説明

固体撮像素子及び測距装置

【課題】撮像部の出力をその平均値を基準として差動増幅する際に発生する誤差成分の影響をなくすことができる固体撮像素子及びこのような固体撮像素子を用いた測距装置を提供すること。
【解決手段】隣接して配置される複数の画素列111a、111bの光電荷蓄積を同じタイミングで行う。画素列111aからの信号の読み出し時に、平均値保持回路121において画素列111aからの信号の平均値を演算して保持しておくとともに、利得設定値保持回路123において平均値基準読み出しの際の利得を演算して保持しておく。画素列111bからの信号の読み出し時に、平均値保持回路121に保持しておいた平均値及び利得設定値保持回路123に保持しておいた利得を用いて、差動増幅回路126における差動増幅を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及び固体撮像素子を用いた測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカスカメラに用いられている焦点検出装置の1つとして位相差検出方式の焦点検出装置が知られている。位相差検出方式においては、主光学系の異なる光路を通過した被写体からの光が、瞳分割光学系において分割され、該分割された光が被写体像として基準部の撮像部と参照部の撮像部の2つの焦点検出部によってそれぞれ検出され、これら検出された被写体像の2像間隔値から撮影画面内に配された測距点における焦点状態が検出される。
【0003】
ここで、位相差検出方式においては、コントラストの低い被写体に対しては焦点位置検出が困難である。そのため、撮像部で得られる出力信号を光電変換装置の暗時出力(光が当たっていない画素からの出力)を基準として増幅する手法と、撮像部で得られる出力信号を光電変換装置の平均出力を基準として増幅する手法とを被写体に応じて適宜切り替えて焦点検出を行うことができる焦点検出装置が例えば特許文献1において提案されている。
【0004】
図9(a)及び図9(b)を参照して、特許文献1の焦点検出装置について更に説明する。
図9(a)に示す焦点検出装置は、被写体からの光を受光し、受光した光に応じた信号を出力する撮像部(図9(a)ではセンサ201が対応する)と、撮像部で得られた信号を処理するための読み出し部(図9(a)ではモニタ電圧回路202、平均値保持回路203、暗時出力電圧回路204、セレクト回路205、差動増幅回路206が対応する)とを有している。
【0005】
図9(a)に示す焦点検出装置は、センサ201で得られた信号を差動増幅回路206で差動増幅するものである。そして、差動増幅回路206の非反転端子にはセンサ201の出力が接続され、反転端子には一方の入力が暗時出力電圧回路204の出力に、他方の入力が平均値保持回路203の出力に接続されたセレクト回路205の出力が接続されている。このような構成において、セレクト回路205において暗時出力電圧回路204を選択すると、センサ201からの出力とセンサ201に設けられている光が当たらない遮光された画素(以下、遮光画素という)からの出力との差動増幅が行われる。一方、セレクト回路205において平均値保持回路203を選択すると、センサ201からの出力とモニタ電圧回路202によって検出され平均値保持回路203に保持されたセンサ出力の平均値との差動増幅が行われる。
【0006】
一方、図9(b)に示す焦点検出装置は、被写体からの光を受光し、受光した光に応じた信号を出力する撮像部(図9(b)ではセンサ201が対応する)と、撮像部で得られた信号を処理するための読み出し部(図9(b)では平均値演算回路207、平均値保持回路203、暗時出力電圧回路204、セレクト回路205、差動増幅回路206が対応する)とを有している。
【0007】
図9(b)に示す焦点検出装置は、センサ201で得られた信号を差動増幅回路206で差動増幅するものである。そして、差動増幅回路206の非反転端子にはセンサ201の出力が接続され、反転端子には一方の入力が暗時出力電圧回路204の出力に、他方の入力が平均値保持回路203の出力に接続されたセレクト回路205の出力が接続されている。このような構成において、セレクト回路205において暗時出力電圧回路204を選択すると、センサ201からの出力とセンサ201に設けられている遮光画素からの出力との差動増幅が行われる。一方、セレクト回路205において平均値保持回路203を選択すると、センサ201からの出力と平均値演算回路207において演算され平均値保持回路203に保持されたセンサ出力の平均値との差動増幅が行われる。
【0008】
ここで、図9(a)及び図9(b)の回路において、セレクト回路205において平均値保持回路203の出力が選択された場合の差動増幅回路206の出力について説明する。図9(a)及び図9(b)において、差動増幅回路206の利得をGain、センサ201の出力をVout、平均値保持回路203の出力をVaveとすると、差動増幅回路206の出力Vampは、
Vamp=Gain×(Vout−Vave)
となる。
【0009】
遮光画素からの出力を基準とした読み出しの場合、被写体のコントラストが低いと信号を読み出せなくなる場合が生じる。このような場合には、平均値を基準とした読み出しを行うことで、被写体のコントラストに応じた信号の読み出しを行うことが可能である。
【特許文献1】特開平11−84226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、図9(a)に示す構成において、平均値保持回路403の入力はモニタ電圧回路202である。モニタ電圧回路202は、一般に、図10(a)に示すように、センサ201の画素列2011に入射する光の平均値に対応した光を受けるモニタフォトダイオード(PD)2021と、モニタPD2021から出力される電荷を電圧に変換して読み出すモニタPD出力読み出し回路2022とを有して構成されている。このような構成により、モニタ電圧回路202ではセンサ201の出力Voutの平均値Vaveとほぼ等しい電圧を検出することができる。しかしながら、モニタPD2021の出力とセンサ201の出力の平均値Vaveとを完全に等しくすることはできず、必ず誤差成分Vdcoff1を含むことになる。このような誤差成分Vdcoff1を考慮すると、差動増幅回路206の出力Vampは、
Vamp=Gain×(Vout−Vave±Vdcoff1)
=Gain×(Vout−Vave)±Gain×Vdcoff1
となる。
【0011】
ここで、誤差成分Vdccoff1は、モニタPD2021とセンサ201の画素列2011との構造の違いや画素列2011からの出力の読み出し回路2012とモニタPD出力読み出し回路2022との回路の特性差に起因して発生するものである。なお、誤差成分Vdccoff1は、特定の電圧源を用いたり特定の温度条件下で用いたりすることで小さくすることができる。しかしながら、この場合、電源電圧や温度が変化すると誤差成分Vdccoff1が変化してしまうことになる。
【0012】
また、図9(b)に示す構成において、平均値保持回路203の入力は平均値演算回路207である。平均値演算回路207は、画素列2011から読み出し回路2012を介して出力される信号の平均値を演算する回路である。このような平均値演算回路207で演算された平均値を基準とした読み出しを行うためには2回の読み出しを行う必要がある。即ち、図10(b)に示すように、1回目の画素列2011からの信号の読み出し後に平均値を演算して平均値保持回路203に保持しておくことで、2回目の画素列2011からの信号の読み出し時に平均値保持回路203に保持された平均値を基準とした読み出しを行うことが可能である。このような構成の場合、1回目と2回目とで画素列2011への光の入射時間が異なると1回目と2回目とで平均値が異なる場合もあり得る。この入射時間の差に起因して誤差成分Vdccoff2が発生する。このような誤差成分Vdcoff2を考慮すると、差動増幅回路206の出力Vampは、
Vamp=Gain×(Vout−Vave+Vdcoff2)
=Gain×(Vout−Vave)+Gain×Vdcoff2
となる。
【0013】
以上、図9(a)及び図9(b)の何れの構成においても平均値保持回路203で保持される平均値は誤差成分を含み、この誤差成分が差動増幅回路206において増幅されてしまう。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、撮像部の出力をその平均値を基準として差動増幅する際に発生する誤差成分の影響をなくすことができる固体撮像素子及びこのような固体撮像素子を用いた測距装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の形態の固体撮像素子は、光電荷を蓄積するための画素列が複数隣接して配置され、各画素列で蓄積された光電荷に基づく信号を出力する撮像部と、前記撮像部の各画素列に対して同じタイミングで光電荷を蓄積させるとともに、前記信号を画素列単位で順次出力させる制御部と、所定のタイミングにおける前記画素列からの出力の平均値と前記所定のタイミングよりも後のタイミングにおける前記画素列からの出力との差分を増幅して出力する信号処理部とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮像部の出力をその平均値を基準として差動増幅する際に発生する誤差成分の影響をなくすことができる固体撮像素子及びこのような固体撮像素子を用いた測距装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る測距装置が搭載されるカメラの、特に測距装置に係る構成について示す図である。ここで、図1に示すカメラは、1眼レフレックス方式のカメラを示しており、フォーカスレンズ1と、メインミラー2と、ペンタプリズム3と、接眼レンズ4と、サブミラー5と、コンデンサレンズ6と、固定ミラー7と、瞳分割光学系8と、AFセンサ9と、焦点演算部10と、レンズ駆動信号生成部11と、モータドライバ12と、撮像素子13とを有している。
【0018】
フォーカスレンズ1は、図示しない被写体からの光を集光し、集光した光をカメラ内部の撮像素子13上に結像させる。メインミラー2は、中央部がハーフミラーで構成されたミラーであり、フォーカスレンズ1を介して入射してきた光を反射及び透過させる。ここで、メインミラー2は、図示しないミラー駆動機構により図示矢印A方向に回動自在になされている。そして、メインミラー2が図1の位置にある場合には、フォーカスレンズ1を介して入射した光の一部をペンタプリズム3の側に反射させ、一部をサブミラー5の側に透過させる。また、メインミラー2が図示A方向に回動された場合には、フォーカスレンズ1を介して入射した光が撮像素子13の側に入射する。
【0019】
ペンタプリズム3は、メインミラー2において反射されて得られる被写体像を正立像にしてから接眼レンズ4に入射させる。接眼レンズ4は、ペンタプリズム3からの被写体像を撮影者が視認可能なように拡大する。
【0020】
サブミラー5は、メインミラー2の中央部背面側に設けられ、メインミラー2を透過した光をコンデンサレンズ6の方向に反射させる。コンデンサレンズ6は、サブミラー5で反射され、撮像等価面上に結像した被写体光を集光する。固定ミラー7は、コンデンサレンズ6によって集光された被写体光を瞳分割光学系8に入射させる。瞳分割光学系8は、少なくとも1対の瞳分割レンズから構成されており、コンデンサレンズ6からの被写体光を瞳分割してAFセンサ9に結像させる。
【0021】
AFセンサ9は、少なくとも1対の固体撮像素子から構成され、被写体像を受光して光電変換し、光電変換によって得られる電荷を電圧に変換して焦点演算部10に出力する。このAFセンサ9の詳細については後述する。
【0022】
焦点演算部10は、AFセンサ9から対として出力される被写体像を示す電圧信号をデジタル化して取り込み、取り込んだデジタル信号に従って、対をなす固体撮像素子にそれぞれ入射した被写体像における2像間隔値(ズレ量)を、例えば相関演算により演算する。レンズ駆動信号生成部11は、焦点演算部10において演算されたズレ量から、焦点が合う位置にフォーカスレンズ1を移動させるためのレンズ駆動信号を生成してモータドライバ12に出力する。モータドライバ12は、レンズ駆動信号生成部11からのレンズ駆動信号に従ってフォーカスレンズ1を、図示矢印B方向で示す方向に駆動させる。撮像素子13は、被写体からの光を受光して記録又は表示のための画像信号を得る。
【0023】
図2は、AFセンサ9を構成する固体撮像素子の構成を示す図である。ここで、AFセンサ9は対をなす固体撮像素子から構成されているが、図2にはそのうちの一方の固体撮像素子のみを図示している。
【0024】
図2に示す固体撮像素子は、撮像部110と、信号処理部120と、制御部130とを有している。
【0025】
撮像部110は、画素列111a及び111bと、読み出し回路112とを有して構成されている。
【0026】
画素列111a及び111bはそれぞれ図示しない被写体からの光を電荷(光電荷)に変換する画素等が配列されて構成されている。図3は、画素列111aと画素列111bの構成を示した図である。図3に示すように、画素列111aは、画素1111aと、トランスファゲート1112aと、転送路1113aとを有している。また、画素列111bは、画素1111bと、トランスファゲート1112bと、転送路1113bとを有している。
【0027】
画素1111a、1111bは、例えばフォトダイオードから構成され、被写体からの光を光電変換し、その光量に応じた電荷(光電荷)を蓄積する。画素1111aとは1111bは、所定のピッチ(図3では1/2画素ピッチ)だけずらして配置されている。また、図2において、画素1111a、1111bの一部の画素(図示ハッチング部の画素)は、遮光されている。この遮光画素は、後述する暗時出力保持回路において暗時出力を保持するため等の理由で設けられている。
【0028】
トランスファゲート1112a、1112bは、画素1111a、1111bに対応して設けられ、それぞれ、制御部130から制御信号TGL1、TGL2が入力される。これらトランスファゲート1112a、1112bは、制御部130から制御信号TGL1、TGL2が入力される毎に、画素1111a、1111bに蓄積された光電荷を転送路1113a、1113bに転送する。
【0029】
転送路1113a、1113bは、それぞれ、制御部130から制御信号φL1、φL2が入力される。これら転送路1113a、1113bは制御信号φL1、φL2が入力される毎に、トランスファゲート1112a、1112bから転送された光電荷を画素単位で読み出し回路112に転送する。ここで、図2、図3においては制御信号φL1、φL2を1つの信号で示しているが、実際には多相(2相若しくは4相)の信号である。
【0030】
読み出し回路112は、画素列111a及び画素列111bから転送されてくる電荷を電圧に変換し、この電圧信号Voutを信号処理部120に出力する。ここで、読み出し回路112には、制御部130からの制御信号としてリセット信号φrstが入力される。リセット信号φrstは1画素分の電圧信号の読み出し前に入力される信号であり、このリセット信号φrstが入力される毎に、読み出し回路112の出力電圧Voutがリセットされる。これにより、読み出し回路112から画素単位の電圧信号を取り出すことが可能である。なお、読み出し回路112は、例えば浮動拡散アンプ(floating diffusion amplifier)で構成されている。
【0031】
信号処理部120は、平均値保持回路121と、暗時出力保持回路122と、利得設定値保持回路123と、セレクタ124、125と、差動増幅回路126とを有している。
【0032】
平均値保持回路121は、撮像部110の出力部に接続され、撮像部110からの画素単位の出力Voutの平均値に対応した電圧信号Vaveを生成し、この生成した平均電圧Vaveを保持する。暗時出力保持回路122は、撮像部110の出力部に接続され、撮像部110からの画素単位の出力Voutにおける暗時出力、即ち遮光画素に対応した電圧信号Vrefを保持する。
【0033】
利得設定値保持回路123は、撮像部110の出力部に接続され、撮像部110からの画素単位の出力Voutの最大値と最小値の差に相当する電圧信号を生成するとともに、該生成した信号に従って差動増幅回路126の利得を決めるための値を演算し、演算した値を保持する。
【0034】
セレクタ124は、平均値保持回路121の出力及び暗時出力保持回路122の出力と差動増幅回路126の反転入力端子とに接続されている。また、セレクタ124には、制御部130からの制御信号として、基準電圧選択信号Refselが入力される。このような構成において、セレクタ124は、基準電圧選択信号Refselの状態に応じて平均値保持回路121の出力電圧信号Vaveと暗時出力保持回路122の出力電圧信号Vrefの何れかを選択し、選択した出力電圧信号を基準電圧信号として差動増幅回路126の反転入力端子に供給する。ここで、本実施形態の例では、セレクタ124は、基準電圧選択信号Refselがハイレベル(H)のときに暗時出力保持回路122の出力電圧信号Vrefを選択し、基準電圧選択信号Refselがローレベル(L)のときに平均値保持回路121の出力電圧信号Vaveを選択する。
【0035】
セレクタ125は、利得設定値保持回路123の出力及び制御部130における電圧信号Vgain_darkの出力端子と差動増幅回路126の利得設定端子とに接続されている。また、セレクタ125には、制御部130から制御信号として利得設定選択信号Gainselが入力される。このような構成において、セレクタ125は、利得設定選択信号Gainselの状態に応じて利得設定値保持回路123の出力電圧信号Vgain_aveと制御部130から供給される電圧信号Vgain_darkの何れかを選択し、選択した電圧信号を差動増幅回路126の利得設定端子に供給する。ここで、本実施形態の例では、セレクタ125は、利得設定選択信号GainselがHのときに電圧信号Vgain_darkを選択し、利得設定選択信号GainselがLのときに利得設定値保持回路123の出力電圧信号Vgain_aveを選択する。
【0036】
差動増幅回路126は、非反転入力端子が撮像部110の出力に接続され、反転入力端子がセレクタ124に接続されている。また、差動増幅回路126の出力はAFセンサ9の出力となっている。この差動増幅回路126は、撮像部110から出力される電圧信号Voutとセレクタ124によって選択される電圧信号とを、利得設定端子に供給される電圧信号によって設定される利得に従って差動増幅する。
【0037】
制御部130は、撮像部110、信号処理部120に対して上述したような各種の制御信号を供給するとともに、差動増幅回路126の利得設定に用いられる電圧信号Vgain_darkを生成してセレクタ125に出力する。
【0038】
以下、本実施形態の固体撮像素子についてさらに詳しく説明する。
図4は、信号処理部120から出力される信号について示した図である。読み出し回路112への制御信号φrstがHとなると、読み出し回路112の出力Voutが所定のリセットレベルとなる。そして、制御信号φrstがHからLに切り替わるときに読み出し回路112の出力Voutが所定のフィードスルーレベルとなった後、読み出し回路112の出力Voutが画素に応じたレベルとなる。ここで、信号処理部120には、2つのセレクタ124、125が設けられており、それぞれのセレクタの状態を切り替えることで異なる種類の基準に基づいた信号の読み出しを行うことが可能である。
【0039】
図4(a)は、暗時出力基準読み出しを示している。この暗時出力基準読み出しは、利得設定選択信号Gainselと基準電圧選択信号RefselとをともにHとしたときの読み出しモードである。この場合、信号処理部120の出力Vampは、読み出し回路112の出力Voutと暗時出力保持回路122の出力Vrefとの差を利得Vgain_dark倍したものとなる。ここで、暗時基準読み出しの際に差動増幅回路126の利得設定端子に加える信号Vgain_darkは、信号処理部120の出力Vampが飽和しないように設定される固定値である。
【0040】
また、平均値基準読み出しは、利得設定選択信号Gainselと基準電圧選択信号RefselとをともにLとしたときの読み出しモードである。この場合、信号処理部120の出力Vampは、読み出し回路112の出力Voutと平均値保持回路121の出力Vaveとの差を利得Vgain_ave倍したものとなる。ここで、平均値基準読み出しの際に差動増幅回路126の利得設定端子に加える信号Vgain_aveも、信号Vgain_darkと同様に、信号処理部120の出力Vampが飽和しないように設定する必要がある。この設定手法としては、例えば、撮像部110の出力Voutにおける遮光されていない画素に対応した部分の増幅後の結果が、焦点演算部10に設けられる図示しないADコンバータの2値化可能範囲内で且つ2値化可能範囲の上限と下限に可能な限り近くなるようにVgain_aveを設定する。即ち、Voutにおける最大値の増幅後の結果がADコンバータの2値化可能範囲の上限に可能な限り近く、且つVoutにおける最小値の増幅後の結果がADコンバータの2値化可能範囲の下限に可能な限り近くなる利得をVgain_aveとする。
【0041】
図5は、本実施形態の固体撮像素子における信号読み出し動作の第1の例について示すタイミングチャートである。なお、図5は、上から、制御部130において生成される制御信号TGL1、TGL2、φL1、φL2、リセット信号φrst、信号処理部120(差動増幅回路126)の出力Vamp、利得設定選択信号Gainsel、基準電圧選択信号Refsel、固体撮像素子の読み出しモード、平均値保持回路121の動作状態、利得設定値保持回路123の動作状態をそれぞれ示している。
【0042】
第1の例においては、画素列111aと画素列111bとの光電荷の蓄積時間を同じくし、且つ画素列111aからの信号の読み出しと画素列111bからの信号の読み出しとを異なるタイミングで行う。さらに、画素列111aからの信号の読み出しを暗時基準出力読み出しによって行い、画素列111bからの信号の読み出しを平均値基準出力読み出しによって行う。
【0043】
図5には図示していないが、第1の例においては、制御部130は、画素列111aと画素列111bとの光電荷の蓄積を同時に開始させる。そして、画素列111aと画素列111bに所定の光電荷が蓄積された時点で、制御部130は、制御信号TGL1、TGL2を同時にHとする。また、制御信号TGL1、TGL2をHとしたのと同期して、制御部130は、利得設定選択信号Gainselと基準電圧選択信号RefselとをHとする。
【0044】
以上の制御によって、画素1111aに蓄積された光電荷がトランスファゲート1112aを介して転送路1113aに転送されるとともに、画素1111bに蓄積された光電荷がトランスファゲート1112bを介して転送路1113bに転送される。このようにして、画素列111a、111bにおける光電荷の蓄積が同時に終了する。ここで、画素列111aと画素列111bとは隣接配置されているので、光電荷の蓄積時間を同じとすれば各画素列に蓄積される光電荷量が等しくなる。
【0045】
画素列111aと画素列111bの光電荷の蓄積終了後、制御部130は、転送路1113aに制御信号φL1を加えるとともに読み出し回路112にリセット信号φrstを加える。転送路1113aに制御信号φL1が加わる毎に、転送路1113aに転送された光電荷が順次読み出し回路112に転送される。また、読み出し回路112に加えられているリセット信号φrstがHからLに切り替わったときに画素1111aにおいて蓄積された光電荷に応じた電圧信号Voutが読み出し回路112から信号処理部120に入力される。
【0046】
上述したように、第1の例においては、画素列111aからの信号の読み出し期間においては、暗時出力基準読み出しを行っている。この期間に、平均値保持回路121は、画素列111aから順次転送される光電荷に基づく信号Voutの平均値Vaveを演算する。同様に、利得設定値保持回路123は画素列111aから順次転送される光電荷に基づく信号から、平均値基準読み出しの際の利得Vgain_aveを演算する。
【0047】
差動増幅回路126は、読み出し回路112から出力される電圧信号Voutと暗時出力保持回路122の出力Vrefとの差分を利得Vgain_darkに従って増幅する。そして、差動増幅回路126は、差動増幅によって得られる信号Vampを焦点演算部10に出力する。
【0048】
画素列111aからの信号の読み出しと平均値及び利得の演算とが終了した後、制御部130は、転送路1113bに制御信号φL2を加えるとともに読み出し回路112にリセット信号φrstを加える。また、制御部130は、利得設定選択信号Gainselと基準電圧選択信号RefselとをLとする。転送路1113bに制御信号φL2が加わる毎に、転送路1113bに転送された光電荷が順次読み出し回路112に転送される。また、読み出し回路112に加えられているリセット信号φrstがHからLに切り替わったときに画素1111bにおいて蓄積された光電荷に応じた電圧信号Voutが読み出し回路112から信号処理部120に入力される。
【0049】
上述したように、画素列111bからの信号の読み出し期間においては、平均値基準読み出しを行っている。この期間では、平均値保持回路121は、前回の読み出し時に演算した平均値を保持している。同様に、利得設定値保持回路123は、前回の読み出し時に演算した利得を保持している。
【0050】
差動増幅回路126は、読み出し回路112から出力される電圧信号Voutと平均値保持回路121の出力Vaveとの差分を利得Vgain_aveに従って増幅する。そして、差動増幅回路126は、差動増幅によって得られる信号Vampを焦点演算部10に出力する。
【0051】
焦点演算部10は、対をなす固体撮像素子のそれぞれから、平均値基準読み出しによって読み出される出力Vampをデジタル化して取り込み、取り込んだ出力Vampのデジタル値を用いた相関演算によって2像間隔値の演算を行う。
【0052】
以上説明した第1の例では、隣接配置される画素列111aと画素列111bとで同じ時間だけの光電荷の蓄積を行うようにしている。そして、画素列111aからの出力信号の平均値を求めて平均値保持回路121に保持させた後で、画素列111bからの出力信号の平均値基準読み出しを行うようにしている。画素列111aと画素列111bとは光の入射時間が同じになるように蓄積制御を行っているので、画素列111aからの出力信号に従って演算される平均値は、画素列111bからの出力信号に従って演算した場合の平均値と等しくなる。したがって、画素列111bからの信号の読み出し時には、画素列111aと画素列111bとの光の入射時間の差に基づく誤差のない平均値基準読み出しを行うことが可能である。また、平均値を画素列111aからの出力信号に基づいて求めているので、画素列とモニタPDとの構造の違い等による誤差も無くすことが可能である。
【0053】
図6は、本実施形態の固体撮像素子における信号読み出し動作の第2の例について示すタイミングチャートである。なお、図6は、上から、制御部130において生成される制御信号TGL1、TGL2、φL1、φL2、リセット信号φrst、信号処理部120(差動増幅回路126)の出力Vamp、利得設定選択信号Gainsel、基準電圧選択信号Refsel、固体撮像素子の読み出しモードをそれぞれ示している。
【0054】
第2の例においては、画素列111aと画素列111bとの光電荷の蓄積時間を同じくし、且つ画素列111aからの信号の読み出しと画素列111bからの信号の読み出しとをともに暗時出力基準読み出しによって行う。
【0055】
図6には図示していないが、第2の例においても、制御部130は、画素列111aと画素列111bとの光電荷の蓄積を同時に開始させる。そして、画素列111aと画素列111bに所定の光電荷が蓄積された時点で、制御部130は、制御信号TGL1、TGL2を同時にHとする。また、制御信号TGL1、TGL2をHとしたのと同期して、制御部130は、利得設定選択信号Gainselと基準電圧選択信号RefselとをHとする。
【0056】
以上の制御によって、画素1111aに蓄積された光電荷がトランスファゲート1112aを介して転送路1113aに転送されるとともに、画素1111bに蓄積された光電荷がトランスファゲート1112bを介して転送路1113bに転送される。このようにして、画素列111a、111bにおける光電荷の蓄積が同時に終了する。ここで、画素列111aと画素列111bとは隣接配置されているので、光電荷の蓄積時間を同じとすれば各画素列に蓄積される光電荷量が等しくなる。
【0057】
画素列111aと画素列111bの光電荷の蓄積終了後、制御部130は、転送路1113aに制御信号φL1を加えるとともに読み出し回路112にリセット信号φrstを加える。転送路1113aに制御信号φL1が加わる毎に、転送路1113aに転送された光電荷が順次読み出し回路112に転送される。また、読み出し回路112に加えられているリセット信号φrstがHからLに切り替わったときに画素1111aにおいて蓄積された光電荷に応じた電圧信号Voutが読み出し回路112から信号処理部120に入力される。
【0058】
画素列111aからの信号の読み出しが終了した後、制御部130は、転送路1113bに制御信号φL2を加えるとともに読み出し回路112にリセット信号φrstを加える。転送路1113bに制御信号φL2が加わる毎に、転送路1113bに転送された光電荷が順次読み出し回路112に転送される。また、読み出し回路112に加えられているリセット信号φrstがHからLに切り替わった時点で画素1111bにおいて蓄積された光電荷に応じた電圧信号Voutが読み出し回路112から信号処理部120に入力される。
【0059】
差動増幅回路126は、読み出し回路112から出力される電圧信号Voutと暗時出力保持回路122の出力Vrefとの差分を利得Vgain_darkに従って増幅する。そして、差動増幅回路126は、差動増幅によって得られる信号Vampを焦点演算部10に出力する。
【0060】
焦点演算部10は、対をなす固体撮像素子のそれぞれから読み出される出力Vampをデジタル化して取り込み、取り込んだ出力Vampのデジタル値を用いた相関演算によって2像間隔値の演算を行う。第2の例においては、画素列111aからの信号と画素列111bからの信号が何れも暗時出力基準読み出しによって読み出される。ただし、2像間隔値の演算は、画素列111aからの信号と画素列111bからの信号の何れか一方のみを用いて行うようにしても良い。勿論、画素列111aからの信号と画素列111bからの信号の両方を用いて行うようにしても良い。
【0061】
上述のように、第2の例においては、画素列111aと画素列111bの両方について暗時出力基準読み出しで信号を読み出すことが可能である。ここで、画素列111aと画素列111bとは画素が1/2画素ピッチだけずらして配置されている。これらの画素列のそれぞれに対して相関演算を行ってそれぞれの画素列に対応した2像間隔値を算出し、これらの算出した2像間隔値の平均値を算出することで、出力Vampにおけるノイズ成分を低減することができる。
【0062】
以上説明したように第1の実施形態によれば、誤差のない平均値基準読み出しを行うことが可能である。また、誤差のない平均値基準読み出しと暗時基準読み出しとを選択的に行うことが可能である。
【0063】
ここで、第1の実施形態においては、暗時基準読み出しと平均値基準読み出しとが切り替え可能な構成となっているが、平均値基準読み出しのみを行えるようにしても良い。
【0064】
また、第1の実施形態においては、隣接配置される画素列の数を2つとしているが、3つ以上の画素列を隣接配置するようにしても良い。3つ以上の場合の平均値基準読み出しについても2つの場合と同様である。即ち、隣接配置される画素列の光電荷の蓄積時間を同じくするとともに、信号の読み出しは異なるタイミングとする。最初に画素列から信号を読み出す時に平均値及び利得の演算を行い、これら演算した平均値及び利得を保持しておく。そして、2回目以後に画素列から信号を読み出す時に、保持しておいた平均値及び利得を用いた平均値基準読み出しを行う。
【0065】
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と異なる構成の画素列を有する撮像部を用いた固体撮像素子の例である。なお、画素列の構成以外は第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0066】
図7は、第2の実施形態における画素列111aと画素列111bの構成を示した図である。ここで、図7において、図3に対応する構成については図3と同一の参照符号を付している。図7に示すように、画素列111aは、画素1111aと、トランスファゲート1114aと、ストレージ1115aと、トランスファゲート1112aと、転送路1113aとを有している。また、画素列111bは、画素1111bと、トランスファゲート1114bと、ストレージ1115bと、トランスファゲート1112bと、転送路1113bとを有している。
【0067】
画素1111a、1111bは、例えばフォトダイオードから構成され、被写体からの光を光電変換し、その光量に応じた電荷(光電荷)を蓄積する。図7においても図3と同様に画素1111aと画素1111bは、1/2画素ピッチだけずらして配置されている。
【0068】
トランスファゲート1114a、1114bは、画素1111a、1111bに対応して設けられ、それぞれ、制御部130から共通の制御信号TGstが入力される。これらトランスファゲート1114a、1114bは、制御部130から制御信号TGstが入力されたときに、画素1111a、1111bに蓄積された光電荷をストレージ1115a、1115bに転送する。
【0069】
ストレージ1115a、1115bは、それぞれ、トランスファゲート1114a、1114bを介して転送されてきた光電荷を保持する。
【0070】
トランスファゲート1112a、1112bは、ストレージ1115a、1115bに対応して設けられ、それぞれ、制御部130から制御信号TGL1、TGL2が入力される。これらトランスファゲート1112a、1112bは、制御部130から制御信号TGL1、TGL2が入力される毎に、ストレージ1115a、1115bに保持された光電荷を転送路1113a、1113bに転送する。
【0071】
転送路1113a、1113bは、それぞれ、制御部130から制御信号φL1、φL2が入力される。これら転送路1113a、1113bは制御信号φL1、φL2が入力される毎に、トランスファゲート1112a、1112bから転送された光電荷を画素単位で読み出し回路112に転送する。ここで、図7においては制御信号φL1、φL2を1つの信号で示しているが、実際には多相(2相若しくは4相)の信号である。
【0072】
読み出し回路112は、画素列111a及び画素列111bから転送されてくる電荷を電圧に変換し、この電圧信号Voutを信号処理部120に出力する。ここで、読み出し回路112には、制御部130からの制御信号としてリセット信号φrstが入力される。リセット信号φrstは1画素分の電圧信号の読み出し前に入力される信号であり、このリセット信号φrstが入力される毎に、読み出し回路112の出力電圧Voutがリセットされる。これにより、読み出し回路112から画素単位の電圧信号を取り出すことが可能である。なお、読み出し回路112は、例えば浮動拡散アンプ(floating diffusion amplifier)で構成されている。
【0073】
図8は、本実施形態の固体撮像素子における信号読み出し動作について示すタイミングチャートである。なお、図8は、上から、制御部130において生成される制御信号TGL1、TGL2、φL1、φL2をそれぞれ示している。リセット信号φrst、信号処理部120(差動増幅回路126)の出力Vamp、利得設定選択信号Gainsel、基準電圧選択信号Refselについては第1の実施形態と同様である。
【0074】
図8には図示していないが、第2の実施形態においても、制御部130は、画素列111aと画素列111bとの光電荷の蓄積を同時に開始させる。そして、画素列111aと画素列111bに所定の光電荷が蓄積された時点で、制御部130は、制御信号TGstをHとする。
【0075】
制御信号TGstをHとすることによって画素1111aに蓄積された光電荷がトランスファゲート1114aを介してストレージ1115aに転送されるとともに、画素1111bに蓄積された光電荷がトランスファゲート1114bを介してストレージ1115bに転送される。これによって画素列111aと画素列111bにおける光電荷の蓄積が終了する。
【0076】
画素列111aと画素列111bの光電荷の蓄積終了後、制御部130は、制御信号TGL1をHとする。これにより、ストレージ1115aに保持されていた光電荷がトランスファゲート1112aを介して転送路1113aに転送される。その後、制御部130は、転送路1113aに制御信号φL1を加えるとともに読み出し回路112にリセット信号φrstを加える。転送路1113aに制御信号φL1が加わる毎に、転送路1113aに転送された光電荷が順次読み出し回路112に転送される。また、読み出し回路112に加えられているリセット信号φrstがHからLに切り替わったときに画素1111aにおいて蓄積された光電荷に応じた電圧信号Voutが読み出し回路112から信号処理部120に入力される。
【0077】
画素列111aからの信号の読み出しが終了した後、制御部130は、制御信号TGL2をHとする。これにより、ストレージ1115bに保持されていた光電荷がトランスファゲート1112bを介して転送路1113bに転送される。その後、制御部130は、転送路1113bに制御信号φL2を加えるとともに読み出し回路112にリセット信号φrstを加える。転送路1113bに制御信号φL2が加わる毎に、転送路1113bに転送された光電荷が順次読み出し回路112に転送される。また、読み出し回路112に加えられているリセット信号φrstがHからLに切り替わったときに画素1111bにおいて蓄積された光電荷に応じた電圧信号Voutが読み出し回路112から信号処理部120に入力される。
【0078】
以上説明した第2の実施形態によれば、画素列にストレージを設けることによって第1の実施形態に比べて高精度の光電荷の蓄積制御を行うことが可能である。
【0079】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0080】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る測距装置が搭載されるカメラの、特に測距装置に係る構成について示す図である。
【図2】AFセンサ9を構成する固体撮像素子の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態における画素列111aと画素列111bの構成を示した図である。
【図4】信号処理部120から出力される信号について示した図である。
【図5】第1の実施形態の固体撮像素子における信号読み出し動作の第1の例について示すタイミングチャートである。
【図6】第1の実施形態の固体撮像素子における信号読み出し動作の第2の例について示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施形態における画素列111aと画素列111bの構成を示した図である。
【図8】第2の実施形態の固体撮像素子における信号読み出し動作について示すタイミングチャートである。
【図9】従来例について説明するための第1の図である。
【図10】従来例について説明するための第2の図である。
【符号の説明】
【0082】
1…フォーカスレンズ、2…メインミラー、3…ペンタプリズム、4…接眼レンズ、5…サブミラー、6…コンデンサレンズ、7…固定ミラー、8…瞳分割光学系、9…AFセンサ、10…焦点演算部、11…レンズ駆動信号生成部、12…モータドライバ、13…撮像素子、110…撮像部、111a…画素列、111b…画素列、112…読み出し回路、120…信号処理部、121…平均値保持回路、122…暗時出力保持回路、123…利得設定値保持回路、124,125…セレクタ、126…差動増幅回路、130…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電荷を蓄積するための画素列が複数隣接して配置され、各画素列で蓄積された光電荷に基づく信号を出力する撮像部と、
前記撮像部の各画素列に対して同じタイミングで光電荷を蓄積させるとともに、前記信号を画素列単位で順次出力させる制御部と、
所定のタイミングにおける前記画素列からの出力の平均値と前記所定のタイミングよりも後のタイミングにおける前記画素列からの出力との差分を増幅して出力する信号処理部と、
を具備することを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記信号処理部は、
前記所定のタイミングにおける前記画素列からの出力を平均化して保持する平均値保持部と、
前記所定のタイミングよりも後のタイミングにおける前記画素列からの出力と前記平均値保持部における出力との差分を増幅して出力する増幅部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記所定のタイミングにおける前記画素列からの出力における暗時出力を保持する暗時出力保持部と、
前記平均値保持部からの出力と前記暗時出力保持部からの出力との何れかを選択する出力選択部と、
をさらに有し、
前記増幅部は、前記所定のタイミングよりも後のタイミングにおける前記画素列からの出力と前記出力選択部で選択された出力との差分を増幅して出力することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記信号処理部は、
前記平均値保持部からの出力に基づいて前記増幅の際の利得を保持する利得設定保持部と、
前記利得設定保持部で保持される利得と暗時出力の際の利得との何れか選択して前記増幅部に供給する利得選択部と、
を有し、
前記複数の画素列のうちで最初に信号を出力した画素列に対応した増幅の際には、前記出力選択部によって前記暗時出力保持部からの出力を選択するとともに前記利得選択部によって前記暗時出力の際の利得を選択し、前記複数の画素列のうちで2番目以降に信号を出力した画素列に対応した増幅の際には、前記出力選択部によって前記暗時出力保持部からの出力を選択するとともに前記利得選択部によって前記暗時出力の際の利得を選択する、又は前記出力選択部によって前記平均値保持部からの出力を選択するとともに前記利得選択部によって前記利得設定保持部で保持される利得を選択することを特徴とする請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記各画素列は、
所定のピッチをもって配置され、光電荷を蓄積する複数の画素と、
前記各画素に蓄積された光電荷を転送するためのトランスファゲートと、
前記トランスファゲートを介して転送された光電荷を転送するための転送路と、
を有し、
前記複数の画素列は、画素が前記所定のピッチの半分だけずらして配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記各画素列は、
所定のピッチをもって配置され、光電荷を蓄積する複数の画素と、
前記各画素に蓄積された光電荷を転送するための第1のトランスファゲートと、
前記第1のトランスファゲートを介して転送された光電荷を保持するストレージと、
前記ストレージに保持された光電荷を転送するための第2のトランスファゲートと、
前記第2のトランスファゲートを介して転送された光電荷を転送するための転送路と、
を有し、
前記複数の画素列は、画素が前記所定のピッチの半分だけずらして配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記各画素列の画素は、それぞれ、共通のタイミングで前記制御部から第1の制御信号が入力されてそれぞれ蓄積した光電荷を前記ストレージに転送し、
前記各画素列の第2のトランスファゲートは、それぞれ、異なるタイミングで前記制御部から第2の制御信号が入力されてそれぞれ前記ストレージに蓄積された光電荷を前記転送路に転送することを特徴とする請求項6に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記撮像部は、前記光電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の固体撮像素子における撮像部の少なくとも1つの画素列からの出力に基づいて距離を演算することを特徴とする測距装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−260891(P2009−260891A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110423(P2008−110423)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】