説明

固形医薬製剤

【課題】2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の固形医薬組成物であって、安定性が高く、生体外では迅速に溶解し、良好なバイオアベイラビリティーを有すると同時に含有量の均一性に優れた医薬組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、1種以上の固形賦形剤及び/又は補助物質ならびに2,3−ジ置換トロパン骨格を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤からなる群から選択される有効成分を含有する固形医薬製剤に関する。また、本発明は、前記医薬製剤の製造ならびに中枢神経系疾患もしくは障害の治療又は予防のための医薬品を製造するための前記医薬製剤の使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上の固形担体及び/又は賦形剤ならびに2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を含有する固形医薬製剤、その製造法、中枢神経系の疾病又は障害の治療用又は予防用医薬組成物を製造するための前記医薬製剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
モノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤で2,3−ジ置換トロパン構造を有するものは、薬理的に有用な特性がある化合物である。これらは、例えば、アルツハイマー病またはパーキンソン病に関連した痴呆等の中枢神経系障害の治療において、優れた治療効果をもたらすことができる。
このような化合物は、例えば、国際特許出願WO93/09814及びWO97/30997から公知であり、これらの開示の中には、こうした化合物の様々な組成物も提案されている。
これらの化合物が非常に高い活性能を有することから、安定性が高く、かつ有効成分含有量の低い組成物へのニーズがある。有効成分が少量であることから、含有量の均一化という観点において高度な要求がその組成物の製造工程につきつけられる。含有量の高度な均一性が要求されるが、これは直接的な錠剤化や湿式造粒法等といった従来の製造方法では容易に達成することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、本発明の基盤となる目的は、2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の固形医薬組成物であって、安定性が高く、生体外では迅速に溶解し、良好なバイオアベイラビリティーを有すると同時に含有量の均一性に優れた医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤から選択された有効成分を含む溶液を担体及び/又は組成物に噴霧する場合、あるいは、噴霧媒体が湿式バインダーを含む場合、従来の方法で作製された組成物の欠点、とりわけ含有量の均一性に関する欠点を克服することができることがわかった。
そのため、本発明は、1種以上の固形担体及び/又は賦形剤ならびに2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を含有する固形医薬製剤に関するものであって、該医薬製剤が、
(a)前記有効成分を含む溶液を、少なくとも1種の担体に噴霧することによって得ることができ、
(b)さらに、湿式バインダー1種以上を、好ましくは噴霧溶液中に含有してもよい、医薬製剤に関する。
さらに本発明は、この種の医薬製剤の製造方法に関するものであり、
(a)モノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤であって、2,3−ジ置換トロパン構造を有するものの群から選択される有効成分を、任意であるが賦形剤の存在下、好適な溶媒中で溶解し、
(b)得られた溶液を1種以上の固形担体に噴霧し、
(c)任意であるが、他の担体及び賦形剤を添加し、
(d)成形し、さらに得られた混合物を圧縮してもよく、
(e)さらに、好適なフィルムコートを施してもよい製造方法に関する。
最後に、本発明は、うつ病、あらゆるタイプの痴呆症、パーキンソン病又は肥満からなる群から選択される中枢神経系疾患もしくは障害の治療又は予防のための医薬組成物を製造するための、請求項1記載のいずれか1つの医薬製剤の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】湿式バインダーを含有する場合と含有しない場合の、式IAの化合物1mgを含むフィルムコート錠剤状の本発明による医薬調剤のpH1.2における溶解特性を示す。
【図2】湿式バインダーを含有する場合と含有しない場合の、式IAの化合物1mgを含むフィルムコート錠剤状の本発明による医薬調剤のpH6.8における溶解特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一般に、2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤は、例えば国際特許出願WO93/09814及びWO97/30997等に開示されているように、式(I)で表わされる化合物:
【0007】
【化1】

【0008】
又は、その医薬的に許容される酸付加塩もしくはN−酸化物であり、
式中、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又は2−ヒドロキシエチルであり、
3はCH2-X-R’を表すか、
XはO、SもしくはNR”(式中、R”は水素又はアルキル)であり、
R’はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくは-CO-アルキルであり、
3はヘテロアリールを表すか、
前記ヘテロアリールは、
アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、
フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、
フェニルフェニル、
ピリジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、
チエニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、又は
ベンジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)で、モノ置換もしくは多置換されていてもよく、又は
【0009】
3は(CH2)nCO211、COR11もしくはCH212を表すか、
前記式中、
11は、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、フェニルフェニル、ピリジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、チエニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)又はベンジルを表し、
nは0又は1、
12は、O-フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)又はO-CO-フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)を表し、あるいは、
【0010】
3はCH=NOR’(式中、R’は水素;アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールで、これらは-COOH、-COO-アルキル、-COO-シクロアルキル又はフェニルで置換されていてもよく、該フェニルはさらにハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ及びニトロから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)を表し、
4は、フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、ベンジル、ナフチル又はヘテロアリールで、これらはハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい。
【0011】
好ましい式Iの化合物は、式中、
3 が1,2,4-オキサジアゾール-3-イルで、5の位置が、
アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、
フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、
フェニルフェニル又は
ベンジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)で置換されていてもよく、あるいは、
3 が1,2,4-オキサジアゾール-5-イルで、3の位置が、
アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、
フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、
フェニルフェニル又は
ベンジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)で置換されていてもよい。
【0012】
一般式Iの化合物について、別の好ましい実施形態ではR3がCH2-X-R’であり、式中、 XがO、S又はNR”(R”は水素又はアルキルを示す)、
R’がアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又は-CO-アルキルを表す。
また、式(I)中、
3 がCH=NOR’であり、式中、
R’が水素;アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールを示し、これらは-COOH、-COO-アルキル、-COO-シクロアルキル及びフェニルから選択される置換基で置換されていてもよく、さらに該置換基がハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ及びニトロから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい、式(I)で表わされる化合物も好ましい。
また、式(I)中、
4が、ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよいフェニルを表す、式(I)の化合物も好ましい。
【0013】
とりわけ、R4がフェニルを示し、塩素でモノ置換もしくはジ置換されているフェニルを表す式(I)の化合物が好ましい。
また、(1R、2R、3S)構造を有する、モノアミン神経伝達物質再摂取阻害活性を示す2,3−ジ置換トロパン誘導体も好ましい。
式(I)中、R3が、
-CH2-X-R’(式中、XがO又はS、R’がメチル、エチル、プロピル又はシクロプロピルメチル)、
-CH=NOR’(式中、R’が水素又はアルキル)、あるいは、
3の位置がアルキルで置換されていてもよい1,2,4-オキサジアゾール-5-イルを表す、式(I)で表わされる化合物がとりわけ好ましい。
【0014】
また、好ましくは、Rが水素、メチル、エチル又はプロピルを示す。
式(I)中、R4が3,4-ジクロロフェニルである式(I)の化合物が好ましい。
また、式(II)の化合物:
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、
1が水素原子又はC1-6 アルキル基、とりわけ水素、メチル又はエチルを表し、
2がハロゲン原子、CF3又はシアノ基、とりわけフッ素、塩素又は臭素を表し、
3が水素原子、C1-6 アルキル基又はC3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキル基、とりわけメチル、エチル又はプロピルを表し、
mが0又は1〜3の整数、とりわけ1又は2を示す)、あるいはその互変異生体、医薬的に許容される塩、溶媒和物又は生理的に機能的な誘導体も好ましい。
本願明細書前述及び後述の「Cl-6 アルキル」という用語には、メチル基及びエチル基だけでなく直鎖及び分岐のプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基が含まれる。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及びt-ブチルである。
本願明細書前述及び後述の「C3-6 シクロアルキル」という用語には、環状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基、例えばシクロプロピルやシクロヘキシル等が含まれる。
本願明細書前述及び後述の「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれ、このなかでフッ素と塩素が特に好ましい。
本願明細書前述及び後述の「生理的に機能的な誘導体」という用語には、生理的条件下で式(I)で表わされる化合物から得られる誘導体、例えばN−酸化物のような誘導体が含まれる。
【0017】
本願明細書前述及び後述の「医薬的に許容される酸付加塩」という用語は、塩酸、臭素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸及びマレイン酸とともに形成される酸付加塩を含み、塩酸、臭素酸、硫酸、リン酸、酢酸及びクエン酸の塩がとくに好ましい。最も好ましいのはクエン酸の塩である。
とりわけ好ましい実施形態において、式(I)の化合物は以下の群から選択される。
(1R, 2R, 3S)-2-(3-シクロプロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-メチルフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-ベンジル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(4-フェニル-フェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(2-ナフチル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-アルドキシム;
【0018】
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-メチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-ベンジル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-エトキシカルボニルメチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-メトキシカルボニルメチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-(1-エトキシカルボニル-1,1-ジメチル-メチル)-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-カルボキシメチル-2-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-メチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-ベンジル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(4-メチルフェニル)トロパン-2-O-メチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-(1,1-ジメチルエチル)-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(4-クロロフェニル)トロパン-2-O-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(4-クロロフェニル)トロパン-2-O-メチルアルドキシム塩酸塩;
【0019】
(1R, 2R, 3S)-3-(4-クロロフェニル)トロパン-2-O-メトキシカルボニルメチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-(2-プロピニル)-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-(2-メチルプロピル)-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-シクロプロピルメチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン-2-O-エチル-アルドキシム;
(1R, 2R, 3S)-2-メトキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-イソプロポキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-エトキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-エトキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-ノルトロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-シクロプロピルメチルオキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-メトキシメチル-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-2-メトキシメチル-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-エトキシメチル-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-2-メトキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-2-エトキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-2-エトキシメチル-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-2-シクロプロピルメチルオキシメチル-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
【0020】
(1R, 2R, 3S)-2-シクロプロピルメチルオキシメチル-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-エチルチオメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-ヒドロキシメチル-3-(4-フルオロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-ヒドロキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-N-(t-ブトキシカルボニル)-2-ヒドロキシメチル-3-(3,4-ジクロロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-ヒドロキシメチル-3-(4-クロロフェニル)トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(2-フラニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(3-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-N-アリル-2-(3-(4-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3, 4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-N-エチル-2-(3-(4-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
【0021】
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-2-(3-(4-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-2-(3-(4-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-N-アリル-2-(3-(3-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-N-ノルメチル-N-アリル-2-(3-(2-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(2-チエニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(2-チエニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(4-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(2-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(4-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(3-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-2-ピリジル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
【0022】
(1R, 2R, 3S)-2-(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-メチルフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-ベンジル-1, 2, 4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-(4-フェニルフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(3-フェニル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-(2-ナフチル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(4-クロロフェノキシ-メチル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(4-クロロフェノキシ-メチル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(4-クロロフェノキシ-メチル)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(4-クロロフェノキシ-メチル)-3-(4-メチルフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(4-ベンゾイルオキシ-メチル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(2-ナフチル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(3,4-ジクロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-ベンジル-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(4-クロロフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(4-メチルフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(1-ナフチル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(4-フェニルフェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-カルボメトキシ-3-(4-t-ブチル-フェニル)-トロパン;
(1R, 2R, 3S)-2-(4-フルオロベンゾイル)-3-(4-フルオロフェニル)-トロパン、あるいは、これらの医薬的に許容される塩。
最も好ましいのは、式IAで表わされる化合物:
【0023】
【化3】

【0024】
又はその医薬的に許容される塩、とりわけクエン酸塩である。
好ましくは、本発明の医薬製剤中、2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分は5.00質量%まで、好ましくは0.01〜3.00質量%、より好ましくは0.10〜1.50質量%、とりわけ好ましくは0.10〜0.80質量%含まれるとよい。このパーセント値は使用する有効成分の特定の塩を基礎とする。
有効成分溶液を噴霧することにより得られる医薬製剤が好ましく、また、この際の溶媒が水及びアルコールを含み、さらに任意で湿式バインダーを含有することが好ましい。溶媒のアルコール:水の割合は、100:0〜0:100(質量%)、好ましくは20:80〜80:20(質量%)、特に好ましくは40:60〜60:40(質量%)がよい。
好ましい湿式バインダーは、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドンと他のビニル誘導体とのコポリマー(コポビドン)、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース又はヒドキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、とりわけヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。
【0025】
また別の好ましい実施形態においては、噴霧した際に有効成分が担体材料上に主に結晶状態で析出する。
本発明の範囲において、担体材料としては、ラクトース又はマンノース等の炭水化物、なかでも微粉化ラクトースやラクトース一水和物、同様にマンニトール、ソルビトール又はキシリトール等の糖アルコール類、なかでもマンニトールがとりわけ重要である。これらの担体は本発明の組成物において特に有利であることがわかってきた。そのため、好ましい態様の1つとして、本発明は式Iの化合物を少なくとも1種含む製剤であって、該有効成分に加えて担体材料としてラクトース、とくに微粉化ラクトースやラクトース一水和物を含む製剤に関するものである。
本発明によると、錠剤中に含まれるラクトース成分:有効成分の質量比は、約200:1から約20:1の範囲である。好ましくは、ラクトース:有効成分の比は、約150:1から約50:1の範囲である。好ましくは、本発明の錠剤の全質量を基にしたラクトースの質量比は約50〜80質量%、好ましくは約55〜75質量%の範囲であるとよい。
また、担体材料が炭水化物類及び乾式バインダー類から選択される医薬製剤も好ましい。
本願明細書前述及び後述の「乾式バインダー」という用語は、異なる成分同士を結合するのに適した賦形剤を指す。本発明による好ましいバインダーは、粉末セルロース、微結晶セルロース、ソルビトール、デンプン、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドンと他のビニル誘導体とのコポリマー(コポビドン)、セルロース誘導体、とりわけメチルヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Methocel E5P)及びこれらの化合物の混合物を含む群から選択される。好ましくは、粉末セルロース、とりわけ微結晶セルロース及び/又はコポビドンをバインダーとして含有させるとよい。最も好ましいのは、微結晶セルロースである。
【0026】
微結晶セルロース、無水ラクトース及びラクトース一水和物によるとりわけ好ましい担体の組合せを用いることにより、優れた機械的安定性を有する錠剤が得られると同時に、有効成分がすばやく放出されバイオアビリティーに優れた錠剤が得られる。
上記乾式バインダーの1種を本発明の組成物に添加する場合は、ラクトース:バインダーの質量比は、好ましくは約5:1〜約1:2、より好ましくは約3:1〜約1:1、さらに約2.5:1〜約1.5:1が特に好ましい。
また、賦形剤が、湿式バインダー、潤滑剤、分解剤、離型剤及び湿潤剤からなる群から選択される医薬調剤も好ましい。
本発明の範囲において前記分解剤とは錠剤分解物質も指す。これは、本発明ではデンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、クロスカルメロースナトリウム塩(セルロースのカルボキシメチルエーテルのナトリウム塩、架橋)、カルボキシメチルセルロース、乾燥トウモロコシデンプン及びそれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい。本発明の範囲においては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、さらに好ましくはクロスカルメロースナトリウム塩の使用が特に好ましい。前記分解剤を使用する場合は、その質量比が本発明の錠剤の全質量に対して約0.5〜10質量%が好ましく、特に好ましくは約1.0〜5.0質量%であるとよい。
本発明の範囲内で使用することができる潤滑剤には、例えば二酸化珪素、タルク、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びトリベヘン酸グリセロールが挙げられる。本発明では、植物性ステアリン酸マグネシウムの使用が好ましい。上記のフロー剤もしくはフロー調整剤又は潤滑剤を使用する場合、その質量比は、本発明の製剤の全質量に対して好ましくは約0.1〜10質量%、さらに好ましくは約0.5〜5質量%、特に好ましくは0.6〜1.0質量%であるとよい。
【0027】
本発明の製剤の好ましい実施形態の1つは錠剤、とりわけフィルムコート錠剤である。
一般に、フィルムコートは、1種以上のフィルム形成剤、1種以上の弾性向上剤(いわゆる可塑剤)、1種以上の離型剤、1種以上の顔料、さらに任意で1種以上の着色剤から本質的になる。
好ましいフィルムコート錠剤は、フィルムコート全質量を基準としてフィルムコートが 35〜65質量%の少なくとも1種のフィルム形成剤、とりわけHPMC、
3.5〜10質量%の少なくとも1種の弾性向上剤、とりわけPEG、
5〜20質量%の少なくとも1種のコーティング、とりわけケイ酸塩、
10〜40質量%の少なくとも1種の顔料、とりわけ二酸化チタン、
0〜10質量%の少なくとも1種の着色剤、とりわけ酸化鉄、から本質的になるものである。
前記請求項の1つによる好ましい医薬製剤は、製剤が下記成分から本質的になることを特徴とする。
(i)2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分、好ましくは式(I)の化合物、とりわけ式(IA)で表わされる化合物、
(ii)炭水化物類及び乾式バインダー類からなる群から選択される担体材料1種以上、好ましくはラクトース及びセルロース、
(iii)セルロース誘導体及び脂肪酸塩からなる群から選択される賦形剤1種以上、好ましくはHMC、架橋CMCナトリウム塩及びステアリン酸マグネシウム、
(iv)1種以上のフィルム形成剤、1種以上の弾性向上剤、1種以上の離型剤、1種以上の顔料、さらに任意で1種以上の着色剤から本質的になるフィルムコート。
【0028】
とりわけ好ましいのはフィルムコート錠剤の医薬製剤であって、以下の成分から本質的になる医薬製剤である。
(i)2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を0.01〜5.00質量%、好ましくは式(I)の有効成分を0.02〜3.00質量%、
(ii)炭水化物類及び乾式バインダー類からなる群から選択される担体材料1種以上を80.00〜95.00質量%、好ましくは、
a.27.5〜32.5質量%の無水ラクトースと
b.27.5〜32.5質量%のラクトース一水和物と
c.25.0〜30.0質量%の微結晶セルロースとを含む担体材料、
(iii)セルロース誘導体及び脂肪酸塩からなる群から選択される賦形剤1種以上を1.00〜10.00質量%、好ましくは、HPC、架橋CMCのナトリウム塩及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される賦形剤1種以上を2.00〜8.00質量%、
(iv)1種以上のフィルム形成剤と1種以上の可塑剤から本質的になるフィルムコートを0〜10.00質量%、HPMC、MHPC、PEG、1種以上のケイ酸塩、二酸化チタン、1種以上の酸化鉄又は数種の顔料、任意であるが1種以上の着色剤とを含むフィルムコートを1.00〜5.00質量%、好ましくはHPMC、MHPC、PEG、1種以上のケイ酸塩、二酸化チタン、1種以上の酸化鉄を含むフィルムコートを1.00〜5.00質量%。
【0029】
本発明の製剤を調製するには、任意であるが湿式バインダーの存在下、有効成分を溶媒に溶解し担体に噴霧するが、とりわけ担体はバインダーとして微粉化無水ラクトース、ラクトース一水和物及び微結晶セルロースであり、噴霧後、混合、篩分けをして乾燥させる。得られた生成物は、異なる担体材料、とりわけ微結晶セルロース及び/又はラクトースや、分解剤、とりわけ架橋CMCナトリウム塩とともに混合してもよく、最後にフロー剤、とりわけステアリン酸マグネシウムと混合してもよい。こうして得られた混合物を好適な錠剤プレス機で圧縮し、本発明の錠剤を製造する。
必要とされる破壊強さ、即ち、所望の分解時間を有する錠剤を作製するのに必要な圧縮力は、使用するパンチングツールの形状や大きさによって異なる。好ましくは、圧縮力は2〜30kNの範囲、とりわけ5〜26kNの範囲が好ましい。圧縮力が高いほど有効成分の放出が遅い錠剤となる可能性がある。圧縮力を下げると、機械的に不安定な錠剤になることがある。錠剤のコア部は様々な形態とすることができるが、丸型、両面凸型及び卵型又は長円形が好ましい。
その後、フィルム形成剤と可塑剤とを含む水溶液を調製し、該水溶液には不溶の離型剤と顔料とを分散させ、得られた懸濁液を錠剤に塗布する。
以下の実施例は本発明の製剤を説明すること目的とする。以下の実施例は一例として実施可能な手順を記載することを単に意図するものであり、その内容に本発明を限定するものではない。
【0030】
実施例1
以下からなるフィルムコート錠剤を調製する。
I.処方
【0031】
【表1】

【0032】
II. 製品の概要
【0033】
【表2】

【0034】
III. 調製
A)錠剤
1バッチ分の最終混合物と錠剤:15000gが62500錠分の錠剤に相当する。
1.造粒用液体
(15)精製水 1120.000g
(14)エタノール96%PAR INT 1680.000g
とを適当な容器に入れる(室温)。
さらに、
(05)ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF Pharm)INT 150.000g
(01)式(IA)のクエン酸塩 99.063g
とを攪拌しながら連続して投入し溶解する。
固形分:249.063g
3049.063g
プロセスデータ:
攪拌器: SPN攪拌器
速度/時間: 約250〜450rpm
【0035】
2.粒状物
(02)ラクトース微粉INT 4963.437g
(03)ラクトース一水和物(Tablettose)INT 4875.000g
及び
(04)微結晶セルロースtype 101INT 4500.000g
を適当なワンポット型造粒機に投入し、均一に混合した後、
前記1の造粒用液体 3049.063g
で湿潤させる。
固形分:249.063g
造粒後、乾燥させる。
14587.500g
プロセスデータ:
インテンシブミキサー: Zanchetta Roto P50
【0036】
【表3】

【0037】
ノズルヘッド:1.1mm
噴霧圧力:約2bar
傾斜角度:100°(乾燥及び冷却工程)
乾燥及び冷却工程中は、ミキサーを断続的に運転するとよい(即ち、1分間混合した後、2分間休止する)。
3.乾式篩分け
適当な選別機を用いて乾燥粒状物を細分する。
プロセスデータ:
選別機: Comil 197S
篩サイズ:RS2007
スペーサリング:DR125
【0038】
4.最終混合物
適当な重力混合機中で、
前記3の乾燥選別した材料 14587.500g
を、
(07)架橋カルボキシメチルセルロースNa塩(Ac-di-Sol)INT 300.000g
と混合した後、0.5mmに予備選別した
(06)植物性ステアリン酸マグネシウムINT 112.500g
を添加して、均一混合する。
15000.000g
プロセスデータ:
重力混合機: Servolift Kubus 60 1
混合速度: 10rpm
回転数: 100U(Ac-di-Sol INT)
30U(MgSt. INT)
5.錠剤
好適なタブレットプレス機で、
前記4の最終混合物 15000.000g
を圧縮して錠剤を形成する。
呼び質量: 240mg
プロセスデータ:
タブレットプレス機: Korsch EK0
ツール(型): 9mm RC13.5、ファセット及びBIロゴ入りの両面凸型
加圧速度: ステージ4
加圧力: 約11〜12kN
【0039】
B)フィルムコート錠剤
1バッチ2640g=錠剤11000錠
1バッチ2695g=フィルムコート錠剤11000錠
6.コーティング用懸濁液/溶液
(15)精製水 261.800g
(08)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E5 Prem)INT 27.500g
(07)Macrogol 6000 INT 2.750g
適当な容器に(15)を投入し、(08)及び(07)を室温で攪拌しながら投入し溶解させる(15分間)。
固形分:30.250g
292.050g
【0040】
7.コーティング用懸濁液/分散液
(15)精製水 112.200g
(10)二酸化チタン INT 13.750g
(11)タルク INT 8.250g
(12)酸化鉄(黄色)17015 INT 1.375g
(13)酸化鉄(赤)17009 INT 1.375g
適当な容器に(15)を投入し、そこに(10)(11)(12)及び(13)をUltra-Turraxを用いて室温で懸濁させ30分間攪拌する。
固形分:24.750g
136.950g
8.コーティング用懸濁液
前記6のコーティング用懸濁液/溶液 292.050g
前記7のコーティング用懸濁液/分散液 136.950g
分散液7を溶液6中に攪拌しながら投入し、5分間攪拌する。
固形分:55.000g
429.000g
【0041】
9.フィルムコーティング
好適なフィルムコーティング装置で
前記5の錠剤コア 2640.000g
を、
前記8のコーティング用懸濁液 429.000g
でコーティングし、質量245mgにする。
固形分:55.000g
2695.000g
実施例2
クエン酸塩状態の式(IA)で表わされる有効成分を水及びエタノールに溶解させた溶液に、ヒドロキシプロピルセルロースを添加せずに、該溶液を担体材料に塗布を行い実施例1と同様にして対応のコートなしの錠剤を調製する。
【0042】
実施例3
I.処方
【0043】
【表4】

【0044】
II. 製品の概要
【0045】
【表5】

【0046】
III. 調製
A)錠剤
1バッチ分の最終混合物と錠剤:18000gが200000錠分の錠剤に相当する。
1.造粒用液体
(15)精製水 664.092g
(14)エタノール96%PAR INT 993.422g
とを適当な容器に入れる(室温)。
さらに、
(04)ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF Pharm)INT 180.000g
(01)式(IA)のクエン酸塩 39.600g
とを攪拌しながら連続して投入し、溶解させる。
固形分:219.600g
1877.114g
プロセスデータ:
攪拌器: SPN攪拌器
速度/時間: 約250〜450rpm
【0047】
2.粒状物
(02)ラクトース微粉INT 6085.400g
(03)ラクトース一水和物(Tablettose)INT 5800.000g
を適当なワンポット型造粒機に投入し、均一に混合した後、
前記1の造粒用液体 1877.114g
で湿潤させる。
固形分:219.600g
造粒後、乾燥させる。
12105.000g
プロセスデータ:
インテンシブミキサー: Zanchetta Roto P50
【0048】
【表6】

【0049】
ノズルヘッド:1.1mm
噴霧圧力:約2bar
傾斜角度:100°(乾燥及び冷却工程)
乾燥及び冷却工程中は、ミキサーを連続的に5rpmで運転するとよい。
3.乾式篩分け
適当な選別機を用いて乾燥粒状物を細分する。
プロセスデータ:
選別機: Comil 197S
篩サイズ:RS2007
スペーサリング:DR125
4.最終混合物
適当な重力混合機中で、
前記3の乾燥選別した材料 12105.000g
を、
(05)微結晶セルロースtype 101 INT 5400.000g
(07)架橋カルボキシメチルセルロースNa塩(Ac-di-Sol)INT 360.000g
と混合した後、0.5mmに予備選別した
(06)植物性ステアリン酸マグネシウムINT 135.000g
を添加して、均一混合する。
18000.000g
プロセスデータ:
重力混合機: Servolift Kubus 60 1
混合速度: 10rpm
回転数: 100U(Ac-di-Sol INT、MCC type 101)
30U(MgSt. INT)
【0050】
5.錠剤
好適なタブレットプレス機で、
前記4の最終混合物 18000.000g
を圧縮して錠剤を形成する。
呼び質量: 90mg
プロセスデータ:
タブレットプレス機: Fette P1200
ツール(型): 6mm RC9、ファセット及びBIロゴ入りの両面凸型
加圧速度: 150.000Tbl/時
加圧力: 約7〜9kN
B)フィルムコート錠剤
1バッチ2640g=錠剤29333錠
1バッチ2713g=フィルムコート錠剤29333錠
6.コーティング用懸濁液/溶液
(15)精製水 384.163g
(08)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E5 Prem)INT 36.666g
(07)Macrogol 6000 INT 3.667g
適当な容器に(15)を投入し、(08)及び(07)を室温で攪拌しながら投入し溶解させる(15分間)。
固形分:40.333g
424.496g
【0051】
7.コーティング用懸濁液/分散液
(15)精製水 164.623g
(10)二酸化チタン INT 18.304g
(11)タルク INT 11.000g
(12)酸化鉄(黄色)17015 INT 1.848g
(13)酸化鉄(赤)17009 INT 1.848g
適当な容器に(15)を投入し、そこに(10)(11)(12)及び(13)をUltra-Turraxを用いて室温で懸濁させ、30分間攪拌する。
固形分:33.000g
197.623g
8.コーティング用懸濁液
前記6のコーティング用懸濁液/溶液 424.496g
前記7のコーティング用懸濁液/分散液 197.623g
分散液7を溶液6中に攪拌しながら投入し、5分間攪拌する。
固形分:73.333g
622.119g
【0052】
9.フィルムコーティング
好適なフィルムコーティング装置で
前記5の錠剤コア 2639.970g
を、
前記8のコーティング用懸濁液 622.119g
でコーティングし、質量92.5mgにする。
固形分:73.333g
2713.303g
実施例4 溶解速度の測定
実施例1及び2の各錠剤を、900mlの人工的に作製したpH1.2の胃液又はpH6.8の腸内細菌叢(0.05Mリン酸塩緩衝液)にそれぞれ攪拌速度50rpm又は75rpmで溶解させる。溶解した式(IA)の化合物の量をHPLCで求める。
時間経過による溶解の進行を図1及び図2に示す。
【0053】
−■− 実施例1(湿式バインダー使用。)
−◆− 実施例2(湿式バインダー不使用。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の固形担体及び/又は賦形剤ならびに2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を含有する固形医薬製剤であって、前記有効成分を含む溶液を少なくとも1種の担体に噴霧することにより得られる医薬製剤。
【請求項2】
1種以上の固形担体及び/又は賦形剤ならびに2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を含有する固形医薬製剤であって、前記医薬製剤が少なくとも1種の湿式バインダーを含むことを特徴とする医薬製剤。
【請求項3】
前記有効成分が式Iで表わされる化合物:
【化1】

(式中、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又は2−ヒドロキシエチルであり、
3はCH2-X-R’を表すか、
XはO、SもしくはNR”(式中、R”は水素又はアルキル)であり、
R’はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルもしくは-CO-アルキルであり、
3はヘテロアリールを表すか、
前記ヘテロアリールは、
アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、
フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、
フェニルフェニル、
ピリジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、
チエニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、又は
ベンジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)でモノ置換もしくは多置換されていてもよく、又は
3は(CH2)nCO211、COR11もしくはCH212を表すか、
前記式中、
11は、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキル、フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、フェニルフェニル、ピリジル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)、チエニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)又はベンジルを表し、
nは0又は1、
12は、O-フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)又はO-CO-フェニル(ハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい)を表し、あるいは、
3はCH=NOR’であり、式中、R’は水素;アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールで、これらは-COOH、-COO-アルキル、-COO-シクロアルキル又はフェニルで置換されていてもよく、前記フェニルはさらにハロ
ゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ及びニトロから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよく、
4は、フェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、ベンジル、ナフチル又はヘテロアリールで、これらはハロゲン、CF3、CN、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ及びヘテロアリールから選択される置換基でモノ置換もしくは多置換されていてもよい。)
あるいは、その医薬的に許容される酸付加塩又はN−酸化物であることを特徴とする、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記有効成分が、式(II)の化合物:
【化2】

(式中、
1が水素原子又はC1-6 アルキル基を表し、
2がハロゲン原子、CF3又はシアノ基を表し、
3が水素原子、C1-6 アルキル基又はC3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキル基を表し、 mが0又は1〜3の整数を示す。)
あるいはその互変異生体、医薬的に許容される塩、溶媒和物又は生理的に機能的な誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記有効成分が、式(IA)で表わされる化合物:
【化3】

又はその医薬的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記有効成分を含む溶液を噴霧することにより得られ、溶媒が水とアルコールを含み、さらに湿式バインダーを含んでいてもよい、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記湿式バインダーが、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記有効成分を噴霧したときに、前記有効成分が前記担体材料上に主に結晶状態で析出していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記担体材料が、炭水化物類及び乾式バインダー類からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記担体材料がラクトース及びセルロースから本質的になることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記担体材料が、無水ラクトース、ラクトース一水和物及び微結晶セルロースから本質的になることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記賦形剤が、湿式バインダー、潤滑剤、分解剤、離型剤及び湿潤剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記賦形剤が、セルロース誘導体及び脂肪酸塩から本質的になることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記賦形剤が、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(クロスカルメロース)及びステアリン酸マグネシウムから本質的になることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記医薬製剤がフィルムコート錠剤であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記フィルムコートが、1種以上のフィルム形成剤、1種以上の弾性向上剤、1種以上の離型剤、1種以上の顔料、さらに任意で1種以上の着色剤から本質的になることを特徴とする、請求項15記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記フィルムコートが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、ポリエチレングリコール(PEG)、1種以上のケイ酸塩、二酸化チタン及び1種以上の酸化鉄を含むことを特徴とする、請求項15又は16記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記医薬製剤が、下記成分:
(i)2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分、
(ii)炭水化物類及び乾式バインダー類からなる群から選択される担体材料1種以上、
(iii)セルロース誘導体及び脂肪酸塩からなる群から選択される賦形剤1種以上、
(iv)1種以上のフィルム形成剤、1種以上の弾性向上剤、1種以上の顔料、さらに任意で1種以上の着色剤から実質的になるフィルムコート、から本質的になることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記医薬製剤が、下記成分:
(i)2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を0.01〜5.00質量%、
(ii)炭水化物類及び乾式バインダー類からなる群から選択される担体材料1種以上を80.00〜95.00質量%、
(iii)セルロース誘導体及び脂肪酸塩からなる群から選択される賦形剤1種以上を1.00〜10.00質量%、
(iv)1種以上のフィルム形成剤、1種以上の弾性向上剤、1種以上の顔料、さらに任意で1種以上の着色剤から実質的になるフィルムコートを0〜10.00質量%、から本質的になることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記医薬製剤が、下記成分:
(i)式(I)の有効成分を0.02〜3.00質量%、
(ii)d.27.5〜32.5質量%の無水ラクトースと
e.27.5〜32.5質量%のラクトース一水和物と
f.25.0〜30.0質量%の微結晶セルロースとを含む担体材料、
(iii)HPC、CMC及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される賦形剤1種以上を2.00〜8.00質量%、
(iv)HPMC、PEG、1種以上のケイ酸塩、二酸化チタン及び1種以上の酸化鉄を含むフィルムコートを1.00〜5.00質量%、から本質的になることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記請求項1〜20のいずれか1項記載の医薬製剤の製造方法であって、
(a)2,3−ジ置換トロパン構造を有するモノアミン神経伝達物質再摂取阻害剤の群から選択される有効成分を、任意で賦形剤の存在下、適当な溶媒に溶解し、
(b)得られた溶液を1種以上の固形担体に噴霧し、
(c)さらに他の担体及び賦形剤を添加してもよく、
(d)得られた混合物を成形し、さらに圧縮してもよく、
(e)好適なフィルムコートを施してもよいことを特徴とする製造方法。
【請求項22】
うつ病、あらゆるタイプの痴呆症、パーキンソン病又は肥満からなる群から選択される中枢神経系疾患もしくは障害の治療又は予防のための医薬組成物を製造するための、前記請求項1〜20のいずれか1項記載の医薬製剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−68690(P2011−68690A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224(P2011−224)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【分割の表示】特願2006−540249(P2006−540249)の分割
【原出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】