説明

固形燃料及びその製造方法

【課題】有機性廃棄物を原料として容易に得られる新たな固形燃料を提供し、また、その固形燃料を短期間でかつ比較的容易に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】固形燃料は、加圧下で混練した有機性廃棄物を空気の供給下で発酵させて得られた残留固形分からなるものである。固形燃料の製造方法は、有機性廃棄物を加圧混練機で混練する前処理を行う前処理工程と、前処理工程で前処理された材料を断熱発酵槽において空気を供給しつつ攪拌しながら発酵させる発酵処理工程と、発酵処理工程で発酵する発酵物を回転羽根に落下させて空中に飛散させることで粉砕する粉砕工程とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定燃料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、下水汚泥、廃棄プラスチック、おが屑等の有機性廃棄物を有効に活用する試みとして、その有機性廃棄物を原料とした固形燃料を製造する試みが行われ始めている。その試みとしては、以下に例示するものが知られている。
【0003】
例えば、有機廃棄物を脱臭乾燥した低熱量成分と、廃プラスチックからなる高熱量つなぎ成分と、木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分とを含み、これらを混合後圧縮成形して固形化してなり、水分量が15%以下の条件下で熱量が5000〜6500kcal/kgに調整された、有機廃棄物を用いた固形燃料である(特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、この固形燃料の製造方法として、水分量が多い有機廃棄物に、水分量の少ない木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分を混合して減圧発酵に適する水分量を有する混合物を調整する工程と、その混合物を、減圧下で発酵脱臭する工程と減圧下で加熱乾燥する工程に付して混合物を脱臭乾燥する工程と、脱臭乾燥後の混合物に廃棄プラスチックからなる高熱量つなぎ成分を添加して総熱量を調整し、これらの材料を混練、圧縮及び成形する工程とを含む製造方法等も示されている。
【0005】
また、含有水分が80〜90%である下水汚泥に、容積比が20%以上の木質系チップを混和することにより、光合成菌・法線菌・酵母菌・納豆菌等の活性を促して発酵熱を得る下水汚泥の乾燥法と、その発酵熱で乾燥させた汚泥を石油等の燃料に代えてボイラー等の燃料に利用することが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−195910号公報
【特許文献2】特開2009−248077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、有機性廃棄物を原料として容易に得られる新たな固形燃料を提供するとともに、その固形燃料を短期間でかつ比較的容易に製造することができる製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明(A1)の固形燃料は、加圧下で混練した有機性廃棄物を空気の供給下で発酵させて得られた残留固形分からなるものである。
【0009】
この発明(A2)の固形燃料は、上記発明A1の固形燃料において、前記残留固形分の水分含量が30%以下であるものである。
【0010】
この発明(B1)の固形燃料の製造方法は、有機性廃棄物を加圧混練機で混練する前処理を行う前処理工程と、前記前処理工程で前処理された材料を断熱発酵槽において空気を供給しつつ攪拌しながら発酵させる発酵処理工程と、前記発酵処理工程で発酵する発酵物を回転羽根に落下させて空中に飛散させることで粉砕する粉砕工程とを有するものである。
【0011】
この発明(B2)の固形燃料の製造方法は、上記発明B1の製造方法において、前記発酵処理工程において断熱発酵槽内の発酵物に水を散布するものである。
【0012】
この発明(B3)の固形燃料の製造方法は、上記発明B1又はB2の製造方法において、前記粉砕工程で得られる粉砕物の一部を前記前処理工程に戻して前記有機性廃棄物と混合するものである。
【0013】
この発明(B4)の固形燃料の製造方法は、上記発明B1〜B3のいずれかの製造方法において、前記粉砕工程で得られる粉砕物を送風して乾燥させる乾燥工程を追加するものである。
【発明の効果】
【0014】
上記発明A1の固形燃料によれば、有機性廃棄物を原料として容易に得られる新たな固形燃料が提供でき、有機性廃棄物の有効活用が可能になる。
【0015】
上記発明A2の固形燃料によれば、水分含量が30%以下という少ない割合に抑えられているので、燃焼性が良好であって保管安定性に優れた固形燃料になる。
【0016】
上記発明B1の製造方法によれば、有機性廃棄物を原料とした固形燃料を短期間でかつ比較的容易に製造することができる。
【0017】
上記発明B2の製造方法によれば、水の散布により、発酵が促進されるとともに発酵が十分になされ、保管安定性に優れた固形燃料を得ることができる。
【0018】
上記発明B3の製造方法によれば、前処理工程に戻される粉砕物の一部により、前処理工程で混練される有機性廃棄物の発酵が開始されやすくなるとともにその水分含量が低下しやすくなり、固形燃料の短期間の製造がより可能になる。
【0019】
上記発明B4の製造方法によれば、乾燥工程が追加されることにより、水分含量が30%以下の固形燃料が迅速かつ確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る固形燃料の製造方法を示す概略工程図である。
【図2】図1の製造方法に使用する製造システムの概略構成図である。
【図3】図2の製造システムにおける加圧混練装置の構成を示す一部断面説明図である。
【図4】実験における測定データを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
この実施の形態に係る固形燃料は、有機性廃棄物を原料として得る燃料であり、以下のようにして製造される。
【0023】
すなわち、固形燃料は、図1に示すように、基本的に、有機性廃棄物を加圧混練機で混練する前処理を行い(前処理工程)、しかる後、その前処理された材料を断熱発酵槽において空気を供給しつつ攪拌しながら発酵させる(発酵処理工程)とともに、その発酵する発酵物を回転羽根に落下させて空中に飛散させることで粉砕する(粉砕工程)ことにより、その粉砕物(残留固形分)として得られる。
【0024】
この実施の形態では、発酵物を粉砕する粉砕工程で得られる粉砕物の一部を前処理工程に戻して有機性廃棄物と混合する工程を付加している。この粉砕物の一部を戻す工程を入れることにより、原料としての有機性廃棄物の発酵を更に促進させたり、その有機性廃棄物の水分調整を行うことができる。
【0025】
有機性廃棄物としては、原則的に発酵させることが可能な廃棄物であれば適用することができる。具体的には、主に下水汚泥や食品余剰汚泥が使用されるが、この他にも、例えば生ゴミ、造園廃棄物、一般家畜糞、廃棄プラスチック等が使用される。有機性廃棄物には、好気性の発酵を促進するため好気性微生物を添加したり、あるいは、水分量を調整する水分調整材を添加することも可能である。しかし、この実施の形態では、前記した発酵物を粉砕した粉砕物の一部を好気性発酵の促進材や水分調整材として利用しており、これにより好気性微生物や水分調整材等の調整材(副資材)を別途用意して使用する必要がないようにしている。この戻し材を採用しない場合は、必要に応じて調整材を適用することができる。有機性廃棄物の水分含量(含水率)については、前処理工程に投下する前の段階において、例えば70%以下になるよう調整することが好ましい。
【0026】
前処理工程では、有機性廃棄物を、加圧混練機によって破砕しながら十分に混合させるとともに、加圧下での混練で発生する摩擦等により20〜40℃の温度まで上昇させる。このような前処理を行うことにより、有機性廃棄物に内在する内在微生物を物理的な刺激の付与や温度の上昇により活性化させて原料の細部まで達しやすくなる環境を作り出し、その結果、有機性廃棄物を発酵しやすい状態にすることができる。
【0027】
発酵処理工程では、前処理された材料を、断熱性の構造に造られた発酵槽において均一な空気供給(送気)を行いつつ攪拌も行って発酵させる。この発酵処理工程では、有機性廃棄物が前処理工程で発酵しやすい状態になっているため、その発酵が効率よく開始される。また、発酵槽においては、材料が供給される空気と接触することでその発酵の促進が図れるとともに、攪拌によっても団塊が細分化されて空気と接触するようになってその発酵が促進される。この発酵が活発になり、しかも持続した場合には、発酵した材料(発酵物)の水分含量が低下するようになる。
【0028】
粉砕工程は、発酵する発酵物を回転羽根に落下させて空中に飛散させることで粉砕する作業が行われるが、この場合、発酵槽に堆積する発酵物を回転羽根によりも少し上方の位置まで掻き揚げるように搬送した後、その回転羽根に向けて落下させるように構成することで実施できる。この粉砕工程では、発酵物が回転羽根により空中に飛散するように処理されることにより、発酵物がさらに細かく砕かれて空気と更に多く触れることになるので好気的発酵が促進され、発酵の熟成が進む。このような効果は、ロータリー式の攪拌機を用いた攪拌作業では得られにくい。
【0029】
以上の各工程を経て最終的に粉砕工程で得られる粉砕物(残留固形分)が固形燃料となる。このときの粉砕物の一部は、前述したように戻し材として前処理工程に戻される。発酵処理時間は、例えば、前処理した材料を発酵槽4に投入したときから少なくとも10日の経過時間(経過日数)が好ましい。
【0030】
固形燃料として収集される粉砕物は、その水分含量が30%以下であることが好ましい。このときの粉砕物の水分含量が30%を超える場合には、例えば、図2に二点鎖線で示すように、その粉砕物を送風して乾燥させる作業(乾燥工程)を行い、その水分含量を所望の値に調整することができる。この水分含量の値が30%以下の小さい値になればなるほど、固形燃料の燃料効率が高くなり、また、より安定した保管が可能になる。
【0031】
このような固形燃料を製造するための製造システムとしては、例えば図2に概念的に示すようなシステム(製造プラント)を適用している。図2において符号1は固形材料、2は原料受入装置、3は加圧混練装置、4は発酵槽、5は送風装置、6は攪拌粉砕装置、7は戻し搬送装置をそれぞれ示す。
【0032】
このうち原料受入装置2は、有機性廃棄物を投入する原料投入部21と、原料投入部21から受け入れた有機性廃棄物を搬送するベルト搬送装置22とで構成されている。また、ベルト搬送装置22の原料投入部21よりも搬送方向下流側には、粉砕物の一部(戻し材)を投入する戻し材投入部23が設けられている。ベルト搬送装置22は、図2に点線矢印で示すように、投入された原料を加圧混練装置3の後述する材料投入部まで搬送した後にその投入部に向けて投入する。戻し材投入部23に投入された粉砕物の一部は、ベルト搬送装置21で搬送される有機性廃棄物と混合された状態で搬送される。
【0033】
加圧混練装置3は、有機性廃棄物を実際に加圧混練して前処理工程を実施する本体部31と、原料受入装置1から搬送される有機性廃棄物(戻し材を含むこともある)が投入される材料投入部32とで構成されている。
【0034】
本体部31は、図3に示すように、混練作業をする筒状の内部空間33内に、図示しないモータで回転する混練材35が回転自在に支持された状態で配置されている。混練材35は、材料投入部32の下方の位置(投入側の位置)から材料排出口34の上方の位置(排出側の位置)に存在するように配置された回転軸36を有し、その回転軸36の投入側の位置となる領域に螺旋状に延びるスクリュー37を設け、その残りの領域に板状の混練突起38を設けたものである。混練突起38は、材料をその送り方向に移動させるように傾いた状態には位置されている。回転軸36については、その挿入側の位置となる領域の小径部36aと、その小径部36aの終端部から材料の送り方向(矢印A)にむけて径が次第に太くなる径拡大部36bと、その径拡大部36bの終端部から排出側の位置となるまでの領域の大径部36cを有する形状で形成されている。大径部36cの末端部には、混練した材料を材料排出部34の側に戻すための戻し羽根39が設けられている。
【0035】
混練材35として径の異なる回転軸36を使用することにより、その径拡大部36bから大径部36cに移動するにつれて空間33の内壁との間の空間(隙間)が次第に狭くなり、材料が狭い空間を強制的に送られることで加圧された状態になる。また、この混練材35は、2本の混練材35を軸方向に沿って平行に並べ、その各混練突起38どうしが接近して通過し合う状態になるように配置されている。
【0036】
この加圧混練装置3では、前処理された有機性廃棄物が材料投入部32から投入されると、本体部31の内部空間33内において混練材35のスクリュー37によって混ぜ合わせながら押された状態で排出側の位置にむけて搬送(圧送)された後、混練突起38によって加圧されながら混練される。特に、混練突起38を通過する際には、材料が徐々に加圧されながら激しく練られて摩擦し合う状態になるので、混練されている材料の温度が上昇する。加圧混練された材料30は、材料排出口34から排出された後、発酵槽4に向けて搬送される。
【0037】
発酵槽4は、上面が開口し、周囲と底面が断熱性を有する壁材41と床材42で囲まれた容器形状の構造物である。発酵槽4は、通常、換気が可能な建物内(屋内)に設置される。加圧混練装置3と発酵槽4の間には、加圧混練装置3から排出される加圧混練後の材料30を発酵槽4まで搬送して投入するためのベルト搬送装置45が配置されている。ベルト搬送装置45は、搬送する材料30の発酵槽4への投入(落下)位置を適宜変更できるように移動する仕組みになっている。
【0038】
発酵槽4では、加圧混練後の材料30がベルト搬送装置45で搬送されて発酵槽4の内部空間に落下させられるように投入されて堆積した状態になる。また、発酵槽4内に収容された加圧混練後の材料30は、前処理によって発酵しやすい状態になっているためすぐに発酵し始め、徐々に発酵した状態の材料である発酵物40になっていく。
【0039】
送風装置5は、送風機51と、送風機51から送り出される空気を発酵槽4の底部まで運んだ後に発酵槽4内に存在する材料にむけて吹き出す送風配管52とで構成されている。発酵槽4は、例えば、材料を載せる底面部に不織布層43が形成されており、これにより送風装置5から供給される空気が不織布層43を通して材料に均一に分散されるようになっている。図2において送風配管52から立ち上がるように描かれている複数の波線は、送風装置5から供給される空気の状態を模式的に示すものである。
【0040】
攪拌粉砕装置6は、発酵槽4の上部において、少なくとも図2に両矢印で示す方向に移動するよう設置された移動台車61に、攪拌機62と粉砕機65が取り付けられている。攪拌機62は、掻き上げブレード63が形成された回転ベルト64にて構成されている。回転ベルト64は、その一端部が発酵槽4の底面部に接近した状態になるまで下降する一方で、上方に上昇移動するように形成されている。粉砕機65は、回転ベルト64の上位側に位置する他端部の近傍に配置されており、矢印方向に回転する回転軸と、その回転軸に対して放射状に突出した状態で取り付けられる複数枚の粉砕羽根で構成されている。移動台車61は、攪拌機62の作業幅が発酵槽4の幅に比べて狭い寸法である場合には、発酵槽4の幅方向(上記両矢印方向と直交する方向)に移動できるように構成してもよい。
【0041】
発酵槽4では、加圧混練後の材料30が送風装置5からの空気の供給を受けつつ発酵し始めて経時的に発酵物40になっていくとともに凝集して固まりの状態になっていくが、その発酵物40が攪拌粉砕装置6の攪拌機62における掻き上げブレード63によって掬い取られるようにして掻き上げられて場所を移動させられることで攪拌される。また、攪拌機62によって掻き上げられた発酵物40は、その上位側の端部で攪拌粉砕装置6の粉砕機65に向けて落下して回転する粉砕羽根によって空中に飛ばされた状態になり、これにより粉砕される。符合60は飛散中の粉砕物を示す。さらに、発酵槽4に存在する発酵物40は、攪拌粉砕装置6の攪拌機62と粉砕機65が加圧混練装置3に接近する方向に移動しながら作動することにより、発酵槽4の後方部に粉砕された状態で移動させられた状態になる。
【0042】
粉砕物60は、発酵槽4の底面部に落下して堆積した状態でも送風装置5からの空気の供給を受けつつ発酵が持続する。この堆積した粉砕物60の一部は、戻し搬送装置7によって原料受入装置2の戻し材投入部23まで送られて投入される。戻し搬送装置7は、図示しない採取装置と搬送装置とで構成される。粉砕物60の水分含量が所望の値よりも高い場合は、送風装置5からの空気の供給量を増加して送風乾燥することができる。また、このような乾燥は、発酵槽4から取り出した後に他の場所で送風乾燥させるように対処してもよい。
【0043】
一方、発酵槽4に堆積して所要の発酵を終えた残留固形分からなる粉砕物60は、固形燃料1として発酵槽4から取り出される。図2中の符号10は、固形燃料1の収容器である。このようにして得られる固形燃料1は、数ミリ程度の外径からなる粒状のものであった。
【0044】
図4は、この製造システムを用いて行った実験例での測定データを示す。図4に示す測定データは、発酵槽4に投入された材料の発酵温度及び水分含量を測定したものである。
【0045】
このときの実験は、有機性廃棄物として下水汚泥及び食品余剰汚泥を使用した。この汚泥の前処理工程前における水分含量は75〜83%程度であった。また、その汚泥のPhは5.3〜6.6程度の範囲であり、配分は12〜24%程度であった。また、このときの汚泥は、前処理工程で加圧混練装置3により加圧混練をした時点で、その水分含量が50%前後になった。実験は、この前処理した汚泥を発酵槽4に投入し、その投入日から10日経過するまでの汚泥(発酵物40及び粉砕物60に変化したものを含む)の発酵温度及び水分含量を2〜4時間単位で測定し、それを集計した。
【0046】
図4に示されるように、発酵温度については、発酵槽4に投入して8時間後に60〜70℃の温度に上昇し、それが2〜3日継続した後に徐々に低下し、9日になる頃に30℃の温度に落ち着いた。また、水分含量については、発酵槽4への投入時には50%前後であったものが発酵が進むにつれて徐々に低下し、4〜5日後に35〜37%になった。
【0047】
また、この実験では、3日目に発酵槽4の上部から発酵物40の堆積面に散水した。このときの散水は、発酵物40の堆積表面から30cmの深さに至る部分までが湿潤する程度に行った。この散水した後の発酵温度及び水分含量について同様に測定した。このときの結果について図4に点線で併せて示す。
【0048】
この散水(水分の散布)をした場合は、低下し始めていた汚泥の発酵温度が60〜65℃の温度に上昇した。これは、発酵が促進されたことによるものと推測される。また、水分含量については、9日目には、散水しない場合と同様に30%前後まで低下することが判明した。
【0049】
そして、この実験例で得られた固形燃料1は、その発熱量(JIS Z7302−2)が3300kcal/kgであった。このため、この固形燃料1は、各種燃料として使用することが可能であり、例えば、ボイラー燃料(石炭など)の補助燃料として混合して使用することができる。これにより、この固形燃料1は、化石燃料と混合して使用することが可能であり、この他にも、用途によっては化石燃料の代替品として使用することも可能になる。
【符号の説明】
【0050】
1 …固形燃料
3 …加圧混練装置(加圧混練機)
4 …発酵槽(断熱性発酵槽)
5 …送風装置(空気を供給する手段)
65…粉砕機(回転羽根)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下で混練した有機性廃棄物を空気の供給下で発酵させて得られた残留固形分からなることを特徴とする固形燃料。
【請求項2】
前記残留固形分の水分含量が30%以下である請求項1に記載の固形燃料。
【請求項3】
有機性廃棄物を加圧混練機で混練する前処理を行う前処理工程と、
前記前処理工程で前処理された材料を断熱発酵槽において空気を供給しつつ攪拌しながら発酵させる発酵処理工程と、
前記発酵処理工程で発酵する発酵物を回転羽根に落下させて空中に飛散させることで粉砕する粉砕工程と
を有する固定燃料の製造方法。
【請求項4】
前記発酵処理工程において断熱発酵槽内の発酵物に水を散布する請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記粉砕工程で得られる粉砕物の一部を前記前処理工程に戻して前記有機性廃棄物と混合する請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記粉砕工程で得られる粉砕物を送風して乾燥させる乾燥工程を追加する請求項3乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−1667(P2012−1667A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139529(P2010−139529)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(501436746)株式会社エス・サイエンス (7)
【Fターム(参考)】