説明

圧力センサ

【課題】センサチップの支持強度を高めるとともにセンサチップへのノイズの影響を抑制し得る圧力センサを提供する。
【解決手段】各歪みゲージ抵抗45a〜45dが形成される第1のシリコン基板41における第1の板面51の面方位が(110)面であり、当該各歪みゲージ抵抗45a〜45dはその長手方向が<110>結晶軸方向に沿うように配置されている。そして、第2のシリコン基板42における第2の板面52には、<110>結晶軸方向に沿うセンサチップ側溝52aが所定の間隔にて複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップのうち圧力媒体の圧力を検出可能なセンシング部を含む部位が圧力導入通路内に露出する圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサチップのうち圧力媒体の圧力を検出可能なセンシング部を含む部位が圧力導入通路内に露出する圧力センサとして、例えば、下記特許文献1に開示される半導体圧力センサがある。この半導体圧力センサのセンサチップは、台座用ガラスの上にシリコン基板を設け、このシリコン基板の被測定媒体(圧力媒体)と接触する部位に、被測定媒体の圧力に応じて変位するダイアフラム部を形成してなるセンシング部を備えている。そして、センサチップのうちセンシング部を含む部位のみが被測定媒体中に露出するように、センサチップとハウジングとの間が低融点ガラスからなる封止部材で気密封着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2792116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示される圧力センサでは、センサチップは、封止部材が接着剤として機能することでハウジングに支持されるため、センサチップと封止部材との接触面積が小さい場合には、両部材間の接着強度が小さくなり、ハウジングに対するセンサチップの支持強度が小さくなってしまうという問題がある。
【0005】
一方、センサチップの表面に溝等を形成することで、センサチップと封止部材との接触面積を大きくして両部材間の接着強度を高めると、溝等の形状によっては封止部材を介してセンサチップに作用する応力がノイズとして影響する場合があり、このような場合には、センサチップの圧力検出精度が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、センサチップの支持強度を高めるとともにセンサチップへのノイズの影響を抑制し得る圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の圧力センサでは、圧力媒体の圧力を検出可能なセンシング部を有するセンサチップと、前記圧力媒体を導入するための圧力導入通路が形成されるケースと、前記センサチップのうち前記センシング部が前記圧力導入通路内に露出するように当該センサチップと前記ケースとの間に介在される封止部材と、を備える圧力センサであって、前記センサチップの表面のうち前記センシング部が構成される一側面に対向する他側面には、当該他側面に対して前記センシング部が投影されるセンシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位に、前記圧力導入通路の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する突起が設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2の圧力センサでは、圧力媒体の圧力を検出可能なセンシング部を有するセンサチップと、前記圧力媒体を導入するための圧力導入通路が形成されるケースと、前記センサチップのうち前記センシング部が前記圧力導入通路内に露出するように当該センサチップと前記ケースとの間に介在される封止部材と、を備える圧力センサであって、前記ケースには、前記圧力導入通路の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する第1当接部が形成され、前記センサチップは、当該センサチップの表面のうち前記センシング部が構成される一側面に対向する他側面に対して前記センシング部が投影されるセンシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位にて、前記第1当接部に当接するように、前記封止部材を介して前記ケースに支持されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項に記載の圧力センサにおいて、前記ケースには、前記第1当接部に対して圧力導入通路側であって前記センシング部投影領域を除く前記他側面に当接可能な第2当接部が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項から請求項のいずれか一項に記載の圧力センサにおいて、前記センサチップは、圧力検出部が形成される薄肉部を有する第1の基板と凹部が形成される第2の基板とを備えており、前記センシング部は、前記薄肉部と前記凹部を近接させるように前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせることで前記薄肉部および前記凹部により形成される圧力基準室を備え、この圧力基準室の圧力と前記圧力媒体の圧力との圧力差に基づく前記薄肉部の変位に応じた信号を前記圧力検出部から出力するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、センサチップの表面のうちセンシング部が構成される一側面に対向する他側面には、当該他側面に対してセンシング部が投影されるセンシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位に、圧力導入通路の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する突起が設けられている。
【0012】
センサチップのセンシング部が圧力導入通路内に露出するようにセンサチップとケースとの間に封止部材を介在させるために、圧力導入通路を上方に向けたケースに対してセンサチップを所定の位置に支持した状態で圧力導入通路側から例えばゲル状の封止部材が導入される。そして、センサチップにおける反圧力導入通路側の表面と対向するケースの部位との間に封止部材を固着させ、この固着した封止部材上にさらに封止部材を導入するようにセンサチップおよびケース間に封止部材を下側(反圧力導入通路側)から徐々に介在させていく。この導入工程において、封止部材の導入量等によっては、封止部材が上記センシング部投影領域まで流出する場合がある。
【0013】
そこで、センシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位に、圧力導入通路の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する突起を設けることにより、センシング部投影領域への封止部材の流出が抑制される。これにより、センシング部投影領域には封止部材が介在しないので、封止部材からの応力がセンシング部に伝達され難くなり、センサチップへのノイズの影響を抑制することができる。
【0014】
請求項2の発明では、ケースには、圧力導入方向に対して直交する方向に延在する第1当接部が形成され、センサチップは、当該センサチップの表面のうち前記センシング部が構成される一側面に対向する他側面に対して前記センシング部が投影されるセンシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位にて、第1当接部に当接するように、封止部材を介して前記ケースに支持されている。
【0015】
このようにしても、センシング部投影領域への封止部材の流出が防止されるので、封止部材からの応力がセンシング部に伝達され難くなり、センサチップへのノイズの影響を抑制することができる。特に、センサチップに突起等を設ける必要がないので、センサチップの製造工程の一部を削減することができる。
【0016】
請求項3の発明では、ケースには、第1当接部に対して圧力導入通路側であってセンシング部投影領域を除く他側面に当接可能な第2当接部が形成されている。これにより、封止部材で接着されていないセンサチップの圧力導入通路側が第2当接部により支持されるので、センシング部の振動に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0017】
請求項4の発明では、センサチップは、圧力検出部が形成される薄肉部を有する第1の基板と凹部が形成される第2の基板とを備えている。そして、センシング部は、薄肉部と凹部を近接させるように第1の基板と第2の基板とを貼り合わせることで薄肉部および凹部により形成される圧力基準室を備え、この圧力基準室の圧力と前記圧力媒体の圧力との圧力差に基づく前記薄肉部の変位に応じた信号を前記圧力検出部から出力するように構成されている。
【0018】
これにより、2枚の基板を貼り合わせることでセンシング部が形成されるセンサチップを圧力センサに用いた場合でも、センシング部投影領域への封止部材の流出が防止されるので、封止部材からの応力がセンシング部に伝達され難くなり、センサチップへのノイズの影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の参考例に係る圧力センサの全体概略断面図である。
【図2】図1のセンサチップの詳細断面図である。
【図3】図3(A)は、第2の板面側から見たセンサチップの平面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す3B−3B線相当の切断面による断面図である。
【図4】第2の参考例に係るセンサチップを示す説明図である。
【図5】第3の参考例に係るセンサチップを示す説明図である。
【図6】第4の参考例に係るセンサチップを示す詳細断面図である。
【図7】第5の参考例に係る圧力センサの概略断面図である。
【図8】第6の参考例に係る圧力センサの概略断面図である。
【図9】第7の参考例に係るセンサチップを示す説明図である。
【図10】第8の参考例に係るセンサチップを示す説明図である。
【図11】第実施形態に係るセンサチップを示す詳細断面図である。
【図12】第実施形態に係るセンサチップとハウジングの開口部とを圧力導入通路側から見た模式図である。
【図13】第実施形態の第1の変形例に係る圧力センサを示す断面図である。
【図14】第9の参考例に係る圧力センサの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る圧力センサの各実施形態について図を参照して説明する。
第1の参考例
本発明の第1の参考例について図を参照して説明する。図1は、本第1の参考例に係る圧力センサ10の全体概略断面図である。
【0021】
圧力センサ10は、たとえば自動車に搭載され、燃料圧力、エンジンや駆動系の潤滑用オイル圧、あるいはエアコンの冷媒圧、さらには排気ガス圧等の圧力媒体の被測定圧力を検出する圧力センサ等に適用できる。
【0022】
図1に示すように、圧力センサ10は、主に、圧力媒体の圧力に応じた電気信号を出力可能なセンシング部40aを有するセンサチップ40と、このセンシング部40aからの信号を取り出すためのリード22を有するコネクタケース20と、センサチップ40が接着剤60を介して支持されて当該センサチップ40に圧力媒体を導入するための圧力導入通路31が形成されるハウジング30と、を備えている。
【0023】
コネクタケース20は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を型成形することにより略円柱状に形成されている。このコネクタケース20の一端部側20aの下端面中央には、コネクタケース20の収納空間を構成する凹部21が形成されている。
【0024】
また、図1に示すように、コネクタケース20には、センサチップ40と外部の回路等とを電気的に接続するための複数個の金属製棒状のリード22が設けられている。各リード22の一側端部は、センサチップ40の電極47とボンディングワイヤ26を介してそれぞれ電気的に接続されており、それによって、センサチップ40は、各リード22を介して外部と電気的に接続可能になっている。例えば、各リード22の一側端部は、コネクタケース20の凹部21の内部に露出し、この露出部にてボンディングワイヤ26に接続されている。
【0025】
各リード22は、例えば、黄銅にNiメッキ等のメッキ処理を施した材料よりなり、インサートモールドによりコネクタケース20と一体に成形されてコネクタケース20内にて支持されている。
【0026】
また、図1に示すように、コネクタケース20の他端部側20bには、開口部23が形成されており、この開口部23内に各リード22の他側端部が突出した形でそれぞれ露出している。
【0027】
このようにコネクタケース20の開口部23に露出する各リード22の他側端部は、例えば、ワイヤハーネス等の図略の外部配線部材を介して外部回路(車両のECU等)に電気的に接続されるようになっている。つまり、コネクタケース20の他端部側は、各リード22の他端部とともに、外部との接続を行うための接続部、すなわち、コネクタ部12として構成されている。
【0028】
また、コネクタケース20には、当該コネクタケース20の凹部21と外部とを遮断する蓋部24が設けられている。この蓋部24は、凹部21と外部とを連通する開口部を遮蔽するように、コネクタケース20に対して取り付けられている。
【0029】
蓋部24は、特に材質を限定するものではないが、コネクタケース20と同様の樹脂あるいは金属、セラミックなどよりなり、コネクタケース20に対して溶着や接着などにより、接合されている。
【0030】
次に、ハウジング30について説明すると、このハウジング30は、例えば、ステンレス(SUS)などの金属材料をプレスや切削加工により図1中の上下方向に延びる中空筒状に成形されている。
【0031】
圧力導入通路31は、ハウジング30の中空部として構成されたものである。つまり、圧力導入通路31は、ハウジング30の一端部側30aおよび他端部側30bにそれぞれ開口部31a,31bを有し、ハウジング30の内部にて両端部側間30a,30bを連通するように設けられたものである。
【0032】
また、ハウジング30の一端部側30aの外面には、圧力センサ10を自動車の適所、例えば、エアコンの冷媒配管や自動車の燃料配管などの被検出体の適所に固定するためのネジ部32が形成されている。
【0033】
そして、この被検出体から圧力導入通路31を介して圧力媒体が導入されるようになっている。この圧力媒体は、例えば、上述したエアコンの冷媒、ガソリンなどのエンジンの燃料、エンジンや駆動系の潤滑用オイル、あるいは排気ガスなどである。
【0034】
そして、コネクタケース20の一端部側20aは、ハウジング30の他端部側30bに連結されている。コネクタケース20とハウジング30との連結方法は特に限定するものではないが、溶接、接着、かしめなどが挙げられる。
【0035】
第1の参考例では、ハウジング30の他端部側30bにコネクタケース20の一端部側20aが挿入された状態で、ハウジング30の他端部側30bの一部33がコネクタケース20にかしめ固定されている。これにより、コネクタケース20およびハウジング30は一体に組み付けられ、本第1の参考例のケース11が構成されている。
【0036】
また、ハウジング30の他端部側30bとコネクタケース20の一端部側20aとの間には、ハウジング30とコネクタケース20の間を気密的に封止するためのOリング25が配設されている。このOリング25は、例えば、シリコンゴム等の弾性材料よりなる。
【0037】
次に、センサチップ40の構造について図2および図3を参照して説明する。図2は、図1のセンサチップ40の詳細断面図である。図3(A)は、第2の板面52側から見たセンサチップ40の平面図であり、図3(B)は、図3(A)に示す3B−3B線相当の切断面による断面図である。
【0038】
図2に示すように、センサチップ40は、第1のシリコン基板41と第2のシリコン基板42とを貼り合わせたものである。これら両シリコン基板41,42はともに、シリコン半導体よりなる。
【0039】
ここで、センサチップ40における第1のシリコン基板41側の外面としての板面を第1の板面51、第2のシリコン基板42側の外面としての板面を第2の板面52とする。本第1の参考例では、図3(A)に示すように、センサチップ40は、第1の板面51の面方位が(110)面であり、当該センサチップ40の長手方向(圧力導入方向)が<100>結晶軸方向に平行になるように形成されている。
【0040】
両シリコン基板41,42の貼り合わせ界面にて、第1のシリコン基板41側から第2のシリコン基板42側へ向かって、導電部43、絶縁層44a、接着層44bが順次介在している。ここで、導電部43は、後述する歪みゲージ45、回路部46、および電極47を電気的に接続する配線として機能するものである。この導電部43は、例えばアルミニウムなどよりなる。
【0041】
絶縁層44aおよび接着層44bは、例えばシリコン酸化膜(SiO)などよりなる電気絶縁性の膜であり、第1のシリコン基板41と第2のシリコン基板42を接合固定するとともに、導電部43や回路部46などの電気絶縁を担う絶縁性接合層として機能するものである。ここでは、両シリコン基板41,42の貼り合わせは、絶縁層44aおよび接着層44bの2層にて行っているが、シリコン酸化膜などよりなる1層により行ってもよい。
【0042】
第1のシリコン基板41は、薄肉状に形成されており、その長手方向一側端部である薄肉部48には、不純物の注入・拡散などにより形成された歪みゲージ45が圧力検出部として機能するように形成されている。この歪みゲージ45によりブリッジ回路が形成されており、後述するダイアフラム48の歪みによるブリッジ回路の抵抗値変化が検出できるようになっている。
【0043】
第2のシリコン基板42の長手方向一側端部であって、両シリコン基板41,42を貼り合わせるとき歪みゲージ45に対応する位置にはエッチングなどにより形成された凹部49aが形成されている。この凹部49aと薄肉部48とを近接させるように第1のシリコン基板41と第2のシリコン基板42とを貼り合わせることにより、気密に区画される圧力基準室49が形成される。そして、圧力基準室49の周壁の一部である薄肉部48が、圧力基準室49の圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づいて歪むように変位するダイアフラム48として機能する。
【0044】
これにより、センシング部40aは、ダイアフラム48が受けた圧力を歪みゲージ45によって電気信号に変換し、この電気信号をセンサ信号として出力する半導体ダイアフラム式のものとして構成される。
【0045】
また、第1のシリコン基板41には、回路部46が設けられている。この回路部46は、半導体プロセスなどにより形成されたトランジスタ素子や各種配線などによって構成されたものであり、センサ信号の処理などを行うものである。
【0046】
また、上述したように、これら歪みゲージ45と回路部46とが上記導電部43によって電気的に接続されている。また、センサチップ40には、導電部43と電気的に接続された電極47が設けられている。この電極47は、ボンディングワイヤ26と接続されて、センサ信号を基板の外部に取り出すためのものである。
【0047】
ここでは、電極47は、アルミニウムなどより構成されたもので、第1のシリコン基板41の外面である第1の板面51側に設けられている。具体的には、第1の板面51から導電部43まで貫通する開口部を第1のシリコン基板41に設け、この開口部内に電極47を設けることにより、第1の板面51側にて電極47が露出している。それにより、電極47とボンディングワイヤ26との接続が可能となっている。
【0048】
このように、本実施形態のセンサチップ40は、圧力媒体からの圧力を検出するセンシング部40aとセンサ信号の処理回路である回路部46とが一体化したものである。
【0049】
図3(A)に示すように、歪みゲージ45は、面方位が(110)面の第1の板面51にて、4つの歪みゲージ抵抗45a〜45dにより上記ブリッジ回路を構成している。これら各歪みゲージ抵抗45a〜45dは、その長手方向が<110>結晶軸方向に沿うように配置されている。また、歪みゲージ抵抗45bおよび45dは、歪みゲージ抵抗45aおよび45cに対して近接するように配置されている。
【0050】
また、図3(A),(B)に示すように、第2の板面52には、<110>結晶軸方向に沿うセンサチップ側溝52aが所定の間隔にて複数設けられている。各センサチップ側溝52aは、各歪みゲージ抵抗45a〜45dが第2の板面52にそれぞれ投影される各投影部を除くように形成されており、特に、各投影部の全てが隣接するセンサチップ側溝52a間の突部52bに投影されるように形成されている。なお、<110>結晶軸方向に沿う複数の突起を第2の板面52に設けることで、隣接する突起間を上記センサチップ側溝52aとして構成してもよい。
【0051】
すなわち、各歪みゲージ抵抗45a〜45dの長手方向と、各センサチップ側溝52aの延在方向とは、互いに<110>結晶軸方向に沿いかつセンサチップ40の長手方向(圧力導入方向)に対して直交するように構成される。
【0052】
上述のように構成されるセンサチップ40は、センシング部40aがハウジング30の圧力導入通路31内に露出するとともに各センサチップ側溝52aが圧力導入通路31に対して直交するように、ハウジング30における開口部31bの内周面に低融点ガラスなどよりなる接着剤60を介して支持されている。この接着剤60は封止部材として機能し、圧力導入通路31におけるハウジング30の一端部側の開口部31aから導入される圧力媒体は、コネクタケース20側には侵入しないようになっている。
【0053】
このように、センサチップ40とハウジング30との間に接着剤60が介在する状態において、接着剤60が各センサチップ側溝52a内に入り込むので、センサチップ40と接着剤60との接触面積が大きくなる。
【0054】
また、各歪みゲージ抵抗45a〜45dは、面方位が(110)面の第1の板面51上にて、その長手方向が<110>結晶軸方向に沿うように配置されている。そして、接着剤60を介してセンサチップ40に作用する応力は、センサチップ側溝に沿うように発生するので、各歪みゲージ抵抗45a〜45dに対する接着剤60からの応力の影響が抑制される。
【0055】
特に、各センサチップ側溝52aは、各歪みゲージ抵抗45a〜45dの各投影部の全てが隣接するセンサチップ側溝52a間の突部52bに投影されるように形成されているので、接着剤60からの応力が各歪みゲージ抵抗45a〜45dに伝達され難くなるため、センサチップ40へのノイズの影響が抑制されるとともに、各歪みゲージ抵抗45a〜45dに対するノイズのバラツキも抑制することができる。
【0056】
以上説明したように、本第1の参考例の圧力センサ10では、各歪みゲージ抵抗45a〜45dが形成される第1の板面51の面方位が(110)面であり、当該各歪みゲージ抵抗45a〜45dはその長手方向が<110>結晶軸方向に沿うように配置されている。そして、第2の板面52には、<110>結晶軸方向に沿うセンサチップ側溝52aが所定の間隔にて複数形成されている。
【0057】
これにより、接着剤60が各センサチップ側溝52a内に入り込むので、センサチップ40と接着剤60との接触面積が大きくなり、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度を高めることができる。また、接着剤60を介してセンサチップ40に作用する応力はセンサチップ側溝52aに沿うように発生するので、各歪みゲージ抵抗45a〜45dが<110>結晶軸方向すなわちセンサチップ側溝52aに沿う方向とは異なる方向に配置される場合と比較して、各歪みゲージ抵抗45a〜45dに対する接着剤60からの応力の影響を低減することができる。
したがって、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度を高めるとともにセンサチップ40へのノイズの影響を抑制することができる。
【0058】
また、本第1の参考例の圧力センサ10では、各センサチップ側溝52aは、センサチップ40の第2の板面52に対して各歪みゲージ抵抗45a〜45dがそれぞれ投影される各投影部を除くように形成されている。これにより、接着剤60からの応力が各歪みゲージ抵抗45a〜45dに伝達され難くなるため、センサチップ40へのノイズの影響をより抑制することができる。
【0059】
さらに、本第1の参考例の圧力センサ10では、各歪みゲージ抵抗45a〜45dは、隣接するセンサチップ側溝52a間の突部52bに各投影部が全て投影されるように形成されている。これにより、各投影部がそれぞれ異なるセンサチップ側溝52a間の部位に投影されるように各歪みゲージ抵抗45a〜45dが形成される場合と比較して、接着剤60からの応力に起因する各歪みゲージ抵抗45a〜45dへのノイズのバラツキを抑制することができる。
【0060】
さらに、本第1の参考例の圧力センサ10では、センサチップ40は、各センサチップ側溝52aが圧力導入通路31に対して直交するように接着剤60を介して支持されている。センサチップ40は、各歪みゲージ抵抗45a〜45dよりも反圧力導入通路側にて接着剤60に接触しているので、接着剤60からの応力が各歪みゲージ抵抗45a〜45dへ伝達される場合、この伝達方向に対して各センサチップ側溝52aが直交するようにセンサチップが配置されることとなる。これにより、接着剤60からの応力が各歪みゲージ抵抗45a〜45dへ伝達され難くなるので、センサチップ40へのノイズの影響をより抑制することができる。
【0061】
さらに、本第1の参考例の圧力センサ10では、センサチップ40は、各歪みゲージ抵抗45a〜45dが形成される薄肉部48を有する第1のシリコン基板41と凹部49aが形成される第2のシリコン基板42とを備えている。そして、センサチップ40のセンシング部40aは、薄肉部48と凹部49aを近接させるように第1のシリコン基板41と第2のシリコン基板42とを貼り合わせることで薄肉部48および凹部49aにより圧力基準室49が形成され、この圧力基準室49の圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づきダイアフラム48として機能する薄肉部48の変位に応じた信号を各歪みゲージ抵抗45a〜45dから出力するように構成されている。
【0062】
このように、2枚のシリコン基板41,42を貼り合わせることでセンシング部40aが形成されるセンサチップ40を圧力センサ10に用いた場合でも、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度を高めることができるとともに、センサチップ40へのノイズの影響を抑制することができる。
【0063】
図4は、第2の参考例に係るセンサチップ40を示す説明図であり、図4(A)は、第2の板面52側から見たセンサチップ40の平面図であり、図4(B)は、図4(A)に示す4B−4B線相当の切断面による断面図である。
図4(A),(B)に示すように、本第2の参考例として、各歪みゲージ抵抗45a〜45dの長手方向と、各センサチップ側溝52aの延在方向とは、互いに<110>結晶軸方向に沿い、かつ、センサチップ40の長手方向(圧力導入方向)に対して平行になるように構成されてもよい。
【0064】
これにより、圧力媒体の圧力の検出精度は、上記第1の参考例よりも劣るものの、センサチップ40のセンサチップ側溝52a内に接着剤60が円滑に導入されやすくなるため、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度を確実に高めることができる。
【0065】
図5は、第3の参考例に係るセンサチップ40を示す説明図であり、図5(A)は、第2の板面52側から見たセンサチップ40の平面図であり、図5(B)は、図5(A)に示す5B−5B線相当の切断面による断面図である。
図5(A),(B)に示すように、本第3の参考例として、第2のシリコン基板42の第2の板面52に形成される各センサチップ側溝52aを連結する連結溝52cを設けてもよい。
【0066】
具体的には、連結溝52cは、突部52bよりも反圧力導入通路側の各センサチップ側溝52aの中央部を連結し、かつ、各歪みゲージ抵抗45a〜45dから離間する部位が近接する部位と比較して幅広くなるように形成されている。
【0067】
これにより、接着剤60が連結溝52cを介して各センサチップ側溝52a内に円滑に導入されるため、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度を高めることができる。特に、連結溝52cは、突部52bよりも圧力導入通路側には形成されていないので、接着剤60からの応力がセンサチップ40に伝達され難くなり、センサチップ40へのノイズの影響を抑制することもできる。なお、連結溝52cは、各センサチップ側溝52aの中央部を連結するように形成されることに限らず、例えば、各センサチップ側溝52aの端部近傍を連結するように形成されてもよい。また、連結溝52cは、各歪みゲージ抵抗45a〜45dから離間するほど幅広くなるように形成されてもよいし、その幅寸法が一定となるように形成されてもよい。
【0068】
図6は、第4の参考例に係るセンサチップ40を示す詳細断面図である。
図6に示すように、本第4の参考例として、各センサチップ側溝52aを廃止するとともに、各センサチップ側溝52aに対応する突起である各ケース側突起34をハウジング30の開口部31bの内面に設けてもよい。
【0069】
これにより、ハウジング30と接着剤60との接触面積が大きくなるので、ハウジング30に対する接着剤60の支持強度、すなわち、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度を高めることができる。特に、センサチップ40の表面に溝等を設ける必要がないので、ハウジング30に対する支持強度を高め得るセンサチップ40においてその製造工程の一部を削減することができる。
【0070】
図7は、本第5の参考例に係る圧力センサを示す概略断面図であり、図8は、本第6の参考例に係る圧力センサを示す概略断面図である。
図7に示すように、本第5の参考例として、ハウジング30の他端部側30bの一部であって、ネジ部32と、接着剤60を介してセンサチップ40に対向する部位との間に、圧力導入通路に平行なスリット35を形成してもよい。また、図8に示すように、本第6の参考例として、スリット35に代えて、圧力導入通路に直交するようなスリット36を形成してもよい。
【0071】
これにより、圧力媒体が導入される被測定部位に対してネジ部32により締結される際に、この締結に起因する応力がスリット35またはスリット36の変形に応じて吸収されるので、上記締結に起因する応力が接着剤60を介してセンサチップ40に伝達されることを抑制することができる。
【0072】
第7の参考例
次に、本発明の第7の参考例に係る圧力センサについて、図9を参照して説明する。図9は、第7の参考例に係るセンサチップ70を示す説明図であり、図9(A)は、第2の板面74側から見たセンサチップ70の平面図であり、図9(B)は、図9(A)に示す9B−9B線相当の切断面による断面図である。
【0073】
図9(A),(B)に示すように、本第7の参考例では、圧力センサ10において、センサチップ40に代えてセンサチップ70を採用する点が、上記第1の参考例にて述べた圧力センサと主に異なる。したがって、第1の参考例の圧力センサと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図9(B)に示すように、センサチップ70は、第1のシリコン基板71と第2のシリコン基板72とを貼り合わせたものである。ここで、センサチップ70における第1のシリコン基板71側の外面としての板面を第1の板面73、第2のシリコン基板72側の外面としての板面を第2の板面74とする。本第7の参考例では、センサチップ70は、第1の板面73の面方位が(100)面となるように形成されている。
【0075】
そして、図9(A)に示すように、センサチップ70に形成される歪みゲージ45は、面方位が(100)面の第1の板面73にて、4つの歪みゲージ抵抗45a〜45dにより上記ブリッジ回路を構成している。これら各歪みゲージ抵抗45a〜45dは、その長手方向が<110>結晶軸方向に沿うように配置されている。また、歪みゲージ抵抗45bおよび45dは、上記第1の参考例の場合と比較して、互いに離間するように配置されている。
【0076】
そして、第2の板面74には、格子状の溝(以下、格子溝74aという)が形成されている。
【0077】
上述のように構成されるセンサチップ70は、センシング部70aがハウジング30の圧力導入通路31内に露出するように、ハウジング30における開口部31bの内周面に接着剤60を介して支持される。
【0078】
このように、センサチップ70とハウジング30との間に接着剤60が介在する状態において、接着剤60が格子溝74a内に入り込むので、センサチップ70と接着剤60との接触面積が大きくなる。
【0079】
以上説明したように、本第7の参考例の圧力センサ10では、各歪みゲージ抵抗45a〜45dは、(100)面に形成されることから2方向で圧力を検出するので、センサチップ70の第2の板面74に格子溝74aが形成されてもこの格子溝74aに起因する接着剤60からの応力の影響が抑制される。
【0080】
そして、格子状に形成される格子溝74aでは、一方向の溝と比較して接着剤60が円滑に当該格子溝74a内に導入されるので、ハウジング30に対するセンサチップ70の支持強度をより高めることができる。
【0081】
図10は、第8の参考例に係るセンサチップ70を示す説明図であり、図10(A)は、第2の板面74側から見たセンサチップ70の平面図であり、図10(B)は、図10(A)に示す10B−10B線相当の切断面による断面図である。
【0082】
図10(A),(B)に示すように、本第8の参考例として、格子溝74aを廃止するとともに、第2の板面74のうち各歪みゲージ抵抗45a〜45dが投影される投影部を含めた部位を突出させた円柱状の突出部74bを形成してもよい。このようにしても、各歪みゲージ抵抗45a〜45dへのノイズの影響を抑制することができ、また、センサチップ70と接着剤60との接触面積が大きくなりハウジング30に対するセンサチップ70の支持強度を高めることができる。
【0083】
また、本第7の参考例においても、上記第4の参考例と同様に、格子溝74aまたは突出部74bを廃止するとともに、格子溝74aまたは突出部74bに対応する突起または溝をハウジング30の開口部31bの内面に設けてもよい。
【0084】
[第実施形態]
次に、本発明の第実施形態に係る圧力センサについて、図11を参照して説明する。図11は、第実施形態に係るセンサチップ80を示す詳細断面図である。
【0085】
図11に示すように、本第実施形態では、圧力センサ10において、センサチップ40に代えてセンサチップ80を採用する点が、上記第1の参考例にて述べた圧力センサと主に異なる。したがって、第1の参考例の圧力センサと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
センサチップ80は、第1のシリコン基板81と第2のシリコン基板82とを貼り合わせたものである。ここで、センサチップ80における第1のシリコン基板81側の外面としての板面を第1の板面83、第2のシリコン基板82側の外面としての板面を第2の板面84とする。
【0087】
第1のシリコン基板81には、薄肉部48に各歪みゲージ抵抗45a〜45dが形成されており、第2のシリコン基板82には、凹部49aが形成されている。そして、センサチップ80のセンシング部80aは、薄肉部48と凹部49aを近接させるように第1のシリコン基板81と第2のシリコン基板82とを貼り合わせることで薄肉部48および凹部49aにより形成される圧力基準室49を備え、この圧力基準室49の圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づきダイアフラム48として機能する薄肉部48の変位に応じた信号を各歪みゲージ抵抗45a〜45dから出力するように構成されている。
【0088】
第2の板面84には、当該第2の板面84に対してセンシング部80aが投影される領域、具体的には、各歪みゲージ抵抗45a〜45dおよび圧力基準室49が投影される領域(以下、センシング部投影領域84aという)を除く部位であってこのセンシング部投影領域84aに反圧力導入通路側から近接する部位に、圧力導入通路31の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する突起84bが設けられている。
【0089】
上述のように構成されるセンサチップ80は、センシング部80aがハウジング30の圧力導入通路31内に露出するように、ハウジング30における開口部31bの内周面に接着剤60を介して支持される。
【0090】
ここで、センサチップ80とハウジング30との間に接着剤60を介在させる工程について、図12を用いて説明する。図12は、第実施形態に係るセンサチップ80とハウジング30の開口部31bとを圧力導入通路31側から見た模式図である。なお、図12では、説明の便宜上、接着剤60が占める領域を斜線にて図示している。
【0091】
まず、圧力導入通路31を上方に向けたハウジング30に対して、センシング部80aが圧力導入通路31内に露出するようにセンサチップ80を支持した状態で、圧力導入通路側から接着剤60を構成するための例えばゲル状の接着材料を導入する。そして、センサチップ80における反圧力導入通路側の表面とこの表面に対向する開口部31bとの間に接着材料を固着させ、この固着した接着材料上にさらにゲル状の接着材料を導入するようにセンサチップ80および開口部31b間に接着材料を下側(反圧力導入通路側)から徐々に介在させていく。
【0092】
そして、接着材料がセンサチップ80の突起84bに接触するまで導入されると、この接着材料の導入を停止する。このように導入された接着材料が固着することにより、センサチップ80および開口部31b間に接着剤60が介在することとなる。このため、図12に示すように、例えば、接着材料の導入量が多い場合でも、センシング部投影領域84a近傍では突起84bに接触するまでしか導入されないので、センシング部投影領域84aへの接着剤60の流出が抑制される。
【0093】
以上説明したように、本第実施形態の圧力センサ10では、第2の板面84には、突起84bが設けられているため、センシング部投影領域84aへの接着剤60の流出が抑制されるので、センシング部投影領域84aには接着剤60が介在せず、接着剤60からの応力がセンシング部80aに伝達され難くなり、センサチップ80へのノイズの影響を抑制することができる。
【0094】
また、本第実施形態の圧力センサ10では、センサチップ80は、各歪みゲージ抵抗45a〜45dが形成される薄肉部48を有する第1のシリコン基板81と凹部49aが形成される第2のシリコン基板82とを備えている。そして、センサチップ80のセンシング部80aは、薄肉部48と凹部49aを近接させるように第1のシリコン基板81と第2のシリコン基板82とを貼り合わせることで薄肉部48および凹部49aにより形成される圧力基準室49を備え、この圧力基準室49の圧力と圧力媒体の圧力との圧力差に基づきダイアフラム48として機能する薄肉部48の変位に応じた信号を各歪みゲージ抵抗45a〜45dから出力するように構成されている。
【0095】
このように、2枚のシリコン基板81,82を貼り合わせることでセンシング部80aが形成されるセンサチップ80を圧力センサ10に用いた場合でも、センシング部投影領域84aへの接着剤60の流出が防止されるので、接着剤60からの応力がセンシング部80aに伝達され難くなり、センサチップ80へのノイズの影響を抑制することができる。
【0096】
図13は、第実施形態における第1の変形例に係る圧力センサ10を示す断面図である。
図13に示すように、本第実施形態における第1の変形例として、ハウジング30の開口部31bに、圧力導入通路31の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する第1当接部37を設けてもよい。このようにしても、センサチップ80に突起84bを設ける場合と同様に、センシング部投影領域84aへの接着剤60の流出を抑制することができる。特に、センサチップ80に突起等を設ける必要がないので、センサチップ80の製造工程の一部を削減することができる。
【0097】
さらに、図13に示すように、ハウジング30の開口部31bには、第1当接部37に対して圧力導入通路側であってセンシング部投影領域84aを除く第2の板面84に当接可能な第2当接部38が形成されている。これにより、接着剤60で接着されていないセンサチップ80の圧力導入通路側が第2当接部38により支持されるので、センシング部80aの振動に起因するノイズの影響を抑制することができる。
【0098】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)図14は、第9の参考例に係る圧力センサの概略断面図である。
図14に示すように、上記第1の参考例において、センサチップ40の第1のシリコン基板41の第1の板面51にも、<110>結晶軸方向に沿うセンサチップ側溝51aが所定の間隔にて複数設けられてもよい。これにより、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度をさらに高めるとともにセンサチップ40へのノイズの影響を抑制することができる。
【0099】
(2)上記第1の参考例においてセンサチップ側溝52aは、各歪みゲージ抵抗45a〜45dから離間するほど、幅広くなるように形成されてもよい。また、センサチップ側溝52aに代えてハウジング30にケース側突起34を設ける場合、このケース側突起34は、圧力導入通路31から離間するほど、すなわち、各歪みゲージ抵抗45a〜45dから離間するほど、幅広くなるように形成されてもよい。このような構成にすることにより、ハウジング30に対するセンサチップ40の支持強度をさらに高めるとともにセンサチップ40へのノイズの影響を抑制することができる。
【0100】
(3)上記第7の参考例において格子溝74aは、各歪みゲージ抵抗45a〜45dから離間するほど、幅広くなるように形成されてもよい。また、格子溝74aに代えてハウジング30に格子溝74aに対応する格子状突起を設ける場合、この格子状突起は、圧力導入通路31から離間するほど、すなわち、各歪みゲージ抵抗45a〜45dから離間するほど、幅広くなるように形成されてもよい。このような構成にすることにより、ハウジング30に対するセンサチップ70の支持強度をさらに高めるとともにセンサチップ70へのノイズの影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0101】
10…圧力センサ
11…ケース
20…コネクタケース
30…ハウジング
31…圧力導入通路
32…ネジ部
34…ケース側突起
35,36…スリット
37…第1当接部
38…第2当接部
40,70,80…センサチップ
40a,70a,80a…センシング部
41,71,81…第1のシリコン基板(第1の基板)
42,72,82…第2のシリコン基板(第2の基板)
45…歪みゲージ(圧力検出部)
45a〜45d…歪みゲージ抵抗(圧力検出部)
48…ダイアフラム,薄肉部
49…圧力基準室
49a…凹部
51,73,83…第1の板面(一側面)
52,74,84…第2の板面(他側面)
52a…センサチップ側溝
52b…突部
52c…連結溝
60…接着剤
74a…格子溝
74b…突出部
84a…センシング部投影領域
84b…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力媒体の圧力を検出可能なセンシング部を有するセンサチップと、
前記圧力媒体を導入するための圧力導入通路が形成されるケースと、
前記センサチップのうち前記センシング部が前記圧力導入通路内に露出するように当該センサチップと前記ケースとの間に介在される封止部材と、
を備える圧力センサであって、
前記センサチップの表面のうち前記センシング部が構成される一側面に対向する他側面には、当該他側面に対して前記センシング部が投影されるセンシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位に、前記圧力導入通路の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する突起が設けられることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
圧力媒体の圧力を検出可能なセンシング部を有するセンサチップと、
前記圧力媒体を導入するための圧力導入通路が形成されるケースと、
前記センサチップのうち前記センシング部が前記圧力導入通路内に露出するように当該センサチップと前記ケースとの間に介在される封止部材と、
を備える圧力センサであって、
前記ケースには、前記圧力導入通路の圧力導入方向に対して直交する方向に延在する第1当接部が形成され、
前記センサチップは、当該センサチップの表面のうち前記センシング部が構成される一側面に対向する他側面に対して前記センシング部が投影されるセンシング部投影領域を除く部位であってこのセンシング部投影領域に反圧力導入通路側から近接する部位にて、前記第1当接部に当接するように、前記封止部材を介して前記ケースに支持されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
前記ケースには、前記第1当接部に対して圧力導入通路側であって前記センシング部投影領域を除く前記他側面に当接可能な第2当接部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記センサチップは、圧力検出部が形成される薄肉部を有する第1の基板と凹部が形成される第2の基板とを備えており、
前記センシング部は、前記薄肉部と前記凹部を近接させるように前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせることで前記薄肉部および前記凹部により形成される圧力基準室を備え、この圧力基準室の圧力と前記圧力媒体の圧力との圧力差に基づく前記薄肉部の変位に応じた信号を前記圧力検出部から出力するように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−215580(P2012−215580A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144545(P2012−144545)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2008−332282(P2008−332282)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】