固体流動床にガス流を注入するための装置
【課題】
【解決手段】ガス分配装置に用いられる注入ノズルが開示される。一つの態様において、注入ノズルは、流入口と流出口とを有するチューブを備え、流入口が複数の流量制限オリフィスを備えるものでもよい。本発明の別の態様は、ガス分配装置に用いられる注入ノズルに関し、注入ノズルは、流入口と流出口とを有するチューブを備え、流入口が流量制限部を囲む環状オリフィスを備えるものでもよい。本発明の実施形態において、注入ノズルが、重合反応、使用済み触媒再生及び石炭ガス化等を実施するための容器で用いられるガス分配マニホールド内に配置されるものでもよい。
【解決手段】ガス分配装置に用いられる注入ノズルが開示される。一つの態様において、注入ノズルは、流入口と流出口とを有するチューブを備え、流入口が複数の流量制限オリフィスを備えるものでもよい。本発明の別の態様は、ガス分配装置に用いられる注入ノズルに関し、注入ノズルは、流入口と流出口とを有するチューブを備え、流入口が流量制限部を囲む環状オリフィスを備えるものでもよい。本発明の実施形態において、注入ノズルが、重合反応、使用済み触媒再生及び石炭ガス化等を実施するための容器で用いられるガス分配マニホールド内に配置されるものでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体流動床にガス流を注入するための装置であって、具体的には、注入ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
精錬産業及び化学プロセス工業やその他さまざまな加工産業において、微粉固体床にガス流を注入して、固体床の断面全体に均一にガスを分散させることが求められる場合が多々ある。この場合、固体床へのガス媒体の均一かつ密接な接触が促進され、この結果、気体と固体との間の化学反応及び/又は気体と固体との間の物質移動が進むように、ガス注入の設計が行なわれる。
【0003】
流動床にガスを注入する装置では、通常、穴のあいた平板グリッド、パイプグリッド型システム、又は、1組の同心円リングが用いられる。このような分配器の設計は、流動床の断面を可能な限り広く物理的に被覆し、流動床全体にわたるガスの均一な分散を促進させる。平板分散器の下方の空間に、又は、パイプグリッド型及び/又はリング型分散器のメインヘッダー内に、中央のガス源からガスが導入される。導入されたガスは、パイプグリッド型又はリング型システム全体に流れ、流動床内にガスを均一に分散させる複数のノズルを介して流動床内に放出される。プレートグリッド型分散器は、通常、完全に平らではなく、わずかに凹凸があるため、ガスにより発生する圧力及び/又は固体床の重量に耐えることができる。プレートグリッド型分散器は、ノズルを備えるものもノズルを備えないものもあるが、通常、プレートに配置された孔パターンのみを用いて、ガスを流動床に流す。固体流動床用のガス分散器の他の例としては、ドーム型分散器やいわゆる「マッシュルーム型」分散器が挙げられる。
【0004】
ガス媒体を均一に分散させるために、注入ノズルは、通常、分配ヘッダーから固体床内に注入ノズルを通ってガスが流れる際に圧力降下が生じるような断面積を持つように設計される。注入ノズル全体にわたる正の圧力降下を維持することにより、放出位置において固体床内の圧力変動が生じた場合でも、すべての注入ノズルに均等にガスを流すことができる。固体床を通ってガスが上向きに流れると、固体床が「流動化」し、液体のように作用し始める。このような固体流動床は、対応する密度と深さとを有する液体と同様に、固体流動床の深さ及び気体/固体混合物の密度に比例する圧力を発生させる。通常、このような固体流動床は、深さが数フィート(=0.7〜1m)から約30フィート(=9m)以上の範囲であり、測定密度が数ポンド/立方フィート(=32〜48kg/m3)から40ポンド/立方フィート(=640kg/m3)以上の範囲である。この結果、固体流動床により発生する圧力は、1ポンド/平方インチ(psi)という低い圧力から10psi以上という高い圧力までの範囲である。さらに、固体床は乱れが生じることも多く、この結果、固体床内の任意の位置における圧力が時間と共に変動し、また、固体床の所定の深さにおいて場所により変動する。このため、固体床内におけるガス分散器の位置で予測される圧力変動を克服するのに十分な圧力降下を実現するように、ガス分散器の設計を行なうことが重要である。ガス分散器の設計に関する「経験則」は、最低限の圧力降下が、下向きの注入ノズルの場合に固体床圧力降下の15%であり、上向きの注入ノズルの場合に固体床圧力降下の30%である、ということである。
【0005】
ガス媒体を均一に分散させるために最小限の圧力降下を維持することに加えて、比較的高い速度でガスが固体床内に放出されるように、注入ノズルの設計が行なわれる。ガスの速度が低すぎると、圧力変動により、一時的に、固体が逆向きに押し返されて、固体床から注入ノズル内に逆流する。このように注入ノズル内に固体が逆流すると、固体が詰まって固体塊が形成される可能性があり、これにより固体の連続的な研磨作用及び/又は注入ノズルの閉塞が生じ、注入ノズルの腐食につながる可能性があるため、望ましくない。さらに、固体が注入ノズル内に圧入されると、メインヘッダー内に進入し、ガス流にのって、さらに下流側の1つ以上の注入ノズル内に排出される。このような場合、固体がヘッダー内に進入する際に通るノズルから下流側にある1つ以上の注入ノズルに深刻な腐食が生じる可能性がある。固体の注入ノズル内への逆流を防ぐためには、ノズル内の速度を、所定の最低値、たとえば、約20フィート(=約6m)/秒(fps)、より上に維持する必要がある。
【0006】
流動床におけるガス分散における大きな問題は、固体床への放出位置におけるインジェクター・ノズルの腐食である。長期間にわたるインジェクターの放出端部における固体粒子の衝撃により、インジェクター端部が次第に摩耗する。摩耗が進むにつれて、ノズル端部が腐食して、インジェクター・ノズルがヘッダーを貫通する取り付け位置が破壊される。この結果、ヘッダーに穴があき、分配器の性能が失われる。このような場合、グリッド又はリングの性能を回復するためには、費用も時間もかかる修理が必要になる。
【0007】
石油精製業において広く用いられている微粉固体床を用いるプロセスは、流動式接触分解(FCC)プロセスである。FCCプロセスを用いて、重質軽油流を分解して、ガソリンや軽質炭化水素等、有用性の高い軽質生成物を製造する。FCCプロセスは、粉末形状の固体触媒を用いて、軽油の炭素−炭素原子結合の切断を促進し、ガソリンの沸点範囲に存在する小さな分子を形成する。ガソリン製品に加えて、プロセスは、さらに、回収後に有用性の高い生成物に変換されるプロパンやブタン等の軽いガスを生成する。流動式接触分解は、石油精製において、最も広く用いられている「変換」プロセスであり、1940年代初頭にこのプロセスが開始されて以来、FCCの生産量は、数百万バレル/日である。このように、FCCプロセスは、大きな経済的価値を有し、米国の石油精製所のみならず、世界中の多くの精製所で最も収益の高い部門である。
【0008】
FCCプロセスで用いられる触媒は、結晶質及び非晶質のシリカ及びアルミナを主成分とする微粉固体である。粉末触媒を用いることは、FCCプロセスの成否を決める重要なファクターであり、「流動化」として知られるプロセス工程全体の進行につながる。微粉末触媒は、空気等のガスにより適切にエアレーション又は「流動化」が行われた場合に、流体として働く。流動化した粉末は、液体と同様に、筋になって流れ、容器内で水平面を形成する。流動化した粉末は、さらに、流体と同様に、容器内で、又は、鉛直方向のスタンドパイプ内で、混合物の密度及び深さに比例する水頭圧力を生じる。また、ガス流の速度が十分であれば、粉末は、ガス流により空気輸送される。容器間における粉末触媒の流動性は、実行可能な接触分解プロセスの開発に極めて有用である。触媒ペレットの固定床を用いる初期の試みには、堆積した分解副生成物である「コークス」を除去するために、触媒の再生を頻繁に行う必要性があるという、大きな問題があった。炭素を主成分とし、水素及び硫黄を含有するコークスは、触媒を失活させるため、燃焼行程で除去する必要がある。「流動可能な」触媒を用いることにより、FCCユニットの反応容器と再生容器との間で触媒を連続的に循環させることができるため、反応工程と再生工程とを実施するための循環プロセスを必要としない。
【0009】
FCCプロセスにおいて、再生器の容器内で大量の空気を用いて、触媒からコークスを取り除き、触媒活性を回復させる。空気は、通常、パイプグリッド型又はリング型分配器によりコークス化触媒床に注入される。FCCプロセスは、さらに、使用済み触媒を蒸気に接触させるストリッピング部において、大型のパイプ型又はリング型分配器を用いて、触媒が再生器に送られる前に、同伴炭化水素を除去する。FCCプロセスの別の工程では、小型のパイプ型又はリング型分配器を用いて、蒸気又は空気を注入し、粉末触媒を「流動状態」又は「エアレーション状態」に保持する。上述したように、FCCプロセスの各領域で用いられる注入ノズルは、腐食する可能性がある。
【0010】
注入ノズルの設計を改良して、腐食の悪影響を減らし、分配器の耐用年数を延ばすために様々な試みがなされてきた。このような試みとしては、たとえば、特殊な合金及びセラミック材料を用いて、注入ノズル自体を硬くして、耐食性を高くし、金属メッキや難溶性層等の硬い表面仕上げで注入ノズルの放出端部を保護する方法、及び/又はノズルの設計を変更する方法が挙げられる。
【0011】
FCC再生器用の空気分配器で現在行なわれている最先端の設計技術は、パイプグリッド型分配器と2段注入ノズル設計を利用するものである。このような設計を図1Aに示す。図1Aは、3つの同じグリッドを三角形に配置させ、FCC再生器の円形断面を被覆するパイプグリッド型分配器の平面図である。図1Bは、グリッドを支持する3本の分岐を有する空気供給主管が底面から接続される様子を示す1つのパイプグリッドの立面図である。すべてのグリッドは、粉末触媒床において、同じ高さに配置され、空気が放出される圧力をできるだけ均一にする。図1Cは、鉛直方向から45度の角度で下向きにノズルが配置される様子を示す1つのグリッドアームの断面図である。このパイプグリッドの設計は、非常に効率が高く、触媒床の断面全体にわたって物理的に空気が分散され、コークスの燃焼が均一に行なわれる。
【0012】
図1Dは、「ボルダ(Borda)チューブ」と呼ばれる2段チューブを用いる1つの空気注入ノズルの断面図を示す。図1Eないし図1Hは、1つのグリッドアーム内におけるノズル配置をさまざまな方向から見た図である。金属製のグリッドアームを耐食処理を施した難溶性物質で被覆することにより、グリッドアーム自体のみならず注入ノズル全体も、触媒粒子の摩耗作用による腐食から守られる。
【0013】
ボルダチューブすなわち2段チューブは、入口側端部に同心円オリフィスを備えるストレート型のチューブである。ボルダチューブの設計において、グリッド全体にわたって均一な空気分散を促進するのに十分な圧力降下を与えるように、オリフィスの大きさが設定される。ここで、圧力降下は、通常、約1から3psiの範囲内である。オリフィスの下流側に接続される大径管状部は、ガスの速度を低下させ、固体床への放出速度が過剰な腐食及び/又は触媒の磨滅を生じさせないようなレベルにする。たとえば、Joseph W. Wilson「流動性接触分解(Fluid Catalytic Cracking)」、140-141ページ、Penwell出版、1997年に、FCC用注入ノズルとしてボルダチューブを使用する構成が詳述されている。
【0014】
ノズルオリフィスの下流側でチューブ内に十分な流れを形成するためには、ボルダチューブの推奨される長さは、最低限、チューブ直径の6倍なければならない。実際に、ノズルが短すぎると、放出部分における流れが乱れて、ノズル先端の腐食が過剰に進む原因となる。
【0015】
ボルダチューブの設計、並びに、ノズルの構造体及び/又はノズル先端保護のために硬い材料を用いることにより、FCCプロセスにおけるグリッド型分配器の耐用年数がかなり長くなったが、このような設計でも腐食摩耗が生じるため、グリッドアームの個々のノズルの定期的な交換又はグリッドアーム全体の交換が必要である。このような修理は難しく、計画的な休止期間の間に日常保守を行なうために必要な時間を増大させる可能性がある。
【0016】
FCC触媒再生プロセスで用いられる空気分配器の他の例が、米国特許第4,223,843号に開示されている。空気分配器は、ヘッダーリングと円筒形筺体内に複数のノズルを備え、各ノズルは、高圧の空気を排出するための分岐穴を持つように形成される。各ノズルの分岐穴は、使用済み触媒を破壊することなく、最大気流速度を与えることができるように、7°未満の半角で形成される。
【0017】
米国特許第4,460,130号に開示されるインジェクター・ノズルは、中心開口部とノズルから中心流路に伸長する入口とを備えるマニホールドの外側に配置される。ノズルの中心開口部の流れ方向における断面積が、少なくとも1つの位置において、入口の断面積よりも小さいことによって、中心流路から入口及びノズルを通って流れるガス流における圧力降下の大部分はノズルに起因するものである。中心開口部は15°未満の角度で外側に分岐され、噴出及び渦電流の形成を防ぐ。
【0018】
したがって、腐食摩耗の少ないガス分配装置が求められている。
【発明の概要】
【0019】
本発明の一つの態様は、ガス分配装置で用いられる注入ノズルに関し、前記注入ノズルが流入口と流出口とを有するチューブを備え、前記流入口が複数の流量制限オリフィスを備える。
【0020】
本発明の別の態様は、ガス分配装置で用いられる注入ノズルに関し、前記注入ノズルが流入口と流出口とを有するチューブを備え、前記流入口が流量制限部を囲む環状オリフィスを備える。
【0021】
本発明のまた別の態様は、ガス分配装置に関し、ガス源に流体連結する分配マニホールドと、複数の注入ノズルであって、各々、分配マニフォールド内に配置される流入口と流出口とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、前記流入口が複数の流量制限オリフィスを備える。ある実施形態において、上述したガス分配装置を容器内に配置して、たとえば、重合反応、使用済み触媒再生又は石炭ガス化を行なう容器にガスを供給するようにしてもよい。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、ガス分配装置に関し、ガス源に流体連結する分配マニホールドと、複数の注入ノズルであって、各々、分配マニフォールド内に配置される流入口と流出口とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、前記流入口が流量制限部を囲む環状オリフィスを備える。ある実施形態において、上述したガス分配装置を容器内に配置して、たとえば、重合反応、使用済み触媒再生又は石炭ガス化を行なう容器にガスを供給するようにしてもよい。
【0023】
本発明の他の態様や効果は、以下の本発明の詳細な説明及び請求項の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】従来のパイプグリッド型分配器を示す平面図。
【図1B】従来のパイプグリッド型分配器を示す立面図。
【0025】
【図1C】ボルダ(Borda)チューブ注入ノズルを備える図1Aに示す従来のパイプグリッド型分配器のグリッドアームを示す断面図。
【0026】
【図1D】図1Cで用いられるボルダ(Borda)チューブの詳細図。
【0027】
【図1E】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【図1F】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【図1G】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【図1H】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【0028】
【図2A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図2B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0029】
【図3A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図3B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0030】
【図4A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図4B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0031】
【図5A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図5B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0032】
【図6A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図6B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0033】
【図7A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図7B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0034】
【図8A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図8B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0035】
【図9A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図9B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0036】
【図10】本発明の実施例における注入ノズルを含むパイプ分配器グリッドアームの断面図。
【0037】
【図11】本発明の実施例における注入ノズルを含むパイプ型分配器のグリッドアームの断面図。
【0038】
【図12】本発明の実施例における注入ノズルを含む平板分配器を備える容器の断面図。
【0039】
【図13】本発明の実施例における注入ノズルを含む平板分配器を備える容器の断面図。
【0040】
【図14A】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14B】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14C】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14D】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14E】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【0041】
【図15A】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15B】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15C】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15D】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15E】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オオリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15F】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15G】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15H】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15I】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15J】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15K】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【0042】
【図16A】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図17】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図18】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図19】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図20】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【0043】
【図21】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図22】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図23】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図24】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図25】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【0044】
【図26】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図27】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図28】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図29】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図30】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図31】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の一態様は、固体流動床にガス流を注入するための装置に関する。詳しくは、本発明の実施形態は、注入ノズルの腐食を抑制又は防止可能なガス速度プロファイルを提供する注入ノズルに関する。
【0046】
注入ノズルは、ガス分配マニホールドに流体連結する流入口と、容器等に流体連結する流出口と、を備えるものでもよい。本発明の実施例における注入ノズルの流入口は、ノズル軸に平行な、ノズル軸に垂直な、又は、ノズル軸を横切る、1つ以上の流路を備えるものでもよい。ノズルにおける所望の圧力降下、安定したガス速度プロファイル、ノズル流出口に中心がある均一な速度プロファイル及び流動化される固体粒子の磨滅を引き起こす可能性のある速度に満たない最大速度の1つ又は複数を生じるように、流路をノズル上で設計及び分配配置するようにしてもよい。
【0047】
実施例に従う注入ノズルの例を図2ないし図9に示す。各図において、注入ノズルの外形を円形/円筒形で図示しているが、正方形、長方形、六角形、八角形等、他の形状/外形でもよい。また、以下の説明における「直径」は、円形以外の形状の場合には、「直径と同等のもの」に読み替えられる。
【0048】
図2A(断面図)及び図2B(入口側端面図)に、本発明の実施例における注入ノズルを例示する。注入ノズル10は、流入口14と流出口16とを有するチューブ12を備えるものでもよい。流入口14は、チューブ12の円周方向に沿って配置される複数の径方向流量制限オリフィス17を備えるように形成されてもよい。ここで、「複数」は、図示された数にかかわらず、2つ以上を意味する。図2Bに示すように、流れ開口部を持たないバックプレート18で流入口に蓋をして、径方向流量制限オリフィス17を介してチューブ12内に径方向にガスを流すものでもよい。
【0049】
径方向流量制限オリフィスの数及び直径を、チューブ10における所望の圧力降下に応じて決めるようにしてもよい。複数の径方向流量制限オリフィス17を、チューブ12の円周方向に沿って一列に配置するようにしてもよい。他の実施例において、径方向流量制限オリフィスを円周方向に沿って複数列に配置するようにしてもよい。
【0050】
径方向流量制限オリフィスの直径DOに対するチューブ流出口の内径DTの比は、2:1より大きいものでもよい。他の実施例において、径方向流量制限オリフィスの直径DOに対するチューブ流出口の内径DTの比は、2:1ないし20:1の範囲内でもよい。
【0051】
複数の径方向流量制限オリフィスは、流入口側のチューブの入口側軸端部から長さLの範囲内に配置されるものでもよい。長さLは、ある実施例において、流出口14の内径の2倍未満でもよい。別の実施例において、流出口14の内径の1.5倍未満でもよい。また別の実施例において、流出口14の内径の1倍未満でもよい。さらに別の実施例において、流出口14の内径の0.5倍未満でもよい。他の実施例において、製造可能性と構造的整合性の両方を考慮して、径方向流量制限オリフィスを可能な限り軸端部に近づけて配置させるようにしてもよい。
【0052】
図3A(側面図)及び図3B(入口側端面図)に、本発明の実施例における注入ノズルを例示する。注入ノズル20は、流入口24と流出口26とを有するチューブ22を備えるものでもよい。流入口24は、たとえば、入口板28に軸方向に沿って配置される複数の軸方向流量制限オリフィス27を備えるように形成されてもよい。
【0053】
図3Bに示すように、軸方向流量制限オリフィス26は、均一な間隔で入口板28上に配置されるものでもよい。均一な間隔にすることにより、製造が容易になり、かつ、構造的整合性がとれる。さらに重要なことは、均一な間隔で軸方向流量制限オリフィスを形成することにより、均一で、中心を流れるフロープロファイルが得られる。
【0054】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図3Aと図4Aとを比較して、所望の圧力降下又は速度プロファイルが得られるように、軸方向流量制限オリフィス26の長さL0を決めるようにしてもよい。ある実施例において、軸方向流量制限オリフィス27内の流れを安定化させ、より均一な速度プロファイルでオリフィスから流れが流出し、結果として、流出口26において、より均一な速度プロファイルが得られるように、長さL0を決めるようにしてもよい。たとえば、長さL0は、ある実施例において、軸方向流量制限オリフィスの直径の少なくとも4倍でもよい。別の実施例において、軸方向流量制限オリフィスの直径の少なくとも5倍でもよい。
【0055】
オリフィス出口側端部32から流出口24までの長さは、安定して均一な速度プロファイルを得るのに十分な長さが必要である。複数の流量制限オリフィスの軸長に対するチューブの軸長の比は、ある実施例において少なくとも4:1でもよく、別の実施例において、5:1ないし50:1の範囲内でもよい。
【0056】
軸方向流量制限オリフィスの数及び直径を、チューブ20における所望の圧力降下に応じて決めるようにしてもよい。軸方向流量制限オリフィスの直径に対するチューブ流出口の内径の比は、ある実施例において2:1より大きいものでもよく、別の実施例において2:1ないし20:1の範囲内でもよい。
【0057】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図5A(側面図)及び図5B(入口側端面図)に示すように、軸方向流量制限オリフィス26をテーパさせるようにしてもよい。たとえば、軸方向流量制限オリフィス26は、オリフィス入口側端部30からオリフィス出口側端部32に向かって直径が増大するものでもよい。ここで、外径のテーパ角度αは、ある実施例において、最大で約15°、別の実施例において、約5°ないし15°の範囲、また別の実施例において、7.5°ないし12.5°の範囲でもよい。
【0058】
図6A(側面図)及び図6B(入口側端面図)に、本発明の実施例における注入ノズルを例示する。注入ノズル60は、流入口64と流出口66とを有するチューブ62を備えるものでもよい。流入口64は、たとえば、流量制限部70を囲む環状オリフィス68を備えるように形成されてもよい。図6Aに示すように、流量制限部70は、チューブ62の入口側端部の中心に懸架されたディスク70Dを備えるものでもよい。
【0059】
環状オリフィス68の幅Wを、ノズル60における所望の圧力降下等のファクターに基づいて、決めるようにしてもよい。ディスク70Dの直径は、ある実施例において、チューブ62の内径の0.5ないし0.95倍の範囲でもよい。別の実施例において、チューブ62の内径の0.6ないし0.85倍の範囲でもよい。
【0060】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図6Aと図7Aとを比較して、所望の圧力降下又は速度プロファイルが得られるように、流量制限オリフィス70の長さLAを決めるようにしてもよい。ある実施例において、環状オリフィス68内の流れを安定化させ、より均一な速度プロファイルでオリフィスから流れが流出し、結果として、流出口66において、より均一な速度プロファイルが得られるように、長さLAを決めるようにしてもよい。たとえば、長さLAは、ある実施例において、幅Wの少なくとも4倍でもよい。別の実施例において、幅Wの少なくとも5倍でもよい。
【0061】
環状オリフィスの出口側端部72から流出口66までの長さは、安定して均一な速度プロファイルを得るのに十分な長さが必要である。環状オリフィスの長さLAに対するチューブの軸長LTの比は、ある実施例において少なくとも4:1でもよく、別の実施例において、5:1ないし50:1の範囲内でもよい。
【0062】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図8A(側面図)、図8B(入口側端面図)、図9A(側面図)及び図9B(入口側端面図)に示すように、円錐形の流量制限部70Cを用いて、環状オリフィス66をテーパさせるようにしてもよい。たとえば、環状オリフィス68は、オリフィス入口側端部72からオリフィス出口側端部74に向かって直径が増大するものでもよい。ここで、外径のテーパ角度βは、ある実施例において、最大で約15°、別の実施例において、約5°ないし15°の範囲、また別の実施例において、7.5°ないし12.5°の範囲でもよい。図9Aに示すように、円錐形流量制限部70Cの出口側端部を切り取るようにしてもよい(結果として、円錐台形流量制限部70Fが得られる)。
【0063】
本発明の実施例における注入ノズルは、上述したように、安定した速度プロファイルを与えることができる。このような注入ノズルは、ノズル出口に中心がある均一な速度プロファイルを与えることができる。また、本発明の実施例における注入ノズルは、高速度領域の発生や粒子の磨滅につながる噴出の局在化を防ぐことができる。さらに、本発明の実施例における注入ノズルは、ノズルの出口側近傍における負の軸流速度領域を防ぐことができ、その結果、ノズルの腐食速度を遅くすることができる。
【0064】
上述した注入ノズルをガス分配装置に配置するようにしてもよい。本発明の実施例における注入ノズルは、気相のみを固体流動床に分散させるような構成であればどのような分配装置にでも用いることができる。利用可能な分配装置の例としては、平板分配器、パイプグリッド型システム、リング型分配器、ドーム型分配器及びマッシュルーム型分配器等が挙げられる。このような分配器は、さまざまな反応を行なったり、気体と固体間の物質移動を行なったりするための容器、たとえば、FCC触媒再生容器、気相重合容器、石炭ガス化容器、鉄鉱石還元容器等、に配置されるものでもよい。
【0065】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図10及び図11に、本発明の実施例における注入ノズルをガス分配装置に配置した様子を示す。ガス分配装置80は、(図示しない)リング型分配器を含み、ガス源に流体連結するガス分配マニホールド82と複数の注入ノズル84とを備えるものでもよい。注入ノズルは、各々、分配マニホールド内に配置される流入口86と流出口88とを備えるものでもよい。ある実施例において、図10に示すように、流出口88が、ガス分配マニホールド82の外周89に近接して配置されるものでもよい。別の実施例において、図11に示すように、流出口88が、ガス分配マニホールド82の外側に突出して配置されるものでもよい。
【0066】
同様に、同じ構成要素を同じ番号で表わした図12及び図13に、本発明の実施例における注入ノズルをガス分配装置に配置した様子を示す。ガス分配装置90は、容器92内に平板分配器91を有し、ガス源94に流体連結するガス分配マニホールド93と複数の注入ノズル94とを備えるものでもよい。注入ノズルは、各々、分配マニホールド内に配置される流入口96と流出口97とを備えるものでもよい。ある実施例において、図12に示すように、流出口97が、平板99の上表面98に近接して配置されるものでもよい。別の実施例において、図13に示すように、流出口97が、平板99の上表面98の上側に突出して配置されるものでもよい。
【0067】
上述したように、本発明の実施例における注入ノズルを、たとえば、FCC触媒再生に利用されるガス分配装置で用いることができる。本発明の実施例における注入ノズルを、さらに、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5,314,610号の図1を参照して説明されるように、他の分解プロセスに用いることもできる。米国特許第5,314,610号に記載されるように、接触分解反応容器内への蒸気や窒素等のストリッピング媒体の注入や、使用済み触媒からのコークスの燃焼除去のための酸素または空気の注入に、ガス分配装置を用いることもできる。
【0068】
実施例
【0069】
以下、モデリング法による実施例を説明する。実施例は実際に行なったものであるが、適用法に準拠して、ここでは過去時制ではなく現在時制で説明する。
【0070】
「計算流体力学(computational fluid dynamics:CFD)を用いたシミュレーションの結果を、本発明の実施例における注入ノズルとボルダ(Borda)チューブ及び変型ボルダ(Borda)チューブと比較する。図14ないし図17に示すように、CFDを用いて、所定の注入ノズル構成におけるフローパターンの試験と比較とを行なう。以下で説明するように、本発明の実施例における注入ノズルは、流れが不安定化する可能性や、ノズル先端部が腐食摩耗する可能性を抑制することができる。各注入ノズル構成において、気流と圧力降下が同じであると仮定して、同一の条件で、CFDを用いたシミュレーションを行なう。
【0071】
比較例1
【0072】
図14Aないし図14Eに、流動床におけるガス分配に広く用いられている標準的なボルダ(Borda)型注入ノズルに関するCFDの結果を示す。ノズルの長さは9インチ(=22.9cm)、出口における内径は1.5インチ(=3.81cm)、入口側オリフィスの直径は1.04インチ(=2.64cm)である。図14Aはガス分配ヘッダーの断面図であり、ヘッダー、ボルダチューブ及び周囲の固体床内部の流速ベクトルを示す。予測されるように、ガスがオリフィスを通って加速され、オリフィスの下流側に配置される大径のボルダチューブ内に分岐される際に、高速の噴出が生じる。
【0073】
図14Bにヘッダー断面とボルダチューブとを通り抜けて固体床まで達する単一平面上の速度ベクトルを示す。ヘッダー内における全体的なガス流の方向に平行になるように、平面の方向を合わせる。CFDの結果から、ヘッダー内のガス流によってオリフィスから出るガス噴射が影響を受けることがわかる。さらに、CFDアニメーションにより、ガス噴射が安定ではなく、ボルダチューブ内部で左右にふらつくことがわかる。
【0074】
図14C及び図14Dは、2つの異なる方向、すなわち、ヘッダー内のガス流の方向とガス流の方向に垂直な方向、から見たオリフィスからのガス噴出の拡大スナップショットである。これらの図から、オリフィスからの噴出がヘッダー内のガス流に影響されることが明らかである。
【0075】
図14Eに、ヘッダー内におけるガス流の方向に平行になるように平面の方向を合わせた、ボルダチューブの中心を通る単一平面に沿った図を示す。驚くべきことに、ノズルが推奨される最低限の長さ−直径比(L/D)=6.0を有しているにもかかわらず、ガス噴出の不安定さは、ノズルの端部を越えて、固体流動床まで持続している。さらに、ガス噴出の不安定さにより、チューブの一部において、負の軸流速度が生じる。ノズル入口の端面図である図15Aに示すように、また、噴出がボルダチューブ内で左右に動く様子を示すボルダチューブ注入ノズルのCFD解析による連続(等時間間隔)スナップショットである図15Bないし図15Kに示すように、CFDのアニメーションから、負の速度領域は安定ではなく、チューブ内で左右に移動することがわかる。これらの結果から、このノズル設計では、固体が負の軸流速度領域のみに逆流して、ガス噴出がチューブ内で左右反転する際に、固体を高速で射出可能なことが明らかである。この不安定なガス噴出の挙動は、所定期間使用後にこの型のノズルにおいて観察された摩耗パターンに一致する。
【0076】
比較例2−5
【0077】
図16ないし図20(比較例1−5)に、さまざまな変型ボルダチューブ注入ノズル構成の軸平面に沿ったスナップショットを示す。すべての注入ノズルを、インジェクター全体にわたり2.1psiの一定の圧力降下を与えるような大きさのオリフィス開口部を用いて、同一の入口圧力条件下で評価する。各ノズルの長さは9インチ(=22.9cm)で、内径は1.5インチ(=3.81cm)である(L/D=6)。
【0078】
比較例1(再掲):図16にシングルオリフィス型の標準的なボルダチューブを示す。これは、図14及び図15に示したものと同じであるが、参照のために再掲する。
【0079】
比較例2:図17に示すボルダチューブは、オリフィス間の間隔が0.75インチ(=1.91cm)のダブルオリフィス型(各オリフィスの長さは1/4インチ(=0.64cm)で直径が1.04インチ(=2.64cm))である。CFDの結果から、標準的なボルダチューブと比較して、噴出の安定性や、ノズルチューブ内における負の軸流速度領域の存在に関して改善が見られない。
【0080】
比較例3:図18に示すオリフィスは、下流側端部に短い傾斜部を備える。この比較例でも、噴出の安定性や、ノズルチューブ内における負の軸流速度領域の存在に関して改善が見られない。
【0081】
比較例4:図19A(側面図)及び図19B(ノズル入口の端面図)に示すように、オリフィスの厚み(長さ)を1/4インチ(=0.64cm)から1インチ(=2.54cm)に変化させる。CFDの結果から、この構成では不安定さが減少し、負の速度領域の位置がより安定化するものの、負の軸流速度の領域が存在する。
【0082】
比較例5:図20A(側面図)及び図20B(ノズル入口の端面図)に示すように、大径ノズルがオリフィスの出口側端部に長い傾斜部を備える。この構成では、速度プロファイルが非常に安定であるが、ガス噴出はチューブの中心ではなく、安定ではあるが、比較的大きな面積の負の軸流速度領域が見られる。
【0083】
図16ないし図20に示すボルダチューブ及び変型ボルダチューブのCFD解析の結果は、ガス注入ノズルにおいて望ましくない流れ特性である不安定な流れ及び/又は負の軸流速度を示す。
【0084】
実施例1−5
【0085】
図21ないし図25(実施例1−5)に、本発明の実施例に従う注入ノズルの軸平面に沿ったスナップショットを示す。すべての注入ノズルを、比較例1ないし5と同様の条件(インジェクター全体にわたり2.1psiの一定の圧力降下を与えるような大きさのオリフィス開口部を用いて、同一の入口圧力条件)で評価する。各ノズルの長さは9インチ(=22.9cm)で、内径は1.5インチ(=3.81cm)である(L/D=6)。
【0086】
実施例1:図21A(側面図)及び図21B(ノズル入口の端面図)に、図6A及び図6Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、注入ノズルの入口の中心に懸架された平らなディスク(直径0.75インチ(=1.91cm)で長さ1/4インチ(=0.64cm))を囲む環状開口部を備える。このノズルは、非常に安定な速度プロファイルを持つが、速度プロファイルの中心は出口ではない。さらに、逆流が生じ得る局在化領域が存在する可能性があり、ノズルの製造が難しい。
【0087】
実施例2:図22A(側面図)及び図22B(ノズル入口の端面図)に、図9A及び図9Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、ノズルの入口に懸架されたテーパされた円錐形により環状オリフィス開口部が形成される。このノズルは、安定性の観点からは図21A及び図21Bのノズルと同様に機能するが、速度プロファイルの中心がノズルチューブのほぼ中央にある、という改善が見られる。ただし、ノズルの製造が難しい。
【0088】
実施例3:図23A(側面図)及び図23B(ノズル入口の端面図)に、図3A及び図3Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、7個の小さなオリフィスを備え、シングルオリフィスと同様の圧力降下を示す。この構成では、速度プロファイルはかなり安定であり、ノズル出口における速度プロファイルは非常に高い均一性を示す。負の軸流速度の領域が存在するが、ノズルの入口側の半分に限定され、ノズル先端には到達しない。
【0089】
実施例4:図24A(側面図)及び図24B(ノズル入口の端面図)に、図4A及び図4Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、実施例3と同様のマルチオリフィス(7穴)構成であるが、オリフィス薄板(1/4インチ(=0.64cm))が厚板(1インチ(=2.54cm))に置き換えられている。オリフィス厚板を用いることにより、実施例3と比較して、速度プロファイルの安定性が向上し、注入ノズル出口における速度プロファイルが非常に高い均一性を示す。さらに、実施例3の薄板オリフィス構成よりも早く、速度プロファイルが均一になる。
【0090】
実施例5:図25A(側面図)及び図25B(ノズル入口の端面図)に、図2A及び図2Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、バックプレート上ではなく、チューブの側面に配置されるマルチオリフィス(8穴)構成である。バックプレートには開口部は存在しない。オリフィス領域は、前述したすべての構成と同様に、全体のノズル圧力降下が同じ2.1psiになるような大きさに設定されている。CFDの結果から、この構成が安定した均一な速度プロファイルを持つことがわかる。CFDアニメーションの結果によれば、速度プロファイルで検出される動きはほとんど存在しない。さらに、比較例1の標準的なボルダチューブと比較して、このノズル設計は製造が容易である。
【0091】
実施例6:図26ないし図31に、図2A及び図2Bに示すオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を、比較例1の標準的なボルダチューブのCFD解析の結果と比較する(便宜上、図16に示した比較例を図27、29及び31に再掲する。ここで、図27A、図29A及び図31Aは側面図であり、図27B、図29B及び図31Bはノズル入口の端面図である)。オリフィス構成は、バックプレート上ではなく、チューブの側面に配置される8穴のマルチオリフィス構成(図26A(端面図)及び図26B(ノズル入口の側面図)、6穴のマルチオリフィス構成(図28A(端面図)及び図28B(ノズル入口の側面図)、4穴のマルチオリフィス構成(図30A(端面図)及び図30B(ノズル入口の側面図)である。バックプレートには開口部は存在しない。オリフィス領域は、前述したすべての構成と同様に、全体のノズル圧力降下が同じ2.1psiになるような大きさに設定されている。CFDの結果から、標準的なボルダチューブと比較して、これらの構成が安定した均一な(経時変動が抑制された)速度プロファイルを持つことがわかる。また、CFDの結果から、8穴、6穴、4穴の順に、出口側速度における均一性が向上することがわかる。
【0092】
上述したように、本発明の実施例における注入ノズルは、安定した速度プロファイル、注入ノズル出口における均一な速度及び負の流速を有する領域の限定のうち、1つ又は複数の効果を達成することができる。このような注入ノズルを用いることにより、腐食の抑制、触媒摩耗の抑制及びガス分配の向上のうち、1つ又は複数の効果が得られる。
【0093】
以上、いくつかの実施例を説明したが、当業者には自明のように、本発明の要旨の範囲内でさまざまに変形・変更可能である。本発明の要旨は、特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体流動床にガス流を注入するための装置であって、具体的には、注入ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
精錬産業及び化学プロセス工業やその他さまざまな加工産業において、微粉固体床にガス流を注入して、固体床の断面全体に均一にガスを分散させることが求められる場合が多々ある。この場合、固体床へのガス媒体の均一かつ密接な接触が促進され、この結果、気体と固体との間の化学反応及び/又は気体と固体との間の物質移動が進むように、ガス注入の設計が行なわれる。
【0003】
流動床にガスを注入する装置では、通常、穴のあいた平板グリッド、パイプグリッド型システム、又は、1組の同心円リングが用いられる。このような分配器の設計は、流動床の断面を可能な限り広く物理的に被覆し、流動床全体にわたるガスの均一な分散を促進させる。平板分散器の下方の空間に、又は、パイプグリッド型及び/又はリング型分散器のメインヘッダー内に、中央のガス源からガスが導入される。導入されたガスは、パイプグリッド型又はリング型システム全体に流れ、流動床内にガスを均一に分散させる複数のノズルを介して流動床内に放出される。プレートグリッド型分散器は、通常、完全に平らではなく、わずかに凹凸があるため、ガスにより発生する圧力及び/又は固体床の重量に耐えることができる。プレートグリッド型分散器は、ノズルを備えるものもノズルを備えないものもあるが、通常、プレートに配置された孔パターンのみを用いて、ガスを流動床に流す。固体流動床用のガス分散器の他の例としては、ドーム型分散器やいわゆる「マッシュルーム型」分散器が挙げられる。
【0004】
ガス媒体を均一に分散させるために、注入ノズルは、通常、分配ヘッダーから固体床内に注入ノズルを通ってガスが流れる際に圧力降下が生じるような断面積を持つように設計される。注入ノズル全体にわたる正の圧力降下を維持することにより、放出位置において固体床内の圧力変動が生じた場合でも、すべての注入ノズルに均等にガスを流すことができる。固体床を通ってガスが上向きに流れると、固体床が「流動化」し、液体のように作用し始める。このような固体流動床は、対応する密度と深さとを有する液体と同様に、固体流動床の深さ及び気体/固体混合物の密度に比例する圧力を発生させる。通常、このような固体流動床は、深さが数フィート(=0.7〜1m)から約30フィート(=9m)以上の範囲であり、測定密度が数ポンド/立方フィート(=32〜48kg/m3)から40ポンド/立方フィート(=640kg/m3)以上の範囲である。この結果、固体流動床により発生する圧力は、1ポンド/平方インチ(psi)という低い圧力から10psi以上という高い圧力までの範囲である。さらに、固体床は乱れが生じることも多く、この結果、固体床内の任意の位置における圧力が時間と共に変動し、また、固体床の所定の深さにおいて場所により変動する。このため、固体床内におけるガス分散器の位置で予測される圧力変動を克服するのに十分な圧力降下を実現するように、ガス分散器の設計を行なうことが重要である。ガス分散器の設計に関する「経験則」は、最低限の圧力降下が、下向きの注入ノズルの場合に固体床圧力降下の15%であり、上向きの注入ノズルの場合に固体床圧力降下の30%である、ということである。
【0005】
ガス媒体を均一に分散させるために最小限の圧力降下を維持することに加えて、比較的高い速度でガスが固体床内に放出されるように、注入ノズルの設計が行なわれる。ガスの速度が低すぎると、圧力変動により、一時的に、固体が逆向きに押し返されて、固体床から注入ノズル内に逆流する。このように注入ノズル内に固体が逆流すると、固体が詰まって固体塊が形成される可能性があり、これにより固体の連続的な研磨作用及び/又は注入ノズルの閉塞が生じ、注入ノズルの腐食につながる可能性があるため、望ましくない。さらに、固体が注入ノズル内に圧入されると、メインヘッダー内に進入し、ガス流にのって、さらに下流側の1つ以上の注入ノズル内に排出される。このような場合、固体がヘッダー内に進入する際に通るノズルから下流側にある1つ以上の注入ノズルに深刻な腐食が生じる可能性がある。固体の注入ノズル内への逆流を防ぐためには、ノズル内の速度を、所定の最低値、たとえば、約20フィート(=約6m)/秒(fps)、より上に維持する必要がある。
【0006】
流動床におけるガス分散における大きな問題は、固体床への放出位置におけるインジェクター・ノズルの腐食である。長期間にわたるインジェクターの放出端部における固体粒子の衝撃により、インジェクター端部が次第に摩耗する。摩耗が進むにつれて、ノズル端部が腐食して、インジェクター・ノズルがヘッダーを貫通する取り付け位置が破壊される。この結果、ヘッダーに穴があき、分配器の性能が失われる。このような場合、グリッド又はリングの性能を回復するためには、費用も時間もかかる修理が必要になる。
【0007】
石油精製業において広く用いられている微粉固体床を用いるプロセスは、流動式接触分解(FCC)プロセスである。FCCプロセスを用いて、重質軽油流を分解して、ガソリンや軽質炭化水素等、有用性の高い軽質生成物を製造する。FCCプロセスは、粉末形状の固体触媒を用いて、軽油の炭素−炭素原子結合の切断を促進し、ガソリンの沸点範囲に存在する小さな分子を形成する。ガソリン製品に加えて、プロセスは、さらに、回収後に有用性の高い生成物に変換されるプロパンやブタン等の軽いガスを生成する。流動式接触分解は、石油精製において、最も広く用いられている「変換」プロセスであり、1940年代初頭にこのプロセスが開始されて以来、FCCの生産量は、数百万バレル/日である。このように、FCCプロセスは、大きな経済的価値を有し、米国の石油精製所のみならず、世界中の多くの精製所で最も収益の高い部門である。
【0008】
FCCプロセスで用いられる触媒は、結晶質及び非晶質のシリカ及びアルミナを主成分とする微粉固体である。粉末触媒を用いることは、FCCプロセスの成否を決める重要なファクターであり、「流動化」として知られるプロセス工程全体の進行につながる。微粉末触媒は、空気等のガスにより適切にエアレーション又は「流動化」が行われた場合に、流体として働く。流動化した粉末は、液体と同様に、筋になって流れ、容器内で水平面を形成する。流動化した粉末は、さらに、流体と同様に、容器内で、又は、鉛直方向のスタンドパイプ内で、混合物の密度及び深さに比例する水頭圧力を生じる。また、ガス流の速度が十分であれば、粉末は、ガス流により空気輸送される。容器間における粉末触媒の流動性は、実行可能な接触分解プロセスの開発に極めて有用である。触媒ペレットの固定床を用いる初期の試みには、堆積した分解副生成物である「コークス」を除去するために、触媒の再生を頻繁に行う必要性があるという、大きな問題があった。炭素を主成分とし、水素及び硫黄を含有するコークスは、触媒を失活させるため、燃焼行程で除去する必要がある。「流動可能な」触媒を用いることにより、FCCユニットの反応容器と再生容器との間で触媒を連続的に循環させることができるため、反応工程と再生工程とを実施するための循環プロセスを必要としない。
【0009】
FCCプロセスにおいて、再生器の容器内で大量の空気を用いて、触媒からコークスを取り除き、触媒活性を回復させる。空気は、通常、パイプグリッド型又はリング型分配器によりコークス化触媒床に注入される。FCCプロセスは、さらに、使用済み触媒を蒸気に接触させるストリッピング部において、大型のパイプ型又はリング型分配器を用いて、触媒が再生器に送られる前に、同伴炭化水素を除去する。FCCプロセスの別の工程では、小型のパイプ型又はリング型分配器を用いて、蒸気又は空気を注入し、粉末触媒を「流動状態」又は「エアレーション状態」に保持する。上述したように、FCCプロセスの各領域で用いられる注入ノズルは、腐食する可能性がある。
【0010】
注入ノズルの設計を改良して、腐食の悪影響を減らし、分配器の耐用年数を延ばすために様々な試みがなされてきた。このような試みとしては、たとえば、特殊な合金及びセラミック材料を用いて、注入ノズル自体を硬くして、耐食性を高くし、金属メッキや難溶性層等の硬い表面仕上げで注入ノズルの放出端部を保護する方法、及び/又はノズルの設計を変更する方法が挙げられる。
【0011】
FCC再生器用の空気分配器で現在行なわれている最先端の設計技術は、パイプグリッド型分配器と2段注入ノズル設計を利用するものである。このような設計を図1Aに示す。図1Aは、3つの同じグリッドを三角形に配置させ、FCC再生器の円形断面を被覆するパイプグリッド型分配器の平面図である。図1Bは、グリッドを支持する3本の分岐を有する空気供給主管が底面から接続される様子を示す1つのパイプグリッドの立面図である。すべてのグリッドは、粉末触媒床において、同じ高さに配置され、空気が放出される圧力をできるだけ均一にする。図1Cは、鉛直方向から45度の角度で下向きにノズルが配置される様子を示す1つのグリッドアームの断面図である。このパイプグリッドの設計は、非常に効率が高く、触媒床の断面全体にわたって物理的に空気が分散され、コークスの燃焼が均一に行なわれる。
【0012】
図1Dは、「ボルダ(Borda)チューブ」と呼ばれる2段チューブを用いる1つの空気注入ノズルの断面図を示す。図1Eないし図1Hは、1つのグリッドアーム内におけるノズル配置をさまざまな方向から見た図である。金属製のグリッドアームを耐食処理を施した難溶性物質で被覆することにより、グリッドアーム自体のみならず注入ノズル全体も、触媒粒子の摩耗作用による腐食から守られる。
【0013】
ボルダチューブすなわち2段チューブは、入口側端部に同心円オリフィスを備えるストレート型のチューブである。ボルダチューブの設計において、グリッド全体にわたって均一な空気分散を促進するのに十分な圧力降下を与えるように、オリフィスの大きさが設定される。ここで、圧力降下は、通常、約1から3psiの範囲内である。オリフィスの下流側に接続される大径管状部は、ガスの速度を低下させ、固体床への放出速度が過剰な腐食及び/又は触媒の磨滅を生じさせないようなレベルにする。たとえば、Joseph W. Wilson「流動性接触分解(Fluid Catalytic Cracking)」、140-141ページ、Penwell出版、1997年に、FCC用注入ノズルとしてボルダチューブを使用する構成が詳述されている。
【0014】
ノズルオリフィスの下流側でチューブ内に十分な流れを形成するためには、ボルダチューブの推奨される長さは、最低限、チューブ直径の6倍なければならない。実際に、ノズルが短すぎると、放出部分における流れが乱れて、ノズル先端の腐食が過剰に進む原因となる。
【0015】
ボルダチューブの設計、並びに、ノズルの構造体及び/又はノズル先端保護のために硬い材料を用いることにより、FCCプロセスにおけるグリッド型分配器の耐用年数がかなり長くなったが、このような設計でも腐食摩耗が生じるため、グリッドアームの個々のノズルの定期的な交換又はグリッドアーム全体の交換が必要である。このような修理は難しく、計画的な休止期間の間に日常保守を行なうために必要な時間を増大させる可能性がある。
【0016】
FCC触媒再生プロセスで用いられる空気分配器の他の例が、米国特許第4,223,843号に開示されている。空気分配器は、ヘッダーリングと円筒形筺体内に複数のノズルを備え、各ノズルは、高圧の空気を排出するための分岐穴を持つように形成される。各ノズルの分岐穴は、使用済み触媒を破壊することなく、最大気流速度を与えることができるように、7°未満の半角で形成される。
【0017】
米国特許第4,460,130号に開示されるインジェクター・ノズルは、中心開口部とノズルから中心流路に伸長する入口とを備えるマニホールドの外側に配置される。ノズルの中心開口部の流れ方向における断面積が、少なくとも1つの位置において、入口の断面積よりも小さいことによって、中心流路から入口及びノズルを通って流れるガス流における圧力降下の大部分はノズルに起因するものである。中心開口部は15°未満の角度で外側に分岐され、噴出及び渦電流の形成を防ぐ。
【0018】
したがって、腐食摩耗の少ないガス分配装置が求められている。
【発明の概要】
【0019】
本発明の一つの態様は、ガス分配装置で用いられる注入ノズルに関し、前記注入ノズルが流入口と流出口とを有するチューブを備え、前記流入口が複数の流量制限オリフィスを備える。
【0020】
本発明の別の態様は、ガス分配装置で用いられる注入ノズルに関し、前記注入ノズルが流入口と流出口とを有するチューブを備え、前記流入口が流量制限部を囲む環状オリフィスを備える。
【0021】
本発明のまた別の態様は、ガス分配装置に関し、ガス源に流体連結する分配マニホールドと、複数の注入ノズルであって、各々、分配マニフォールド内に配置される流入口と流出口とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、前記流入口が複数の流量制限オリフィスを備える。ある実施形態において、上述したガス分配装置を容器内に配置して、たとえば、重合反応、使用済み触媒再生又は石炭ガス化を行なう容器にガスを供給するようにしてもよい。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、ガス分配装置に関し、ガス源に流体連結する分配マニホールドと、複数の注入ノズルであって、各々、分配マニフォールド内に配置される流入口と流出口とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、前記流入口が流量制限部を囲む環状オリフィスを備える。ある実施形態において、上述したガス分配装置を容器内に配置して、たとえば、重合反応、使用済み触媒再生又は石炭ガス化を行なう容器にガスを供給するようにしてもよい。
【0023】
本発明の他の態様や効果は、以下の本発明の詳細な説明及び請求項の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】従来のパイプグリッド型分配器を示す平面図。
【図1B】従来のパイプグリッド型分配器を示す立面図。
【0025】
【図1C】ボルダ(Borda)チューブ注入ノズルを備える図1Aに示す従来のパイプグリッド型分配器のグリッドアームを示す断面図。
【0026】
【図1D】図1Cで用いられるボルダ(Borda)チューブの詳細図。
【0027】
【図1E】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【図1F】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【図1G】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【図1H】図1Cに示すグリッドアーム内におけるボルダ(Borda)チューブの配置を示す斜視図。
【0028】
【図2A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図2B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0029】
【図3A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図3B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0030】
【図4A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図4B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0031】
【図5A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図5B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0032】
【図6A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図6B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0033】
【図7A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図7B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0034】
【図8A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図8B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0035】
【図9A】本発明の実施例における注入ノズルを示す断面図。
【図9B】本発明の実施例における注入ノズルを示す入口側端面図。
【0036】
【図10】本発明の実施例における注入ノズルを含むパイプ分配器グリッドアームの断面図。
【0037】
【図11】本発明の実施例における注入ノズルを含むパイプ型分配器のグリッドアームの断面図。
【0038】
【図12】本発明の実施例における注入ノズルを含む平板分配器を備える容器の断面図。
【0039】
【図13】本発明の実施例における注入ノズルを含む平板分配器を備える容器の断面図。
【0040】
【図14A】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14B】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14C】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14D】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図14E】計算流体力学(CFD)解析により得られた標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【0041】
【図15A】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15B】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15C】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15D】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15E】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オオリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15F】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15G】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15H】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15I】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15J】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【図15K】CFDアニメーションによる標準的なボルダ(Borda)チューブ注入ノズルの連続フレームを示す図であって、オリフィスからの噴出の動き及び不安定さ並びにチューブ端部まで不安定さが持続する様子を示す図。
【0042】
【図16A】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図17】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図18】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図19】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【図20】CFD解析に基づくボルダ(Borda)チューブと変型ボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンを示す図。
【0043】
【図21】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図22】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図23】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図24】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【図25】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを示す図。
【0044】
【図26】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図27】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図28】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図29】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図30】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【図31】CFD解析に基づく本発明の実施例における注入ノズルの内部フローパターンを標準的なボルダ(Borda)チューブの内部フローパターンと比較した図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の一態様は、固体流動床にガス流を注入するための装置に関する。詳しくは、本発明の実施形態は、注入ノズルの腐食を抑制又は防止可能なガス速度プロファイルを提供する注入ノズルに関する。
【0046】
注入ノズルは、ガス分配マニホールドに流体連結する流入口と、容器等に流体連結する流出口と、を備えるものでもよい。本発明の実施例における注入ノズルの流入口は、ノズル軸に平行な、ノズル軸に垂直な、又は、ノズル軸を横切る、1つ以上の流路を備えるものでもよい。ノズルにおける所望の圧力降下、安定したガス速度プロファイル、ノズル流出口に中心がある均一な速度プロファイル及び流動化される固体粒子の磨滅を引き起こす可能性のある速度に満たない最大速度の1つ又は複数を生じるように、流路をノズル上で設計及び分配配置するようにしてもよい。
【0047】
実施例に従う注入ノズルの例を図2ないし図9に示す。各図において、注入ノズルの外形を円形/円筒形で図示しているが、正方形、長方形、六角形、八角形等、他の形状/外形でもよい。また、以下の説明における「直径」は、円形以外の形状の場合には、「直径と同等のもの」に読み替えられる。
【0048】
図2A(断面図)及び図2B(入口側端面図)に、本発明の実施例における注入ノズルを例示する。注入ノズル10は、流入口14と流出口16とを有するチューブ12を備えるものでもよい。流入口14は、チューブ12の円周方向に沿って配置される複数の径方向流量制限オリフィス17を備えるように形成されてもよい。ここで、「複数」は、図示された数にかかわらず、2つ以上を意味する。図2Bに示すように、流れ開口部を持たないバックプレート18で流入口に蓋をして、径方向流量制限オリフィス17を介してチューブ12内に径方向にガスを流すものでもよい。
【0049】
径方向流量制限オリフィスの数及び直径を、チューブ10における所望の圧力降下に応じて決めるようにしてもよい。複数の径方向流量制限オリフィス17を、チューブ12の円周方向に沿って一列に配置するようにしてもよい。他の実施例において、径方向流量制限オリフィスを円周方向に沿って複数列に配置するようにしてもよい。
【0050】
径方向流量制限オリフィスの直径DOに対するチューブ流出口の内径DTの比は、2:1より大きいものでもよい。他の実施例において、径方向流量制限オリフィスの直径DOに対するチューブ流出口の内径DTの比は、2:1ないし20:1の範囲内でもよい。
【0051】
複数の径方向流量制限オリフィスは、流入口側のチューブの入口側軸端部から長さLの範囲内に配置されるものでもよい。長さLは、ある実施例において、流出口14の内径の2倍未満でもよい。別の実施例において、流出口14の内径の1.5倍未満でもよい。また別の実施例において、流出口14の内径の1倍未満でもよい。さらに別の実施例において、流出口14の内径の0.5倍未満でもよい。他の実施例において、製造可能性と構造的整合性の両方を考慮して、径方向流量制限オリフィスを可能な限り軸端部に近づけて配置させるようにしてもよい。
【0052】
図3A(側面図)及び図3B(入口側端面図)に、本発明の実施例における注入ノズルを例示する。注入ノズル20は、流入口24と流出口26とを有するチューブ22を備えるものでもよい。流入口24は、たとえば、入口板28に軸方向に沿って配置される複数の軸方向流量制限オリフィス27を備えるように形成されてもよい。
【0053】
図3Bに示すように、軸方向流量制限オリフィス26は、均一な間隔で入口板28上に配置されるものでもよい。均一な間隔にすることにより、製造が容易になり、かつ、構造的整合性がとれる。さらに重要なことは、均一な間隔で軸方向流量制限オリフィスを形成することにより、均一で、中心を流れるフロープロファイルが得られる。
【0054】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図3Aと図4Aとを比較して、所望の圧力降下又は速度プロファイルが得られるように、軸方向流量制限オリフィス26の長さL0を決めるようにしてもよい。ある実施例において、軸方向流量制限オリフィス27内の流れを安定化させ、より均一な速度プロファイルでオリフィスから流れが流出し、結果として、流出口26において、より均一な速度プロファイルが得られるように、長さL0を決めるようにしてもよい。たとえば、長さL0は、ある実施例において、軸方向流量制限オリフィスの直径の少なくとも4倍でもよい。別の実施例において、軸方向流量制限オリフィスの直径の少なくとも5倍でもよい。
【0055】
オリフィス出口側端部32から流出口24までの長さは、安定して均一な速度プロファイルを得るのに十分な長さが必要である。複数の流量制限オリフィスの軸長に対するチューブの軸長の比は、ある実施例において少なくとも4:1でもよく、別の実施例において、5:1ないし50:1の範囲内でもよい。
【0056】
軸方向流量制限オリフィスの数及び直径を、チューブ20における所望の圧力降下に応じて決めるようにしてもよい。軸方向流量制限オリフィスの直径に対するチューブ流出口の内径の比は、ある実施例において2:1より大きいものでもよく、別の実施例において2:1ないし20:1の範囲内でもよい。
【0057】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図5A(側面図)及び図5B(入口側端面図)に示すように、軸方向流量制限オリフィス26をテーパさせるようにしてもよい。たとえば、軸方向流量制限オリフィス26は、オリフィス入口側端部30からオリフィス出口側端部32に向かって直径が増大するものでもよい。ここで、外径のテーパ角度αは、ある実施例において、最大で約15°、別の実施例において、約5°ないし15°の範囲、また別の実施例において、7.5°ないし12.5°の範囲でもよい。
【0058】
図6A(側面図)及び図6B(入口側端面図)に、本発明の実施例における注入ノズルを例示する。注入ノズル60は、流入口64と流出口66とを有するチューブ62を備えるものでもよい。流入口64は、たとえば、流量制限部70を囲む環状オリフィス68を備えるように形成されてもよい。図6Aに示すように、流量制限部70は、チューブ62の入口側端部の中心に懸架されたディスク70Dを備えるものでもよい。
【0059】
環状オリフィス68の幅Wを、ノズル60における所望の圧力降下等のファクターに基づいて、決めるようにしてもよい。ディスク70Dの直径は、ある実施例において、チューブ62の内径の0.5ないし0.95倍の範囲でもよい。別の実施例において、チューブ62の内径の0.6ないし0.85倍の範囲でもよい。
【0060】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図6Aと図7Aとを比較して、所望の圧力降下又は速度プロファイルが得られるように、流量制限オリフィス70の長さLAを決めるようにしてもよい。ある実施例において、環状オリフィス68内の流れを安定化させ、より均一な速度プロファイルでオリフィスから流れが流出し、結果として、流出口66において、より均一な速度プロファイルが得られるように、長さLAを決めるようにしてもよい。たとえば、長さLAは、ある実施例において、幅Wの少なくとも4倍でもよい。別の実施例において、幅Wの少なくとも5倍でもよい。
【0061】
環状オリフィスの出口側端部72から流出口66までの長さは、安定して均一な速度プロファイルを得るのに十分な長さが必要である。環状オリフィスの長さLAに対するチューブの軸長LTの比は、ある実施例において少なくとも4:1でもよく、別の実施例において、5:1ないし50:1の範囲内でもよい。
【0062】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図8A(側面図)、図8B(入口側端面図)、図9A(側面図)及び図9B(入口側端面図)に示すように、円錐形の流量制限部70Cを用いて、環状オリフィス66をテーパさせるようにしてもよい。たとえば、環状オリフィス68は、オリフィス入口側端部72からオリフィス出口側端部74に向かって直径が増大するものでもよい。ここで、外径のテーパ角度βは、ある実施例において、最大で約15°、別の実施例において、約5°ないし15°の範囲、また別の実施例において、7.5°ないし12.5°の範囲でもよい。図9Aに示すように、円錐形流量制限部70Cの出口側端部を切り取るようにしてもよい(結果として、円錐台形流量制限部70Fが得られる)。
【0063】
本発明の実施例における注入ノズルは、上述したように、安定した速度プロファイルを与えることができる。このような注入ノズルは、ノズル出口に中心がある均一な速度プロファイルを与えることができる。また、本発明の実施例における注入ノズルは、高速度領域の発生や粒子の磨滅につながる噴出の局在化を防ぐことができる。さらに、本発明の実施例における注入ノズルは、ノズルの出口側近傍における負の軸流速度領域を防ぐことができ、その結果、ノズルの腐食速度を遅くすることができる。
【0064】
上述した注入ノズルをガス分配装置に配置するようにしてもよい。本発明の実施例における注入ノズルは、気相のみを固体流動床に分散させるような構成であればどのような分配装置にでも用いることができる。利用可能な分配装置の例としては、平板分配器、パイプグリッド型システム、リング型分配器、ドーム型分配器及びマッシュルーム型分配器等が挙げられる。このような分配器は、さまざまな反応を行なったり、気体と固体間の物質移動を行なったりするための容器、たとえば、FCC触媒再生容器、気相重合容器、石炭ガス化容器、鉄鉱石還元容器等、に配置されるものでもよい。
【0065】
同じ構成要素を同じ番号で表わした図10及び図11に、本発明の実施例における注入ノズルをガス分配装置に配置した様子を示す。ガス分配装置80は、(図示しない)リング型分配器を含み、ガス源に流体連結するガス分配マニホールド82と複数の注入ノズル84とを備えるものでもよい。注入ノズルは、各々、分配マニホールド内に配置される流入口86と流出口88とを備えるものでもよい。ある実施例において、図10に示すように、流出口88が、ガス分配マニホールド82の外周89に近接して配置されるものでもよい。別の実施例において、図11に示すように、流出口88が、ガス分配マニホールド82の外側に突出して配置されるものでもよい。
【0066】
同様に、同じ構成要素を同じ番号で表わした図12及び図13に、本発明の実施例における注入ノズルをガス分配装置に配置した様子を示す。ガス分配装置90は、容器92内に平板分配器91を有し、ガス源94に流体連結するガス分配マニホールド93と複数の注入ノズル94とを備えるものでもよい。注入ノズルは、各々、分配マニホールド内に配置される流入口96と流出口97とを備えるものでもよい。ある実施例において、図12に示すように、流出口97が、平板99の上表面98に近接して配置されるものでもよい。別の実施例において、図13に示すように、流出口97が、平板99の上表面98の上側に突出して配置されるものでもよい。
【0067】
上述したように、本発明の実施例における注入ノズルを、たとえば、FCC触媒再生に利用されるガス分配装置で用いることができる。本発明の実施例における注入ノズルを、さらに、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5,314,610号の図1を参照して説明されるように、他の分解プロセスに用いることもできる。米国特許第5,314,610号に記載されるように、接触分解反応容器内への蒸気や窒素等のストリッピング媒体の注入や、使用済み触媒からのコークスの燃焼除去のための酸素または空気の注入に、ガス分配装置を用いることもできる。
【0068】
実施例
【0069】
以下、モデリング法による実施例を説明する。実施例は実際に行なったものであるが、適用法に準拠して、ここでは過去時制ではなく現在時制で説明する。
【0070】
「計算流体力学(computational fluid dynamics:CFD)を用いたシミュレーションの結果を、本発明の実施例における注入ノズルとボルダ(Borda)チューブ及び変型ボルダ(Borda)チューブと比較する。図14ないし図17に示すように、CFDを用いて、所定の注入ノズル構成におけるフローパターンの試験と比較とを行なう。以下で説明するように、本発明の実施例における注入ノズルは、流れが不安定化する可能性や、ノズル先端部が腐食摩耗する可能性を抑制することができる。各注入ノズル構成において、気流と圧力降下が同じであると仮定して、同一の条件で、CFDを用いたシミュレーションを行なう。
【0071】
比較例1
【0072】
図14Aないし図14Eに、流動床におけるガス分配に広く用いられている標準的なボルダ(Borda)型注入ノズルに関するCFDの結果を示す。ノズルの長さは9インチ(=22.9cm)、出口における内径は1.5インチ(=3.81cm)、入口側オリフィスの直径は1.04インチ(=2.64cm)である。図14Aはガス分配ヘッダーの断面図であり、ヘッダー、ボルダチューブ及び周囲の固体床内部の流速ベクトルを示す。予測されるように、ガスがオリフィスを通って加速され、オリフィスの下流側に配置される大径のボルダチューブ内に分岐される際に、高速の噴出が生じる。
【0073】
図14Bにヘッダー断面とボルダチューブとを通り抜けて固体床まで達する単一平面上の速度ベクトルを示す。ヘッダー内における全体的なガス流の方向に平行になるように、平面の方向を合わせる。CFDの結果から、ヘッダー内のガス流によってオリフィスから出るガス噴射が影響を受けることがわかる。さらに、CFDアニメーションにより、ガス噴射が安定ではなく、ボルダチューブ内部で左右にふらつくことがわかる。
【0074】
図14C及び図14Dは、2つの異なる方向、すなわち、ヘッダー内のガス流の方向とガス流の方向に垂直な方向、から見たオリフィスからのガス噴出の拡大スナップショットである。これらの図から、オリフィスからの噴出がヘッダー内のガス流に影響されることが明らかである。
【0075】
図14Eに、ヘッダー内におけるガス流の方向に平行になるように平面の方向を合わせた、ボルダチューブの中心を通る単一平面に沿った図を示す。驚くべきことに、ノズルが推奨される最低限の長さ−直径比(L/D)=6.0を有しているにもかかわらず、ガス噴出の不安定さは、ノズルの端部を越えて、固体流動床まで持続している。さらに、ガス噴出の不安定さにより、チューブの一部において、負の軸流速度が生じる。ノズル入口の端面図である図15Aに示すように、また、噴出がボルダチューブ内で左右に動く様子を示すボルダチューブ注入ノズルのCFD解析による連続(等時間間隔)スナップショットである図15Bないし図15Kに示すように、CFDのアニメーションから、負の速度領域は安定ではなく、チューブ内で左右に移動することがわかる。これらの結果から、このノズル設計では、固体が負の軸流速度領域のみに逆流して、ガス噴出がチューブ内で左右反転する際に、固体を高速で射出可能なことが明らかである。この不安定なガス噴出の挙動は、所定期間使用後にこの型のノズルにおいて観察された摩耗パターンに一致する。
【0076】
比較例2−5
【0077】
図16ないし図20(比較例1−5)に、さまざまな変型ボルダチューブ注入ノズル構成の軸平面に沿ったスナップショットを示す。すべての注入ノズルを、インジェクター全体にわたり2.1psiの一定の圧力降下を与えるような大きさのオリフィス開口部を用いて、同一の入口圧力条件下で評価する。各ノズルの長さは9インチ(=22.9cm)で、内径は1.5インチ(=3.81cm)である(L/D=6)。
【0078】
比較例1(再掲):図16にシングルオリフィス型の標準的なボルダチューブを示す。これは、図14及び図15に示したものと同じであるが、参照のために再掲する。
【0079】
比較例2:図17に示すボルダチューブは、オリフィス間の間隔が0.75インチ(=1.91cm)のダブルオリフィス型(各オリフィスの長さは1/4インチ(=0.64cm)で直径が1.04インチ(=2.64cm))である。CFDの結果から、標準的なボルダチューブと比較して、噴出の安定性や、ノズルチューブ内における負の軸流速度領域の存在に関して改善が見られない。
【0080】
比較例3:図18に示すオリフィスは、下流側端部に短い傾斜部を備える。この比較例でも、噴出の安定性や、ノズルチューブ内における負の軸流速度領域の存在に関して改善が見られない。
【0081】
比較例4:図19A(側面図)及び図19B(ノズル入口の端面図)に示すように、オリフィスの厚み(長さ)を1/4インチ(=0.64cm)から1インチ(=2.54cm)に変化させる。CFDの結果から、この構成では不安定さが減少し、負の速度領域の位置がより安定化するものの、負の軸流速度の領域が存在する。
【0082】
比較例5:図20A(側面図)及び図20B(ノズル入口の端面図)に示すように、大径ノズルがオリフィスの出口側端部に長い傾斜部を備える。この構成では、速度プロファイルが非常に安定であるが、ガス噴出はチューブの中心ではなく、安定ではあるが、比較的大きな面積の負の軸流速度領域が見られる。
【0083】
図16ないし図20に示すボルダチューブ及び変型ボルダチューブのCFD解析の結果は、ガス注入ノズルにおいて望ましくない流れ特性である不安定な流れ及び/又は負の軸流速度を示す。
【0084】
実施例1−5
【0085】
図21ないし図25(実施例1−5)に、本発明の実施例に従う注入ノズルの軸平面に沿ったスナップショットを示す。すべての注入ノズルを、比較例1ないし5と同様の条件(インジェクター全体にわたり2.1psiの一定の圧力降下を与えるような大きさのオリフィス開口部を用いて、同一の入口圧力条件)で評価する。各ノズルの長さは9インチ(=22.9cm)で、内径は1.5インチ(=3.81cm)である(L/D=6)。
【0086】
実施例1:図21A(側面図)及び図21B(ノズル入口の端面図)に、図6A及び図6Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、注入ノズルの入口の中心に懸架された平らなディスク(直径0.75インチ(=1.91cm)で長さ1/4インチ(=0.64cm))を囲む環状開口部を備える。このノズルは、非常に安定な速度プロファイルを持つが、速度プロファイルの中心は出口ではない。さらに、逆流が生じ得る局在化領域が存在する可能性があり、ノズルの製造が難しい。
【0087】
実施例2:図22A(側面図)及び図22B(ノズル入口の端面図)に、図9A及び図9Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、ノズルの入口に懸架されたテーパされた円錐形により環状オリフィス開口部が形成される。このノズルは、安定性の観点からは図21A及び図21Bのノズルと同様に機能するが、速度プロファイルの中心がノズルチューブのほぼ中央にある、という改善が見られる。ただし、ノズルの製造が難しい。
【0088】
実施例3:図23A(側面図)及び図23B(ノズル入口の端面図)に、図3A及び図3Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、7個の小さなオリフィスを備え、シングルオリフィスと同様の圧力降下を示す。この構成では、速度プロファイルはかなり安定であり、ノズル出口における速度プロファイルは非常に高い均一性を示す。負の軸流速度の領域が存在するが、ノズルの入口側の半分に限定され、ノズル先端には到達しない。
【0089】
実施例4:図24A(側面図)及び図24B(ノズル入口の端面図)に、図4A及び図4Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、実施例3と同様のマルチオリフィス(7穴)構成であるが、オリフィス薄板(1/4インチ(=0.64cm))が厚板(1インチ(=2.54cm))に置き換えられている。オリフィス厚板を用いることにより、実施例3と比較して、速度プロファイルの安定性が向上し、注入ノズル出口における速度プロファイルが非常に高い均一性を示す。さらに、実施例3の薄板オリフィス構成よりも早く、速度プロファイルが均一になる。
【0090】
実施例5:図25A(側面図)及び図25B(ノズル入口の端面図)に、図2A及び図2Bを参照して上述した実施例のオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を示す。このオリフィス構成は、バックプレート上ではなく、チューブの側面に配置されるマルチオリフィス(8穴)構成である。バックプレートには開口部は存在しない。オリフィス領域は、前述したすべての構成と同様に、全体のノズル圧力降下が同じ2.1psiになるような大きさに設定されている。CFDの結果から、この構成が安定した均一な速度プロファイルを持つことがわかる。CFDアニメーションの結果によれば、速度プロファイルで検出される動きはほとんど存在しない。さらに、比較例1の標準的なボルダチューブと比較して、このノズル設計は製造が容易である。
【0091】
実施例6:図26ないし図31に、図2A及び図2Bに示すオリフィスと同様のオリフィスのCFD解析の結果を、比較例1の標準的なボルダチューブのCFD解析の結果と比較する(便宜上、図16に示した比較例を図27、29及び31に再掲する。ここで、図27A、図29A及び図31Aは側面図であり、図27B、図29B及び図31Bはノズル入口の端面図である)。オリフィス構成は、バックプレート上ではなく、チューブの側面に配置される8穴のマルチオリフィス構成(図26A(端面図)及び図26B(ノズル入口の側面図)、6穴のマルチオリフィス構成(図28A(端面図)及び図28B(ノズル入口の側面図)、4穴のマルチオリフィス構成(図30A(端面図)及び図30B(ノズル入口の側面図)である。バックプレートには開口部は存在しない。オリフィス領域は、前述したすべての構成と同様に、全体のノズル圧力降下が同じ2.1psiになるような大きさに設定されている。CFDの結果から、標準的なボルダチューブと比較して、これらの構成が安定した均一な(経時変動が抑制された)速度プロファイルを持つことがわかる。また、CFDの結果から、8穴、6穴、4穴の順に、出口側速度における均一性が向上することがわかる。
【0092】
上述したように、本発明の実施例における注入ノズルは、安定した速度プロファイル、注入ノズル出口における均一な速度及び負の流速を有する領域の限定のうち、1つ又は複数の効果を達成することができる。このような注入ノズルを用いることにより、腐食の抑制、触媒摩耗の抑制及びガス分配の向上のうち、1つ又は複数の効果が得られる。
【0093】
以上、いくつかの実施例を説明したが、当業者には自明のように、本発明の要旨の範囲内でさまざまに変形・変更可能である。本発明の要旨は、特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス分配装置で用いられる注入ノズルであって、
流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備え、
前記流入口が、前記チューブの軸端部に配置される複数の流量制限オリフィスを備える、注入ノズル。
【請求項2】
ガス分配装置で用いられる注入ノズルであって、
流入口と流出口とを有するチューブを備え、
前記チューブに沿って円周方向に沿って配置される複数の流量制限オリフィスを備える、注入ノズル。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載のノズルであって、
少なくとも1つの前記流量制限オリフィスの直径に対する前記チューブの流出口の内径の比が、2:1よりも大きい、ノズル。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれかに記載のノズルであって、
前記チューブの軸長が、前記チューブの流出口の内径の少なくとも5倍である、ノズル。
【請求項5】
請求項1に記載のノズルであって、
前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブと軸方向に一直線上に配列される、ノズル。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルであって、
前記複数の流量制限オリフィスの少なくとも1つの流量制限オリフィスの軸長に対する前記チューブの軸長の比が、少なくとも4:1である、ノズル。
【請求項7】
請求項2に記載のノズルであって、
円周方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスに近接する前記チューブの軸端部に蓋がされている、ノズル。
【請求項8】
請求項2に記載のノズルであって、
円周方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブに沿って、前記流入口側の前記チューブの入口側軸端部から長さLの範囲内に配置され、前記長さLが前記チューブの内径の2倍未満である、ノズル。
【請求項9】
ガス分配装置で用いられる注入ノズルであって、
流入口と流出口とを有するチューブを備え、
前記流入口が、流量制限部を囲む環状オリフィスを備える、注入ノズル。
【請求項10】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記流量制限部が、前記流入口の中心に懸架されたディスクを備える、注入ノズル。
【請求項11】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記流量制限部が、円錐形又は円錐台形である、注入ノズル。
【請求項12】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記環状オリフィスの幅が、前記チューブの内径の0.05倍から0.25倍の範囲である、注入ノズル。
【請求項13】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記流量制限部の長さが、前記チューブの長さの0.1倍から0.9倍の範囲である、注入ノズル。
【請求項14】
ガス分配装置であって、
ガス源に流体連結する分配マニホールドと、
複数の注入ノズルであって、各々、流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、
前記複数の注入ノズルの少なくとも1つの注入ノズルの流入口が、前記分配マニホールド内に配置され、
前記少なくとも1つの注入ノズルの前記流入口が、前記注入ノズルの軸端部に配置される複数の流量制限オリフィスを備える、ガス分配装置。
【請求項15】
ガス分配装置であって、
ガス源に流体連結する分配マニホールドと、
複数の注入ノズルであって、各々、流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、
前記複数の注入ノズルの少なくとも1つの注入ノズルの流入口が、前記分配マニホールド内に配置され、
前記少なくとも1つの注入ノズルの前記流入口が、前記注入ノズル上で円周方向に沿って配置される複数の流量制限オリフィスを備える、ガス分配装置。
【請求項16】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
前記流出口が、前記分配マニホールドの外周に近接する、装置。
【請求項17】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
前記チューブの流出口が、前記分配マニホールドの外周の外側にある、装置。
【請求項18】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
少なくとも1つの前記流量制限オリフィスの直径に対する前記チューブの流出口の内径の比が、2:1よりも大きい、装置。
【請求項19】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
少なくとも1つの前記流量制限オリフィスの直径に対する前記チューブの流出口の内径の比が、2:1よりも大きい、装置。
【請求項20】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
前記チューブの軸長が、前記チューブの流出口の内径の少なくとも5倍である、装置。
【請求項21】
請求項14に記載の装置であって、
前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブと軸方向に一直線上に配列される、装置。
【請求項22】
請求項14に記載の装置であって、
前記複数の流量制限オリフィスの少なくとも1つの流量制限オリフィスの軸長に対する前記チューブの軸長の比が、少なくとも4:1である、装置。
【請求項23】
請求項15に記載の装置であって、
径方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスに近接する前記チューブの軸端部に蓋がされている、装置。
【請求項24】
請求項15に記載の装置であって、
径方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブに沿って、前記流入口側の前記チューブの軸端部から長さLの範囲内に配置され、前記長さLが前記チューブの内径の2倍未満である、装置。
【請求項25】
ガス分配装置であって、
ガス源に流体連結する分配マニホールドと、
複数の注入ノズルであって、各々、流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、
前記複数の注入ノズルの少なくとも1つの注入ノズルの流入口が、前記分配マニホールド内に配置され、
前記少なくとも1つの注入ノズルの前記流入口が、流量制限部を囲む環状オリフィスを備える、ガス分配装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、
前記流出口が、前記分配マニホールドの外周に近接する、装置。
【請求項27】
請求項25に記載の装置であって、
前記流出口が、前記分配マニホールドの外周の外側にある、装置。
【請求項28】
請求項25に記載の装置であって、
前記流量制限部が、前記流入口の中心に懸架されたディスクを備える、装置。
【請求項29】
請求項25に記載の装置であって、
前記流量制限部が、円錐形又は円錐台形である、装置。
【請求項30】
請求項25に記載の装置であって、
前記環状オリフィスの幅が、前記チューブの内径の0.05倍から0.25倍の範囲である、装置。
【請求項31】
請求項25に記載の装置であって、
前記流量制限部の長さが、前記チューブの長さの0.1倍から0.9倍の範囲である、装置。
【請求項32】
容器であって、
請求項14又は15のいずれかに記載の装置がその内部に配置される、容器。
【請求項33】
請求項32に記載の容器であって、
使用済み触媒再生器、重合反応容器及び石炭ガス化容器からなる群から選択される、容器。
【請求項1】
ガス分配装置で用いられる注入ノズルであって、
流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備え、
前記流入口が、前記チューブの軸端部に配置される複数の流量制限オリフィスを備える、注入ノズル。
【請求項2】
ガス分配装置で用いられる注入ノズルであって、
流入口と流出口とを有するチューブを備え、
前記チューブに沿って円周方向に沿って配置される複数の流量制限オリフィスを備える、注入ノズル。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載のノズルであって、
少なくとも1つの前記流量制限オリフィスの直径に対する前記チューブの流出口の内径の比が、2:1よりも大きい、ノズル。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれかに記載のノズルであって、
前記チューブの軸長が、前記チューブの流出口の内径の少なくとも5倍である、ノズル。
【請求項5】
請求項1に記載のノズルであって、
前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブと軸方向に一直線上に配列される、ノズル。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルであって、
前記複数の流量制限オリフィスの少なくとも1つの流量制限オリフィスの軸長に対する前記チューブの軸長の比が、少なくとも4:1である、ノズル。
【請求項7】
請求項2に記載のノズルであって、
円周方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスに近接する前記チューブの軸端部に蓋がされている、ノズル。
【請求項8】
請求項2に記載のノズルであって、
円周方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブに沿って、前記流入口側の前記チューブの入口側軸端部から長さLの範囲内に配置され、前記長さLが前記チューブの内径の2倍未満である、ノズル。
【請求項9】
ガス分配装置で用いられる注入ノズルであって、
流入口と流出口とを有するチューブを備え、
前記流入口が、流量制限部を囲む環状オリフィスを備える、注入ノズル。
【請求項10】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記流量制限部が、前記流入口の中心に懸架されたディスクを備える、注入ノズル。
【請求項11】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記流量制限部が、円錐形又は円錐台形である、注入ノズル。
【請求項12】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記環状オリフィスの幅が、前記チューブの内径の0.05倍から0.25倍の範囲である、注入ノズル。
【請求項13】
請求項9に記載の注入ノズルであって、
前記流量制限部の長さが、前記チューブの長さの0.1倍から0.9倍の範囲である、注入ノズル。
【請求項14】
ガス分配装置であって、
ガス源に流体連結する分配マニホールドと、
複数の注入ノズルであって、各々、流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、
前記複数の注入ノズルの少なくとも1つの注入ノズルの流入口が、前記分配マニホールド内に配置され、
前記少なくとも1つの注入ノズルの前記流入口が、前記注入ノズルの軸端部に配置される複数の流量制限オリフィスを備える、ガス分配装置。
【請求項15】
ガス分配装置であって、
ガス源に流体連結する分配マニホールドと、
複数の注入ノズルであって、各々、流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、
前記複数の注入ノズルの少なくとも1つの注入ノズルの流入口が、前記分配マニホールド内に配置され、
前記少なくとも1つの注入ノズルの前記流入口が、前記注入ノズル上で円周方向に沿って配置される複数の流量制限オリフィスを備える、ガス分配装置。
【請求項16】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
前記流出口が、前記分配マニホールドの外周に近接する、装置。
【請求項17】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
前記チューブの流出口が、前記分配マニホールドの外周の外側にある、装置。
【請求項18】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
少なくとも1つの前記流量制限オリフィスの直径に対する前記チューブの流出口の内径の比が、2:1よりも大きい、装置。
【請求項19】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
少なくとも1つの前記流量制限オリフィスの直径に対する前記チューブの流出口の内径の比が、2:1よりも大きい、装置。
【請求項20】
請求項14又は15のいずれかに記載の装置であって、
前記チューブの軸長が、前記チューブの流出口の内径の少なくとも5倍である、装置。
【請求項21】
請求項14に記載の装置であって、
前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブと軸方向に一直線上に配列される、装置。
【請求項22】
請求項14に記載の装置であって、
前記複数の流量制限オリフィスの少なくとも1つの流量制限オリフィスの軸長に対する前記チューブの軸長の比が、少なくとも4:1である、装置。
【請求項23】
請求項15に記載の装置であって、
径方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスに近接する前記チューブの軸端部に蓋がされている、装置。
【請求項24】
請求項15に記載の装置であって、
径方向に配置される前記複数の流量制限オリフィスが、前記チューブに沿って、前記流入口側の前記チューブの軸端部から長さLの範囲内に配置され、前記長さLが前記チューブの内径の2倍未満である、装置。
【請求項25】
ガス分配装置であって、
ガス源に流体連結する分配マニホールドと、
複数の注入ノズルであって、各々、流入口と流出口と内径と軸長とを有するチューブを備える注入ノズルと、を備え、
前記複数の注入ノズルの少なくとも1つの注入ノズルの流入口が、前記分配マニホールド内に配置され、
前記少なくとも1つの注入ノズルの前記流入口が、流量制限部を囲む環状オリフィスを備える、ガス分配装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、
前記流出口が、前記分配マニホールドの外周に近接する、装置。
【請求項27】
請求項25に記載の装置であって、
前記流出口が、前記分配マニホールドの外周の外側にある、装置。
【請求項28】
請求項25に記載の装置であって、
前記流量制限部が、前記流入口の中心に懸架されたディスクを備える、装置。
【請求項29】
請求項25に記載の装置であって、
前記流量制限部が、円錐形又は円錐台形である、装置。
【請求項30】
請求項25に記載の装置であって、
前記環状オリフィスの幅が、前記チューブの内径の0.05倍から0.25倍の範囲である、装置。
【請求項31】
請求項25に記載の装置であって、
前記流量制限部の長さが、前記チューブの長さの0.1倍から0.9倍の範囲である、装置。
【請求項32】
容器であって、
請求項14又は15のいずれかに記載の装置がその内部に配置される、容器。
【請求項33】
請求項32に記載の容器であって、
使用済み触媒再生器、重合反応容器及び石炭ガス化容器からなる群から選択される、容器。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【公表番号】特表2012−522641(P2012−522641A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504772(P2012−504772)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030076
【国際公開番号】WO2010/118008
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(391011227)ルマス テクノロジー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/030076
【国際公開番号】WO2010/118008
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(391011227)ルマス テクノロジー インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]