土砂災害感知システム
【課題】 水路ブロックの設置地盤の異常状態を知ることによって、土砂災害(法面の異常)を早期に感知することのできる土砂災害感知システムを提供する。
【解決手段】 土砂災害感知システム10は、法面5から生じる雨水を排水するための、各々が連結した複数の水路ブロック11と、水路ブロック11の側壁に連続的に取付けられた光ファイバー30と、光ファイバー30の一方端部に設置された光ファイバー試験機35とから主に構成されている。そして、水路ブロック11の設置地盤が崩壊すると、水路ブロック11間のずれによって光ファイバー30が破断し、その破断場所が光ファイバー試験機35によって検知される。即ち、水路ブロック11の設置地盤の異常開始状態を感知することができるため、土砂災害を早期に感知することができる。
【解決手段】 土砂災害感知システム10は、法面5から生じる雨水を排水するための、各々が連結した複数の水路ブロック11と、水路ブロック11の側壁に連続的に取付けられた光ファイバー30と、光ファイバー30の一方端部に設置された光ファイバー試験機35とから主に構成されている。そして、水路ブロック11の設置地盤が崩壊すると、水路ブロック11間のずれによって光ファイバー30が破断し、その破断場所が光ファイバー試験機35によって検知される。即ち、水路ブロック11の設置地盤の異常開始状態を感知することができるため、土砂災害を早期に感知することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は土砂災害感知システムに関し、特に、法面から生じる雨水の排出のために設置される水路ブロックを利用した土砂災害感知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図19は一般的な法面構造を示す概略正面図であり、図20は図19で示したXX−XXラインの拡大断面図である。
【0003】
これらの図を参照して、小段6a、6bを有する法面5及び地面7には、各々が連結した複数の水路ブロック70a、70bよりなる排水路9が連続的に設置されている。法面5から生じる雨水は、排水路9を介して下方側へと移動した後、図示しない河川等に排出される。
【0004】
又、水路ブロック70a、70bの各々は、施工場所等の条件から、長手方向の長さが1〜2m程度の扱い易いものが通常使用される。そして、水路ブロック70a、70bの各々は、ゴムパッキン又はモルタル充填等よりなる目地部(図示せず)を介してシール状態で連結されている。
【0005】
このような法面構造の法面5の崩壊を感知するためには、法面工事終了後の管理メンテナンス又は保守点検等が考えられるが、コスト的な問題が発生するため、無人の土砂災害感知システムが種々提案されている。
【0006】
その中には、例えば、支柱に取付けられた、発光器や警報ブザーを有する警報装置を法面5に複数設置し、支柱の各々をロープで連結させたものがある(特許文献1)。
【0007】
又は、法面5に設置された複数の基準固定点に仮想滑り面より深く固定棒を設置すると共に、基準固定点間に設置された複数の表層移動点に仮想滑り面より浅く固定棒を設置し、張力計や距離計を介して各固定棒をワイヤーによって特定形状に固縛したものがある(特許文献2)。
更には、伸び率が相違する複数の芯線を有する複合多芯電線を法面5内に設置し、法面5の崩壊によって各芯線が切断する時間差を利用して、法面5の崩壊の進行状態を検知するものがある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−97690号公報
【特許文献2】特開2006−337294号公報
【特許文献3】特開平11−38149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の土砂災害感知システムでは、土砂災害(法面の異常)を早期の段階で感知することができなかった。以下に図を用いて説明する。
【0010】
再度図20を参照して、上述した通り、水路ブロック70a、70bの各々は目地部(図示せず)を介してシール状態で連結されている。しかしながら、例えばゴムパッキンが紫外線によって経年劣化する、又は温度変化による水路ブロック70a、70bの膨張及び伸縮によってモルタルが剥がれ落ちる、又は施工不良等の種々の原因から、施工後において目地部からの漏水が徐々に発生していく場合が一般的である。
【0011】
従って、図の矢印で示すように水路ブロック70a、70bの目地部からの漏水が法面5内に徐々に浸透することによって、まず破線で囲まれた範囲の法面5が崩壊した後、法面5全体が崩壊する土砂災害が多く発生していた。即ち、水路ブロック70a、70bの設置地盤の崩壊から発生する土砂災害が多く発生していた。
【0012】
そして、従来の土砂災害感知システムは、水路ブロック70a、70bの設置地盤の変化を感知するものでは無く、法面5における特定箇所が崩壊又は全体が崩壊して、初めてその崩壊が感知できるものであった。
【0013】
このように、法面5全体が崩壊する大きな土砂災害が発生した場合、家屋等の財産が破壊されると共に、人的被害も発生する虞が高い。しかしながら、法面5の崩壊が軽微な段階、即ち水路ブロック70a、70bの設置地盤が崩壊した段階で感知し、復旧作業を行うことによって、土砂災害による被害を最小限にすることが可能となる。更に、軽微な段階での復旧作業は、大きな土砂災害が発生した後での復旧に比べて容易である。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、水路ブロックの設置地盤の異常状態を知ることによって、土砂災害(法面の異常)を早期に感知することのできる土砂災害感知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために連結して設置される複数の水路ブロックと、水路ブロックの各々に沿わせて連続的に取付けられるセンサーケーブルと、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備えたものである。
【0016】
このように構成すると、漏水等で水路ブロックがずれると、センサーケーブルが破断する。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、センサーケーブルは光ファイバーであり、検知手段は、光ファイバーの端部に設置された光ファイバー試験機であるものである。
【0018】
このように構成すると、端部から破断位置までの距離が判明する。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの側壁の外面に取付けられると共に、隣接する水路ブロックの各々の端部において少なくとも固定されるものである。
【0020】
このように構成すると、光ファイバーは、水路ブロックの設置後に取付けられ、水路ブロックのずれによる荷重が掛かり易い。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの側壁の外面に固定された開閉自在のケーブルケース内に設置されるものである。
【0022】
このように構成すると、光ファイバーは露出しない。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの側壁を長手方向に貫通した取付孔に挿通されるものである。
【0024】
このように構成すると、光ファイバーは露出しない。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの端部の近傍において余剰分を介して取り付けられるものである。
【0026】
このように構成すると、破断時に余剰分を引出せる。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、余剰分は、側壁の外面に固定された保護体に収納されるものである。
【0028】
このように構成すると、余剰分は露出しない。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、漏水等で水路ブロックがずれると、センサーケーブルが破断するため、水路ブロックの設置地盤の異常状態を知ることができる。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、端部から破断位置までの距離が判明するため、破断箇所を的確に把握できるので使い勝手が向上する。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、光ファイバーは、水路ブロックの設置後に取付けられ、水路ブロックのずれによる荷重が掛かり易いため、設置が容易で破断時の感度が向上する。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、光ファイバーは露出しないため、取付状態の信頼性が向上する。
【0033】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、光ファイバーは露出しないため、取付状態の信頼性が向上する。
【0034】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の効果に加えて、破断時に余剰分を引出せるため、破断後の修復が容易になる。
【0035】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、余剰分は露出しないため、使用までに損傷を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の第1の実施の形態による土砂災害感知システムを備える法面構造を示す概略正面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【図3】図2で示した水路ブロックの拡大斜視図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの拡大断面図である。
【図5】図4で示したV−Vラインの拡大端面図である。
【図6】図4で示したVI−VIラインの拡大端面図である。
【図7】図4で示したVII−VIIラインの拡大端面図である。
【図8】図4で示した水路ブロックの目地部付近を示す概略図である。
【図9】図1で示した光ファイバー試験機における光ファイバーの破断の検知方法を示す概略図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図である。
【図11】この発明の第3の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図である。
【図12】この発明の第4の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図である。
【図13】この発明の第5の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図である。
【図14】図13で示したXIV−XIVラインの拡大端面図である。
【図15】この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムの水路ブロックの斜視図である。
【図16】この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図である。
【図17】図16で示したXVII−XVIIラインの拡大端面図である。
【図18】図16で示したXVIII−XVIIIラインの拡大端面図である。
【図19】一般的な法面構造を示す概略正面図である。
【図20】図19で示したXX−XXラインの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1はこの発明の第1の実施の形態による土砂災害感知システムを備える法面構造を示す概略正面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【0038】
これらの図を参照して、小段6a、6bを有する法面5及び地面7には、法面5から生じる雨水を排水するための、各々が連結した複数の水路ブロック11よりなる排水路9が設置されている。尚、水路ブロック11の各々には、断面U字形状に延びるプレキャストコンクリートが使用されている。
【0039】
そして、土砂災害感知システム10は、上述した複数の水路ブロック11と、水路ブロック11の外方側(図2の右側)の側壁15の外面に連続的に取付けられた光ファイバー30と、光ファイバー30の一方端部に設置された検知手段である光ファイバー試験機35とから主に構成されている。尚、光ファイバー試験機35には、所謂光パルス試験器(OTDR)が使用されている。又、光ファイバー試験機35は図示しない監視装置に接続されており、使用者は光ファイバー試験機35からの信号(後述する光ファイバー30の破断等)を監視装置によって監視する。
【0040】
又、図2で示すように、光ファイバー30は、水路ブロック11の外方側の側壁15の外面に対して、側壁15の上端部(小段6aの上面)からの深さDが約20cmとなるように取付けられている。従って、光ファイバー30及び後述するケーブルケース等の取付時又は交換時における小段6aの掘削及び埋め戻しが容易となる。
【0041】
次に、水路ブロック11の形状について説明する。
【0042】
図3は図2で示した水路ブロックの拡大斜視図である。
【0043】
図を参照して、U字形状に延びるプレキャストコンクリートよりなる水路ブロック11の側壁15の外面には、長手方向に延びる溝17が形成されている。又、溝17の一方端には、後述する光ファイバーの余剰分を収納する保護体を取付けるための、溝17の上下幅より大きな径の円柱状の保護体用溝18が形成されている。更に、溝17の他方端及び保護体用溝18の溝17に対向する端部、即ち水路ブロック11の両端部の各々には、溝17より幅の大きい四角柱形状の固定用溝19a、19bが形成されている。
【0044】
尚、水路ブロック11の製造時において容易に取り外せる型枠を使用しているため、溝17、保護体用溝18及び固定用溝19a、19bの各々は、外方に向かって拡大するテーパ状に形成されている。
【0045】
次に、このような水路ブロック11に対する光ファイバーの設置形態について説明する。
【0046】
図4は図2で示したIV−IVラインの拡大断面図であり、図5は図4で示したV−Vラインの拡大端面図であり、図6は図4で示したVI−VIラインの拡大端面図であり、図7は図4で示したVII−VIIラインの拡大端面図である。
【0047】
これらの図を参照して、隣接する水路ブロック11a、11bは、各々の側壁15a、15bに形成された固定用溝19a、19bの位置が対応するように、モルタルよりなる目地部21を介してシール状態に連結されている。
【0048】
ここで、図4及び図5を参照して、水路ブロック11aの側壁15aの外面に形成された溝17には、合成ゴムよりなるケーブルケース41が接着剤42によって固定されている。ケーブルケース41は、断面L字形状の収納部51と、収納部51の上部に接続された蓋部52とから構成されている。そして、ケーブルケース41の収納部51には光ファイバー30が収納されている。尚、図5の二点鎖線で示すように、合成ゴムよりなるケーブルケース41は弾性を有するため、その蓋部52を上方に移動させることで開放できるので、蓋部52を取り外す必要が無い。従って、光ファイバー30の収納及び取出しが容易となる。
【0049】
次に、図4及び図6を参照して、水路ブロック11aの側壁15aの外面に形成された保護体用溝18には、合成樹脂よりなる保護体44が接着剤47によって固定されている。保護体44は、円筒形状の収納部45と、図6の二点鎖線で示すように収納部45に脱着自在に係合する円板状の蓋部46とから構成されている。そして、保護体44の収納部45内には、光ファイバー30が旋回状に設置されており、この旋回状部分が光ファイバー30の余剰分31となる。尚、光ファイバー30による通信をスムーズに行うために、この旋回状部分における直径は10cmより大きく設定することが好ましい。
【0050】
このように、固定用溝19bの近傍、即ち水路ブロック11aの端部の近傍において光ファイバー30に余剰分31を設けることによって、後述する光ファイバー30の破断時において余剰分31を引出すことが可能となる。従って、光ファイバー30の破断後における融着接続等の修復作業が容易となる。
【0051】
又、光ファイバー30の余剰分31は保護体44に収納されるため、余剰分31が外方に露出する虞が無い。従って、余剰分31は上述した修復作業時における使用までに損傷を受けることが無い。
【0052】
次に、図4及び図7を参照して、水路ブロック11a、11bの側壁15a、15bの各々の外面に形成された固定用溝19a、19bには、これらを合わせた形状に対応した合成樹脂よりなる断面コの字形状の蓋体48が接着剤49によって固定されている。又、固定用溝19a、19bの各々において、光ファイバー30がシール28a、28bの各々によって水路ブロック11a、11bの側壁15a、15bの各々に固定されている。このように、光ファイバー30を固定用溝19a、19bで、即ち水路ブロック11a、11bの各々の端部において固定することによる効果については後述する。
【0053】
このように、光ファイバー30は水路ブロック11a、11bの側壁15a、15bの外面に取付けられるため、水路ブロック11a、11bを法面等へ設置した後に、光ファイバー30を取付けることができる。即ち、光ファイバー30を予め水路ブロック11a、11bに取付けておく必要が無いため、光ファイバー30の設置が容易となる。
【0054】
又、光ファイバー30はケーブルケース41、保護体44及び蓋体48内に設置されると共に、埋め戻し土によって周囲が覆われるため、光ファイバー30は外方に露出することが無い。従って、光ファイバー30が不用意に破断する、又は早期に劣化する等の虞が低減するため、光ファイバー30の取付状態の信頼性が向上する。更に、光ファイバー30、ケーブルケース41、保護体44及び蓋体48は、溝17、保護体用溝18及び固定用溝19a、19b内に設置されるため、設置後の埋め戻し土による影響を受け難い。従って、光ファイバー30の取付状態の信頼性が更に向上する。
【0055】
次に、水路ブロック11a、11bを連結する目地部21からの漏水によって、水路ブロック11a、11bの設置地盤が崩壊した場合の光ファイバー30の状態について説明する。
【0056】
図8は図4で示した水路ブロックの目地部付近を示す概略図であって、(1)は水路ブロックの設置地盤が通常状態の場合を示すものであり、(2)は水路ブロックの設置地盤が異常状態の場合を示すものである。
【0057】
尚、本図においては光ファイバー30を中心に図示しているため、溝17等に設置されるケーブルケース、保護体及び蓋体を省略している。
【0058】
まず(1)を参照して、設置地盤が通常状態である水路ブロック11a、11bにおいては、光ファイバー30も安定した設置状態となっている。即ち、光ファイバー30は破断していない。このような状態から、目地部21の劣化等によって水路ブロック11a、11b内の雨水が目地部21から漏水し、水路ブロック11bの設置地盤が崩壊する異常状態になると、図の矢印で示すように、目地部21を基準として水路ブロック11bが下方向に移動してずれが生じる。
【0059】
次に(2)を参照して、設置地盤が異常状態となった水路ブロック11a、11bにおいては、水路ブロック11a、11b間の相対的なずれによる荷重によって光ファイバー30が破断する。
【0060】
そして、このような光ファイバー30の破断を、図1で示した光ファイバー試験機35で検知することによって、水路ブロック11a、11bの設置地盤の異常開始状態を知ることができる。即ち、土砂災害を早期に感知することができる。光ファイバー試験機35によって光ファイバー30の破断を具体的に検知する方法については後述する。
【0061】
尚、上述した通り、光ファイバー30は水路ブロック11a、11bの固定用溝19a、19bの各々、即ち水路ブロック11a、11bの各々の端部において、シール28a、28bの各々で固定されている。従って、シール28a、28b間における光ファイバー30の部分に対して、水路ブロック11a、11b間の相対的なずれによる荷重が掛かり易くなり、破断し易くなる。従って、光ファイバー30の破断時における検知感度が向上する。
【0062】
次に、光ファイバー試験機によって光ファイバー30の破断を検知する方法について説明する。
【0063】
図9は図1で示した光ファイバー試験機における光ファイバーの破断の検知方法を示す概略図であって、(1)は光ファイバーが通常の状態を示すものであり、(2)は光ファイバーが破断した状態を示すものである。
【0064】
まず(1)を参照して、光ファイバー30の一方端部に設置された光ファイバー試験機35は、定期的又は連続的に光ファイバー30の他方端部に向けて、実線矢印で示す光パルス23を入射している。そして、入射された光パルス23が光ファイバー30の他方端部に到達、即ち光パルス23が距離L進むと、一点鎖線矢印で示す後方散乱光24が発生する。そして、この後方散乱光24の位置及び強度を測定することで、光ファイバー30の状態を監視している。即ち、光ファイバー30が破断していない通常状態においては、光ファイバー試験機35は入射した光パルス23が距離L離れた他方端部まで到達したことを、後方散乱光24によって検知する。
【0065】
次に(2)を参照して、光ファイバー30が破断部27で破断した異常状態においては、光ファイバー試験機35から入射された光パルス23が距離L1離れた破断部27に到達すると、破断部27から二点鎖線矢印で示す後方散乱光25が発生することになる。即ち、(1)で示した通常状態の後方散乱光24と異なる後方散乱光25が発生するため、その異常を光ファイバー試験機35が検知する。尚、例えば距離L2離れた位置に破断部が発生した場合、光ファイバー試験機35はその位置に対応した後方散乱光を検知することができる。
【0066】
このようにして、光ファイバー試験機35は光ファイバー30の破断、即ち水路ブロックの設置地盤の異常状態を検知する。
【0067】
尚、上述した通り、光ファイバー試験機35によって光ファイバー30の破断のみならず、その破断位置までの距離が判明する。従って、光ファイバー30の破断箇所を的確に把握できるため、設置地盤の異常箇所が具体的に判明し、土砂災害感知システムの使い勝手が向上する。
【0068】
図10はこの発明の第2の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図であって、第1の実施の形態の図5に対応するものである。
【0069】
図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、光ファイバー30を収納するケーブルケース54の形状を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、水路ブロック11の側壁15の外面に形成された溝17には、断面C字形状のケーブルケース54が接着剤42によって固定されている。そして、図の二点鎖線で示すように、ケーブルケース54においては、その前面部の上下の各々を移動させて開放することができるため、光ファイバー30の収納及び取出しが更に容易となる。
【0070】
図11はこの発明の第3の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図であって、第1の実施の形態の図5に対応するものである。
【0071】
図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、光ファイバー30を収納するケーブルケース55の形状を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、水路ブロック11の側壁15の外面に形成された溝17に接着剤42によって固定された合成樹脂よりなるケーブルケース55は、断面コの字形状の収納部56と、収納部56に脱着自在に嵌合する断面逆コの字形状の蓋部57とから構成されている。
【0072】
このようなケーブルケース55にあっては、蓋部57を取り外した開放状態で収納部56に光ファイバー30を収納することができるため、光ファイバー30の設置が更に容易となる。
【0073】
図12はこの発明の第4の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図であって、第1の実施の形態の図4に対応するものである。
【0074】
図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、水路ブロック12a、12bの形状及び光ファイバー30の設置形態を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、水路ブロック12a、12bの側壁15a、15bの外面には溝が形成されておらず、ケーブルケース41、保護体44及び蓋体48が、直接水路ブロック12a、12bの側壁15a、15bの外面に図示しない接着剤で固定されている。そして、光ファイバー30は、ケーブルケース41、保護体44及び蓋体48内に収納されており、その収納状態については第1の実施の形態と同様である。
【0075】
このようにケーブルケース41等を設置することによって、水路ブロック12a、12bに溝を形成する必要が無くなるため、コスト的に有利となる。更に、溝が形成されていない既設の水路ブロック12a、12bに対して追加的に光ファイバー30を取付けることができる。
【0076】
図13はこの発明の第5の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図であって、第4の実施の形態の図12に対応するものであり、図14は図13で示したXIV−XIVラインの拡大端面図である。
【0077】
これらの図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、光ファイバー30の余剰分31を保護する保護体60の形状を除いては、第4の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、保護体60は、水路ブロック12の側壁15の外面に接着剤47によって固定された矩形板状の合成ゴムよりなるベース61と、ベース61の表面を覆う矩形板状の合成ゴムよりなるカバー62とから構成されている。尚、ベース61の上方部とカバー62の上方部とは、例えば図視しない接着剤等によって固定されている。
【0078】
このような保護体60においては、ベース61の表面上に光ファイバー30の余剰分31を設置し、カバー62によって覆うことで光ファイバー30を確実に保護することができる。又、図14の二点鎖線で示すように、カバー62の下方部分を持ち上げることによって、光ファイバー30を容易に設置及び引き出すことができるため、メンテナンスも容易となる。更に、保護体60は簡易な構造であるため、コスト的に有利となる。
【0079】
次に、この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムについて説明するが、まず第6の実施の形態において使用する水路ブロックの形状について説明する。
【0080】
図15はこの発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムの水路ブロックの斜視図である。
【0081】
図を参照して、この水路ブロック13にあっては、光ファイバーを収納するための溝部分の形状を除いては、図3で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システムの水路ブロック11と同一である。即ち、水路ブロック13には、固定用溝19aの側面と保護体用溝18の側面とを繋ぐ、即ち、水路ブロック13の側壁15を長手方向に貫通した取付孔33が形成されている。
【0082】
次に、このような水路ブロック13に対する光ファイバーの設置形態について説明する。
【0083】
図16はこの発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図であって、第1の実施の形態の図4に対応するものであり、図17は図16で示したXVII−XVIIラインの拡大端面図であり、図18は図16で示したXVIII−XVIIIラインの拡大端面図である。
【0084】
これらの図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、水路ブロック13a、13bの形状、即ち光ファイバー30の設置形態を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、光ファイバー30は上述した水路ブロック13a、13bの取付孔33に挿通されている。従って、第1の実施の形態によるケーブルケースと同様、光ファイバー30は外方に露出することが無い。従って、光ファイバー30が不用意に破断する、又は早期に劣化する等の虞が低減するため、光ファイバー30の取付状態の信頼性が向上する。尚、取付孔33を除く光ファイバー30を収納する部分、即ち保護体用溝18、固定用溝19a、19b、保護体44及び蓋体48の形状等については、第1の実施の形態によるものと同一である。
尚、上記の各実施の形態では、土砂災害感知システムは特定の法面構造に対して適用されているが、種々の法面構造に対して同様に適用できることは言うまでも無い。
【0085】
又、上記の各実施の形態では、水路の側壁には光ファイバーがセンサーケーブルとして取付けられているが、例えば電線ケーブル等、他のセンサーケーブルが取付けられていても良い。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、検知手段として特定の光ファイバー試験機が使用されているが、例えば光ファイバーの一方端部に送信機を設置すると共に他方端部に受信機を設置する等、光ファイバーの破断を検知できれば他の検知手段であっても良い。又は、種々のセンサーケーブルを使用する場合、その破断を検知できるものであれば、更に他の検知手段であっても良い。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、断面U字形状に延びる特定形状の水路ブロックが使用されているが、例えば断面が四角筒状の暗渠等、他の形状の水路ブロックを使用しても良いことは言うまでも無い。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、目地部にはモルタルが使用されているが、例えばゴムパッキン等、水路ブロック同士をシール状態に連結できるものであれば、目地部は他の素材で構成されていても良い。
【0089】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーは水路ブロックの外方側の側壁の外面に取付けられているが、水路ブロックの各々に沿わせて連続的に取付けられていれば、水路ブロックの他の部分に取付けられていても良い。
【0090】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーは水路ブロックの各々の端部においてシールによって固定されているが、光ファイバーは水路ブロックの各々の端部において固定されていなくても良いし、水路ブロック全体に固定されていても良い。又は、光ファイバーを水路ブロックの側壁の外面に固定できるものであれば、他の部材によって固定されていても良い。
【0091】
更に、上記の各実施の形態では、水路ブロック間のずれによって破断する光ファイバーの部分はシールによって直線状となるように固定されているが、例えば、この破断部分を波状にする等、光ファイバーの破断部分に若干の余裕を設けても良い。これによって、不用意に光ファイバーが破断する虞を低減することができる。即ち、水路ブロック間の小さなずれによっては光ファイバーが破断せず、大きなずれによる場合のみ、即ち水路ブロックの設置地盤が確実に異常状態となった場合にのみ光ファイバーが破断することになる。又、この光ファイバーの破断部分の余裕長さを調整することによって、検知する水路ブロック間のずれの大きさ(設置地盤の異常状態の程度)を容易に設定することができる。
【0092】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーは1個の水路ブロックの端部付近において旋回状に配置された1箇所の余剰分を有しているが、例えば波状等、余剰分は他の形状で配置されていても良い。又は、余剰分は水路ブロックの中央部に設けられていても良いし、例えば1個の水路ブロックの両端部付近の各々等、余剰分は1個の水路ブロックに対して2箇所以上設けられていても良い。又は、余剰分は無くても良い。
【0093】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーの余剰分は特定形状の保護体によって保護されているが、余剰分を保護できる形状であれば、保護体は他の形状であっても良い。又は、保護体は無くても良い。
【0094】
更に、上記の第1〜第5の実施の形態では、光ファイバーは開閉自在の特定形状のケーブルケースに収納されているが、光ファイバーを収納できる開閉自在のものであれば、ケーブルケースは他の形状であっても良い。その場合、合成ゴム、塩化ビニル又はプラスチック等、種々の素材を使用しても良い。又は、ケーブルケースは無くても良い。
【符号の説明】
【0095】
5…法面
10…土砂災害感知システム
11〜13…水路ブロック
15…側壁
27…破断部
30…光ファイバー
31…余剰分
33…取付孔
35…光ファイバー試験機
41、54、55…ケーブルケース
44、60…保護体
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は土砂災害感知システムに関し、特に、法面から生じる雨水の排出のために設置される水路ブロックを利用した土砂災害感知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図19は一般的な法面構造を示す概略正面図であり、図20は図19で示したXX−XXラインの拡大断面図である。
【0003】
これらの図を参照して、小段6a、6bを有する法面5及び地面7には、各々が連結した複数の水路ブロック70a、70bよりなる排水路9が連続的に設置されている。法面5から生じる雨水は、排水路9を介して下方側へと移動した後、図示しない河川等に排出される。
【0004】
又、水路ブロック70a、70bの各々は、施工場所等の条件から、長手方向の長さが1〜2m程度の扱い易いものが通常使用される。そして、水路ブロック70a、70bの各々は、ゴムパッキン又はモルタル充填等よりなる目地部(図示せず)を介してシール状態で連結されている。
【0005】
このような法面構造の法面5の崩壊を感知するためには、法面工事終了後の管理メンテナンス又は保守点検等が考えられるが、コスト的な問題が発生するため、無人の土砂災害感知システムが種々提案されている。
【0006】
その中には、例えば、支柱に取付けられた、発光器や警報ブザーを有する警報装置を法面5に複数設置し、支柱の各々をロープで連結させたものがある(特許文献1)。
【0007】
又は、法面5に設置された複数の基準固定点に仮想滑り面より深く固定棒を設置すると共に、基準固定点間に設置された複数の表層移動点に仮想滑り面より浅く固定棒を設置し、張力計や距離計を介して各固定棒をワイヤーによって特定形状に固縛したものがある(特許文献2)。
更には、伸び率が相違する複数の芯線を有する複合多芯電線を法面5内に設置し、法面5の崩壊によって各芯線が切断する時間差を利用して、法面5の崩壊の進行状態を検知するものがある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−97690号公報
【特許文献2】特開2006−337294号公報
【特許文献3】特開平11−38149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の土砂災害感知システムでは、土砂災害(法面の異常)を早期の段階で感知することができなかった。以下に図を用いて説明する。
【0010】
再度図20を参照して、上述した通り、水路ブロック70a、70bの各々は目地部(図示せず)を介してシール状態で連結されている。しかしながら、例えばゴムパッキンが紫外線によって経年劣化する、又は温度変化による水路ブロック70a、70bの膨張及び伸縮によってモルタルが剥がれ落ちる、又は施工不良等の種々の原因から、施工後において目地部からの漏水が徐々に発生していく場合が一般的である。
【0011】
従って、図の矢印で示すように水路ブロック70a、70bの目地部からの漏水が法面5内に徐々に浸透することによって、まず破線で囲まれた範囲の法面5が崩壊した後、法面5全体が崩壊する土砂災害が多く発生していた。即ち、水路ブロック70a、70bの設置地盤の崩壊から発生する土砂災害が多く発生していた。
【0012】
そして、従来の土砂災害感知システムは、水路ブロック70a、70bの設置地盤の変化を感知するものでは無く、法面5における特定箇所が崩壊又は全体が崩壊して、初めてその崩壊が感知できるものであった。
【0013】
このように、法面5全体が崩壊する大きな土砂災害が発生した場合、家屋等の財産が破壊されると共に、人的被害も発生する虞が高い。しかしながら、法面5の崩壊が軽微な段階、即ち水路ブロック70a、70bの設置地盤が崩壊した段階で感知し、復旧作業を行うことによって、土砂災害による被害を最小限にすることが可能となる。更に、軽微な段階での復旧作業は、大きな土砂災害が発生した後での復旧に比べて容易である。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、水路ブロックの設置地盤の異常状態を知ることによって、土砂災害(法面の異常)を早期に感知することのできる土砂災害感知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、土砂災害感知システムであって、法面から生じる雨水の排出のために連結して設置される複数の水路ブロックと、水路ブロックの各々に沿わせて連続的に取付けられるセンサーケーブルと、センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備えたものである。
【0016】
このように構成すると、漏水等で水路ブロックがずれると、センサーケーブルが破断する。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、センサーケーブルは光ファイバーであり、検知手段は、光ファイバーの端部に設置された光ファイバー試験機であるものである。
【0018】
このように構成すると、端部から破断位置までの距離が判明する。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの側壁の外面に取付けられると共に、隣接する水路ブロックの各々の端部において少なくとも固定されるものである。
【0020】
このように構成すると、光ファイバーは、水路ブロックの設置後に取付けられ、水路ブロックのずれによる荷重が掛かり易い。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの側壁の外面に固定された開閉自在のケーブルケース内に設置されるものである。
【0022】
このように構成すると、光ファイバーは露出しない。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの側壁を長手方向に貫通した取付孔に挿通されるものである。
【0024】
このように構成すると、光ファイバーは露出しない。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の構成において、光ファイバーは、水路ブロックの端部の近傍において余剰分を介して取り付けられるものである。
【0026】
このように構成すると、破断時に余剰分を引出せる。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、余剰分は、側壁の外面に固定された保護体に収納されるものである。
【0028】
このように構成すると、余剰分は露出しない。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、漏水等で水路ブロックがずれると、センサーケーブルが破断するため、水路ブロックの設置地盤の異常状態を知ることができる。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、端部から破断位置までの距離が判明するため、破断箇所を的確に把握できるので使い勝手が向上する。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、光ファイバーは、水路ブロックの設置後に取付けられ、水路ブロックのずれによる荷重が掛かり易いため、設置が容易で破断時の感度が向上する。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、光ファイバーは露出しないため、取付状態の信頼性が向上する。
【0033】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、光ファイバーは露出しないため、取付状態の信頼性が向上する。
【0034】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の効果に加えて、破断時に余剰分を引出せるため、破断後の修復が容易になる。
【0035】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、余剰分は露出しないため、使用までに損傷を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の第1の実施の形態による土砂災害感知システムを備える法面構造を示す概略正面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【図3】図2で示した水路ブロックの拡大斜視図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの拡大断面図である。
【図5】図4で示したV−Vラインの拡大端面図である。
【図6】図4で示したVI−VIラインの拡大端面図である。
【図7】図4で示したVII−VIIラインの拡大端面図である。
【図8】図4で示した水路ブロックの目地部付近を示す概略図である。
【図9】図1で示した光ファイバー試験機における光ファイバーの破断の検知方法を示す概略図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図である。
【図11】この発明の第3の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図である。
【図12】この発明の第4の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図である。
【図13】この発明の第5の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図である。
【図14】図13で示したXIV−XIVラインの拡大端面図である。
【図15】この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムの水路ブロックの斜視図である。
【図16】この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図である。
【図17】図16で示したXVII−XVIIラインの拡大端面図である。
【図18】図16で示したXVIII−XVIIIラインの拡大端面図である。
【図19】一般的な法面構造を示す概略正面図である。
【図20】図19で示したXX−XXラインの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1はこの発明の第1の実施の形態による土砂災害感知システムを備える法面構造を示す概略正面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
【0038】
これらの図を参照して、小段6a、6bを有する法面5及び地面7には、法面5から生じる雨水を排水するための、各々が連結した複数の水路ブロック11よりなる排水路9が設置されている。尚、水路ブロック11の各々には、断面U字形状に延びるプレキャストコンクリートが使用されている。
【0039】
そして、土砂災害感知システム10は、上述した複数の水路ブロック11と、水路ブロック11の外方側(図2の右側)の側壁15の外面に連続的に取付けられた光ファイバー30と、光ファイバー30の一方端部に設置された検知手段である光ファイバー試験機35とから主に構成されている。尚、光ファイバー試験機35には、所謂光パルス試験器(OTDR)が使用されている。又、光ファイバー試験機35は図示しない監視装置に接続されており、使用者は光ファイバー試験機35からの信号(後述する光ファイバー30の破断等)を監視装置によって監視する。
【0040】
又、図2で示すように、光ファイバー30は、水路ブロック11の外方側の側壁15の外面に対して、側壁15の上端部(小段6aの上面)からの深さDが約20cmとなるように取付けられている。従って、光ファイバー30及び後述するケーブルケース等の取付時又は交換時における小段6aの掘削及び埋め戻しが容易となる。
【0041】
次に、水路ブロック11の形状について説明する。
【0042】
図3は図2で示した水路ブロックの拡大斜視図である。
【0043】
図を参照して、U字形状に延びるプレキャストコンクリートよりなる水路ブロック11の側壁15の外面には、長手方向に延びる溝17が形成されている。又、溝17の一方端には、後述する光ファイバーの余剰分を収納する保護体を取付けるための、溝17の上下幅より大きな径の円柱状の保護体用溝18が形成されている。更に、溝17の他方端及び保護体用溝18の溝17に対向する端部、即ち水路ブロック11の両端部の各々には、溝17より幅の大きい四角柱形状の固定用溝19a、19bが形成されている。
【0044】
尚、水路ブロック11の製造時において容易に取り外せる型枠を使用しているため、溝17、保護体用溝18及び固定用溝19a、19bの各々は、外方に向かって拡大するテーパ状に形成されている。
【0045】
次に、このような水路ブロック11に対する光ファイバーの設置形態について説明する。
【0046】
図4は図2で示したIV−IVラインの拡大断面図であり、図5は図4で示したV−Vラインの拡大端面図であり、図6は図4で示したVI−VIラインの拡大端面図であり、図7は図4で示したVII−VIIラインの拡大端面図である。
【0047】
これらの図を参照して、隣接する水路ブロック11a、11bは、各々の側壁15a、15bに形成された固定用溝19a、19bの位置が対応するように、モルタルよりなる目地部21を介してシール状態に連結されている。
【0048】
ここで、図4及び図5を参照して、水路ブロック11aの側壁15aの外面に形成された溝17には、合成ゴムよりなるケーブルケース41が接着剤42によって固定されている。ケーブルケース41は、断面L字形状の収納部51と、収納部51の上部に接続された蓋部52とから構成されている。そして、ケーブルケース41の収納部51には光ファイバー30が収納されている。尚、図5の二点鎖線で示すように、合成ゴムよりなるケーブルケース41は弾性を有するため、その蓋部52を上方に移動させることで開放できるので、蓋部52を取り外す必要が無い。従って、光ファイバー30の収納及び取出しが容易となる。
【0049】
次に、図4及び図6を参照して、水路ブロック11aの側壁15aの外面に形成された保護体用溝18には、合成樹脂よりなる保護体44が接着剤47によって固定されている。保護体44は、円筒形状の収納部45と、図6の二点鎖線で示すように収納部45に脱着自在に係合する円板状の蓋部46とから構成されている。そして、保護体44の収納部45内には、光ファイバー30が旋回状に設置されており、この旋回状部分が光ファイバー30の余剰分31となる。尚、光ファイバー30による通信をスムーズに行うために、この旋回状部分における直径は10cmより大きく設定することが好ましい。
【0050】
このように、固定用溝19bの近傍、即ち水路ブロック11aの端部の近傍において光ファイバー30に余剰分31を設けることによって、後述する光ファイバー30の破断時において余剰分31を引出すことが可能となる。従って、光ファイバー30の破断後における融着接続等の修復作業が容易となる。
【0051】
又、光ファイバー30の余剰分31は保護体44に収納されるため、余剰分31が外方に露出する虞が無い。従って、余剰分31は上述した修復作業時における使用までに損傷を受けることが無い。
【0052】
次に、図4及び図7を参照して、水路ブロック11a、11bの側壁15a、15bの各々の外面に形成された固定用溝19a、19bには、これらを合わせた形状に対応した合成樹脂よりなる断面コの字形状の蓋体48が接着剤49によって固定されている。又、固定用溝19a、19bの各々において、光ファイバー30がシール28a、28bの各々によって水路ブロック11a、11bの側壁15a、15bの各々に固定されている。このように、光ファイバー30を固定用溝19a、19bで、即ち水路ブロック11a、11bの各々の端部において固定することによる効果については後述する。
【0053】
このように、光ファイバー30は水路ブロック11a、11bの側壁15a、15bの外面に取付けられるため、水路ブロック11a、11bを法面等へ設置した後に、光ファイバー30を取付けることができる。即ち、光ファイバー30を予め水路ブロック11a、11bに取付けておく必要が無いため、光ファイバー30の設置が容易となる。
【0054】
又、光ファイバー30はケーブルケース41、保護体44及び蓋体48内に設置されると共に、埋め戻し土によって周囲が覆われるため、光ファイバー30は外方に露出することが無い。従って、光ファイバー30が不用意に破断する、又は早期に劣化する等の虞が低減するため、光ファイバー30の取付状態の信頼性が向上する。更に、光ファイバー30、ケーブルケース41、保護体44及び蓋体48は、溝17、保護体用溝18及び固定用溝19a、19b内に設置されるため、設置後の埋め戻し土による影響を受け難い。従って、光ファイバー30の取付状態の信頼性が更に向上する。
【0055】
次に、水路ブロック11a、11bを連結する目地部21からの漏水によって、水路ブロック11a、11bの設置地盤が崩壊した場合の光ファイバー30の状態について説明する。
【0056】
図8は図4で示した水路ブロックの目地部付近を示す概略図であって、(1)は水路ブロックの設置地盤が通常状態の場合を示すものであり、(2)は水路ブロックの設置地盤が異常状態の場合を示すものである。
【0057】
尚、本図においては光ファイバー30を中心に図示しているため、溝17等に設置されるケーブルケース、保護体及び蓋体を省略している。
【0058】
まず(1)を参照して、設置地盤が通常状態である水路ブロック11a、11bにおいては、光ファイバー30も安定した設置状態となっている。即ち、光ファイバー30は破断していない。このような状態から、目地部21の劣化等によって水路ブロック11a、11b内の雨水が目地部21から漏水し、水路ブロック11bの設置地盤が崩壊する異常状態になると、図の矢印で示すように、目地部21を基準として水路ブロック11bが下方向に移動してずれが生じる。
【0059】
次に(2)を参照して、設置地盤が異常状態となった水路ブロック11a、11bにおいては、水路ブロック11a、11b間の相対的なずれによる荷重によって光ファイバー30が破断する。
【0060】
そして、このような光ファイバー30の破断を、図1で示した光ファイバー試験機35で検知することによって、水路ブロック11a、11bの設置地盤の異常開始状態を知ることができる。即ち、土砂災害を早期に感知することができる。光ファイバー試験機35によって光ファイバー30の破断を具体的に検知する方法については後述する。
【0061】
尚、上述した通り、光ファイバー30は水路ブロック11a、11bの固定用溝19a、19bの各々、即ち水路ブロック11a、11bの各々の端部において、シール28a、28bの各々で固定されている。従って、シール28a、28b間における光ファイバー30の部分に対して、水路ブロック11a、11b間の相対的なずれによる荷重が掛かり易くなり、破断し易くなる。従って、光ファイバー30の破断時における検知感度が向上する。
【0062】
次に、光ファイバー試験機によって光ファイバー30の破断を検知する方法について説明する。
【0063】
図9は図1で示した光ファイバー試験機における光ファイバーの破断の検知方法を示す概略図であって、(1)は光ファイバーが通常の状態を示すものであり、(2)は光ファイバーが破断した状態を示すものである。
【0064】
まず(1)を参照して、光ファイバー30の一方端部に設置された光ファイバー試験機35は、定期的又は連続的に光ファイバー30の他方端部に向けて、実線矢印で示す光パルス23を入射している。そして、入射された光パルス23が光ファイバー30の他方端部に到達、即ち光パルス23が距離L進むと、一点鎖線矢印で示す後方散乱光24が発生する。そして、この後方散乱光24の位置及び強度を測定することで、光ファイバー30の状態を監視している。即ち、光ファイバー30が破断していない通常状態においては、光ファイバー試験機35は入射した光パルス23が距離L離れた他方端部まで到達したことを、後方散乱光24によって検知する。
【0065】
次に(2)を参照して、光ファイバー30が破断部27で破断した異常状態においては、光ファイバー試験機35から入射された光パルス23が距離L1離れた破断部27に到達すると、破断部27から二点鎖線矢印で示す後方散乱光25が発生することになる。即ち、(1)で示した通常状態の後方散乱光24と異なる後方散乱光25が発生するため、その異常を光ファイバー試験機35が検知する。尚、例えば距離L2離れた位置に破断部が発生した場合、光ファイバー試験機35はその位置に対応した後方散乱光を検知することができる。
【0066】
このようにして、光ファイバー試験機35は光ファイバー30の破断、即ち水路ブロックの設置地盤の異常状態を検知する。
【0067】
尚、上述した通り、光ファイバー試験機35によって光ファイバー30の破断のみならず、その破断位置までの距離が判明する。従って、光ファイバー30の破断箇所を的確に把握できるため、設置地盤の異常箇所が具体的に判明し、土砂災害感知システムの使い勝手が向上する。
【0068】
図10はこの発明の第2の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図であって、第1の実施の形態の図5に対応するものである。
【0069】
図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、光ファイバー30を収納するケーブルケース54の形状を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、水路ブロック11の側壁15の外面に形成された溝17には、断面C字形状のケーブルケース54が接着剤42によって固定されている。そして、図の二点鎖線で示すように、ケーブルケース54においては、その前面部の上下の各々を移動させて開放することができるため、光ファイバー30の収納及び取出しが更に容易となる。
【0070】
図11はこの発明の第3の実施の形態による土砂災害感知システムのケーブルケースを示す端面図であって、第1の実施の形態の図5に対応するものである。
【0071】
図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、光ファイバー30を収納するケーブルケース55の形状を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、水路ブロック11の側壁15の外面に形成された溝17に接着剤42によって固定された合成樹脂よりなるケーブルケース55は、断面コの字形状の収納部56と、収納部56に脱着自在に嵌合する断面逆コの字形状の蓋部57とから構成されている。
【0072】
このようなケーブルケース55にあっては、蓋部57を取り外した開放状態で収納部56に光ファイバー30を収納することができるため、光ファイバー30の設置が更に容易となる。
【0073】
図12はこの発明の第4の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図であって、第1の実施の形態の図4に対応するものである。
【0074】
図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、水路ブロック12a、12bの形状及び光ファイバー30の設置形態を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、水路ブロック12a、12bの側壁15a、15bの外面には溝が形成されておらず、ケーブルケース41、保護体44及び蓋体48が、直接水路ブロック12a、12bの側壁15a、15bの外面に図示しない接着剤で固定されている。そして、光ファイバー30は、ケーブルケース41、保護体44及び蓋体48内に収納されており、その収納状態については第1の実施の形態と同様である。
【0075】
このようにケーブルケース41等を設置することによって、水路ブロック12a、12bに溝を形成する必要が無くなるため、コスト的に有利となる。更に、溝が形成されていない既設の水路ブロック12a、12bに対して追加的に光ファイバー30を取付けることができる。
【0076】
図13はこの発明の第5の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図であって、第4の実施の形態の図12に対応するものであり、図14は図13で示したXIV−XIVラインの拡大端面図である。
【0077】
これらの図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、光ファイバー30の余剰分31を保護する保護体60の形状を除いては、第4の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、保護体60は、水路ブロック12の側壁15の外面に接着剤47によって固定された矩形板状の合成ゴムよりなるベース61と、ベース61の表面を覆う矩形板状の合成ゴムよりなるカバー62とから構成されている。尚、ベース61の上方部とカバー62の上方部とは、例えば図視しない接着剤等によって固定されている。
【0078】
このような保護体60においては、ベース61の表面上に光ファイバー30の余剰分31を設置し、カバー62によって覆うことで光ファイバー30を確実に保護することができる。又、図14の二点鎖線で示すように、カバー62の下方部分を持ち上げることによって、光ファイバー30を容易に設置及び引き出すことができるため、メンテナンスも容易となる。更に、保護体60は簡易な構造であるため、コスト的に有利となる。
【0079】
次に、この発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムについて説明するが、まず第6の実施の形態において使用する水路ブロックの形状について説明する。
【0080】
図15はこの発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムの水路ブロックの斜視図である。
【0081】
図を参照して、この水路ブロック13にあっては、光ファイバーを収納するための溝部分の形状を除いては、図3で示した第1の実施の形態による土砂災害感知システムの水路ブロック11と同一である。即ち、水路ブロック13には、固定用溝19aの側面と保護体用溝18の側面とを繋ぐ、即ち、水路ブロック13の側壁15を長手方向に貫通した取付孔33が形成されている。
【0082】
次に、このような水路ブロック13に対する光ファイバーの設置形態について説明する。
【0083】
図16はこの発明の第6の実施の形態による土砂災害感知システムを示す断面図であって、第1の実施の形態の図4に対応するものであり、図17は図16で示したXVII−XVIIラインの拡大端面図であり、図18は図16で示したXVIII−XVIIIラインの拡大端面図である。
【0084】
これらの図を参照して、この実施の形態による土砂災害感知システムにあっては、水路ブロック13a、13bの形状、即ち光ファイバー30の設置形態を除いては、第1の実施の形態による土砂災害感知システムと同一である。即ち、光ファイバー30は上述した水路ブロック13a、13bの取付孔33に挿通されている。従って、第1の実施の形態によるケーブルケースと同様、光ファイバー30は外方に露出することが無い。従って、光ファイバー30が不用意に破断する、又は早期に劣化する等の虞が低減するため、光ファイバー30の取付状態の信頼性が向上する。尚、取付孔33を除く光ファイバー30を収納する部分、即ち保護体用溝18、固定用溝19a、19b、保護体44及び蓋体48の形状等については、第1の実施の形態によるものと同一である。
尚、上記の各実施の形態では、土砂災害感知システムは特定の法面構造に対して適用されているが、種々の法面構造に対して同様に適用できることは言うまでも無い。
【0085】
又、上記の各実施の形態では、水路の側壁には光ファイバーがセンサーケーブルとして取付けられているが、例えば電線ケーブル等、他のセンサーケーブルが取付けられていても良い。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、検知手段として特定の光ファイバー試験機が使用されているが、例えば光ファイバーの一方端部に送信機を設置すると共に他方端部に受信機を設置する等、光ファイバーの破断を検知できれば他の検知手段であっても良い。又は、種々のセンサーケーブルを使用する場合、その破断を検知できるものであれば、更に他の検知手段であっても良い。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、断面U字形状に延びる特定形状の水路ブロックが使用されているが、例えば断面が四角筒状の暗渠等、他の形状の水路ブロックを使用しても良いことは言うまでも無い。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、目地部にはモルタルが使用されているが、例えばゴムパッキン等、水路ブロック同士をシール状態に連結できるものであれば、目地部は他の素材で構成されていても良い。
【0089】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーは水路ブロックの外方側の側壁の外面に取付けられているが、水路ブロックの各々に沿わせて連続的に取付けられていれば、水路ブロックの他の部分に取付けられていても良い。
【0090】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーは水路ブロックの各々の端部においてシールによって固定されているが、光ファイバーは水路ブロックの各々の端部において固定されていなくても良いし、水路ブロック全体に固定されていても良い。又は、光ファイバーを水路ブロックの側壁の外面に固定できるものであれば、他の部材によって固定されていても良い。
【0091】
更に、上記の各実施の形態では、水路ブロック間のずれによって破断する光ファイバーの部分はシールによって直線状となるように固定されているが、例えば、この破断部分を波状にする等、光ファイバーの破断部分に若干の余裕を設けても良い。これによって、不用意に光ファイバーが破断する虞を低減することができる。即ち、水路ブロック間の小さなずれによっては光ファイバーが破断せず、大きなずれによる場合のみ、即ち水路ブロックの設置地盤が確実に異常状態となった場合にのみ光ファイバーが破断することになる。又、この光ファイバーの破断部分の余裕長さを調整することによって、検知する水路ブロック間のずれの大きさ(設置地盤の異常状態の程度)を容易に設定することができる。
【0092】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーは1個の水路ブロックの端部付近において旋回状に配置された1箇所の余剰分を有しているが、例えば波状等、余剰分は他の形状で配置されていても良い。又は、余剰分は水路ブロックの中央部に設けられていても良いし、例えば1個の水路ブロックの両端部付近の各々等、余剰分は1個の水路ブロックに対して2箇所以上設けられていても良い。又は、余剰分は無くても良い。
【0093】
更に、上記の各実施の形態では、光ファイバーの余剰分は特定形状の保護体によって保護されているが、余剰分を保護できる形状であれば、保護体は他の形状であっても良い。又は、保護体は無くても良い。
【0094】
更に、上記の第1〜第5の実施の形態では、光ファイバーは開閉自在の特定形状のケーブルケースに収納されているが、光ファイバーを収納できる開閉自在のものであれば、ケーブルケースは他の形状であっても良い。その場合、合成ゴム、塩化ビニル又はプラスチック等、種々の素材を使用しても良い。又は、ケーブルケースは無くても良い。
【符号の説明】
【0095】
5…法面
10…土砂災害感知システム
11〜13…水路ブロック
15…側壁
27…破断部
30…光ファイバー
31…余剰分
33…取付孔
35…光ファイバー試験機
41、54、55…ケーブルケース
44、60…保護体
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂災害感知システムであって、
法面から生じる雨水の排出のために連結して設置される複数の水路ブロックと、
前記水路ブロックの各々に沿わせて連続的に取付けられるセンサーケーブルと、
前記センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備えた、土砂災害感知システム。
【請求項2】
前記センサーケーブルは光ファイバーであり、
前記検知手段は、前記光ファイバーの端部に設置された光ファイバー試験機である、請求項1記載の土砂災害感知システム。
【請求項3】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの側壁の外面に取付けられると共に、隣接する前記水路ブロックの各々の端部において少なくとも固定される、請求項2記載の土砂災害感知システム。
【請求項4】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの前記側壁の前記外面に固定された開閉自在のケーブルケース内に設置される、請求項3記載の土砂災害感知システム。
【請求項5】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの側壁を長手方向に貫通した取付孔に挿通される、請求項2記載の土砂災害感知システム。
【請求項6】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの前記端部の近傍において余剰分を介して取り付けられる、請求項4又は請求項5記載の土砂災害感知システム。
【請求項7】
前記余剰分は、前記側壁の前記外面に固定された保護体に収納される、請求項6記載の土砂災害感知システム。
【請求項1】
土砂災害感知システムであって、
法面から生じる雨水の排出のために連結して設置される複数の水路ブロックと、
前記水路ブロックの各々に沿わせて連続的に取付けられるセンサーケーブルと、
前記センサーケーブルの破断の有無を検知する検知手段とを備えた、土砂災害感知システム。
【請求項2】
前記センサーケーブルは光ファイバーであり、
前記検知手段は、前記光ファイバーの端部に設置された光ファイバー試験機である、請求項1記載の土砂災害感知システム。
【請求項3】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの側壁の外面に取付けられると共に、隣接する前記水路ブロックの各々の端部において少なくとも固定される、請求項2記載の土砂災害感知システム。
【請求項4】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの前記側壁の前記外面に固定された開閉自在のケーブルケース内に設置される、請求項3記載の土砂災害感知システム。
【請求項5】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの側壁を長手方向に貫通した取付孔に挿通される、請求項2記載の土砂災害感知システム。
【請求項6】
前記光ファイバーは、前記水路ブロックの前記端部の近傍において余剰分を介して取り付けられる、請求項4又は請求項5記載の土砂災害感知システム。
【請求項7】
前記余剰分は、前記側壁の前記外面に固定された保護体に収納される、請求項6記載の土砂災害感知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−154052(P2012−154052A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12479(P2011−12479)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【特許番号】特許第4792129号(P4792129)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(511021929)株式会社HNS (1)
【出願人】(395015722)株式会社カンケン (7)
【出願人】(593158179)株式会社ミルコン (18)
【出願人】(303065728)有限会社インパクト (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【特許番号】特許第4792129号(P4792129)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(511021929)株式会社HNS (1)
【出願人】(395015722)株式会社カンケン (7)
【出願人】(593158179)株式会社ミルコン (18)
【出願人】(303065728)有限会社インパクト (16)
【Fターム(参考)】
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