説明

固定具

【課題】取り付け後の曲げの力による断線等を防ぐ。
【解決手段】取付面に対してFFCを固定する固定具であって、取付面に平行に配され、
貫通孔を有する主面、および、主面の両端から取付面側に立ち上がっており、主面と共に
FFCを挟む一対の側面、を有するクランプ本体と、FFCの少なくとも一方の面に配さ
れ、貫通孔を有する補強板と、取付面およびクランプ本体によってFFCを挟んだ状態で
、取付面の貫通孔、FFCの貫通孔、補強板の貫通孔および主面の貫通孔に挿入されて、
取付面および主面に弾性的に係止される貫通軸とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付面に対してFFC(フレキシブルフラットケーブル)を固定する固定具
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FFC(フレキシブルフラットケーブル)を車体等に取り付けるクランプ取付構
造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このクランプ取付構造においては、コ
の字状の嵌合部と平板部とでFFCを挟むと共に、FFCに設けられたスリットにFFC
取付部が挿入される。これにより、FFC取付部がFFCのスリットの周囲に弾性的に圧
接して、FFCが当該クランプ取付構造に固定される。
【特許文献1】特開2007−159272
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1におけるクランプ取付構造においては、クランプ取付構
造によって固定された状態でFFCに曲げの力が働くと、クランプ取付機構の本体部にお
けるFFCの長手方向における両端の段差によって、当該段差に対向するFFCの領域に
応力が集中する。これによりFFCの当該領域が折れ曲がる。FFCの当該領域が複数回
にわたって折れ曲がると、FFC内の金属配線が断線するという不具合がある。また、F
FC取付部における、FFCのスリットの周囲に圧接する部分の面積が小さいので、当該
部分に大きな圧力がかかり、FFCが当該部分で折れ曲がりやすいという不具合もある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、取付面に対してFFCを
固定する固定具であって、取付面に平行に配され、貫通孔を有する主面、および、主面の
両端から取付面側に立ち上がっており、主面と共にFFCを挟む一対の側面、を有するク
ランプ本体と、FFCの少なくとも一方の面に配され、貫通孔を有する補強板と、取付面
およびクランプ本体によってFFCを挟んだ状態で、取付面の貫通孔、FFCの貫通孔、
補強板の貫通孔および主面の貫通孔に挿入されて、取付面および主面に弾性的に係止され
る貫通軸とを備える。これにより、FFCの貫通孔周辺を補強して、FFCの変形及び断
線を防ぐことができる。また、補強板を介してFFCと取付面、および、FFCと主面と
が面で接するので、FFCの変形及び断線をより確実に防ぐことができる。
【0005】
上記固定具において、補強板が、FFCと主面との間に配されてもよい。これにより、
FFCの変形及び断線をより確実に防ぐことができる。
【0006】
また、上記固定具において、補強板が、FFCと取付面との間に配されてもよい。これ
により、FFCの変形及び断線をより確実に防ぐことができる。
【0007】
また、上記固定具において、補強板が、FFCの接続端に設けられる補強板と同一の材
質および厚みを有してもよい。これにより、二種類の補強板を共通の設計にして、製造コ
ストを下げることができる。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また
、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範
囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組
み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態の固定具100によりFFC20が取付面10に取り付けられた状
態を示す平面図であり、図2は、その側面図である。図1および図2に示すように、固定
具100は、取付面10に対してFFC20等を固定する。取付面10は、自動車におけ
る車体であってもよいし、記録装置における装置本体であってもよい。
【0011】
固定具100は、側面からみて略コの字状のクランプ本体200と、FFC20等の少
なくとも一方の面に配される補強板300等と、取付面10、クランプ本体200、FF
C20等、補強板300等を貫通する貫通軸400とを有する。図2に示す形態において
、固定具100は、複数のFFC20、22、24、26、28と、複数の補強板300
、302、304、306、308、310を交互に積層した状態で固定する。この場合
に、固定具100は、取付面10の取付溝12、14に係止される。
【0012】
図3は、FFC20および補強板300の斜視図である。図3において、FFC20は
長手方向の一部が示されている。
【0013】
図3に示されるように、FFC20は、長手方向に延伸する複数の配線部30、31、
32、33、34、35と、これら複数の配線部30等を挟むフィルム40とフィルム4
2とにより形成される。さらに、FFC20には、フィルム40およびフィルム42にお
いて配線部30等を避けた位置に貫通孔50が設けられる。なお、FFC22、24、2
6、28もFFC20と同一の構成を有するので、説明を省略する。
【0014】
補強板300は、FFC20の少なくとも一方の面に配される。図3に示す形態におい
ては、補強板300は、FFC20の裏面に貼り付けられる。補強板300において、F
FC20の貫通孔50に対応する位置に貫通孔50と同じ形状の貫通孔320が設けられ
る。補強板300の幅W2は、FFC20の幅W1と同一に設定される。
【0015】
ここで、FFC20において、コネクタ等と接続する接続端には、コネクタ等への挿入
時にFFC20が座屈しないように、補強板が設けられる。補強板300は、当該補強板
と同一の材質および厚みを有することが好ましい。これにより、二種類の補強板を共通の
設計にして、製造コストを下げることができる。なお、補強板302、304、306、
308、310も補強板300と同一の構成を有するので、説明を省略する。
【0016】
図4は、クランプ本体200の斜視図を示す。クランプ本体200は、取付面10に平
行に配された主面210、および、主面210においてFFC20の幅方向の両端から取
付面10側に立ち上がっており、主面210と共にFFC20等を挟む一対の側面220
、230を有する。クランプ本体200は、樹脂等により一体的に形成される。
【0017】
主面210は平板状であって、FFC20の長手方向に沿った長さL3およびそれに直
交する幅W3(対向する側面220と側面230との間の距離)を有する。主面210の
長さL3は、図3の補強板300の長さL2よりも短く設定される。また、主面210の
幅W3は、補強板300の幅W2と同一に設定される。主面210にはさらに、貫通孔5
0と同じ形状の貫通孔212が設けられる。
【0018】
側面220、230は、主面210と反対側の先端、すなわち取付面10側の先端に、
係合片222、232を有する。これら係合片222、232は鉤形を有しており、取付
面10の取付溝12、14に挿入されて取付面10に係止される。
【0019】
図5は、FFC20等が取付面10に取り付けられる工程を示す分解図である。図5に
示すように、各FFC20等の一方の面に補強板300等が貼り付けられて積層された状
態で、側面220と側面230との間に配される。このときに、補強板300が、FFC
20と主面210との間に配されるとともに、補強板310が、FFC28と取付面10
との間に配される。これにより、FFC20等に曲げの力が働いたときに、FFC20等
の変形及び断線をより確実に防ぐことができる。
【0020】
貫通軸400は、基部430と、基部430より小径の延伸部420と、延伸部420
側が延伸部420よりも大径で、先端が尖った先端部410とを有する。ここで、延伸部
420の径は貫通孔50等の径と同一かこれより小さく、先端部410、基部430は貫
通孔50等の径よりも大きい径の部分を有する。
【0021】
取付面10と固定具100との間にFFC20等の積層物が配された状態で、取付面1
0側から、貫通軸400の先端部410が取付面10の貫通孔16、FFC20等の貫通
孔50、補強板300等の貫通孔320、主面210の貫通孔212に挿入される。これ
により、基部430が取付面10に当接するとともに、先端部410が主面210に当接
して、弾性的に係止される。
【0022】
以上、本実施形態によれば、補強板300がFFC20における主面210の端部付近
および貫通孔50の周辺を補強して、FFC20の変形及び断線を防ぐことができる。特
に、取付面10が記録装置等であって、FFC20が記録装置本体と当該記録装置本体に
対して移動するヘッドとを接続する場合には、当該ヘッドの移動によってFFC20に曲
げの力が多数回働くが、本実施形態によれば、補強板300によって、FFC20の変形
及び断線をより確実に防ぐことができる。
【0023】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態
に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えること
が可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発
明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の固定具100によりFFC20が取付面10に取り付けられた状態を示す平面図である。
【図2】固定具100等の側面図である。
【図3】FFC20および補強板300の斜視図である。
【図4】クランプ本体200の斜視図を示す。
【図5】FFC20等が取付面10に取り付けられる工程を示す分解図である。
【符号の説明】
【0025】
10 取付面、12 取付溝、14 取付溝、16 貫通孔、20 FFC、22 F
FC、24 FFC、26 FFC、28 FFC、30 配線部、31 配線部、32
配線部、33 配線部、34 配線部、35 配線部、40 フィルム、42 フィル
ム、50 貫通孔、100 固定具、200 クランプ本体、210 主面、212 貫
通孔、220 側面、230 側面、222 係合片、232 係合片、300 補強板
、302 補強板、304 補強板、306 補強板、308 補強板、310 補強板
、320 貫通孔、400 貫通軸、410 先端部、420 延伸部、430 基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に対してFFC(フレキシブルフラットケーブル)を固定する固定具であって、
前記取付面に平行に配され、貫通孔を有する主面、および、前記主面の両端から前記取
付面側に立ち上がっており、前記主面と共に前記FFCを挟む一対の側面、を有するクラ
ンプ本体と、
前記FFCの少なくとも一方の面に配され、貫通孔を有する補強板と、
前記取付面および前記クランプ本体によって前記FFCを挟んだ状態で、前記取付面の
貫通孔、前記FFCの貫通孔、前記補強板の前記貫通孔および前記主面の前記貫通孔に挿
入されて、前記取付面および前記主面に弾性的に係止される貫通軸と
を備える固定具。
【請求項2】
前記補強板が、前記FFCと前記主面との間に配される請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記補強板が、前記FFCと前記取付面との間に配される請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
前記補強板が、前記FFCの接続端に設けられる補強板と同一の材質および厚みを有す
る請求項3に記載の固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−177876(P2009−177876A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11223(P2008−11223)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】