説明

土壌中にピアを建造する方法及びピア構造物

土壌基盤にピアを形成するための装置及び関連方法は、グラウト等のピア形成材料の排出を容易にするように構成される土壌貫通ボトムヘッド部材に接続されかつこれに隣接する制限拡張部分を備えた中空チューブを含む。膨張可能な嚢又は膨張可能な機械的装置の形態である膨張装置は、限られた拡張部分の長さ方向の部分に沿って位置決めされる。中空チューブ構造物は、膨張装置が収縮した状態で土壌基盤内に挿入される。その後、膨張装置は膨張し、土壌基盤の形成された空洞を拡大する。次いで、膨張装置が後退するか又はしぼむ時にかつ中空チューブ構造物が徐々に上昇されて1つ又はそれ以上の独特の形状のリフトを備えたピアを形成する時に、グラウト又は他のピア形成材料が空洞内に注入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
主要な態様において、本発明は、構造物を支持する目的で、様々な種類の土壌中にピアを形成するための方法及び装置に関する。この装置は、一定形状のボトムヘッド部材を備えた細長い中空チューブ構造物と、ヘッド部材に隣接する中空チューブ部材の部分の側方向膨張のための機構と、を具備する。
【0002】
参照によりここに組み込まれる米国特許第5,249,892号には、現場で短い骨材ピアを製造する方法及び装置が開示されている。その方法は、通常はドリルで孔を開けて土壌に空洞を形成するステップと、次いで、突き固められた骨材材料の連続層を空洞内に導いて、構造物を支持するピアを形成するステップと、を含む。骨材の層又はリフトは、タンピング装置によってピア形成工程中に突き固められ、典型的に1〜3フィートの直径と同様の寸法の鉛直方向の高さを有する。
【0003】
参照によりここに組み込まれる米国特許第6,354,768号には、土壌の剛性を改良して、構造物を支持するための別の方法及び装置が開示されている。この方法は、嚢(bladder:袋)等の膨張可能な部材の土壌に配置し、その後、これにグラウトをポンプ注入して隣接する土壌を突き固めることによって嚢を膨張する。土壌中のケーシングから供給されたグラウト又は他の材料で満たされた膨張可能な部材は、ピアとして作用する。
【0004】
参照によりここに組み込まれる米国特許第6,425,713号には、支持ピアを設置するためのさらに別の方法及び装置が開示されている。この特許は概して、土壌中に中空ケーシングを配置するステップと、次いで、ドリルによってケーシングから材料を除去するステップと、を含む。次いで、骨材がケーシング内に配置され、ケーシングを操作して、骨材を突き固めて支持ピアを形成する。
【0005】
前述の方法及び装置のすべては、ピアの形成に有用であるとみなされる一方、粘土土壌を含む複数の種類の土壌でピアを即座に効果的に建造するのを可能にする方法を提供する必要性がある。
【0006】
発明の概要
簡単には、本発明は、建物の基礎又は道路等の構造物を支持する目的で、柔らかい粘土から固い粘土等の土壌に支持ピアを形成するための方法及び装置を含む。この装置は、一定形状の端又はボトムヘッド部材が形成される細長い中空チューブ構造物を具備する。中空チューブ構造物は、一定形状のボトムヘッド部材に隣接して及びその上に排出するために、グラウト又は他のピア形成材料を担持するように設計される。膨張可能な部材機構は、ボトムヘッド部材近傍に中空チューブ構造物の部分に沿って設けられる。膨張可能な部材機構は、一定形状のボトムヘッド部材の上で中空チューブ構造物の少なくとも一部をほぼ取り囲み、中空チューブ構造物が土壌基盤内に配置されるか駆動されるか又は強制されるまで、展開していない状態で維持される。第1の実施形態において、この膨張可能な部材機構は、膨らませることができる嚢である。第2の実施形態において、この膨張可能な部材機構は、機械的な膨張装置である。機械的な膨張装置は、取り囲む土壌基盤を突き固めるために中空チューブ構造物から外向きに押されるプレートから構成されてもよい。
【0007】
従って、使用の際、中空チューブ構造物は、先ず粘土等の土壌内に押し込まれるが、土壌にドリル開けして予め形成された穴内に配置されてもよい。ボトムヘッド部材は、土壌基盤内に挿入するための先端として作用する。膨張可能な部材機構は、膨張可能な嚢であれ機械的な膨張装置であれ、マニホールドに接続され、それを通って気体又は液体が注入されてもよく、土壌内に挿入された後に中空チューブ構造物の側部から外向きに膨張可能な部材機構を膨張させる。別の実施形態においては、機械的な駆動を使用して、膨張可能な部材機構を膨張させ収縮させる。膨張可能な部材機構の膨張は、一定形状のボトムヘッド部材を備えた中空チューブを土壌基盤内に押し込むことによって生じた土壌基盤内に、最初に形成された空洞の側方向拡大を生じさせる。空洞の側方向拡大を生じさせることに加えて、空洞に形成されたピア部材をその後に拡大することを可能にするために、膨張可能な部材機構の膨張は、隣接する土壌基盤を突き固めさせ、隣接する土壌基盤に側方向応力を与える。次いで、膨張可能な部材機構の膨張は、その展開していない状態に戻される。次いで、グラウト及び/又は他のピア形成材料は、中空チューブ構造物を通ってポンプ注入され、膨張した機構が収縮する時に膨張可能な部材機構によって形成された空洞内に浸透する。中空チューブ構造物を通って供給するグラウトの源への接続が設けられる。中空チューブ構造物は次に、グラウト又は他のピア形成材料がその構造物によって空にされた空洞内に排出される際に、通常は中空チューブ構造物を上昇させることによって土壌基盤内で再位置決めされる。
【0008】
中空チューブ構造物を通って供給されるグラウトは通常はセメント質グラウトであり、主要成分は、セメント、水、砂、及び、任意の添加剤、例えばフライアッシュ、又は、形成されたピアの限度容量又は技術特徴を改良するために使用することができる他の添加剤である。これらの材料の組み合わせもまた、この方法で使用することができる。
【0009】
膨張可能な部材機構を備えた中空チューブ構造物は、典型的に、先端の、一定形状のボトムヘッド部材を有する中空チューブ構造物を、加えられた垂直又は軸方向の静止力でかつ任意に、付随する動的力ベクトルで、土壌に押し込み振動させることによって、土壌基盤に位置決めされる。土壌の固い層又は密な層に遭遇した場合には、その固い層又は密な層は、層を予めドリル開けすることによって貫通させてもよく、空洞又は通路を形成し、それを通って、膨張可能な部材機構を備えた中空チューブ構造物が方向づけしてもよい。一定形状のボトムヘッド部材先端を備えた中空チューブ構造物を押し込み振動させることによって変位される土壌は、全体として変位され、前から存在する土壌基盤内に側方向に突き固められる。膨張可能な部材機構を備えた中空チューブ構造物は、予めドリル開けされた穴に装置を下降することによって土壌基盤に位置決めされてもよい。
【0010】
中空チューブ構造物は典型的に一定直径のチューブから作られ、一定形状のボトムヘッド部材先端に又はその近傍に内部弁機構を備えた球根状のボトムヘッド部材を含んでもよい。中空チューブ構造物は、このようにして、一定の均一な外径を有する略円筒形である。ボトムヘッド部材より上でかつこれに隣接して中空チューブ構造物に接続するのは、膨張可能な部材機構を具備する膨張部分である。
【0011】
球根状のボトムヘッド部材もまた略円筒形であり、膨張可能な部材機構を備えた中空チューブよりも大きな外径を有する。ボトムヘッド部材もまた典型的に、ヘッド部材に隣接する中空チューブ部分と同心である。ヘッド部材はまた、例えば下部先端に円錐形状を有することによって、土壌貫通を容易にするように構成されてもよい。
【0012】
装置は、形成されたピア内にアップリフトアンカ部材を位置決めするための手段、又は、荷重中に、例えば荷重検査中に、形成されたピアの底部の運動を測定するために検出機構を含んでもよい。そのような補助的な特徴は、ピアを形成する時にかつセメント質グラウト又は他のピア形成材料を設定する前に、形成されたピア内に導入される。
【0013】
従って、本発明の目的は、特別に設計された膨張可能な部材機構を1つの部分に有する中空チューブと、補強された取り囲む土壌基盤により大きくかつより強いピアを形成するために使用されてもよい特殊に形状づけられたボトムヘッド部材と、を備えた特殊な中空チューブ構造物装置を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、地表下の展開されたピア、特に、粘土、砂及び沈泥を含む弱い土壌に形成された地表下のピアを形成するための改良された方法及び装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、建物、基礎、土手、擁壁、貯蔵タンク等を支持するために地表下の展開されたピアを形成するための改良された方法及び装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、突き固められかつ側方向に応力をかけられた隣接する土壌の部分によって取り囲まれるグラウト又は他のピア形成材料の増加部分から構成される独特に作られた地表下の展開されたピアを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、フライアッシュ、消石灰又は生石灰を含む複数の添加剤、及び、マトリクス土壌及び形成されたピアの工学的性質を改良する他の添加剤を含んでもよいグラウトの展開されたピアを形成するための改良された方法及び装置を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、多くの種類の土壌で役に立つことができ、かつ、先行技術の建造方法よりも深い深さでかつより速い速度でピアを形成することができる展開されたピアを建造する方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、速く効率的な方法で地盤線より下で土壌を変位し補強するための機構、方法及び装置を提供することであり、機器は、簡略な設計を有し、使用可能なまま維持され、容易に維持することが可能である。従って、装置のコストは低く、一方、装置の効率及び操作性は有意に高い。
【0020】
本発明のこれらの及び他の目的、利点、利益及び特徴は、下記の説明に述べられる。
【0021】
下記の詳細な説明において、下記の図から構成される図面が参照される。
【0022】
好ましい実施の形態の説明
図面、特に図1を参照すると、本発明の装置は、第1の好適な実施形態において、中空チューブ構造物38を具備し、これは細長く典型的には円筒形の均一な直径のパイプ38Aであり、拡張部分20と、その下部端に隣接ボトムヘッド部材22と、上部端にマンドレル接続部材39とを有する。中空チューブ構造物38は、排出開口又は通路24がボトムヘッド部材22の頂部に又はその近傍に設けられるように、ボトムヘッド部材22に取り付けられる。ボトムヘッド部材22の直径は、そのもっとも広い拡張部で、中空チューブ構造物38の、及び拡張部分20の外側表面に取り付けられた嚢26の最大直径を超えることが好ましい。これによって構造物38は、土壌基盤内に駆動されることが可能になり、それによってボトムヘッド部材22は、保護通路を提供するか又は土壌28に空洞を形成し、それは後述のように嚢26を不必要に摩耗したり引き裂いたりすることなく、又は他の方法で装置を損傷することなく、取り付けられた嚢26を含む中空チューブ構造物の拡張部分20が下方に動くことを可能にする。
【0023】
嚢26はその対向する端30、32で拡張部分20の外側表面に取り付けられ、膨らませることができる。嚢26は、嚢26の内部への流体ライン35用に、マニホールド又は接続34を含み、そのため嚢26は、嚢入口36を経由して、加圧された空気、気体又は流体によって膨らまされてもよい。嚢26は、弾性のある滑らかな表面材料であってもよい。あるいは嚢26は、ひだのある伸張できる繊維から作られてもよい。従って、様々な任意の嚢26の設計が可能である。粘土型土壌で嚢26を膨らませるための圧力の最適な範囲は、1平方インチ当たり50ポンドから1平方インチ当たり200ポンドまでの範囲である。嚢26の材料は、そのような加圧によっても裂けることがないものでなければならない。
【0024】
嚢26を膨らませるために使用される材料は、例えば植物油等の流体材料であってもよく、これは、万一、嚢26が破損したり裂けたり劣化したりした場合に、環境に悪影響を与えない。関与する特定の環境に依存して、油圧オイル、気体又は他の材料が使用されてもよい。
【0025】
中空チューブ構造物又はチューブ38は、グラウト又は他の土壌改良又はピア形成材料が、嚢26がまわりに形成されるチューブ38の拡張部分20を含むチューブ38を通って流れ、ボトムヘッド部材22に隣接するか又はそれに組み込まれるグラウト排出開口24を通って最終的に排出するように通路を提供する。
【0026】
中空チューブ構造物38は、チューブ38を下方に土壌28内に駆動するために、クレーン又はパイル型機械又はデリック等の装置47へ接続するために、その上端にマンドレル機構又はヨーク39を含む。従って、上端は、ヨーク構造物39又は何らかの他の構造物を含んでもよく、これは、駆動及び後退機構47へ接続するのを可能にする。
【0027】
図2〜6は、第1の実施形態を使用する方法を例示する。初めに、中空チューブ構造物38は、嚢26が膨らんでいない状態で、下方に土壌28に押し込められる。これは、図2に例示される。中空チューブ構造物38は、形成されているピアの底部に相当する土壌に最下部又は底部位置へ、下方に押される。次に、図3に例示されるように、嚢26は、液体ポンプ又は気体コンプレッサを使用して、あらかじめ指定された圧力で膨張容量へ膨らまされ、それによって、隣接する土壌28を突き固めるか又は圧縮する。気体又は流体の流れは、流体源の線35へ接続されたマニホールド34を通って注入される。従って、マニホールド34は、グラウト28内に駆動される中空チューブ構造物38と同心であり、グラウト28内に駆動される中空チューブ構造物38を取り囲む嚢26内に流体材料を方向づける。このようにして、嚢26は、少なくとも部分的に膨らむ。
【0028】
次に、図4に示されるように、嚢26の縮小及び/又は中空チューブ構造物38の上昇によって作られた空洞40内に、開口24を経由してグラウト又は他のピア形成材料42が供給される時に、嚢26はしぼむ。このようにして、嚢26がしぼむ間に空洞40は満たされる。グラウト又は他のピア形成材料の経路は、中空チューブ構造物38を通り、次いで、装置のボトムヘッド部材22の取付内にあるか又はこれに隣接する開口24を通り、嚢拡張部分20へ行く。
【0029】
その後、図5に示されるように、中空チューブ構造物38は、増分距離、例えば3フィート上げられる。増分距離は典型的に、嚢26の長さに関連する。次いで、プロセス全体が繰り返される。すなわち嚢26は膨らまされる。その後嚢26は取り囲む土壌28を圧縮したか又は突き固め後にしぼむ。嚢26がしぼむ時に、圧縮された土壌内で嚢26が空にした領域内に、追加のグラウト材料42又は他のピア形成材料42が注入される。ヘッド部材22の下の空洞の領域もまた、チューブ構造物38を徐々に上昇させる時に、ピア形成材料42で満たされる。
【0030】
上述のステップは、ピア全体が地表下の底部レベルから地表レベルへ建造されるまで、繰り返される。次いで、ピアは覆い被されてもよく、基礎、建造物又は構造物がその上に配置されてもよい。
【0031】
図6は、本発明の装置及び方法に関連した機器構成を概略的に例示する。中空チューブ構造物38は、グラウトポンプ49と流体溜41との両方に接続される。流体溜41の流体へ圧力を供給し、それによって嚢26を膨らませるためのポンプ装置43も、さらに設けられる。組み合わせのすべての部材は、制御システム45によって制御される。最初のステップとして、チューブ構造物38が土壌28内に所定の深さへ駆動される限り、中空チューブ構造物38の駆動装置47が使用される。同一の駆動装置47を使用して、チューブ構造物38を徐々に上昇させてもよい。
【0032】
図1に示されたような中空チューブ構造物38は、1分当たり50フィート以上の貫通速度で土壌28内に下方に駆動されることが好ましい。嚢26によって形成される空洞を満たす単数又は複数のグラウト材料をポンプ注入するのに使用されるポンプ39は、1時間当たり50立方ヤードの範囲でポンプ注入する。嚢26の膨張収縮システムポンプ43は、少なくとも1秒当たり約1ガロンの速度で操作する。制御システム45は、中空チューブ構造物38の自動制御を提供し、速度及び位置、グラウト又は充填材料の圧力、グラウト流れの速度、流体が嚢26内に入る圧力、及び、流体流量及び温度を駆動する。
【0033】
可変である装置の特徴の中に、ボトムヘッド部材22の構造がある。ボトムヘッド部材22は、土壌28の貫通を達成し、かつ依然として持続的である土壌28の障害を最小限にするように機能する。ヘッド部材22を作るのに好適である材料として、ステンレス鋼又は高張力鋼が挙げられる。望ましくは、ボトムヘッド部材22は、拡張部分20及び関連膨張機構の下で中空チューブ構造物38の端に着脱自在に取り付けられ、修理又は交換のための分解を容易にすることができる。装置は、場合によっては、図6に概略的に例示されるように、グラウト及び流体材料を適切に嚢26のまわりに又は嚢26内に方向づける手段をさらに含む。
【0034】
図7及び8は、組み合わされた中空チューブ構造物38、嚢26、及び、ボトムヘッド部材22の構造を示すさらなる概略図である。ボトムヘッド部材22は、チューブ構造物38の遠位端又は下部端近傍に中心を置くハウジング25に装着された摺動可能なロッド23に装着されてもよい。ロッド23は、中空チューブ構造物38の内部から導く流体又はグラウト通路24を開口するように作動してもよい。従って、グラウトは、ハウジング25のまわり及び駆動ロッド23のまわりを流れ、駆動ロッド23は、所望により通路24を開くようにボトムヘッド部材22を操作する。すなわち、ロッド23のピストンヘッド25Aにかかるグラウト圧力は、ヘッド部材22の内部の環状面25Bにかかるグラウト圧力と組み合わされ、グラウト通路24を開くためにばね25Cの偏倚力を克服する。ピストンヘッド25Aは、取付リング25Dを含み、これに、ケーブル25Eが取り付けられて引かれ、チューブ構造物38を土壌28から引っ込めてもよい。
【0035】
嚢26は、カラー27によって、チューブ構造物38の制限拡張部分20に保持される。カラー27は、好ましくは、嚢26の両端30、32に設けられ、マニホールド34は、嚢26は適切に膨らまされるように、嚢26の内部に通路35を提供する。嚢26の長手方向の寸法は、ピアを形成するのに関連した必要に従って変動してもよい。例えば嚢26は、3フィートの長手方向長さを有してもよい。嚢26が膨らまされる時には、膨らむ量は、中空のチューブマンドレル20の長手方向軸を横切る寸法を約50%又はそれ以上増加してもよく、それによって装置を取り巻く土壌28を圧縮する。嚢26によって土壌基盤28にかかる圧力は調節可能であり、嚢26の膨張の量は嚢の形状及び土壌28の圧縮及び強度特徴に依存する。
【0036】
操作において、先に述べたように、中空チューブ構造物38及びボトムヘッド部材22は、嚢26が緩和した状態で土壌23内に挿入されるか駆動されるか押し込まれる。次に嚢26は膨張する。その後グラウト42は、嚢26がしぼむ時にグラウト通路24を通って供給される。嚢26がしぼむ時に、又はひとたび嚢26がしぼんで、嚢26及びチューブ構造物38が位置していた領域又は空洞40を満たすと、アセンブリ全体がまた上昇されてもよい。従ってグラウト42は、形成された空洞40内に中空チューブ構造物38を上方に動かすことによって空になった領域40内に注入されてもよい。土壌基盤28における嚢26及び構造物38の順序づけ及び運動は、嚢26が膨らみ、しぼみ、徐々に上げられる時に、嚢26によって形成された複数の隆起又は部分を有するピアを形成するように、変えるか調節することができる。その結果として、ピアのリフト又は部分のかなり複雑なパターンが、述べられた装置及び中空チューブ構造物38の運動さらに嚢26の膨張及び収縮によって形成されることができ、グラウト又は他のピア形成材料の流れをプログラムして、様々な独特なピア構成又は形状のいずれの1つを形成することができる。各リフトの長さは、嚢26の長さであってもよく、又は短くても長くてもよい。
【0037】
図9〜17は、土壌基盤28内に複雑な空洞構成を形成するために、膨らむことができる嚢26の膨張可能な部材機構に対する代替物を開示し、それは今度は結果として特別に設計され土壌の種類に適合した独特の構成又は形状を有する支持ピアを形成することになる。従って、例えば図9〜13を参照すると、土壌28を突き固めて空洞を形成するために、嚢26の代わりに機械的に膨張可能な部材を使用する装置が例示される。中空チューブ構造物50はボトムヘッド部材52を含む。ボトムヘッド部材52に隣接するチューブ構造物50の部分は、パネル部材54及び56の第1のセットと、軸方向に隣接するパネル部材58及び60の第2のセットとを含む。パネル部材54及び56は、それに隣接する土壌28を圧縮して突き固めるように、チューブ構造物38の拡張部分の中心軸61から離れて半径方向に外向きに動くように設計される。下部パネル部材54及び56の一方又は両方は、中心軸61から外向きに動くことができてもよい。類似の方法で、パネル58及び60の一方又は両方が、土壌28内に独特な空洞構成を形成するために外向きに動いてもよい。中空チューブ構造物38は中空であり、ボトムヘッド部材52は、プレート又はパネル部材54及び58が中空チューブ構造物50に対する入れ子位置に引き抜かれる時に、グラウト又はピア形成材料を、図1〜8に示された実施形態に類似した方法で、形成された空洞内に方向づけるように設計される。
【0038】
図11、12、及び13に示されるように、プレート又はパネル部材54及び56は制限拡張部分の中心軸61から第1の半径方向に動いてもよく、プレート58及び60の第2のセットは、プレート54及び56の運動に対して直角である半径の方向に、外向きに半径方向に動いてもよい。そのような運動の結果として、土壌内に形成された空洞は、グラウトで満たされ頂部平面で見た場合に、十字形状であるように見える断面を有してもよい。プレート54、56、58及び60の構成及び形状に依存して及びこれらのプレートの互いに対する運動の角度にも依存して、独特な追加形状が形成されてもよい。さらに、プレート54、56、58、60は、中空チューブ構造物50がその最下部位置から上昇される時に独特な空洞形状を形成するような方法で、中空チューブ構造物50へ向けてかつこれから離れて動くようにプログラムされてもよい。中空チューブ構造物50はさらに、上昇される時に、その垂直軸61を中心にして徐々にに回転してもよい。これらの特徴のすべては、可変であり、また中空チューブ構造物50の垂直運動、プレート54及び56、58及び60の側方向運動、プレート54、56、58及び60の構成、及びプレート54、56、58及び60の互いに対する配向に依存して、土壌基盤28内に独特の形状で独特の寸法のピアを形成するようにプログラムすることができる。結果として、特定の土壌基盤に独自に適したピアのサイズ及び構成を展開することが可能である。
【0039】
図14〜17は、中空チューブ構造物67の制限拡張部分66に取り付けられた1セットの機械的なプレートを使用するさらに別の構造物を例示する。従って、中空チューブ構造物の制限拡張部分66は、第1及び第2の拡張プレート68及び70を含み、これらは、制限拡張部分66の中心軸75から外向きに、それぞれ旋回接続72及び74を中心にしてカンチレバー式に旋回する。結果として、V字形空洞が、ボトムヘッド部材77より上に土壌基盤28内に形成される。図15に示されるように、プレートの数及び構成は、変わってもよい。示された実施形態において、八角形の形態に折り畳み可能な構成を有する4つのプレート68、69、70、71は、制限拡張部分66に装着され、その旋回接続端を中心にして旋回する時に土壌基盤28内に独特な土壌空洞形状を形成してもよい。空洞の形状は、図16の断面図に概略的に示される。従って、プレート68〜71が、例えば6フィートの長さを有し、個別のプレート68、69、70、71を制限拡張部分66に接続する機械的なリンケージ機構80によって8〜12インチの範囲に外向きに動く場合に、円錐台の空洞が形成される。中空チューブ構造物67が、プレート68、69、70、71の膨張及び収縮、ピア形成材料又はグラウトの流れ、及び(もしあれば)構造物67の回転と連携して上昇され、(例えば)一連の形成されたリフト83、84、85から構成される図17に示されるような一般的な構成を有するピアを形成する時に、このようにして形成された空洞82は、グラウト及びピア形成材料で満たされてもよい。再度、土壌28に垂直に上方に動く時に中空チューブ構造物67の動きをプログラムし、かつ、カンチレバー旋回プレート68〜71の内向きかつ外向きの運動をプログラムすることが、形成されたピアの最終的な構成を決定する。運動をプログラムすることによって、特定の土壌構成に依存して、ピアの注文設計を可能にする。
【0040】
本発明の好適な実施形態が説明されるが、本発明は下記の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実行するのに使用されるピア形成装置の1つの実施形態の構成部材部分の概略立面図である。
【図2】図1の装置を使用してピアを形成するための操作の方法における最初のステップの概略図である。
【図3】図1の装置の使用におけるさらなるステップを例示する概略図である。
【図4】本発明の装置を使用する方法を実行する際のさらなるステップを例示する図である。
【図5】本発明の実行におけるさらなるステップを例示する図である。
【図6】本発明の方法を実行する時に装置の操作及び制御の方法を例示するロジックフローチャートである。
【図7】制限拡張部分内に含まれる膨らませることができる嚢機構を備えた中空チューブ部分の概略図である。限られた拡張部分に、一定形状のボトムヘッド部材が取り付けられている。
【図8】図7の中空チューブ構造物の一定形状のボトムヘッド部材の拡大断面図である。
【図9】中空チューブ構造物装置に取り付けられる制限拡張部分に装着された代替の膨張可能な部材機構に接続されたボトムヘッド部材の概略等角図である。
【図10】図9の構造物の代替図である。
【図11】図10の機構の操作のモードの概略図である。
【図12】線12−12に沿って取られた図11の断面図である。
【図13】線13−13に沿って取られた図11の断面図である。
【図14】別の代替の機械的な膨張可能な部材機構の等角図である。
【図15】線15−15に沿った図14の機構の断面図である。
【図16】図14の機構によって形成された空洞の概略図である。
【図17】図14の機構を使用することによって形成されたピアの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピアを建造すると共にこのピアを取り囲む土壌基盤を補強するための方法であって、
中空チューブ構造物装置を前記土壌内に駆動するステップであって、前記中空チューブ構造物装置は、前記中空チューブ構造物装置の下部端近傍に材料排出開口を含み、前記装置は、ボトムヘッド部材上に膨張可能な機構を備えた制限拡張部分と、前記膨張可能な機構を膨張させるための手段と、をさらに含むステップと、
前記膨張可能な機構を膨張させて、それに隣接する土壌を突き固めて変位させるステップと、
その後、前記膨張可能な部分によって空にされた領域内に土壌改良材料を注入しながら、前記膨張可能な部分の膨張を逆にするステップであって、前記材料は前記中空チューブ構造物装置を通って提供されるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記装置は、突き固められ変位された土壌と、土壌補強材料が中に注入された側方向に応力をかけられた土壌との分離した又は一連の領域を提供するために漸進的なステップで動く請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記膨張可能な機構は、機械的な装置である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記膨張可能な機構は、弾性的な装置である請求項1記載の方法。
【請求項5】
土壌基盤に土壌補強ピアを建造するための装置であって、
長手方向軸と、閉鎖した頂部及び頂部近傍の材料入口端と、底部近傍の材料排出端とを有する細長い中空チューブ構造物と、
前記土壌基盤内に前記中空チューブ構造物を下降する際に前記底部端部材を取り囲む前記土壌基盤に軸方向及び軸に垂直方向の応力構成部材を提供するように構成された前記底部端用の一定形状のボトムヘッド部材であって、前記ボトムヘッド部材は、制限拡張部分及び前記ボトムヘッド部材に隣接しかつその上にある前記細長い中空チューブ構造物部材の全体の断面積よりも大きな断面積であるボトムヘッド部材と、
を組み合わせて具備する装置。
【請求項6】
前記中空チューブ構造物部材の前記頂部の閉鎖端近傍に前記中空チューブ構造物内に流体材料を方向づけるための流体供給機構をさらに含む請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記細長い中空チューブ構造物の下部部分の前記制限拡張部分内に膨張可能な機構をさらに含み、該機構は、側方向土壌応力を増加させながら、隣接する土壌基盤へ側方向圧力又は近側方向圧力を伝え、前記土壌基盤を圧縮し、突き固め、位置を変え、その結果として膨張可能な部材部分の長さ内により大きな空洞を形成する請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記膨張可能な機構として、膨らませることができる嚢部材をさらに含む請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記膨張可能な機構として、機械的リンケージ部材をさらに含む請求項7記載の装置。
【請求項10】
液体材料が、前記膨張部材が収縮する前に又は収縮する時点で排出され、前記膨張可能な機構部材と前記膨張した部材によって形成されたより大きな空洞との間に形成された環に作られたギャップを前記液体材料が満たすことを可能にし、その後、もともとの空洞内、及び、装置が上方へ上げられ、膨張した部分から引き抜かれた後の膨張した空洞内に、排出される請求項7記載の装置。
【請求項11】
近ボトムヘッド部材端に固定された弁部材を含む請求項5記載の装置。
【請求項12】
前記中空チューブ構造物の前記ボトムヘッド部材近傍を選択的に開閉するための機構を含む請求項5記載の装置。
【請求項13】
前記ボトムヘッド部材の下部端は円錐台の形状を有する請求項5記載の装置。
【請求項14】
前記液体供給チューブを選択的に開閉するための機構をさらに含む請求項5記載の装置。
【請求項15】
前記中空チューブ構造物上の静的垂直軸方向力と、さらに任意の垂直振動力、垂直動的力、動的軸方向力、及びそれらの組み合わせとを含む請求項5記載の装置。
【請求項16】
前記膨らませることができる嚢は、ゴム及びケブラー繊維の層から構成される請求項8記載の装置。
【請求項17】
膨らませることができる嚢の長さは、2フィートから6フィートの間である請求項8記載の装置。
【請求項18】
前記嚢装置は、形状が略円筒形である請求項8記載の装置。
【請求項19】
前記略円筒形の嚢は、前記端近傍で一定の半径の点へ傾斜するより狭い円筒形の端を有する請求項8記載の装置。
【請求項20】
膨らませる圧力は、空気又は他の気体によって供給される請求項8記載の装置。
【請求項21】
機械的な膨張可能な部材機構は、機械的な膨張装置の頂部近傍で旋回点から外部へ旋回する4つの部材を具備する請求項9記載の装置。
【請求項22】
前記機械的な膨張可能な部材機構は、閉じた時に断面が八角形形状を形成する請求項9記載の装置。
【請求項23】
前記機械的な膨張可能な部材機構は、断面が六角形形状を有し、1つの部分内で水平に膨張する2つの側部と、下部部分に隣接する上部部分内で、前記下部部分から90度で水平に膨張する2つの側部と、を有する請求項9記載の装置。
【請求項24】
前記機械的装置の合計長さは一般に、5フィートから8フィートの間である請求項9記載の装置。
【請求項25】
前記部材を押すための力は油圧である請求項9記載の装置。
【請求項26】
土壌基盤にピアを形成するための方法であって、
a)液体材料排出用に出口を設けるためにボトムヘッド部材の近傍に及びその上に開口を備えた閉鎖ボトムヘッド部材及び閉鎖頂部端を有する中空チューブ構造物を挿入することによって、土壌基盤に長手方向軸を有する細長い空洞を形成するステップと、
b)膨張可能な部材機構部分を膨張させて、側方向又は近側方向応力を土壌基盤に伝え、前記土壌基盤を圧縮し、突き固め、位置を変え、前記空洞を膨張させるステップと、
c)液体材料を供給して前記膨張した空洞を満たしながら、前記膨張可能な部材機構を収縮するステップと、
d)前記中空チューブ構造物を前記空洞内に第1の増分距離だけ上昇させるステップと、
e)上記(b)のように、前記膨張可能な部材機構を膨張させるステップと、
f)上記(c)のように、前記膨張可能な部材機構を収縮させるステップと、
g)上記(d)のように、前記中空チューブ構造物部材を上昇させるステップと、
h)前記ピア全体が形成されるまで前記過程を繰り返すステップと、
を含む方法。
【請求項27】
ステップ(b)から(g)を繰り返すことを含む請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記液体材料は、セメント質グラウト、水、砂、セメント、フライアッシュ、添加剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項26記載の方法。
【請求項29】
液体材料は、前記頂部端近傍で前記中空チューブ構造物内に供給される請求項26記載の方法。
【請求項30】
液体材料は、前記中空チューブ構造物の前記ボトムヘッド部材近傍に前記液体を供給する供給機構から、前記空洞内に供給される請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記ボトムヘッド部材は、前記底部端に隣接する拡大断面を有する請求項26記載の方法。
【請求項32】
液体材料を前記中空チューブ構造物の前記頂部近傍から供給するステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項33】
前記チューブを駆動させるために、典型的に5トンから20トンまでの静的垂直力を前記中空チューブ構造物に供給するステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項34】
加えられた静的力ベクトルを補うために、垂直振動力及び軸方向動的力を供給する追加ステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項35】
アップリフトアンカ部材としてその後使用するために軸方向ロッドを、前記ピア内に上方に延在する形状のピアに配置するステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項36】
アップリフトアンカ部材としてその後使用するために底部プレートを備えた軸方向ロッドを、前記ピア内に上方に延在する形状のピアに配置するステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項37】
荷重検査中にピアの底部運動を測定するための検出部としてその後使用するために底部プレートを備えたスリーブ状軸方向ロッドを、前記ピア内に上方に延在する形状のピアに配置するステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項38】
ステップ(b)から(g)を繰り返すステップを含む請求項26記載の方法。
【請求項39】
前記第1の増分距離は、前記繰り返しの少なくとも1つで変動する請求項26記載の方法。
【請求項40】
少なくとも3つの繰り返しを含む請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2006−509136(P2006−509136A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559350(P2004−559350)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/038766
【国際公開番号】WO2004/053237
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505212072)ジオテクニカル レインフォースメント インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】