説明

固定窓用ウエザストリップ

【課題】シール性の向上を図ることのできる固定窓用ウエザストリップを提供する。
【解決手段】固定ガラス6の周縁部に設けられるウエザストリップ21は、断面略コ字状の本体部31と、本体部31から固定窓7の外周側に延出するシールリップ34とを備えている。また、ディビジョンバー8に取着される縦辺部23と、ドアフレーム11に取着される斜辺部24とが連結される頂部41においては、シールリップ34が固定窓の外周側に延長形成されるとともに、ブラケット17よりも固定窓の内周側においてシールリップ34から車内側に突出する補強リブ46が設けられている。補強リブ46は、ディビジョンバー8に沿って延在する第1辺部47と、ドアフレーム11に沿って延在する第2辺部48とを備え、第1辺部47及び第2辺部48は、その上端部同士が互いに連結されるとともに、各下端部がそれぞれ本体部31に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアの固定ガラスの周縁部に取付けられる固定窓用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のドアには、ドア本体とドアフレームとによって囲まれた窓部において上下に延びるディビジョンバーを備え、前記窓部が、昇降ガラスによって開閉可能な開閉窓と、固定ガラス(クォータウインドウガラス)が取着される固定窓とに区画されたものがある。また、固定ガラスの周縁部には、固定窓の周縁のドアフレーム等との間をシールするための固定窓用ウエザストリップ(以下、ウエザストリップという)が取着されている。
【0003】
図7に示すように、ウエザストリップ60は、ドアのベルトラインに沿って取付けられる下辺部(図示略)と、ディビジョンバー71に形成されたサッシュ部72に取付けられる縦辺部62と、ドアフレーム73に形成されたサッシュ部72に取付けられる斜辺部63とを備えている。また、ウエザストリップ60は、固定ガラス64が挿入される挿入溝部を内周側に有した断面略コ字状の本体部66と、当該本体部66の車内外両側からそれぞれ外方に延出し、サッシュ部72の車内外両側壁部位の内周側端縁部近傍と当接して固定窓の周縁を覆う車内側意匠リップ67及び車外側意匠リップ68と、本体部66から固定窓(ウエザストリップ60)の外周側に延出し、サッシュ部72の底壁部に圧接するシールリップ69とを備えている。
【0004】
また、固定窓の上コーナー部においては、ブラケット75を介して固定されたディビジョンバー71とドアフレーム73とが鋭角状に交わるため、固定ガラス64の成形上、固定ガラス64と、ドア側の上コーナー部(ディビジョンバー71とドアフレーム73とでなす上コーナー部)との間、ひいては、固定ガラス64の周縁部に取着されるウエザストリップ60と前記上コーナー部との間が比較的大きく離間することになる。このため、ウエザストリップ60のうち前記上コーナー部に対応する部位(以下、頂部81という)においては、前記シールリップ69が、サッシュ部72の底壁部の内周側面と当接し得るように、ウエザストリップ60の外周側に比較的大きく延長されている(例えば、特許文献1参照)。以下、シールリップ69のうち上コーナー部に対応する部位をコーナーリップ82と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−16114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コーナーリップ82は、ディビジョンバー71との接触を回避するべく比較的薄肉に形成する必要があるため、コーナーリップ82の本体部66からの延出長が長くなると、コーナーリップ82の剛性が低下する。これにより、コーナーリップ82が変形してしまうことが懸念され、シール性の低下等を招くおそれがある。
【0007】
これに対し、頂部81において本体部66を固定窓の外周側に厚肉に構成し、コーナーリップ82の延出長を極力短くすることが考えられるが、この場合、本体部66が厚肉になることに起因して、本体部66に成形歪み(ヒケ)が生じ、外観品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0008】
また、上記特許文献1においては、コーナーリップ82に対してディビジョンバー71に沿って延びるリブを設ける技術が開示されているが、かかる技術では、コーナーリップ82全体の変形を抑止することは難しく、コーナーリップ82においてシール性が低下するといった不具合を完全に解消しきれないことが懸念される。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、シール性の向上を図ることのできる固定窓用ウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0011】
手段1.昇降ガラスの縦縁側に沿って設けられるディビジョンバーを備えた車両用ドアにおいて、前記ディビジョンバーにより区画された固定窓に設けられ、当該固定窓に固定される固定ガラスの周縁と、前記ディビジョンバー等のドア側部材との間をシールする固定窓用ウエザストリップであって、
前記ドアのベルトライン部位に沿って取付けられる下辺部と、前記ディビジョンバーに形成された断面略コ字状のサッシュ部に嵌入される縦辺部と、前記ドアのドアフレームに形成された断面略コ字状のサッシュ部に嵌入される斜辺部とを備えた略三角枠形状をなし、
基底部と、当該基底部の両端から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備し、前記固定ガラスの周縁が挿入される挿入溝部を内周側に有する断面略コ字状の本体部と、
前記車内側側壁部及び車外側側壁部からそれぞれ前記本体部の外側へ延出し、前記サッシュ部の車内側壁部及び車外側壁部にそれぞれ当接する車内側意匠リップ及び車外側意匠リップと、
前記基底部から前記固定窓の外周側に延出し、先端部において前記サッシュ部の底壁部に当接するシールリップとを備え、
前記縦辺部と前記斜辺部とが連結される頂部においては、前記シールリップが、前記本体部の外周面の車外側の部位から、前記ディビジョンバーの上端部と前記ドアフレームとを接続するブラケットの車外側端縁と前記サッシュ部の車外側壁部との間を介して、前記サッシュ部の底壁部に当接するように延出するとともに、
当該頂部におけるシールリップの車内側の面には、前記ブラケットよりも前記固定窓の内周側において車内側に突出する補強リブが設けられ、
前記補強リブは、前記ディビジョンバーに沿って延在する第1辺部と、前記ドアフレームに沿って延在する第2辺部とを備え、前記第1辺部及び前記第2辺部は、その上端部同士が互いに連結されるとともに、各下端部がそれぞれ前記本体部に連結されていることを特徴とする固定窓用ウエザストリップ。
【0012】
手段1によれば、シールリップのうち、頂部において本体部から固定窓の外周側(上方)に大きく突出する部位(以下、コーナーリップという)に対し、車内側に突出する補強リブが設けられている。当該補強リブは第1辺部と第2辺部とを備えて略へ字状をなし、両端部は本体部と連結されている。このように、コーナーリップの外周に沿うようにして切れ目なく補強リブが設けられることにより、コーナーリップ全体の剛性を確実に高めることができる。従って、コーナーリップが変形し、シール性の低下を招くといった事態を防止することができる。
【0013】
また、補強リブは、ブラケットよりも固定窓の内周側において設けられているため、ブラケット及びビスと補強リブとが接触してしまうといった事態を回避することができる。尚、補強リブは、ブラケットをドアフレームに固定するためのビスよりも車外側に設けられていることとしてもよい。この場合、ブラケットとドアフレームとの接続に比較的長いビスを採用してもビスが補強リブに当接することはない。このため、例えば、ビスがブラケットから本体部側に突出しないように、ブラケットとドアフレームとの接続に比較的短いビスを採用することによって、製造誤差等が生じた場合等にブラケットとビスとの螺着が好適に行われず、接続不良が生じてしまうといった事態を回避することができる。
【0014】
手段2.前記補強リブの内周側には、格子状の補助リブが設けられ、前記補助リブの各端部は、それぞれ前記補強リブ又は前記本体部に連結されていることを特徴とする手段1に記載の固定窓用ウエザストリップ。
【0015】
手段2によれば、補助リブを設けることによって、頂部におけるシールリップ(コーナリップ)の剛性をより高めることができる。従って、上記手段1の作用効果が一層確実に奏される。
【0016】
手段3.前記頂部においては、前記本体部が前記サッシュ部に嵌入されず、前記車外側意匠リップが前記シールリップから延出する構成であって、
前記補助リブと前記車外側意匠リップとを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、前記補助リブが前記車外側意匠リップと交差するように構成されていることを特徴とする手段2に記載の固定窓用ウエザストリップ。
【0017】
上記手段3のように、補助リブと車外側意匠リップとを交差させるようにして設けることで、頂部におけるシールリップ(コーナーリップ)の剛性を飛躍的に向上させることができる。また、コーナーリップに形成された車外側意匠リップの変形を抑止することもできる。尚、前記補強リブ及び前記補助リブと前記車外側意匠リップとを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、前記補強リブ及び前記補助リブがそれぞれ前記車外側意匠リップと交差するように構成されていることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】自動車を示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップを車内側から見た正面図である。
【図3】図2におけるJ−J線断面図である。
【図4】図2におけるK−K線断面図である。
【図5】上コーナー部及び頂部を示す分解斜視図である。
【図6】頂部を示す斜視図である。
【図7】従来技術の上コーナー部及び頂部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1には、自動車ボディ3(車両本体)に形成されたドア用開口部を開閉するフロントドア(以下、単に「ドア2」という)が設けられている。ドア2には、昇降ガラス4によって開閉可能に構成される開閉窓5と、固定ガラス6が設けられる固定窓7とが形成され、両窓部5、7はディビジョンバー8によって区画されている。
【0020】
また、図2に示すように、固定ガラス6の周縁部には、当該固定ガラス6とドア2との間をシールするための固定窓用ウエザストリップ(以下、単にウエザストリップ21という)が装着されている。本実施形態のウエザストリップ21は、例えば、軟質のポリ塩化ビニル(PVC)によって形成されている。
【0021】
ウエザストリップ21は、ドア2のベルトライン9(ドア本体19の上縁部)に沿って取付けられる下辺部22と、ディビジョンバー8に沿って取り付けられる縦辺部23と、ドア2のドアフレーム11に沿って取付けられ、下辺部22の前端と縦辺部23の上端とを連結する斜辺部24とを備え、固定ガラス6の外周形状に対応した略三角枠形状をなしている。尚、本実施形態では、ディビジョンバー8、ドアフレーム11、及びドア本体19がドア側部材を構成する。
【0022】
図3に示すように、縦辺部23は、断面略コ字状の本体部31と、本体部31から車内側に延出する車内側意匠リップ32と、本体部31から車外側に延出する車外側意匠リップ33と、本体部31から固定窓7の外周側に延出するシールリップ34とを備えている。本体部31は、基底部35と、当該基底部35の両端から延びる車内側側壁部36及び車外側側壁部37とを備え、固定ガラス6が挿入される挿入溝部38を内周側に有した断面略コ字状をなしている。尚、固定ガラス6を保持する保持力及び固定ガラス6とのシール性を高めるために、挿入溝部38は、基底部35側よりも開口部側が幅狭となっている。尚、下辺部22や斜辺部24に関しても、縦辺部23と同様に、本体部31、意匠リップ32、33、及びシールリップ34を備えている。
【0023】
また、ディビジョンバー8には、固定窓7側(前側)において、ウエザストリップ21の縦辺部23が嵌め込まれるサッシュ部12を備えている。サッシュ部12は、ウエザストリップ21の基底部35と対向する底壁部13と、底壁部13の車内側端縁から前方に延出する車内側壁部14と、底壁部13の車外側端縁から前方に延出する車外側壁部15とを備えている。そして、固定ガラス6に取着されたウエザストリップ21の本体部31を、底壁部13、車内側壁部14、及び車外側壁部15よりなるサッシュ部12の内側に嵌め込むことで、ウエザストリップ21と固定ガラス6とからなる固定窓7が取付けられる。また、かかるウエザストリップ21の取付状態においては、車内側意匠リップ32の先端部が車内側壁部14(の内周側の先端部)に当接するとともに、車外側意匠リップ33の先端部が車外側壁部15(の内周側の先端部)に当接する。これにより、固定窓7の周縁部が覆われ、外観品質の向上が図られている。さらに、ウエザストリップ21の取付状態においては、シールリップ34が底壁部13に当接する。これにより、ウエザストリップ21とサッシュ部12との間のシール性の向上が図られている。
【0024】
尚、ドアフレーム11に関しても、固定窓7側(下側)において、底壁部13、車内側壁部14、及び車外側壁部15を具備するサッシュ部12を備えており、ウエザストリップ21の斜辺部24が嵌め込まれる。本実施形態では、ドアフレーム11とディビジョンバー8とにより形成される固定窓7の上コーナー部16(図1参照)の角度が約30度に設定されている。さらに、ドアフレーム11及びディビジョンバー8のサッシュ部12のうち車外側に露出する車外側壁部15の固定窓7の外周方向における長さは、意匠性等の観点から、上コーナー部16及び上コーナー部16以外の一般部のいずれにおいてもほぼ一定である。
【0025】
また、本実施形態では、固定窓7の上コーナー部16が鋭角状に構成されているため、図4に示すように、上コーナー部16において、固定ガラス6とサッシュ部12の底壁部13との間、ひいては、固定ガラス6の周縁部に取着されるウエザストリップ21と底壁部13との間が比較的大きく離間している。特に、本実施形態では、ウエザストリップ21のうち前記上コーナー部16に対応する部位(以下、頂部41という)における本体部31が、サッシュ部12の車外側壁部15よりも固定窓7の内周側に位置し、サッシュ部12に嵌入されていない状態となっている。また、頂部41における本体部31の外周面は、ドアフレーム11に取付けられる斜辺部24の本体部31の外周面、及びディビジョンバー8に取付けられる縦辺部23の本体部31の外周面に対して交差する方向に延在している(図5等参照)。
【0026】
このため、図4、図5等に示すように、ウエザストリップ21の頂部41においては、シールリップ34を上コーナー部16のサッシュ部12の底壁部13と接触させるために、シールリップ34が固定窓7の外周側に延長形成されている。以下、上コーナー部16におけるシールリップ34をコーナーリップ42と称する。つまり、コーナーリップ42は、上コーナー部16におけるドアフレーム11及びディビジョンバー8と、本体部31との間の隙間を覆うようにして、上コーナー部16に対応した略三角形状をなしている。
【0027】
また、図5に示すように、ディビジョンバー8の上端部は、ドアフレーム11に対して、ブラケット17を介して固定されている。本実施形態のブラケット17は、ディビジョンバー8のサッシュ部12の底壁部13に対し溶接固定される第1固定部51と、ドアフレーム11のサッシュ部12の底壁部13に対しビス55で固定される第2固定部52と、第1固定部51と第2固定部52とを連結し、頂部41における本体部31の外周面と平行して延びる連結部53とを備えている。加えて、ブラケット17の両側辺部と、サッシュ部12の車内側壁部14及び車外側壁部15との間には、隙間が形成されている。尚、ディビジョンバー8の下端部は、ドア本体19に対し図示しないブラケットを介して固定されている。
【0028】
また、図4に示すように、コーナーリップ42は、ブラケット17やビス55との接触を回避するために、本体部31の外周面の車外側端縁から固定窓7の外周側(上方)に延出形成されており、ブラケット17と車外側壁部15との間の隙間を介して、サッシュ部12の底壁部13に当接するように延出している。また、頂部41における本体部31とブラケット17との間には、ブラケット17を貫通して本体部31側に突出するビス55と本体部31との接触を回避するべく隙間が形成されている。尚、一般部のシールリップ34は、コーナーリップ42よりも車内側に配置されており、コーナーリップ42の両端部と一般部のシールリップ34との間は徐変部44(図5等参照)によって連結されている。また、コーナーリップ42の外周側端縁と、コーナーリップ42に連続する一般部のシールリップ34(徐変部44を含む)の外周側端縁とは面一となっている。
【0029】
また、図6等に示すように、ウエザストリップ21の頂部41においては、車外側意匠リップ33がコーナーリップ42から延出している。すなわち、車外側意匠リップ33を頂部41の本体部31の延在方向に倣って形成したのでは車外側意匠リップ33を車外側壁部15に当接させることができないため、頂部41における車外側意匠リップ33は、ドアフレーム11のサッシュ部12に取着される斜辺部24の車外側意匠リップ33、及びディビジョンバー8に取着される縦辺部23の車外側意匠リップ33をそのまま延長させるようにして、上コーナー部16の角度に倣って形成されている。そして、本実施形態では、上コーナー部16が鋭角状に構成されているため、頂部41における車外側意匠リップ33を上記のように形成すると、頂部41における車外側意匠リップ33が本体部31よりも固定窓7の外周側に位置することとなる。このため、本実施形態では、頂部41における車外側意匠リップ33をコーナーリップ42から延出させている。さらに、コーナーリップ42に設けられた車外側意匠リップ33は、コーナーリップ42の斜辺部及び縦辺部に沿って切れ目なくサッシュ部12の車外側壁部15の内周側端縁部に当接しており、斜辺部24の延在方向に沿って延びる車外側意匠リップ33と、縦辺部23の延在方向に沿って延びる車外側意匠リップ33とが連結された車外側意匠リップ33の境界部においても、車外側意匠リップ33がサッシュ部12の車外側壁部15の内周側端縁部に当接している。
【0030】
尚、車内側意匠リップ32は、頂部41及び一般部のいずれにおいても延出長が同じである。また、本実施形態では、上コーナー部16におけるサッシュ部12の車内側壁部14は、それ以外の一般部における車内側壁部14よりも固定窓7の内周側に延出している。このため、車外側意匠リップ33のように頂部41における車内側意匠リップ32の付根部の位置(延出位置)を変えなくても、上コーナー部16において、車内側壁部14と車内側意匠リップ32とを当接させることができる。
【0031】
さて、図4、図5に示すように、本実施形態では、コーナーリップ42の車内側の面から車内側に突出する補強リブ46が設けられている。図5に示すように、補強リブ46は、ディビジョンバー8に沿って延在する第1辺部47と、ドアフレーム11に沿って延在する第2辺部48とを備え、第1辺部47及び第2辺部48は、その上端部同士が互いに連結されるとともに、各下端部がそれぞれ頂部41の本体部31(基底部35)の外周面に連結されている。さらに、補強リブ46は、ブラケット17よりも固定窓7の内周側、かつ、ビス55よりも車外側に設けられている。また、また、本実施形態では、第1辺部47の外周面は、ディビジョンバー8に沿って取着された縦辺部23の本体部31の外周面と面一とされ、第2辺部48の外周面は、ドアフレーム11に沿って取着された斜辺部24の本体部31の外周面と面一とされている。
【0032】
また、補強リブ46の内周側には、格子状の補助リブ49が設けられている。補助リブ49の各端部は、それぞれ補強リブ46の内側面又は本体部31の外周面に連結されている。尚、上記のように補強リブ46及び補助リブ49が配設されることで、補強リブ46及び補助リブ49と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46及び補助リブ49がそれぞれ車外側意匠リップ33(の付根部)と交差するようになっている(図5参照)。
【0033】
次に、固定ガラス6及びウエザストリップ21(固定窓7)のドア2への取付手順について説明する。先ず、固定ガラス6の周縁部をウエザストリップ21の挿入溝部38に挿入し、固定ガラス6の全周にウエザストリップ21が装着された状態とする。続いて、固定ガラス6に取着されたウエザストリップ21の斜辺部24をドアフレーム11のサッシュ部12に挿入させるようにして、固定ガラス6を固定窓7に嵌め込む。その後、ウエザストリップ21の縦辺部23をサッシュ部12に挿入させるようにして、ディビジョンバー8をドアフレーム11及びドア本体19に固定する。以上のようにして、固定ガラス6及びウエザストリップ21が固定窓7に固定される。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態では、コーナーリップ42に対し、車内側に突出する補強リブ46が設けられている。当該補強リブ46は第1辺部47と第2辺部48とを備えて略へ字状をなし、両端部は本体部31と連結されている。このように、コーナーリップ42の外周に沿うようにして切れ目なく補強リブ46が設けられることにより、コーナーリップ42全体の剛性を確実に高めることができる。従って、コーナーリップ42が変形し、シール性の低下を招くといった事態を防止することができる。
【0035】
また、補強リブ46は、ブラケット17よりも固定窓7の内周側、かつ、ビス55よりも車外側の領域内において設けられているため、ブラケット17及びビス55と補強リブ46とが接触してしまうといった事態を回避することができる。さらに、ブラケット17とドアフレーム11との接続に比較的長いビス55を採用してもビス55が補助リブ49に当接することはない。
【0036】
尚、上コーナー部16が鋭角状に構成されても、頂部41がサッシュ部12の内側に嵌入された状態となるように、本体部31の基底部35を厚肉にし、コーナーリップ42を極力短くしてコーナーリップ42の剛性の低下を抑制することも考えられるが、この場合、本体部31に成形歪み(ヒケ)が生じる等の不具合を招くおそれがある。これに対し、本実施形態では、本体部31を厚肉にすることなく、補強リブ46及び補助リブ49を設けることでコーナーリップ42の変形を抑止しているため、上記のようなヒケの発生を回避することができる。
【0037】
また、補強リブ46の内周側に格子状の補助リブ49を設けることによって、コーナーリップ42の剛性をより高めることができる。さらに、補強リブ46及び補助リブ49と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46及び補助リブ49が車外側意匠リップ33と交差するように構成されている。このため、コーナーリップ42の剛性を飛躍的に向上させることができる。従って、コーナーリップ42の変形を防止するといった上記作用効果が一層確実に奏される。また、コーナーリップ42に形成された車外側意匠リップ33の変形を抑止することもできる。
【0038】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0039】
(a)上記実施形態では、フロントドア2の固定ガラス6に取着されるウエザストリップ21に具体化されているが、これに限定されるものではなく、例えば、リヤドアの固定ガラス(クォータウインドウガラス)に取着されるウエザストリップに適用することも可能である。
【0040】
(b)上記実施形態では、ウエザストリップ21がPVCにより構成されているが、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)や、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)等の他の素材により構成してもよい。
【0041】
(c)上記実施形態では、上コーナー部16の角度が約30度に設定されているが、特に当該角度に限定されるものではない。尚、上記実施形態の構成を採用することで、上コーナー部16の角度が、上コーナー部16において頂部41の本体部31をサッシュ部12に嵌入させることができない程度の角度であっても、コーナーリップ42がサッシュ部12の車外側壁部15から離間してしまうといった事態を防止することができる。
【0042】
(d)上記実施形態において、補助リブ49の延在方向は特に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。また、補助リブ49の内周側に形成される穴部の形状は四角形状でなくてもよく、例えば、円形状、六角形状等に構成することも可能である。さらに、補助リブ49を省略することも可能である。
【0043】
尚、上記実施形態では、(第1辺部47及び第2辺部48の上側部位が湾曲形成されることで)第1辺部47及び第2辺部48の上端部同士が連結されているが、例えば、補強リブ46は、ディビジョンバー8に沿って延びる第1辺部と、ドアフレーム11に沿って延びる第2辺部と、第1辺部の上端部と第2辺部の上端部とを連結するようにして、本体部31と平行して延びる第3辺部とを備えることとしてもよい。
【0044】
(e)上記実施形態では、補強リブ46及び補助リブ49と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46及び補助リブ49がそれぞれ車外側意匠リップ33と交差するようになっているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、補強リブ46と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46の全体がコーナーリップ42における車外側意匠リップ33の内周側に位置するよう構成してもよい。但し、上記実施形態のように、補強リブ46及び補助リブ49と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46及び補助リブ49の少なくとも一部が車外側意匠リップ33と一部重なる(例えば交差する)ように構成することで、コーナーリップ42の強度を飛躍的に向上させることができる。さらに、補強リブ46の内周側に車外側意匠リップ33の少なくとも一部が位置するよう構成することで、かかる内周側に位置する部位の変形等をより確実に防止することができる。尚、補強リブ46及び補助リブ49と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46全体が車外側意匠リップ33よりも外周側に位置している場合、補強リブ46と車外側意匠リップ33とは交差せず、補助リブ49と車外側意匠リップ33とが交差することとなる。また、コーナーリップ42に形成された車外側意匠リップ33と補強リブ46とがコーナーリップ42を挟んで(一部)同じラインを描くようにして延び、補強リブ46と車外側意匠リップ33とを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、補強リブ46(の大部分)が車外側意匠リップ33と重なるよう構成したりしてもよい。この場合にも、コーナーリップ42の強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…自動車、2…ドア、6…固定ガラス、7…固定窓、8…ディビジョンバー、11…ドアフレーム、12…サッシュ部、13…底壁部、14…車内側壁部、15…車外側壁部、16…上コーナー部、17…ブラケット、21…ウエザストリップ、22…下辺部、23…辺部、24…斜辺部、31…本体部、32…車内側意匠リップ、33…車外側意匠リップ、34…シールリップ、35…基底部、36…車内側側壁部、37…車外側側壁部、38…挿入溝部、41…頂部、42…コーナーリップ、46…補強リブ、47…第1辺部、48…第2辺部、49…補助リブ、51…第1固定部、52…第2固定部、53…連結部、55…ビス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降ガラスの縦縁側に沿って設けられるディビジョンバーを備えた車両用ドアにおいて、前記ディビジョンバーにより区画された固定窓に設けられ、当該固定窓に固定される固定ガラスの周縁と、前記ディビジョンバー等のドア側部材との間をシールする固定窓用ウエザストリップであって、
前記ドアのベルトライン部位に沿って取付けられる下辺部と、前記ディビジョンバーに形成された断面略コ字状のサッシュ部に嵌入される縦辺部と、前記ドアのドアフレームに形成された断面略コ字状のサッシュ部に嵌入される斜辺部とを備えた略三角枠形状をなし、
基底部と、当該基底部の両端から延びる車内側側壁部及び車外側側壁部とを具備し、前記固定ガラスの周縁が挿入される挿入溝部を内周側に有する断面略コ字状の本体部と、
前記車内側側壁部及び車外側側壁部からそれぞれ前記本体部の外側へ延出し、前記サッシュ部の車内側壁部及び車外側壁部にそれぞれ当接する車内側意匠リップ及び車外側意匠リップと、
前記基底部から前記固定窓の外周側に延出し、先端部において前記サッシュ部の底壁部に当接するシールリップとを備え、
前記縦辺部と前記斜辺部とが連結される頂部においては、前記シールリップが、前記本体部の外周面の車外側の部位から、前記ディビジョンバーの上端部と前記ドアフレームとを接続するブラケットの車外側端縁と前記サッシュ部の車外側壁部との間を介して、前記サッシュ部の底壁部に当接するように延出するとともに、
当該頂部におけるシールリップの車内側の面には、前記ブラケットよりも前記固定窓の内周側において車内側に突出する補強リブが設けられ、
前記補強リブは、前記ディビジョンバーに沿って延在する第1辺部と、前記ドアフレームに沿って延在する第2辺部とを備え、前記第1辺部及び前記第2辺部は、その上端部同士が互いに連結されるとともに、各下端部がそれぞれ前記本体部に連結されていることを特徴とする固定窓用ウエザストリップ。
【請求項2】
前記補強リブの内周側には、格子状の補助リブが設けられ、前記補助リブの各端部は、それぞれ前記補強リブ又は前記本体部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の固定窓用ウエザストリップ。
【請求項3】
前記頂部においては、前記本体部が前記サッシュ部に嵌入されず、前記車外側意匠リップが前記シールリップから延出する構成であって、
前記補助リブと前記車外側意匠リップとを仮想の鉛直面に対し水平に投影させた場合において、前記補助リブが前記車外側意匠リップと交差するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の固定窓用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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