説明

土壌採取器

【課題】 土壌サンプルを収容する採取空間の容積を充分に確保でき、採取した土壌サンプルを採取空間から容易に取り出すことができ、採取空間へ土壌を取り込む採取口を開閉するためのシャッター板の脱落を防止することにより採取空間への目的外の地下深度の土壌の混入を回避できる土壌採取器を提供すること。
【解決手段】 採取管10は円筒状に形成され、その内周部が採取された土壌を収容する採取空間10bとなっている。この採取空間10bの軸方向両側にある各連結穴10f,10gは、ポイント継手13及びロッド継手14が蓋体となって閉塞される。また、土壌採取器1の逆回転時には、土掻き爪12aが貫入孔の内周面に引っ掛かってシャッター板12が全閉位置から全開位置へとスライド移動されて採取口10aが全開される。また、土掻き爪12aにより貫入孔の内周面から土が掻き取られて採取口10aを通じて採取空間10b内へ取り込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューポイントその他の削孔部材により地中に貫入孔を削孔し、所定の地下深度で貫入孔内の土壌を収容して採取するために使用される土壌採取器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中の土壌サンプルを採取する土壌採取装置としては、例えば、特許文献1に記載される地質調査装置が提案されている。この地質調査装置は、スウェーデンサウンディング試験用のスクリューポイントとロッドとを用いて地下の土壌サンプルを採取するものであり、ロッドのロッド片の長さ方向の中央にサンプリング部が設けられている。このサンプリング部は、地中の土壌を収容する凹部であるポケットと、そのポケットの開口部を塞ぐ蓋体とを備えている。
【0003】
この地質調査装置によれば、スクリューポイントを地盤に貫入させる正回転方向への回転状態にあっては、サンプリング部のポケットの開口部が蓋体により塞がれた状態が維持され、サウンディング試験中に目的外の地下深度の土壌がポケットに入り込むことを防止する一方、逆回転方向への回転状態にあっては、スクリューポイントにより削孔された貫入孔の内周面との摩擦でサンプリング部の蓋体が浮き上がってポケットの開口部を開放させて、目的の地下深度の土壌がポケットに入るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4313598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した地質調査装置では、サンプリング部のポケットがロッド片の外周面のごく一部に凹設された縦長の凹穴であるため、土壌を収容可能な容積が限られており、充分な量の土壌サンプルを採取することができないとい問題点がある。しかも、土壌が収容されるポケットがロッド片の外周面に凹設される縦長凹穴では、そこに収容された土壌サンプルを取り出し難いという問題点がある。
【0006】
また、サンプリング部の蓋体は、逆回転方向への回転状態にロッドの外周から浮き上がってサンプリング部のポケットの開口部を開放する構造となっているため、可撓性を有するプラスチックなどの樹脂材料を用いて形成する必要がある。しかも、当該蓋体については、それに設けられる上下一対のピンがロッドの被装着部に設けられる取付穴に挿入するという極めて簡便な取付構造が用いている。
【0007】
このため、蓋体の刃が貫入孔内の土壌を削り取る際に各ピンに過剰な剪断力が生じやすく、かかる剪断力により蓋体が破断等して、蓋体がロッドから脱落する恐れが危惧される。また、蓋体の刃が土壌を削り取る際に、蓋体には、土壌との接触(摩擦抵抗)によりロッド片の外周面から捲り上げられ又は剥ぎ取られる如き外力が作用するため、ピンがロッドの被装着部から抜脱して、蓋体が脱落する虞も危惧される。
【0008】
さらに、仮に、このようにして蓋体がロッドから脱落するようなことがあれば、サンプリング部のポケットを塞ぐことができず、ロッドを貫入孔から引き抜く際に目的外の地下深度の土壌がポケットに誤って混入すれば、適切な土壌採取が達成できないという問題点が発生してしまう。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、土壌サンプルを収容する採取空間の容積を充分に確保でき、採取した土壌サンプルを採取空間から容易に取り出すことができ、採取空間へ土壌を取り込む採取口を開閉するためのシャッター板の脱落を防止することにより採取空間への目的外の地下深度の土壌の混入を回避できる土壌採取器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために請求項1の土壌採取器は、先端部に削孔部材を連結可能でかつ基端部にロッドを連結可能であって、そのロッドを中心軸回りに正回転させることで削孔部材により地中に貫入孔を削孔し、所定の地下深度で、ロッドが中心軸回りに逆回転されることにより、貫入孔内の土壌を採取して収容するために使用されるものであり、貫入孔内の土壌を収容する採取空間を内周部に有した筒状体に形成される採取管と、その採取管の軸方向一端部に前記採取空間と連通して開口形成される先端穴と、その先端穴のある前記採取管の軸方向一端部に着脱自在に直接連結されることにより当該先端穴を閉塞し、かつ、削孔部材の基端部が連結可能に形成され、又は、削孔部材の基端部に一体形成される先端蓋部材と、その先端蓋部材が連結される前記採取管の外周に前記採取空間と連通して設けられその採取空間へ土壌を取り込む採取口と、その採取口を有した前記採取管の外周に外嵌固定される外筒管と、その外筒管の外周の一部に開口形成され前記採取口と連通され当該採取口を外部に露出させる外筒開口と、その外筒開口及び採取口を開閉するために前記採取管の外周部と前記外筒管の内周部との間に挟装され周方向へスライド自在に配設されるシャッター板と、そのシャッタ板の周方向一端部に設けられ、前記外筒開口を通じて前記外筒管の外周面より外側まで延出され、前記採取管の正回転により貫入孔内で前記シャッター板の閉鎖方向に外力を受け、前記採取管の逆回転により貫入孔内で前記シャッター板の開放方向に外力を受けて貫入孔内の土を掻き取る土掻き爪とを備えている。
【0011】
請求項2の土壌採取器は、請求項1の土壌採取器において、前記先端穴及び先端蓋部材に加えて、又は、前記先端穴及び先端蓋部材に代えて、前記採取管の軸方向他端部に前記採取空間と連通して開口形成される基端穴と、その基端穴のある前記採取管の軸方向他端部に着脱自在に直接連結されることにより当該基端穴を閉塞し、かつ、ロッドの先端部が連結可能に形成され、若しくは、ロッドの先端部に一体形成される基端蓋部材を備えている。
【0012】
請求項3の土壌採取器は、請求項1又は2の土壌採取器において、前記外筒管は、半割れ状態の一対の半円筒体で組み合わせることにより前記採取管の外周に外嵌可能な筒形状となるものである。
【0013】
これらの請求項1から3のいずれかの土壌採取器によれば、当該土壌採取器を所定の地下深度まで貫入する場合、その先端部に連結される削孔部材の先端が地面に突き立てられるとともに、その基端部に連結されるロッドに対して中心軸回りに正回転させる回転力が加えられる。すると、削孔部材及び土壌採取器がロッドと一体となって中心軸回りに正回転されて、削孔部材により地中に貫入孔が削孔される。
【0014】
なお、削孔部材の正回転による貫入孔の削孔に加えて、使用者の体重や錘の荷重をロッドに対して加えることで削孔を促進させるようにしても良く、又は、削孔部材が貫入されにくい場合には、地上にあるロッドの上端部を地中へ向けて叩いて、削孔部材を地中に叩き込むようにしても良い。
【0015】
このようにして削孔部材による削孔により、土壌採取器は、正回転されながら貫入孔内を所定の地下深度まで進行移動させられる。ここで、正回転する土壌採取器の最も外側にある外筒管の外周面からは土掻き爪が外側に延出されており、この土掻き爪が貫入孔内で土壌と接触することで、この土掻き爪に対して土壌採取器の回転方向とは相対的に逆向き、即ち、シャッター板の閉塞方向へ向けた外力が作用する。
【0016】
この土掻き爪に作用する外力により、シャッター板が閉塞方向へ押されてスライドされて、外筒開口及び採取口が閉塞される。また、外筒開口の全閉状態になると、土掻き爪が当該外筒開口の周方向一端側の縁部に衝止され、シャッター板の閉塞方向への更なるスライド移動が停止される。
【0017】
そして、土壌採取器が貫入孔内で正回転され続けることで、当該シャッター板による外筒開口及び採取口の閉塞状態が維持され、土壌採取器が所定の地下深度に到達する迄の間、採取不要な地下深度所定における土壌が外筒開口から採取口を通じて採取空間に混入することが防止される。
【0018】
こうした削孔部材による削孔により、土壌採取器が所定の地下深度に到達すれば、当該地下深度にある貫入孔内の土壌が採取される。具体的には、土壌採取が行われる地下深度に土壌採取器が到達すると、まず、シャッター板をスライドさせて外筒開口及び採取口を開放するため、ロッドに対して中心軸回りに逆回転させる回転力が加えられ、削孔部材及び土壌採取器が中心軸回りに逆回転される。
【0019】
このように土壌採取器が貫入孔内で逆回転されると、土掻き爪には、貫入孔内にある土壌が接触して、土壌採取器の回転方向とは相対的に逆向き、即ち、シャッター板の開放方向へ向けた外力が作用する。そして、こうした外力が土掻き爪に作用することで、シャッター板が開放方向へスライドされて、外筒開口及び採取口が開放される。
【0020】
ここで、シャッター板のスライド移動により外筒開口の全開されると、土掻き爪が当該外筒開口の周方向他端側の縁部に衝止され、シャッター板の開放方向への更なるスライド移動が停止される。すると、シャッター板の開放方向へ向けた土掻き爪の移動が停止され、かかる状態で、土壌採取器が逆回転されることで、土掻き爪により貫入孔内の所定の地下深度にある土壌が掻き取られる。
【0021】
そして、土掻き爪により掻き取られた土壌は、外筒開口及び採取口を通じて採取管の採取空間へと取り込まれ、その採取空間内に収容される。このようにして土壌サンプルが採取空間に収容採取された後は、土壌採取器が所定の地下深度から貫入孔を通じて地上まで引き上げられて回収される。土壌採取器の回収には、ロッドに対して中心軸回りに正回転させる回転力が加えられ、削孔部材及び土壌採取器が中心軸回りに正回転される。
【0022】
このように土壌採取器が正回転されることで、土掻き爪に対してシャッター板の閉塞方向へ向けた外力が作用し、その結果、シャッター板が閉塞方向へスライドされて、かかるシャッター板により外筒開口及び採取口が再び閉塞される。外筒開口及び採取口の閉塞後は、ロッドを貫入孔内から引き抜くことで、削孔部材及び土壌採取器が貫入孔内から引き抜かれて回収される。
【0023】
なお、ロッドの引き抜きの際には、かかるロッドに対して中心軸回りに正回転させる回転力を付与するようにしても良い。さすれば、削孔部材及び土壌採取器をロッドを中心軸回りに正回転させながら、シャッター板に対して閉塞させる外力を加えつつ、これらを貫入孔内から引き抜くことができる。
【0024】
採取管の採取空間内にある土壌サンプルを取り出すには、先端蓋部材又は基端蓋部材が採取管の軸方向一端部又は基端部から取り外されることで、先端穴又は基端穴が開いて採取空間が外部と連通され、この先端穴又は基端穴を通じて採取空間内にある土壌サンプルが取り出される。なお、シャッター板を開放方向へスライドさせて、外筒開口及び採取口を開いて、採取口から採取空間内にある土壌サンプルを取り出しても良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明の土壌採取器によれば、土壌を採取するための採取空間は、筒状体の採取管の内周部であるので、局所的に土壌を収容するポケットを凹設する場合に比べて、より大きな土壌の収容容積を確保でき、充分な量の土壌サンプルを収容できるという効果がある。また、採取管の採取空間に収容された土壌サンプルは、採取管の軸方向一端部又は他端部から先端蓋部材又は基端蓋部材を取り外すことで、先端穴又は基端穴が開放されるので、その先端穴又は基端穴を通じて採取空間から容易に取り出すことができる。
【0026】
また、土掻き爪を有するシャッター板は、その土掻き爪が貫入孔内にある土に接触して外力を受けることでスライド開閉され、かつ、採取管の外周部と外筒管の内周部との間に挟装された状態でスライド自在に配設されている。このため、採取口及び外筒開口を開閉させるために蓋体が土壌と接触して捲れ上がるような構造を採用しておらず、土掻き爪が土壌と接触して過大な摩擦抵抗を受けたとしても、そのことでシャッター板が捲れ上がる等して脱落することを防止でき、かつ、採取空間への目的外の地下深度の土壌の混入を回避できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例である土壌採取器を用いた土壌採取装置の使用状態の一例を示した図である。
【図2】図1に示される土壌採取装置における土壌採取器の取付部分に関する部分的拡大図である。
【図3】採取管の部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が(a)のB1−B1線及びB2−B2線における横断面図であり、(c)が縦断面図である。
【図4】外筒管の部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が右側面図であり、(c)が平面図であり、(d)が(a)のD1−D1線及びD2−D2線における横断面図である。
【図5】シャッター板の部品図であって、(a)が平面図であり、(b)が正面図である。
【図6】ポイント継手の部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が(a)のB−B線における横断面図であり、(c)が縦断面図である。
【図7】ロッド継手の部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が(a)のB−B線における横断面図であり、(c)が縦断面図である。
【図8】土壌採取装置における土壌採取器の取付部分について部分的に断面視した拡大図であって、(a)がシャッター板の全閉状態を示したものであり、(b)がシャッター板の全開状態を示したものである。
【図9】土壌採取器の横断面図であって、(a)が図8(a)のIX−IX線におけるシャッター板が全閉状態のものであり、(b)が図8(b)のIX−IX線におけるシャッター板の全開状態のものである。
【図10】実施例2の土壌採取装置の部分的拡大図であり、削孔ポイントと土壌採取器との連結箇所を部分的に断面視したものである。
【図11】実施例3の削孔ポイントの部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が底面図であり、(c)が(a)のC−C線における端面図であり、(d)が(a)のD−D線における端面図である。
【図12】実施例4の外筒管の部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が右側面図であり、(c)が平面図である。
【図13】実施例5のロッド継手の部品図であって、(a)が正面図であり、(b)が平面図であり、(c)が底面図であり、(d)がロッド及び採取管との連結状態を示した部分的に断面視した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である土壌採取器1を用いた土壌採取装置100の使用状態の一例を示した図である。図1に示すように、土壌採取装置100は、主として、土壌採取器1と、削孔ポイント2と、ロッド3とを備えている。
【0029】
この土壌採取装置100は、土壌採取器1の先端部に削孔ポイント2を連結し、かつ、その基端部にロッド3を連結して一体化した上で、そのロッド3を中心軸回りに正回転させて削孔ポイント2により地中を削孔し、土壌採取器1が所定の地下深度に到達した際に、そのロッド3を中心軸回りに逆回転させることにより土壌採取器1内に当該深度にある土壌を採取して収容する装置である。
【0030】
なお、以下の説明において「正回転」とは、土壌採取器1、削孔ポイント2及びロッド3が中心軸回りにする回転であって、削孔ポイント2により削孔する際の回転方向と等しいものをいう。また、「逆回転」とは、その土壌採取装置100が前記中心軸回りにする回転であって、削孔ポイント2により削孔する際の回転方向とは反対方向のものをいう。
【0031】
また、土壌採取装置100による削孔時にロッド3を回転させて土壌採取装置100全体を回転駆動させる駆動方式としては、図1に示すようにロッド3の基端部に手回し用のハンドル4を取り付けて人力で回転させる方式でも、又は、スウェーデン式サウンディング試験に用いられる自動削孔装置(図示せず。)でロッド3を回転させる方式でも良い。
【0032】
削孔ポイント2は、スウェーデン式サウンディング試験に用いられる汎用型のスクリューポイントであり、通常、スウェーデン式サウンディング試験用のロッド3の先端部に直接螺着されて使用されている。この削孔ポイント2は、先端先鋭なドリル状のスクリュー部2aと、そのスクリュー部2aの基端部に一体形成されるテーパ基部2bとを備えており、そのテーパ基部2bがポイント連結ねじ軸5を介してポイント継手13に連結される(図8参照。)。
【0033】
また、削孔ポイント2及びポイント連結ねじ軸5はいずれも機械構造用合金鋼鋼材の一種であるクロムモリブデン鋼材(SCM鋼材ともいう。)などの焼入れ可能な鋼材で形成されている。特に、削孔ポイント2のスクリュー部2aは、焼入れされることにより硬度が高められており、ポイント連結ねじ軸5は、靭性を高める熱処理が施されている。
【0034】
ポイント連結ねじ軸5は、削孔ポイント2とは別体に形成された並目ねじを用いた全ねじ型のスタッドボルトである。このポイント連結ねじ軸5は、通常、削孔ポイント2をロッド3の先端部に連結するために使用されるものである。
【0035】
ロッド3は、スウェーデン式サウンディング試験に用いられる汎用型のロッド3であり、通常、スウェーデンサウンディング試験用のスクリューポイントである削孔ポイント2がポイント連結ねじ軸5を介して直接螺着されて使用されるものである。
【0036】
図2は、図1に示される土壌採取装置100における土壌採取器1の取付部分に関する部分的拡大図である。図2に示すように、土壌採取器1は、採取管10と、外筒管11と、シャッター板12と、ポイント継手13と、ロッド継手14とを備えている。この土壌採取器1は、削孔ポイント2と同じクロムモリブデン鋼材で形成されている。
【0037】
採取管10は、地中に削孔された貫入孔内の土壌を採取して収容する筒状体である。この採取管10の外周面には採取口10aが設けられており、この採取口10aは、当該採取管10の内周部(採取空間10b)に土壌を取り込むために穿設されている。また、外筒管11は、採取管10に外周面に全体的に外嵌される筒状体である。
【0038】
シャッター板12は、採取管10の採取口10a及び外筒管11の外筒開口11aを開閉するために用いられる蓋体である。また、ポイント継手13は採取管10の先端部に削孔ポイント2を連結するための継手であり、ロッド継手14は採取管10の基端部にロッド3を連結するための継手である。
【0039】
この土壌採取器1によれば、採取管10、外筒管11、シャッター板12、ポイント継手13及びロッド継手14が組み立てられた場合、採取管10、外筒管11、ポイント継手13及びロッド継手14の中心軸が同一線上で一致し、これが土壌採取器1全体の中心軸となる。更に、この土壌採取器1の中心軸は、それに連結された削孔ポイント2及びロッド3の中心線とも一致し、土壌採取装置100自体の中心軸とも一致する。
【0040】
なお、以下の説明において、「軸方向」とは、上記した採取管10、外筒管11、ポイント継手13若しくはロッド継手14若しくは土壌採取器1、又は、土壌採取装置100の中心軸と同じ方向をいう。また、「周方向」とは、上記した採取管10、外筒管11、ポイント継手13若しくはロッド継手14若しくは土壌採取器1、又は、土壌採取装置100の中心軸を中心とした回転方向をいう。
【0041】
図3は、採取管10の部品図であって、図3(a)が正面図であり、図3(b)が図3(a)のB1−B1線及びB2−B2線における横断面図であり、図3(c)が縦断面図である。図3に示すように、採取管10は円筒状に形成されており、その内周部が採取された土壌を収容する採取空間10bとなっている(図3(b)及び図3(c)参照。)。また、採取管10の外周面には、採取空間10bに連通する長穴状の採取口10aが1箇所穿設されている(図3(a)参照。)。
【0042】
図3(a)に示すように、採取口10aは、軸方向に開口幅が長くかつ周方向に開口幅が短く形成されている。また、採取口10aは、軸方向の開口幅が採取管10の軸方向全長より小さく、その穿設位置が採取管10の軸方向中央とされている。更に、採取口10aの周方向の開口幅は、採取空間10bの内径より小さくされており、例えば、採取空間10bの内径の2/3倍程度の大きさとされている。
【0043】
採取管10の外周には、その軸方向中央部に外径の小さな小径部10cが凹設され、その軸方向両端部に小径部10cより外径が大きな大径部10d,10dが設けられている。小径部10cと各大径部10dとの間は段差となっており、各大径部10dは外径が等しく形成されている。そして、採取管10の小径部10cには、上記した採取口10aが設けられている。
【0044】
この小径部10cは、採取管10の外周面の全周に凹設されており、シャッター板12のスライドをガイド(案内)するガイド溝として機能するとともに、後述するスライド空間20(図8及び図9参照。)の一部となる凹部でもある。また、小径部10cの外周には、シャッター板12が合致した状態で嵌合可能となっている(図9参照。)。
【0045】
このため、小径部10cの寸法は、採取管10と外筒管11との間でシャッター板12がスムーズにスライドして開閉動作が行われるように、外周面の曲率がシャッター板12の内周面の曲率に等しく、軸方向長さがシャッター板12の軸方向長さに比べて僅かに(例えば0.5mm程度)小さく、かつ、深さがシャッター板12の厚みに比べて僅かに(例えば0.8mm程度)小さくされている。
【0046】
図3(b)に示すように、採取管10の各大径部10dにはビス止め用の固定ねじ穴10eが4箇所ずつ設けられており、各大径部10dにある4箇所の固定ねじ穴10eは、各大径部10dの外周に等間隔(90°間隔)で設けられている。これらの合計8箇所にある固定ねじ穴10eは、採取管10の外周に外嵌される外筒管11をビス止めするための雌ねじ穴である。
【0047】
図3(c)に示すように、採取管10の軸方向一端部(先端部)には、ポイント側連結穴10fが開口形成され、採取管10の軸方向他端部(基端部)には、ロッド側連結穴10gが開口形成されている。また、採取空間10bは、これらのポイント側連結穴10f及びロッド側連結穴10gを通じて、採取管10の外と連通されている。
【0048】
ポイント側連結穴10fは、採取管10の先端面から採取空間10bまで連通する穴であって、その内周面に細目ねじを用いた雌ねじが螺刻されている。また、ポイント側連結穴10fは、その内径が採取空間10bの内径より大きく、このポイント側連結穴10fには、ポイント継手13が着脱自在に連結される(図8参照。)。
【0049】
ロッド側連結穴10gは、採取管10の基端面から採取空間10bまで連通する穴であって、その内周面に細目ねじを用いた雌ねじが螺刻されており、この雌ねじにはポイント側連結穴10fのものと同一構成(主に呼び径、条数及びピッチが同一であることをいう。以下同じ。)の細目ねじが用いられている。また、ロッド側連結穴10gはその内径が採取空間10bの内径より大きく、このロッド側連結穴10gにはロッド継手14が着脱自在に連結される(図8参照。)。
【0050】
図4は、外筒管11の部品図であって、図4(a)が正面図であり、図4(b)が右側面図であり、図4(c)が平面図であり、図4(d)が図4(a)のD1−D1線及びD2−D2線における横断面図である。なお、図示は省略するが、外筒管11の左側面図は右側面図と同様に表わされ、底面図は平面図と同様に表わされる。
【0051】
図4に示すように、外筒管11は、半割れ状態の一対の半円筒体11b,11bで形成されており、これらの一対の半円筒体11b,11bが組み合わされて円筒状となる。また、一対の半円筒体11b,11bには、採取管10の固定ねじ穴10eに対応して合計8箇所の通穴11cが穿設される。これらの通穴11cは、一対の半円筒体11b,11bの割れ目を避けて、外筒管11の周囲に等間隔で設けられる。
【0052】
図4(a)に示すように、一対の半円筒体11b,11bには凹字形の切欠凹部11dがそれぞれ形成されている。また、外筒開口11aは、これらの一対の半円筒体11b,11bが組み合わさって円筒状の外筒管11となることにより、各切欠凹部11d,11dが互いに繋がってできる平面視長方形状の開口である。
【0053】
外筒開口11aは、外筒管11の外周面の一部に開口形成されており、外筒管11が採取管10にビス止めにより外嵌固定された場合に、採取口10aと連通して当該外筒開口11aの中央から採取口10aを外部に露出させる開口である(図2及び図8参照。)。
【0054】
また、外筒管11は、この外筒開口11aの開設部分を除けば、採取管10の外周全体に覆設されるものである。ここで、外筒開口11aの軸方向の開口幅は、採取口10aの軸方向の開口幅と等しくかつ採取管10の小径部10cの軸方向長さより小さくされている。更に、外筒開口11aの周方向の開口幅は、採取口10aの周方向の開口幅より大きく、例えば、外筒管11の外周の1/4倍程度とされている。
【0055】
図5は、シャッター板12の部品図であって、図5(a)が平面図であり、図5(b)が正面図である。図5(a)に示すように、シャッター板12は、後述するスライド空間20の断面形状に適合した円弧状の断面形状を有した板体である。このシャッター板12は、スライド空間20内にスライド自在に収容されて、スライド空間20内で採取管10の外周面に沿って周方向へスライド移動することにより、採取口10aを開閉させるものである。
【0056】
このシャッター板12は、軸方向の長さが採取口10a及び外筒開口11aの軸方向の開口幅より大きく、周方向の長さが採取口10a及び外筒開口11aの周方向の開口幅より大きくされている。このシャッター板12によれば、その全閉状態にあって外筒開口11a全体を閉塞し、かつ、採取口10a全体を閉塞する一方、その全開状態にあって外筒開口11a全体を開放し、かつ、採取口10a全体を外筒開口11aから露出させる。また、シャッター板12には、土掻き爪12aがその軸方向に連続して形成されている。
【0057】
図5(b)に示すように、土掻き爪12aは、シャッター板12の周方向一端部に一体形成されており、当該シャッター板12の周方向一端部をシャッター板12の外周面に対して鈍角を成すように谷折り状に曲折することで形成されている。例えば、この土掻き爪12aの曲折点Pにおいてシャッター板12と土掻き爪12aとが成す角度αは135°とされている。
【0058】
図6は、ポイント継手13の部品図であって、図6(a)が正面図であり、図6(b)が図6(a)のB−B線における横断面図であり、図6(c)が縦断面図である。図6(a)に示すように、ポイント継手13は、その先端側から基端側へ向けて外径が漸増する円錐台状に形成されている。削孔ポイント2を地中に貫入する際の抵抗を軽減するためである。
【0059】
このポイント継手13の先端面の外径は、削孔ポイント2のスクリュー部2aの根元部分の外径と同等又は僅か数mm程度大きくされている。また、ポイント継手13の外周面には、スパナ等の工具が外嵌係合される平行な2つの係合面13a,13aが切欠形成されている(図6(b)参照。)。さらに、ポイント継手13には、その基端部に螺嵌軸13bが設けられ、その先端面に連結段付き穴13cが凹設されている。
【0060】
ポイント継手13の螺嵌軸13bは、採取管10の軸方向一端部に着脱自在に直接連結されることにより、採取管10のポイント側連結穴10fを閉塞する蓋体として機能するものである。具体的には、ポイント継手13の螺嵌軸13bが、採取管10のポイント側連結穴10fの内周に嵌入螺合されることにより、そのポイント側連結穴10fが閉塞される。また、螺嵌軸13bの外周面には、ポイント側連結穴10fの雌ねじに適合した細目ねじを用いた雄ねじが螺刻されている。
【0061】
また、ポイント継手13の螺嵌軸13bが採取管10のポイント側連結穴10fに嵌入螺合されることによって、ポイント継手13は採取管10に互いの中心軸が一致した状態で連結される。ここで、ポイント継手13の螺嵌軸13bの雄ねじとして細目ねじを採用したのは、土壌採取器1の逆回転時にポイント継手13と採取管10との螺合状態を緩み難くするためである。
【0062】
図6(c)に示すように、ポイント継手13の連結段付き穴13cは、ポイント継手13の軸方向に延設されており、主に、擂鉢状(円錐台状)のテーパ穴部13c1と、そのテーパ穴部13c1の底面に凹設される雌ねじ穴部13c2とを備えている。このポイント継手13の雌ねじ穴部13c2は、その内周面に雌ねじが螺刻されており、ポイント連結ねじ軸5が嵌入螺合されるように形成されている。
【0063】
また、ポイント継手13のテーパ穴部13c1は、ポイント継手13の先端側から基端側へ内径が漸減しており、このテーパ穴部13c1には、削孔ポイント2のテーパ基部2bが嵌合される。
【0064】
図7は、ロッド継手14の部品図であって、図7(a)が正面図であり、図7(b)が図7(a)のB−B線における横断面図であり、図7(c)が縦断面図である。図7に示すように、ロッド継手14は、その先端側から基端側へ向けて外径が漸減する円錐台状に形成されている。土壌採取器1を削孔後に地中から引き抜く際の抵抗を軽減するためである。
【0065】
このロッド継手14の基端面の外径は、ロッド3の外径と等しくなっている。また、ロッド継手14の外周面には、スパナ等の工具が外嵌係合される平行な2つの係合面14a,14aが切欠形成されている(図7(b)参照。)。さらに、このロッド継手14には、その先端部に螺嵌軸14bが設けられ、その基端面に連結ねじ穴14cが凹設されている。
【0066】
ロッド継手14の螺嵌軸14bは、採取管10の軸方向他端部に着脱自在に直接連結されることにより、採取管10のロッド側連結穴10gを閉塞する蓋体として機能するものである。具体的には、ロッド継手14の螺嵌軸14bが、採取管10のロッド側連結穴10gの内周に嵌入螺合されることにより、そのロッド側連結穴10gが閉塞される。また、螺嵌軸14bの外周面には、ロッド側連結穴10gの雌ねじに適合した細目ねじを用いた雄ねじが螺刻されている。
【0067】
また、ロッド継手14の螺嵌軸14bが採取管10のロッド側連結穴10gに嵌入螺合されることによって、ロッド継手14は採取管10に互いの中心軸が一致した状態で連結される。ここで、ロッド継手14の螺嵌軸14bの雄ねじとして細目ねじを採用したのは、土壌採取器1の逆回転時にロッド継手14と採取管10との螺合状態を緩み難くするためである。
【0068】
図7(c)に示すように、ロッド継手14の連結ねじ穴14cは、ロッド継手14の軸方向に延設されている。また、この連結ねじ穴14cは、その内周面に雌ねじが螺刻されており、後述するロッド連結ねじ軸6(図8参照。)が嵌入螺合されるように形成されている。
【0069】
図8は、土壌採取装置100における土壌採取器1の取付部分について部分的に断面視した拡大図であって、図8(a)がシャッター板12の全閉状態を示したものであり、図8(b)がシャッター板12の全開状態を示したものである。
【0070】
図8に示すように、土壌採取装置100によれば、土壌採取器1の先端部及び基端部にポイント継手13及びロッド継手14を介して削孔ポイント2及びロッド3が連結されている。ここで、採取管10のポイント側連結穴10f内には、ポイント継手13の螺嵌軸13bが嵌入螺合され、採取管10のロッド側連結穴10g内には、ロッド継手14の螺嵌軸14bが嵌入螺合されている。
【0071】
かかる状態で、採取管10の採取空間10bの軸方向両側にあるポイント側連結穴10f及びロッド側連結穴10gは、ポイント継手13及びロッド継手14により閉塞されており、結果、これらのポイント継手13及びロッド継手14がポイント側連結穴10f及びロッド側連結穴10gの蓋体として機能している。
【0072】
そして、ポイント継手13には、削孔ポイント2の基端部が連結されている。この削孔ポイント2の基端部にあるテーパ基部2bは、その基端面からスクリュー部2a側に向かって外径が漸増する円錐台状に形成されており、ポイント継手13の連結段付き穴13cのテーパ穴部13c1に合致して嵌合されている。
【0073】
また、削孔ポイント2は、その連結ねじ穴2cの中心がスクリュー部2aの中心軸と一致しており、その連結ねじ穴2cの内周面には、ポイント継手13の雌ねじ穴部13c2と同一構成の雌ねじが螺刻されている。そして、このポイント継手13の雌ねじ穴部13c2には、ポイント連結ねじ軸5の軸方向一端側が螺合され、かつ、このポイント連結ねじ軸5の軸方向他端側は、削孔ポイント2の連結ねじ穴2cに螺合されている。
【0074】
このポイント連結ねじ軸5の螺合に伴う締結力によって、削孔ポイント2のテーパ基部2bがポイント継手13のテーパ穴部13c1に圧着されており、この圧着により削孔ポイント2とポイント継手13の結合度が高められている。
【0075】
しかも、このようにテーパ基部2b及びテーパ穴部13c1を互いに圧着した状態で削孔ポイント2及びポイント継手13を連結することによって、削孔時に削孔ポイント2に作用する外力を、ポイント連結ねじ軸5のみならずテーパ基部2bにも分散できるので、応力集中によるポイント連結ねじ軸5の破損を抑制できる。
【0076】
一方、ロッド継手14には、ロッド3の先端部が連結されている。このロッド3の先端面には、ロッド連結ねじ軸6を介してロッド継手14に連結するための連結ねじ穴3aが凹設されている。このロッド3は、その連結ねじ穴3aの中心がロッド3の中心軸と一致しており、その連結ねじ穴3aの内周面には、ロッド継手14の連結ねじ穴14cと同一構成の雌ねじが螺刻されている。
【0077】
そして、このロッド継手14の連結ねじ穴14cには、ポイント連結ねじ軸5と同一構成の雄ねじを有したロッド連結ねじ軸6の軸方向一端側が螺合されており、このロッド連結ねじ軸6の軸方向他端側はロッド3の連結ねじ穴3aに螺合されている。ここで、ロッド連結ねじ軸6には、ポイント連結ねじ軸5と同じ並目ねじを用いた全ねじ型のスタッドボルトが用いられている。
【0078】
図8(a)に示すように、土壌採取器1は、シャッター板12が全閉状態のとき、外筒開口11aの全体がシャッター板12により閉塞され、シャッター板12が採取口10aの全体に覆設される。このとき、シャッター板12は、外筒開口11aと採取口10aとの間を仕切って、採取口10aから採取管10の採取空間10bへ土壌が侵入することを防止する。目的外の地下深度における土壌が採取空間10b内へ混入することを防止するためである。
【0079】
図8(b)に示すように、外筒管11は、シャッター板12の全開状態に、外筒開口11aから採取口10aが露出される格好で、採取管10の外周全体に外嵌されて、各通穴11cから各固定ねじ穴10eにねじ込まれたビス15により固定されている。この外筒管11と採取管10との境界部分にはスライド空間20が設けられている。
【0080】
なお、地中での回転時に、外筒管11の半円筒体11b,11bの割れ目に土に引っ掛かって外筒管11が外れるような不具合がある場合は、例えば、ビス15による固定位置を、外筒管11の半円筒体11b,11bの割れ目の近傍に設けることで、そのような不具合を軽減又は解消することもできる。
【0081】
スライド空間20は、採取管10の小径部10cと外筒管11の内周部との間にシャッター板12を挟装した状態で、当該シャッター板12を周方向へスライド自在に収容する空隙である。このスライド空間20は、例えば2mm程度の厚みをもって採取管10と外筒管11との間に設けられ、土壌採取器1の周方向に連続形成され、外筒開口11aとも連通されている(図9参照。)。
【0082】
シャッター板12が全開されることで、外筒開口11aと採取口10aとの間の仕切が取り払われ、外筒開口11aの中に採取口10aが現われるので、目的とする所定の地下深度に到達した際に、そこで土壌採取器1を逆回転させて土掻き爪12aにより貫入孔内の土壌を掻き取ることで、採取口10aから採取空間10b内へ土壌を取り込むことができるのである。
【0083】
図9は、土壌採取器1の横断面図であって、図9(a)が図8(a)のIX−IX線におけるシャッター板12が全閉状態のものであり、図9(b)が図8(b)のIX−IX線におけるシャッター板12の全開状態のものである。なお、図9(a)には土壌採取器1の正回転方向を矢印で図示し、図9(b)には土壌採取器1の逆回転方向を矢印で図示している。
【0084】
上記のように構成された土壌採取装置100によれば、土壌採取器1を所定の地下深度まで貫入する場合、その先端部に連結される削孔ポイント2の先端が地面に突き立てられるとともに、その基端部に連結されるロッド6に対してハンドル4又は自動削孔装置を介して中心軸回りに正回転させる回転力が加えられる。
【0085】
すると、土壌採取装置100における土壌採取器1、削孔ポイント2及びロッド3が一体となって中心軸回りに正回転され、削孔ポイント2により地中に貫入孔が削孔される。そして、この削孔に伴って、土壌採取器1は、中心軸回りに正回転されながら貫入孔内を所定の地下深度まで進行移動させられる。
【0086】
図9(a)に示すように、土壌採取器1が中心軸回りで正回転(図9の紙面上で時計回りに回転)される状態において、シャッター板12の土掻き爪12aはその先端が土壌採取器1の回転方向とは反対の逆回転方向側へ向けて斜めに延出され、この土掻き爪12aの外向き斜面12a1が正回転方向側を向いた格好となる。このため、土壌採取器1の正回転時には、貫入孔内にある土が土掻き爪12aの外向き斜面12a1に当たって、シャッター板12が閉塞方向に向かう外力を受けるので、シャッター板12の全閉状態が維持される。
【0087】
全閉状態のシャッター板12は、土掻き爪12aの内向き斜面12a2が外筒開口11aの周方向一端側の縁部に衝止され、この衝止によりシャッター板12の閉鎖方向への更なるスライド移動が制限されている。また、全閉状態のシャッター板12は、その周方向長さの半分程が外筒開口11aを塞いでおり、残りの半分程がスライド空間20内に格納されたままとなっている。
【0088】
そして、土壌採取器1が目的とする所定の地下深度に到達すれば、当該地下深度にある貫入孔内の土壌を採取するため、ロッド3に対してハンドル4を介して中心軸回りに逆回転させる回転力が加えられ、削孔ポイント2及び土壌採取器1が中心軸回りに逆回転される。
【0089】
図9(b)に示すように、土壌採取器1が中心軸回りで逆回転(図9の紙面上で反時計回りに回転)される状態において、シャッター板12の土掻き爪12aはその先端が土壌採取器1の回転方向と同じ逆回転方向側へ向けて斜めに延出され、この土掻き爪12aの内向き斜面12a2が逆回転方向側を向いた格好となる。
【0090】
このため、土壌採取器1の逆回転時には、シャッター板12の土掻き爪12aが貫入孔の内周面に引っ掛かり、そのまま状態で土壌採取装置100が更に逆回転されれば、シャッター板12は開放方向に向かう外力を受けて全閉位置から開放位置へとスライド移動されて、図9(b)に示すように、シャッター板12が全開状態へと開かれる。
【0091】
全開状態のシャッター板12は、土掻き爪12aの外向き斜面12a1が外筒開口11aの周方向他端側の縁部に衝止され、この衝止によりシャッター板12の開放方向への更なるスライド移動が制限されるとともに、かかるシャッター板12が逆回転時に受ける抵抗に負けてスライド空間20内に潜り込むことが防止される。
【0092】
また、土壌採取器1のシャッター板12が全開された状態で逆回転されれば、土掻き爪12aは、外筒開口11aから外筒管11の外方へ延びており、その先端が外筒管11の外周面より更に外側まで延出されるので、かかる土掻き爪12aにより貫入孔の内周面から土が掻き取られ、この掻き取られた土が外筒開口11aから現われた採取口10aを通じて採取空間10b内へ取り込まれる。
【0093】
土壌サンプルの採取後は、土壌採取器1が再び正回転されることで、貫入孔内で土掻き爪12aに対してシャッター板12の閉塞方向へ向けた外力が作用し、その結果、シャッター板12が閉塞方向へスライドされて、かかるシャッター板12により採取口10a及び外筒開口11aが再び閉塞される。採取口10a及び外筒開口11aの閉塞後は、ロッド3に対して中心軸回りに正回転させる回転力を付与しながら、ロッド3を貫入孔内から引き抜くことで、削孔ポイント2及び土壌採取器1が貫入孔内から引き抜かれて回収される。
【0094】
このようにロッドの引き抜きの際に、当該ロッドに対して中心軸回りに正回転させる回転力を付与することで、削孔部材及び土壌採取器をロッドを中心軸回りに正回転させることができ、シャッター板に対して閉塞させる外力を加えつつ、これらを貫入孔内から引き抜くことができる。
【0095】
このとき、スライド空間20と採取空間10bとは採取管10により隔絶されているので、土壌を採取口10aから採取した後に土壌採取器1を再び正回転させてシャッター板12を閉塞方向へ移動させる場合に、採取空間10b内に収容された土がシャッター板12に引っ掛かり、そのシャッター板12の開閉動作を阻害することもない。このため、土壌採取装置100を貫入孔内から引き抜く際に、シャッター板12を全閉できずに引き抜き途中で別の地下深度にある土壌が採取空間10b内に混入することを防止できる。
【0096】
貫入孔から土壌採取装置100を回収した後、採取管10の採取空間10b内にある土壌サンプルを取り出すには、ポイント継手13又はロッド継手14が採取管10の軸方向一端部又は基端部から取り外されることで、ポイント側連結穴10f又はロッド側連結穴10gが開いて採取空間10bが外部と連通され、採取空間10b内にある土壌サンプルが取り出される。なお、シャッター板12を開放方向へスライドさせて、採取口10a及び外筒開口11aを開いて、採取口10aから採取空間10b内にある土壌サンプルを取り出すこともできる。
【0097】
このように採取管10の採取空間10bの軸方向両端部を閉塞する部材として、削孔ポイント2用の継手であるポイント継手13自体と、ロッド3用の継手であるロッド継手14自体とが用いられているので、土壌採取器1と削孔ポイント2及びロッド3との連結構造を簡素化できる。
【実施例2】
【0098】
次に、図10を参照して、削孔ポイントの変形例について説明する。実施例2の削孔ポイントは、上記した実施例1の削孔ポイントに対し、削孔ポイント自体を土壌採取器の一部としたものである。以下、実施例2では、実施例1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0099】
図10は、実施例2の土壌採取装置200の部分的拡大図であり、削孔ポイント202と土壌採取器201との連結箇所を部分的に断面視したものである。図10に示すように、土壌採取装置200は、実施例1のように汎用型の削孔ポイント2ではなく、土壌採取器201に対してポイント継手13を介さずに直接連結可能に形成される専用型の削孔ポイント202を備えている。
【0100】
この削孔ポイント202は、そのスクリュー部202aが実施例1の削孔ポイント2のスクリュー部2aと同一の形状に形成されている。この削孔ポイント202の全体はクロムモリブデン鋼材などの焼入れ可能な鋼材で形成されており、特に、スクリュー部202aは、その表面に浸炭焼入れが施され、その焼入れ深さが1mmとされ、その表面のロックウェル硬さCスケール(HRC)が60以上とされている。
【0101】
また、削孔ポイント202は、上記したポイント連結ねじ軸5に代えて、スクリュー部202aの基端面に螺嵌軸202bが一体形成されている。この螺嵌軸202bは、防炭処理により靭性が高められており、上記したポイント継手13の螺嵌軸13bと同一のねじ寸法を有した細目ねじ状の雄ねじとなっている。この螺嵌軸202bを介して、削孔ポイント202は、採取管10のポイント側連結穴10fの内周に直接に嵌入螺合されて連結される。
【0102】
このように土壌採取装置200によれば、採取管10のポイント側連結穴10fを閉塞する蓋体として、削孔ポイント202の螺嵌軸202bが用いられるため、削孔ポイント202によりポイント側連結穴10fを直接閉塞できる。よって、ポイント継手13を別途用意する必要もなく、土壌採取器201と削孔ポイント202の連結構造を簡素化できる。
【0103】
しかも、螺嵌軸202bは、削孔ポイント202に一体化された上で防炭処理により靭性が高められており、かつ、その外径が採取管10の外径未満ではあるが採取空間10bの内径を越える大きなサイズになっているので、地中での回転に伴う捻りに対する耐久性が高く、結果、螺嵌軸202bに応力集中が生じて削孔ポイント202が破損する事態を更に抑止できる。
【実施例3】
【0104】
次に、図11を参照して、削孔ポイントの別の変形例について説明する。実施例3の削孔ポイントは、上記した実施例2の削孔ポイントのスクリュー部に対し、その本体部分を角錐状の尖形部に変更したものである。以下、実施例3では、実施例2と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0105】
図11は、実施例3の削孔ポイント302の部品図であって、図11(a)が正面図であり、図11(b)が底面図であり、図11(c)が図11(a)のC−C線における端面図であり、図11(d)が図11(a)のD−D線における端面図である。なお、削孔ポイント302の背面図及び左右側面図はいずれも正面図と同様に表わされる。図11(a)には、採取管10及び外筒管11が想像線(2点鎖線)を用いて図示されることにより、削孔ポイント302と採取管10との連結状態も図示されている。
【0106】
図11に示すように、削孔ポイント302は、先端先鋭な角錐状の尖形部302aを備えている。この削孔ポイント302の全体は、クロムモリブデン鋼材などの焼入れ可能な鋼材で形成されており、特に、尖形部302aは、その表面に浸炭焼入れが施され、その焼入れ深さが1mmとされ、その表面のロックウェル硬さCスケール(HRC)が60以上とされている。
【0107】
尖形部302aの基端面には、実施例2と同じ螺嵌軸202bが一体形成されている。この螺嵌軸202bは、採取管10のポイント側連結穴10fの内周に直接に嵌入螺合されるものであり、削孔ポイント302と採取管10と互いに連結するために用いられる。
【0108】
図11(a)から図11(c)に示すように、尖形部302aは、先端先鋭な角錐状の形状をしているので、その外周にある複数の角部302a1により土壌を掻き退けて削孔することができる。しかも、この尖形部302aは、実施例1又は2のスクリュー部2a,202aのように外周部が捻れ且つ括れた形状でもないことから、地中への削孔及び貫入時に土から摩擦抵抗力を受けても折れ難くなっている。
【0109】
しかも、この尖形部302aは、その太さ(外径)が基端部から先端部へと漸減した先鋭な角錐状となっているので、例えば、地盤の固い箇所に削孔ポイント302を叩き込んだり或いは突き刺すように負荷を加えたとしても、折れ難くかつ地中へ貫入され易いものとなっている。また、尖形部302aの先端角βは、尖形部302aの本体部分の角度γに比べて大きく形成されてており、削孔及び貫入に伴う土からの摩擦抵抗を受けても破損し難くなっている。
【0110】
さらに、この角錐状の尖形部302aは、その基端側(図11(a)の下側)における外周面が円柱面状に面取りされることによって、図11(d)の端面図に示すように、その外周面の一部が円弧状の曲面302a2となっている。
【0111】
しかも、このような曲面302a2が外周面に形成される尖形部302aの基端部は、尖形部302aの中でも最大の外径を有する部分であって、その外径は外筒管11の外径よりも大きなっている。このように削孔ポイント302の基端部の外径が外筒管11より大きいことで、これが先端に連結される土壌採取器301は、地中へ貫入される際に採取管10の先端面に土が引っ掛かることが防止され、地中への貫入抵抗が軽減される。
【実施例4】
【0112】
次に、図12を参照して、外筒管の変形例について説明する。実施例4の外筒管は、上記した実施例1の外筒管に対し、一対の半円筒体の分割位置を変更したものである。以下、実施例4では、実施例1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0113】
図12は、実施例4の外筒管411の部品図であって、図12(a)が正面図であり、図12(b)が右側面図であり、図12(c)が平面図である。なお、図示は省略するが、外筒管11の左側面図は右側面図と同様に表わされ、底面図は平面図と同様に表わされる。
【0114】
図12に示すように、外筒管411は、半割れ状態の一対の半円筒体411b,411bで形成されており、これらの一対の半円筒体411b,411bが組み合わされて円筒状となる。また、外筒開口11aは、一対の半円筒体411b,411bのうち一方にのみ開口形成され、各半円筒体411b同士の割れ目を避けた箇所に設けられている。
【0115】
このように外筒開口11aを各半円筒体411bの割れ目を避けて設けることで、実施例1のように外筒開口11aとなる切欠凹部11dを各半円筒体11bに振り分けて形成する場合に比べて、地中での回転時に半円筒体411b,411bの割れ目に土に引っ掛かって外筒管411が外れるような不具合が軽減又は解消される。
【実施例5】
【0116】
次に、図13を参照して、ロッド継手の変形例について説明する。実施例5のロッド継手は、上記した実施例1のロッド継手に対し、その外周面の形状を変更するとともに、ロッド継手にポイント連結ねじ軸に代わる連結ねじ軸を一体形成したものである。以下、実施例5では、実施例1と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0117】
図13は、実施例5のロッド継手514の部品図であって、図13(a)が正面図であり、図13(b)が平面図であり、図13(c)が底面図であり、図13(d)がロッド3及び採取管10との連結状態を示した部分的に断面視した正面図である。なお、図示は省略するが、ロッド継手514の背面図、右側面図及び左側面図はその正面図と同様に表わされる。
【0118】
図13(a)に示すように、ロッド継手514は、その先端側から基端側へ向けて外径が漸減する円錐台状に形成されており、その円錐面状の外周曲面における正面、背面及び左右両面が、当該ロッド継手514の先端側から基端側まで切欠除去されることにより、当該正面、背面及び左右両面の合計4面が平坦斜面514aとなっている(図13(b)参照。)。
【0119】
このように4面の平坦斜面514aを設けることにより、ロッド継手514の外周面には、複数の角部514bが設けられる。そして、ロッド継手514は、土壌採取器501を回転させた場合、かかる複数の角部514bにより貫入孔内にある土を掻き退けることができるものとなる。
【0120】
例えば、地中への貫入後に土壌採取器501が貫入孔内で土(特に砂質の土壌)の中に埋まり込んだとしても、ロッド3を介して土壌採取器501を(正)回転させることで、そのような土をロッド継手514により掻き退けながら土壌採取器501を貫入孔から円滑に引き抜くことができる。
【0121】
また、ロッド継手514の外周面に形成された4面の平坦斜面514aは、それぞれを正対視した場合に、ロッド継手514の先端側から基端側へ幅が漸増する放物線状の輪郭となっている。そして、図13(b)に示すように、これらの4面の平坦斜面514aが形成されることにより、ロッド継手514の基端面は平面視正方形状となっている。
【0122】
ロッド継手514の基端面には、別体のロッド連結ねじ軸6に代えて、ロッド連結ねじ軸514cが一体形成されている。このロッド連結ねじ軸514cは、ロッド連結ねじ軸6と同一構成を有した並目ねじ状の雄ねじであり、ロッド3の先端部にある連結ねじ穴3aに螺合可能となっている(図13(d)参照。)
【0123】
また、ロッド継手514の正方形状の基端面の一辺の長さはロッド3の外径に等しくなっている。しかも、ロッド継手514の平坦斜面514aには、スパナ等の工具を外嵌係合可能となっていため、かかる工具を係合させる係合面を別途形成する必要がない。
【0124】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0125】
例えば、上記実施例1では、削孔ポイント2とポイント継手13との連結手段として、削孔ポイント2とは別体のポイント連結ねじ軸5を用いたが、かかる削孔ポイントとポイント継手13との連結手段は必ずしもこれに限定されるものではなく、そのポイント連結ねじ軸5と同一構成の雄ねじを有する軸部を、削孔ポイントのテーパ基部の基端面に一体形成し、この雄ねじを有する軸部を介して削孔ポイントをポイント継手13に連結するようにしても良い。それとも、ポイント連結ねじ軸5と同一構成の雄ねじを有する軸部を、ポイント継手13の先端部に一体形成し、この雄ねじを有する軸部を介して削孔ポイントをポイント継手13に連結するようにしても良い。
【0126】
また、上記実施例1〜4では、ロッド3とロッド継手14との連結手段として、ロッド連結ねじ軸6を用いたが、かかるロッドとロッド継手14との連結手段は必ずしもこれに限定されるものではなく、上記実施例5のように、そのロッド連結ねじ軸6と同一構成の雄ねじを有する軸部を、ロッドの先端面に一体形成し、この雄ねじを有する軸部を介してロッドをロッド継手14に連結するようにしても良い。
【0127】
また、上記実施例1〜3では、ロッド連結ねじ軸6がロッド3の連結ねじ穴3aとロッド継手14の連結ねじ穴14cとの双方に嵌入螺合されることにより、ロッド3とロッド継手14とが連結され、更に、このロッド継手14の螺嵌軸14bが採取管10のロッド側連結穴10gに嵌入螺合されることにより、ロッド3と土壌採取器1,201,301とが連結されるように構成された。
【0128】
しかしながら、ロッド3と土壌採取器1,201,301との連結手段は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、ロッドの先端部に螺嵌軸を直接一体形成して、このロッドの螺嵌軸の外周面にロッド継手14の螺嵌軸14bと同一構成の細目ねじを形成し、このロッド自体の螺嵌軸を採取管10のロッド側連結穴10gに直接に嵌入螺合することにより、ロッドと採取管10とを連結するようにしても良い。
【0129】
さすれば、このロッドの先端部に一体形成される螺嵌軸は、採取管10のロッド側連結穴10gを閉塞する蓋体(請求項2に係るロッドの先端部に一体形成される基端蓋部材に相当する。)として用いられるため、採取管10のロッド側連結穴10gをロッドを用いて直接閉塞でき、ロッド継手14が不要となり、ロッドの連結手段を簡素化できる。
【0130】
しかも、このロッドの螺嵌軸は、ロッド自体に一体化されることに加え、その外径が採取管10の外径未満ではあるが採取空間10bの内径を越える大きなサイズとなっているので、地中での回転に伴う捻りに対する耐久性が高められており、当該螺嵌軸に応力集中が生じてロッドと採取管10との連結部分が破損することが防止される。
【符号の説明】
【0131】
1 土壌採取器
2 削孔ポイント(先端蓋部材に連結可能な基端部を有する削孔部材)
2b テーパ基部(削孔部材の基端部)
3 ロッド(基端蓋部材に連結可能な先端部を有するロッド)
5 ポイント連結ねじ軸(削孔部材と先端蓋部材との連結手段)
6 ロッド連結ねじ軸(ロッドと基端蓋部材との連結手段)
10 採取管
10a 採取口
10b 採取空間
10f ポイント側連結穴(先端穴)
10g ロッド側連結穴(基端穴)
11 外筒管
11a 外筒開口
11b,11b 半円筒体
11d,11d 切欠凹部
12 シャッター板
12a 土掻き爪
13 ポイント継手
13b 螺嵌軸(先端蓋部材)
14 ロッド継手
14b 螺嵌軸(基端蓋部材)
100,200 土壌採取装置
201 土壌採取器
202 削孔ポイント(先端蓋部材が基端部に一体形成される削孔部材)
202b 螺嵌軸(先端蓋部材)
301 土壌採取器
302 削孔ポイント(先端蓋部材が基端部に一体形成される削孔部材)
411 外筒管
411b,411b 半円筒体
501 土壌採取器
514 ロッド継手
514c ロッド連結ねじ軸(ロッドと基端蓋部材との連結手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に削孔部材を連結可能でかつ基端部にロッドを連結可能であって、そのロッドを中心軸回りに正回転させることで削孔部材により地中に貫入孔を削孔し、所定の地下深度で、ロッドが中心軸回りに逆回転されることにより、貫入孔内の土壌を採取して収容するために使用される土壌採取器において、
貫入孔内の土壌を収容する採取空間を内周部に有した筒状体に形成される採取管と、
その採取管の軸方向一端部に前記採取空間と連通して開口形成される先端穴と、
その先端穴のある前記採取管の軸方向一端部に着脱自在に直接連結されることにより当該先端穴を閉塞し、かつ、削孔部材の基端部が連結可能に形成され、又は、削孔部材の基端部に一体形成される先端蓋部材と、
その先端蓋部材が連結される前記採取管の外周に前記採取空間と連通して設けられその採取空間へ土壌を取り込む採取口と、
その採取口を有した前記採取管の外周に外嵌固定される外筒管と、
その外筒管の外周の一部に開口形成され前記採取口と連通され当該採取口を外部に露出させる外筒開口と、
その外筒開口及び採取口を開閉するために前記採取管の外周部と前記外筒管の内周部との間に挟装され周方向へスライド自在に配設されるシャッター板と、
そのシャッタ板の周方向一端部に設けられ、前記外筒開口を通じて前記外筒管の外周面より外側まで延出され、前記採取管の正回転により貫入孔内で前記シャッター板の閉鎖方向に外力を受け、前記採取管の逆回転により貫入孔内で前記シャッター板の開放方向に外力を受けて貫入孔内の土を掻き取る土掻き爪とを備えていることを特徴とする土壌採取器。
【請求項2】
前記先端穴及び先端蓋部材に加えて、又は、前記先端穴及び先端蓋部材に代えて、前記採取管の軸方向他端部に前記採取空間と連通して開口形成される基端穴と、その基端穴のある前記採取管の軸方向他端部に着脱自在に直接連結されることにより当該基端穴を閉塞し、かつ、ロッドの先端部が連結可能に形成され、若しくは、ロッドの先端部に一体形成される基端蓋部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の土壌採取器。
【請求項3】
前記外筒管は、半割れ状態の一対の半円筒体で組み合わせることにより前記採取管の外周に外嵌可能な筒形状となるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌採取器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−179284(P2011−179284A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46987(P2010−46987)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(510059538)
【出願人】(510059549)株式会社TMGproducts. (1)
【Fターム(参考)】