説明

固体素子を有するデバイスの製造方法

【課題】固体素子を損傷させにくい、固体素子を有するデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】可撓性基板1及び剛性基板2を準備する基板準備工程と、可撓性基板の片側に紫外線3を部分的に照射して紫外線照射領域4と紫外線非照射領域を形成する第1の紫外線照射工程と、剛性基板の片側に紫外線を照射して紫外線照射領域5を形成する第2の紫外線照射工程と、可撓性基板の紫外線照射領域9及び剛性基板の紫外線照射領域11を片側同士が対向するように接触させて、可撓性基板及び剛性基板が直に固着している複合体6を形成する複合体形成工程と、複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域10に固体素子7を形成する固体素子形成工程と、複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域で可撓性基板を切断する可撓性基板切断工程と、複合体から剛性基板を分離する剛性基板分離工程と、を有する製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体素子を有するデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固体素子を有するデバイスを製造する場合には、デバイスの基板として撓みにくいガラス基板等の剛性基板が用いられていた。しかしながら、重量や耐衝撃性の点を考慮すると剛性基板は必ずしも固体素子を有するデバイスに用いるものとして適切なものではない。そこで、近年、剛性基板にかえて可撓性基板も用いられつつある。一方で、可撓性基板は、剛性基板に対して撓みやすいといった問題を有しており、この可撓性基板を、そのまま従来プロセスに適用することで固体素子を有するデバイスを精度よく作製することは困難とされてきた。
このような状況下、撓みにくい剛性基板上に剥離層を介して固体素子を形成し、剥離層にレーザー光の照射を行って剥離を生じさせ、剥離した固体素子を可撓性基板に転写する方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−125930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような方法では、剛性基板上に固体素子が形成された状態で剥離層にレーザー光の照射を行って剥離するため、固体素子に損傷が生じるという問題があった。また、剥離した固体素子を可撓性基板に転写するときに固体素子に損傷が生じるという問題があった。
本発明は、固体素子を損傷させにくい、固体素子を有するデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る固体素子を有するデバイスの製造方法は、可撓性基板及び剛性基板を準備する基板準備工程と、前記可撓性基板の片側に紫外線を部分的に照射して紫外線照射領域と紫外線非照射領域を形成する第1の紫外線照射工程と、前記剛性基板の片側に紫外線を照射して紫外線照射領域を形成する第2の紫外線照射工程と、前記可撓性基板の紫外線照射領域及び前記剛性基板の紫外線照射領域を前記片側同士が対向するように接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が直に固着している複合体を形成する複合体形成工程と、前記複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域に固体素子を形成する固体素子形成工程と、前記複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域で可撓性基板を切断する可撓性基板切断工程と、前記複合体から剛性基板を分離する剛性基板分離工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、可撓性基板を剥離することも転写することもしないため、固体素子に損傷が生じにくいという効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法においては、可撓性基板を剥離することも転写することもしないため、固体素子に損傷が生じにくいという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法について詳細に説明する。
【0010】
本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法は、可撓性基板及び剛性基板を準備する基板準備工程と、前記可撓性基板の片側に紫外線を部分的に照射して紫外線照射領域と紫外線非照射領域を形成する第1の紫外線照射工程と、前記剛性基板の片側に紫外線を照射して紫外線照射領域を形成する第2の紫外線照射工程と、前記可撓性基板の紫外線照射領域及び前記剛性基板の紫外線照射領域を前記片側同士が対向するように接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が直に固着している複合体を形成する複合体形成工程と、前記複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域に固体素子を形成する固体素子形成工程と、前記複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域で可撓性基板を切断する可撓性基板切断工程と、前記複合体から剛性基板を分離する剛性基板分離工程と、を有するものである。
【0011】
本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(1a)〜(1g)は、固体素子を有するデバイスの製造方法の一例を示す工程図である。
まず、可撓性基板1及び剛性基板2を準備する(基板準備工程)(図1(1a))。このとき、前記可撓性基板1及び前記剛性基板2を準備する順番は特に問わない。次に、前記可撓性基板1の片側に紫外線3を部分的に照射して紫外線照射領域9と紫外線非照射領域10を形成する(第1の紫外線照射工程)(図1(1b)〜(1c))。また、前記剛性基板2の片側に紫外線3を照射して紫外線照射領域11を形成する(第2の紫外線照射工程)(図1(1b)〜(1c))。次いで、前記可撓性基板1の紫外線照射領域9及び前記剛性基板2の紫外線照射領域11を前記片側同士が対向するように紫外線3を照射した後にできるだけ素早く接触させて、前記可撓性基板1及び前記剛性基板2が直に固着している複合体を形成する(複合体形成工程)(図1(1d))。次いで、前記複合体6の可撓性基板1の紫外線非照射領域10に固体素子7を形成する(固体素子形成工程)(図1(1e))。このとき、前記可撓性基板1と前記固体素子7の間に他の層が入っていても良い。次いで、前記複合体6の可撓性基板1の紫外線非照射領域10で可撓性基板1を切断する(可撓性基板切断工程)(図1(1f))。このとき、切断する方法は特に問わない。前記複合体6から剛性基板2を分離する(剛性基板分離工程)(図1(1g))。このとき、分離する方法は、特に問わない。
【0012】
本実施形態によれば、上記した従来技術のように可撓性基板を剥離することも転写することもしないため、固体素子に損傷が生じにくいという効果を得ることができる。また、紫外線の照射を固体素子を形成する前に行うため、紫外線によって固体素子に損傷が生じないという効果を得ることができる。また、可撓性基板と剛性基板の間に接着層や粘着層が存在しないため、接着層や粘着層が接着層や粘着層に残ることがないという効果を得ることができる。また、切断面を変化させるだけで、任意の大きさの基板を製造することが容易になる。
【0013】
図2(2a)〜(2g)は、固体素子を有するデバイスの製造方法の一例を示す工程図である。
一つの可撓性基板1に複数の固体素子7を形成する点以外は図1と同様である。
【0014】
以下、本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法における各工程について説明する。
【0015】
1.基板準備工程
本発明の基板準備工程は、可撓性基板1及び剛性基板2を準備するものである。
【0016】
1−1.可撓性基板、剛性基板
可撓性基板1は、フレキシブルプリント配線板(JIS C5603)等の柔軟で変形可能なデバイスの基板に適用できる程度の可撓性を有するものである。可撓性基板1は、このような可撓性を有するので、それを単体で用いた場合には、下記の固定素子形成工程等で撓んでしまう。そこで、本発明では、可撓性基板1および剛性基板2が直に固着している複合体6を下記の固定素子形成工程等で用いることで、剛性基板2が可撓性基板1を支持して可撓性基板1が撓むことを妨げ、可撓性基板1に固体素子7を精度よく形成することができる。基板の可撓性は、一般にその厚みに大きく依存する。そこで、可撓性基板1は、その厚みが0.5mm未満であることが好ましい。基板の厚みが0.5mm未満であれば、一般的な材料において、フレキシブルプリント配線板(JIS C5603)等の柔軟で変形可能なデバイスの基板に適用できる程度の可撓性を有するものと考えられるためである。
【0017】
剛性基板2は、上記の可撓性基板1を支持して、下記の固体素子形成工程等で可撓性基板1が撓むことを妨げることが可能な程度の剛性を有するものである。基板の剛性は、一般にその厚みに大きく依存する。そこで、剛性基板2の厚みは、その厚みが0.5mm以上であることが好ましく、より好ましくは、0.7mm以上である。基板の厚みが0.5mm以上、さらには0.7mm以上であれば、一般的な材料において、可撓性基板1を支持して、下記の固体素子形成工程等で可撓性基板1が撓むことを妨げることが可能な程度の剛性を有するものと考えられるためである。
【0018】
可撓性基板に用いられる材料は、ポリマー、金属、セラミック、又はガラス等を挙げることができる。同様に、剛性基板に用いられる材料は、ポリマー、金属、セラミック、又はガラス等を挙げることができる。可撓性基板の材料は、ポリマーを用いることが好ましい。ポリマーは、他の材料と比較して一般に柔軟な材料なので、柔軟で変形可能なデバイスの基板として広く用いられている。ポリマーとしては、特に限定はないが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、アクリル、ポリウレタン、ポリイミドなどを挙げることができ、用いるデバイスの用途に照らして適宜選択することができる。剛性基板の材料は、可撓性基板を支持しやすいため、無アルカリガラスや石英ガラス等のガラスを用いることが好ましい。
【0019】
2.第1の紫外線照射工程、第2の紫外線照射工程
本発明の第1の紫外線照射工程は、可撓性基板1の片側に紫外線3を部分的に照射して紫外線照射領域9と紫外線非照射領域10を形成するものである。
本発明の第2の紫外線照射工程は、剛性基板2の片側に紫外線3を照射して紫外線照射領域11を形成するものである。
本発明は、紫外線3の照射を固体素子7を形成する前に行うために、紫外線3によって固体素子7が損傷することを防ぐことができる。
【0020】
2−1.紫外線
紫外線3としては、波長が400nm以下であれば特に限定は無いが、エネルギーが強く可撓性基板及び剛性基板に照射する時間を短縮できるため、真空の雰囲気が必要な200nm以下の波長領域のもの(真空紫外線)が好ましい。この波長領域の中でも200nm〜120nmの波長領域、さらには172nmの波長のものが好ましい。
【0021】
紫外線の照度は、特に限定は無いが、1mW/cm2〜300mW/cm2にあることが好ましく、3mW/cm2〜50mW/cm2にあることがより好ましく、5mW/cm2〜10mW/cm2にあることがさらに好ましい。
【0022】
紫外線の照射時間は、特に限定は無いが、0.5分〜20分であることが好ましい。
【0023】
紫外線を照射する範囲は、後述する紫外線照射領域に照射する。また、紫外線の照射する範囲を制御するときは、通常パターニング露光する際に用いられるフォトマスクを用いることができる。
【0024】
2−2.紫外線照射領域、紫外線非照射領域
本発明における可撓性基板1の紫外線照射領域9とは、可撓性基板1の紫外線3を照射する領域を意味している。可撓性基板1の紫外線照射領域9は、紫外線3を照射する側の面だけでなく、その裏側の面である紫外線3を照射しない側の面も含む概念である。また、本発明における可撓性基板1の紫外線非照射領域10とは、紫外線3を照射しない領域を意味する。可撓性基板1の紫外線非照射領域10は、紫外線3を照射する側の面だけでなく、その裏側の面である紫外線3を照射しない側の面も含む概念である。また、可撓性基板1の紫外線照射領域9は可撓性基板の紫外線を照射した部位4を含む概念である。
【0025】
可撓性基板の紫外線照射領域は、特に限定は無いが、可撓性基板の周縁部に設けられることが好ましい。可撓性基板の周縁部に設けることで、製造中の可撓性基板の剥離を防ぎやすくなるからである。可撓性基板の周縁部とは、可撓性基板の端部からそれに対応する基板の辺の長さの所定の割合の長さまでの領域を意味している。可撓性基板の端部からそれに対応する基板の辺の長さの20%の長さまでの領域であることが好ましいが、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。10%以下である場合、製造中の可撓性基板の剥離を効果的に防ぐことができる。
【0026】
一つの可撓性基板に複数の固体素子を作成する場合、可撓性基板の紫外線照射領域は、上記のように可撓性基板の周縁部だけでなく複数の固体素子の間にも設けられる。
【0027】
本発明における剛性基板の紫外線照射領域とは、剛性基板の紫外線を照射する領域を意味している。剛性基板の紫外線照射領域は、紫外線を照射する側の面だけでなく、その裏側の面である紫外線を照射しない側の面も含む概念である。また、本発明における剛性基板の紫外線非照射領域とは、紫外線を照射しない領域を意味する。剛性基板の紫外線非照射領域は、紫外線を照射する側の面だけでなく、その裏側の面である紫外線を照射しない側の面も含む概念である。また、剛性基板2の紫外線照射領域11は剛性基板の紫外線を照射した部位5を含む概念である。
【0028】
剛性基板の紫外線照射領域は、特に限定はないが、剛性基板の全面であることが好ましい。後述するが、可撓性基板の紫外線照射領域及び剛性基板の紫外線照射領域同士でしか固着しないため、固着する領域は可撓性基板または剛性基板のいずれか一方で制御すればよい。可撓性基板よりも剛性基板は、一般に高価であることから、パターニングが失敗しても損失の少ない可撓性基板をパターニングして固着する領域を制御した方がよい。
【0029】
3.複合体形成工程
本発明の複合体形成工程は、可撓性基板1の紫外線照射領域9及び剛性基板2の紫外線照射領域11を前記片側同士が対向するように接触させて、可撓性基板1及び剛性基板2が直に固着している複合体を形成するものである。本発明は、可撓性基板1と剛性基板2の間に接着層や粘着層が存在しないため、膜厚を薄くすることができるという効果を有する。また、本発明は、可撓性基板1と剛性基板2の間に接着層や粘着層が存在しないため、接着層や粘着層が可撓性基板1や剛性基板2に残ることがないという効果を有する。また、パターン状に紫外線を照射した場合、固着している面の固着している部分と固着している面の固着していない部分の境界で接着層や粘着層による段差が生じないため、複合体形成工程時に段差部分において空気などの泡噛みがなく、さらに、固体素子形成工程において加熱プロセスがある場合、段差部分に混入した空気などの膨張によって可撓性基板1が変形することがないという効果を有する。
【0030】
3−1.可撓性基板の紫外線照射領域及び剛性基板の紫外線照射領域を接触
可撓性基板1の紫外線照射領域9及び剛性基板2の紫外線照射領域11を接触させることで固着する正確な理由は不明であるが、次のような理由であると考えられる。高いエネルギーを有している紫外線3を照射されたことによって、可撓性基板1の紫外線照射領域9及び剛性基板2の紫外線照射領域11は、原子の間の共有結合が切断された状態になっている。その状態で、可撓性基板1の紫外線照射領域9及び剛性基板2の紫外線照射領域11を接触させると、可撓性基板1の紫外線照射領域9及び剛性基板2の紫外線照射領域11の間で新しい共有結合が作られるため、可撓性基板1の紫外線照射領域9及び剛性基板2の紫外線照射領域11を接触させることで固着すると考えられる。
【0031】
可撓性基板の紫外線照射領域及び剛性基板の紫外線照射領域同士でしか固着しない。すなわち、可撓性基板の紫外線を照射した領域及び剛性基板の紫外線を照射しなかった領域同士を接触させても固着はしない。また、可撓性基板の紫外線を照射しなかった領域及び剛性基板の紫外線を照射した領域を接触させても固着はしない。
【0032】
可撓性基板の紫外線照射領域及び剛性基板の紫外線照射領域を接触させる際の条件は特に限定はないが、可撓性基板及び剛性基板に紫外線を照射したあとにできるだけ早く可撓性基板の紫外線照射領域及び剛性基板の紫外線照射領域を接触させることが好ましい。可撓性基板及び剛性基板に紫外線を照射したあとにある程度の時間が経ってしまうと固着する力が無くなるためである。また、可撓性基板の紫外線照射領域及び剛性基板の紫外線照射領域を加熱しながら接触させると固着する力が高くなる。
【0033】
3−2.複合体
本発明の複合体6は、可撓性基板1及び剛性基板2が直に固着しているものである。
【0034】
4.固体素子形成工程
本発明の固体素子形成工程は、複合体6の可撓性基板1の紫外線非照射領域10に固体素子7を形成するものである。
【0035】
4−1.固体素子
固体素子7は、特に限定はされないが、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、その他の薄膜半導体素子、当該半導体素子を含んで構成される薄膜回路、太陽電池やイメージセンサ等に用いられる光電変換素子、スイッチング素子、メモリ、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体等の記録媒体、磁気記録ヘッド、コイル、インダクタ、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルタ、反射膜、ダイクロックミラー、偏光素子等の光学薄膜、半導体薄膜、超伝導薄膜、磁性薄膜、金属多層薄膜、金属セラミック多層薄膜、金属半導体多層薄膜、セラミック半導体多層薄膜、有機薄膜と他の物質の多層薄膜等が挙げられる。本発明の製造方法は固体素子の損傷を少なくすることができるため、損傷に敏感である薄膜トランジスタに好適に用いることができる。
【0036】
固体素子は、その一般的な方法で製造することができ、特に限定はされない。
【0037】
5.可撓性基板切断工程
本発明の可撓性基板切断工程は、複合体6の可撓性基板1の紫外線非照射領域10で可撓性基板1を切断するものである。本発明では、可撓性基板1を剥離も転写もしないため、固体素子7に損傷が生じにくいという効果を得ることができる。
【0038】
5−1.切断
可撓性基板1を切断する方法は特に限定は無い。金属の刃を有したカッター等の刃物による切断、レーザーやプラズマ等の熱による切断、高圧水による切断などが挙げられる。中でも、取り扱いがしやすいため、金属の刃を有したカッターによる切断が好ましい。
【0039】
切断は、紫外線非照射領域で行われる。紫外線非照射領域に配置されていなくてはいけないのは、紫外線照射領域で切断すると可撓性基板と剛性基板が固着している状態になっているため、剛性基板分離工程で分離することが難しくなるからである。
本発明は、切断する部位を調整するだけで任意の大きさの基板を容易に製造することができるという効果を有している。
【0040】
6.剛性基板分離工程
本発明の剛性基板分離工程は、複合体6から剛性基板2を分離するものである。
【0041】
6−1.分離
分離する方法は特に限定は無い。人間の手によって分離しても、機械で分離してもよい。また、分離する早さも、特に限定はない。
【0042】
7.用途
本発明の固体素子7を有するデバイスの製造方法により製造される固体素子を有するデバイスの用途としては、例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0044】
[実施例1]
厚さが0.1mmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製)と厚さが0.7mmの無アルカリガラスを準備した。ポリエチレンナフタレートフィルムに、ポリエチレンナフタレートフィルムから100μmの距離離れた位置にフォトマスクを設置し、フォトマスクを介してポリエチレンナフタレートフィルムに紫外線(172nm、照度8.3mW)を大気中で180秒間照射した。ここで、フォトマスクはポリエチレンナフタレートフィルムと同じ大きさを有し、フォトマスクの端部からそれに対応するフォトマスクの辺の長さの10%の長さまでの領域に紫外線を透過するようにしたパターンを有しているフォトマスクを用いた。さらに、無アルカリガラスに紫外線(172nm、照度8.3mW)を大気中で3分間照射した。次に、ポリエチレンナフタレートフィルムの紫外線を照射した領域及び無アルカリガラスの紫外線を照射した領域同士を重ね、ローラー温度を120℃に設定したホットラミネーターにて貼り合せた。次いで、ポリエチレンナフタレートフィルム上に一つの薄膜トランジスタを形成した。次いで、ポリエチレンナフタレートフィルムにおいて、ポリエチレンナフタレートフィルムの長さに対して端部から12%の距離の部分をカッターで切断した。次いで、ポリエチレンナフタレートフィルムと無アルカリガラスを人間の手によって紫外線非照射領域で分離することで、固体素子を有するデバイスを得た。このとき、固体素子を有するデバイスに損傷はなかった。
【符号の説明】
【0045】
1 … 可撓性基板
2 … 剛性基板
3 … 紫外線
4 … 可撓性基板の紫外線を照射した部位
5 … 剛性基板の紫外線を照射した部位
6 … 複合体
7 … 固体素子
8 … フォトマスク
9 … 可撓性基板の紫外線照射領域
10 … 可撓性基板の紫外線非照射領域
11 … 剛性基板の紫外線照射領域
12 … 固体素子を有するデバイス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板及び剛性基板を準備する基板準備工程と、
前記可撓性基板の片側に紫外線を部分的に照射して紫外線照射領域と紫外線非照射領域を形成する第1の紫外線照射工程と、
前記剛性基板の片側に紫外線を照射して紫外線照射領域を形成する第2の紫外線照射工程と、
前記可撓性基板の紫外線照射領域及び前記剛性基板の紫外線照射領域を前記片側同士が対向するように接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が直に固着している複合体を形成する複合体形成工程と、
前記複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域に固体素子を形成する固体素子形成工程と、
前記複合体の可撓性基板の紫外線非照射領域で可撓性基板を切断する可撓性基板切断工程と、
前記複合体から剛性基板を分離する剛性基板分離工程と、
を有することを特徴とする固体素子を有するデバイスの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−77670(P2013−77670A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216058(P2011−216058)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】