説明

土砂等袋詰め装置

【課題】 土砂等の袋詰め作業を効率的かつ省力的に行うことができ、しかも、作業者も手違いを起こすことなくサンドバッグに定量ずつ連続的に詰め込んでゆくことができる能率的な土砂等袋詰め装置を提供すること。
【解決手段】 ホッパー1の底部に複数の土砂投入口11aを開設したデッキ11を敷設し、かつ、前記土砂投入口11aの各々には土砂Sの落下方向を規制するガイド筒2を垂設する一方、これらガイド筒2には、当該ガイド筒内の容積が所定量をなす位置に横断方向へ進退動作自在なシャッタープレート3を各々配設して、コネクティング・バー4を介して流体圧シリンダー5の進退縮運動に応じて各ガイド筒2を開閉させ、ガイド筒2が開放したとき当該各筒内に詰まった土砂Sを各ガイド筒2の放出口21に対設したサンドバッグBに定量ずつ充填可能にするという技術的手段を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂等の袋詰め装置の改良、更に詳しくは、土砂等の袋詰め作業を効率的かつ省力的に遂行することができ、しかも、作業者も手違いなく、サンドバッグBに土砂を連続的に詰め込んでゆくことができる土砂等袋詰め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、洪水等の水害時には家への浸水や堤防の決壊を防ぐために土嚢が活用される。この土嚢は一般的に土砂をスコップで掬い上げその土砂をサンドバッグに詰めて作るが、スコップを使ってサンドバッグに詰めていたのでは時間と労力が多大にかかるだけでなく、土砂を定量ずつ均一にサンドバッグに入れていくことが困難だったため、本発明者は、嘗て土砂を袋詰めする装置を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
この従来の土砂袋詰め装置は、図8(a)〜(d)に示すように、ホッパーに接続されているガイド筒の内空部に仕切り板Pを差し入れることにより、この仕切り板Pを底とする空間をつくり(a)、その空間に土砂を充填して(b)、土砂投入口上部にはみ出た土砂を掻き均して取り除いた後(c)、前記仕切り板Pを抜いてガイド筒下方に設置したサンドバッグに適量分の土砂を落下させることによって(d)、土嚢袋を作製できるように構成されていた。
【0004】
しかしながら、かかる従来の装置においては、幾つもの仕切り板Pを各ガイド筒に配設して、これらのガイド筒の仕切り板Pを一つ一つ抜き差して、袋詰めの済んだ土嚢を、いちいち移動しなければならなかったため非常な時間と労力が必要であった。
【0005】
更に、このような構造では、作業者が仕切り板Pの抜き忘れに気付かずに次のガイド筒に移動してしまうおそれがあり、作業を完了したかと思って次の土砂をホッパーに投入してしまうこともあり、能率がよくなかった。
【特許文献1】特開2004−100361号公報 (第2−6頁、図1〜6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、土砂等の袋詰め作業を効率的かつ省力的に行うことができ、しかも、作業者も手違いを起こすことなくサンドバッグに定量ずつ連続的に詰め込んでゆくことができる能率的な土砂等袋詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、ホッパー1の底部に複数の土砂投入口11aを開設したデッキ11を敷設し、かつ、前記土砂投入口11aの各々には土砂Sの落下方向を規制するガイド筒2を垂設する一方、これらガイド筒2には、当該ガイド筒内の容積が所定量をなす位置に横断方向へ進退動作自在なシャッタープレート3を各々配設して、コネクティング・バー4を介して流体圧シリンダー5の進退縮運動に応じて各ガイド筒2を開閉させ、ガイド筒2が開放したとき当該各筒内に詰まった土砂Sを各ガイド筒2の放出口21に対設したサンドバッグBに定量ずつ充填可能にするという技術的手段を採用した。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、流体圧シリンダー5のピストンロッド51をコネクティングバー4に該バーの長手方向と直交状態に連結すると共に、シリンダチューブ52をホッパー1に懸装するという技術的手段を採用することができる。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ホッパー1のデッキ11の下面に、コネクティングバー4を滑動可能に支持するスライド支持部材41を懸装するという技術的手段を採用することができる。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、デッキ11を外向きに傾斜して立設して、斜面部12aを形成するという技術的手段を採用することができる。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ホッパー1の周壁12の少なくとも一部に、開口部12bを形成するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、サンドバッグBの口端を掛止して吊支可能な引掛部22を設けるという技術的手段も採用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、複数のガイド筒に配設されている仕切り板を一斉に抜き差しできるように構成したことによって、従来では不可避であった個別に設けられた仕切り板を一つ一つ抜き差しする手間を省くことができ、土砂の袋入れをより速く、少ない労力で行うことができるようになる。
【0015】
また、全ての仕切り板が一連に連結されているため、作業者の錯誤による仕切り板の抜き忘れにより充填した土砂を無駄にしてしまうようなことはなくなる。
【0016】
更に、袋詰めの済んだ土嚢をガイド筒下方から他の場所に移送する移送コンベアを設置すれば、いちいち土砂を充填したサンドバッグを持ち上げて移動する手間をなくすことができる。
【0017】
したがって、本発明を使用すれば、効率的に、かつ土砂量の一定な土嚢を連続的かつ省力的に量産できるようになるため、本発明の実用的利用価値は頗る高いと云える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0019】
図中、符号1で指示するものはホッパーであり、このホッパー1には、底部に複数(本実施形態においては5つ)の土砂投入口11aが開設されたデッキ11が敷設されている(図1参照)。
【0020】
符号2で指示するものはガイド筒であり、このガイド筒2は下端に放出口21を有し、ホッパー1の土砂投入口11aに垂設されている(図2参照)。
【0021】
符号3で指示するものはシャッタープレートであり、このシャッタープレート3は、各々ガイド筒2・2…に配設される板体であって、前記ガイド筒2内の容積が所定量をなす位置で横断方向に進退動作が可能である。
【0022】
符号4で指示するものはコネクティングバーであり、このコネクティングバー4はシャッタープレート3を連結する棒体である。
【0023】
符号5で指示するものは流体圧シリンダーであり、この流体圧シリンダー5は、前記コネクティングバー4を進退縮運動に応じて駆動する。
【0024】
しかして、本発明装置の構成を説明する。まず、ホッパー1の底部に複数の土砂投入口11aを開設したデッキ11を敷設して、前記土砂投入口11aの各々には土砂Sの落下方向を規制するガイド筒2を垂設する。
【0025】
次に、これらガイド筒2には、当該ガイド筒内の容積が所定量をなす位置に横断方向へ進退動作自在なシャッタープレート3を各々配設する。
【0026】
そして、コネクティングバー4を介して流体圧シリンダー5の進退縮運動に応じて各ガイド筒2を開閉するようにし、ガイド筒2が開放したとき当該各筒内に詰まった土砂Sを各ガイド筒2の放出口21に対設したサンドバッグBに定量ずつ充填できるように構成している。
【実施例】
【0027】
本発明における装置の具体的な使用手順を以下に説明する。まず、ガイド筒2の放出口21の下方にサンドバッグBを配置する。
【0028】
この際に、サンドバッグBの口端を掛止して吊支可能な引掛部22を設けることができる。この引掛部22は、図3に示すように、ガイド筒2の下端周縁に引掛部材を点設した形態(a)でも良いし、ホッパー1の底部からゴム紐等で引掛部材をぶら下げた形態(b)でも良い。そうすれば、この引掛部22にサンドバッグBの口を引っ掛けておくことができるので、放出口21から落下してくる土砂Sに対してサンドバッグBの口をわざわざ手で広げて待ち構える必要がなくなる。
【0029】
次いで、シャッタープレート3によってガイド筒2内を仕切った状態で、ショベルカーのバケットを使ってホッパー1内の土砂投入口11aに土砂Sを投入した後、バケットで土砂投入口11aから溢れた過剰分の土砂Sを均して除去する。
【0030】
この際、ホッパー1の周壁12の一部を外して、開口部12bを形成することによってバケットを操作して、投入時にバケットが干渉しないようにすることができ、また、過剰土砂Sをホッパー1の開口部12bから落とすこともできる。
【0031】
また、ホッパー1の周壁12を外向きに傾斜させて立設した傾斜部12aを形成することによって、バケットで土砂Sを投入するときに、バケットから土砂Sが多少散らばって落下してもホッパー内に収まるように受口を広くすることもできる(図4参照)。
【0032】
そして、ガイド筒2に挿入されている複数のシャッタープレート3を装着しているコネクティングバー4を手前に引いて、ガイド筒2を開放し、ガイド筒2内の土砂SをサンドバッグBに充填する。
【0033】
この際、図5の(a)に示すように、ガイド筒2におけるガイド筒内の容積が所定量をなす位置にスリット23を設けて、このスリット23にシャッタープレート3を差し込むことによって、(b)に示すようにガイド筒2内を仕切ることができる。このようにスリット23を利用した仕切り機構にすれば、設定しているガイド筒2内の容積量を変更する場合であっても、ガイド筒2の胴部の適宜位置に新たにスリット23を設けるだけで対応できる。
【0034】
また、流体圧シリンダー5のピストンロッド51の先端を、前記コネクティングバー4に直交状態に連結すると共に、シリンダチューブ52をホッパー1に懸装して水平支持することができ、簡単な構造でコネクティングバー4を平行に進退運動させることができる(図6参照)。
【0035】
更にまた、シャッタープレート3が個々でも使用できるように、このシャッタープレート31とコネクティングバー4を脱着可能にすることもでき、流体圧シリンダー5が故障しても本装置を使用できるようにしている。この際、各シャッタープレート3に付設した把手31により操作することができる。
【0036】
加えて、コネクティングバー4を滑動可能に支持するスライド支持部材41をホッパー底面に吊り下げて懸装することもでき、この支持部材41を使用することによって、コネクティングバー4が上下からの外圧で曲がったり、歪んだりしないようにすることができる(図7参照)。
【0037】
ちなみに、流体圧シリンダー5に油圧シリンダーを用いて、油圧ポンプの動力によってコネクティングバー4の進退縮運動を自動化することもでき、遠隔操作可能にすることができるので、袋詰め装置の近くで作業しなくてもよくなり、作業の安全性を確保することができる。
【0038】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、ガイド筒2は円筒状でなくとも良く、断面が多角形や半円形等の筒体であっても良い。また、小さなサンドバッグBの口にも土砂Sが入り易いように、ガイド筒2を放出口を逓減的に窄めた漏斗状にしても良い。
【0039】
なお、サンドバッグBに充填されるものは土砂Sに限らず、肥料、炭、穀粒や飼料等の粉粒体であれば良く、これらを生産する工場で本件発明装置を使用すれば、前記の収容物を効率的に袋詰めすることができる。
【0040】
更にまた、列設されたガイド筒2の下部に並行してコンベアやスロープ等の移送手段を設置して、いちいち土砂Sを充填したサンドバッグBを持ち上げて移動しなくてもいいようにしても良く、これらは何れも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明における実施形態の装置の全体上面図である。
【図2】本発明における実施形態の装置の全体正面図である。
【図3】本発明における実施形態の装置のサンドバッグの設置状態を表わす部分断面図である。
【図4】本発明における実施形態の装置の全体側面図である。
【図5】本発明における実施形態の装置の仕切り機構を表わす説明斜視図である。
【図6】本発明における実施形態の装置の仕切り機構を表わす部分断面図である。
【図7】本発明における実施形態の装置のスライド支持部材を表わす部分斜視図である。
【図8】従来の土砂袋入れ装置の使用手順を表わす工程説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ホッパー
11 デッキ
11a 土砂投入口
12 周壁
12a 斜面部
12b 開口部
2 ガイド筒
21 放出口
22 引掛部
23 スリット
3 シャッタープレート
31 把手
4 コネクティングバー
41 スライド支持部材
41a 吊下固定部
5 流体圧シリンダー
51 ピストンロッド
52 シリンダチューブ
S 土砂
B サンドバッグ
P 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパー1の底部に複数の土砂投入口11aを開設したデッキ11が敷設され、かつ、前記土砂投入口11aの各々には土砂Sの落下方向を規制するガイド筒2が垂設されている一方、これらガイド筒2には、当該ガイド筒内の容積が所定量をなす位置に横断方向へ進退動作自在なシャッタープレート3が各々配設されており、コネクティングバー4を介して流体圧シリンダー5の進退縮運動に応じて各ガイド筒2を開閉させ、ガイド筒2が開放したとき当該各筒内に詰まった土砂Sを各ガイド筒2の放出口21に対設したサンドバッグBに定量ずつ充填可能であることを特徴とする土砂等袋詰め装置。
【請求項2】
流体圧シリンダー5のデッキ11の下面に、ピストンロッド51がコネクティングバー4に直交状態に連結されていることを特徴とする請求項1記載の土砂等袋詰め装置。
【請求項3】
ホッパー1のデッキ下面に、コネクティングバー4を滑動可能に支持するスライド支持部材41が懸装されていることを特徴とする請求項1または2記載土砂等袋詰め装置。
【請求項4】
ホッパー1の周壁12が外向きに傾斜して立設されて、斜面部12aを形成していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の土砂等袋詰め装置。
【請求項5】
ホッパー1の周壁12の少なくとも一部に、開口部12bが形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の土砂等袋詰め装置。
【請求項6】
サンドバッグBの口端を掛止して吊支可能な引掛部22を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の土砂等袋詰め装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−248536(P2006−248536A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63784(P2005−63784)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(500238549)コマツサービスエース株式会社 (3)
【出願人】(502332739)有限会社塚谷重機 (2)
【Fターム(参考)】