説明

回転駆動装置及び画像形成装置

【課題】遊星歯車機構の回転速度変動を低減できる回転駆動装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動源73と、駆動源73からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車54、太陽歯車54と同軸上で配設された内歯歯車58、内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車54と内歯歯車58とに噛み合う複数の遊星歯車55、及び、遊星歯車55を回転自在に支持するとともに太陽歯車54や内歯歯車58と同軸上で回転自在なキャリア60、からなる遊星歯車機構80と、を備えた回転駆動装置において、内歯歯車58は、金型14に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ17内に、遊星歯車55の数の非整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で金型14に設けられた複数のピンゲート20から溶融樹脂を射出することにより成形されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体を駆動する回転駆動装置、及び、その回転駆動装置を備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による複写機やプリンタ等では、回転する円筒状の像担持体(以下感光体ドラムという)の表面に静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させて現像し、このトナー画像を無端状ベルト(以下転写ベルトという)に一次転写し、さらに記録紙上に二次転写し、定着して画像を得るようにしている。
【0003】
画像形成装置には、感光体ドラム等の像担持体、中間転写ベルトや転写ベルト等のベルト部材を駆動する駆動ローラ、記録材等を搬送するための搬送ローラなど、多くの回転体が使用されている。このような回転体の駆動には、一般に高い精度が要求されるので、駆動源からの回転駆動力を回転変動が少ない状態で駆動対象の回転体まで伝達する機構が望まれる。特に、感光体ドラムや中間転写ベルトなどの表面移動速度に速度変動が生じると、出力された画像上にジッタや濃度ムラが生じる。すなわち、感光体ドラムや中間転写ベルトにある周波数で速度変動が継続すると画像全体に周期的な濃度ムラが生じ、縞模様のバンディングとして目視される。また、感光体ドラムの速度変動は書き込み系の露光ラインの副走査位置ずれを発生させたり、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー画像の一次転写時の副走査位置ずれを発生させたりする。一方、中間転写ベルトの速度変動は、一次転写時と二次転写時の副走査位置ずれを発生させる。この速度変動に起因したバンディングにより画像品質が著しく低下してしまう。
【0004】
このような高精度駆動が要求される感光体ドラムや中間転写ベルトの駆動伝達部には、溶融樹脂を射出することに成形されたプラスチック歯車が利用されている。プラスチック歯車は金属歯車に比べて、自己潤滑性があり、使用時の騒音が低く、軽量化を図ることができ、耐腐食性が高く、量産性が高い点で優れている。一方、耐久性(耐摩耗性)、高精度、高剛性といった点が金属歯車に比べて劣っている。
【0005】
プラスチック歯車を用いた場合でも十分な耐久性が得られるように、遊星歯車機構を用いることが提案されている(例えば特許文献1など)。遊星歯車機構は、駆動源の回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車と、内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車と内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、遊星歯車を回転可能に支持するとともに太陽歯車及び内歯歯車と同軸上で回転可能なキャリアとを備えている。駆動源からの回転駆動力により太陽歯車を回転させることにより、太陽歯車を中心として複数の遊星歯車が内歯歯車内で自転しつつキャリアを回転させながら公転する。そして、このキャリアの回転による回転駆動力がキャリアと回転体とに接続された出力軸を介して回転体に伝達される。そのため、複数の遊星歯車により回転負荷が分散されるので、プラスチック歯車を用いた場合でも耐久性を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プラスチック歯車の製造方法としては金型に溶融樹脂を射出して成形する方法が知られている。この射出成形で内歯歯車の製造の際に用いる金型は、上型と下型とから構成され、上型の空隙部と下型の空隙部とに挟まれた部分にキャビティが形成されている。キャビティは内周側に歯車の歯部形状が形成された円筒状の空隙であり、このキャビティ内に溶融樹脂が射出されて冷却固化されることにより内歯歯車が成形される。また、上型には、溶融樹脂をキャビティ内に射出するための複数個のピンゲートが円筒状のキャビティの円周方向に等間隔で形成されている。このように複数個のピンゲートをキャビティの円周方向に等間隔で形成することで、各ピンゲートからキャビティ内に溶融樹脂を均等に射出することが可能となる。
【0007】
キャビティ内に射出された溶融樹脂は、各ピンゲートを中心にして放射状に広がるので、ピンゲートからキャビティ内に射出された溶融樹脂の到達タイミングはピンゲートの位置から離れるほど遅くなる。そのため、隣り合うピンゲートそれぞれから溶融樹脂が到達する、隣り合うピンゲートの中間位置付近の前記歯部形状の箇所では溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなり、成形された内歯歯車の歯部形状に変形が発生する場合がある。このように内歯歯車の歯部形状に変形が発生すると、その箇所での遊星歯車と内歯歯車との噛み合い不良による回転伝達誤差により遊星歯車機構に回転速度変動が生じる。よって、駆動源からの回転駆動力を回転変動が少ない状態で駆動対象の回転体まで伝達するのが困難となる。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、遊星歯車機構の回転速度変動を低減できる回転駆動装置、及び、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動源と、前記駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車、前記太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車、前記内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車、及び、前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリア、からなる遊星歯車機構と、を備え、前記駆動源からの回転駆動力を前記遊星歯車機構により減速させて、画像形成装置で使用される回転体を駆動する回転駆動装置において、前記内歯歯車は、金型に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、前記遊星歯車の数の非整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより成形されたものであることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の回転駆動装置において、上記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ凹み部を形成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の回転駆動装置において、上記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ固定用取り付け部を一体成形したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の回転駆動装置において、上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、前記固定用取り付け部の位置は、一段目の遊星歯車と内歯歯車との噛み合い領域と、二段目の遊星歯車と内歯歯車の噛み合い領域の間の噛み合い領域外であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の回転駆動装置において、上記モータと上記遊星歯車機構はフランジを介してネジ部材にて固定されており、上記内歯歯車の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ固定用ネジ挿入部を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の回転駆動装置において、上記固定用ネジ挿入部の位置は、遊星歯車と内歯歯車との噛み合い領域外であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1または2の回転駆動装置において、上記モータと上記遊星歯車機構はフランジを介して固定ピンにて固定されており、上記内歯歯車の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ固定用ピン挿入部を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の回転駆動装置において、上記固定用ピン挿入部の位置は、遊星歯車と内歯歯車との噛み合い領域外であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の回転駆動装置において、装置本体に対する上記内歯歯車の回り止め部材を、上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ前記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で配置して設けたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の回転駆動装置において、上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ上記内歯歯車の内部の円周方向に等間隔でリブを配置して設けたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、駆動源と、前記駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車、前記太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車、前記内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車、及び、前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリア、からなる遊星歯車機構と、を備え、前記駆動源からの回転駆動力を前記遊星歯車機構により減速させて、画像形成装置で使用される回転体を駆動する回転駆動装置において、前記内歯歯車は、金型に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、前記遊星歯車の数の整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で配置されていない、前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより成形されたものであることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の回転駆動装置において、装置本体に対して上記内歯歯車を固定させて取り付ける固定用取り付け部を、上記遊星歯車の数の整数倍の数だけ前記内歯歯車の円周方向に等間隔で配置せずに設けたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11または12の回転駆動装置において、装置本体に対する上記内歯歯車の回り止め部材を、上記遊星歯車の数の整数倍の数だけ前記内歯歯車の円周方向に等間隔で配置せずに設けたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項11、12または13の回転駆動装置において、上記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で配置せずに、上記遊星歯車の数の整数倍の数だけリブを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の回転駆動装置において、上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に駆動源側が一段目であり回転体側が二段目となるように二段で構成されており、上記遊星歯車の数は二段目の遊星歯車の数であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の回転駆動装置において、上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、上記遊星歯車の数は、前記内歯歯車の軸方向で上記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出された側の段にある遊星歯車の数であることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の回転駆動装置において、上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、一段目のキャリアと二段目の太陽歯車とは、金型に形成されたキャビティ内に前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより一体で成形されたものであり、二段目の遊星歯車の数は一段目の遊星歯車の数に対して非整数倍であることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17の回転駆動装置において、上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、一段目のキャリアと二段目の太陽歯車とは、金型に形成されたキャビティ内に、二段目の遊星歯車の数の非整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより一体で成形されたものであることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項18の回転駆動装置において、上記二段目の太陽歯車の外周面に設けられた歯部よりも半径方向内側で円周方向に、等間隔で上記二段目の遊星歯車の数の非整数倍の数だけ凹み部を形成したことを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項18または19の回転駆動装置において、上記二段目の太陽歯車の外周面に設けられた歯部よりも半径方向内側で円周方向に、等間隔で上記二段目の遊星歯車の数の非整数倍の数だけリブ形状を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項17、18、19または20の回転体駆動装置において、上記一段目のキャリアの一部と上記二段目の太陽歯車とが一体で成形されており、前記一段目のキャリアが上記一段目の遊星歯車の回転軸の両端を支持することを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項17、18、19または20の回転体駆動装置において、上記一段目のキャリアの全体と上記二段目の太陽歯車とが一体で形成されており、前記一段目のキャリアが上記一段目の遊星歯車の回転軸の両端を支持することを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、請求項22の回転体駆動装置において、上記内歯歯車は一段目と二段目とが一体で成形されていることを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、回転体を備えた画像形成装置において、前記回転体を駆動する回転駆動手段として、請求項1乃至23の回転駆動装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項24の画像形成装置において、上記回転体は感光体ドラムであることを特徴とするものである。
また、請求項26の発明は、請求項24の画像形成装置において、上記回転体は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラとであることを特徴とするものである。
また、請求項27の発明は、請求項24の画像形成装置において、上記回転体である像担持体と、現像手段、帯電手段及びクリーニング手段の少なくとも一つとが一体形成された、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを有しており、上記回転駆動装置を前記像担持体の駆動に用いたことを特徴とするものである。
【0010】
上述したように、円筒状のキャビティの円周方向に等間隔で金型に設けられた複数のピンゲートの隣り合うピンゲートの中間付近に位置する歯部形状の箇所での溶融樹脂の充填不足により、その箇所に対応した内歯歯車の歯部形状に変形が生じる。このことから、金型に設けられたピンゲートの数と同じ数だけ内歯歯車の円周方向にほぼ等間隔で歯部形状に変形が生じることになる。よって、前記ピンゲートの数が内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設される遊星歯車の数の整数倍であると、その金型で成形された内歯歯車内でキャリアが1回転する間に各遊星歯車がほぼ同じタイミングで内歯歯車の歯部形状の変形箇所に位置する。そのため、キャリアが1回転する間に遊星歯車と内歯歯車との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車で同じタイミングで発生し大きな回転速度変動となる。
【0011】
請求項1の発明においては、金型に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、遊星歯車の数の非整数倍の数だけ金型にキャビティの円周方向で等間隔に設けた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出して成形された内歯歯車を用いる。これにより、キャリアが1回転する間に各遊星歯車が内歯歯車の歯部形状の変形箇所に位置するタイミングを異ならせることができる。よって、キャリアが1回転する間に遊星歯車と内歯歯車との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車で同じタイミングで発生するのを抑制でき回転速度変動を低減させることができる。
【0012】
請求項11の発明においては、金型に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、遊星歯車の数の整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で配置されていない、複数のピンゲートから溶融樹脂を射出して成形された内歯歯車を用いる。これにより、キャリアが1回転する間に各遊星歯車が内歯歯車の歯部形状の変形箇所に位置するタイミングを異ならせることができる。よって、キャリアが1回転する間に遊星歯車と内歯歯車との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車で同じタイミングで発生するのを抑制でき回転速度変動を低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によれば、遊星歯車機構の回転速度変動を低減できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】遊星歯車機構の平面図。
【図2】実施形態に係るプリンタの一例における画像形成部全体の概略構成図。
【図3】感光体駆動装置の概略構成図。
【図4】遊星歯車減速機構の2段構成を示す縦断面の模式図。
【図5】一段目の横断面模式図。
【図6】金型の構造を示す縦断正面図。
【図7】成形されたプラスチック成形品の固定内歯歯車を示す平面図。
【図8】固定ピンを用いた固定方法の説明図。
【図9】遊星歯車減速機構の2段構成を示す縦断面の模式図。
【図10】遊星歯車3個で固定内歯歯車誤差3周期の場合の遊星歯車減速機の出力軸の回転速度変動率を周波数解析した結果を示すグラフ。
【図11】遊星歯車3個で固定内歯歯車誤差4周期の場合の遊星歯車減速機の出力軸の回転速度変動率を周波数解析した結果を示すグラフ。
【図12】遊星歯車4個で固定内歯歯車誤差4周期の場合の遊星歯車減速機の出力軸の回転速度変動率を周波数解析した結果を示すグラフ。
【図13】遊星歯車4個で固定内歯歯車誤差3周期の場合の遊星歯車減速機の出力軸の回転速度変動率を周波数解析した結果を示すグラフ。
【図14】遊星歯車減速機構の2段構成を示す縦断面の模式図。
【図15】遊星歯車減速機構の一段目の横断面模式図。
【図16】遊星歯車減速機構付き駆動装置である感光体駆動装置を示した図。
【図17】(a)一段目のキャリアの一部と二段目の太陽歯車とを一体成形した一体成形品を示した図、(b)一段目のキャリアの全体と二段目の太陽歯車とを一体成型した一体成形品を示した図。
【図18】金型の構造を示す縦断正面図。
【図19】成形されたプラスチック成形品の平面図。
【図20】(a)二段目の太陽歯車と遊星歯車との噛み合い状態を示した図、(b)二段目の太陽歯車と遊星歯車との噛み合い状態を示した図。
【図21】感光体駆動装置の斜視図。
【図22】感光体駆動装置の断面図。
【図23】遊星歯車減速機構の一段目の模式図。
【図24】遊星歯車減速機構の二段目の模式図。
【図25】ジョイントの構成を示す図。
【図26】ジョイントの他の構成を示す図。
【図27】(a)固定内歯歯車の正面図、(b)固定内歯歯車の側面図。
【図28】固定内歯歯車を樹脂で成形する際のピンゲートを4つにした際の例を示す図。
【図29】4角形形状に変形した固定内歯歯車の模式図。
【図30】固定内歯歯車と遊星歯車との噛み合いなどについて説明する図。
【図31】図30に示した固定内歯歯車に対する各遊星歯車の位置から遊星歯車を90度回転させた場合における、固定内歯歯車と遊星歯車との噛み合いなどについて説明する図。
【図32】キャリアの回転角度と駆動負荷との相関を示すグラフ。
【図33】樹脂成形された固定内歯歯車の斜視図。
【図34】ピンゲートの数のみを一段目の遊星歯車の数と同じ3個として円周方向に等配置していない固定内歯歯車の斜視図。
【図35】ピンゲート、回り止め形状及び固定部材締結形状の数を一段目の遊星歯車の数と同じ3個とし円周方向に等配置していない固定内歯歯車の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態1]
本発明の実施対象となる画像形成装置である電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態のプリンタは、いわゆるタンデム式の画像形成装置であって、乾式二成分現像剤を用いた乾式二成分現像方式を採用したものであるが、本発明はこれに限定されない。
【0016】
図2は、プリンタの一例における画像形成部全体の概略構成図である。このプリンタは、図示しない画像読取部から画像情報である画像データを受け取って画像形成処理を行う。
【0017】
このプリンタには図2に示すように、イエロー(以下、「Y」と省略する)、マゼンタ(以下、「M」と省略する)、シアン(以下、「C」と省略する)、ブラック(以下、「Bk」と省略する)の各色用の4個の回転体としての潜像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkが並設されている。
【0018】
これら感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、駆動ローラを含む回転可能な複数のローラに支持された無端ベルト状の中間転写ベルト5に接触するように、そのベルト移動方向に沿って並んで配置されている。
【0019】
また、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkの周りには、それぞれ、帯電器2Y,2M,2C,2Bk、各色対応の現像装置9Y,9M,9C,9Bk、クリーニング装置4Y,4M,4C,4Bk、除電ランプ3Y,3M,3C,3Bk等の電子写真プロセス用部材がプロセス順に配設されている。また、感光体ドラム1、帯電器2、除電ランプ3、クリーニング装置4及び現像装置9は、プリンタ本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体形成されている。
【0020】
本実施形態のプリンタでフルカラー画像を形成する場合、感光体ドラム1Yを回転駆動しながら帯電器2Yで一様帯電した後、図示しない光書込装置からの光ビームLYを照射して感光体ドラム1Y上にY静電潜像を形成する。このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーにより現像される。現像時には、現像装置9Yに設けられた現像ローラと感光体ドラム1Yとの間に所定の現像バイアスが印加され、現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム1Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。
【0021】
このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム1Yの回転に伴い、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが接触する一次転写位置に搬送される。この一次転写位置において、中間転写ベルト5の裏面には、一次転写ローラ6Yにより所定のバイアス電圧が印加される。そして、このバイアス印加によって発生した一次転写電界により、感光体ドラム1Y上のYトナー像を中間転写ベルト5側に引き寄せ、中間転写ベルト5上に一次転写する。
【0022】
以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像も、中間転写ベルト5上のYトナー像に順次重ね合うように一次転写される。
【0023】
そして、中間転写ベルト5上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト5の回転に伴い、二次転写ローラ7と対向する二次転写位置に搬送される。また、この二次転写位置には、図示しないレジストローラにより所定のタイミングで転写紙が搬送される。
【0024】
そして、この二次転写位置において、二次転写ローラ7により転写紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加され、そのバイアス印加により発生した二次転写電界及び二次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト5上のトナー像が転写紙上に一括して二次転写される。その後、トナー像が二次転写された転写紙は、定着ローラ対8により定着処理がなされた後に装置外に排出される。
【0025】
次に、減速手段としての遊星歯車減速機構を備える駆動手段としての減速機構付き回転駆動装置である感光体駆動装置について図3で説明する。なお、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、同一構成の感光体駆動装置により回転駆動されているので、以下、感光体ドラム1Yの感光体駆動装置について説明する。
【0026】
なお、本実施形態の感光体駆動装置の構成は、感光体ドラム1のほか、中間転写ベルト5の駆動ローラなど、他の回転体の駆動装置としても同様に適用することができる。
【0027】
ここで、遊星歯車減速機構として一般的な2KH型2段遊星歯車減速機構の基本構成を説明する。図4は減速機構の2段構成を示す縦断面の模式図であり、図5は一段目の減速機構の横断面模式図である。
【0028】
2KH型遊星歯車機構の一つのユニットは、太陽歯車、遊星歯車、遊星歯車の公転運動を支持するキャリア、内歯歯車の部品から構成される。
【0029】
太陽歯車の回転、遊星歯車の公転(キャリアの回転)、外輪歯車の回転の三つの要素の内、一つを固定、一つを入力、一つを出力に接続する。 それぞれ、どれを入出力・固定に割り当てるかによって、一つのユニットで複数の減速比や回転方向の切替えが可能である。
【0030】
今回の対象となる2KH型の2段構造は、複合遊星歯車機構(2個以上の2KH型)に分類され、2個以上の2KH型のそれぞれの3本の基本軸のうち2本の基本軸同士を結合し、残りの基本軸の1本を固定し、他の1軸を駆動軸または従動軸とする機構となる。
【0031】
本実施形態においては、図4に示すように、駆動源であるモータ(不図示)に連結される入力軸50の一端には、一段目の太陽歯車54が設けられており、それに噛み合う一段目の遊星歯車55が太陽歯車54の周りを一段目のキャリア60の軸64に軸受59で回転可能に支持されて公転する。遊星歯車55は回転バランスとトルク分担のために同心状に2箇所またはそれ以上の複数個が等間隔で配置される。例えば、図5(a)は固定内歯歯車58内に遊星歯車55を同心状に等間隔で3個配置した場合であり、図5(b)は固定内歯歯車58内に遊星歯車55を同心状に等間隔で4個配置した場合である。
【0032】
本実施形態においては図5(a)に示すように一段目の遊星歯車55を同心状に等間隔で3個配置しており、その外周軌道では固定内歯歯車58と噛み合って回転する。固定内歯歯車58は回転不能に固定化されている。一段目の3個の遊星歯車55は太陽歯車54と固定内歯歯車58との噛み合いにより自転及び公転回転し、それら遊星歯車55を支持する一段目のキャリア60は一段目の太陽歯車54の回転に対し減速回転し、一段目の減速比が獲得される。
【0033】
また、図4に示すように一段目のキャリア60の回転中心に設けられた二段目の太陽歯車57が二段目の減速機構の入力となる。二段目の太陽歯車57は、若干のクリアランスを有する2箇所の回転支持部に支持されて(浮動支持)回転を行う。
【0034】
一段目の減速機構と同様に、二段目のキャリア61に設けられた二段目の3個の遊星歯車56は、その外周軌道で、前記した一段目の減速機構と共通の固定化された固定内歯歯車58との噛み合い回転により、さらに減速回転して二段目のキャリア61の回転すなわち出力軸51の回転となる。
【0035】
ここで、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZcとした2KH型遊星歯車機構において、太陽歯車の回転を入力とし、内歯車を固定、キャリアの回転(遊星歯車の公転)を出力とした場合、その速比(出力/入力)は数1のようになる。なお、添え字1や添え字2はそれぞれ一段目や二段目の意味を示す。
【0036】
【数1】

【0037】
内歯歯車が振動するとバンディング現象が発生しやすいため、内歯歯車はフランジに対して、運転時トルクで回転しないようにすることや、噛み合い振動やモータ振動が伝播して高次の振動が起こらないように確実に固定されることが必要である。
【0038】
また、運転時の歯噛み合い低振動化のために、平歯車よりハス歯歯車を使用することが望ましい。ハス歯にすることで、噛み合い率が増加して分担荷重が減少するとともに、順次なめらかな移動が行われるという利点が得られる。反面、ハス歯歯車の噛み合いでは、スラスト方向のベクトル力が発生するため、内歯がスラスト方向に移動する虞があり、このスラスト方向への移動に対して規制を行う必要がある。
【0039】
図4では、入力軸50や出力軸51はそれぞれフランジ52やエンドキャップ53に設置された軸受90や軸受91にてスラスト方向の移動が規制される。また、一段目のキャリア60のスラスト方向への移動を規制するために、一段目の太陽歯車54の軸の先端が一段目のキャリア60の中心の回転支持部62に接触し、二段目の太陽歯車57の軸の先端が二段目のキャリア61の中心の回転支持部63に接触してスラスト方向の支持する構成としている。また、回転支持部62,63での回転摩擦損失を低減するために、一段目の太陽歯車54の軸の先端や二段目の太陽歯車57の軸の先端には球面処理を施している。
【0040】
感光体ドラム1の駆動にこの減速機構を用いた場合、発生する画像のバンディングから許容される速度許容は0〜200[Hz]帯域において、おおむね±0.3[%P−P]以下の高精度運転が要求され、一般的な位置決め用途の遊星歯車減速機構に比べれば1桁高い値となる。
【0041】
図3に示すように、感光ドラム1の軸方向の端部には、その感光体ドラム1を回転支持するドラム軸78が固定されている。このドラム軸78は、プリンタの本体側板76の軸受77によって回転自在に支持されており、副側板74に支持される遊星歯車減速機構80の出力軸51の回転力がジョイント75を介して伝達されるように構成されている。また、このジョイント75は、感光体ドラム1の交換を可能にするため、ドラム軸78の着脱が容易な構成となっている。
【0042】
遊星歯車減速機構80の固定内歯歯車58は、固定ネジ70によりフランジ52に対して回転不能に固定されており、フランジ52の固定内歯歯車58が固定された側の反対側には感光体ドラム1を駆動するための駆動源であるモータ73が固定されている。このような構成にすることで、フランジ52によって固定内歯歯車58はモータ回転に対して回転不能に固定される。
【0043】
また、このように、固定内歯歯車58をモータ73に対して回転不能に固定すると同時に、遊星歯車減速機構80をプリンタ本体に固定する必要がある。そのため、本実施形態では、固定内歯歯車58と一体成形され外周上に複数設置された固定ホルダー25を介して本体機構固定ネジ71により遊星歯車減速機構80を副側板74に固定している。
【0044】
また本実施形態においては、固定ネジ70の挿入部や固定ホルダー25を、遊星歯車と固定内歯歯車58との噛み合い領域外に設置している。すなわち、本実施形態のように2KH型2段構成の場合では、図4に示すように固定ホルダー25を、一段目の遊星歯車55と固定内歯歯車58との軸方向での噛み合い領域外、且つ、二段目の遊星歯車56と固定内歯歯車58との軸方向での噛み合い領域外、である領域Fの円筒状本体26の外周面に設置している。また、固定ネジ70の挿入領域を、一段目の遊星歯車55と固定内歯歯車58との軸方向での噛み合い領域に達しないように限定している。
【0045】
このように、遊星歯車55,56と固定内歯歯車58との噛み合い領域外に、固定ホルダー25の設置位置や固定ネジ70の挿入位置を設定することで、固定ホルダー25の設置位置や固定ネジ70の挿入位置に起因する後述するような固定内歯歯車58の変形が減速機構の回転変動に与える影響を最小限にすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、固定ホルダー25の数や固定ネジ70の数を、遊星歯車55や遊星歯車56などの遊星歯車の個数の非整数倍数としている。例えば、一段目と二段目それぞれの遊星歯車の数が3個の場合、固定ホルダー25や固定ネジ70の数は、内歯円周方向に等間隔で4箇所設ける。言い換えれば、円筒状本体26の外周面に円周方向で等間隔に配置された固定ホルダー25の数と、固定ネジ70による固定内歯歯車58のフランジ52への固定箇所とを、遊星歯車個数3の非整数倍である4としている。このように固定ホルダー25や固定ネジ70の設置個数を遊星歯車55,56の個数の非整数倍数にすることで、ネジ締結による歪み変形やフランジ勘合時の歪み変形の箇所を、円筒状本体26の円周方向において遊星歯車の個数に対して非整数倍にしている。これにより、遊星歯車機構特有の相殺効果が働き、固定ホルダー25や固定ネジ70の設置に起因する固定内歯歯車58の変形が生じても回転変動への影響を低減することが可能である。
【0047】
さらに、固定内歯歯車58の樹脂成形において、外周面に形成される補強リブの数や、固定内歯歯車58の外周面にひけ形成によって生じる凹凸形状の数、金型への樹脂導入部であるピンゲートの数を、同様に固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で非整数倍数としている。なお、固定内歯歯車58の樹脂成形の詳細については後述する。
【0048】
次に、溶融樹脂の射出成形による固定内歯歯車58の製造方法と、成形された固定内歯歯車58について説明する。図6は固定内歯歯車58を成形する際に用いる金型14の構造を示す縦断正面図であり、図7は金型14を用いて成形されたプラスチック成形品である固定内歯歯車58を示す平面図である。
【0049】
金型14は、固定式の上型15と可動式の下型16とから構成され、上型15の空隙部と下型16の空隙部とに挟まれた部分にキャビティ17が形成されている。キャビティ17は円筒状に形成された空隙であり、このキャビティ17内に溶融樹脂が射出されて冷却固化されることにより円筒状プラスチック成形品である固定内歯歯車58が成形される。
【0050】
上型15には、溶融樹脂が供給される流路19と、流路19内を供給された溶融樹脂がキャビティ17内に射出される複数個のピンゲート20とが形成されている。
【0051】
上型15と下型16とにはそれぞれキャビティ17内に連通される複数個の連通孔21が形成されている。これらの連通孔21は、圧縮気体供給源22に接続されている。連通孔21の内径寸法、より詳しくは、連通孔21におけるキャビティ17に開口する部分の内径寸法は、0.001[mm]〜0.5[mm]としている。
【0052】
図7は、金型14で形成された円筒状プラスチック成形品である固定内歯歯車58を示すもので、この固定内歯歯車58は、円筒状本体26と、円筒状本体26の内周側に形成されてキャビティ17の内周側端部に形成されているギヤの歯部形状が転写された転写部である内周側転写部24と、円筒状本体26の外周側に形成されてキャビティ17の外周側端部に形成されている外周側転写部である固定ホルダー25とから構成されている。
【0053】
円筒状本体26の外側の側面部には、連通孔21からキャビティ17内に圧縮気体が供給されることにより形成された複数個の引け凹部27が等間隔で放射状に配列して形成されている。
【0054】
なお、図7に示した符号20aは、キャビティ17内へ溶融樹脂の射出が行われたピンゲート20の痕跡を示したものである。
【0055】
上述した金型14を用いて行われる固定内歯歯車58の成形時においては、溶融樹脂が流路19内を流れて供給され、この溶融樹脂がピンゲート20からキャビティ17内に射出される。キャビティ17内に射出された溶融樹脂は、各ピンゲート20を中心にして放射状に広がる。このため、キャビティ17内に射出された溶融樹脂がキャビティ17の外周側端部や内周側端部に到達するタイミングにバラツキが生じる。そして、キャビティ17の外周側端部や内周側端部における溶融樹脂の到達タイミングが遅い箇所では、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる。
【0056】
このような円筒状のキャビティ17の円周方向に等間隔で金型14に設けられた複数のピンゲート20の隣り合うピンゲート20の中間付近に位置する歯部形状の箇所での溶融樹脂の充填不足により、その箇所に対応した固定内歯歯車58の歯部形状の内周側転写部24に変形が生じる。このことから、金型14に設けられたピンゲート20の数と同じ数だけ固定内歯歯車58の円周方向にほぼ等間隔で歯部形状の内周側転写部24に変形が生じることになる。よって、ピンゲート20の数が固定内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設される遊星歯車55の数の整数倍であると、その金型14で成形された固定内歯歯車58内でキャリア60が1回転する間に各遊星歯車55がほぼ同じタイミングで固定内歯歯車58の歯部形状の内周側転写部24の変形箇所に位置する。そのため、キャリア60が1回転する間に遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車55で同じタイミングで発生し大きな回転速度変動となる。
【0057】
本実施形態においては、金型14のキャビティ17内に、遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ金型14にキャビティ17の円周方向で等間隔に設けた複数のピンゲート20から溶融樹脂を射出して成形された固定内歯歯車58を用いる。これにより、キャリア60が1回転する間に各遊星歯車55が固定内歯歯車58の歯部形状の内周側転写部24の変形箇所に位置するタイミングを異ならせることができる。よって、キャリア60が1回転する間に遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車55で同じタイミングで発生するのを抑制でき回転速度変動を低減させることができる。
【0058】
なお、ここではピンゲート20の数を一段目の遊星歯車55の数の非整数倍にすることについて説明したが、当然ながら二段目の遊星歯車56においても、溶融樹脂の充填不足による固定内歯歯車58の歯部形状の内周側転写部24の変形に起因する噛み合い不良によって回転伝達誤差が生じるので、ピンゲート20の数を二段目の遊星歯車56の数の非整数倍にする。
【0059】
また、図7に示されたように円筒状本体26のピンゲート痕跡20a(すなわち、成形時にピンゲート20に対向した位置)が設置された場合、隣接する2本のピンゲート20の略中央部に位置して引け凹部27が形成されている。
【0060】
非転写面となる引け凹部27が、歯部形状が転写された内周側転写部24に発生しないように以下の方法が採用されている。
【0061】
キャビティ17内に射出された溶融樹脂は時間の経過とともに冷却固化され、この冷却固化される過程で樹脂圧力が所定の値になったとき、圧縮気体供給源22を駆動させ、円筒状本体26の側面部に対向して形成されている連通孔21からキャビティ17内へ圧縮気体を吹き付ける。この圧縮気体の吹き付けにより、円筒状本体26の側面部における連通孔21に対向している部分には引け凹部27が形成される。
【0062】
このような引け凹部27が形成されることにより、この引け凹部27の容積に相当する量の溶融樹脂がキャビティ17の外周側端部や内周側端部に追加して充填される状態となる。そして、この引け凹部27が形成される位置が、隣接する2本のピンゲート20の略中央部であってキャビティ17内に射出された溶融樹脂がキャビティ17の外周側端部や内周側端部に到達するタイミングが遅れるとともに溶融樹脂の充填量が不足ぎみになる箇所に対応する位置であるので、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる箇所に溶融樹脂が追加して充填される状態となる。
【0063】
これにより、キャビティ17の外周側端部や内周側端部に充填される溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一にすることができ、円筒状本体26の外周側転写部である固定ホルダー25や内周側転写部24の歯部形状に波形の凹凸が発生することを防止でき、内周側転写部24や固定ホルダー25の成形精度が高い固定内歯歯車58を得ることができる。
【0064】
なお、圧縮気体供給源22の駆動タイミングや出力を調節することにより、圧縮気体の付与量と付与タイミングとを適宜調節することができ、それによって、引け凹部27の形成領域や深さを調節することができる。このため、引け凹部27の容積を調節することができ、キャビティ17の外周側端部や内周側端部へ追加して充填される状態となる溶融樹脂の量を調節することができる。そして、この調節によって円筒状本体26の外周側転写部である固定ホルダー25や内周側転写部24に波形の凹凸が発生することをより確実に防止でき、固定ホルダー25や内周側転写部24の成形精度がより高い固定内歯歯車58を得ることができる。
【0065】
また、連通孔21の内径寸法が0.001[mm]〜0.5[mm]と小さいので、キャビティ17内へ射出された溶融樹脂の連通孔21への入り込みが発生せず、溶融樹脂が連通孔21内に入り込むことが原因となるバリの発生が防止される。
【0066】
本実施形態では、円筒状本体26の円周方向に配置されたピンゲート20の数を遊星歯車の個数3の非整数倍である8としている。また、引け凹部27の発生箇所を、円筒状本体外周面の円周方向で遊星歯車の個数3の非整数倍である8箇所としている。これは、転写部は高精度に成形されるものの、若干の転写不良や、円筒状部材全体としては厚みが不均一となるために生じる成形後の歪み変形を、円筒状本体26の円周方向において、遊星歯車の個数に対して非整数倍とするためである。
【0067】
固定内歯歯車58の外周面にネジ止め用の固定ホルダー25やハウジング勘合用の突起部を複数個、張り出すように設置した形状を射出成形により、一体成形すると、円周方向にわたり厚みが不均一となるために固定内歯歯車58に歪みが生じる。
【0068】
円周方向にわたり厚い部分と薄い部分とは5[mm]〜10[mm]程度の差があるため射出成形後の冷却時間に差が生じ、厚い部分と薄い部分の曲率に差が生じる。この曲率差やそれによる固定内歯歯車58の歪みは樹脂特性や周辺温度や温度分布条件などで著しく変動するため、一概に歪み形状を示すことはできないが、ネジ止め用の固定ホルダー25やハウジング勘合用の突起部の個数が3の場合は、真円からおむすび形状に歪み、個数が4の場合は、正方形に歪むことが多い。
【0069】
このような肉厚の違いによる固定内歯歯車58の歪み変形を避けるために、射出成形後の冷却をゆっくり時間をかける対策が考えられる。しかしながら、冷却時間をかけることで成形精度は向上するが、成形サイクルが長くなりコスト高となる。そのため、量産性とコスト面とを考えると、固定内歯歯車58にある程度の歪みが生じることは避けられない。
【0070】
また、固定内歯歯車58に要求される精度は、歯車精度等級で、(新JIS4級)又はそれ以上であり、精度確保とともに噛み合い振動を低減する狙いから、ヤング率が金属またはエンジニアリングプラスチックより低い適正値であり、かつ粘性のある樹脂材料を選択してこれの成型品によって行う。
【0071】
高精度な樹脂成型の条件を満たすためには、成型時の流動性を良くするために小型で、極力異形でない形状とすること、部分的な収縮変形を起こさせないために偏肉部を設けないことが重要である。
【0072】
一方、この様に高精度に成型加工された固定内歯歯車58は肉厚も薄くなり、組み付け及び運転時には、外力に対して応力変形を受けやすい構造である。そのため、ネジ締結やカシメ等による機械的応力を直接作用させることで円筒状本体26の円周方向で変形が発生し、その変形により運転時の回転精度の劣化につながる。
【0073】
仮に、回転精度の劣化の一つとして、それに起因する変動が1秒間にN回発生するものとすると、プリント速度V[mm/s]で出力される画像では、V/N[mm]の周期で発生し、これが濃淡として認識され(バンディング現象)、知覚的には大変見苦しいものとなる。
【0074】
そのため、本実施形態では、円筒状本体26の円周方向に配置された固定ホルダー25の数を、一段目の遊星歯車の個数と二段目の遊星歯車それぞれの個数3の非整数倍である4としている。これは、固定内歯歯車58の成形時の歪み変形を固定内歯歯車58の円周方向において、一段目の遊星歯車55の個数と二段目の遊星歯車56それぞれの個数に対して非整数倍の4箇所とするためである。これにより、キャリア60が1回転する間に3個の遊星歯車55それぞれが固定内歯歯車58の歪み変形箇所に位置するタイミングや、キャリア61が1回転する間に3個の遊星歯車56それぞれが固定内歯歯車58の歪み変形箇所に位置するタイミングを異ならせることができる。よって、キャリア60,61が1回転する間に遊星歯車55,56と固定内歯歯車58との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車で同じタイミングで発生するのを抑制でき回転速度変動を低減させることができる。
【0075】
[変形例]
固定ホルダー25や固定ネジ70を用いた固定方法の他に、固定ピン79を用いた固定方法を図8、図9で説明する。
【0076】
遊星歯車減速機構81において、固定内歯歯車58のモータ73側外周面には複数の固定ピン79を挿入する挿入孔が円周方向に等間隔で複数設けられており、フランジ92側にも固定ピン79を挿入する挿入穴が固定内歯歯車58に設けられた前記挿入孔と連通するように対応付けられて複数設けられている。固定内歯歯車58の外周面側から固定内歯歯車58の前記挿入孔とフランジ92の前記挿入穴とに固定ピン79を挿入することで固定内歯歯車58がフランジ92に固定される。これにより、フランジ92に対して固定内歯歯車58が回転するのを抑制することができる。また、フランジ92は装置本体に設けられた副側板74に本体機構固定ネジ71で固定されており、固定内歯歯車58からフランジ92にかかる回転力によりフランジ92が回転することを防止している。
【0077】
固定ピン79が固定内歯歯車58の挿入孔とフランジ92の挿入穴との両方に軽圧入されることで、固定内歯歯車58はガタ無くフランジ92に固定され、固定ピン79は固定内歯歯車58の回り留めだけでなく、はす歯歯車を採用時にはスラスト方向の固定の機能も持つ。
【0078】
本実施形態では、固定ピン79の数や固定内歯歯車58の前記挿入孔の数を、固定内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設される遊星歯車55の個数3の非整数倍である4としている。これは、固定内歯歯車58の前記挿入孔などに固定ピン79を圧入したときの固定内歯歯車58の歪み変形を円周方向で遊星歯車55の個数に対して非整数倍の4箇所とするためである。これにより、固定内歯歯車58に対する固定ピン79の挿入位置に起因する固定内歯歯車58の変形が減速機構の回転変動に与える影響を最小限にすることができる。
【0079】
上述したように、固定内歯歯車58の前記挿入孔などに固定ピン79を圧入したときに、固定内歯歯車58の前記挿入孔の付近に変形が生じる。このことから、前記挿入孔の数と同じ数だけ固定内歯歯車58の円周方向にほぼ等間隔で変形が生じることになる。よって、前記挿入孔の数が固定内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設される遊星歯車55の数の整数倍であると、固定内歯歯車58内でキャリア60が1回転する間に各遊星歯車55がほぼ同じタイミングで固定内歯歯車58の変形箇所に位置する。そのため、キャリア60が1回転する間に遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車55で同じタイミングで発生し大きな回転速度変動となる。
【0080】
それに対し、前記挿入孔の数が固定内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設される遊星歯車55の数の非整数倍であるので、キャリアが1回転する間に各遊星歯車55が固定内歯歯車58の変形箇所に位置するタイミングを異ならせることができる。よって、キャリアが1回転する間に遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い不良により生じる回転伝達誤差が、各遊星歯車55で同じタイミングで発生するのを抑制でき回転速度変動を低減させることができる。
【0081】
次に、固定ピン79による固定方法の利点を以下に説明する。固定内歯歯車58の変形は、副側板74への固定するための固定ネジ締結時だけでなく、経時、環境変化で発生する。特に温度、湿度環境の変化による樹脂材料の熱膨張が大きな変形要因となる。プリンタ内の環境は、標準環境の20[℃]から、定着装置の放熱により約50[℃]以上まで変化する。
【0082】
図3に示すように、樹脂材料からなる固定内歯歯車58とステンレスなどの金属材料からなるフランジ92や副側板74とが固定ネジで固定されている場合、樹脂と金属の熱膨張率の違いから、固定内歯歯車58の熱膨張を固定ネジによって拘束する形となり、固定内歯歯車58の熱膨張に応じて固定部で大きく変形してしまう。
【0083】
本実施形態では、この変形も遊星歯車減速機構の回転特性へ影響がないように、遊星歯車55の個数に対して非整数倍としているが、環境変化が大きく変形量が大きいと影響が無視できない。そこで、固定内歯歯車58の熱膨張が生じても固定部材で変形が発生しないと同時に、固定内歯歯車58を確実に固定できる方式としてピン留めを採用している。また、固定ピン79は固定内歯歯車58の外周面から挿入する形態で固定内歯歯車58の熱膨張変化を妨げない。
【0084】
[実験]
次に、本実施形態における発明の効果について、実測データを基に説明する。表1に本実施形態における2KH型遊星歯車機構の各歯車の歯数、モジュールを示す。また、入力モータを1200[rpm]で駆動した場合の各部品の回転数及び回転周波数を示す。
【0085】
【表1】

【0086】
ここでは便宜上、2KH型1段減速機構を例に説明する。1段減速機構は2段減速機構成に比べ部品数が少なく回転変動要因が少ないため、本発明の効果をより明確に示すことができるためである。なお、2段減速機構成であっても同様の効果が得られる。
【0087】
まず、遊星歯車55の数が3個の減速機に、固定内歯歯車58の外周面に設けた固定ホルダー25の数を3個とし、金型のピンゲート数を6個、引け凹部27を6箇所として製作した固定内歯歯車58を使用した。
【0088】
固定内歯歯車58の成形誤差や取り付け時の変形により、キャリアが固定内歯歯車58を1周回するうちに噛み合い伝達誤差が3周期発生する。この遊星歯車減速機の出力軸51の回転速度変動率[%pp]を周波数解析した結果を図10に示す。
【0089】
遊星歯車の偏心誤差により遊星自転周期の9[Hz]の変動成分の他、キャリア回転周期3.5[Hz]の3次成分である10.6[Hz]の変動が顕著に発生している。これは、遊星歯車3個それぞれで、固定内歯歯車58との噛み合いで発生する伝達誤差が同じ位相で発生するため、回転変動が顕著に生じるためである。
【0090】
次に、同じ遊星歯車55が3個の減速機に、固定内歯歯車58の固定ホルダー25の数を4個とし、ピンゲート数を8個、引け凹部27を8箇所として製作した固定内歯歯車58を使用した。
【0091】
固定内歯歯車58の成形誤差や取り付け時の変形により、噛み合い伝達誤差が、キャリア1回転につき4周期発生する。なお、伝達誤差の大きさはほぼ同じ量であった。この遊星歯車減速機の回転変動率を図11に示す。
【0092】
遊星自転周期成分は図10と同じであるが、キャリア回転周期の3次成分はほとんどなく、キャリア4次成分の変動振幅も微小であることがわかる。これは、遊星歯車3個それぞれに固定内歯歯車58との噛み合いで発生する伝達誤差が、遊星歯車間で異なる位相で発生するため、遊星歯車間で伝達誤差の相殺効果が発生してキャリア4次成分が微小となる。
【0093】
また、遊星歯車55の数が4個の減速機において、キャリア1回転につき伝達誤差変動が4周期発生する固定内歯歯車58を採用した場合の速度変動率を図12に示し、キャリア1回転につき伝達誤差変動が3周期発生する固定内歯歯車58を採用した場合を図13に示す。キャリア1回転につき伝達誤差変動が3周期発生する場合のほうが、キャリア1回転につき伝達誤差変動が4周期発生する場合よりも、キャリア3次成分や4次成分の回転変動の発生が無く、良好な回転精度が得られていることがわかる。
【0094】
このように、遊星歯車55の数に対して同じ周期数の伝達誤差を有する固定内歯歯車58を採用するとその周期に応じた回転変動が生じ、遊星歯車55の数に対して異なる周期数の伝達誤差を有する固定内歯歯車58を採用すると回転変動の発生が抑えられるという結果が得られた。
【0095】
なお、遊星歯車55の数に対して同じ周期数だけでなく整数倍の周期数においてもその周期に応じた回転変動が生じ、非整数倍の周期数では回転変動が微小であることも確認した。
【0096】
したがって、固定内歯歯車58の伝達誤差の発生要因となる、固定ホルダー25や固定ネジ70、固定ピン79、ピンゲート20の数、引け凹部27の数等は、遊星歯車55の数や遊星歯車56の数に対して非整数倍数とする必要がある。また、併せてその影響を低減するために、噛み合い領域外に固定ホルダー25や固定ネジ70や固定ピン79を設置することが望ましい。
【0097】
[実施形態2]
本発明の実施対象となる画像形成装置である電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成は、実施形態1に係るプリンタの構成と同様なので、その説明は省略する。
【0098】
図14は遊星歯車減速機構の2段構成を示す縦断面の模式図であり、図15は遊星歯車減速機構の一段目の横断面模式図である。
【0099】
先ず本実施形態における2KH型2段遊星歯車減速機構の基本構成を示す。
モータに連結される入力軸50は一端が太陽歯車54となっており、それに噛み合う一段目の遊星歯車55が太陽歯車54の周りを一段目のキャリア60に支持されて公転する。遊星歯車55は回転バランスとトルク分担のために同心状に2箇所またはそれ以上の複数個が配置される。
【0100】
本実施形態では、図15に示すように一段目の遊星歯車機構に遊星歯車55を3個、二段目の遊星歯車機構に遊星歯車56を4個配置しており、その外周軌道では、遊星歯車55や遊星歯車56が固定内歯歯車58と噛み合って回転する。この固定内歯歯車58は回転不能に固定化されている。なお、固定内歯歯車58は実施形態1で説明した成型方法によって作製したものを用いている。
【0101】
遊星歯車55は、太陽歯車54と固定内歯歯車58との噛み合いによって自転及び公転する。遊星歯車55を支持するキャリア60は、太陽歯車54の回転に対して減速回転し、一段目の減速比が獲得される。キャリア60の回転中心には、二段目減速機構の入力となる太陽歯車57が設けられている。二段目の太陽歯車57は、若干のクリアランスを有する2箇所の回転支持部62,63に支持され、浮動支持された状態で回転を行う。
【0102】
二段目のキャリア61に設けられた二段目の遊星歯車56は、その外周軌道で、前述した一段目と共通の固定化された固定内歯歯車58との噛み合い回転により、さらに減速回転して二段目のキャリア61の回転、すなわち出力軸51の回転となる。
【0103】
本実施形態では、固定内歯歯車58を一段目と二段目とで共通かつ一体構成としている。これにより、一段目と二段目との同軸精度が向上し、各遊星歯車55,56が各太陽歯車54,57と片当りすることなく、正確に噛み合うことができる。そのため、一段目のキャリア60と二段目の太陽歯車57とを一体成形することによる同軸精度向上と回転精度向上や高剛性化がより発揮しやすい構成となっている。
【0104】
図14に示すように、入力軸50や出力軸51は、それぞれフランジ52やエンドキャップ53に設置された軸受90,91にて、スラスト方向の移動が規制される。
【0105】
一段目のキャリア60のスラスト方向への移動を規制するために、一段目の太陽歯車54の軸の先端が一段目のキャリア60の中心に接触し、二段目の太陽歯車57の軸の先端が二段目のキャリア61の中心に接触してスラスト方向の支持をする構成としている。また、各太陽歯車54,57と各キャリア60,61との接触部での回転摩擦損失を低減するために、各太陽歯車54,57の軸の先端には球面処理を施している。
【0106】
遊星歯車減速機構は、感光体ドラム1の駆動や、中間転写ベルト5の駆動部に、駆動源となるモータとともに用いられる。感光体ドラム1の駆動に、この遊星歯車減速機構を用いた場合は、発生する画像のバンディングから許容される速度許容は0〜200[Hz]帯域において、おおむね±0.3[%P−P]以下の高精度運転が要求される。一般的な、位置決め用途の遊星歯車減速機構に比べれば1桁高い値となる。
【0107】
次に、遊星差動歯車減速装置を備える感光体駆動装置について説明する。
図16は、遊星歯車減速機構付き駆動装置である感光体駆動装置を示したものである。
なお、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、同一構成の感光体駆動装置により回転駆動されているので、以下、感光体ドラム1Yの感光体駆動装置について説明する。
【0108】
この感光ドラム1Yの軸方向の端部には、その感光体ドラム1Yを回転支持するドラム軸78が固定されている。このドラム軸78は、画像形成装置の本体側板76の軸受77によって回転自在に支持されており、副側板74に支持される遊星歯車減速機構80の出力軸51の回転力がジョイント75を介して伝達されるように構成されている。また、ジョイント75は、感光体ドラム1Yの交換を可能にするために、ドラム軸78の着脱が容易な構成となっている。
【0109】
遊星歯車減速機構80は、固定内歯歯車58に一体成形された外周上に複数設置された固定ホルダー25を介して、本体機構固定ネジ71によって副側板74に固定されている。また、固定内歯歯車58は、固定ネジ70によってフランジ52に回転不能に固定されており、フランジ52の反対側にはモータ73が固定されている。そして、このフランジ52によって、固定内歯歯車58はモータ73の回転に対して回転不能に固定される。
【0110】
なお、駆動対象としては感光体ドラム1の他に中間転写ベルト5や定着ベルトの駆動ローラが挙げられ、これらに対して同様の駆動装置を適用することができる。
【0111】
次に、本実施形態の遊星歯車減速機構に用いられる、一段目のキャリアと二段目の太陽歯車との一体成形品について説明する。図17は、一段目のキャリアと二段目の太陽歯車との一体成形品を示したものである。
【0112】
まず、一体成形構成として、図14に示したように、一段目のキャリア60は円盤状部材に遊星歯車軸64を圧入またはインサートして成形したもので、キャリア60の円盤形状の中心部に二段目の太陽歯車57を設けて構成したものが挙げられる。この構成の場合、キャリア60によって遊星歯車軸64を片側で支持する。そのため、遊星歯車軸64の荷重によって遊星歯車軸64が変形したり、遊星歯車軸64を保持しているキャリア60が変形したりしやすい。そのため、図17に示すように、遊星歯車軸64を軸方向両側で支持するキャリア構成を採用するのが望ましい。
【0113】
図17(a)は、一段目のキャリア60の一部と二段目の太陽歯車57とを一体成形した構成である。図14と同様に一段目のキャリア60の円盤状部材の中心部に二段目の太陽歯車57が一体成形されたギヤ側部品に、遊星歯車軸64を両側から支持するためにベース側部品を接着または溶着した構成である。
【0114】
遊星歯車軸64は金属製であり、射出成形時に、ベース側部品にインサートして成形される。組み立て方法としては、ベース側部品に一端側が支持された遊星歯車軸64の他端側から一段目の遊星歯車55を遊星歯車軸64に挿入し、その後、ギヤ側部品を遊星歯車軸64に挿入することで簡単に組み立てられる。
【0115】
また、別の構成として、図17(b)に示すような、遊星歯車軸64の軸方向両端それぞれ支持する遊星歯車軸取付孔65を有する一段目のキャリア60に、二段目の太陽歯車57を一体で成形した構成が挙げられる。
【0116】
組み立て方法としては、一段目の遊星歯車55を一段目のキャリア60の側面部から挿入し、その後、一段目の遊星歯車軸64を遊星歯車軸取付孔65に挿入することで簡単に組み立てられる。
【0117】
このように遊星歯車軸64を軸方向両側で支持するキャリア構成を採用することにより、キャリア60の変形は大幅に低減されるが、完全になくなることはない。一段目のキャリア60では、3本の遊星歯車軸64を支持しており、それぞれの遊星歯車軸64からキャリア回転方向の荷重がかかる。そのため、キャリア60は遊星歯車軸64を支持する3箇所からの荷重により、それぞれで局所的な変形が発生したり、三角形状に変形したりすることがある。このようなキャリア60の変形により、キャリア60と一体成形されている二段目の太陽歯車57にも3箇所の局所的な変形や三角形状の変形が発生する。
【0118】
また、一段目のキャリア60で遊星歯車軸64の軸方向両側を支持するキャリア構成を採用することにより、二段目の太陽歯車57の姿勢が安定する。キャリア60で遊星歯車軸64の軸方向片側を支持するキャリア構成に比べて、太陽歯車57が摺り木状に振れ回転することがなく、安定して二段目の遊星歯車56と噛み合うことができる。そのため、回転精度の向上をより発揮しやすくなる。
【0119】
次に、本実施形態の一段目のキャリア60と二段目の太陽歯車57との一体成形品について、溶融樹脂の射出成形による製造方法とその成形品について説明する。図18は、金型の構造を示す縦断正面図である。
【0120】
金型14は、固定式の上型215と可動式の下型216とから構成され、上型215の空隙部と下型216の空隙部とに挟まれた部分にキャビティ217が形成されている。キャビティ217は円筒状に形成された空隙であり、このキャビティ217内に溶融樹脂が射出されて冷却固化されることによりプラスチック成形品218が成形される。
【0121】
上型215には、溶融樹脂が供給される流路219と、流路219内を供給された溶融樹脂がキャビティ217内に射出される複数個のピンゲート220とが形成されている。
【0122】
上型215と下型216とにはそれぞれキャビティ217内に連通される複数個の連通孔221が形成されている。これらの連通孔221は、圧縮気体供給源222に接続されている。連通孔221の内径寸法、より詳しくは、連通孔221におけるキャビティ217に開口する部分の内径寸法は、0.001[mm]〜0.5[mm]とされている。
【0123】
図19は、金型14で形成された、キャリアと太陽歯車とが一体化したプラスチック成形品218を示すものである。
【0124】
このプラスチック成形品218は、円盤状キャリアと、円盤状キャリアの中心部に形成されてキャビティ217の外周側端部に形成されているギアの歯部形状が転写された転写部である二段目の太陽歯車57と、円盤状キャリアの側面に形成されて、キャビティ217の移動に連動して移動する図示しないスライドコアによって形成されている遊星歯車のホルダー形状が転写された一段目のキャリア60とから構成されている。
【0125】
二段目の太陽歯車57の歯部の内側の側面部には、連通孔221からキャビティ217内に圧縮気体が供給されることにより形成された複数個の引け凹部が等間隔で放射状に配列して形成される。その引け凹部形状は、図19に示すキャビティ217内へ溶融樹脂の射出が行われたピンゲート220の間に形成される。
【0126】
図19に示されたように、太陽歯車歯部の内側円周方向に3箇所のピンゲート220が設置された場合、隣接する2本のピンゲート220の略中央部に位置して引け凹部が3箇所形成される。そのため、非転写面となる引け凹部が、歯部形状が転写された外側転写部224に発生しないように以下の方法が採用されている。
【0127】
上述した金型14を用いて行われるプラスチック成形品218の成形時においては、溶融樹脂が流路219内を流れて供給され、この溶融樹脂がピンゲート220からキャビティ217内に射出される。キャビティ217内に射出された溶融樹脂は、各ピンゲート220を中心にして放射状に広がる。
【0128】
このため、キャビティ217内に射出された溶融樹脂がキャビティ217の外周側端部や内周側端部に到達するタイミングにバラツキが生じる。そして、キャビティ217の外周側端部や内周側端部における溶融樹脂の到達タイミングが遅い箇所では、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる。
【0129】
キャビティ217内に射出された溶融樹脂は時間の経過とともに冷却固化され、この冷却固化される過程で樹脂圧力が所定の値になったとき、圧縮気体供給源222を駆動させ、円筒状本体の側面部に対向して形成されている連通孔221からキャビティ217内へ圧縮気体を吹き付ける。この圧縮気体の吹き付けにより、円筒状本体の側面部における連通孔221に対向している部分には引け凹部が形成される。
【0130】
このような引け凹部が形成されることにより、この引け凹部の容積に相当する量の溶融樹脂がキャビティ217の外周側端部や内周側端部に追加して充填される状態となる。そして、この引け凹部が形成される位置が、隣接するピンゲート220の略中央部であってキャビティ217内に射出された溶融樹脂がキャビティ217の外周側端部や内周側端部に到達するタイミングが遅れるとともに溶融樹脂の充填量が不足ぎみになる箇所に対応する位置であるので、溶融樹脂の充填量が不足ぎみとなる箇所に溶融樹脂が追加して充填される状態となる。
【0131】
これにより、キャビティ217の外周側端部や内周側端部に充填される溶融樹脂の充填量のバラツキを修正して略均一にすることができ、二段目の太陽歯車57の歯部形状に波形の凹凸が発生することを抑制でき、成形精度が高い円筒状のプラスチック成形品218を得ることができる。
【0132】
なお、圧縮気体供給源222の駆動タイミングや出力を調節することにより、圧縮気体の付与量と付与タイミングとを適宜調節することができ、それによって、引け凹部の形成領域や深さを調節することができる。このため、引け凹部の容積を調節することができ、キャビティ217の外周側端部や内周側端部へ追加して充填される状態となる溶融樹脂の量を調節することができる。そして、この調節によって太陽歯車歯部に波形の凹凸が発生することをより確実に防止でき、太陽歯車の歯形成形精度がより高いプラスチック成形品218を得ることができる。
【0133】
また、連通孔221の内径寸法が0.001[mm]〜0.5[mm]と小さいので、キャビティ217内へ射出された溶融樹脂の連通孔221への入り込みが発生せず、溶融樹脂が連通孔221内に入り込むことが原因となるバリの発生が防止される。
【0134】
本実施形態では、二段目の太陽歯車57の円周方向に配置されたピンゲート220の数を二段目の遊星歯車56の個数4の非整数倍比である3としている。また、引け凹部の発生箇所を、太陽歯車57の内周面の円周方向に遊星歯車56の個数4の非整数倍比である3箇所としている。これは、転写部は高精度に成形されるものの、若干の転写不良や、円筒状部材全体としては厚みが不均一となるために生じる成形後の歪み変形を円周方向において、遊星歯車56の個数4に対して非整数倍比の3箇所とするためである。
【0135】
二段目の太陽歯車57の強度向上のために、図19に示すような張り出すように設置したリブ形状35を射出成形によって太陽歯車57と一体成形すると、円周方向にわたってリブ形状35がある部分と無い部分とで太陽歯車57の厚みが不均一となる。そのため、太陽歯車57に歪みが生じる。すなわち、円周方向にわたって太陽歯車57に厚い部分と薄い部分との肉厚差があるため、射出成形後の溶融樹脂の冷却時間に差が生じ、厚い部分と薄い部分との曲率に差が生じる。この曲率差やそれによる太陽歯車57の歪みは、樹脂特性や周辺温度や温度分布条件などで著しく変動するため、一概に歪み形状を示すことはできないが、太陽歯車57に形成したリブ形状35が3個の場合は真円から三角のおむすび形状に歪み、4個の場合は正方形に歪むことが多い。
【0136】
このような肉厚の違いによる太陽歯車57の歪み変形を避けるために、射出成形後の冷却をゆっくり時間をかける対策が考えられる。しかしながら、冷却時間をかけることで成形精度は向上するが、成形サイクルが長くなり、コスト高となる。そのため、量産性やコストを考えるとある程度の歪みは避けられない。
【0137】
本実施形態では、太陽歯車57のリブ形状35の数を二段目の遊星歯車56の個数4の非整数倍比である3としている。これは、上述した成形時の太陽歯車57の歪み変形を、円周方向において遊星歯車56の個数4に対して非整数倍比の3箇所とするためである。
【0138】
図20は、本発明の効果発生原理を説明する図である。まず、図20(a)を用いて、二段目の遊星歯車56の数を3個とし、一段目のキャリア60及び二段目の太陽歯車57の成形ピンゲート数を3個、引け凹部を3箇所としてキャリア60と太陽歯車57とを一体成型した場合について説明する。
【0139】
図20の(a)は、二段目の太陽歯車57と遊星歯車56との噛み合い状態を示している。二段目の太陽歯車57の成形誤差による変形により、噛み合い伝達誤差のピークが、二段目の太陽歯車57の1回転において3回発生する。このような太陽歯車57の変形は、一段目の遊星歯車数が3個で、キャリア60の円盤部材が変形した際にも発生する。太陽歯車57の変形状態は、図20の実線で示すように三角形状となっている。
【0140】
この遊星歯車減速機の出力軸51の回転速度波形を解析すると、二段目の太陽歯車57の回転の3次周期で大きな回転変動が見られる。これは、3個の二段目の遊星歯車56それぞれに、太陽歯車57との噛み合いで発生する伝達誤差が同じ位相で発生するために、回転変動が顕著に生じるためである。
【0141】
次に、図20(b)を用いて、二段目の遊星歯車56の数を4個とし、一段目のキャリア60及び二段目の太陽歯車57の成形ピンゲート数を3個、引け凹部を3箇所としてキャリア60と太陽歯車57とを一体成型した場合について説明する。
【0142】
図20の(b)は、二段目の太陽歯車57と遊星歯車56との噛み合い状態を示している。二段目の太陽歯車57の成形誤差による変形や荷重による変形は、図20(a)と同様に三角形状である。この遊星歯車減速機の回転変動は、太陽歯車回転周期の3次成分がほとんどなく、太陽歯車回転周期の4次成分の回転変動も微小であった。これは、4個の二段目の遊星歯車56それぞれに、太陽歯車57との噛み合いで発生する伝達誤差が異なる位相で発生するため、遊星歯車間で伝達誤差の相殺効果が発生して回転変動が微小となるからである。
【0143】
また、二段目の遊星歯車56の数が3個の減速機において、二段目の太陽歯車57が1回転に伝達誤差変動が4周期発生するようにピンゲート数4個を採用した場合、太陽歯車57の回転周期4次成分の回転変動の発生が無く、良好な回転精度が得られる。
【0144】
このように、遊星歯車56の数に対して、同じ周期数の伝達誤差を有する太陽歯車57を採用するとその周期に応じた回転変動が生じ、異なる周期数の伝達誤差を有する太陽歯車57を採用すると良好な結果が得られた。また、遊星歯車56の数に対して、同じ周期数だけでなく整数倍の周期数においてもその周期に応じた回転変動が生じ、非整数倍比の周期数では回転変動が微小であることも確認した。
【0145】
したがって、一段目のキャリア60と一体で成型された二段目の太陽歯車57の伝達誤差の発生要因となる、キャリア60に遊星歯車軸64を介して支持される一段目の遊星歯車55の数、前記ピンゲート数、前記引け凹部の数等は、二段目の遊星歯車56の数に対して非整数倍比とすることが望ましい。
【0146】
[実施形態3]
本発明の実施対象となる画像形成装置である電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成は、実施形態1に係るプリンタの構成と同様なので、その説明は省略する。
【0147】
各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、同一構成の感光体駆動装置により回転駆動されているので、以下、感光体ドラム1Yの感光体駆動装置10Yについて説明する。 図21は感光体駆動装置10Yの斜視図であり、図22は感光体駆動装置10Yの断面図である。
【0148】
図21に示すように、感光体駆動装置10Yは、モータ73、遊星歯車減速機構80、ジョイント75、及び、ドラム軸78などから構成されている。
【0149】
遊星歯車減速機構80の出力軸51は、ドラム軸78とジョイント75とにより連結固定されている。また、ドラム軸78には軸受が圧入されており、この軸受を介して図22に示した装置筐体である前側板72と本体側板76に支持位置決めされる構成となっている。
【0150】
次に、図22を用いて遊星歯車減速機構80の内部構造の詳細について説明する。
本実施形態の遊星歯車減速機構80は、2KH型2段構成の遊星歯車機構が用いられている。なお、本実施形態では遊星歯車機構を2段としているが、減速比に応じて3段、4段と段数をさらに重ね合わせることも可能である。
【0151】
モータ73の入力軸50には、一段目の太陽歯車54が直接歯切りされて設けられている。この一段目の太陽歯車54と、内歯固定フランジ42に固定された固定内歯歯車58とに噛み合う一段目の遊星歯車55が、一段目のキャリア60により支持されて一段目の太陽歯車54の外周を公転するようになっている。また、一段目の遊星歯車55は、回転バランスとトルク分担のためにキャリア60に対して同心状に3箇所配置される。本実施形態では、キャリア60の周方向で3等分された位置にそれぞれ遊星歯車55が配置されている(図23参照)。各遊星歯車55は、キャリア60に設けられた遊星歯車軸64に支持されて自転する。
【0152】
一段目の遊星歯車55は、一段目の太陽歯車54と固定内歯歯車58との噛み合いによって自転及び公転し、遊星歯車55を支持するキャリア60は、太陽歯車54の回転に対し減速回転し一段目の減速比が獲得される。
【0153】
一段目のキャリア60の回転中心には、二段目減速機構の入力となる二段目の太陽歯車57が設けられている。また、キャリア60には回転支持部はなく、浮動回転を行うようになっている。
【0154】
二段目の太陽歯車57には、一段目から二段目まで一体で形成された固定内歯歯車58に噛み合う二段目の遊星歯車56が、二段目のキャリア61により支持されて、二段目の太陽歯車57の外周を公転するようになっている。本実施形態では、キャリア61の周方向で4等分された位置にそれぞれ二段目の遊星歯車56が配置されている(図24参照)。
【0155】
各遊星歯車56は、二段目のキャリア61に設けられた遊星歯車軸68に支持されて自転及び公転する。
【0156】
遊星歯車機構の最終段に相当する二段目のキャリア61の回転中心には出力軸51が設けられており、中空円筒上のジョイント75を介してドラム軸78と連結されている。
【0157】
ここで、二段目のキャリア61の出力軸51は、固定内歯歯車58により位置決めされた内歯歯車キャップ41に圧入された軸受91により支持される構成となっている。また、内歯歯車キャップ41は、固定内歯歯車58の内周とインローで位置決めされる構成となっている。そのため、出力軸51は固定内歯歯車58の中心軸と同軸度を最小化できる構成となっている。
【0158】
なお、ジョイント75については、図25や図26に示すような構成があげられる。
図25に示したジョイント75は中空円筒形状となっており、ドラム軸78、遊星歯車減速機構80の出力軸51は同じ直径となっており、ジョイント75はドラム軸78に圧入され、出力軸51はすきまばめとなっており、ジョイント75と段付きねじ47によってジョイント75と連結固定される構成となっている。
【0159】
一方、図26に示したジョイント75は、中央部にスリット75aを有しており、出力軸51はネジ48により押し曲げられたジョイント75との摩擦力により連結固定される構成となっている。
【0160】
図25や図26に示したいずれのジョイント75の構成も、ジョイント部分によるドラム軸78と出力軸51との中心軸のずれを最小化して、駆動伝達できる構成となっている。
【0161】
図22に示すように、上述したモータ73の入力軸50は、内歯固定フランジ42に軸受67などを介して回転可能に支持されている。また、固定内歯歯車58は、内歯固定フランジ42に対してネジ43によって固定されており、内歯固定フランジ42は固定内歯歯車58やモータ73の固定保持をしている。また、内歯固定フランジ42は、副側板74とねじ65によって固定される構成となっている。
【0162】
なお、副側板74は、本体側板76にカシメられたスタッド44により支持位置決めされている。固定内歯歯車58のモータ側には、内歯歯車中心軸に中空円筒形状のボス66が設けられており、モータ73はボス66の円筒形状内周と軸受67とがインローによる勘合で位置決めされ、ボス66の中空円筒形状の外周は内歯固定フランジ42の孔とインローによる勘合で位置決めされる構成となっている。
【0163】
以上の構成とすることで、固定内歯歯車58を基準として、モータ73の入力軸50、内歯固定フランジ42、遊星歯車減速機構80の出力軸51の中心軸をすべて同軸上に配置し、かつ部品寸法のばらつきによる同軸度を最小化することが可能な構成となっている。
【0164】
これより、モータ73の入力軸50からドラム軸78まで中心軸をすべて同軸上に配置できかつ、部品寸法のばらつきによる同軸度を最小化することが可能となっている。
【0165】
また、感光体ドラム1は、感光体ドラム軸方向両端に設けられたドラムフランジ1a,1bを介してドラム軸78に位置決めされる構成となっている。ドラムフランジ1a,1bの回転中心には孔が設けられており、その孔とドラム軸78とがインローで位置決めされる。
【0166】
また、ドラム軸78には感光体ドラム1へと駆動伝達をおこなうジョイント45が圧入されており、ドラムフランジ1aを介して感光体ドラム1は駆動される構成となっている。
【0167】
以上の構成により、モータ73の入力軸50、固定内歯歯車58、二段目のキャリア61、遊星歯車減速機構80の出力軸51、ドラム軸78、感光体ドラム1の中心軸をすべて同一軸上に配置し、部品寸法のばらつきによる同軸度を最小化できる構成となっている。
【0168】
以上の遊星歯車減速機構80において、モータ73の入力軸50、すなわち遊星歯車機構の入力軸に直接歯切りされた一段目の太陽歯車54と、遊星歯車軸64、遊星歯車軸68は金属材料、例えばステンレス鋼や炭素鋼などからなり、その他の一段目の遊星歯車55、一段目のキャリア60及び一体で構成された二段目の太陽歯車57、二段目の遊星歯車56、二段目のキャリア61、一段目の遊星歯車55と二段目の遊星歯車56と噛み合う共通歯車仕様でありハウジングケースと一体で構成された固定内歯歯車58は、樹脂材料、例えばポリアセタールなどの成型品で構成されている。
【0169】
なお、固定内歯歯車58は実施形態1で説明した成型方法と略同様の成型方法によって作製するが、後述するようにピンゲート20の配置の仕方を実施形態1と異ならせている。また、一段目のキャリア60と二段目の太陽歯車57との一体成型品は、実施形態2で説明した成型方法によって作製したものを用いることができる。
【0170】
本実施形態では、固定内歯歯車58の真円度変形に関わる条件の数が、各遊星歯車機構の遊星歯車数の非整数倍、または整数倍であっても等配置しないことを特徴とする画像形成装置としているが、ピンゲート20が4箇所で等配置であり、一段目の遊星歯車55の個数が4個のときに速度ムラになるメカニズムを図27〜図31を用いて説明する。
【0171】
図27(a)に固定内歯歯車58の正面図を示し、図27(b)に固定内歯歯車58の側面図を示す。固定内歯歯車58が樹脂の切削品であったり金属で作成したりした場合には、図27(a)に示すような固定内歯歯車58を正面から見たときの円筒形状は真円に近い精度となる。
【0172】
図28に固定内歯歯車58を樹脂で成形する際のピンゲート20を4つにした際の例を示す。
図28は、図27(b)に示した固定内歯歯車58の図中右側の端面に円筒中心から円周方向で等間隔に4箇所のピンゲート20を設けている。このようにピンゲート20を配置して固定内歯歯車58を樹脂で作成した場合、成形後の固定内歯歯車58は図29に示すように厳密に言うと真円形状ではなく4角形形状になる。なお、図29においては、真円形状との違いをわかりやすくするために大げさに描いている。
【0173】
図30は、固定内歯歯車58と遊星歯車55との噛み合いなどについて説明する図である。この固定内歯歯車58と4個の遊星歯車55とが噛み合うとき、図30に示すような固定内歯歯車58に対する各遊星歯車55の位置では、太陽歯車54と遊星歯車55との軸間距離や、遊星歯車55と固定内歯歯車58との軸間距離に余裕があるため駆動負荷が小さくなる。
【0174】
図31は、図30に示した固定内歯歯車58に対する各遊星歯車55の位置から遊星歯車55を90度回転させた場合における、固定内歯歯車58と遊星歯車55との噛み合いなどについて説明する図である。
【0175】
図31に示すような固定内歯歯車58に対する各遊星歯車55の位置では、太陽歯車54と遊星歯車55との軸間距離や、遊星歯車55と固定内歯歯車58との軸間距離が狭く駆動負荷が大きくなる。
【0176】
遊星歯車構成は、固定内歯歯車58に対し、キャリア60を浮動支持していると調心作用でキャリア60が移動し駆動負荷の変動幅を小さくする特徴を持っている。しかしながら、固定内歯歯車58の真円度変形に関わる条件の数(ここでは、固定内歯歯車58を樹脂で成形する際のピンゲート20の数)が、各遊星歯車機構の遊星歯車数の整数倍であり円周方向に等間隔に配置されていると、キャリア60の調心が行えず駆動負荷変動を低減できない。
【0177】
図32にキャリアの回転角度と駆動負荷との相関を示すグラフを示す。
ピンゲート20を円周方向に等間隔で4箇所、遊星歯車55を4個の構成のときは、駆動負荷の変動がキャリア1回転(360度回転)で4回のピークとなる(固定内歯歯車58に対する遊星歯車55の位置が、図30に示す位置と図31に示す位置とを4回繰り返す)。この4回の負荷変動はキャリア1回転の4倍の周波数で速度変動となり色ずれやバンディングの原因となる。
【0178】
そこで、本実施形態は遊星歯車55の数と固定内歯歯車58の真円度変形にかかわる条件の数を非整数倍で円周方向に等間隔に配置するか、前記条件の数を整数倍で円周方向に等間隔で配置しないことで、遊星歯車構成の調心作用を働かせ、駆動負荷変動の値を小さくし良好な画像を得るというものである。
【0179】
次に、一段目の遊星歯車機構の遊星歯車55が3個で、二段目の遊星歯車機構の遊星歯車56が4個である遊星歯車減速機構80において、固定内歯歯車58の真円度変形に関わる条件の数(ピンゲート20の数、固定部材締結形状31の数、回り止め形状30の数)が、各遊星歯車機構の遊星歯車数の非整数倍であり円周方向に等間隔に配置した場合について、図33を用いて説明する。
【0180】
図33は、本実施形態で用いる樹脂成形された固定内歯歯車58の斜視図である。固定内歯歯車58はコップ形状であり、コップ形状の円筒部の内側に円周方向にわたって歯部が成形されている。また、一段目の遊星歯車55及び二段目の遊星歯車56が前記歯部と噛み合うように、固定内歯歯車58の軸方向の長さである円筒幅は長く成形されている。したがって、固定内歯歯車58は一段目の遊星歯車機構と二段目の遊星歯車機構とに対し共通の固定内歯歯車となる。
【0181】
固定内歯歯車58を一段目の遊星歯車機構と二段目の遊星歯車機構との共通の固定内歯歯車とし、樹脂による一体成形とすることによって、一段目と二段目との固定内歯歯車の中心位置が一致する。これにより、一段目と二段目とが別の固定内歯歯車であり、2つの部品を連結した際に生じる連結誤差や取り付け誤差が生じるのを防止し、回転精度を向上させることができる。また、一段目と二段目との固定内歯歯車のねじれ剛性が、駆動減速機の剛性に大きく寄与するため、一体成形で固定することで、回転力を逃がさずに伝達することができ高剛性化できる。
【0182】
固定内歯歯車58のコップ形状の底の部分には、内歯固定フランジ42にネジ43によって固定するためネジ孔が開けられた固定部材締結形状31、モータから遊星歯車減速機構80への駆動伝達時に内歯固定フランジ42に対して固定内歯歯車58が回転するのを止めるための回り止め形状30、及び、射出成形時のピンゲート20が位置する箇所がある。
【0183】
ここで、固定部材締結形状31が、固定内歯歯車58の円周方向で等間隔に4つ設けられると、固定内歯歯車58を内歯固定フランジ42にネジ43によって固定した時にかかる応力によって、上述したようなピンゲート20と同様に図29に示したような固定内歯歯車58の変形を引き起こす。
【0184】
また、回り止め形状30が、固定内歯歯車58の円周方向で等間隔に4つ設けられると、モータから遊星歯車減速機構80への駆動伝達時に回り止め形状30へ応力がかかることで、上述したピンゲート20と同様に図29に示したような固定内歯歯車58の変形を引き起こす。
【0185】
本実施形態では、一段目の遊星歯車機構と二段目の遊星歯車機構とで共通の固定内歯歯車58を採用し、一段目の遊星歯車55が3個で二段目の遊星歯車が4個であることから、各遊星歯車の数の非整数倍の数として5を選択し、固定部材締結形状31の数、回り止め形状30の数、及び、ピンゲート20の数をそれぞれ5個とし、円周方向で等間隔に配置した。
【0186】
また、射出成形時のピンゲート20は回り止め形状30の中央部に配置した。これは、成形時にピンゲート周辺にバリが発生しやすいが、固定内歯歯車58を内歯固定フランジ42に固定した際、内歯固定フランジ42は回り止め形状30のピンゲート周辺だった箇所に接触しないようになっているため、前記バリが内歯固定フランジ42に対する固定内歯歯車58の位置決めに影響しないようにするためである。
【0187】
円周方向で等間隔にピンゲート20を配し、回り止め形状30や固定部材締結形状31を円周方向で等間隔に配置することで、固定内歯歯車58の射出成形時に樹脂の流入が均等になりやすく、固定内歯歯車58の真円度が得られやすい。また、樹脂の流入の不均等が発生しても固定内歯歯車1周にわたって5箇所(5周期)の不均等が発生するが、一段目の遊星歯車55や二段目の遊星歯車56の数と非整数倍であるため、遊星歯車減速機構80の回転変動となりにくい。
【0188】
さらに、固定部材締結形状31では、ネジ43によって固定内歯歯車58が内歯固定フランジ42に固定される際に圧力を受けて変形しやすい。しかし、この変形箇所も固定内歯歯車1周にわたり5箇所(5周期)であり、一段目の遊星歯車55や二段目の遊星歯車56の数と非整数倍であるため、遊星歯車減速機構80の回転変動となりにくい。
【0189】
次に、回り止め形状30、固定部材締結形状31、ピンゲート20の数が、各遊星歯車機構の遊星歯車数の整数倍であり円周方向に等間隔で配置しない場合について説明する。
【0190】
図34に、固定内歯歯車58の真円度に最も影響しやすいピンゲート20の数のみを一段目の遊星歯車55の数と同じ3個として、円周方向に等配置しない例を示す。3箇所のピンゲート20は、2等辺三角形の頂点の位置関係となるように、5箇所の回り止め形状30のうちの3箇所の回り止め形状30それぞれの中央部に配置している。すなわち、3箇所のピンゲート20を固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で配置しない。これによって、射出成形時の樹脂の流入不均等により、固定内歯歯車58の形状が2等辺三角形のような形状になる。
【0191】
このような形状の固定内歯歯車58と、固定内歯歯車58に円周方向に等間隔に配置された3個の遊星歯車55とが噛み合うとき、各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速の回転変動を発生しにくくすることができる。
【0192】
また、図34では、固定内歯歯車58を成型するときのピンゲート20の数を一段目の遊星歯車55の数と同じにし、固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で配置しない構成を示したが、さらに、図35に示すように、回り止め形状30や固定部材締結形状31も一段目の遊星歯車55の数と同じまたは整数倍にし、固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で配置しない構成にすることで、同様に、各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
【0193】
また、固定内歯歯車58の外周面に円周方向に補強用のリブを形成する場合には、このリブに関しても射出成形時に肉厚差による冷却速度の違いによるひけにつながるため、図29に示したような固定内歯歯車58の変形を引き起こす。
【0194】
そのため、リブの数を一段目の遊星歯車55や二段目の遊星歯車56の数と非整数倍で円周方向に等配置する構成を採用したり、一段目の遊星歯車55の数の整数倍で円周方向に等配置しない構成を採用したりする。これにより、上述したような遊星歯車にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
【0195】
以上、本実施形態によれば、駆動源であるモータ73と、モータ73からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車54、太陽歯車54と同軸上で配設された固定内歯歯車58、固定内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車54と固定内歯歯車58とに噛み合う複数の遊星歯車55、及び、遊星歯車55を回転自在に支持するとともに太陽歯車54や固定内歯歯車58と同軸上で回転自在なキャリア60、からなる遊星歯車機構である遊星歯車減速機構80と、を備え、モータ73からの回転駆動力を遊星歯車減速機構80により減速させて、画像形成装置で使用される回転体を駆動する回転駆動装置において、固定内歯歯車58は、金型14に形成され内周側端部に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、遊星歯車55の数の非整数倍の数だけキャビティの円周方向に等間隔で金型に形成された複数個のピンゲート20から溶融樹脂を射出することにより成形されたものである。固定内歯歯車58の射出成形時にピンゲート20の数に応じて、固定内歯歯車58の変形が生じやすい。その結果、ピンゲート20の数に応じた遊星歯車減速機構80の伝達誤差が発生する。例えば、遊星歯車55の個数が3個に対してゲートの個数も3個や6個の場合、回転速度変動がキャリア回転の3次成分、6次成分で発生しやすい。一方、遊星歯車55の個数が3個に対してピンゲート20の個数が遊星歯車55の個数の非整数倍である4個や8個の場合、3個の遊星歯車55それぞれと固定内歯歯車58との噛み合い伝達誤差の発生位相が異なり、伝達誤差の相殺効果があるため、回転速度変動は微小となる。
また、本実施形態によれば、固定内歯歯車58の外周面の円周方向に等間隔で遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ凹み部である引け凹部27を形成した。固定内歯歯車58の射出成形時に、固定内歯歯車58の外周面の円周方向に等間隔で形成された引け凹部27の数に応じて、固定内歯歯車58の変形が生じやすい。その結果、引け凹部27の数に応じた遊星歯車減速機構80の伝達誤差が発生する。例えば、遊星歯車55の個数が3個に対して引け凹部27の個数も3個の場合、回転速度変動が発生しやすい。一方、遊星歯車55の個数が3個に対して引け凹部27の個数が遊星歯車55の個数の非整数倍である4個の場合、3個の遊星歯車それぞれと固定内歯歯車58との噛み合い伝達誤差の発生位相が異なり、伝達誤差の相殺効果があるため、回転速度変動は微小となる。
また、本実施形態によれば、固定内歯歯車58の外周面の円周方向に等間隔で遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ固定用取り付け部である固定ホルダー25を一体成形した。溶融樹脂により固定内歯歯車58の円筒状本体26と固定ホルダー25とを一体成形した場合、肉厚が厚い部分と薄い部分との冷却速度差により固定ホルダー25の数に応じて固定内歯歯車58の変形が生じやすい。また、取り付け固定時に、固定ホルダー25の数に応じて変形が生じやすい。その結果、固定ホルダー25の数に応じた遊星歯車減速機構80の伝達誤差が発生する。例えば、遊星歯車55の個数が3個に対して固定ホルダー25の個数も3個の場合、3個の遊星歯車それぞれと固定内歯歯車58との噛み合い伝達誤差の発生位相が同じになるため、大きな回転速度変動が発生しやすい。一方、遊星歯車55の個数が3個に対して固定ホルダー25の個数が遊星歯車55の個数の非整数倍である4個の場合、3個の遊星歯車それぞれと固定内歯歯車58との噛み合い伝達誤差の発生位相が異なり伝達誤差の相殺効果があるため回転速度変動が低減される。
また、本実施形態によれば、遊星歯車減速機構80は、固定内歯歯車58内で2段に構成されており、固定ホルダー25の位置は、一段目の遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い領域と、二段目の遊星歯車55と固定内歯歯車58の噛み合い領域との間の噛み合い領域外である領域Fである。このように、固定ホルダー25の設置位置を各遊星歯車55,56と固定内歯歯車58との噛み合い領域外とすることで、各遊星歯車55,56と固定内歯歯車58との噛み合い領域における固定内歯歯車58の変形量を少なくすることができ、固定内歯歯車58の変形に伴う回転速度変動をより低減させることができる。
また、本実施形態によれば、モータ73と遊星歯車減速機構80はフランジ52を介してネジ部材である固定ネジ70にて固定されており、固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ固定用ネジ挿入部を設けた。固定内歯歯車58の固定用ネジ挿入部の穴形状も含めて溶融樹脂により一体成形した場合、固定用ネジ挿入部の数に応じて、固定内歯歯車58の変形が生じやすい。また、取り付け固定時に、固定用ネジ挿入部の数に応じて変形が生じやすい。その結果、固定用ネジ挿入部の数に応じた遊星歯車減速機構80の伝達誤差が発生する。遊星歯車55の個数が3個に対して固定用ネジ挿入部の個数も3個の場合、回転速度変動が発生しやすい。一方、遊星歯車55の個数が3個に対して固定用ネジ挿入部の個数が遊星歯車55の個数の非整数倍である4個の場合、3個の遊星歯車それぞれと固定内歯歯車58との噛み合い伝達誤差の発生位相が異なり伝達誤差の相殺効果があるため、回転速度変動は微小となる。
また、本実施形態によれば、固定用ネジ挿入部の位置は、一段目の遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い領域外である。これにより、遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い領域における固定内歯歯車58の変形量が少なくなり、より変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、モータ73と遊星歯車減速機構81はフランジ92を介してネジ部材である固定ピン79にて固定されており、固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ固定用ピン挿入部を設けた。固定内歯歯車58の固定用ピン挿入部の穴形状も含めて溶融樹脂により一体成形した場合、固定用ピン挿入部の数に応じて、固定内歯歯車58の変形が生じやすい。また、取り付け固定時に、固定用ピン挿入部の数に応じて変形が生じやすい。その結果、固定用ピン挿入部の数に応じた遊星歯車減速機構80の伝達誤差が発生する。遊星歯車55の個数が3個に対して固定用ピン挿入部の個数も3個の場合、回転速度変動が発生しやすい。一方、遊星歯車55の個数が3個に対して固定用ピン挿入部の個数が遊星歯車55の個数の非整数倍である4個の場合、3個の遊星歯車それぞれと固定内歯歯車58との噛み合い伝達誤差の発生位相が異なり伝達誤差の相殺効果があるため、回転速度変動は微小となる。
また、本実施形態によれば、固定用ピン挿入部の位置は、一段目の遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い領域外である。これにより、遊星歯車55と固定内歯歯車58との噛み合い領域における固定内歯歯車58の変形量が少なくなり、より変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、装置本体に対する固定内歯歯車58の回り止め部材を、遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ固定内歯歯車58の外周面の円周方向に等間隔で配置して設けたことで、各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車55の数の非整数倍の数だけ固定内歯歯車58の内部の円周方向に等間隔でリブを配置して設けたことで、各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、駆動源であるモータ73と、モータ73からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車54、太陽歯車54と同軸上で配設された固定内歯歯車58、固定内歯歯車58内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車54と固定内歯歯車58とに噛み合う複数の遊星歯車55、及び、遊星歯車55を回転自在に支持するとともに太陽歯車54や固定内歯歯車58と同軸上で回転自在なキャリア60、からなる遊星歯車機構である遊星歯車減速機構80と、を備え、モータ73からの回転駆動力を遊星歯車減速機構80により減速させて、画像形成装置で使用される回転体を駆動する回転駆動装置において、固定内歯歯車58は、金型14に形成され内周側端部に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、遊星歯車55の数の整数倍の数だけキャビティの円周方向に等間隔で配置されていない、金型に形成された複数個のピンゲート20から溶融樹脂を射出することにより成形されたものである。これにより、固定内歯歯車58と、固定内歯歯車58に円周方向に等間隔に配置された3個の遊星歯車55とが噛み合うとき、ピンゲート20の位置と数に応じた固定内歯歯車58の変形に起因した各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、装置本体に対して固定内歯歯車58を固定させて取り付ける固定用取り付け部である固定部材締結形状31を、遊星歯車55の数の整数倍の数だけ固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で配置されないように設けたことで、固定部材締結形状31の位置と数に応じた固定内歯歯車58の変形に起因した各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、装置本体に対する固定内歯歯車58の回り止め部材である回り止め形状30を、遊星歯車55の数の整数倍の数だけ固定内歯歯車58の円周方向に等間隔で配置されなように設けたことで、回り止め形状30の位置と数に応じた固定内歯歯車58の変形に起因した各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車55の数の整数倍の数だけ固定内歯歯車58の外周面の円周方向に等間隔で配置されないようにリブを設けたことで、リブの位置と数に応じた固定内歯歯車58の変形に起因した各遊星歯車55にかかる駆動負荷に差が生じるため、キャリアの調心作用で移動し駆動負荷の変動幅を小さくすることができ、遊星歯車減速機構80の回転変動を発生しにくくすることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車機構は、固定内歯歯車58内で軸方向に駆動源であるモータ側が一段目であり回転体である感光体ドラム側が二段目となるように二段で構成されており、前記遊星歯車の数は二段目の遊星歯車56の数であることで、遊星歯車減速機構から感光体ドラムに出力される駆動力の回転変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車機構は、固定内歯歯車58内で軸方向に2段で構成されており、前記遊星歯車の数は、固定内歯歯車58の軸方向で前記金型に設けられた複数のピンゲート20から溶融樹脂を射出された側の段である一段目にある遊星歯車55の数である。これにより、固定内歯歯車58の真円度に最も影響しやすいピンゲート20の数に起因する遊星歯車減速機構80の回転変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車機構は、固定内歯歯車58内で軸方向に2段で構成されており、一段目のキャリア60と二段目の太陽歯車57とは、金型に形成されたキャビティ内に前記金型に設けられた複数のピンゲート220から溶融樹脂を射出することにより一体で成形されたものであり、二段目の遊星歯車56の数は一段目の遊星歯車55の数に対して非整数倍である。これにより、二段目の遊星歯車56の数が4個に対して、一段目の遊星歯車55の数が3個の場合、一段目のキャリア60の円周方向にある3箇所の遊星歯車55の取り付け部の影響で二段目の太陽歯車57が変形しても、4個の二段目の遊星歯車56の噛み合い伝達誤差の発生位相が異なるため、伝達誤差の相殺効果があり、回転速度変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、遊星歯車機構は、固定内歯歯車58内で軸方向に2段で構成されており、一段目のキャリア60と二段目の太陽歯車57とは、金型に形成されたキャビティ内に、二段目の遊星歯車56の数の非整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で前記金型に設けられた複数のピンゲート220から溶融樹脂を射出することにより一体で成形されたものである。これにより、成型時にピンゲートの数に応じて二段目の太陽歯車57に変形が生じても、二段目の遊星歯車56の伝達誤差の発生位相がそれぞれ異なるため、伝達誤差の相殺効果があり、回転速度変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、二段目の太陽歯車57の外周面に設けられた歯部よりも半径方向内側で円周方向に、等間隔で二段目の遊星歯車56の数の非整数倍の数だけ凹み部を形成したことで、前記凹み部の数に応じて二段目の太陽歯車57に変形が生じても、二段目の遊星歯車56の伝達誤差の発生位相がそれぞれ異なるため、伝達誤差の相殺効果があり、回転速度変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、二段目の太陽歯車57の外周面に設けられた歯部よりも半径方向内側で円周方向に、等間隔で二段目の遊星歯車56の数の非整数倍の数だけリブ形状35を設けたことで、前記リブ形状35の数に応じて二段目の太陽歯車57に変形が生じても、二段目の遊星歯車56の伝達誤差の発生位相がそれぞれ異なるため、伝達誤差の相殺効果があり、回転速度変動を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、一段目のキャリア60の一部と二段目の太陽歯車57とが一体で成形されており、一段目のキャリア60が一段目の遊星歯車55の回転軸である遊星歯車軸64の両端を支持する。これにより、二段目の太陽歯車57の姿勢が安定するので、キャリア60で遊星歯車軸64の軸方向片側を支持するキャリア構成に比べて、太陽歯車57が摺り木状に振れ回転することがなく、安定して二段目の遊星歯車56と噛み合うことができる。そのため、回転精度の向上をより発揮しやすくなる。
また、本実施形態によれば、一段目のキャリア60の全体と二段目の太陽歯車57とが一体で形成されており、一段目のキャリア60が一段目の遊星歯車の回転軸である遊星歯車軸64の両端を支持する。これにより、二段目の太陽歯車57の姿勢が安定するので、キャリア60で遊星歯車軸64の軸方向片側を支持するキャリア構成に比べて、太陽歯車57が摺り木状に振れ回転することがなく、安定して二段目の遊星歯車56と噛み合うことができる。そのため、回転精度の向上をより発揮しやすくなる。
また、本実施形態によれば、固定内歯歯車58は一段目と二段目とが一体で成形されていることで、一段目と二段目との固定内歯歯車の中心位置が一致する。これにより、一段目と二段目とが別の固定内歯歯車であり、2つの部品を連結した際に生じる連結誤差や取り付け誤差が生じるのを防止し、回転精度を向上させることができる。また、一段目と二段目との固定内歯歯車のねじれ剛性が、駆動減速機の剛性に大きく寄与するため、一体成形で固定することで、回転力を逃がさずに伝達することができ高剛性化できる。
また、本実施形態によれば、回転体を備えたプリンタなどの画像形成装置において、前記回転体を駆動する回転駆動手段として、本発明の回転駆動装置を用いたことで、感光体ドラム等の像担持体、中間転写ベルト5や転写ベルト等のベルト部材を駆動する駆動ローラ、記録材等を搬送するための搬送ローラなどの回転体の回転速度変動を低減させることができ、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、上記回転体である像担持体としての感光体ドラム1と、現像手段である現像装置9、帯電手段である帯電器2及びクリーニング手段であるクリーニング装置4の少なくとも一つとが一体形成された、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを有しており、本発明の遊星歯車減速機構80を有する回転駆動装置を感光体ドラム1の回転駆動に用いたことで、感光体ドラム1の回転速度変動が低減し良好な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0196】
1 感光体ドラム
1a ドラムフランジ
1b ドラムフランジ
2 帯電器
3 除電ランプ
4 クリーニング装置
5 中間転写ベルト
6 一次転写ローラ
7 二次転写ローラ
8 定着ローラ対
9 現像装置
10 感光体駆動装置
14 金型
17 キャビティ
20 ピンゲート
20a ピンゲート痕跡
24 内周側転写部
25 固定ホルダー
26 円筒状本体
27 凹部
30 回り止め形状
31 固定部材締結形状
35 リブ形状
41 内歯歯車キャップ
42 内歯固定フランジ
43 ネジ
44 スタッド
45 ジョイント
47 軸受
48 ネジ
50 入力軸
51 出力軸
52 フランジ
53 エンドキャップ
54 太陽歯車
55 遊星歯車
56 遊星歯車
57 太陽歯車
58 固定内歯歯車
59 軸受
60 キャリア
61 キャリア
62 回転支持部
63 回転支持部
64 軸
64 遊星歯車軸
65 遊星歯車軸取付孔
66 ボス
67 軸受
68 遊星歯車軸
70 固定ネジ
71 本体機構固定ネジ
72 前側板
73 モータ
74 副側板
75 ジョイント
75a スリット
76 本体側板
77 軸受
78 ドラム軸
79 固定ピン
80 遊星歯車減速機構
81 遊星歯車減速機構
90 軸受
91 軸受
92 フランジ
215 上型
216 下型
217 キャビティ
218 プラスチック成形品
219 流路
220 ピンゲート
221 連通孔
222 圧縮気体供給源
224 外側転写部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0197】
【特許文献1】特開2007−212806号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車、前記太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車、前記内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車、及び、前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリア、からなる遊星歯車機構と、を備え、
前記駆動源からの回転駆動力を前記遊星歯車機構により減速させて、画像形成装置で使用される回転体を駆動する回転駆動装置において、
前記内歯歯車は、金型に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、前記遊星歯車の数の非整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより成形されたものであることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
請求項1の回転駆動装置において、
上記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ凹み部を形成したことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2の回転駆動装置において、
上記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ固定用取り付け部を一体成形したことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の回転駆動装置において、
上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、前記固定用取り付け部の位置は、一段目の遊星歯車と内歯歯車との噛み合い領域と、二段目の遊星歯車と内歯歯車の噛み合い領域の間の噛み合い領域外であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の回転駆動装置において、
上記モータと上記遊星歯車機構はフランジを介してネジ部材にて固定されており、
上記内歯歯車の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ固定用ネジ挿入部を設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項6】
請求項5の回転駆動装置において、
上記固定用ネジ挿入部の位置は、遊星歯車と内歯歯車との噛み合い領域外であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項7】
請求項1または2の回転駆動装置において、
上記モータと上記遊星歯車機構はフランジを介して固定ピンにて固定されており、
上記内歯歯車の円周方向に等間隔で上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ固定用ピン挿入部を設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項8】
請求項7の回転駆動装置において、
上記固定用ピン挿入部の位置は、遊星歯車と内歯歯車との噛み合い領域外であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の回転駆動装置において、
装置本体に対する上記内歯歯車の回り止め部材を、上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ前記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で配置して設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の回転駆動装置において、
上記遊星歯車の数の非整数倍の数だけ上記内歯歯車の内部の円周方向に等間隔でリブを配置して設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項11】
駆動源と、
前記駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車、前記太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車、前記内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車、及び、前記遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリア、からなる遊星歯車機構と、を備え、
前記駆動源からの回転駆動力を前記遊星歯車機構により減速させて、画像形成装置で使用される回転体を駆動する回転駆動装置において、
前記内歯歯車は、金型に形成され内周側に歯部形状を有する円筒状のキャビティ内に、前記遊星歯車の数の整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で配置されていない、前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより成形されたものであることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項12】
請求項11の回転駆動装置において、
装置本体に対して上記内歯歯車を固定させて取り付ける固定用取り付け部を、上記遊星歯車の数の整数倍の数だけ前記内歯歯車の円周方向に等間隔で配置せずに設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項13】
請求項11または12の回転駆動装置において、
装置本体に対する上記内歯歯車の回り止め部材を、上記遊星歯車の数の整数倍の数だけ前記内歯歯車の円周方向に等間隔で配置せずに設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項14】
請求項11、12または13の回転駆動装置において、
上記内歯歯車の外周面の円周方向に等間隔で配置せずに、上記遊星歯車の数の整数倍の数だけリブを設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の回転駆動装置において、
上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に駆動源側が一段目であり回転体側が二段目となるように二段で構成されており、
上記遊星歯車の数は二段目の遊星歯車の数であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の回転駆動装置において、
上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、
上記遊星歯車の数は、前記内歯歯車の軸方向で上記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出された側の段にある遊星歯車の数であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の回転駆動装置において、
上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、
一段目のキャリアと二段目の太陽歯車とは、金型に形成されたキャビティ内に前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより一体で成形されたものであり、
二段目の遊星歯車の数は一段目の遊星歯車の数に対して非整数倍であることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項18】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17の回転駆動装置において、
上記遊星歯車機構は、上記内歯歯車内で軸方向に2段で構成されており、
一段目のキャリアと二段目の太陽歯車とは、金型に形成されたキャビティ内に、二段目の遊星歯車の数の非整数倍の数だけキャビティ円周方向に等間隔で前記金型に設けられた複数のピンゲートから溶融樹脂を射出することにより一体で成形されたものであることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項19】
請求項18の回転駆動装置において、
上記二段目の太陽歯車の外周面に設けられた歯部よりも半径方向内側で円周方向に、等間隔で上記二段目の遊星歯車の数の非整数倍の数だけ凹み部を形成したことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項20】
請求項18または19の回転駆動装置において、
上記二段目の太陽歯車の外周面に設けられた歯部よりも半径方向内側で円周方向に、等間隔で上記二段目の遊星歯車の数の非整数倍の数だけリブ形状を設けたことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項21】
請求項17、18、19または20の回転体駆動装置において、
上記一段目のキャリアの一部と上記二段目の太陽歯車とが一体で成形されており、
前記一段目のキャリアが上記一段目の遊星歯車の回転軸の両端を支持することを特徴とする回転駆動装置。
【請求項22】
請求項17、18、19または20の回転体駆動装置において、
上記一段目のキャリアの全体と上記二段目の太陽歯車とが一体で形成されており、
前記一段目のキャリアが上記一段目の遊星歯車の回転軸の両端を支持することを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項23】
請求項22の回転体駆動装置において、
上記内歯歯車は一段目と二段目とが一体で成形されていることを特徴とする回転体駆動装置。
【請求項24】
回転体を備えた画像形成装置において、
前記回転体を駆動する回転駆動手段として、請求項1乃至23の回転駆動装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項25】
請求項24の画像形成装置において、
上記回転体は感光体ドラムであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項26】
請求項24の画像形成装置において、
上記回転体は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラとであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項27】
請求項24の画像形成装置において、
上記回転体である像担持体と、現像手段、帯電手段及びクリーニング手段の少なくとも一つとが一体形成された、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを有しており、
上記回転駆動装置を前記像担持体の駆動に用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−8558(P2012−8558A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117375(P2011−117375)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】