説明

固体撮像素子用組成物及びマイクロレンズアレイの製造方法

【課題】パターン形成性及び現像性に優れ、高屈折率の硬化物を与える、パターン形成が容易な感光性の固体撮像素子用組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)〜(D):(A)粒子表面に存在する金属原子の総量を100原子%としたときに、粒子表面に存在するケイ素原子の割合が20原子%以上である粒子、(B)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)有機溶剤を含有する固体撮像素子用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子用の組成物に関し、さらに、この固体撮像素子用組成物を用いたマイクロレンズアレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズは、液晶パネルの集光力向上手段、レーザーディスク(登録商標)、コンパクトディスク、光磁気ディスク等の光ピックアップの集光手段、光ファイバと発光素子又は受光素子との結合のための集光手段、CCD等の固体撮像素子又はファクシミリに使用される一次元イメージセンサの感度を高めるために入射光を光電変換領域に集光させる集光手段又は結像手段、液晶プリンタやLEDプリンタにおいて印字すべき像を感光体に結像させる結像手段、光情報処理用フィルター等の光学装置において各種の光学素子又は光学部品等と組み合わせて使用される。
このようなマイクロレンズの製造方法としては、先の細いバイトでモールド用金型を彫刻し、そこに樹脂またはガラスを流し込んで成形加工する機械加工法や、物理蒸着法、レジストリフロー法等がよく知られており、レジストリフロー法は、光デバイスとの一体集積化が実現しており、小型CCD撮像素子等に利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、光学素子用の光導波路やレンズ等に適した露光した部分がアルカリ現像により溶解するポジ型の感光性樹脂組成物が開示されている。これらの感光性樹脂組成物は、芳香族又は脂肪族ポリアミド系ポリマーと、無機粒子とを含んでいる。これらの感光性樹脂組成物はポジ型であるため、パターンを形成するためには、シリコンウェハー上に塗布した後、マスク露光、現像後、さらに、耐熱性樹脂組成物膜に変換するための加熱処理を必要とする。
【0004】
【特許文献1】特開2005−208465号公報
【特許文献2】特開2005−344005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現像性に優れ、パターン形成性に優れ、高屈折率の硬化物を与える、パターン形成が容易なネガ型感光性の固体撮像素子用組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、この固体撮像素子用組成物を用いたマイクロレンズアレイの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行い、マイクロレンズ形成材料として、二酸化ケイ素で被覆された金属酸化物粒子であって、粒子の表面に存在する全金属元素に対するケイ素原子の割合が20原子%以上である金属酸化物粒子と、多官能(メタ)アクリレート化合物を含む光硬化性組成物を用いると、露光によってパターン形成した後の、アルカリ現像処理において、未硬化部分の組成物が容易に除去され、精度の高いパターン形成が可能になることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、下記の固体撮像素子用組成物及びマイクロレンズアレイの製造方法を提供する。
1.下記成分(A)〜(D):
(A)粒子表面に存在する金属原子の総量を100原子%としたときに、粒子表面に存在するケイ素原子の割合が20原子%以上である粒子
(B)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)有機溶剤
を含有する固体撮像素子用組成物。
2.前記(A)の粒子の粒子径が3〜100nmで屈折率が1.70以上である上記1に記載の固体撮像素子用組成物。
3.前記(A)の粒子が、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される金属酸化物を主成分とし、二酸化ケイ素が表面に存在する粒子である上記1又は2に記載の固体撮像素子用組成物。
4.前記(A)の粒子が重合性不飽和基を有する粒子である上記1〜3のいずれかに記載の固体撮像素子用組成物。
5.前記(A)の粒子が有する重合性不飽和基が、下記式(11)に示す構造を含む基である上記4に記載の固体撮像素子用組成物。
【化2】

[式(11)中、XはNH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、YはO又はSを示す。]
6.前記(B)の2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、3個以上の(メタ)アクルロイル基を有する化合物である上記1〜5のいずれかに記載の固体撮像素子用組成物。
7.前記(D)有機溶剤が、120℃以上の沸点を有する有機溶剤である上記1〜6のいずれかに記載の固体撮像素子用組成物。
8.前記(D)有機溶剤が、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンからなる群から選択される1種以上である上記7に記載の固体撮像素子用組成物。
9.さらに、(E)界面活性剤を含有する上記1〜6のいずれかに記載の固体撮像素子用組成物。
10.前記(E)界面活性剤が、フッ素又はシリコン、あるいは両方を含有するノニオン系界面活性剤から選択される上記9に記載の固体撮像素子用組成物。
11.固体撮像素子の表面レンズ、層内レンズ又は高屈折率層形成用である上記1〜10のいずれかに記載の固体撮像素子用組成物。
12.上記1〜10のいずれかに記載の固体撮像素子用組成物を基材上に塗布し、露光してパターン形成し、アルカリ現像液に浸漬した後、水で洗浄することを含むマイクロレンズアレイの製造方法。
13.前記アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度が、0.01〜5重量%の範囲内である上記12に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、屈折率が高く、アルカリ現像性に優れた固体撮像素子用組成物が提供される。
本発明によれば、屈折率が高く、精度の高いパターンを有するマイクロレンズアレイを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
I.固体撮像素子用組成物
本発明の固体撮像素子用組成物(以下、本発明の組成物という)は、下記成分(A)〜(F)を含有しうる。尚、本明細書中における「屈折率」とは波長589nm、23℃で測定した屈折率を意味する。本明細書において「高屈折率材料」とは、1.68以上の屈折率を有する材料を意味する。
これらのうち、成分(A)〜(D)は必須成分であり、(E)〜(F)は必要に応じて添加する任意成分である。
(A)粒子表面に存在する金属原子の総量を100原子%としたときに、粒子表面に存在するケイ素原子の割合が20原子%以上である粒子
(B)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)有機溶剤
(E)界面活性剤
(F)添加剤
以下、本発明の材料を構成する各成分について説明する。
【0010】
(A)粒子表面に存在する金属原子の総量を100原子%としたときに、粒子表面に存在するケイ素原子の割合が20原子%以上である粒子
成分(A)である粒子は、本発明の材料をパターニングした際に、現像及び洗浄処理において、未硬化部分が容易に除去されるという本発明の効果を得るために必須の成分である。
【0011】
本発明の組成物は、金属酸化物粒子表面に20原子%以上という高濃度で二酸化ケイ素(等電点pH=2)を有していることにより、粒子表面の電荷を制御することができ、現像の際に速やかにアルカリ現像液によって分散状態となり、水等でリンスしたときに、容易に未硬化部分を除去することが可能となる。この時、粒子表面の等電点と現像液のpHは離れている方が、粒子が分散しやすい。
例えば、酸化チタンの等電点はpH=7であるため、アルカリ現像液(pH=10)に浸漬しても粒子分散が困難である(現像できない)。一方、酸化チタンを二酸化ケイ素で被覆し、粒子表面のケイ素原子の割合を調整することにより等電点を下げることで、アルカリ現像液に分散し、現像が可能になる。
【0012】
(1)粒子
成分(A)の粒子は、粒子径が3〜100nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ましい。また、粒子の屈折率は目的に応じて適宜選択すべきであるが、高屈折率を必要とする場合には1.70以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。
成分(A)の粒子は、金属酸化物を主成分とする粒子(以下、金属酸化物粒子という)であることが好ましく、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される金属酸化物を主成分とし、二酸化ケイ素で表面が被覆された粒子であることがより好ましく、チタニアを主成分とし、二酸化ケイ素で表面が被覆された粒子であることが高屈折率の観点から特に好ましい。本願において、「二酸化ケイ素で表面が被覆された」とは粒子表面が完全に二酸化ケイ素で覆われている必要はなく、粒子表面に二酸化ケイ素が露出している状態であればよい。
成分(A)の粒子は、1種単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
(2)二酸化ケイ素による粒子の被覆
金属酸化物粒子を二酸化ケイ素で被覆する方法は、公知の方法、例えば、特開2003−112923号公報、特開平8−48940号公報に記載の方法を用いることができる。
具体的には、金属酸化物粒子を0.1〜10重量%になるように水に分散させる。この分散液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、アンモニア、4級アミン等の塩基性窒素化合物を添加し、pHを9〜12に調整する。分散液の温度を50〜100℃に調整し、ここに、シリカ源としてケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩を、連続的にまたは断続的に添加して前記金属酸化物粒子表面に析出させ二酸化ケイ素被覆の金属酸化物粒子を得る。得られた二酸化ケイ素被覆の金属酸化物粒子は必要に応じて、加熱熟成、洗浄、濃縮、乾燥を行うことも好ましい。
【0014】
粒子表面のケイ素原子の割合を調節するには、被覆する二酸化ケイ素の量を調節すればよく、例えば、上記の方法で、添加するアルカリ金属ケイ酸塩の量を調節すればよい。
【0015】
(3)粒子表面に存在するケイ素原子の割合
粒子表面に存在するケイ素原子の割合は、次のようにして測定することができる。即ち、粒子分散液を乳酸エチルで5〜15重量%に希釈し、スピン塗布し、乾燥した塗膜についてX線光電子分光分析法(XPS、ESCAともいう)で元素分析を行う(測定角度:45度)。
粒子表面に存在する金属原子の総量を100原子%としたときに、粒子表面に存在するケイ素原子の割合は20原子%以上であることが好ましく、30原子%以上であることがより好ましい。粒子表面に存在するケイ素原子の割合が20原子%より少ないと、粒子の現像液への分散性が低下するおそれがある。
また、粒子表面に存在するケイ素原子の割合の上限は、特に限定されないが、高屈折率が要求される場合には、金属酸化物粒子表面への二酸化ケイ素の被覆が可能な限度量によって自ずと定まり、通常は70原子%程度であり、好ましくは60原子%程度である。
【0016】
(4)成分(A)の粒子は、重合性不飽和基を有する粒子(以下、反応性粒子という)であってもよい。
成分(A)の粒子が有する重合性不飽和基は、加水分解によってシラノール基を生成する基と重合性不飽和基を含有する化合物(以下、「シランカップリング剤」ということもある。)で処理することで導入することができる。また、前記シランカップリング剤は下記式(11)で示される基を含んでいてもよい。
【化3】

[式(11)中、XはNH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、YはO又はSを示す。]
【0017】
(5)シランカップリング剤
本発明に用いられるシランカップリング剤は、重合性不飽和基を含む化合物であること及び分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である。本発明に使用されるシランカップリング剤は、市販のものが使用できる。また、後述の方法でも得ることができる。
【0018】
(i)重合性不飽和基
シランカップリング剤に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
【0019】
(ii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
シランカップリング剤は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する化合物を挙げることができるが、ケイ素原子上にアルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子と結合する構成単位である。
【0020】
(iii)式(11)に示す基
シランカップリング剤は、分子内に前記式(11)に示す基をさらに含むものであることが好ましい。前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1とを併用することが好ましい。
前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0021】
(iv)好ましい態様
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、例えば、下記式(12)に示す化合物を挙げることができる。
【0022】
【化4】

【0023】
19、R20は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、aは1、2又は3の数を示す。
19、R20の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。
【0024】
[(R19O)a203-aSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
【0025】
21は炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
【0026】
また、R22は2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記式(11)に示す基を含むこともできる。
【0027】
23は(b+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
【0028】
Zは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。例えば、アクリロイル(オキシ)基、メタアクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等を挙げることができる。これらの中でアクリロイル(オキシ)基及びメタアクリロイル(オキシ)基が好ましい。また、bは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
【0029】
本発明で用いられるシランカップリング剤の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。即ち、(イ)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(ロ)分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と、活性水素含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(ハ)分子中に重合性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
【0030】
前記式(12)に示す化合物を合成するためには、これらの方法のうち(イ)が好適に用いられる。より詳細には、例えば、
(a)法;まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させることで、分子中にアルコキシシリル基、[−S−C(=O)−NH−]基及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、次に中間体中に残存するイソシアネートに対して活性水素含有重合性不飽和化合物を反応させて、この不飽和化合物を[−O−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
(b)法;まずポリイソシアネート化合物と活性水素含有重合性不飽和化合物とを反応させることで分子中に重合性不飽和基、[−O−C(=O)−NH−]基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させてこのメルカプトアルコキシシランを[−S−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
等を挙げることができる。さらに両者の中では、マイケル付加反応による重合性不飽和基の減少がない点で(a)法が好ましい。
【0031】
前記式(12)に示す化合物の合成において、イソシアネート基との反応により[−S−C(=O)−NH−]基を形成することができるアルコキシシランの例としては、アルコキシシリル基とメルカプト基を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物を挙げることができる。このようなメルカプトアルコキシシランとしては、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、メルカプトプロピルトリフェノキシシシラン、メルカプトプロピルトリブトキシシシラン等を挙げることができる。これらの中では、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。また、アミノ置換アルコキシシランとエポキシ基置換メルカプタンとの付加生成物、エポキシシランとα,ω−ジメルカプト化合物との付加生成物を利用することもできる。
【0032】
シランカップリング剤を合成する際に用いられるポリイソシアネ−ト化合物としては鎖状飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素で構成されるポリイソシアネ−ト化合物の中から選ぶことができる。
【0033】
このようなポリイソシアネ−ト化合物の例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等を挙げることができる。これらの中で、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、等が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0034】
シランカップリング剤の合成において、前記ポリイソシアネート化合物と付加反応により[−O−C(=O)−NH−]基を介し結合できる活性水素含有重合性不飽和化合物の例としては、分子内にイソシアネート基との付加反応により[−O−C(=O)−NH−]基を形成できる活性水素原子を1個以上有しかつ重合性不飽和基を1個以上含む化合物を挙げることができる。
【0035】
これらの活性水素含有重合性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を用いることができる。これらの化合物の中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が好ましい。
これらの化合物は1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0036】
(6)成分(A)の粒子(以下、単に粒子ということがある)の表面処理方法
粒子の表面処理方法としては特に制限はないが、加水分解性ケイ素化合物又はシランカップリング剤(以下、表面処理剤ともいう)と粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより製造することも可能である。尚、表面処理剤が有するシラノール基生成部位と、粒子とを効率よく結合させるため、反応は水の存在下で行われることが好ましい。ただし、表面処理剤がシラノール基を有している場合は水がなくてもよい。従って、粒子及び表面処理剤を少なくとも混合する操作を含む方法により表面処理できる。
【0037】
粒子と表面処理剤の反応量は、粒子及びシランカップリング剤の合計を100重量%として、好ましくは0.01重量%以上であり、さらに好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1重量%以上である。0.01重量%未満であると、組成物中における粒子の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。
【0038】
表面処理時において表面処理剤中のアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下でアルコキシシラン化合物と粒子とを混合して得られる生成物は、粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される粒子を含有する組成物の硬化物においては、高硬度及び耐擦傷性の発現の効果は低い。
【0039】
表面処理時においては、表面処理剤を別途加水分解操作に付した後、これと粉体粒子又は粒子の溶剤分散ゾルを混合し、加熱、攪拌操作を行う方法;前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法;又は、他の成分、例えば、重合開始剤等の存在下、粒子の表面処理を行う方法等を選ぶことができる。この中では、前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法が好ましい。表面処理時、その温度は、好ましくは0℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは20℃以上100℃以下である。また、処理時間は通常5分から24時間の範囲である。
【0040】
表面処理時において、粉体状の粉体を用いる場合、表面処理剤との反応を円滑にかつ均一に行わせることを目的として、有機溶剤を添加してもよい。そのような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、Y−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
これらの溶剤の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
【0041】
粒子として溶剤分散ゾルを用いる場合、溶剤分散ゾルと、表面処理剤とを少なくとも混合することにより製造することができる。ここで、反応初期の均一性を確保し、反応を円滑に進行させる目的で、水と均一に相溶する有機溶剤を添加してもよい。
【0042】
また、表面処理時において、反応を促進するため、触媒として酸、塩又は塩基を添加してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸を、塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を、また、塩基としては、例えば、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級、2級又は3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド類等を挙げることができる。
これらの中で好ましい例は、酸としては、有機酸、不飽和有機酸、塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシド、アンモニア水である。
【0043】
また、反応を促進するため、脱水剤を添加することも好ましい。
脱水剤としては、ゼオライト、無水シリカ、無水アルミナ等の無機化合物や、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、テトラエトキシメタン、テトラブトキシメタン等の有機化合物を用いることができる。中でも、有機化合物が好ましく、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルトエステル類がさらに好ましい。
尚、粒子に結合したアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱重量分析により求めることができる。
【0044】
(7)成分(A)の配合量
本発明の組成物中における成分(A)の配合量は、組成物の有機溶剤を除く固形分全量を100重量%としたときに、通常50〜85重量%、好ましくは60〜75重量%、より好ましくは65〜75重量%である。50重量%未満であると、屈折率が低くなるおそれがあり、85重量%を超えると、バインダーとなる樹脂成分低下で成膜性が悪化するおそれがある。
尚、成分(A)が分散液である場合には、上記配合量には分散媒を含まない。また、粒子が重合性不飽和基を有しているか否かにかかわらず、上記配合量である。
【0045】
(B)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
光照射による開始剤の分解で成分(B)が互いに反応し架橋することで、塗膜としての強度を確保するという機能を果たす。具体的には、露光後の現像液に浸漬している間の塗膜の膨潤、粒子の流出を抑制したり、塗膜に耐擦傷性を付与する等の効果が得られる。
【0046】
成分(B)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に限定されないが、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることがこのましい。
このような(メタ)アクリルエステル類としては、例えば、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(「トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート」とも言う)、及びこれらの化合物を製造する際の出発アルコール類のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0047】
成分(B)の市販品の例としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサメタアクリレート(アロニックスTO−1786、東亜合成(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート♯295、大阪有機化学工業(株)製)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(ビスコート♯300、大阪有機化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SARTOMER SR399E、巴工業(株)製)、テトラメチロールメタントリアクリレート(NK エステル A−TMM−3LM−N、新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
成分(B)の化合物は、1種単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(2)成分(B)の配合量
本発明の組成物中における成分(B)の配合量は、組成物の有機溶剤を除く固形分全量を100重量%としたときに、通常10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%である。10重量%未満であると、現像液浸漬時に塗膜が膨潤・崩壊したり、パターニング性が低下したりするおそれがあり、50重量%を超えると、高屈折率が見込めない場合がある。
【0049】
(C)光重合開始剤
光重合開始剤の添加により、効率的に成分(B)を架橋させることができる。光重合開始剤を添加しない場合、光照射しても架橋反応が起こらず、硬化がほとんど進まず、従って、塗膜としての強度が確保できない上、パターニングが不可能となる。
【0050】
(1)種類
光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物であり、活性種としてラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
【0051】
光ラジカル発生剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
【0052】
これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等が好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等を挙げることができる。
これらの光ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
光ラジカル発生剤の市販品の例としては、例えば、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(DAROCURE1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
【0054】
(2)成分(C)の配合量
本発明の組成物中における成分(C)の配合量は、組成物の有機溶剤を除く固形分全量を100重量%としたときに、通常1〜10重量%、好ましくは3〜7重量%である。1重量%未満であると、充分な硬化が期待できないおそれがあり、10重量%を超えると、架橋に関与しない成分の増加により塗膜強度が低下するおそれがある。
【0055】
(D)有機溶剤
本発明の組成物には、有機溶剤を配合する。有機溶剤を配合することで、組成物を塗布する際のレベンリング性を付与し、均一な塗膜を得ることが可能となる。また、組成物中の全成分((A)粒子、(B)多官能(メタ)アクリレート、(C)光重合開始剤、後述する(E)界面活性剤等)を均一に混合させるためには、全成分を良好に溶解する組成の有機溶剤を選択することが好ましい。
【0056】
本発明で用いる有機溶剤は、常圧において120℃以上の沸点を有するものが好ましい。低沸点であると、レベリング中に溶剤が揮発してしまい、均一な塗膜が得られないおそれがある。
本発明で用いる有機溶剤の具体例としては、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用できるが、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0057】
尚、前記成分(A)の粒子が、有機溶剤分散液である場合、その分散媒をそのまま、成分(D)の有機溶剤として用いてもよいし、別の有機溶剤に置換してもよい。
【0058】
本発明の組成物中における成分(D)の配合量は、組成物の有機溶剤を除く固形分全量100重量部に対して、通常150〜10,000重量部、好ましくは200〜600重量部、より好ましく300〜550重量部である。150重量部未満であると、粒子の分散安定性低下による貯蔵安定性の低下、レベリング不十分で均一な塗膜が得られない等のおそれがあり、10,000重量部を超えると、充分な膜厚が得られず、本来塗膜が果たすべき集光機能が発揮されないおそれがある。
【0059】
(E)界面活性剤
本発明の組成物には、界面活性剤を配合することもできる。界面活性剤の添加により、レベリング性が向上し、より均一な塗膜を得ることが可能になる。
【0060】
本発明で用いる界面活性剤としては、フッ素又はシリコン、あるいは両方を含有するノニオン系界面活性剤が好ましい。アニオン系、カチオン系の界面活性剤では、成分(A)の粒子成分に電荷が適合していないと、粒子が凝集する可能性がある。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
本発明の組成物中における成分(E)の配合量は、組成物の有機溶剤を除く固形分全量を100重量%としたときに、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。0.01重量%未満であると、レベリング性が不足し均一塗膜が得られないおそれがあり、5重量%を超えると、非架橋成分の増加により塗膜強度の低下が生じたり、他の成分との親和性が低下し、塗膜にハジキが発生し、均一塗膜が得られないおそれがある。
【0062】
(F)その他の添加剤
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、現像性改良剤等が挙げられる。
現像性改良としては、例えば、水酸基及び又はカルボン酸基又は両官能基を含有するポリマー若しくはオリゴマー等が挙げられる。これらを添加することによって現像性の向上が見込まれ、粒子のSiO被覆量が少量でも現像性が付与される可能性がある。より具体的には、例えば、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0063】
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(D)、及び、必要に応じて上記成分(E)や各種添加剤を加え、均一に撹拌することによって得られる。
【0064】
本発明の組成物は、上述したように、非露光部を容易に除去することが可能であり、パターニング性に優れているため、特に、塗布、マスク露光、現像、洗浄によって製造される固体撮像素子用のマイクロレンズの材料として非常に有用である。固体撮像素子マイクロレンズとしては、表面レンズ及び層内レンズが挙げられる。さらに、本発明の組成物は高屈折率の硬化膜を与えることができるため、固体撮像素子の高屈折率層形成用材料としても有用である。
【0065】
II.マイクロレンズアレイの製造方法
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法(以下、本発明の製造方法という)は、上記本発明の固体撮像素子用組成物を基材上に塗布し、露光してパターン形成し、アルカリ現像液に浸漬した後、水で洗浄することを特徴とする。
本発明の製造方法において用いる上記本発明の材料は、露光した部分が硬化し、非露光部分が未硬化となるネガ型の光硬化性組成物である。
以下、本発明の製造方法を工程毎に説明する。
【0066】
(1)塗布
上記本発明の組成物は、孔径0.05〜1μm程度のフィルター、好ましくは0.5μmのフィルターで予めろ過しておくことが好ましい。 また、本発明の組成物を塗布する基板はHMDS(ヘキサメチルジシラザン)で表面処理されていてもよい。HMDSの処理方法は、例えばHMDSを基板上に滴下しスピンコータで基板を回転させて余剰のHMDSを除去する方法や、気化したHMDSが存在する雰囲気に基板を曝す方法等が挙げられる。本発明の組成物を塗布する方法は、スピンコート、ロールコート、バーコート、大コート、グラビア印刷等が挙げられるが、膜厚の均一性を得やすいことからスピンコートが好ましい。上記、塗布基板は、更にホットプレートやオーブンでベークすることが好ましい。ベークの条件は組成物により適宜調整できるが、例えば50〜120℃、好ましくは70〜90℃のホットプレートで、30〜300秒、好ましくは60〜120秒加熱することにより塗膜を作製することができる。
【0067】
(2)露光
露光の際に用いるマスクは特に限定されず、目的に応じて適切なものを選択すればよい。
上記で作製した塗膜に、マスクを介して露光し、パターン形成を行う。露光は、マスクアライナーや縮小投影露光装置等を用いることができる。露光の光源は、本発明の組成物の(C)成分が感応する波長の光を含んでいれば特に限定されないが、高圧水銀ランプ、紫外線レーザー等が適用できる。
【0068】
(3)現像
露光した膜は続く現像工程で現像される。現像方法は、パドル現像、ディップ現像、シャワー現像等が挙げられる。また、現像液としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶剤や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を溶解したアルカリ水溶液が使用できるが、高い寸法精度が得やすいという理由でアルカリ水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。
ここで用いるアルカリ水溶液のアルカリ成分の濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であることが好ましく、0.03〜5重量%の範囲内であることがより好ましい。現像液のpHが、粒子表面の二酸化ケイ素の等電点(pH=2)から離れている方がより良好な現像性が得られるため、アルカリ成分濃度が0.01重量%未満では現像できなくなる可能性がある。逆に、アルカリ成分濃度が10重量%を超えると、露光部分までが溶解され(現像され)てしまい、基板から剥離してしまうおそれがある。
【0069】
(4)リンス
現像した膜を純水でリンスし、基板に固定化されていない粒子成分、アルカリ成分等を除去することが好ましい。
【0070】
マイクロレンズの形成に従来用いられていた硬化性組成物では、酸化チタン等の金属酸化物粒子表面が所定割合以上のケイ素原子を有していない、即ち、粒子表面が所定量以上のSiOで処理されていなかったため、マスク露光後にアルカリ現像液に浸漬した際に、未露光部分が現像液中に容易に分散せず、パターンが形成されないという問題があった。
【0071】
本発明によれば、粒子表面に所定量以上のケイ素原子が存在しているため、未露光部分が現像液に容易に分散し、精細なパターニング性に優れたマイクロレンズアレイを容易に製造できる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。尚、以下において、部、%は、特に断らない限り、それぞれ重量部、重量%を示す。
【0073】
参考例1:二酸化ケイ素被覆金属酸化物粒子表面に存在する全金属原子に対するケイ素原子の割合の測定
(1)測定用サンプルの作成方法
下記表1に示す二酸化ケイ素被覆金属酸化物粒子の分散液(粒子(1)〜(3))を、分散溶媒で5〜20重量%に希釈し、シリコンウェハー上にスピン塗布(300rpmで5秒、次いで2000rpmで60秒)し塗膜を形成した。これを80℃のホットプレート上で1時間加熱し、測定サンプルとした。
【0074】
(2)X線光電子分光分析法(XPS)による粒子表面の元素組成測定
上記(1)で得られた測定サンプルを、測定角度45°の条件で、XPS測定装置(クレイトス社製、AXIS ULTRA)で表面の金属元素組成を分析した。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1中の商品名等は下記のものを示す。
粒子(1):触媒化成工業社製、二酸化ケイ素被覆二酸化チタン粒子、数平均粒子径10nm
粒子(2):テイカ社製、二酸化ケイ素被覆酸化チタン、数平均粒子径長軸49nm、短軸10nm
粒子(3):テイカ社製、アルミナ被覆酸化チタン、数平均粒子径長軸49nm、短軸18nm
粒子径はTEM(透過型電子顕微鏡)の観察像から算出した。
【0077】
参考例2:粒子の対現像液分散性
参考例1で製造した各粒子分散液を、Siウェハー上に、スピン塗布(300rpmで5秒、次いで2000rpmで60秒)し、50℃のホットプレート上で30秒加熱した後、現像液PD523(JSR社製、濃度2.38重量%)に1分間浸漬し、粒子が現像液に分散するか否かを目視で確認し、下記基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:30秒以内で溶解した(分散性良好)
△:1分程度で溶解した(分散性中程度)
×:1分浸漬後も溶解しなかった(分散性不良)
【0078】
【表2】

【0079】
実施例1
(1)組成物(A)の製造
SiO被覆TiO分散液(触媒化成工業(株)製;上記粒子(1))を固形分濃度で50%まで濃縮したもの20.4部とテトラメチロールメタントリアクリレート(新中村化学)3.9部と光開始剤IRGACURE907(日本チバガイギー)0.8部と界面活性剤ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レダウコーニング)0.2部、乳酸エチル74.8部を混合し組成物(A)を得た。得られた組成物(A)を0.5μmフィルター(グレード:DISMIC−25JP、PTFE製、ADVANTEC)でろ過した。
【0080】
(2)マイクロレンズアレイの製造
シリコンウェハーにヘキサメチルジシラザン(HMDS)を滴下し、スピンコータ(1H−360S、ミカサ製)を用い、300rpmで5秒、次いで2000rpmで60秒塗布し、80℃のホットプレート上で60秒間基板を加熱してHMDS処理シリコンウェハーを得た。このHMDS処理シリコンウェハーに上記(1)で製造した組成物(A)を滴下し、300rpmで5秒、次いで2000rpmで60秒でスピンコート塗布した。組成物の塗膜を蝕針式膜厚計で測定すると0.2〜0.3μmの膜厚であった。この基板を80℃のホットプレート上で60秒加熱し、マスクアライナーPLA−501F(Canon製)を用いて100mJ/cm(高圧Hgランプ、測定波長365nm)で露光した。これをアルカリ現像液CD200CR(JSR株式会社製)の50倍希釈溶液に30秒浸漬した後、純水で洗浄した。
【0081】
実施例2
(1)組成物(B)の製造
SiO被覆TiO分散液(触媒化成工業(株)製;上記粒子(1))を固形分濃度で50%まで濃縮したもの34.0部、テトラメチロールメタントリアクリレート(新中村化学社製)6.5部、IRGACURE907(日本チバガイギー社製、光開始剤)1.3部、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レダウコーニング社製、シリコン系ノニオン系界面活性剤)0.3部、乳酸エチル58.0部を混合し、組成物(B)を得た。これを0.5μmフィルター(グレード:DISMIC−25JP、PTFE製、ADVANTEC)でろ過し、組成物(B)を得た。
【0082】
(2)マイクロレンズアレイの製造
上記組成物(B)を用いた以外は実施例1と同様にしてマイクロレンズアレイを製造した。組成物の塗膜の膜厚を蝕針式膜厚計で測定すると0.7〜0.8μmであった。
【0083】
製造例1
(重合性不飽和基を有する有機化合物の製造)
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレート1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。生成物中の残存イソシアネート量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及び原料イソシアネート化合物に特徴的な2260cm−1の吸収ピークが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロキシ基に特徴的な1720cm−1のピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(12)で示される化合物が773部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在していた。
【0084】
製造例2:反応性粒子分散液の調製
製造例1で製造した組成物3.9部、SiO被覆TiO粒子分散液(粒子固形分濃度27.0重量%、触媒化成(株)製;前記粒子(1))95.5部、イオン交換水0.05部、硫酸0.01部及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を攪拌し、溶解させた。60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル0.6部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子の分散液を得た。この分散液の固形分濃度は計算上29.5重量%であった。
【0085】
実施例3
(1)組成物(C)の製造
製造例2で製造した反応性SiO被覆TiO分散液(触媒化成工業(株)製)を固形分濃度で50%まで濃縮したもの25.5部、テトラメチロールメタントリアクリレート(新中村化学社製1.4部、IRGACURE907(日本チバガイギー社製、光開始剤)0.8部、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レダウコーニング社製、シリコン系ノニオン系界面活性剤)0.2部、乳酸エチル72.3部を混合した。これを0.5μmフィルター(グレード:DISMIC−25JP、PTFE製、ADVANTEC)でろ過し、組成物(C)を得た。
【0086】
(2)マイクロレンズアレイの製造
上記組成物(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてマクロレンズアレイを製造した。組成物の塗膜の膜厚を蝕針式膜厚計で測定したところ0.2〜0.3μmであった。
【0087】
実施例4
(1)組成物(D)の製造
製造例2で製造した反応性SiO被覆TiO分散液(触媒化成工業(株)製)を固形分濃度で50%まで濃縮したもの42.5部、テトラメチロールメタントリアクリレート(新中村化学社製2.3部、IRGACUR907(日本チバガイギー社製、光開始剤)1.3部、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レダウコーニング社製、シリコン系ノニオン系界面活性剤)0.3部、乳酸エチル53.8部を混合した。これを0.5μmフィルター(グレード:DISMIC−25JP、PTFE製、ADVANTEC)でろ過し、組成物(D)を得た。
【0088】
(2)マイクロレンズアレイの製造
上記組成物(D)を用いた以外は実施例1と同様にしてマイクロレンズアレイを製造した。組成物の塗膜の膜厚を蝕針式膜厚計で測定したところ0.7〜0.8μmであった。
【0089】
比較例1及び2
用いた粒子をそれぞれ、粒子(2)及び(3)に変えた以外は実施例1(1)と同様にして組成物(E)及び(F)を製造した。これらの組成物を用い、実施例1(2)と同様に塗膜を形成し、露光した後、アルカリ現像液に浸漬し、純水で洗浄した。
【0090】
実施例1〜4及び比較例1、2で得られた組成物(A)〜(F)について、下記特性を評価した。
【0091】
(1)組成物のパターニング性
各組成物を、HMDS処理したシリコンウェハー上にスピン塗布し(300rpmで10秒、次いで2000rpmで60秒)、80℃のホットプレート上で加熱し、マスクアライナーPLA−501F(Canon製)を用い、365nm(光源は高圧水銀ランプ)で、照射光量100mJ/cmで露光した。アルカリ現像液CD−200CR(JSR株式会社製)の50倍希釈液(アルカリ成分濃度0.05重量%)に30秒間浸漬し、純水でリンスした。所望のパターンが形成されているか否かを光学顕微鏡で確認し、下記基準に従って評価した。得られた結果を表3に示す。
○:Line/Space=1/4(Line=60μm、Space=240μm)のパターンが形成される
×:アルカリ現像液浸漬後も未露光部が溶解せず、パターンが形成されない。
【0092】
(2)屈折率
各組成物を、0.5μmフィルターで濾過し、シリコンウェハー上に塗布し、アライナーPLA−501F(Canon社製)で硬化させた。得られた塗膜を、n&kAnalyzer(n&k Technology社製、米国)を用いて23℃で測定し、解析して屈折率を得た。得られた結果を表3に示す。
【0093】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の固体撮像素子用組成物は、固体撮像素子における高屈折率を必要とする部材の材料として、特に、マイクロレンズ材料として有用である。
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法によれば、簡便に、精度の高いマイクロレンズアレイの製造が可能となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D):
(A)粒子表面に存在する金属原子の総量を100原子%としたときに、粒子表面に存在するケイ素原子の割合が20原子%以上である粒子
(B)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)有機溶剤
を含有する固体撮像素子用組成物。
【請求項2】
前記(A)の粒子の粒子径が3〜100nmで屈折率が1.70以上である請求項1に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項3】
前記(A)の粒子が、チタニア、アルミナ及びジルコニアからなる群から選択される金属酸化物を主成分とし、二酸化ケイ素が表面に存在する粒子である請求項1又は2に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項4】
前記(A)の粒子が重合性不飽和基を有する粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項5】
前記(A)の粒子が有する重合性不飽和基が、下記式(11)に示す構造を含む基である請求項4に記載の固体撮像素子用組成物。
【化1】

[式(11)中、XはNH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、YはO又はSを示す。]
【請求項6】
前記(B)の2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、3個以上の(メタ)アクルロイル基を有する化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項7】
前記(D)有機溶剤が、120℃以上の沸点を有する有機溶剤である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項8】
前記(D)有機溶剤が、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンからなる群から選択される1種以上である請求項7に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項9】
さらに、(E)界面活性剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項10】
前記(E)界面活性剤が、フッ素又はシリコン、あるいは両方を含有するノニオン系界面活性剤から選択される請求項9に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項11】
固体撮像素子の表面レンズ、層内レンズ又は高屈折率層形成用である請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体撮像素子用組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体撮像素子用組成物を基材上に塗布し、露光してパターン形成し、アルカリ現像液に浸漬した後、水で洗浄することを含むマイクロレンズアレイの製造方法。
【請求項13】
前記アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度が、0.01〜5重量%の範囲内である請求項12に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。


【公開番号】特開2008−185683(P2008−185683A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17612(P2007−17612)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】