説明

固体撮像素子及びその製造方法、それに用いる固体撮像素子用の透明導電性膜

【課題】ウェハレベル撮像モジュールに特に適合する固体撮像素子用の透明導電性膜を所定の箇所に配設する固体撮像素子の製造方法、それにより製造された前記透明導電性膜、これを有する固体撮像素子を提供する。
【解決手段】透明導電膜を内部部材表面上に有する固体撮像素子の製造方法であって、導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する透明導電性膜を、前記内部部材に配設する固体撮像素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及びその製造方法、それに用いる固体撮像素子用の透明導電性膜等に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像モジュールを備えたモバイル電子機器が、小型化・薄型化され、急速に普及している。これを受け、小さくて軽く、安価な撮像モジュールに対する要求はさらに高まっている。例えば、カメラを内蔵した携帯電話には、撮像モジュールだけではなく、他のデジタル電子機器のためのモジュールもともに融合されており、安定した品質で加工性のよい撮像素子の開発が求められている。
【0003】
ウェハレベル撮像モジュールは、上記のような要求を充足させるために考案されたものである。そのレンズモジュール(以下、ウェハレベルレンズモジュールないしWLLなどと言う)は、透明基板とその表面に形成されたポリマーレンズ(polymer lens)との積層構造からなっている。このようなウェハレベルレンズモジュールは、レプリカ方式(replica method)を用いて形成されたアレイ形態のポリマーレンズを有する複数の透明ウェハを整列して積層した後、これを切断して製造される。そのために、サイズが小さくて軽いだけではなく、大量製造が可能で製造コストを大幅に低減することができる(特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-282179号公報
【特許文献2】特開2010-56170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ウェハレベル撮像モジュールの構造や製造技術は上記のように開発が進んでいる。しかし、そこに適用される材料に関連する技術については未だ十分な検討がなされていない。例えば、人体への影響等を考慮して電磁波の外部放射を防ぐことが望まれるが、そうした課題に対する本格的な研究開発はほぼなされていない。また、今後、高画素化による信号処理(データレート)の高速化や、チップサイズの小型化によるRF回路の近接等の状況が予想され、更なるシールド性能の向上が求められるようになる。特に、内視鏡などの医療用途や車載用途では強い電磁波シールド性を向上させるニーズがある。具体的に、地デジ・GSM・海外3G・無線LANであれば400MHz〜2500MHz程度であり、この周波数領域での電磁波シールド性の付与が求められる。
【0006】
そこで本発明は、ウェハレベル撮像モジュールに特に適合する固体撮像素子用の透明導電性膜を所定の箇所に配設する固体撮像素子の製造方法、それにより製造された前記透明導電性膜、これを有する固体撮像素子の提供を目的とする。特に、十分な透明性を有することはもとより、良好な成形性・導電性を有し、電磁波等の外部放射を抑え、あるいは電磁波シールド性を示し、さらには成膜温度や耐熱性の点でも優れる透明導電性膜を有する固体撮像素子の製造方法、それにより製造された前記透明導電性膜、これを有する固体撮像素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は以下の手段によって解決された。
(1)透明導電膜を内部部材表面上に有する固体撮像素子の製造方法であって、導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する透明導電性膜を、前記内部部材に配設する固体撮像素子の製造方法。
(2)前記部材に透明導電性膜を配設する工程の後に、ウェハ上に設けられた部材積層体をダイシングする工程を含む(1)に記載の固体撮像素子の製造方法。
(3)ウェハレベルプロセスによる(1)又は(2)に記載の固体撮像素子の製造方法。
(4)前記導電性金属粒子が、Au、Ag、Cu、及びその複合物からなる群から選択される(1)〜(3)のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
(5)前記導電性金属ナノワイヤが、Au、Ag、及びCuからなる群から選択される(1)〜(4)のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
(6)前記導電性酸化物粒子が、インジウム、錫、アンチモン、アルミニウム、チタン、及び亜鉛からなる群から選択される(1)〜(5)のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
(7)前記導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、及びPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択される(1)〜(6)のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製造方法で固体撮像素子を作製する工程と、これをモジュール化する工程とを有するカメラモジュールの製造方法。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の製造方法により固体撮像素子の内部部材表面に形成された透明導電性膜であって、
導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する透明導電性膜。
(10)(9)に記載の透明導電性膜を具備する固体撮像素子。
(11)(10)に記載の固体撮像素子を具備するカメラモジュール。
(12)(9)に記載の透明導電性膜の電磁波シールド膜としての使用。
(13)固体撮像素子の内部部材表面に配設して透明導電性膜をなす透明導電性塗料であって、導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する固体撮像素子用の透明導電性塗料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウェハレベル撮像モジュールに特に適合する固体撮像素子用の透明導電性膜を所定の箇所に配設する固体撮像素子の製造方法、それにより製造された前記透明導電性膜、これを有する固体撮像素子の提供を可能とする。特に、十分な透明性を有することはもとより、良好な成形性・導電性を有し、電磁波等の外部放射を効果的に抑えることができ、あるいは電磁波シールド性を示し、さらには成膜温度や耐熱性の点でも優れる透明導電性膜を接着固定化する固体撮像素子の製造方法、それにより製造された前記透明導電性膜、これを有する固体撮像素子の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の製造方法で製造される固体撮像素子の一実施形態を模式的に示した断面図である。
【図2】図1に示した固体撮像素子の製造過程の一実施態様を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法の別の実施形態を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の製造方法においては、ウェハレベル撮像モジュールにおける固体撮像素子の製造において、特定の透明導電性膜を固体撮像素子の内部部材等に配設して、電磁波等の外部放射を抑制する、あるいは外部電磁波をシールドすることができる。以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
(固体撮像素子の構成例)
図1は、本発明の一実施形態に係るウェハレベル撮像モジュールにおける固体撮像素子を模式化して示す断面図である。本実施形態の固体撮像素子は、2層のレンズ体1a、1bを具備している。各レンズ体はレンズとそれを支持する支持板1a’,1b’とからなり、外枠2により支持されて素子内部で固定されている。さらに素子の内部で第2レンズ体1bを挟んで第1レンズ体1aの反対側には、受光層3が上記レンズ体と平行に配設されている。この受光層3の構造は特に限定されないが、カラー撮像の素子であれば、カバーガラスを有し、R,G,Bの画素を構成するカラーフィルター及びそれに対応したイメージセンサー32を配設した構造が挙げられる。
前記受光層の上部であって第2レンズ体側となる面には本実施形態の要部をなす透明導電膜が塗布形成されている。
【0012】
さらにその下方で、外枠2の内方端縁にあたる箇所には、素子基材4が設けられている。この基材4は上述したガラス基材のようなものであっても、この種の素子に通常用いられる形態のシリコンウェハであってもよい。さらに、本実施形態では図示していないが、基材4のレンズ体を配した側とは反対側の面に赤外線溶融はんだを適用している。これにより、半導体回路等に実装しモジュール化することが可能とされている。
【0013】
本実施形態の固体撮像素子10においては、光を取り込む第1レンズ体の外表面の外枠側で、レンズ体1aの中央におけるレンズ開口部の外側にWLL遮光材膜Bが設けられている。これにより外部からの迷光が素子内部に入るのを防いでいる。さらに本実施形態においては、素子の外周部材側面に遮光性塗料を塗布して形成した遮光性塗膜9が形成されている。これにより、外枠2に十分な遮光性が付与されていないようなときにも、素子外周面の遮光性を維持することができる。なお、本明細書において、部材とは素子を構成する部材全般を指し、外周部材とは、外周ないしその一部を構成する部材を指す。図1に示した態様では外枠2およびレンズ体支持体の一部この外周部材を構成している。逆に、内部部材とは、外周部材以外の部材を指し、図1に示した態様では、受光層3や第2レンズ体1b等がそれにあたる。なお、図示した素子は説明のために大幅に簡略化した模式図であり、実際上必要な構造や形態に適宜設定ないし変更して構成することを前提とするものである。この点は図2、図3も同様である。
【0014】
(固体撮像素子の製造例)
次に、上記実施形態の固体撮像素子の製造方法の一実施態様について、図2に基づいて説明する。本実施態様においては、第1レンズ体1a及びその支持板1a’、外枠2、第2レンズ体1b及びその支持板1b’、外枠2、受光層3、基板4の順に組み立てることで製造することができる。
図2では、レンズ体1a,1bの連続板が積層し、これを外枠2が所定間隔で支持して、基材4および受光層3上に固定配置されている。この基材4としては、半導体製造に常用されるウェハを適用することができる。このとき、受光層3のレンズ体側の面にはカバーガラス31がありその下方表面に透明導電膜5が形成されている。この受光層3の表面に透明導電性膜を形成することが蓄積した電荷を効果的に放出しやすく好ましい。このようなモジュールの製造方法及び各材料は通常のものを使用することができ、例えば特開2010−282179号公報を参照することができる。なお、図2の分解斜視図は構造を説明するためのものであり、製造手順がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0015】
(透明導電性膜)
ここで本実施形態において重要な特徴である、透明導電性膜の形成について述べる。この透明導電性膜はスピン塗布により受光層3の上方にあるカバーガラス31の下面に塗着されている。
この透明導電性膜は膜形成の前にあらかじめ製膜しておく。透明導電性膜の材料については後で詳しく述べるが、その成膜方法ついては、下記のようなものが挙げられる。成膜方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、バー塗布法、スクリーン印刷法等の各種の方法を採用することができる。中でも、簡便に均一な膜を形成できる観点で、スピンコート法が好ましい。なお、本明細書においてモジュールないし素子の上方とは受光側、つまり第1レンズ体側を意味する。逆に下方とは基板4側となる。
【0016】
さらに透明導電膜を接着剤を用いて配設する形態が挙げられる。この場合、接着剤としては一般的なものが使用されるが、導電性接着剤を用いてもよい。
【0017】
本実施形態については、上記透明導電性膜を受光層のカバーガラス側下方表面に適用する例を挙げたが、その他にも、受光層のレンズ側とは逆の面や側面、ウェハ基板表面、レンズ体等に適用することが好ましい。
透明導電膜の厚さは特に限定されないが、十分な透明性と導電性とを確保する観点から、0.01〜100μmであることが好ましく、0.05〜50μmであることがより好ましい。本実施形態においては、透明導電膜を、できるだけ電磁波を発生するセンサーの近くに形成することが好ましく、カバーガラスの裏面(下面)に該膜を配設した。ただし、モジュールの構造や必要に応じてカバーガラスの表面(上面)に配設してもよい。透明導電膜を透明樹脂とサンドイッチ構造として積層することで、より電磁波シールド性が向上する形態として構成しうるため好ましい。また、後述する透明樹脂としては、透明性が良好で光損失が少ない高屈折率材料が好ましい。
【0018】
[第2実施形態]
本発明の別の実施形態を説明するために、従来のウェハレベルレンズモジュールの製造方法を基礎とする図3に示した例について説明する。この固体撮像素子は2つのレンズを有するレンズユニット11を受光層13の上に配置し、その下方にウェハ14が位置する。これらの部材は、当初、透明導電性膜5を含めたウェハ上に連続した面をなすよう積層体として製造される。このとき透明導電性膜5の配設箇所は特に限定されず、図3に示した部材表面ないしイメージセンサー(図示せず)に対向するカバーガラス(図示せず)の下方表面の位置などが挙げられる。なかでも、受光層13のカバーガラス下方表面(裏面)であることが蓄積した電荷を効果的に放出しやすく、あるいは外部電磁波を効果的にシールドでき好ましい。
【0019】
その後、切断位置Cの部分で幅wのダイシング溝を形成する。その加工方法は定法によればよく、例えば、通常のソーワイヤーにより、レンズユニット11、受光層13のみをダイシングし、ウェハ14の部分を残す深さで切除加工を施すことが挙げられる。さらに形成された幅wの溝に流し込むように遮光樹脂19を付与する。これにより各素子が樹脂19により隔絶され遮光構造が形成される。このとき、レンズユニット11の上面外側にも適量の遮光樹脂19が乗るようにしており、これにより光の入射方向からの迷光も遮断できるようにされている。
【0020】
上述したウェハレベル撮像モジュールにおける固体撮像素子の構造や製造方法は、たとえば、特開2010−282179号公報、特開2010−56170号公報等の記載を参考にすることができる。また、本発明の透明導電性塗料は上記ウェハレベル撮像モジュールの製造に特に適してはいるが、その他の方式による撮像モジュールに適用することを妨げるものではなく、例えば、特開昭50−56916号公報、2005−086100号公報、特開2010−251558号公報、特開2010−282179号公報等に記載のモジュールに適用してもよい。
【0021】
[透明導電性塗料]
本発明において透明導電性塗料は、少なくとも導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種と、有機樹脂とを含有する。その具体的な材料は、発明の目的を達成できるものであれば特に限定されないが、以下に示す実施態様のものが好ましい。
・第1の実施形態としては、導電性金属粒子が、Au、Ag、Cu、及びその複合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
・第2の実施形態としては、導電性金属ナノワイヤが、Au、Ag、及びCuからなる群から選択されるものが挙げられる。
・第3の実施形態としては、導電性酸化物粒子が、インジウム、錫、アンチモン、アルミニウム、チタン、及び亜鉛からなる群から選択されるものが挙げられる。
・第4の実施形態としては、導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、及びPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択されるものが挙げられる。
上記金属粒子等のさらに具体的な実施形態については、後記で詳述する。
【0022】
(有機樹脂)
本発明の透明導電性塗料に適用しうる有機樹脂としては、使用する溶媒に溶解でき、導電性成分を分散させることができ、成膜できるバインダー成分であれば、一般的に塗料で用いられている任意のバインダー成分を特に制限なく用いることができ、樹脂としては、光硬化性化合物、熱硬化性化合物、電子線硬化性化合物等を硬化させて得られる樹脂を用いることができる。ここで、光硬化性化合物とは、光によって硬化する有機化合物であり、熱硬化性化合物とは、熱によって硬化する有機化合物であり、電子線硬化性化合物とは、高エネルギー線である電子線で硬化する有機化合物である。特に限定されないが、以下のようなものが挙げられる。例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリルシリコーン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、もしくはこれらを変性したバインダー樹脂等を1種単独でもしくは2種類以上併用することができる。
【0023】
さらに上記バインダー成分中には必要に応じて架橋剤を含有させても良く、例えば、アミノ基等の塩基性官能基、OH基等の中性官能基、カルボキシル基等の酸性官能基、イソシアネート基等の反応性官能基を1分子中に2つ以上有する任意の架橋剤を用いることができる。
【0024】
また、上記バインダー成分はラジカル重合性モノマーであってもよく、ラジカル重合性の不飽和基(α,β−エチレン性不飽和基)を有しているモノマーであれば、アミノ基等の塩基性官能基を有するもの、OH基等の中性官能基を有するもの、カルボキシル基等の酸性官能基を有するもの、或いはこのような官能基を有していないもの、のいずれでもよい。
【0025】
さらに、本発明の透明導電膜形成用組成物には、その目的を損なわない範囲内で、慣用の各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤の例として、分散剤、分散助剤、重合開始剤、重合禁止剤、硬化触媒、密着助剤、酸化防止剤、UV吸収剤、レベリング剤等を挙げることができる。
【0026】
以下に、本発明に適用できる透明性導電塗料をなす導電性材料の具体例を挙げる。
(ナノワイヤ・ナノチューブ)
本明細書において使用する際に、「ナノ構造」または「導電性ナノ構造」は、ナノサイズの構造を指し、その少なくとも1つの寸法は、500nm未満、より好ましくは、250nm、100nm、50nm、または25nm未満である。ナノ構造は、金属(例えば、遷移金属)、金属合金、金属化合物(例えば、金属酸化物)、導電性ポリマー、導電性カーボンナノチューブ、およびその同等物を含む任意の導電性材料から作製可能である。典型的には、ナノ構造は、金属材料から作製される。金属材料は、元素金属または金属化合物(例えば、金属酸化物)であることが可能である。また、金属材料は、2つ以上の種類の金属を含む金属合金または2種類の金属からなる材料であることが可能である。
【0027】
ナノ構造は、任意の形状または幾何学的形状を有することが可能である。特定の実施形態では、ナノ構造は、等方性形状(すなわち、アスペクト比=1)である。典型的な等方性ナノ構造には、ナノ粒子が含まれる。好適な実施形態では、ナノ構造は、異方性形状(すなわち、アスペクト比≠1)である。本明細書において使用する際に、アスペクト比は、ナノ構造の長さおよび幅(または直径)の比率を指す。典型的には、異方性ナノ構造は、その長さに沿って長手方向軸を有する。例示的な異方性ナノ構造には、本明細書に定義するように、ナノワイヤおよびナノチューブが含まれる。
【0028】
ナノ構造は、中実または中空であることが可能である。中実ナノ構造には、例えば、ナノ粒子およびナノワイヤが含まれる。「ナノワイヤ」は、本明細書に定義するように、中実異方性ナノ構造を指す。典型的には、各ナノワイヤは、10を上回る、好ましくは50を上回る、より好ましくは100を上回るアスペクト比(長さ:直径)を有する。典型的には、ナノワイヤは、500nmを上回る、または1μmを上回る、または10μmを上回る長さを有する。
【0029】
中空ナノ構造には、例えば、ナノチューブが含まれる。「ナノチューブ」は、本明細書に定義するように、中空異方性ナノ構造を指す。典型的には、ナノチューブは、10を上回る、好ましくは50を上回る、より好ましくは100を上回るアスペクト比(長さ:直径)を有する。典型的には、ナノワイヤは、500nmを上回る、または1μmを上回る、または10μmを上回る長さを有する。
【0030】
同時係属米国特許出願第11/504,822号に開示するように、ナノ構造のアスペクト比(長さ:直径)が高くなると、導電性網の形成に必要なナノ構造は少なくなる。本明細書において使用する際、導電性網は、相互接続ナノ構造または交差ナノ構造のシステムを指す。本説明において、導電性網は、106Ω/□以下の表面抵抗率(または、「シート抵抗」)を有する。好ましくは、導電性網は、105Ω/□、104Ω/□、3,000Ω/□、1,000Ω/□、および100Ω/□以下の抵抗率、または100Ω/□から1000Ω/□もしくは10Ω/□から100Ω/□の抵抗率を有する。特定の好適な実施形態では、導電性網は、ナノワイヤ、ナノチューブ、またはその混合等の異方性ナノ構造から形成される。典型的には、導電性網は、薄膜の形状をとり、「導電性膜」とも呼ばれる。種々の実施形態では、薄膜は、約100nmから200nmの厚さ、または50nmから100nmまでの厚さ、または150nmから200nmまでの厚さを有する。
【0031】
したがって、一実施形態は、基板と、基板上の導電性網であって、複数の金属ナノ構造を備える導電性網とを含む透明導電体を提供し、透明導電体は、1000を上回るコントラスト比を有する。種々の実施形態では、コントラスト比は、750、3000より高いか、または5000より高いことが可能である。他の実施形態では、透明導電体は、1000Ω/□未満、500Ω/□未満、100Ω/□未満、または50Ω/□から400Ω/□の間の表面抵抗率を有する。他の実施形態では、透明導電体は、5%未満のヘーズ、1%未満のヘーズを有する。さらなる実施形態では、透明導電体は、85%を上回る、90%を上回る、または95%を上回る光透過性を有する。
【0032】
典型的には、ナノ構造は、中空ナノ構造(例えば、金属ナノチューブ)、金属ナノワイヤ、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書に説明するように、ナノ構造は、銀ナノワイヤに比べて光散乱が低減可能である特定の形状、寸法、材料を有する。
【0033】
ナノワイヤは、代表的なナノ構造として示され、本プロセスが全ての形状および構造のナノ構造に適用される。その1例としては、基板上に、第1の種類の金属(例えば、銀)のナノワイヤが蒸着される。ナノワイヤをテンプレートとして使用して、第2の種類の金属(例えば、金)の薄塗膜をめっきして、金めっきのナノワイヤを形成する。その後、選択エッチングステップを実行して、テンプレート、すなわちナノワイヤを除去する。ナノワイヤテンプレートの除去によって、塗膜内に空洞が形成され、このようにして、第1の種類の金属のナノワイヤを第2の種類の金属の中空ナノ構造、すなわちナノチューブに変換する。
【0034】
一般に、塗膜の厚さは、2−30nmの範囲、またはより典型的には、5−20nmの範囲であることが可能である。特定の好適な実施形態では、銀ナノワイヤ(直径30−80nm)は、約10−20nmの厚さの金の薄層でめっき可能である。エッチングから生じる中空ナノ構造は、塗膜の厚さ「d」の実質的に等しい壁厚さを有する。塗膜は、テンプレートナノ構造よりも薄いため、テンプレートナノ構造よりも、中空ナノ構造の表面から散乱される光は少なくなる。
【0035】
めっきステップは、例えば、電気めっき、無電解めっき、または金属間変位によって実行可能である。電気めっき中、基板上に最初に蒸着されるテンプレートナノワイヤは、その上にめっき金属が電気化学的に蒸着可能である作用電極(すなわち、陰極)として使用可能である。典型的には、めっき金属は、めっき浴においてそのイオン型にあり、これは、テンプレートナノワイヤおよび対極(例えば、陽極)の両方に接触する。電流が印加されると、めっき金属のイオンは、陰極に移動し、テンプレートナノワイヤの表面上に蒸着中に、元素金属に還元される。代替として、めっき金属は、電流下で金属イオンに溶解する犠牲電極であることが可能である。
【0036】
無電解めっきでは、電極および電流のいずれも必要としない。代わりに、還元剤を使用して、めっき金属(イオン型)をその元素型に変換する。例えば、テンプレートナノワイヤをめっき液中に浸漬することが可能であり、めっき液は、そのイオン型のめっき金属および還元剤を含む。無電解めっきに適切な還元剤は、当技術分野において既知であり、ホルムアルデヒド、有機硼素剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン)、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。イオンめっき金属の適切な混合を含むめっき液、適切な還元剤、および安定剤も、Stapleton Technologies,Inc.(Long Beach,CA)等の業者から市販されている。例えば、Stapleton(登録商標) Micro 291は、銀、ニッケル、銅等のめっき金属に適切な商業用の金めっき液である。
【0037】
テンプレートナノ構造を形成する金属およびめっき金属の相対活性に応じて、直接または自発的金属間変位は、さらに別のめっき方法論を提供する。金属間変位反応では、反応性の高い金属は、反応性の低い金属のイオン型を置換することが可能である。したがって、テンプレートナノワイヤが反応性の高い金属から作製される場合、テンプレートナノワイヤが、反応性の低い金属のイオンに接触すると、反応性の低い金属は、元素金属に変換され、一方、反応性の高い金属は、イオンに変換される。例えば、銀ナノワイヤをテンプレートとして使用する場合、薄層の金は、銀ナノワイヤと、1価塩(例えば、亜硫酸アンモニウム金)および3価塩(例えば、4塩化金酸)を含む金塩とを組み合わせることによって、各テンプレートナノワイヤ上にめっき可能である。価金塩は、1:1の比率で銀原子を置換するため、典型的には好適であるが、3価金塩は、1金原子につき3つの銀原子を置換する。銀ナノワイヤは、浸食する(すなわち、銀イオンに変換する)が、金被膜は、残りの銀ナノワイヤ上に形成される。変位反応の進展は、銀ナノワイヤが金によって部分的または完全に置換可能であるように、制御可能である。
【0038】
選択エッチングは、第2の種類の金属の金属塗膜をエッチングせずに、第1の種類の金属のテンプレートナノ構造を除去する。エッチングは、エッチング液により化学的に実行可能である。一方の金属を区別してエッチングし、他方の金属を残す限り、エッチング液に関して特に制限しない。例えば、銀ナノワイヤテンプレートは、任意の銀エッチング液により除去可能であり、銀エッチング液には、硝酸(HNO)、過硫酸アンモニウム((NH)、およびその同等物が含まれるが、これらに限定されない。任意により、最初に銀を酸化銀に変換するために、酸化剤も提示可能であり、酸化銀は、硝酸によってさらに溶解される。例示的な酸化剤は、過マンガン酸カリウム(KMnO)である。
【0039】
化学エッチングの代替として、電解エッチングを使用して、テンプレートナノ構造を除去することが可能である。電解エッチング中、テンプレートナノ構造は、陽極にされ、電解質に接触する。対極(すなわち、陰極)も、電解質に浸漬される。選択エッチングは、電極に印加する電圧を制御することによって達成される。電圧は、第1の種類の金属(テンプレートナノ構造用)の酸化電位より高く、また、第2の種類の金属(めっき金属用)の酸化電位よりも低くなくてはならない。このような電圧において、テンプレートナノ構造は、犠牲電極として選択的にエッチング可能であるが、めっき金属は影響を受けない。例えば、金塗膜銀ナノワイヤから銀をエッチングする場合、印加電圧は、典型的には約0.8Vであり、これは、銀を酸化するための電気化学電位よりも高いが、金を酸化するための電気化学電位よりも低い。結果として、銀ナノワイヤだけがエッチングされる。
【0040】
めっきおよびエッチングの種々の方法に関する上記説明に基づいて、めっきおよびエッチングに関する任意の合理的な組み合わせが実行可能であることを認識されたい。例えば、テンプレートナノ構造を、電気めっきおよび化学的エッチングすることが可能であるか、または電気めっきおよび電解エッチングすることが可能であるか、または無電解めっきおよび電解エッチングすること等が可能である。
【0041】
特定の実施形態では、ナノ構造(例えば、金ナノチューブ等の中空ナノ構造、または銀ナノワイヤもしくはめっき銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤ)のインク分散は、粘性、付着、およびナノワイヤ分散を制御するために、添加剤および結合剤を含み得る。適切な添加剤および結合剤の例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンガム(XG)、ならびにエトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド、およびプロピレンオキシド、およびその共重合体等の界面活性剤、ならびにスルホン酸塩、硫酸塩、ジスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、フルオロ界面活性剤(例えば、DuPont社のZonyl(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
一例において、「インク」には、0.0025重量%から0.1重量%までの界面活性剤(例えば、Zonyl(登録商標)FSO−100では、好適な範囲は0.0025重量%から0.05重量%まで)、0.02重量%から4重量%までの粘度調整剤(例えば、HPMCでは、好適な範囲は0.02重量%から0.5重量%まで)、94.5重量%から99.0重量%までの溶媒、および0.05重量%から1.4重量%までの金属ナノ構造(例えば、金ナノチューブ等の中空ナノ構造、または銀ナノワイヤもしくはめっき銀ナノワイヤ等の金属ナノワイヤ)が含まれる。適切な界面活性剤の代表的な例として、Zonyl(登録商標)FSN、Zonyl(登録商標)FSO、Zonyl(登録商標)FSH、Zonyl(登録商標)FFA、トリトン(x100、x114、x5)、ダイノール(604、607)、n−ドデシルb−D−マルトシド、およびノベックが挙げられる。適切な粘度調整剤の例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。適切な溶媒の例として、水およびイソプロパノールが挙げられる。
【0043】
上記に開示される濃度からインク分散の濃度を変更したい場合、溶媒の割合を増減することが可能である。しかしながら、好適な実施形態では、残りの成分の相対比率は、同一のままであることが可能である。具体的には、界面活性剤と粘度調整剤との比率は、好ましくは、約80から約0.01までの範囲であり、粘度調整剤と金属ナノ構造との比率は、好ましくは、約5から約0.000625までの範囲であり、金属ナノ構造と界面活性剤との比率は、好ましくは、約560から約5までの範囲である。分散の成分の比率は、基板および使用する用途の方法に応じて修正してもよい。ナノ構造分散の好適な粘度は、約1cPから100cPまでの間である。
【0044】
ナノ構造の寸法および荷重密度に応じて、導電性網は、光学的に透明であることが可能である。典型的には、透明導電体の光学的透明性および明瞭性は、光透過性およびヘーズを含むパラメータによって定量的に定義可能である。「光透過性」は、媒体を介して透過する入射光の割合を指す。入射光は、約400nmから700nmまでの間の波長を有する可視光を指す。種々の実施形態では、透明導電体の光透過性は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。ヘーズは、光拡散の指標である。これは、入射光から分離し、かつ透過中に散乱した光の量の割合を指す(すなわち、透過ヘーズ)。主に媒体の特性である光透過性とは違って、ヘーズは、しばしば産生に関し、典型的には、表面粗さおよび埋め込み粒子または媒体中の成分不均質によって引き起こされる。種々の実施形態では、透明導電体のヘーズは、10%以下、8%以下、5%以下、または1%以下である。典型的には、ヘーズ値が高いほど、コントラスト比は低くなる。種々の実施形態では、透明導電体のコントラスト比は、750を上回る、1,000を上回る、2,000を上回る、3,000を上回る、4,000を上回る、または5,000を上回る。
【0045】
中空ナノ構造により形成される導電性膜は、化学的および熱的に安定している。実施例12において実証されるように、導電性膜の光学的特性および電気的特性は、熱および化学物質への長期暴露後に、実質的に不変であった。導電性膜が、熱または化学物質等の外部要因へ暴露される場合に、その抵抗率が30%を超えて、または5%を超えて、またはより好ましくは、1%を超えて変動しない場合に、導電性膜は安定であると考えられる。したがって、特定の実施形態は、中空ナノ構造を備える透明導電体膜を提供し、透明導電体膜は、85%より高い光透過性、1%より低いヘーズ、および1500Ω/□より低い抵抗率を有し、抵抗率は、熱または化学剤への暴露時に1%を超えて変化しない。
【0046】
(ITO膜)
本発明においては、透明導電性膜をなす材料として、ITO粒子を用いることも好ましい。ITO(錫ドープ酸化インジウム)粒子としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。ITO粒子は、例えばインジウム塩及び錫塩を含む酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加することにより共沈水酸化物を析出させ、洗浄し、固液分離した後、微還元性雰囲気下、300〜1000℃で該共沈水酸化物の一次焼成を行い、引き続き微還元性雰囲気又は不活性雰囲気下、600〜1000℃で二次焼成することで得ることができる。このような方法で製造されたITO粒子は、その製造方法に起因して酸素欠損が生じている。この酸素欠損は、ITOナノ粒子の導電性を高めることに寄与している。
上記、ITOナノ粒子は、一次平均粒径100nm以下が好ましい。ITO粉末の平均粒径が100nm以下であるのはITO粉末が膜中に分散した場合、膜を通過する光の散乱はほとんどがいわゆるRayleigh散乱又はMie散乱のモードとなり、物体の透明性は極めて高くなり、ヘイズ値も実用的レベルの3%以下に下がるからである。ITO粉末は電界シールド処理液中に1〜15重量%含有することが好ましい。
また、極性溶媒としては、焼成温度以下の適当な沸点をもち、ITO粒子を効率良く分散し得るものであればよく、N−メチル−2−ピロリジノンと例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、メチルセロソルブ、ジアセトンアルコール、アセトン、テトラヒドロキシフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどとの混液を好ましい例として挙げることができる。N−メチル−2−ピロリジノンは、ITO粉末の分散を助長するために使用され、電界シールド処理液中に1〜20重量%含有することが好ましい。
【0047】
本発明においては、透明導電性膜をなす材料として、導電性ポリマーを用いることも好ましい。例えば、共役系である、ポリアセチレン系高分子、ポリフェニレン系高分子、複素環系高分子及びイオン性ポリマー系高分子等が使用できる。ポリアセチレン系高分子としては、例えば、ポリアセチレン、ポリフェニルアセチレン等が挙げられる。ポリフェニレン系高分子としては、例えば、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン等が挙げられる。複素環系高分子としては、例えば、ポリピロール、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等が挙げられる。イオン性ポリマー系高分子としては、例えば、ポリアニリンが挙げられる。
【0048】
本発明においては、透明導電膜を開口部を有する金属メッシュを利用する手法を用いて形成しても良い。材料、手法としては、導電性繊維、無電解メッキ加工メッシュ、フォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工メッシュ、銀塩を用いた導電性金属銀パターン、銀ペーストを印刷したメッシュ、不規則網目状の銀メッシュなどの手法などがある。
【実施例】
【0049】
以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
【0050】
(実施例1)
表1に示す材料を基板であるガラスウエハ(Corning 1737、Corning社製)にスピンコート法で塗布し、透明導電性膜を得た。得られた膜を、分光光度計U−4100(商品名、日立(株)製)を用いて、透明パターンの透過率測定を行った。表面抵抗は、ロレスタHP MCP-T410(商品名、三菱化学アナリテック製)で測定を行った。
<塗布性評価>
上記で得られた透明導電性膜の外観を目視で評価した結果を表1に示す。評価の点数として、下記を用いた。
5: 膜ムラ無し
4: 膜ムラがほぼ無し
3: 膜ムラはあるが、評価可能
2: 膜ムラあり、評価困難
1: 膜ムラがあり評価不能
【0051】
【表1】

【0052】
比較例に比べ、透明性と導電性を両立した良好な膜が得られていることが確認でき、電磁波シールド材料として好適な材料である。
【0053】
前記表中の各試料は下記のものをそれぞれ使用した。
・ITOナノ粒子A:SIGMA−Aldrich社製、商品名:700460、一次粒径 100nm
・ITOナノ粒子B:一次粒径 25nm、Snドープ比率 10%
・ITOナノ粒子C:一次粒径 5nm、Snドープ比率 10%
・銀(Ag)ナノワイヤは,ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下でエチレングリコール中に溶解された硝酸銀の還元によって、銀ナノワイヤを合成した。平均短軸長さ30nm、平均長軸長さ10μmであった。それぞれの銀ナノワイヤおよびPVP(ポリビニルピロリドン)、IPA(イソプロピルアルコール)の量(質量%)は下記のとおりである。
Ag−NW PVP IPA
104 0.76% 0.76% 99.24%
105 0.30% 0.30% 99.39%

PEDOT/PSS:SIGMA−Aldrich社製、商品名:483095、
PVP:ポリビニルピロリドン
IPA:イソプロピルアルコール
【0054】
(実施例2)
上記で得られた透明導電性膜を、ホットプレートにて耐熱試験を行った結果を表2に示す。評価の点数として、下記を用いた。
【0055】
<耐熱性評価>
4 260℃の熱で、導電性の変化が5%以内
3 200℃の熱で、導電性の変化が5%以内
2 150℃の熱で、導電性の変化が5%以内
1 100℃の熱で、導電性の変化が5%以内
【0056】
【表2】

【0057】
実用的な耐熱性に優れる透明導電膜を作製できていることが確認された。
【符号の説明】
【0058】
1a 第1レンズ体
1b 第2レンズ体
2 外枠
3 受光層
4 基材(ウェハ)
5 透明導電性膜
9 遮光性塗料の塗布膜
10 固体撮像素子
10a 固体撮像素子前駆体
11 レンズユニット(比較例)
13 受光層(比較例)
14 ウェハ(比較例)
19 遮光樹脂(比較例)
B WLL遮光材
w ダイシング幅(比較例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電膜を内部部材表面上に有する固体撮像素子の製造方法であって、導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する透明導電性膜を、前記内部部材に配設する固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
前記部材に透明導電性膜を配設する工程の後に、ウェハ上に設けられた部材積層体をダイシングする工程を含む請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
ウェハレベルプロセスによる請求項1又は2に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項4】
前記導電性金属粒子が、Au、Ag、Cu、及びその複合物からなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項5】
前記導電性金属ナノワイヤが、Au、Ag、及びCuからなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項6】
前記導電性酸化物粒子が、インジウム、錫、アンチモン、アルミニウム、チタン、及び亜鉛からなる群から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項7】
前記導電性ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、及びPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で固体撮像素子を作製する工程と、これをモジュール化する工程とを有するカメラモジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により固体撮像素子の内部部材表面に形成された透明導電性膜であって、
導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する透明導電性膜。
【請求項10】
請求項9に記載の透明導電性膜を具備する固体撮像素子。
【請求項11】
請求項10に記載の固体撮像素子を具備するカメラモジュール。
【請求項12】
請求項9に記載の透明導電性膜の電磁波シールド膜としての使用。
【請求項13】
固体撮像素子の内部部材表面に配設して透明導電性膜をなす透明導電性塗料であって、
導電性金属粒子、導電性金属ナノワイヤ、導電性酸化物粒子、及び導電性ポリマーのいずれか一種を少なくとも含有する固体撮像素子用の透明導電性塗料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−12615(P2013−12615A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144970(P2011−144970)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】