回転電機
【課題】振動の低減および固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、回転電機は、円筒フレームを有する固定子枠12と、円周方向に複数に分割された分割板31を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心32と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、円筒フレーム内に同軸的に配置され、固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路35を規定している固定子30と、それぞれ分割板間の継ぎ目37、39に重ねて固定子鉄心の外周面に固定され、固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサ36と、を備えている。
【解決手段】実施形態によれば、回転電機は、円筒フレームを有する固定子枠12と、円周方向に複数に分割された分割板31を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心32と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、円筒フレーム内に同軸的に配置され、固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路35を規定している固定子30と、それぞれ分割板間の継ぎ目37、39に重ねて固定子鉄心の外周面に固定され、固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサ36と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機は、円筒状の固定子鉄心と、この固定子鉄心の内側に回転自在に支持された回転子と、を備えている。固定子鉄心には、複数のスリットが形成され、これらのスリットに固定子コイルが埋め込まれている。固定子鉄心は、通常、多数枚の環状の電磁鋼板を積層して構成されている。
【0003】
容量の大きい大型の回転電機とする場合、固定子鉄心の径も大きくなる。この場合、プレス機械の寸法制限から、環状の電磁鋼板を一体に形成することが困難になる。そのため、電磁鋼板を円周方向に複数に分割して形成し、組立て時に、これらを継ぎ合わせて環状の固定子鉄心を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−029150号公報
【特許文献2】特開2008−099491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した回転電機では、インバータによる速度制御運転により速度が変化することから、回転子鉄心と固定子鉄心とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子枠を含む固定子鉄心の固有振動数とが、近接し、あるいは、共振状態となり、大きな振動、騒音が発生する。固定子鉄心を円周方向に分割した場合、円環剛性が低下し、固定子鉄心の固有振動数が低下するため、電磁力周波数と共振し易い状態となりえる。
【0006】
また、回転電機を小型、軽量化、および大容量化とする場合、単位体積あたりの発熱密度が増大する。特に、固定子鉄心コイルの温度が上昇し、耐久性および信頼性に影響を与える。
【0007】
そこで、この発明の課題は、振動の低減および固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、回転電機は、円筒フレームを有する固定子枠と、円周方向に複数に分割された分割板を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記円筒フレーム内に同軸的に配置され、前記固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、それぞれ前記分割板間の継ぎ目に重ねて前記固定子鉄心の外周面に固定され、前記固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、前記円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る回転電機を示す斜視図。
【図2】図2は、前記回転電機の冷却風の流れを示す縦断面図。
【図3】図3は、前記回転電機の固定子枠を示す斜視図。
【図4】図4は、前記固定子枠と固定子鉄心との間に配置されるスペーサ(リブ)を示す斜視図。
【図5】図5は、前記回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【図6】図6は、前記固定子鉄心を示す斜視図。
【図7】図7は、前記固定子鉄心の一部を拡大して示す斜視図。
【図8】図8は、前記固定子鉄心とスペーサとの固定位置関係を示す平面図。
【図9】図9は、前記回転電機の固定子枠および固定子鉄心を示す側面図。
【図10】図10は、前記回転電機の固定子枠を相手側マシーンビームに設置した状態を示す斜視図。
【図11】図11は、前記回転電機の回転子を示す斜視図。
【図12】図12は、前記回転電機における電磁力周波数振動の発生メカニズムを説明するための平面図。
【図13】図13は、前記回転電機の振動モードを概略的に示す図。
【図14】図15は、運転周波数と振動加速度との関係を示す図。
【図15】図14は、前記回転電機の振動モードを概略的に示す図。
【図16】図16は、第2の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心およびスペーサを示す斜視図。
【図17】図17は、第2の実施形態における制振部材を示す斜視図。
【図18】図18は、第2の実施形態における固定子鉄心、固定子枠および制振部材を示す断面図。
【図19】図19は、第2の実施形態における固定子枠、固定子鉄心および制振部材を示す側面図。
【図20】図20は、第3の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【図21】図21は、第4の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示す斜視図。
【図22】図22は、第5の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示す斜視図。
【図23】図23は、第6の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、種々の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回転電機10を示し、図2は、回転電機10の縦断面を示し、図3ないし図11は回転電機10の種々の構成要素を示している。
図1および図2に示すように、回転電機10は、固定子枠12と、固定枠内に支持された円筒状の固定子30と、固定子の内側に回転自在に設けられた回転子40と、回転子40に形成された冷却ファン50a、50bと、固定子および回転子の両側を覆った一対のファンカバー60a、60bと、を備えている。
【0012】
図1および図3に示すように、固定子枠12は、円筒フレーム14と円筒フレームの軸方向両端の外周部に一体に形成された一対のフランジ部(多角形枠)16を備えている。各フランジ部15は、環状に形成され、かつ、外形が多角形、例えば、六角形に形成されている。フランジ部16の下部には一対の脚座18が一体に形成されている。円筒フレーム14には、複数の排気孔20、例えば、矩形状の排気孔20が形成され、円周方向に沿って間隔をおいて設けられている。本実施形態では、排気孔20は、フランジ部16の角部近傍に設けられている。また、円筒フレーム14の上端部、すなわち、鉛直方向の上端部には、小径の円形の排気孔22が形成されている。脚座18の近傍で円筒フレーム14の下部外面に、複数の補強リブ24が一体に形成されている。
【0013】
図2、図5、および図6に示すように、固定子30は、円筒状の固定子鉄心32を備えている。固定子鉄心32は、磁性材、例えば、電磁鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されている。固定子鉄心32の内周部には、それぞれ軸方向に延びた複数のスロット33が形成され、これらのスロットに固定子鉄心コイル34が埋め込まれている。鉄心コイル34のコイルエンドは固定子鉄心32の両端面から軸方向に張り出している。固定子鉄心32および鉄心コイル34により固定子30が構成されている。
【0014】
図5ないし図9に示すように、固定子鉄心32は、回転電機10の大容量化を図るために比較的大きな外形を有している。その際、打ち抜きプレス機械の寸法制限から固定子鉄心32を構成する各金属板は、円周方向に複数、例えば8つ、に分割してプレス成型され、これら8つの分割板31を継ぎ合わせて環状の金属板を構成している。そして、複数の金属板をラップ積み(交互積み)により積層されている。すなわち、奇数層の金属板の各継ぎ目37が固定子鉄心32の軸方向に並んで位置し、また、偶数層の金属板の各継ぎ目39が固定子鉄心32の軸方向に並んで位置している。更に、奇数層の金属板の継ぎ目37が偶数層の金属板の継ぎ目39に対して円周方向にずれ位置するように、ここでは、隣合う2つの継ぎ目39間の中央に位置するように、金属板が積層されている。
【0015】
このように、複数に分割された分割片を継ぎ合わせて固定子鉄心32を構成した場合、円周方向に分割のない一体打ち抜き固定子鉄心に比較して、円環曲げ剛性が小さくなる。そこで、本実施形態によれば、固定子鉄心32の外周側のラップ接合部、つまり、分割板31間の継ぎ目37、39に棒状のスペーサ36(リブ)を重ねて例えば溶接で固定子鉄心32に固定し、さらに、円筒フレーム14と結合することにより、固定子鉄心32の円環曲げ剛性を補強している。補強により固定子鉄心の円環曲げ剛性が向上することから固有振動数が上昇することができる。
【0016】
なお、固定子鉄心32の分割板31は、継ぎ目37、39が固定子鉄心32の軸方向と平行な方向に並ぶように積層配置する構成としたが、これに限らず、継ぎ目が固定子鉄心の軸方向に対し斜めに傾斜して並ぶように、分割板31を積層配置してもよい。この場合、スペーサ36は、継ぎ目に合わせて、斜めに傾斜した状態で固定子鉄心32に固定される。
【0017】
図5および図8に示すように、固定子鉄心32の円周方向に沿った各スペーサ36の幅Wは、一列の継ぎ目37あるいは39のみと重なる幅に、すなわち、固定子鉄心32の円周方向において、複数列の継ぎ目37、39と重ならない幅に、形成されている。
【0018】
固定子鉄心32の外径Q2は、円筒フレーム14の内径Q1よりも僅かに小さく形成されている。固定子鉄心32は円筒フレーム14内に同軸的に配置され、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14との間に複数のスペーサ36が嵌合されている。各スペーサ36は、細長い角柱形状(リブ形状)に形成されている。図4および図5に示すように、大多数のスペーサ36は、その中央部に凹所36aが形成されている。これらのスペーサ36は、それぞれ固定子鉄心32の軸方向に延在しているとともに、固定子鉄心32の円周方向に一定の間隔を置いて並んで配置されている。凹所36aを有するスペーサ36は、例えば、凹所36a側が円筒フレーム14の内周面に対向した状態で設置されている。
【0019】
本実施形態では、図5および図9に示すように、複数のスペーサ36は、固定子鉄心32の外周面に固定され、この固定子鉄心32を圧入あるいは焼ばめによって円筒フレーム14内に嵌合することにより、固定子鉄心32が円筒フレーム14内に同軸的に固定されている。また、固定子鉄心32は、図示しない鉄心押えにより円筒フレーム14内に固定保持されている。
【0020】
図2、図3、図5、および図9に示すように、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14の内周面との間の隙間により、後述する冷却風が流れる冷却通風路35が形成されている。ここで、隣合うスペーサ36により仕切られた空間は、スペーサ36の凹所36aを通して互いに連通している。そして、円筒フレーム14に形成された複数の排気孔20、22は、冷却通風路35に開口および連通している。なお、大部分の排気孔20は、隣接する2つのスペーサ36間で円筒フレーム14に設けられ、一部の排気孔20は、スペーサと重なって、円筒フレームに形成されている。
【0021】
排気孔20の円周方向の略中央に重なって位置するスペーサ36は、凹所36aを持たず、中実に形成されている。そのため、このスペーサ36は、冷却風の温風をさらに固定子鉄心32の外形側に廻さないように防風板として作用し、更に、冷却通風路35を流れる冷却風を、排気孔20に導くガイドとして機能することができる。
【0022】
図3、図9、および図10に示すように、固定子枠12の脚座18は、隣接する2つのスペーサ36間と対向して位置している。そして、回転電機10は、例えば、矩形の枠状の相手側マシーンビーム54に脚座18を固定することにより、この相手側マシーンビーム54上に設置および支持される。この際、隣合うスペーサ36間に固定子枠12の脚座18を配置した構成とすることにより、固定子鉄心32の電磁振動が直接、マシーンビームに伝達しない。従って、相手側マシーンビーム54側への振動伝達が小さくなり、相手側マシーンビームの振動に起因する騒音を低減できる。
【0023】
図2および図11に示すように、回転子40は、回転軸42と、回転軸の軸方向ほぼ中央部に固定された円筒状の回転子鉄心44と、回転軸に固定された図示しない鉄心押さえと、を有している。回転軸42は固定子鉄心32と同軸的に延在し、その軸方向両端部は、図示しない軸受により回転自在に支持されている。回転子鉄心44は、固定子鉄心32の内側に、隙間を置いて、同軸的に位置している。回転軸42の駆動側端部42aは、後述するファンカバーを貫通し、機外に延出している。
【0024】
回転子鉄心44は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成され、その内部に図示しない永久磁石が配置されている。固定子鉄心コイル34に通電することにより、回転子鉄心44が回転し、回転軸42が固定子鉄心と一体に回転される。これにより、永久磁石型の回転電機が構成されている。なお、回転子40は、かご型回転ことし、誘導型の回転電機を構成してもよい。
【0025】
回転子鉄心44の軸方向両端面に、複数のフィン52が固定され、それぞれ冷却ファン50a、50bを構成している。フィン52は、それぞれ矩形板状に形成され、複数のフィン52は、回転子鉄心44の回転中心に対して放射状に延在され、かつ、円周方向に等間隔を置いて配置されている。冷却ファン50a、50bは、回転子40と共に回転し、後述するように、外気を吸引して放射方向外方に噴出す。
【0026】
図1および図2に示すように、ファンカバー60a、60bは、外周部が内側に湾曲して折り曲げられた円盤状(ほぼ皿状)に形成されている。ファンカバー60a、60bは、金属、例えば、板厚3.2mmの薄板鋼板により形成されている。ファンカバー60aは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の一端側を覆っている。ファンカバー60aと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60の中心部に円形の吸気口62aが形成されている。この吸気口62aは、回転子40と同軸的に位置している。回転軸42の出力側端部は、吸気口62aを通って機外に延出している。
【0027】
他方のファンカバー60bは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の他端側を覆っている。ファンカバー60bと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60bの中心部に環状の吸気口62bが形成されている。この吸気口62bは、回転子40と同軸的に位置している。
【0028】
図2に示すように、回転子40と共に冷却ファン50a、50bが回転すると、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bから外気(冷却空気)が機内に吸い込まれ、冷却ファン50a、50bにより放射方向外方に送られる。この冷却風は、固定子鉄心コイル34のコイル端部を通りこれを冷却した後、固定子鉄心32と円筒フレーム14との間の冷却通風路35を流れて固定子鉄心32を冷却する。その後、冷却風は、排気孔20から機外に排気される。このように、発生熱源である鉄心コイル(銅損)34と固定子鉄心(鉄損)32に冷却風を当てることにより、外気へ放熱し、これらの熱源の温度上昇が抑制する。
【0029】
上記のように構成された回転電機10において、振動の発生メカニズムについて説明する。図12ないし図15は、振動発生のメカニズムを説明するための図である。図12に示すように、固定子30の固定子鉄心32と回転子40とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子枠12を含む固定子鉄心32の固有振動数とが、近接もしくは共振した場合、固定子鉄心32が振動し、その振動が固定子枠12から脚座18、そして相手側マシーンビーム54に振動伝達され、更に、機械室の床に振動が伝わる。
【0030】
この電磁力による固定子枠12の変形モードは、一般的に、円環振動モードの楕円形状(n=2)である。この円環振動モードとは、図13に示すような、半径方向に外形が変形するモードであり、楕円(モードn=2)で表わされる。回転電機10における固定子鉄心32、およびこれを収容する固定子枠12の横断面(回転軸に直角)の外周は、円筒状である場合が多い。
【0031】
この場合、図14に示すように、縦軸を振動レベル、横軸を運転周波数とすると、回転電機10の運転周波数が35Hzと37Hzに2つ大きなピークが見られる。これが、共振の影響で発生する振動である。運転周波数を0Hz〜31Hzまでであれば、許容振動レベル以下であることから、35Hz、37Hzの2つ大きなピークと共振する前に運転周波数を32Hz以上にしなければ、振動の影響はない。
【0032】
振動発生の原理について、具体的に説明する。電磁力は、回転磁界であることから、固定子鉄心32のある位置から見ると、固定子鉄心の内径に強制振動として、主にn=2(楕円)で時間的に回転して変化していくモードが発生する。
【0033】
(1)固定子枠12を含む固定子鉄心32の固有振動数が、電磁力の周波数に近接もしくは共振した場合には、運転中の振動モードは、固定子鉄心、すなわち構造系の固有振動モードに依存する。
【0034】
(2)固定子鉄心32、すなわち構造系の振動モードは定在波であり回転しない。固定子鉄心の特定の場所が常に振動の腹や節になる。しかし、固定子鉄心は円環形状であるため、構造系の固有振動モードの定在波を決定するのは固定子枠12の形状に支配されることになる。つまり、図1に示すように固定子枠12が略多角形の辺なる部分と角となる部分を有する場合、図13において、辺なる部分であるX−X線とY−Y線は機械的剛性が小さいことから振動のモードの腹になる。角となる部分であるZ−Z線とW−W線は、機械的剛性が大きいことから振動のモードの節になる。さらに、37Hzのピークでは、角となる部分であるZ−Z線とW−W線は機械的剛性が大きいことから振動の節と腹が異なる位置にあり、固有振動数が大きくなる。
【0035】
インバータによる回転電機の速度制御運転においては、速度が変化することから回転子鉄心44と固定子鉄心32とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子枠を含む固定子鉄心32の固有振動数との共振を回避することが必要である。共振回避するには電磁力周波数から固定子鉄心の固有振動数を20%以上にすることが望ましい。
【0036】
上述した本実施形態に係る回転電機10によれば、固定子鉄心32の外周側で、分割板の継ぎ目に重ねてスペーサ36を固定し、更に、固定子鉄心32をスペーサ36を介して円筒フレーム14と結合することにより、固定子鉄心32の円環曲げ剛性を補強することができる。補強により固定子鉄心の円環曲げ剛性が向上することから、固定子鉄心32の固有振動数を上げることができる。従って、電磁力に対する固定子鉄心32の変形量が小さくなり、振動、騒音を低減することができる。
【0037】
スペーサ36に凹所36aを設けることにより、円筒フレーム14内周側と固定子鉄心32の外周側との間に、円周方向に連通する通風路を形成することができる。通風路があることにより、固定子鉄心32の外形周りを冷却ファン50a、50bから発生された冷却風が流れる。冷却風が流れることから、固定子鉄心32および巻線の熱を外気へ放熱し、これらを冷却することができる。
【0038】
また、多角形枠の角の位置に円筒フレーム14の排気孔20を配置したことにより、多角形枠16と円筒フレーム14の円環曲げ剛性のバランスが取れる。円筒フレーム14の一部に排気孔20を設けると円筒フレームの円環曲げ剛性が小さくなるが、多角形枠の角は円環曲げ剛性が大きいことから、円周方向に排気孔20と多角形枠の角の位置を一致されれば、円筒フレームの排気風窓の弱点箇所が補われ、円環曲げ剛性はバランスがとれてトータル的に大きくなる。したがって、固定子鉄心32の円環曲げ剛性が向上することから固有振動数が上昇することができる。更に、固定子鉄心32の温度を低減でき、冷却効率を向上できる。温度が低下した分、鉄心コイル34に流す電流を増すことができ、回転電機の出力をより増すことが可能となり、回転電機を大容量化することができる。
【0039】
円筒フレーム14の上部に排気孔22を配置したことにより、回転電機10が運転中から停止した際、自然冷却作用で、上部に温かい流れができ排気孔22から外気に放熱される。これにより、回転電機の運転停止時にも固定子鉄心32の温度上昇を抑制し、冷却効率を向上できる。
【0040】
固定子枠12の多角形枠16の角に対して辺部は円環曲げ剛性が小さくなる。多角形枠16の辺部近傍で円筒フレーム14の垂直面に側面補強リブ24を例えば溶接して配置することにより、固定子鉄心32の円環曲げ剛性の補強となる。これにより、固定子鉄心32の固有振動数を上げることができる。従って、電磁力に対する固定子鉄心32の変形量が減少し、振動、騒音が低減される。
【0041】
また、固定子鉄心32から側面補強リブ24に熱伝導でき、自然冷却の作用から垂直に配置することにより放熱フィンとしての冷却効果と断面2次モーメントによる剛性補強が効果的にできる。したがって、側面補強リブ24は、振動面と冷却面の効果を同時に得ることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、振動の低減および固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0042】
次に、他の実施形態に係る回転電機について説明する。
以下に述べる実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0043】
(第2の実施形態)
図16ないし図19は、第2の実施形態に係る回転電機の固定子30、制振部材、固定子枠を示している。
図16、図18、図19に示すように、第2の実施形態では、回転電機10の固定子30は、分割板を積層して構成された円筒状の固定子鉄心32を備えている。固定子鉄心32の外周面には、円周方向に間隔を置いて複数のスペーサ36が溶接等により固定されている。各スペーサ36は、固定子鉄心32の軸方向に延び、望ましくは、固定子鉄心32の継ぎ目に重ねて固定されている。
【0044】
固定子鉄心32および複数のスペーサ36を、例えば、圧入あるいは焼ばめによって固定子枠12の円筒フレーム14内に嵌合することにより、固定子鉄心32が円筒フレーム14内に同軸的に固定されている。大多数のスペーサ36は、その中央部に凹所36aが形成されている。これらのスペーサ36は、それぞれ固定子鉄心32の軸方向に延在しているとともに、固定子鉄心32の円周方向に一定の間隔を置いて並んで配置されている。
【0045】
図19に示すように、固定子枠12の多角形枠16は、水平に延びる上辺を有し、多角形の角部と角部を結ぶ対角線上に脚座18が設けられている。第2の実施形態では、図16ないし図19に示すように、固定子鉄心32の外周と円筒フレーム14との間、かつ固定子鉄心の軸方向幅の中央位置に、複数の制振部材64が設けられている。各制振部材64は、円弧状に延びる板材により形成され、内周側の側縁に沿って複数、例えば、3つの凹所64aが形成されている。固定子鉄心32の軸方向の厚さをTとした場合、制振部材64の板厚は、T/20程度に形成されている。そして、制振部材64は、各凹所64aにスペーサ36が嵌合した状態で、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14の内周面との間に挟まれている。
【0046】
複数の制振部材64は、回転電機10における水平軸X−Xに対してほぼ±30度の範囲、および鉛直軸Y−Yに対してほぼ角度±30度の範囲に、それぞれに介在するように配置されている。
【0047】
制振部材64を形成する振動減衰材料としては、減衰作用に優れたシリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。シリコン性材料は、−40〜+200℃という非常に幅広い温度範囲で防振効果を発揮できる。
【0048】
高分子粘弾性材料としては、天然ゴム、NBR、SBR、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素系ゴム等の合成ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリアミド等の熱硬化性樹脂等の振動損失係数の高い素材が挙げられる。
【0049】
更に、高分子粘弾性材料に形成する硬質被覆層には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化型または紫外線硬化等の高分子樹脂等が挙げられ、前記高分子粘弾性材料と同様に、求める形状や温度特性に合わせて選定ができる。
第2の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0050】
上記構成の回転電機において、固定子枠12を含む固定子鉄心32の共振領域では構造系の振動モードは定在波であり回転することなく、固定子鉄心32の特定の場所が常に振動の腹や節になる。円筒フレーム14においても特定の場所が常に振動の腹や節になる。この固定子鉄心32の振動の腹と円筒フレーム14の振動の腹には相対変位が生じる。この相対変位の生じる部分に制振部材64を介在させることにより、すなわち、振動モードの腹なる部分に制振部材64を設けることにより、振動減衰作用が最も大きくなり、円筒フレーム14など回転電機10の構造部材に伝わってしまった振動の振幅を減衰し、振動を抑制することができる。
【0051】
以上のことから、第2の実施形態によれば、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0052】
(第3の実施形態)
図20は、第3の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示している。
本実施形態によれば、分割固定子鉄心32を構成する分割板31間の継ぎ目37、39に制振材66が挿入されている。この制振材66は、少なくとも、回転電機における水平軸X−Xに対してほぼ±30度の範囲内に存在する継ぎ目、および鉛直軸Y−Yに対してほぼ±30度の範囲内に存在する継ぎ目に配置されている。制振材66は、全ての継ぎ目37、39に配置しても良い。制振材66としては、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。
第3の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0053】
上記構成の回転電機において、固定子鉄心32の振動モードの腹では、隣合う分割板31間に相対変位が生じる。この相対変位の生じる部分に制振材66を介在させ、振動モードの腹なる部分を振動減衰することにより、振動減衰作用が最も大きくなり、固定子鉄心の振動を抑制することができる。従って、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0054】
(第4の実施形態)
図20は、第4の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示している。
【0055】
本実施形態によれば、回転子の冷却ファンの冷却風の入り口部分に位置するスペーサ36に制振材68を被せ、全体の形状が翼形状となるように制振材を整形している。すなわち、制振材68は、冷却風の入り口側に丸みを持たせ、風の流れに沿って流線形としている。制振材68としては、前述した第2実施形態と同様に、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。第4の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0056】
固定子鉄心32の振動モードは定在波であり回転することなく、固定子鉄心の特定の場所が常に振動の腹や節になる。固定子鉄心と円筒フレームに相対変位が生じる部分に制振材66を介在させることにより、振動モードの腹なる部分に振動を減衰し、振動を抑制することができる。回転子の冷却ファンの冷却風の入り口におけるスペーサ36を制振材68によって翼形状に整形することにより、冷却風が固定子鉄心の中央までいきわたり、冷却作用が大きくなる。風の流れの乱れも無いことから通風騒音も小さくできる。
【0057】
以上のことから、第4の実施形態によれば、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0058】
(第5の実施形態)
図22は、第5の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示している。
本実施形態によれば、固定子枠12の円筒フレーム14の側面に、複数の側面リブ24が固定されている。各側面リブ24に複数の凹所を設け、これらの凹所に制振材70がはめ込まれている。制振材70としては、前述した第2実施形態と同様に、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。第5の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0059】
上記構成によれば、側面リブ24により円筒フレーム14を補強するとともに、振動モードの腹なる部分に制振材70を介在させることにより、振動減衰作用が最も大きくなり、固定子枠12および固定子鉄心32の振動を抑制することができる。電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0060】
(第6の実施形態)
図23は、第6の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示している。
本実施形態によれば、固定子鉄心32は、複数の分割板31を積層し継ぎ合わせた分割固定子鉄心として構成されている。固定子鉄心32のスロット33の内面と鉄心コイル34との間、(スロット内面と絶縁紙との間)、に制振材74が挿入されている。この制振材74は、少なくとも、回転電機における水平軸X−Xに対してほぼ±30度の範囲内に存在するスロット33、および鉛直軸Y−Yに対してほぼ±30度の範囲内に存在するスロット33内に配置されている。制振材74は、全てのスロット33に配置しても良い。制振材74としては、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。
第6の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0061】
上記構成の回転電機において、固定子鉄心32の振動の腹となる部分では、固定子鉄心のスロット33と鉄心コイル(絶縁紙)との間に相対変位が生じる。この相対変位の生じる部分に制振材74を介在させ、振動モードの腹なる部分の振動を減衰することにより、振動減衰作用が最も大きくなり、固定子鉄心の振動を抑制することができる。これにより、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0062】
前述した第2ないし第6の実施形態において、制振材料は、シリコン系材料、高分子系粘性材料、もしくはプラスチック系を用いることできる。制振材料の粘性係数は温度によって異なる。制振作用が最も効率よく作用する温度を選定して使用すると効果的である。つまり、回転電機の運転中において各部の温度が異なる。
【0063】
制振材料として用いられる高分子材料やゴムなどの粘弾性体の弾性係数((弾性、横弾性とも)は、温度Tと周波数Fの関数で示される。ある温度T0を規準温度に設定し、温度T1における弾性係数を縦軸に、周波数を横軸(対数軸)にとり、これを横軸方向に平行移動すると、基準温度T0における複素弾性係数と一致することが知られている。制振材料の制振の能力は損失係数で表され、大きいほうが良いが、その性能は温度依存性が強く、実用の際は、使用温度に適した制振材料を選択することが望ましい。
【0064】
前述した第2の実施形態において、固定子鉄心32の外側と円筒フレーム14との間の温度は、略40ないし100度であることから、制振材料としては、高分子系粘性材料、例えば、シリコン系もしくはゴム系を採用する。
【0065】
第3の実施形態では、分割鉄心の分割板間の継ぎ目の温度は、略60〜120度であることから、ここに設ける制振材66は、高分子系粘性材料、例えば、シリコン系を使用する。
【0066】
第4の実施形態において、冷却ファンの冷却風の入り口の温度は、略40〜60度であることから、この位置に設けられたスペーサ36に被せて配置する制振材68は、高分子系粘性材料もしくはプラスチック系、例えば、ゴム系を使用する。
【0067】
第5の実施形態において、側面リブ24の温度は略30〜50度であることから、この側面リブに設ける制振材は、高分子系粘性材料もしくはプラスチック系、例えば、ゴム系を用いる。
【0068】
第6の実施形態において、固定子鉄心32のスロット33と絶縁紙との間は、略120〜180度であることから、制振材74は、高分子系粘性材料、例えば、シリコン系を使用する。
【0069】
以上のように、設置場所の温度に応じて、制振材料を選択することにより、制振材の振動減衰能力を有効に発揮することができ、回転電機の振動、騒音を効果的に低減することができる。
【0070】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
この発明に係る回転電機は、昇降機の巻上げ機に限らず、種々の回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…回転電機、12…固定子枠、14…円筒フレーム、
16…フランジ部(多角形枠)、20、22…排気孔、24…側面リブ、
30…固定子、31…分割板、32…固定子鉄心、33…スロット、
34…鉄心コイル、35…冷却通風路、36…スペーサ、37、39…継ぎ目、
37…冷却通風路、40…回転子、42…回転軸、44…回転子鉄心、
50a、50b…冷却ファン、52…フィン、60a、60b…ファンカバー、
62a、62b…吸気口、64…制振部材、66、68、70、74…制振材
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機は、円筒状の固定子鉄心と、この固定子鉄心の内側に回転自在に支持された回転子と、を備えている。固定子鉄心には、複数のスリットが形成され、これらのスリットに固定子コイルが埋め込まれている。固定子鉄心は、通常、多数枚の環状の電磁鋼板を積層して構成されている。
【0003】
容量の大きい大型の回転電機とする場合、固定子鉄心の径も大きくなる。この場合、プレス機械の寸法制限から、環状の電磁鋼板を一体に形成することが困難になる。そのため、電磁鋼板を円周方向に複数に分割して形成し、組立て時に、これらを継ぎ合わせて環状の固定子鉄心を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−029150号公報
【特許文献2】特開2008−099491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した回転電機では、インバータによる速度制御運転により速度が変化することから、回転子鉄心と固定子鉄心とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子枠を含む固定子鉄心の固有振動数とが、近接し、あるいは、共振状態となり、大きな振動、騒音が発生する。固定子鉄心を円周方向に分割した場合、円環剛性が低下し、固定子鉄心の固有振動数が低下するため、電磁力周波数と共振し易い状態となりえる。
【0006】
また、回転電機を小型、軽量化、および大容量化とする場合、単位体積あたりの発熱密度が増大する。特に、固定子鉄心コイルの温度が上昇し、耐久性および信頼性に影響を与える。
【0007】
そこで、この発明の課題は、振動の低減および固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、回転電機は、円筒フレームを有する固定子枠と、円周方向に複数に分割された分割板を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記円筒フレーム内に同軸的に配置され、前記固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、それぞれ前記分割板間の継ぎ目に重ねて前記固定子鉄心の外周面に固定され、前記固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、前記円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る回転電機を示す斜視図。
【図2】図2は、前記回転電機の冷却風の流れを示す縦断面図。
【図3】図3は、前記回転電機の固定子枠を示す斜視図。
【図4】図4は、前記固定子枠と固定子鉄心との間に配置されるスペーサ(リブ)を示す斜視図。
【図5】図5は、前記回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【図6】図6は、前記固定子鉄心を示す斜視図。
【図7】図7は、前記固定子鉄心の一部を拡大して示す斜視図。
【図8】図8は、前記固定子鉄心とスペーサとの固定位置関係を示す平面図。
【図9】図9は、前記回転電機の固定子枠および固定子鉄心を示す側面図。
【図10】図10は、前記回転電機の固定子枠を相手側マシーンビームに設置した状態を示す斜視図。
【図11】図11は、前記回転電機の回転子を示す斜視図。
【図12】図12は、前記回転電機における電磁力周波数振動の発生メカニズムを説明するための平面図。
【図13】図13は、前記回転電機の振動モードを概略的に示す図。
【図14】図15は、運転周波数と振動加速度との関係を示す図。
【図15】図14は、前記回転電機の振動モードを概略的に示す図。
【図16】図16は、第2の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心およびスペーサを示す斜視図。
【図17】図17は、第2の実施形態における制振部材を示す斜視図。
【図18】図18は、第2の実施形態における固定子鉄心、固定子枠および制振部材を示す断面図。
【図19】図19は、第2の実施形態における固定子枠、固定子鉄心および制振部材を示す側面図。
【図20】図20は、第3の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【図21】図21は、第4の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示す斜視図。
【図22】図22は、第5の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示す斜視図。
【図23】図23は、第6の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、種々の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回転電機10を示し、図2は、回転電機10の縦断面を示し、図3ないし図11は回転電機10の種々の構成要素を示している。
図1および図2に示すように、回転電機10は、固定子枠12と、固定枠内に支持された円筒状の固定子30と、固定子の内側に回転自在に設けられた回転子40と、回転子40に形成された冷却ファン50a、50bと、固定子および回転子の両側を覆った一対のファンカバー60a、60bと、を備えている。
【0012】
図1および図3に示すように、固定子枠12は、円筒フレーム14と円筒フレームの軸方向両端の外周部に一体に形成された一対のフランジ部(多角形枠)16を備えている。各フランジ部15は、環状に形成され、かつ、外形が多角形、例えば、六角形に形成されている。フランジ部16の下部には一対の脚座18が一体に形成されている。円筒フレーム14には、複数の排気孔20、例えば、矩形状の排気孔20が形成され、円周方向に沿って間隔をおいて設けられている。本実施形態では、排気孔20は、フランジ部16の角部近傍に設けられている。また、円筒フレーム14の上端部、すなわち、鉛直方向の上端部には、小径の円形の排気孔22が形成されている。脚座18の近傍で円筒フレーム14の下部外面に、複数の補強リブ24が一体に形成されている。
【0013】
図2、図5、および図6に示すように、固定子30は、円筒状の固定子鉄心32を備えている。固定子鉄心32は、磁性材、例えば、電磁鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されている。固定子鉄心32の内周部には、それぞれ軸方向に延びた複数のスロット33が形成され、これらのスロットに固定子鉄心コイル34が埋め込まれている。鉄心コイル34のコイルエンドは固定子鉄心32の両端面から軸方向に張り出している。固定子鉄心32および鉄心コイル34により固定子30が構成されている。
【0014】
図5ないし図9に示すように、固定子鉄心32は、回転電機10の大容量化を図るために比較的大きな外形を有している。その際、打ち抜きプレス機械の寸法制限から固定子鉄心32を構成する各金属板は、円周方向に複数、例えば8つ、に分割してプレス成型され、これら8つの分割板31を継ぎ合わせて環状の金属板を構成している。そして、複数の金属板をラップ積み(交互積み)により積層されている。すなわち、奇数層の金属板の各継ぎ目37が固定子鉄心32の軸方向に並んで位置し、また、偶数層の金属板の各継ぎ目39が固定子鉄心32の軸方向に並んで位置している。更に、奇数層の金属板の継ぎ目37が偶数層の金属板の継ぎ目39に対して円周方向にずれ位置するように、ここでは、隣合う2つの継ぎ目39間の中央に位置するように、金属板が積層されている。
【0015】
このように、複数に分割された分割片を継ぎ合わせて固定子鉄心32を構成した場合、円周方向に分割のない一体打ち抜き固定子鉄心に比較して、円環曲げ剛性が小さくなる。そこで、本実施形態によれば、固定子鉄心32の外周側のラップ接合部、つまり、分割板31間の継ぎ目37、39に棒状のスペーサ36(リブ)を重ねて例えば溶接で固定子鉄心32に固定し、さらに、円筒フレーム14と結合することにより、固定子鉄心32の円環曲げ剛性を補強している。補強により固定子鉄心の円環曲げ剛性が向上することから固有振動数が上昇することができる。
【0016】
なお、固定子鉄心32の分割板31は、継ぎ目37、39が固定子鉄心32の軸方向と平行な方向に並ぶように積層配置する構成としたが、これに限らず、継ぎ目が固定子鉄心の軸方向に対し斜めに傾斜して並ぶように、分割板31を積層配置してもよい。この場合、スペーサ36は、継ぎ目に合わせて、斜めに傾斜した状態で固定子鉄心32に固定される。
【0017】
図5および図8に示すように、固定子鉄心32の円周方向に沿った各スペーサ36の幅Wは、一列の継ぎ目37あるいは39のみと重なる幅に、すなわち、固定子鉄心32の円周方向において、複数列の継ぎ目37、39と重ならない幅に、形成されている。
【0018】
固定子鉄心32の外径Q2は、円筒フレーム14の内径Q1よりも僅かに小さく形成されている。固定子鉄心32は円筒フレーム14内に同軸的に配置され、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14との間に複数のスペーサ36が嵌合されている。各スペーサ36は、細長い角柱形状(リブ形状)に形成されている。図4および図5に示すように、大多数のスペーサ36は、その中央部に凹所36aが形成されている。これらのスペーサ36は、それぞれ固定子鉄心32の軸方向に延在しているとともに、固定子鉄心32の円周方向に一定の間隔を置いて並んで配置されている。凹所36aを有するスペーサ36は、例えば、凹所36a側が円筒フレーム14の内周面に対向した状態で設置されている。
【0019】
本実施形態では、図5および図9に示すように、複数のスペーサ36は、固定子鉄心32の外周面に固定され、この固定子鉄心32を圧入あるいは焼ばめによって円筒フレーム14内に嵌合することにより、固定子鉄心32が円筒フレーム14内に同軸的に固定されている。また、固定子鉄心32は、図示しない鉄心押えにより円筒フレーム14内に固定保持されている。
【0020】
図2、図3、図5、および図9に示すように、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14の内周面との間の隙間により、後述する冷却風が流れる冷却通風路35が形成されている。ここで、隣合うスペーサ36により仕切られた空間は、スペーサ36の凹所36aを通して互いに連通している。そして、円筒フレーム14に形成された複数の排気孔20、22は、冷却通風路35に開口および連通している。なお、大部分の排気孔20は、隣接する2つのスペーサ36間で円筒フレーム14に設けられ、一部の排気孔20は、スペーサと重なって、円筒フレームに形成されている。
【0021】
排気孔20の円周方向の略中央に重なって位置するスペーサ36は、凹所36aを持たず、中実に形成されている。そのため、このスペーサ36は、冷却風の温風をさらに固定子鉄心32の外形側に廻さないように防風板として作用し、更に、冷却通風路35を流れる冷却風を、排気孔20に導くガイドとして機能することができる。
【0022】
図3、図9、および図10に示すように、固定子枠12の脚座18は、隣接する2つのスペーサ36間と対向して位置している。そして、回転電機10は、例えば、矩形の枠状の相手側マシーンビーム54に脚座18を固定することにより、この相手側マシーンビーム54上に設置および支持される。この際、隣合うスペーサ36間に固定子枠12の脚座18を配置した構成とすることにより、固定子鉄心32の電磁振動が直接、マシーンビームに伝達しない。従って、相手側マシーンビーム54側への振動伝達が小さくなり、相手側マシーンビームの振動に起因する騒音を低減できる。
【0023】
図2および図11に示すように、回転子40は、回転軸42と、回転軸の軸方向ほぼ中央部に固定された円筒状の回転子鉄心44と、回転軸に固定された図示しない鉄心押さえと、を有している。回転軸42は固定子鉄心32と同軸的に延在し、その軸方向両端部は、図示しない軸受により回転自在に支持されている。回転子鉄心44は、固定子鉄心32の内側に、隙間を置いて、同軸的に位置している。回転軸42の駆動側端部42aは、後述するファンカバーを貫通し、機外に延出している。
【0024】
回転子鉄心44は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成され、その内部に図示しない永久磁石が配置されている。固定子鉄心コイル34に通電することにより、回転子鉄心44が回転し、回転軸42が固定子鉄心と一体に回転される。これにより、永久磁石型の回転電機が構成されている。なお、回転子40は、かご型回転ことし、誘導型の回転電機を構成してもよい。
【0025】
回転子鉄心44の軸方向両端面に、複数のフィン52が固定され、それぞれ冷却ファン50a、50bを構成している。フィン52は、それぞれ矩形板状に形成され、複数のフィン52は、回転子鉄心44の回転中心に対して放射状に延在され、かつ、円周方向に等間隔を置いて配置されている。冷却ファン50a、50bは、回転子40と共に回転し、後述するように、外気を吸引して放射方向外方に噴出す。
【0026】
図1および図2に示すように、ファンカバー60a、60bは、外周部が内側に湾曲して折り曲げられた円盤状(ほぼ皿状)に形成されている。ファンカバー60a、60bは、金属、例えば、板厚3.2mmの薄板鋼板により形成されている。ファンカバー60aは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の一端側を覆っている。ファンカバー60aと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60の中心部に円形の吸気口62aが形成されている。この吸気口62aは、回転子40と同軸的に位置している。回転軸42の出力側端部は、吸気口62aを通って機外に延出している。
【0027】
他方のファンカバー60bは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の他端側を覆っている。ファンカバー60bと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60bの中心部に環状の吸気口62bが形成されている。この吸気口62bは、回転子40と同軸的に位置している。
【0028】
図2に示すように、回転子40と共に冷却ファン50a、50bが回転すると、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bから外気(冷却空気)が機内に吸い込まれ、冷却ファン50a、50bにより放射方向外方に送られる。この冷却風は、固定子鉄心コイル34のコイル端部を通りこれを冷却した後、固定子鉄心32と円筒フレーム14との間の冷却通風路35を流れて固定子鉄心32を冷却する。その後、冷却風は、排気孔20から機外に排気される。このように、発生熱源である鉄心コイル(銅損)34と固定子鉄心(鉄損)32に冷却風を当てることにより、外気へ放熱し、これらの熱源の温度上昇が抑制する。
【0029】
上記のように構成された回転電機10において、振動の発生メカニズムについて説明する。図12ないし図15は、振動発生のメカニズムを説明するための図である。図12に示すように、固定子30の固定子鉄心32と回転子40とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子枠12を含む固定子鉄心32の固有振動数とが、近接もしくは共振した場合、固定子鉄心32が振動し、その振動が固定子枠12から脚座18、そして相手側マシーンビーム54に振動伝達され、更に、機械室の床に振動が伝わる。
【0030】
この電磁力による固定子枠12の変形モードは、一般的に、円環振動モードの楕円形状(n=2)である。この円環振動モードとは、図13に示すような、半径方向に外形が変形するモードであり、楕円(モードn=2)で表わされる。回転電機10における固定子鉄心32、およびこれを収容する固定子枠12の横断面(回転軸に直角)の外周は、円筒状である場合が多い。
【0031】
この場合、図14に示すように、縦軸を振動レベル、横軸を運転周波数とすると、回転電機10の運転周波数が35Hzと37Hzに2つ大きなピークが見られる。これが、共振の影響で発生する振動である。運転周波数を0Hz〜31Hzまでであれば、許容振動レベル以下であることから、35Hz、37Hzの2つ大きなピークと共振する前に運転周波数を32Hz以上にしなければ、振動の影響はない。
【0032】
振動発生の原理について、具体的に説明する。電磁力は、回転磁界であることから、固定子鉄心32のある位置から見ると、固定子鉄心の内径に強制振動として、主にn=2(楕円)で時間的に回転して変化していくモードが発生する。
【0033】
(1)固定子枠12を含む固定子鉄心32の固有振動数が、電磁力の周波数に近接もしくは共振した場合には、運転中の振動モードは、固定子鉄心、すなわち構造系の固有振動モードに依存する。
【0034】
(2)固定子鉄心32、すなわち構造系の振動モードは定在波であり回転しない。固定子鉄心の特定の場所が常に振動の腹や節になる。しかし、固定子鉄心は円環形状であるため、構造系の固有振動モードの定在波を決定するのは固定子枠12の形状に支配されることになる。つまり、図1に示すように固定子枠12が略多角形の辺なる部分と角となる部分を有する場合、図13において、辺なる部分であるX−X線とY−Y線は機械的剛性が小さいことから振動のモードの腹になる。角となる部分であるZ−Z線とW−W線は、機械的剛性が大きいことから振動のモードの節になる。さらに、37Hzのピークでは、角となる部分であるZ−Z線とW−W線は機械的剛性が大きいことから振動の節と腹が異なる位置にあり、固有振動数が大きくなる。
【0035】
インバータによる回転電機の速度制御運転においては、速度が変化することから回転子鉄心44と固定子鉄心32とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子枠を含む固定子鉄心32の固有振動数との共振を回避することが必要である。共振回避するには電磁力周波数から固定子鉄心の固有振動数を20%以上にすることが望ましい。
【0036】
上述した本実施形態に係る回転電機10によれば、固定子鉄心32の外周側で、分割板の継ぎ目に重ねてスペーサ36を固定し、更に、固定子鉄心32をスペーサ36を介して円筒フレーム14と結合することにより、固定子鉄心32の円環曲げ剛性を補強することができる。補強により固定子鉄心の円環曲げ剛性が向上することから、固定子鉄心32の固有振動数を上げることができる。従って、電磁力に対する固定子鉄心32の変形量が小さくなり、振動、騒音を低減することができる。
【0037】
スペーサ36に凹所36aを設けることにより、円筒フレーム14内周側と固定子鉄心32の外周側との間に、円周方向に連通する通風路を形成することができる。通風路があることにより、固定子鉄心32の外形周りを冷却ファン50a、50bから発生された冷却風が流れる。冷却風が流れることから、固定子鉄心32および巻線の熱を外気へ放熱し、これらを冷却することができる。
【0038】
また、多角形枠の角の位置に円筒フレーム14の排気孔20を配置したことにより、多角形枠16と円筒フレーム14の円環曲げ剛性のバランスが取れる。円筒フレーム14の一部に排気孔20を設けると円筒フレームの円環曲げ剛性が小さくなるが、多角形枠の角は円環曲げ剛性が大きいことから、円周方向に排気孔20と多角形枠の角の位置を一致されれば、円筒フレームの排気風窓の弱点箇所が補われ、円環曲げ剛性はバランスがとれてトータル的に大きくなる。したがって、固定子鉄心32の円環曲げ剛性が向上することから固有振動数が上昇することができる。更に、固定子鉄心32の温度を低減でき、冷却効率を向上できる。温度が低下した分、鉄心コイル34に流す電流を増すことができ、回転電機の出力をより増すことが可能となり、回転電機を大容量化することができる。
【0039】
円筒フレーム14の上部に排気孔22を配置したことにより、回転電機10が運転中から停止した際、自然冷却作用で、上部に温かい流れができ排気孔22から外気に放熱される。これにより、回転電機の運転停止時にも固定子鉄心32の温度上昇を抑制し、冷却効率を向上できる。
【0040】
固定子枠12の多角形枠16の角に対して辺部は円環曲げ剛性が小さくなる。多角形枠16の辺部近傍で円筒フレーム14の垂直面に側面補強リブ24を例えば溶接して配置することにより、固定子鉄心32の円環曲げ剛性の補強となる。これにより、固定子鉄心32の固有振動数を上げることができる。従って、電磁力に対する固定子鉄心32の変形量が減少し、振動、騒音が低減される。
【0041】
また、固定子鉄心32から側面補強リブ24に熱伝導でき、自然冷却の作用から垂直に配置することにより放熱フィンとしての冷却効果と断面2次モーメントによる剛性補強が効果的にできる。したがって、側面補強リブ24は、振動面と冷却面の効果を同時に得ることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、振動の低減および固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0042】
次に、他の実施形態に係る回転電機について説明する。
以下に述べる実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0043】
(第2の実施形態)
図16ないし図19は、第2の実施形態に係る回転電機の固定子30、制振部材、固定子枠を示している。
図16、図18、図19に示すように、第2の実施形態では、回転電機10の固定子30は、分割板を積層して構成された円筒状の固定子鉄心32を備えている。固定子鉄心32の外周面には、円周方向に間隔を置いて複数のスペーサ36が溶接等により固定されている。各スペーサ36は、固定子鉄心32の軸方向に延び、望ましくは、固定子鉄心32の継ぎ目に重ねて固定されている。
【0044】
固定子鉄心32および複数のスペーサ36を、例えば、圧入あるいは焼ばめによって固定子枠12の円筒フレーム14内に嵌合することにより、固定子鉄心32が円筒フレーム14内に同軸的に固定されている。大多数のスペーサ36は、その中央部に凹所36aが形成されている。これらのスペーサ36は、それぞれ固定子鉄心32の軸方向に延在しているとともに、固定子鉄心32の円周方向に一定の間隔を置いて並んで配置されている。
【0045】
図19に示すように、固定子枠12の多角形枠16は、水平に延びる上辺を有し、多角形の角部と角部を結ぶ対角線上に脚座18が設けられている。第2の実施形態では、図16ないし図19に示すように、固定子鉄心32の外周と円筒フレーム14との間、かつ固定子鉄心の軸方向幅の中央位置に、複数の制振部材64が設けられている。各制振部材64は、円弧状に延びる板材により形成され、内周側の側縁に沿って複数、例えば、3つの凹所64aが形成されている。固定子鉄心32の軸方向の厚さをTとした場合、制振部材64の板厚は、T/20程度に形成されている。そして、制振部材64は、各凹所64aにスペーサ36が嵌合した状態で、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14の内周面との間に挟まれている。
【0046】
複数の制振部材64は、回転電機10における水平軸X−Xに対してほぼ±30度の範囲、および鉛直軸Y−Yに対してほぼ角度±30度の範囲に、それぞれに介在するように配置されている。
【0047】
制振部材64を形成する振動減衰材料としては、減衰作用に優れたシリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。シリコン性材料は、−40〜+200℃という非常に幅広い温度範囲で防振効果を発揮できる。
【0048】
高分子粘弾性材料としては、天然ゴム、NBR、SBR、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素系ゴム等の合成ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリアミド等の熱硬化性樹脂等の振動損失係数の高い素材が挙げられる。
【0049】
更に、高分子粘弾性材料に形成する硬質被覆層には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化型または紫外線硬化等の高分子樹脂等が挙げられ、前記高分子粘弾性材料と同様に、求める形状や温度特性に合わせて選定ができる。
第2の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0050】
上記構成の回転電機において、固定子枠12を含む固定子鉄心32の共振領域では構造系の振動モードは定在波であり回転することなく、固定子鉄心32の特定の場所が常に振動の腹や節になる。円筒フレーム14においても特定の場所が常に振動の腹や節になる。この固定子鉄心32の振動の腹と円筒フレーム14の振動の腹には相対変位が生じる。この相対変位の生じる部分に制振部材64を介在させることにより、すなわち、振動モードの腹なる部分に制振部材64を設けることにより、振動減衰作用が最も大きくなり、円筒フレーム14など回転電機10の構造部材に伝わってしまった振動の振幅を減衰し、振動を抑制することができる。
【0051】
以上のことから、第2の実施形態によれば、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0052】
(第3の実施形態)
図20は、第3の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示している。
本実施形態によれば、分割固定子鉄心32を構成する分割板31間の継ぎ目37、39に制振材66が挿入されている。この制振材66は、少なくとも、回転電機における水平軸X−Xに対してほぼ±30度の範囲内に存在する継ぎ目、および鉛直軸Y−Yに対してほぼ±30度の範囲内に存在する継ぎ目に配置されている。制振材66は、全ての継ぎ目37、39に配置しても良い。制振材66としては、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。
第3の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0053】
上記構成の回転電機において、固定子鉄心32の振動モードの腹では、隣合う分割板31間に相対変位が生じる。この相対変位の生じる部分に制振材66を介在させ、振動モードの腹なる部分を振動減衰することにより、振動減衰作用が最も大きくなり、固定子鉄心の振動を抑制することができる。従って、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0054】
(第4の実施形態)
図20は、第4の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示している。
【0055】
本実施形態によれば、回転子の冷却ファンの冷却風の入り口部分に位置するスペーサ36に制振材68を被せ、全体の形状が翼形状となるように制振材を整形している。すなわち、制振材68は、冷却風の入り口側に丸みを持たせ、風の流れに沿って流線形としている。制振材68としては、前述した第2実施形態と同様に、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。第4の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0056】
固定子鉄心32の振動モードは定在波であり回転することなく、固定子鉄心の特定の場所が常に振動の腹や節になる。固定子鉄心と円筒フレームに相対変位が生じる部分に制振材66を介在させることにより、振動モードの腹なる部分に振動を減衰し、振動を抑制することができる。回転子の冷却ファンの冷却風の入り口におけるスペーサ36を制振材68によって翼形状に整形することにより、冷却風が固定子鉄心の中央までいきわたり、冷却作用が大きくなる。風の流れの乱れも無いことから通風騒音も小さくできる。
【0057】
以上のことから、第4の実施形態によれば、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0058】
(第5の実施形態)
図22は、第5の実施形態に係る回転電機の固定子枠およびスペーサを示している。
本実施形態によれば、固定子枠12の円筒フレーム14の側面に、複数の側面リブ24が固定されている。各側面リブ24に複数の凹所を設け、これらの凹所に制振材70がはめ込まれている。制振材70としては、前述した第2実施形態と同様に、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。第5の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0059】
上記構成によれば、側面リブ24により円筒フレーム14を補強するとともに、振動モードの腹なる部分に制振材70を介在させることにより、振動減衰作用が最も大きくなり、固定子枠12および固定子鉄心32の振動を抑制することができる。電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0060】
(第6の実施形態)
図23は、第6の実施形態に係る回転電機の固定子鉄心を示している。
本実施形態によれば、固定子鉄心32は、複数の分割板31を積層し継ぎ合わせた分割固定子鉄心として構成されている。固定子鉄心32のスロット33の内面と鉄心コイル34との間、(スロット内面と絶縁紙との間)、に制振材74が挿入されている。この制振材74は、少なくとも、回転電機における水平軸X−Xに対してほぼ±30度の範囲内に存在するスロット33、および鉛直軸Y−Yに対してほぼ±30度の範囲内に存在するスロット33内に配置されている。制振材74は、全てのスロット33に配置しても良い。制振材74としては、シリコン系材料、高分子粘弾性材料等を用いることがきる。
第6の実施形態において、回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一である。
【0061】
上記構成の回転電機において、固定子鉄心32の振動の腹となる部分では、固定子鉄心のスロット33と鉄心コイル(絶縁紙)との間に相対変位が生じる。この相対変位の生じる部分に制振材74を介在させ、振動モードの腹なる部分の振動を減衰することにより、振動減衰作用が最も大きくなり、固定子鉄心の振動を抑制することができる。これにより、電磁力の周波数の高周波数との固定子枠を含む固定子鉄心の構造系の振動数とが接近した場合においても、振動、騒音の発生を防止することができる。また、第1の実施形態と同様に、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0062】
前述した第2ないし第6の実施形態において、制振材料は、シリコン系材料、高分子系粘性材料、もしくはプラスチック系を用いることできる。制振材料の粘性係数は温度によって異なる。制振作用が最も効率よく作用する温度を選定して使用すると効果的である。つまり、回転電機の運転中において各部の温度が異なる。
【0063】
制振材料として用いられる高分子材料やゴムなどの粘弾性体の弾性係数((弾性、横弾性とも)は、温度Tと周波数Fの関数で示される。ある温度T0を規準温度に設定し、温度T1における弾性係数を縦軸に、周波数を横軸(対数軸)にとり、これを横軸方向に平行移動すると、基準温度T0における複素弾性係数と一致することが知られている。制振材料の制振の能力は損失係数で表され、大きいほうが良いが、その性能は温度依存性が強く、実用の際は、使用温度に適した制振材料を選択することが望ましい。
【0064】
前述した第2の実施形態において、固定子鉄心32の外側と円筒フレーム14との間の温度は、略40ないし100度であることから、制振材料としては、高分子系粘性材料、例えば、シリコン系もしくはゴム系を採用する。
【0065】
第3の実施形態では、分割鉄心の分割板間の継ぎ目の温度は、略60〜120度であることから、ここに設ける制振材66は、高分子系粘性材料、例えば、シリコン系を使用する。
【0066】
第4の実施形態において、冷却ファンの冷却風の入り口の温度は、略40〜60度であることから、この位置に設けられたスペーサ36に被せて配置する制振材68は、高分子系粘性材料もしくはプラスチック系、例えば、ゴム系を使用する。
【0067】
第5の実施形態において、側面リブ24の温度は略30〜50度であることから、この側面リブに設ける制振材は、高分子系粘性材料もしくはプラスチック系、例えば、ゴム系を用いる。
【0068】
第6の実施形態において、固定子鉄心32のスロット33と絶縁紙との間は、略120〜180度であることから、制振材74は、高分子系粘性材料、例えば、シリコン系を使用する。
【0069】
以上のように、設置場所の温度に応じて、制振材料を選択することにより、制振材の振動減衰能力を有効に発揮することができ、回転電機の振動、騒音を効果的に低減することができる。
【0070】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
この発明に係る回転電機は、昇降機の巻上げ機に限らず、種々の回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…回転電機、12…固定子枠、14…円筒フレーム、
16…フランジ部(多角形枠)、20、22…排気孔、24…側面リブ、
30…固定子、31…分割板、32…固定子鉄心、33…スロット、
34…鉄心コイル、35…冷却通風路、36…スペーサ、37、39…継ぎ目、
37…冷却通風路、40…回転子、42…回転軸、44…回転子鉄心、
50a、50b…冷却ファン、52…フィン、60a、60b…ファンカバー、
62a、62b…吸気口、64…制振部材、66、68、70、74…制振材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒フレームを有する固定子枠と、
円周方向に複数に分割された分割板を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記円筒フレーム内に同軸的に配置され、前記固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、
それぞれ前記分割板間の継ぎ目に重ねて前記固定子鉄心の外周面に固定され、前記固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、前記円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサと、
を備える回転電機。
【請求項2】
前記リブ状スペーサは、前記円筒フレームの内面側に開口する凹所を有し、この凹所は、前記冷却通風路に連通する通路を形成している請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記固定子枠は、前記円筒フレームの外周に設けられ多角形の外形を有する多角形枠と、前記多角形枠の角の位置で前記円筒フレームに形成され前記冷却通風路に開口した排気孔と、を備えている請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記リブ状スペーサは、前記固定子鉄心の軸方向に沿って延在し、前記固定子鉄心の軸方向に一列に並んだ継ぎ目のみと重なる幅に形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
円筒フレームを有する固定子枠と、
円周方向に複数に分割された分割板を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記円筒フレーム内に同軸的に配置され、前記固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、
それぞれ前記固定子鉄心の外周面に固定され、前記固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、前記円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサと、
前記固定子鉄心および固定子枠の振動モードの腹となる部分の範囲内で、前記固定子鉄心あるいは固定子枠に設けられ、振動を減衰する制振材と、
を備える回転電機。
【請求項6】
前記制振材は、円弧状の板材により形成され、前記固定子鉄心の外周と前記円筒フレームの内周との間に挟持されている請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記制振材は、前記固定子鉄心の隣合う分割板間の継ぎ目に挿入されている請求項5に記載の回転電機。
【請求項8】
前記固定子鉄心は、その内周面に形成され前記鉄心コイルが埋め込まれた複数のスロットを備え、前記制振材は、前記スロットの内面と前記鉄心コイルとの間に設けられている請求項5に記載の回転電機。
【請求項9】
前記回転子に設けられた冷却ファンを備え、
前記制振材は、冷却ファンの冷却風の入り口に位置する前記リブ状スペーサに被せて設けられ、翼形状に成形されている請求項5に記載の回転電機。
【請求項10】
前記固定子枠は、前記円筒フレームの側面部外周に固定された複数の補強リブを備え、
前記制振材は、前記補強リブに埋め込まれている請求項5に記載の回転電機。
【請求項11】
前記固定子枠は、前記円筒フレームの外周に設けられ多角形の外形を有する多角形枠を備え、前記制振材は、前記固定子鉄心の水平軸に対して±30度の範囲内、および、鉛直軸に対して±30度の範囲内で、前記固定子鉄心あるいは固定子枠に設けられている請求項5ないし10のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項1】
円筒フレームを有する固定子枠と、
円周方向に複数に分割された分割板を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記円筒フレーム内に同軸的に配置され、前記固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、
それぞれ前記分割板間の継ぎ目に重ねて前記固定子鉄心の外周面に固定され、前記固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、前記円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサと、
を備える回転電機。
【請求項2】
前記リブ状スペーサは、前記円筒フレームの内面側に開口する凹所を有し、この凹所は、前記冷却通風路に連通する通路を形成している請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記固定子枠は、前記円筒フレームの外周に設けられ多角形の外形を有する多角形枠と、前記多角形枠の角の位置で前記円筒フレームに形成され前記冷却通風路に開口した排気孔と、を備えている請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記リブ状スペーサは、前記固定子鉄心の軸方向に沿って延在し、前記固定子鉄心の軸方向に一列に並んだ継ぎ目のみと重なる幅に形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
円筒フレームを有する固定子枠と、
円周方向に複数に分割された分割板を継ぎ合わせて環状の金属板とし、この金属板を複数枚積層して構成された環状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心に取り付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記円筒フレーム内に同軸的に配置され、前記固定子鉄心の外周と円筒フレームの内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、
それぞれ前記固定子鉄心の外周面に固定され、前記固定子鉄心の外周方向に間隔を置いて設けられ、前記円筒フレームの内面に嵌合した複数のリブ状スペーサと、
前記固定子鉄心および固定子枠の振動モードの腹となる部分の範囲内で、前記固定子鉄心あるいは固定子枠に設けられ、振動を減衰する制振材と、
を備える回転電機。
【請求項6】
前記制振材は、円弧状の板材により形成され、前記固定子鉄心の外周と前記円筒フレームの内周との間に挟持されている請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記制振材は、前記固定子鉄心の隣合う分割板間の継ぎ目に挿入されている請求項5に記載の回転電機。
【請求項8】
前記固定子鉄心は、その内周面に形成され前記鉄心コイルが埋め込まれた複数のスロットを備え、前記制振材は、前記スロットの内面と前記鉄心コイルとの間に設けられている請求項5に記載の回転電機。
【請求項9】
前記回転子に設けられた冷却ファンを備え、
前記制振材は、冷却ファンの冷却風の入り口に位置する前記リブ状スペーサに被せて設けられ、翼形状に成形されている請求項5に記載の回転電機。
【請求項10】
前記固定子枠は、前記円筒フレームの側面部外周に固定された複数の補強リブを備え、
前記制振材は、前記補強リブに埋め込まれている請求項5に記載の回転電機。
【請求項11】
前記固定子枠は、前記円筒フレームの外周に設けられ多角形の外形を有する多角形枠を備え、前記制振材は、前記固定子鉄心の水平軸に対して±30度の範囲内、および、鉛直軸に対して±30度の範囲内で、前記固定子鉄心あるいは固定子枠に設けられている請求項5ないし10のいずれか1項に記載の回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−70450(P2013−70450A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205280(P2011−205280)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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