説明

固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセル及びシステム

【課題】固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセル及びシステムを提供する。
【解決手段】本固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセルは、円筒形部分と第1の円錐形部分と第2の円錐形部分とを含む。第1の円錐形部分は、円筒形部分から下向きに延在しかつ該円筒形部分と流体連通するように構成される。第2の円錐形部分は、第1の円錐形部分から下向きに延在しかつ該第1の円錐形部分と流体連通するように構成される。第2の円錐形部分は、その中に固体粒子のマスフローを形成するように構成されかつ該固体粒子を放出する少なくとも1つの出口を画成している。固体粒子を空気圧搬送する方法もまた、提示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、総括的には空気圧搬送技術に関し、より具体的には、固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセル及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセル及びシステムは、ガスの助けによって固体粒子を1つの場所から別の場所に輸送する装置又はシステムを示す。空気圧搬送技術は、多くの用途を有し、また特に石炭ガス化産業において広く使用されている。伝統的なガス化システムの場合には、搬送される固体粒子の一実施例は、石炭粉である。ガス化フィードシステムは一般的に、フィードベセルと該フィードベセルをガス化装置に接続する出力パイプラインと含む。フィードベセルは、固体粒子及び搬送ガスを導入する。搬送ガスは、フィードベセル及び出力パイプラインを通って流れるように固体粒子を搬送しかつ最終的にガス化装置に流入して、固体粒子を部分的に酸化させることによって合成ガスを発生させる。
【0003】
現在のフィードベセル又はフィードシステムが直面する1つの問題点は、固体粒子の流量(「固体流量」と呼ぶ)がフィードベセル及び/又は出力パイプライン内で不安定になることである。この不安定な状態は、フィードベセルが高圧力下で作動する場合にさらに悪化する可能性がある。不安定固体流量は、ガス化装置内に予期しない温度変動を発生させる傾向があり、この温度変動により、ガス化装置の寿命が短縮されかつガス化性能が損なわれる。
【0004】
最近では、この問題を解決する様々な試みが行なわれている。1つの従来の方法は、フィードベセルの底部からのガスを加えて固体粒子を流動化させることである。別の方法は、固体粒子流れを調整する内部構造を付加することである。しかしながら、これらの方法は、安定化に対する幾らかの改良にはなっているが、実用用途を未だ満たしてない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、固体粒子の搬送安定性において実用用途を満たす改良型のフィードシステムのフィードベセルに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によると、固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセルは、円筒形部分と第1の円錐形部分と第2の円錐形部分とを含む。第1の円錐形部分は、円筒形部分から下向きに延在しかつ該円筒形部分と流体連通するように構成される。第2の円錐形部分は、第1の円錐形部分から下向きに延在しかつ該第1の円錐形部分と流体連通するように構成される。第2の円錐形部分は、その中に固体粒子のマスフローを形成するように構成されかつ該固体粒子を放出する少なくとも1つの出口を画成している。
【0007】
別の実施形態によると、固体粒子を空気圧搬送するためのフィードシステムは、フィードベセルと出力パイプラインとを含む。フィードベセルは、円筒形部分と、円筒形部分から下向きに延在しかつ該円筒形部分と流体連通するように構成された第1の円錐形部分と、第1の円錐形部分から下向きに延在し、該第1の円錐形部分と流体連通するように構成されかつ固体粒子のマスフローを形成するように構成された第2の円錐形部分とを含む。出力パイプラインは、第2の円錐形部分内に延在して固体粒子を放出するように構成される。
【0008】
さらに別の実施形態によると、固体粒子を空気圧搬送する方法は、円筒形部分、該円筒形部分から下向きに延在する第1の円錐形部分及び該第1の円錐形部分から下向きに延在する第2の円錐形部分を備えたフィードベセルを準備するステップと、固体粒子及び搬送ガスを円筒形部分内に導入して固体−ガス混合物を形成するステップと、第2の円錐形部分内に固体粒子のマスフローを形成するステップと、第2の円錐形部分から固体−ガス混合物を放出するステップとを含む。
【0009】
これらの及びその他の利点並びに特徴は、添付図面と関連してなした本発明の以下の詳細な説明によりさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態によるフィードベセルの斜視図。
【図2】線W−Wに沿って取った、図1に示すフィードベセルの断面図。
【図3】別の実施形態によるフィードシステムの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本明細書で以下に本開示の実施形態を説明する。以下の説明では、不必要な細部の説明により本開示が不明瞭になるのを回避するために、公知の機能又は構成は詳細に説明しない。
【0012】
本開示は、固体粒子を1つの場所から別の場所に空気圧搬送するためのフィードベセル及びフィードシステムに関連している。固体粒子には、それに限定されないが、固体燃料粒子、セメント及び炭素スートが含まれる。固体燃料粒子には、それに限定されないが、石炭粉及びバイオマスが含まれる。
【0013】
図1は、一実施形態による固体粒子12を空気圧搬送するためのフィードベセル10を示している。図2は、図1のフィードベセル10の断面図を示している。フィードベセル10は、円筒形部分14と第1の円錐形部分16と第2の円錐形部分18とを含み、これらの全ては、互いに流体連通している。第1の円錐形部分16は、固体粒子流れ方向15に沿って円筒形部分14を第2の円錐形部分18と連結する。第1の円錐形部分16及び第2の円錐形部分18は、図1に示す実施形態では円形断面を有するが、本発明の態様は矩形のようなその他の断面形状を除外するものではない。一実施形態では、円筒形部分14、第1の円錐形部分16及び第2の円錐形部分18は、固体粒子流れ方向15に沿って互いにほぼ同心である。
【0014】
図1及び図2を参照すると、一実施形態における円筒形部分14は、固体粒子12及び搬送ガス20を導入しかつ混合して固体−ガス混合物22を形成する複数の入口(図示せず)を含む。一実施形態における第1の円錐形部分16は、固体粒子のファンネルフロー(funnel flow)を形成するように構成されまた第2の円錐形部分18は、固体粒子のマスフロー(mass flow)を形成するように構成される。本明細書で用いる「ファンネルフロー」という用語は、要素の中心領域の固体粒子は移動しているが、要素の周辺壁に隣接した固体粒子は静止していることを意味する。本明細書で用いる「マスフロー」という用語は、ほぼ全ての固体粒子が移動状態にあることを意味する。
【0015】
図2に示すように、第1の円錐形部分16は、角度アルファ(α)として示した円錐角を有する。第2の円錐形部分18は、角度ベータ(β)として示した円錐角を有する。角度αは、角度βよりも大きくなるように構成される。一実施形態では、第1の円錐形部分は、角度βをフィードベセル10の安息角(included angle)よりも大きく設定することによってファンネルフローを形成し、また第2の円錐形部分18は、角度αを安息角よりも小さくすることによってマスフローを形成する。本発明の態様は、その他の方法を使用してファンネルフロー及び/又はマスフローを形成することを除外するものではないことを理解されたい。
【0016】
固体粒子12の平均粒径、水分含有量、フィードベセル10の材料、並びに固体粒子12及びフィードベセル10間の摩擦のような、安息角の寸法に影響を与える多くの要因が存在する。一実施形態では、市販のテスト機械を使用して安息角を測定する。入力データには、搬送固体粒子の平均粒径を含む粒子特性、並びに壁摩擦角及び内部摩擦角を含む壁特性が含まれる。市販テスト機械は、それらのデータに基づいて安息角を算出する。一実施形態では、安息角は、約40°である。
【0017】
一実施形態では、角度αは、角度βの約1.2〜約4倍の範囲内にある。別の実施形態では、角度αは、約60°〜約70°の範囲内にあるように構成され、また角度βは、約30°〜約40°の範囲内にあるように構成される。フィードベセル10の一実施例では、フィードベセル10の全体高さ(H1+H2+H3)は、円筒形部分14の直径(D3)の約1〜約5倍の範囲内にある。一実施例による第1の円錐形部分16の高さ(H2)対中間直径(D2)の比率は、約0.5〜約2の範囲内にある。一実施例による第2の円錐形部分18の高さ(H1)対中間直径(D1)の比率は、約3〜約15の範囲内にある。
【0018】
再び図1及び図2を参照すると、フィードベセル10はさらに、第2の円錐形部分18に画成された少なくとも1つの出口(図示せず)を含む。搬送時に搬送ガス20は、円筒形部分14から開始しかつ第1の円錐形部分16を通過した後に第2の円錐形部分18に流入するように固体粒子12を搬送する。最後に、固体−ガス混合物22は、出口から放出される。そのような構成及び放出モードでは、全ての固体粒子が第2の円錐形部分18内で移動状態にありかつ安定した流れを有するので、固体流量は、安定しておりかつ制御可能な傾向になる。
【0019】
上述したように、第2の円錐形部分18は、ファンネルフローが形成される状態と比較してその円錐角αがより小さくなるマスフローを形成するように構成される。ファンネルフロー状態にある第1の円錐形部分16は、円筒形部分14及び第2の円錐形部分18間に配置され、この第1の円錐形部分16は、フィードベセル10の全体高さを減少させる。
【0020】
これらの固体粒子が第1の円錐形部分16内で静止したするのを回避するために、一実施形態では、少なくとも1つの流動化ガスを導入して、第1の円錐形部分16の周辺壁の内表面に隣接した静止固体粒子をほぐす。本明細書で用いる「ほぐす」という用語は固体粒子12の一部分を流動化しかつ第1の円錐形部分16の中心領域の固体粒子12に影響を与えないことを意味する。
【0021】
一実施形態では、第1の円錐形部分16は、図1に示すようにその外表面の周りに複数の流動化ガス流24、26及び28を導入する複数の入口(図示せず)を有する。入口の数及び該入口間の距離は、第1の円錐形部分16の寸法に基づいて調整される。一実施例における流動化ガス流24、26及び28の導入方向は、流れ方向15に対して垂直となるように設定される。別の実施形態では、導入方向は、第1の円錐形部分16の外表面に対して垂直に設定される。
【0022】
一実施例では、流動化ガス分配器が使用され、かつ第1の円錐形部分16の内壁に取付けられる。流動化ガス分配器は、1つの流動化ガスを複数の流れに分割して固体粒子12をより均等にほぐす複数の孔を形成する。
【0023】
図3は、別の実施形態による、固体粒子40を空気圧搬送するためのフィードシステム30を示している。フィードシステム30は、フィードベセル32と該フィードベセル32に結合された複数のパイプラインとを含む。フィードベセル32は、上述の実施形態のいずれかになるように構成することができることを理解されたい。
【0024】
図3に示す実施例では、フィードベセル32は、円筒形部分34と、円筒形部分34から下向きに延在する第1の円錐形部分36と、第1の円錐形部分36から下向きに延在する第2の円錐形部分38とを含む。第1の円錐形部分36は、固体粒子40のファンネルフローを形成するように構成され、また第2の円錐形部分38は固体粒子40のマスフローを形成するように構成される。
【0025】
一実施例では、パイプラインは、搬送ガスパイプライン42、固体パイプライン44、複数の流体ガスパイプライン46及び48、並びに少なくとも1つの出力パイプライン50を含む。搬送ガスパイプライン42及び固体パイプライン44は、円筒形部分46に結合されて、搬送ガス52及び固体粒子40を導入しかつ混合して固体−ガス混合物を形成する。流動化ガスパイプライン46及び48は、第1の円錐形部分36に結合されて複数の流動化ガス流56及び58を形成して、第1の円錐形部分36の内壁に隣接した固体粒子40をほぐす。
【0026】
少なくとも1つの出力パイプライン50は、第2の円錐形部分38に結合されて固体−ガス混合物をフィードベセル32から別の場所に搬送するマスフローが生じる。そのような構成では、第2の円錐形部分38内の全ての固体粒子40が移動状態にありかつさらに同様の速度を有することができるので安定した固体流量が得られる。一実施形態では、少なくとも出力パイプライン50は、第2の円錐形部分38内に延在する上向き部分60を有する。上向き部分60は、第2の円錐形部分38の中心軸線(符号付けせず)に隣接して設置される。上向き部分内の固体粒子の流れ方向は、重力方向と対向しており、これにより異なる粒径を持つ全ての固体粒子を一貫した移動を有するように調整しかつ固体流量を制御可能にすることを保証する。一実施例によるフィードシステム30はさらに、出力パイプライン50に結合された少なくとも1つの補給ガスパイプライン62を有する。補給ガスパイプライン62は、少なくとも1つの補給ガス流64を導入して出力パイプライン50内のガスボリュームを変化させることによって固体流量を制御する。
【0027】
固体粒子40は、第2の円錐形部分38から放出され、それにより、固体粒子流れが安定しかつ制御できることを保証する。流動化ガス流56及び58を使用してファンネルフロー領域の全ての粒子が移動できるようにして固体粒子の流動性を向上させる。固体粒子が安定して放出されるが、そのことはまた、フィードベセル及び目標コンテナ間の搬送時にも重要である。フィードベセル32の下流で補給ガス流64を使用して、下流位置における安定した搬送を保証する。
【0028】
本明細書では、本発明の一部の特徴のみを例示しかつ説明してきたが、当業者には多くの修正及び変更が想起されるであろう。従って、特許請求の範囲は、全てのそのような修正及び変更を本発明の技術思想の範囲内に属するものとして保護することを意図していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0029】
10、32 フィードベセル
12、40 固体粒子
14、34 円筒形部分
16、36 第1の円錐形部分
18、38 第2の円錐形部分
15 固体粒子流れ方向
20、52 搬送ガス
22、54 固体−ガス混合物
24、26、28、56、58 流動化ガス流
30 フィードシステム
42 搬送ガスパイプライン
44 固体パイプライン
46、48 流動ガスパイプライン
50 出力パイプライン
60 上向き部分
62 補給ガスパイプライン
64 補給ガス流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子を空気圧搬送するためのフィードベセルであって、当該フィードベセルが、
円筒形部分と、
前記円筒形部分から下向きに延在しかつ該円筒形部分と流体連通するように構成された第1の円錐形部分と、
前記第1の円錐形部分から下向きに延在しかつ該第1の円錐形部分と流体連通するように構成された第2の円錐形部分と
を備えており、前記第2の円錐形部分が、固体粒子のマスフローを形成するように構成されかつ該固体粒子を放出する少なくとも1つの出口を画成している、フィードベセル。
【請求項2】
前記円筒形部分が、その中に前記固体粒子及び搬送ガスを導入する複数の入口を含む、請求項1記載のフィードベセル。
【請求項3】
前記第2の円錐形部分が、前記固体粒子に対して流動化ガス流を導入する入口を含む、請求項1記載のフィードベセル。
【請求項4】
前記流動化ガス流を複数の流れに分割するように構成された流動化ガス分配器をさらに含む、請求項3記載のフィードベセル。
【請求項5】
前記流動化ガスが、前記第1の円錐形部分の内壁に隣接した前記固体粒子をほぐすように構成される、請求項3記載のフィードベセル。
【請求項6】
前記第1の円錐形部分が、約60°〜約70°の範囲内にあるように構成された円錐角を有する、請求項1記載のフィードベセル。
【請求項7】
前記第2の円錐形部分が、約30°〜約40°の範囲内にあるように構成された円錐角を有する、請求項1記載のフィードベセル。
【請求項8】
前記第1及び第2の円錐形部分の円錐角の比率が、約1.2〜約4の範囲内にある、請求項1記載のフィードベセル。
【請求項9】
前記第1の円錐形部分が、前記固体粒子のファンネルフローを形成するように構成される、請求項1記載のフィードベセル。
【請求項10】
固体粒子を空気圧搬送するためのフィードシステムであって、
フィードベセルを含み、前記フィードベセルが、
円筒形部分と、
前記円筒形部分から下向きに延在しかつ該円筒形部分と流体連通するように構成された第1の円錐形部分と、
前記第1の円錐形部分から下向きに延在し、該第1の円錐形部分と流体連通するように構成されかつ固体粒子のマスフローを形成するように構成された第2の円錐形部分と、を含み、該フィードシステムが、
前記第2の円錐形部分内に延在して前記固体粒子を放出するように構成された出力パイプライン、をさらに含む、
フィードシステム。
【請求項11】
前記出力パイプラインが、前記固体粒子が前記第1の円錐形部分に向けて流れる上向きセクションを含む、請求項10記載のフィードシステム。
【請求項12】
前記出力パイプラインに結合されかつ該出力パイプライン内に補給ガスを導入するように構成された補給ガスパイプラインをさらに含む、請求項10記載のフィードシステム。
【請求項13】
円周方向に分散配置された状態で前記第1の円錐形部分に結合された複数の流動化ガスパイプラインをさらに含む、請求項10記載のフィードシステム。
【請求項14】
前記第2の円錐形部分が、約40°よりも小さい円錐角を有する、請求項10記載のフィードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−76927(P2012−76927A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213605(P2011−213605)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】