説明

固体の温度の推定方法

【課題】計算時間の短縮化を図りつつ精度が高い固体の温度の推定方法を提供する。
【解決手段】モデル生成手段10Aは、冷却風を複数のセルに分割した流体モデルを生成し、バッテリを複数のセルに分割した固体モデルを生成する。第1の解析手段は、流体モデルによって固体モデルが冷却される状態を定常解析によって解析し固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する流体モデル側の境界セルの座標、熱伝達率、雰囲気温度を第1の解析データとして算出する。第2の解析手段は、第1の解析データに基づいて固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの状態を非定常解析によって解析し固体モデル側の境界セルの熱伝達係数、雰囲気温度、熱流束を第2の解析データとして算出する。温度推定手段10Dは、第2の解析データに基づいて固体モデルに対して固体伝熱計算を行うことによって固体の温度を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体によって冷却される固体の温度の推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車において駆動源に電力を供給するバッテリの充電時あるいは使用時に発生する熱を冷却装置から吹き出される冷却風によって強制冷却する場合がある。
このようなバッテリあるいは冷却装置の設計や開発に際して、冷却時における時間経過に伴うバッテリの温度変化を推定することが必要となる。
特許文献1には、冷却材によって冷却される燃料電池の温度分布を求める技術が提案されているものの、定常状態における温度分布を得るに留まっており、時間経過に伴う温度変化を算出することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−90950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、従来から、時間経過に伴う固体あるいは流体の温度変化を推定する方法として熱連成解析が知られている。
連成方法は幾つか挙げられるが、連成方法として精度が最も良いものは、流体と固体との双方に関して同時に計算する強連成方法であると言われている。
しかしながら、強連成方法では、固体および流体の計算モデルの規模が大きくなると、強連成計算の計算時間が非常に長くなり、実用性に欠ける面がある。
定常の流れ場を算出した後に、この流れ場内にある固体の温度変化を非定常で算出する弱連成解析もあるが、流体温度一定の限定条件があり、固体が流体に与えた影響も計算できない不都合がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、計算時間の短縮化を図りつつ精度が高い固体の温度の推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、流体によって冷却される固体の温度の推定方法であって、前記流体を複数のセルに分割した流体モデルを生成し、前記固体を複数のセルに分割した固体モデルを生成するモデル生成ステップと、前記流体モデルによって前記固体モデルが冷却される状態を定常解析によって解析することにより前記固体モデルと前記流体モデルとの境界面に位置する流体モデル側の境界セルの座標、熱伝達率、雰囲気温度を第1の解析データとして算出する第1の解析ステップと、前記第1の解析データに基づいて前記固体モデルと前記流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの状態を非定常解析によって解析することにより前記固体モデル側の境界セルの熱伝達係数、雰囲気温度から算出した熱流束を第2の解析データとして算出する第2の解析ステップと、前記第2の解析データに基づいて前記固体モデルに対して固体伝熱計算を行うことによって前記固体の温度を推定する温度推定ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、流体モデルを定常解析によって解析して第1の解析データを算出し、第1の解析データに基づいて固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの状態を非定常解析によって解析して第2の解析データを算出し、第2の解析データに基づいて固体の温度を推定するようにした。したがって、流体モデルおよび固体モデルの双方について強連成方法により非定常解析を行う場合に比較して、計算時間の短縮化を図りつつ精度が高い固体の温度の推定を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、m×n種類の流体モデルの入口温度および固体モデルの壁面温度の組み合わせについてそれぞれ定常解析を行うので、第1の解析データを精密に算出することができる。
請求項3記載の発明によれば、各固定モデル側の境界セルに第1の解析データをマッピングし、入口温度と壁面温度による補間計算を行うので、第2の解析データを精密に算出することができる。
請求項4記載の発明によれば、冷却風によって冷却されるバッテリの温度の推定を計算時間の短縮化を図りつつ精度高く行うことができるので、バッテリあるいは冷却装置の設計や開発を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態の温度の推定方法を実施するコンピュータ10の構成を示す構成図である。
【図2】実施の形態の温度の推定方法を実施するコンピュータの機能ブロック図である。
【図3】バッテリの固体モデルを示す説明図である。
【図4】実施の形態の温度の推定方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明方法および比較例における時間経過に伴うバッテリの表面温度の分布の変化を示す第1の説明図である。
【図6】本発明方法および比較例における時間経過に伴うバッテリの表面温度の分布の変化を示す第2の説明図である。
【図7】本発明方法および比較例における時間経過に伴う冷却風の入口温度およびバッテリの表面温度の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、流体としての冷却風によって冷却される固体としてのバッテリの温度を推定する場合について説明する。バッテリは、例えば、電気自動車に搭載され駆動源に電力を供給するものである。
図1は実施の形態の温度の推定方法を実施するコンピュータの構成を示すブロック図である。
コンピュータ10は、CPU12、ROM14、RAM16、ハードディスク装置18、光ディスク装置20、キーボード22、マウス24、ディスプレイ装置26、プリンタ28、インターフェース30などを含んで構成され、CPU12と、ROM14、RAM16、ハードディスク装置18、光ディスク装置20、キーボード22、マウス24、ディスプレイ装置26、プリンタ28、インターフェース30とは、バスライン32を介して接続されている。
【0009】
ROM14はCPU12が実行する所定の制御プログラムなどを格納している。
RAM16はCPU12のワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置18は、温度推定プログラムを格納しており、CPU12が温度推定プログラムを実行することにより本実施の形態の固体の温度の推定方法が実現される。
光ディスク装置20は、光ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行うものである。
キーボード22およびマウス24は、CPU12に対して入力操作を行うものである。
ディスプレイ装置26は、CPU12の制御により情報を表示するものである。
プリンタ28は、CPU12の制御により情報を印刷出力するものである。
インターフェース30は、外部装置との間で情報の授受を行うものである。
【0010】
図2は、コンピュータ10の機能ブロック図である。
図2に示すように、コンピュータ10は、モデル生成手段10A、第1の解析手段10B、第2の解析手段10C、温度推定手段10Dを含んで構成されている。
これら各手段は、CPU12が温度推定プログラムを実行することにより実現される。
【0011】
モデル生成手段10Aは、冷却風をモデル化するためのデータ、バッテリをモデル化するためのデータを、例えば、光ディスク装置20あるいは外部装置からインターフェース30を介して受け付け、これらのデータに基づいて冷却風を複数のセルに分割した流体モデルを生成し、バッテリを複数のセルに分割した固体モデルを生成する。
冷却風、バッテリをモデル化するためのデータは、計算モデル、計算条件を含むものである。具体的には、冷却風をモデル化するためのデータは、例えば、バッテリの周囲に形成される冷却風が流通する空間の形状および寸法、冷却風の風量などを含む。バッテリをモデル化するためのデータは、バッテリの形状および寸法、発熱量などを含む。
【0012】
図3に示すように、固体モデル2は、複数のセル2Aに分割されている。流体モデルも同様に複数のセルに分割されている。
【0013】
第1の解析手段は、流体モデルによって固体モデルが冷却される状態を定常解析によって解析することにより固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する流体モデル側の境界セルの座標、熱伝達率、雰囲気温度を第1の解析データとして算出する。
【0014】
第2の解析手段は、第1の解析データおよび設定した入口温度と壁面温度に基づいて、補間計算による固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの熱流束を第2の解析データとして算出する。
【0015】
温度推定手段は、第2の解析データおよび内部発熱に基づいて固体モデルに対して固体伝熱計算を行うことによって固体の温度を推定するものである。
推定された固体モデルの温度は、例えば、図5、図6に示すコンター図の形式でディスプレイ装置26やプリンタ28から出力される。
また、推定された固体モデルの温度は、図7に示す時間的な温度変化を示す線図の形式でディスプレイ装置26やプリンタ28から出力される。
【0016】
次に、図4のフローチャートを参照して実施の形態の温度の推定方法について詳細に説明する。
まず、モデル生成手段10Aにより流体モデルと固体モデルとを別々に生成する(ステップS10)。
本実施の形態では、ステップS10が特許請求の範囲のモデル生成ステップに相当する。
【0017】
次に、第1の解析手段10Bは、流体モデルの解析を開始する(ステップS12)。
流体モデルの解析は定常解析によって行う。すなわち、冷却風によってバッテリの冷却が開始されてからある程度の時間が経過し、冷却と発熱とのがバランスし、バッテリの温度分布の時間的な変化がほぼなくなったとみなせる定常状態での解析を行う。
このように時間を考慮しない定常解析を行うことによって、解析に要する計算量を抑制でき解析時間の短縮化が図られている。
【0018】
まず、第1の解析手段10Bは、流体モデルの入口温度をm(mは1以上の整数)個のパターンに設定し、固体モデルの壁面温度をn(nは1以上の整数)個のパターンに設定し、m×n種類の入口温度および壁面温度の組み合わせについてそれぞれ定常解析を行うことで第1の解析データを算出する。
具体的には、冷却風の入口温度Tinをm個のパターン、バッテリの壁面温度Twをn個のパターンに設定する。つまり、冷却風温度配列Ti(m)と、壁面温度配列Tw(n)とを設定する(ステップS14)。
そして、これらm×n種類の入口温度および壁面温度の組み合わせについて流体の定常解析を実施し、固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する流体モデル側の境界セルの座標、熱伝達率、雰囲気温度を第1の解析データとして算出する(ステップS16)。この結果、m×n個のファイルが生成される。1つのファイルには、流体モデル側の境界セルの合計数に対応する第1の解析データが含まれる。すなわち、流体モデル側の境界セルの合計数が2万個であれば、1つのファイルには2万組の第1の解析データが含まれることになる。
本実施の形態では、ステップS12,S14,S16が特許請求の範囲の第1の解析ステップに相当する。
【0019】
次に、第2の解析手段10Cは、固体モデルの解析を開始する(ステップS18)。
固体モデルの解析は、非定常解析によって行う。
すなわち、冷却風によってバッテリの冷却が開始された時点からバッテリの温度分布の時間的な変化を考慮して解析を行う。
第2の解析手段10Cは、第1の解析データに基づいて固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの状態を非定常解析によって解析することにより固体モデル側の境界セルの熱伝達係数、雰囲気温度、熱流束を第2の解析データとして算出する。
すなわち、第2の解析手段10Cは、ステップS16で生成された第1の解析データ(m×n個のファイル)を読み込み(ステップS20)、各固定モデル側の境界セルに第1の解析データをマッピングして非定常解析を行う(ステップS22〜S26)。
以下では、予め定められた時間刻みTnを単位とし、かつ、予め定められた解析終了時間をTendとし、時間刻みTn毎に以下のステップS24〜S28を繰り返し、時間刻みの合計が解析終了時間Tendに到達したか否かを判定し、到達しなければ時間刻みを1単位増やして処理を繰り返し、到達すれば処理を終了する(ステップS30,S32,S34)。
【0020】
具体的には、固体モデル側の境界セルに、第1の解析データとしての冷却風の入口温度Tinと固体壁面温度Twにおける熱伝達係数と雰囲気温度をマッピングする。
ここで、
Tair :冷却風入口温度
Twall:固体壁面温度
Ncell:境界セル番号
としたとき、熱伝達係数h(Tair,Twall,Ncell)と、雰囲気温度Tf(Tair,Twall,Ncell)は3次元配列で定義されている。
すなわち、固体モデル側の1つの境界セルは、m×n個の熱伝達係数hのデータと、m×n個の雰囲気温度Tfのデータとを持っている。
【0021】
ある時間ステップにおける冷却風の出入口の温度は以下の式(1)、式(2)で推定することができる。
【0022】
【数1】

【0023】
【数2】

【0024】
ただし、
in(n):時間ステップnの時の冷却風入口温度(K)
out(n):時間ステップnの時の冷却風出口温度(K)
eva:冷却能力(W)
air:冷却風質量流量(kg/s)
:定圧比熱(J/kgK)
Mass:計算領域の冷却風の質量(kg)
Δt:時間刻み(s)
【0025】
【数3】

【0026】
ある時間ステップにおける固体モデル側の境界セルNの熱伝達係数hは以下の(1)〜(5)に示すように補間して算出する。
(1)冷却風温度TaをX軸、固体壁面温度TwをY軸とし、Ta−Twの平面座標系を作成する。
(2)第1の解析データであるm個の冷却風温度と、n個の壁面温度とをTa−Tw座標系にインプットし、m×n個の点1(Ta1,Tw1)、点2(Ta2,Tw1)、点3(Ta3,Tw1)、……、点k(Tam,Twn)を得る(k=m×n)。
(3)この時間ステップのTaxと境界セルNの温度TwxをTa−Tw座標系にインプットし、点x(Tax,Twx)を得る。
(4)点1〜点kの中に、点xに最も近い3点を洗い出す。これら3点は同一線上になく、かつ、3点を結んだ三角形が点xを囲む、すなわち、点xが三角形の内点となるものである。
これら3点を、点1(Ta1,Tw1)、点2(Ta2,Tw2)、点3(Ta3,Tw3)とする。
これら3点が同一線上にあるか否かの判断は、次の条件に基づいていてなされる。
【0027】
【数4】

【0028】
点xがこれら3点がなす三角形の内点であるか否かの判断は、次の条件1,2,3に基づいてなされる。
【0029】
【数5】

【0030】
(5)点1,点2,点3の熱伝達係数をh1,h2,h3とすると、点xにおける熱伝達係数hは以下の式によって算出される。
【0031】
【数6】

【0032】
さらに、固体モデル側の境界セルNの雰囲気温度Tについても、上記(1)〜(5)と同様の手順によって算出する。
この結果、各境界セルNにおける熱流束の境界条件Flux=h(Twx−T)が設定される。
したがって、上述した第2の解析手段10CによるステップS18〜S26の処理により、固体モデル側の境界セルの熱伝達係数h、雰囲気温度T、熱流束Fluxが第2の解析データとして算出されることになる。
本実施の形態では、これらステップS18〜S26が特許請求の範囲の第2の解析ステップに相当する。
【0033】
次いで、温度推定手段10Dは、第2の解析データに基づいて固体モデルに対して固体伝熱計算を行うことによって固体の温度を推定する(ステップS28)。すなわち、固体モデル側の境界セルの温度が算出されることになる。
このような一連の処理(ステップS24〜S28)を解析終了時間Tendに到達するまで実施したならば解析を終了する。
【0034】
このようにして得られた固体モデル側の境界セルの温度のデータをコンピュータ10により適宜計算処理することにより、図5、図6に示すようなコンター図、あるいは、図7に示すような特定の境界セルの温度の時間経過を示す線図が出力される。
【0035】
以上説明したように本実施の形態によれば、流体モデルを定常解析によって解析することにより固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する流体モデル側の境界セルの座標、熱伝達率、雰囲気温度を第1の解析データとして算出し、第1の解析データに基づいて固体モデルと流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの状態を非定常解析によって解析することにより固体モデル側の境界セルの熱伝達係数、雰囲気温度、熱流束を第2の解析データとして算出し、第2の解析データに基づいて固体モデルに対して固体伝熱計算を行うことによって固体の温度を推定するようにした。
したがって、流体モデルおよび固体モデルの双方について強連成方法により非定常解析を行う場合に比較して、計算時間の短縮化を図りつつ精度が高い固体の温度の推定を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、冷却風によって冷却されるバッテリの温度の推定を計算時間の短縮化を図りつつ精度高く行うことができるので、バッテリあるいは冷却装置の設計や開発を効率的に行うことができる。
特に、バッテリが電気自動車に搭載され駆動源に電力を供給するような大型のものであると、固体および流体の計算モデルの規模が大きくなるが、本発明によれば強連成方法に比較して解析に要する計算時間を短縮することができ有利である。
【0036】
次に、本実施の形態の解析結果と、比較例の解析結果とについて説明する。
なお、比較例は、解析方法として強連成方法を用い、流体モデルおよび固体モデルの双方について非定常解析を行ったものである。
また、本実施の形態、比較例とも、流体モデルおよび固体モデルは同一のものを用いている。
図5,図6は、バッテリに対して充電および冷却風の送風を0分の時点で開始し、0分〜10分にわたって1分毎の時間刻みでバッテリの表面の温度分布の変化をコンター図の形式で表示したものである。
図5,図6において、バッテリ(固体モデル)の形状は簡素化して示しており、温度の等高線のみを実線で示し、また、温度の値を示す色(カラーバー)は省略している。
図7は、固体モデル2の境界セル2Aから選んだ3箇所のモニタ点p1,p2,p3(図3)の温度の時間的な変化と、冷却風の入口温度の時間的な変化と示す。
図5,図6、図7から明らかなように、本実施の形態によって得られた温度の推定結果は、比較例とよく一致しており、本実施の形態で推定した温度の精度は強連成方法で推定した温度の精度に対してほぼ同程度と判断することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、固体が電気自動車に搭載されるバッテリであり、流体がバッテリを冷却する冷却風である場合について説明したが、固体および流体は特に限定されるものではなく、本発明はさまざまな固体および流体に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10……コンピュータ、10A……モデル生成手段、10B……第1の解析手段,10C……第2の解析手段、10D……温度推定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体によって冷却される固体の温度の推定方法であって、
前記流体を複数のセルに分割した流体モデルを生成し、前記固体を複数のセルに分割した固体モデルを生成するモデル生成ステップと、
前記流体モデルによって前記固体モデルが冷却される状態を定常解析によって解析することにより前記固体モデルと前記流体モデルとの境界面に位置する流体モデル側の境界セルの座標、熱伝達率、雰囲気温度を第1の解析データとして算出する第1の解析ステップと、
前記第1の解析データに基づいて前記固体モデルと前記流体モデルとの境界面に位置する固体モデル側の境界セルの状態を非定常解析によって解析することにより前記固体モデル側の境界セルの熱伝達係数、雰囲気温度から算出した熱流束を第2の解析データとして算出する第2の解析ステップと、
前記第2の解析データに基づいて前記固体モデルに対して固体伝熱計算を行うことによって前記固体の温度を推定する温度推定ステップと、
を含むことを特徴とする固体の温度の推定方法。
【請求項2】
前記第1の解析ステップは、前記流体モデルの入口温度をm(mは1以上の整数)個のパターンに設定し、前記固体モデルの壁面温度をn(nは1以上の整数)個のパターンに設定し、m×n種類の前記入口温度および前記壁面温度の組み合わせについてそれぞれ前記定常解析を行うことで前記第1の解析データを算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の固体の温度の推定方法。
【請求項3】
前記第2の解析ステップは、前記各固定モデル側の境界セルに前記第1の解析データをマッピングして前記非定常解析を行う、
ことを特徴とする請求項2記載の固体の温度の推定方法。
【請求項4】
前記固体はバッテリであり、前記流体は前記バッテリを冷却する冷却風である、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の固体の温度の推定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−237652(P2012−237652A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106809(P2011−106809)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】