたものである。そして、これらコイル列5u1,5u2の各一方の端子が電源入力端子Puに接続され、各他方の端子が中性点端子Nに接続されている。なお、V相コイル5v、W相コイル5wもU相コイル5uと同様の構成となっている。
【0014】
図5は、三相の固定子コイル5u,5v,5wの巻線構造の模式図を示している。U相コイル5u、V相コイル5v、W相コイル5wは、中性点端子Nを介してスター結線されている。そして、これらスター結線されたU相コイル5u、V相コイル5v、W相コイル5wの各一方の端子は、三相の電源入力端子Pu,Pv,Pwに接続されている。
【0015】
図1は、U相コイル5uにおける各コイルの接続構成を模式的に示す図で、図1に示すように、各コイルは渡り線を介して接続されている。U相コイル5uは、中性点端子Nを巻き始め端として巻装が開始され、コイルU12,U11,U10,U9,U8,U7,U6,U5,U4,U3,U2,U1の順に、交互に逆回りになるように巻回される。次に、コイルU1',U2',U3',U4',U5',U6',U7',U8',U9',U10',U11',U12'の順に,交互に逆回りになるように巻回され、中性点端子Nを巻き終わり端として巻装が終了される。
【0016】
コイルU1とコイルU1'との間の渡り線は切断され、コイル列5u1,5u2の各始端となり、U相の電源が供給される電源入力端子Puに接続される。一方、コイル列5u1,5u2の各他端であるコイルU12の巻き始め端及びコイルU12'の巻き終わり端は、中性点端子Nに接続される。
ここで、コイルU1〜U12のターン数(巻数)は、図1に示すように、順に、「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」となっている。また、コイルU1'〜U12'のターン数は、順に、「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」,「3」,「4」となっている。
【0017】
そして、コイル列5u1,5u2は、共に各始端から電源が入力され、各コイルU1〜U12,U1'〜U12'は、交互に逆回りになるように巻回されているので、交互に異なる極性となり、図1に示す上下に対応するコイルどうしは同一の極性となる。このような構成のコイル列5u1と5u2とを重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで、1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。これにより、12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6(図2参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルのターン数は、2個のコイルのターン数をたし合わせて、すべて「7」になっている。
【0018】
図2は、U相コイル5uの配置及び接続構成を簡略的に示す図である。図2に示すように、コイル列5u1と5u2とを重ね合わせて形成された12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6が、周方向に隣接して固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6の極性は、交互に異なるようになっている。
具体的には、コイルU1及びU1'で1個の単位コイルA1が形成され、以下同様に、コイルU2及びU2'、コイルU3及びU3'、・・・、コイルU11及びU11'、コイルU12及びU12'で、それぞれ単位コイルB1,A2,・・・,A6,B6が形成され、これらが時計回りに順に配置されている。
【0019】
なお、図3に示すように、V相コイル5vは、固定子鉄心4のスロット6に、U相コイル5uに対して右回りに4スロットずらして、上記したU相コイル5uと同様に各単位コイル間を渡り線で接続されて収納されている。また、W相コイル5wも、固定子鉄心4のスロット6に、V相コイル5vに対して右回りに4スロットずらして、上記したU相コイル5uと同様に各単位コイル間を渡り線で接続されて収納されている。
【0020】
各相の固定子コイル5u〜5wにおいて、異相間(U相とV相とのコイルエンド部間、V相とW相とのコイルエンド部間)は、図示しない相間絶縁紙により絶縁されるようになっている。これに対し、同相の各単位コイル間(例えばU相の場合、コイル列5u1の各コイルU1〜U12の隣接するコイルエンド部間及びコイル列5u2の各コイルU1'〜U12'の隣接するコイルエンド部間)は、各コイルを構成する導線のエナメル被膜により絶縁されるようになっている。
【0021】
この場合、U相コイル5uにおいて、U相コイル5uとV相コイル5vとのコイルエンド部間の相間絶縁紙の一部を折り曲げて、この折曲部を単位コイルA1(コイルU1,U1')と単位コイルB6(コイルU12,U12')との間に同相間絶縁紙として挿入するとよい。他のV相コイル5v及びW相コイル5wについても同様である。
【0022】
図6は、第1の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第1の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、6個の単位コイルA1'〜A3'及びB1'〜B3'が直列に接続されたコイル列と、6個の単位コイルA4'〜A6'及びB4'〜B6'が直列に接続されたコイル列との2つのコイル列が並列に接続されている。各単位コイルのターン数はすべて「7」ターンとなっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷2×7=7I/2となる。第1の実施形態の各単位コイルのアンペアターンも、同じように、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷2×(4+3)=7I/2となっている。
【0023】
上記した構成の固定子2によれば、各単位コイルを2個のコイルから構成しているので、図6に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルにおける最大電位差を小さくすることができる。これにより、絶縁性能を向上させることができ、高電圧化に対応できる。
すなわち、本実施形態では、図1に示すように、各単位コイルを構成する2個のコイルのターン数は「3」か「4」であるので、1個の単位コイルあたりの最大ターン数は「4」となり、単位コイルの分担電圧の割合は、4÷{(4+3)×6}=2/21になる。これに対して、比較例では、1個の単位コイルあたりのターン数は「7」であり、単位コイルの分担電圧の割合は、7÷(7×6)=1/6になる。単位コイルあたりの電位差はターン数が少ないほど小さくなることから、本実施形態の固定子2の方が比較例に比べて、単位コイルあたりの最大電位差を4/7に小さくすることができるのである。
そして、単位コイルの分担電圧を小さくすることができるので、同相の各コイル間に絶縁物を補強する必要がなく、充分に同相間絶縁性能を確保できる。
【0024】
上記した構成の回転電機1によれば、同相間絶縁性能を確保できることから絶縁物の補強の必要がなく、高電圧化に対応した固定子2を備えているので、小型にして高出力化を図ることができる。
なお、本実施形態では、各単位コイルは、ターン数が「7」であり、ターン数が「3」か「4」の2個のコイルから構成されているが、各単位コイルのターン数は、適宜変更してよい。例えば、各単位コイルを2個のコイルから構成し、各単位コイルのターン数を「8」として、各コイルのターン数をすべて「4」とする構成にしてもよい。
【0025】
次に、第2、第3、第4の実施形態について、図7〜図15を参照して説明する。なお、図7〜図15には上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。
【0026】
[第2の実施形態]
図7及び図8に示す第2の実施形態においては、U相コイル5uは、4つのコイル列5u1',5u2',5u3',5u4'が並列に接続されて構成される。コイル列5u1'は、コイルU1,U2,U3,U4,U5,U6が、交互に逆回りに巻回され、直列に接続されて構成されている。同様にして、コイル列5u2'は、コイルU1'〜U6'から構成され、コイル列5u3'は、コイルU1''〜U6''から構成され、コイル列5u4'は、コイルU1'''〜U6'''から構成されている。
各コイル列5u1',5u2',5u3',5u4'の各始端コイルU1,U1',U1'',U1'''の一端が電源入力端子Puに接続され、各終端コイルU6,U6',U6'',U6'''の一端が中性点端子Nに接続される。
【0027】
そして、コイル列5u1',5u2',5u3',5u4'は、共に各始端コイルの一端から電源が入力され、各コイルU1〜U6,U1'〜U6',U1''〜U6'',U1'''〜U6'''は、交互に逆回りになるように巻回されているので、交互に異なる極性となり、図7に示す上下に対応するコイルどうしは同一の極性となる。このような構成のコイル列5u1'と5u3'、コイル列5u2'と5u4'をそれぞれ重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。これにより、12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6(図8参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルのターン数は、すべて「7」になっている。
【0028】
図8に示すように、コイル列5u1'と5u3'、コイル列5u2'と5u4'をそれぞれ重ね合わせて形成された12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6が、周方向に隣接して固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルの極性は、交互に異なるようになっている。
具体的には、コイルU1及びU1''で単位コイルA1が構成され、以下同様に、コイルU2及びU2''、・・・、コイルU6及びU6''で、それぞれ単位コイルB1、・・・、B3が構成され、これらが時計回りに順に配置されている。また、コイルU1'及びU1'''、コイルU2'及びU2'''、・・・、コイルU6'及びU6'''で、それぞれ単位コイルB4,A4,・・・,A6が形成され、これらが反時計回りに順に配置されている。
なお、V相コイル5v及びW相コイル5wについても、U相コイル5uと同様に構成される。
【0029】
図9は、第2の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第2の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、それぞれ3個のコイルA1',B1',A2'と、B2',A3',B3'と、A4',B4',A5'と、B5',A6',B6'とが直列に接続された4つのコイル列が並列に接続されている。各単位コイルのターン数はすべて「7」ターンとなっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×7=7I/4となる。第2の実施形態の各単位コイルのアンペアターンも、同じように、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×(4+3)=7I/4となる。
【0030】
上記した構成の固定子2によれば、図9に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルの最大ターン数を少なくすることができるので、各単位コイルの最大電位差を小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
[第3の実施形態]
図10及び図11に示す第3の実施形態においては、U相コイル5uは、4つのコイル列5u1'',5u2'',5u3'',5u4''が並列に接続されて構成される。コイル列5u1''は、コイルU1〜U6が、同じ方向に巻回され、直列に接続されて構成されている。同様にして、コイル列5u2''は、コイルU1'〜U6'から構成され、コイル列5u3''は、コイルU1''〜U6''から構成され、コイル列5u4''は、コイルU1'''〜U6'''から構成されている。
各コイル列5u1'',5u2'',5u3'',5u4''の各始端コイルU1,U1',U1'',U1'''の一端が電源入力端子Puに接続され、各終端コイルU6,U6',U6'',U6'''の一端が中性点端子Nに接続される。
【0032】
そして、コイル列5u1'',5u2'',5u3'',5u4''は、共に各始端コイルの一端から電源が入力される。コイル列5u1''の各コイルU1〜U6と、コイル列5u2''の各コイルU1'〜U6'は、すべて同一の極性となる。また、コイル列5u3''の各コイルU1''〜U6''と、コイル列5u4''の各コイルU1'''〜U6'''は、すべて同一の極性となる。コイル列5u1''及び5u2''の各コイルと、コイル列5u3''及び5u4''の各コイルとは逆極性になる。
【0033】
このような構成のコイル列5u1''と5u2''、コイル列5u3''と5u4''をそれぞれ重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。そして、コイル列5u1''及び5u2''とコイル列5u3''及び5u4''を上下に対応させて重ね合わせる。これにより、12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6(図11参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルのターン数は、すべて「7」になっている。
【0034】
図11に示すように、コイル列5u1''及び5u2''を重ね合わせて構成された6個の単位コイルA1〜A6と、コイル列5u3''及び5u4''を重ね合わせて構成された6個の単位コイルB1〜B6とが、周方向に隣接せずに1つ置きとなるように交互に固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルA1〜A6及びB1〜B6の極性は、交互に異なるようになっている。
【0035】
具体的には、コイルU1及びU1'で単位コイルA1が構成され、以下同様に、コイルU2及びU2',・・・,コイルU6及びU6'で、それぞれ単位コイルA2,・・・,A6が構成され、これらが時計回りに順に1つ置きに配置されている。また、コイルU1''及びU1'''、コイルU2''及びU2'''、・・・、コイルU6''及びU6'''で、それぞれ単位コイルB1,B2,・・・,B6が形成され、これらが反時計回りに順に1つ置きに配置されている。
なお、V相コイル5v及びW相コイル5wについても、U相コイル5uと同様に構成される。
【0036】
図12は、第3の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第3の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、3個の単位コイルA1'〜A3'と、B1'〜B3'と、A4'〜A6'と、B4'〜B6'とが直列に接続された4つのコイル列が並列に接続されている。各コイル列の単位コイルが隣接せずに1つ置きとなるように交互に配置されて構成され、各単位コイルの極性は、交互に異なるようになっている。各単位コイルのターン数はすべて「7」ターンとなっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×7=7I/4となる。同じように、第3の実施形態の各単位コイルのアンペアターンも、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×(4+3)=7I/4となっている。
【0037】
上記した構成の固定子2によれば、図12に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルの最大ターン数を少なくすることができるので、各単位コイルの最大電位差を小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
[第4の実施形態]
図13及び図14に示す第4の実施形態においては、U相コイル5uは、4つのコイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''が並列に接続されて構成される。コイル列5u1'''は、コイルU1〜U9が直列に接続されて構成されている。同様にして、コイル列5u2'''は、コイルU1'〜U9'から構成され、コイル列5u3'''は、コイルU1''〜U9''から構成され、コイル列5u4'''は、コイルU1'''〜U9'''から構成されている。
【0039】
なお、コイル列5u1'''のコイルU1〜U3,U4〜U6,U7〜U9、コイル列5u2'''のコイルU3'〜U5',U6'〜U8'、コイル列5u3'''のコイルU2''〜U4'',U5''〜U7''、コイル列5u4'''のコイルU1'''〜U3''',U4'''〜U6''',U7'''〜U9'''は、交互に逆回りになるように巻回されている。
【0040】
各コイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''の各始端コイルU1,U1',U1'',U1'''の一端が電源入力端子Puに接続され、各終端コイルU9,U9',U9'',U9'''の一端が中性点端子Nに接続される。
そして、コイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''は、共に各始端コイルの一端から電源が入力され、各コイルU1〜U9,U1'〜U9',U1''〜U9'',U1'''〜U9'''は、図13に示す上下に対応するコイルどうしは同一の極性となる。
【0041】
このような構成の4つのコイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''をすべて重ね合わせて、上下に対応するコイルどうしで1個の単位コイルが構成されるとともに、1個の磁極が形成される。これにより、12個の単位コイルC1〜C6及びD1〜D6(図14参照)が構成され、12個の磁極が形成される。各単位コイルは3個のコイルから構成され、各単位コイルのターン数は、すべて「3」になっている。
【0042】
図14に示すように、コイル列5u1''',5u2''',5u3''',5u4'''を重ね合わせて構成された12個の単位コイルC1〜C6及びD1〜D6が、周方向に隣接して固定子鉄心4の全周にわたって配置されて構成されている。この12個の単位コイルC1〜C6及びD1〜D6の極性は、交互に異なるようになっている。
【0043】
具体的には、コイルU1,U1',U1''で単位コイルC1が形成され、以下同様に、コイルU2,U2',U1'''、コイルU3,U2'',U2'''、コイルU3',U3'',U3'''、コイルU4,U4',U4''、コイルU5,U5',U4'''、コイルU6,U5'',U5'''、コイルU6',U6'',U6'''、コイルU7,U7',U7''、コイルU8,U8',U7'''、コイルU9,U8'',U8'''、コイルU9',U9'',U9'''で、それぞれ単位コイルD1,C2,D2,C3,D3,C4,D4,C5,D5,C6,D6が形成され、これらが時計回りに順に配置されている。
なお、V相コイル5v及びW相コイル5wについても、U相コイル5uと同様に構成される。
【0044】
図15は、第4の実施形態に対する固定子コイルの巻線構造を示す比較例であり、第4の実施形態の固定子2と同じ出力特性を有する。この構成のものでは、12個の単位コイルC1'〜C6'及びD1'〜D6'がそれぞれ並列に接続されている。12個の単位コイルC1'〜C6'及びD1'〜D6'それぞれの一端が電源入力端子Puに接続され、他端が中性点端子Nに接続される。そして、各単位コイルのターン数はすべて「9」となっている。1相あたりの電流をI〔アンペア〕とすると、各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷12×9=9I/12=3I/4となる。同じように、第4の実施形態の各単位コイルのアンペアターンは、I〔アンペア〕÷(並列回路数)×(ターン数)=I÷4×(1+1+1)=3I/4となっている。
【0045】
上記した構成の固定子2によれば、図15に示す比較例の巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルの最大ターン数を少なくすることができるので、各単位コイルの最大電位差を小さくすることができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
上記実施形態では、12極の場合について述べたが、例えば、8極、16極など、磁極の数は適宜変更してよい。また、上記したように各単位コイルのターン数も適宜変更してよい。
また、各コイル列を構成するコイルのターン数も適宜変更してよく、例えば、すべて異なるターン数のコイルにより各コイル列を構成してもよい。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
以上の実施形態の固定子コイルは、以下に示される関係式に基づいて構成されている。まず、m個のコイル列が並列に接続され、各コイル列が直列に接続されたk個のコイルから構成されているものとする。
また、m個のコイル列のうち、1番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、n1,1,n1,2,・・・,n1,k-1,n1,k、2番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、n2,1,n2,2,・・・,n2,k-1,n2,k、・・・、m−1番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、nm-1,1,n1,2,・・・,nm-1,k-1,nm-1,k、m番目のコイル列のk個のコイルのターン数が、nm,1,nm,2,・・・,nm,k-1,nm,kと表せるものとする。
このとき、各コイルのターン数は、以下の式に示す関係にある。ただし、m≧2とする。
【0048】
【数1】
【0049】
【数2】
【0050】
式(1)は、m個のコイル列において、各コイル列を構成するk個のコイルのターン数の和がどれも等しくなることを表している。
式(2)は、m個のコイル列それぞれのk番目のコイルどうしのターン数の和が、どれも等しくなることを表している。すなわち、上記した各単位コイルのターン数が等しくなることを表している。
【0051】
このような条件式に基づいて構成される本実施形態の固定子によれば、各単位コイルを2個以上のコイルから構成しているので、比較例の各単位コイルを1個のコイルから構成している巻線構造の固定子に比べて、各単位コイルにおける最大電位差を小さくすることができる。これにより、同相間絶縁性能を確保することができ、高電圧化に対応できる。
上記した条件式に基づいて構成される固定子を備えた回転電機によれば、同相間絶縁性能を確保できることから絶縁物の補強の必要がなく、高電圧化に対応した固定子を備えているので、小型にして高出力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1は永久磁石電動機(回転電機)、2は固定子、3は回転子、4は固定子鉄心、5は固定子コイル、5uはU相コイル、5vはV相コイル、5wはW相コイル、5u1,5u2,5u1'〜5u4',5u1''〜5u4'',5u1'''〜5u4'''はコイル列、U1〜U12,U1'〜U12',U1''〜U9'',U1'''〜U9'''はコイル、A1〜A6,A1'〜A6',B1〜B6,B1'〜B6',C1〜C6,C1'〜C6',D1〜D6,D1'〜D6'は単位コイル、Pu,Pv,Pwは電源入力端子、Nは中性点端子を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位コイルが連結されてなる複数相の固定子コイルが固定子鉄心に巻装される回転電機の固定子において、
前記各相の固定子コイルは、複数のコイルを直列に接続してなる複数のコイル列が各相の電源入力端子に接続されて構成され、この複数列のコイル列の各ターン数が等しくなるように設定され、
前記各相の複数の単位コイルは、前記複数のコイル列のうちの2つ以上のコイル列のコイルを組み合わせて構成され、ターン数が等しくなるように設定されていることを特徴とする回転電機の固定子。
【請求項2】
前記単位コイルのターン数が奇数のときには、前記各コイル列の複数のコイルの少なくとも一部のコイルのターン数が異なるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
【請求項3】
前記単位コイルのターン数が偶数のときには、前記各コイル列の複数のコイルのターン数がすべて等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の固定子と、
この固定子の界磁空間に配置された回転子とを備えたことを特徴とする回転電機。
【請求項1】
複数の単位コイルが連結されてなる複数相の固定子コイルが固定子鉄心に巻装される回転電機の固定子において、
前記各相の固定子コイルは、複数のコイルを直列に接続してなる複数のコイル列が各相の電源入力端子に接続されて構成され、この複数列のコイル列の各ターン数が等しくなるように設定され、
前記各相の複数の単位コイルは、前記複数のコイル列のうちの2つ以上のコイル列のコイルを組み合わせて構成され、ターン数が等しくなるように設定されていることを特徴とする回転電機の固定子。
【請求項2】
前記単位コイルのターン数が奇数のときには、前記各コイル列の複数のコイルの少なくとも一部のコイルのターン数が異なるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
【請求項3】
前記単位コイルのターン数が偶数のときには、前記各コイル列の複数のコイルのターン数がすべて等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の固定子と、
この固定子の界磁空間に配置された回転子とを備えたことを特徴とする回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−60788(P2012−60788A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201952(P2010−201952)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(500414800)東芝産業機器製造株式会社 (137)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(500414800)東芝産業機器製造株式会社 (137)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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