圧力センサ
【課題】液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサにおいて、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤを保護できること。
【解決手段】第1ハウジング20の凹部底面24a上に圧力検出用のセンサチップ30が配置され、センサチップ30が、第1ハウジング20に保持されたターミナル40と、ボンディングワイヤ50を介して接続されている。センサチップ30、ターミナル40の端部41、ボンディングワイヤ50は、保護部材60により保護されている。保護部材60は、液状のゴムが硬化された弾性部材61と、弾性部材61よりヤング率の高い材料からなり、弾性部材61に少なくとも一部が埋設されて保持された高硬度部材62を有する。弾性部材61により、センサチップ30の少なくとも一部、ターミナル40の端部41、ボンディングワイヤ50が被覆され、高硬度部材62はダイアフラム31の上方に配置されている。
【解決手段】第1ハウジング20の凹部底面24a上に圧力検出用のセンサチップ30が配置され、センサチップ30が、第1ハウジング20に保持されたターミナル40と、ボンディングワイヤ50を介して接続されている。センサチップ30、ターミナル40の端部41、ボンディングワイヤ50は、保護部材60により保護されている。保護部材60は、液状のゴムが硬化された弾性部材61と、弾性部材61よりヤング率の高い材料からなり、弾性部材61に少なくとも一部が埋設されて保持された高硬度部材62を有する。弾性部材61により、センサチップ30の少なくとも一部、ターミナル40の端部41、ボンディングワイヤ50が被覆され、高硬度部材62はダイアフラム31の上方に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップが、第1ハウジングの凹部底面上に配置されるとともに第1ハウジングに保持された端子とボンディングワイヤを介して電気的に接続され、センサチップ、端子における凹部内に露出された端部、及びボンディングワイヤを覆うように、凹部に配置された保護部材を介して、測定流体の圧力がダイアフラムに伝達される構成の圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を含む測定流体(液体、又は、気液混合)の圧力を測定する圧力センサは、例えば車両に搭載されて、エンジンオイル、燃料、エアコンの冷媒などの液体に晒されるため、液体からセンサチップやボンディングワイヤを保護できる機能が求められる。また、測定流体として液体を含むため、高圧測定(例えばMPaオーダー)が可能なものが求められる。このような圧力センサとして、例えば特許文献1に示される構成のものが知られている。
【0003】
特許文献1では、センサ素子(センサチップ)が、コネクタケース(第1ハウジング)の凹部底面上に配置され、コネクタケースに保持されたターミナル(端子)とボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。また、コネクタケースの凹部を塞ぐようにメタルダイアフラムが配置されて、凹部とメタルダイアフラムとにより圧力検出室が形成されている。そしてこの圧力検出室(凹部)にオイルが充填され、このオイルにより、センサ素子、ターミナルにおける凹部内に露出された端部、及びボンディングワイヤが覆われている。
【0004】
なお、コネクタケースに組み付けられるハウジング(第2ハウジング)には、メタルダイアフラムの押さえるリングウェルドが全周溶接などによって固定されており、メタルダイアフラムは、このリングウェルドを介してハウジングに固定されている。また、メタルダイアフラムにより、筒状に形成されたハウジングの内部空間が、コネクタケースを収容する収容空間と、該収容空間に配置されたコネクタケースの凹部に対して測定流体を導入する導入空間に区画されている。
【0005】
この圧力センサでは、メタルダイアフラム及びオイルからなる保護部材を介して、測定流体の圧力がセンサチップに伝達される構成となっている。また、該保護部材により、エンジンオイル、燃料、エアコンの冷媒などから、センサチップやボンディングワイヤが保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−85307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、メタルダイアフラム及びオイルからなる保護部材を介して、測定流体の圧力がセンサチップに伝達される構成の圧力センサでは、雰囲気温度の変化にともなってオイルの体積が変化し、これにより圧力検出室の体積も変化する。特に雰囲気温度が高温となると、オイルの体積が熱膨張等により増加するため、圧力検出室の体積が増加する。
【0008】
このため、圧力検出室の体積変化にともなう圧力検出室の内圧の変化、すなわち圧力の検出精度の低下を抑制するためには、メタルダイアフラムを大きく変形可能に設けなければならない。すなわち、リングウェルドにて固定された固定部よりも内側の変形可能な部分の直径をより大きくせねばならず、体格の小型化が困難である。
【0009】
また、センサチップ、端子における凹部内に露出された端部、及びボンディングワイヤが、液体であるオイルによって覆われている。このため、測定流体を送り出すポンプの脈動などにより、測定流体の圧力が急激に上昇した場合、オイルが大きく流動し、ボンディングワイヤがダメージを受けてしまう。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサにおいて、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤを保護できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載の圧力センサは、
凹部(24)を有する第1ハウジング(20)と、
一面(30a)側に形成され、ゲージ抵抗を有するダイアフラム(31)と、ダイアフラム(31)取り囲む周辺領域(32)において一面(30a)上に形成された外部接続用のパッド(33)と、を有し、一面(30a)と反対の裏面(30b)が、第1ハウジング(20)の凹部底面(24a)と対向するように、凹部底面(24a)上に配置されたセンサチップ(30)と、
第1ハウジング(20)に保持され、一方の端部(41)が凹部(24)内に露出され、他方の端部(42)が凹部(24)とは異なる部分で第1ハウジング(20)の外部に露出された外部接続用の端子(40)と、
端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)とセンサチップ(30)のパッド(33)とを電気的に接続するボンディングワイヤ(50)と、
センサチップ(30)、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)を被覆する保護部材(60)と、を備え、
液体を含む測定流体の圧力が、保護部材(60)を介してセンサチップ(30)に伝達される構成の圧力センサである。
【0012】
そして、保護部材(60)は、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材(61)と、該弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、弾性部材(61)に少なくとも一部が埋設されて弾性部材(61)に保持された高硬度部材(62)と、を有し、
弾性部材(61)により、センサチップ(30)の少なくとも一部、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)が被覆され、
高硬度部材(62)は、ダイアフラム(31)の上方に配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明では、弾性部材(61)と高硬度部材(62)を有する保護部材(60)により、センサチップ(30)、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)を、液体から保護することができる。また、保護部材(60)として、従来のようにオイル(液体)を用いておらず、メタルダイアフラムが不要であるので、体格を小型化することもできる。
【0014】
また、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材(61)により、センサチップ(30)の少なくとも一部、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)が被覆されている。このため、測定流体を送り出すポンプの脈動などにより、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材(61)により測定流体から受けたエネルギーを減衰させることができる。したがって急激な圧力変動に対して、特にボンディングワイヤ(50)を保護することができる。
【0015】
また、保護部材(60)は、ダイアフラム(31)の上方に配置された高硬度部材(62)を有している。高硬度部材(62)は、弾性部材(61)に較べてエネルギーの減衰量が小さい。このため、高硬度部材(62)に代えて弾性部材(61)が配置される構成に較べて、ダイアフラム(31)に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0016】
このように、本発明によれば、液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサにおいて、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤを保護することができる。
【0017】
請求項2に記載のように、
高硬度部材(62)は、弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)から外部に露出されることが好ましい。
【0018】
これによれば、高硬度部材(62)が弾性部材(61)によって完全に被覆され、外部に露出されない構成に較べて、ダイアフラム(31)に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載のように、
高硬度部材(62)は、弾性部材(61)の表面(61a)から外部に突出していると良い。
【0020】
これによれば、保護部材(60)を形成する際、高硬度部材(62)の弾性部材(61)から突出する部分を把持しつつ、凹部(24)に液状のゴムを充填し、硬化処理すれば良いため、高硬度部材(62)を弾性部材(61)に対して所望の配置としやすい。
【0021】
請求項4に記載のように、
高硬度部材(62)は、センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触しているとなお良い。これによれば、ダイアフラム(31)と高硬度部材(62)の間に弾性部材(61)が存在する構成に較べて、ダイアフラム(31)に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0022】
請求項5に記載のように、
高硬度部材(62)におけるセンサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向の面積は、センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触する端部(62a)よりも、端部(62a)と反対の端部(62b)のほうが大きいと良い。
【0023】
これによれば、高硬度部材(62)によって、ダイアフラム(31)が受ける圧力を高めることができる。すなわち、センサ感度を高めることができる。
【0024】
また、高硬度部材(62)と弾性部材(61)との界面に沿って、弾性部材(61)の表面(61a)からセンサチップ(30)に対して生じるリークパスの長さを長くすることができる。
【0025】
さらに、請求項6に記載のように、
高硬度部材(62)は、錘状に形成されることが好ましい。
【0026】
これによれば、階段状の高硬度部材(62)などに較べて、弾性部材(61)との間に作用する粘性抵抗を小さくし、これによりセンサ感度をより高めることができる。
【0027】
請求項7に記載のように、
高硬度部材(62)は、センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、ボンディングワイヤ(50)と重ならない位置に配置されていることが好ましい。
【0028】
これによれば、高硬度部材(62)が存在しない分、弾性部材(61)が厚くできるため、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材(61)により測定流体から受けたエネルギーをより効果的に減衰させることができる。
【0029】
請求項8に記載のように、
センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、高硬度部材(62)の中心とダイアフラム(31)の中心とが一致していると良い。
【0030】
これによれば、高硬度部材(62)の中心とダイアフラム(31)の中心とがずれる構成に較べて、ダイアフラム(31)の変位量を大きくとることができる。したがって、センサ感度をより高めることができる。
【0031】
請求項9に記載のように、
第1ハウジング(20)は、センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、ボンディングワイヤ(50)よりも凹部底面(24a)に対して遠くであって、弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)とボンディングワイヤ(50)との間に位置する支持部(26)を有し、
保護部材(60)は、弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、高硬度部材(62)に接触せず、且つ、ボンディングワイヤ(50)を覆うように支持部(26)に固定されたカバー(63)を有する構成としても良い。
【0032】
これによれば、測定流体の圧力が急激に上昇したときに、測定流体から保護部材(60)が受けたエネルギーの一部を、カバー(63)及び支持部(26)を介して第1ハウジング(20)に逃がすことができる。これにより、ボンディングワイヤ(50)をより効果的に保護することができる。
【0033】
請求項10に記載のように、
高硬度部材(62)としては、セラミック材料又は金属材料を用いて形成されたものを採用することができる。
【0034】
また、上記した各発明は、請求項11に記載のように、
筒状に形成され、筒内部の空間として、第1ハウジング(20)の凹部(24)を収容する収容空間と、該収容空間に配置された第1ハウジング(20)の凹部(24)に対して測定流体を導入する導入空間と、を有する第2ハウジング(70)を備え、
第1ハウジング(20)は、凹部(24)を取り囲む環状の固定面(20a)に、該固定面(20a)に環状に沿って形成された溝部(25)を有し、
第2ハウジング(70)は、その内壁面として、固定面(20a)と対向する対向面(70a)を有し、
溝部(25)に配置された環状のシール部材(80)が、第1ハウジング(20)の固定面(20a)と第2ハウジング(70)の対向面(70a)とに密接する構成に好適である。
【0035】
この場合、請求項12に記載のように、
センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、弾性部材(61)が、第2ハウジング(70)の対向面(70a)よりも凹部底面(24a)に対して遠い位置まで配置された構成とすると良い。
【0036】
これによれば、保護部材(60)により、シール部材(80)も保護することができる。このため、シール部材(80)として安価なものを採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1中の二点鎖線で囲む領域IIを拡大した図である。
【図3】センサチップと高硬度部材の位置関係を示す図である。
【図4】保護部材の変形例を示す断面図である。
【図5】保護部材の変形例を示す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図であり、上記図2に対応している。
【図7】第3実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図であり、上記図2に対応している。
【図8】センサチップと高硬度部材の位置関係を示す図である。
【図9】第4実施形態に係る圧力センサのうち、センサチップの搭載された第1ハウジングを示す平面図であり、(a)はカバーなしの状態、(b)はカバーを固定した状態を示している。なお、(a),(b)ともに保護部材の配置前の状態を示している。
【図10】第4実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。この断面図は、図9のX−X線に沿う断面図であり、上記図2に対応している。
【図11】第4実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。この断面図は、図9のXI−XI線に沿う断面図であり、上記図2に対応している。
【図12】保護部材の変形例を示す断面図である。
【図13】圧力センサのその他変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の各図相互において互いに同一もしくは均等である部分に、同一符号を付与する。
【0039】
(第1実施形態)
本実施形態に係る圧力センサは、液体を含む測定流体の圧力(1MPa以上の圧力)の測定に用いられる。具体的には、車両に搭載され、エアコンの冷媒配管内の冷媒圧、CVTの油圧、燃料圧などの測定に用いられる。
【0040】
図1〜図3に示すように、圧力センサ10は、凹部24を有する第1ハウジング20と、該第1ハウジング20の凹部24に配置される圧力測定用のセンサチップ30と、第1ハウジング20に保持された外部接続用端子としてのターミナル40と、センサチップ30とターミナル40とを電気的に接続するボンディングワイヤ50と、センサチップ30、ターミナル40の一部、及びボンディングワイヤ50を被覆する保護部材60を備える。本実施形態では、さらに、第1ハウジング20に組み付けられ、凹部24に測定流体を導く第2ハウジング70と、シール部材としてのOリング80と、を備える。
【0041】
このように構成される圧力センサ10において、本実施形態では、保護部材60に特徴がある。そこで、上記圧力センサ10のうち、保護部材60を除く部分について先ず説明する。
【0042】
第1ハウジング20は、PPSやPBTなどの合成樹脂を射出成形してなるものであり、センサチップ30が配置される凹部24を有する。また、第1ハウジング20には、ターミナル40が保持されている。
【0043】
本実施形態では、第2ハウジング70に収容される柱状の拡径部21と、該拡径部21に連結され、拡径部21よりも径の小さい柱状の小径部22と、小径部22における拡径部21と反対側に連結され、外部コネクタが嵌合されるコネクタ部23と、を有している。
【0044】
拡径部21における小径部22と反対の端面は、第1ハウジング20の一方の端面20aをなしており、この端面20aの中央部分に凹部24が形成されている。すなわち、端面20aは、凹部24を環状に取り囲んでおり、この端面20aが特許請求の範囲に記載の固定面に相当する。以下、端面20aを固定面20aと示す。凹部24は平面円形状を有しており、この凹部24の底面24aの中心位置には、圧力検出用のセンサチップ30が配置されている。
【0045】
センサチップ30は、シリコンなどの半導体基板からなるものであり、その一面30a側に薄肉部分としてのダイアフラム31を有している。このダイアフラム31は、一面30aとは反対の裏面30b側から半導体基板をエッチングすることで形成されている。また、センサチップ30の一面30aにおいて、ダイアフラム31の部分には、例えば不純物を拡散してなるゲージ抵抗(図示略)が形成されている。このゲージ抵抗は、例えば4個設けられており、図示しないブリッジ回路を構成している。
【0046】
このように、本実施形態のセンサチップ30は、半導体式のセンサチップとして構成されている。具体的には、ダイアフラム31にて圧力を受け、その圧力によってダイアフラム31が歪み(変形し)、ピエゾ抵抗効果によりゲージ抵抗の抵抗値が変化する。そして、ゲージ抵抗からなるブリッジ回路によって、ダイアフラム31の歪に応じた信号、すなわち、印加された圧力値に応じたレベルの信号が出力されるようになっている。
【0047】
また、本実施形態では、センサチップ30に、ゲージ抵抗からなるブリッジ回路だけでなく、ブリッジ回路から出力された信号を処理する処理回路も形成(集積)されている。そして、処理回路にて処理された信号は、センサチップ30の一面30aのうち、ダイアフラム31を取り囲む周辺領域32に形成されたパッド33を介して、センサチップ30の外部に出力されるようになっている。
【0048】
このセンサチップ30は、ガラス製の台座34を介して、第1ハウジング20に形成された凹部24の底面24aに固定されている。具体的には、凹部24の底面24aに台座34が接着固定され、台座34に対して裏面30bが対向するように、台座34にセンサチップ30が陽極接合されている。このようにして、センサチップ30が第1ハウジング20に固定されている。
【0049】
また、第1ハウジング20には、センサチップ30と外部の回路等とを電気的に接続する外部接続用端子としてのターミナル40が、複数本保持されている。このターミナル40は金属材料を棒状に加工してなり、本実施形態では、第1ハウジング20を成形する際に、インサート部品として第1ハウジング20と一体的に形成されている。
【0050】
各ターミナル40は、一方の端部41が、凹部24の底面24aから突出して凹部24内に露出しており、他方の端部42が、第1ハウジング20のコネクタ部23から外部に露出している。そして、各ターミナル40における凹部24内に露出された端部41と対応するパッド33とが、ボンディングワイヤ50を介して電気的に接続されている。
【0051】
第2ハウジング70は、アルミニウムなどの金属材料を用いて筒状に成形してなり、第1ハウジング20の拡径部21を収容する第1筒部71と、第1ハウジング20の凹部24に対して測定流体を導入する第2筒部72と、これら筒部71,72を連結する第3筒部73と、を有している。第1筒部71の開口面積及び第2筒部72の開口面積は、それぞれほぼ一定となっている。また、第1筒部71の開口面積は第2筒部72の開口面積よりも大きくなっている。そして、筒部71,72を連結する第3筒部73の開口面積は、センサチップ30から遠ざかるほど小さくなっている。なお、図1に示す符号72aは、測定流体を凹部24に導くために、第2筒部72に形成された圧力導入孔である。
【0052】
この第2ハウジング70は、その内壁面として、第1筒部71と第3筒部73の境界部分に、第1ハウジング20の固定面20aと対向する対向面70aを有している。そして、第1ハウジング20の固定面20aには、凹部24を取り囲むように環状の溝部25が形成され、この溝部25には、凹部24を気密に封止するためのOリング80が配置されている。このOリング80は、第1ハウジング20の溝部25の底面と、第2ハウジング70の対向面70aとに密着しており、これにより、第1ハウジング20の固定面20aと第2ハウジング70の対向面70aとの間の隙間が密封されている。
【0053】
また、第1筒部71における第3筒部73と反対の端部には、第2ハウジング70を第1ハウジング20に固定するためのかしめ部74が形成されている。このかしめ部74は、第1ハウジング20における拡径部21の側面21aから、固定面20aと反対の裏面21b側に折れ曲がっており、第2ハウジング70は、かしめ部74と対向面70aとで、拡径部21を挟持している。
【0054】
次に、このように構成される圧力センサ10において、特徴部分である保護部材60の構成について説明する。
【0055】
保護部材60は、センサチップ30、ターミナル40の凹部24内に露出された端部41、及びボンディングワイヤ50を被覆・保護するとともに、測定流体の圧力をセンサチップ30のダイアフラム31に伝達する機能を果たすものである。この保護部材60は、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材61と、弾性部材61よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、弾性部材61に少なくとも一部が埋設されて弾性部材61に保持された高硬度部材62と、を有する。
【0056】
本実施形態では、弾性部材61が常温硬化型のシリコーン系ゴムからなり、高硬度部材62が、センサチップ30との線膨張係数差を小さくすべく、セラミック(アルミナ)からなる。なお、弾性部材61としては、それ以外にも、フッ素系ゴムなどを採用することができる。また、常温硬化型に限定されず、その他の加熱硬化型などを採用することもできる。また、高硬度部材62としては、セラミック以外にも、SUSなどの金属を採用することもできる。
【0057】
上記したように、弾性部材61は液状のゴムを硬化してなり、本実施形態では、弾性部材61が第1ハウジング20の凹部24を満たすように、固定面20aと面一となる位置まで充填されている。このため、弾性部材61における凹部24の底面24aに接する面と反対の表面61aが、固定面20aと略面一となっている。
【0058】
一方、高硬度部材62は、円柱状をなしており、センサチップ30の一面30aのうち、ダイアフラム31の上方のみに位置している。すなわち、高硬度部材62は、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、ボンディングワイヤ50と重ならない位置に配置されている。また、図3に示すように、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、高硬度部材62の中心とダイアフラム31の中心とが点C1で一致している。また、柱状の高硬度部材62の一端がセンサチップ30の一面30aであってダイアフラム31の部分に接触し、他端が弾性部材61の表面61aと面一となっている。すなわち、高硬度部材62は、センサチップ30のダイアフラム31に接触しつつ、その一部が弾性部材61から外部に露出されている。
【0059】
このように、本実施形態では、円柱状の高硬度部材62が、センサチップ30の一面30aのうち、ダイアフラム31の上方のみに位置しており、第1ハウジング20の凹部24における高硬度部材62の配置部分を除く部分全てに、弾性部材61が配置されている。このため、弾性部材61により、センサチップ30のうち、高硬度部材62の接触部分を除く部分、ターミナル40における凹部24内に露出された端部41、及びボンディングワイヤ50が被覆されている。
【0060】
なお、本実施形態に係る保護部材60は、第1ハウジング20に第2ハウジング70を組み付ける前に形成することもできるし、第1ハウジング20に第2ハウジング70を組み付けた後に形成することもできる。
【0061】
例えば、ターミナル40がインサート成形された第1ハウジング20を準備し、固定面20aが上を向くように配置した状態で、凹部24の底面24aに台座34を接着固定し、次いで、台座34上にセンサチップ30を陽極接合する。次いで、センサチップ30のパッド33とターミナル40の端部41とをボンディングワイヤ50により接続する。そして、高硬度部材62を吸着して、端部がセンサチップ30のダイアフラム31に接触すべく高硬度部材62を所定位置に保持し、この状態で、凹部24内に液状のゴムを充填させる。そして、ゴムを常温硬化させることで、弾性部材61、ひいては保護部材60を形成することができる。保護部材60を形成した後は、第1ハウジング20の溝部25にOリング80を配置し、この状態で、第2ハウジング70を第1ハウジング20に組み付ければ良い。
【0062】
また、保護部材60を形成せずに、第2ハウジング70の第1ハウジング20への組み付けまでを行う。そして、第2ハウジング70の圧力導入孔72aを介して、第1ハウジング20の凹部24に対し、高硬度部材62を吸着して、端部がセンサチップ30のダイアフラム31に接触すべく高硬度部材62を所定位置に保持する。そして、この状態で、圧力導入孔72aを介して凹部24内に液状のゴムを充填させる。そして、ゴムを常温硬化させることで、弾性部材61、ひいては保護部材60を形成することができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る圧力センサ10の特徴部分の効果について説明する。
【0064】
本実施形態では、弾性部材61と高硬度部材62を有する保護部材60により、センサチップ30、ターミナル40の端部41、及びボンディングワイヤ50を、液体から保護することができる。また、保護部材60として、従来のようにオイル(液体)を用いておらず、オイル封止用にメタルダイアフラムが不要である。したがって、雰囲気温度の変化によりオイルが体積膨張し、応力がセンサチップ30のダイアフラム31に作用するのを防ぐために、メタルダイアフラムの体格を大型化しなくとも良い。このため、体格を小型化することもできる。
【0065】
また、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材61により、センサチップ30の少なくとも一部、ターミナル40における凹部24内に露出された端部41、及びボンディングワイヤ50が被覆されている。このため、測定流体を送り出すポンプの脈動などにより、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材61により測定流体から受けたエネルギーを減衰させることができる。したがって急激な圧力変動に対して、特にボンディングワイヤ50を保護することができる。
【0066】
また、保護部材60は、ダイアフラム31の上方に配置された高硬度部材62を有している。高硬度部材62は、弾性部材61に較べて硬く、測定流体から受けたエネルギーの減衰量が小さい。このため、ダイアフラム31上にも弾性部材61のみが配置される構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0067】
以上により、本実施形態によれば、液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサ10において、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤ50を保護することができる。
【0068】
また、本実施形態では、高硬度部材62が、弾性部材61の表面61aから外部に露出されている。このため、高硬度部材62に、測定流体が直接的に作用する。したがって、高硬度部材62が弾性部材61によって被覆され、外部に露出されない構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、高硬度部材62が、センサチップ30のダイアフラム31に接触している。このため、高硬度部材62を介して、センサチップ30に圧力が直接的に伝達される。これによれば、ダイアフラム31と高硬度部材62の間に弾性部材61が存在し、弾性部材61によってエネルギーが少なからず減衰される構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、高硬度部材62が、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、ボンディングワイヤ50と重ならない位置に配置されている。このように、ボンディングワイヤ50の上方には高硬度部材62が存在しないため、その分、弾性部材61の厚さを厚くすることができる。これにより、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材61により、測定流体から受けるエネルギーを効果的に減衰させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、高硬度部材62の中心とダイアフラム31の中心とが点C1で一致している。このため、高硬度部材62の中心とダイアフラム31の中心とがずれる構成に較べて、ダイアフラム31の変位量を大きくとることができる。すなわち、センサ感度をより高めることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、高硬度部材62の一端がセンサチップ30の一面30aであってダイアフラム31の部分に接触し、他端が弾性部材61の表面61aと面一とされる例を示した。しかしながら、高硬度部材62の配置は上記例に限定されるものではない。少なくともダイアフラム31の上方に配置されれば良い。
【0073】
例えば図4に示す例では、高硬度部材62が、ダイアフラム31に接触せず、ダイアフラム31との間に弾性部材61が介在されている。また、高硬度部材62が、弾性部材61に完全に埋設され、高硬度部材62上に弾性部材61が位置している。このような構成としても、ダイアフラム31の上方に弾性部材61のみが存在する構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0074】
また、図5に示す例では、高硬度部材62が、弾性部材61の表面61aから外部に突出している。このような配置とすると、保護部材60を形成する際、高硬度部材62の弾性部材61から突出する部分を把持しつつ、凹部24に液状のゴムを充填し、硬化処理することができる。したがって、高硬度部材62を弾性部材61に対して所望の配置としやすい。なお、図5では、高硬度部材62がセンサチップ30のダイアフラム31に接触しているが、接触しない構成としても良い。
【0075】
本実施形態では、高硬度部材62として円柱状の例を示したが角柱状(矩形、三角等)としても良い。
【0076】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した圧力センサ10と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、第1ハウジング20の凹部24内のみに弾性部材61が配置される例を示した。これに対し、本実施形態では、図6に示すように、センサチップ30の一面30aに垂直な方向において、弾性部材61が、第2ハウジング70の対向面70aよりも凹部底面24aに対して遠い位置まで配置されている。詳しくは、第1ハウジング20の凹部24の底面24aから、第2ハウジング70のうち、第3筒部73の一部まで充填されている。また、図6に示す例では、高硬度部材62の一端がセンサチップ30の一面30aにおけるダイアフラム31の部分に接触し、他端が弾性部材61の表面61aと面一となっている。
【0077】
このような構成とすると、保護部材60(弾性部材61)により、第1ハウジング20の固定面20aと第2ハウジング70の対向面70aとの間の隙間、すなわちOリング80も保護することができる。このため、Oリング80として安価なものを採用することもできる。
【0078】
なお、このような構成の圧力センサ10は、第1実施形態に示したように、第2ハウジング70の第1ハウジング20への組み付けまでを行った後、第2ハウジング70の圧力導入孔72aを介して、保護部材60を形成することで得ることができる。
【0079】
(第3実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した圧力センサ10と共通する部分についての説明は割愛する。上記実施形態では、高硬度部材62の形状が円柱状である例を示した。換言すれば、高硬度部材62のセンサチップ30の一面30aに沿う方向の面積が、一面30aに垂直な方向において一定である例を示した。
【0080】
これに対し、本実施形態では、図7及び図8に示すように、高硬度部材62におけるセンサチップ30の一面30aに沿う方向の面積が、センサチップ30のダイアフラム31に接触する側の端部62aよりも、該端部62aと反対の端部62bのほうが大きくなっている。より詳しくは、センサチップ30から離れるほど、面積が大きくなる円錐形状をなしている。また、図8に示すように、センサチップ30側の端部62a(図8中の一点鎖線で囲んだ部分)の全てが、ダイアフラム31と接触しており、反対の端部62bは、ダイアフラム31を覆いつつ、パッド33、ひいてはボンディングワイヤ50とは重ならないように設けられている。
【0081】
ここで、センサチップ30とは反対側の端部62bの面積をS1、端部62bに作用する測定流体の圧力をP1、センサチップ30側の端部62aの面積をS2、圧力をP2とすると、理想的には、P1・S1=P2・S2となる。したがって、本実施形態に示す構成とすると、高硬度部材62によって、ダイアフラム31が受ける圧力を高めることができる。すなわち、センサ感度を高めることができる。
【0082】
特に本実施形態では、円錐形状の高硬度部材62を採用し、端部62a,62b間を繋ぐ側面がテーパ状となっているため、階段状の高硬度部材62などに較べて、弾性部材61と高硬度部材62との間に作用する粘性抵抗を小さくし、これによりセンサ感度をより高めることができる。
【0083】
また、本実施形態では、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、高硬度部材62がボンディングワイヤ50と重ならないように設けられている。このため、ボンディングワイヤ50の上方に高硬度部材62も位置する構成に較べて、ボンディングワイヤ50を効果的に保護することができる。
【0084】
また、高硬度部材62と弾性部材61との界面に沿って、弾性部材61の表面61aからセンサチップ30に対して生じるリークパスの長さを長くすることができる。
【0085】
なお、センサチップ30のダイアフラム31に接触する側の端部62aよりも、該端部62aと反対の端部62bのほうが大きい高硬度部材62の形状としては、上記した円錐形状に限定されるものではない。例えば角錐形状としても良い。また、それ以外にも、センサチップ30の一面30aに垂直な方向に所定長さごとに面積が変化する、階段状としても良い。
【0086】
また、高硬度部材62の一部が、ボンディングワイヤ50の上方に位置するように、高硬度部材62を配置しても良い。これによれば、高硬度部材62の端部62bの面積S1をより大きくして、センサ感度をより高めることができる。
【0087】
(第4実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した圧力センサ10と共通する部分についての説明は割愛する。上記実施形態では、弾性部材61と高硬度部材62とを有する保護部材60の例を示した。これに対し、本実施形態では、図9〜図11に示すように、保護部材60が、弾性部材61及び高硬度部材62とともに、カバー63を有する点を特徴とする。
【0088】
第1ハウジング20の凹部24には、センサチップ30の一面30aに垂直な方向において、ボンディングワイヤ50よりも凹部24の底面24aに対して遠くであって、カバー63を支持する支持面26aが、弾性部材61の表面61aとボンディングワイヤ50との間に位置する支持部26を有している。
【0089】
カバー63は、弾性部材61よりもヤング率の高い材料(樹脂、セラミック、金属など)を用いて形成されている。そして、支持部26に固定され、高硬度部材62、センサチップ30、ターミナル40の端部41、及びボンディングワイヤ50に接触せず、且つ、ボンディングワイヤ50を覆うように配置されている。本実施形態では、第1ハウジング20の構成材料と同じ材料(例えばPPS)を用いて、カバー63が構成されている。
【0090】
本実施形態に示す例では、図9(b)に示すように、カバー63が、凹部24の対応して平面円形状をなしており、その中心部分に高硬度部材62に対応する貫通孔63aを有している。また、カバー63を支持部26に接着固定した状態で、凹部24におけるカバー63よりも下方の領域に、液状のゴムを充填して弾性部材61を形成するために、貫通孔63aを取り囲むように4つの貫通孔63bが形成されている。この貫通孔63bは、図9(a)に示すように、4本のターミナル40の端部41に対応して、各端部41の上方に形成されている。
【0091】
このように、ボンディングワイヤ50の上方にカバー63を設け、このカバー63を第1ハウジング20の支持部26に固定すると、測定流体の圧力が急激に上昇したときに、測定流体から保護部材60が受けたエネルギーの一部を、カバー63及び支持部26を介して第1ハウジング20に逃がすことができる。これにより、ボンディングワイヤ50をより効果的に保護することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、図10及び図11に示すように、カバー63が、弾性部材61により完全に被覆されている。また、弾性部材61は、第2ハウジング70の第3筒部73まで配置されている。しかしながら、図12に示すように、カバー63の一部が、弾性部材61から露出された構成としても良い。図12では、カバー63の底面24aと反対の表面が露出されている。また、弾性部材61が、第1ハウジング20の凹部24内のみに配置される構成としても良い。
【0093】
また、支持部26の形態は上記例に限定されるものではない。第1ハウジング20の凹部24の壁面(例えば底面24a)から凹部24内に突出し、ボンディングワイヤ50の上方に、カバー63を支持できる形態であれば採用することができる。
【0094】
また、カバー63についても、上記例に限定されるものではない。例えば4本のボンディングワイヤ50ごとにカバー63を分割配置しても良い。すなわち複数のカバー63を用いても良い。また、略十字状のカバー63を採用することもできる。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0096】
本実施形態では、圧力センサ10が、第1ハウジング20とともに、第2ハウジング70を備える例を示した。しかしながら、圧力センサ10は、図13に示すように、少なくとも、凹部24を有する第1ハウジング20と、該第1ハウジング20の凹部24に配置される圧力測定用のセンサチップ30と、第1ハウジング20に保持された外部接続用端子としてのターミナル40と、センサチップ30とターミナル40とを電気的に接続するボンディングワイヤ50と、センサチップ30、ターミナル40の一部、及びボンディングワイヤ50を被覆する保護部材60を備えればよい。なお、図13では、第1ハウジング20が金属材料からなり、ターミナル40が、第1ハウジング20にハーメチックシールされている。
【符号の説明】
【0097】
10・・・圧力センサ
20・・・第1ハウジング
24・・・凹部
24a・・・底面(凹部底面)
30・・・センサチップ
31・・・ダイアフラム
33・・・パッド
40・・・ターミナル(端子)
50・・・ボンディングワイヤ
60・・・保護部材
61・・・弾性部材
62・・・高硬度部材
70・・・第2ハウジング
72a・・・圧力導入孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップが、第1ハウジングの凹部底面上に配置されるとともに第1ハウジングに保持された端子とボンディングワイヤを介して電気的に接続され、センサチップ、端子における凹部内に露出された端部、及びボンディングワイヤを覆うように、凹部に配置された保護部材を介して、測定流体の圧力がダイアフラムに伝達される構成の圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を含む測定流体(液体、又は、気液混合)の圧力を測定する圧力センサは、例えば車両に搭載されて、エンジンオイル、燃料、エアコンの冷媒などの液体に晒されるため、液体からセンサチップやボンディングワイヤを保護できる機能が求められる。また、測定流体として液体を含むため、高圧測定(例えばMPaオーダー)が可能なものが求められる。このような圧力センサとして、例えば特許文献1に示される構成のものが知られている。
【0003】
特許文献1では、センサ素子(センサチップ)が、コネクタケース(第1ハウジング)の凹部底面上に配置され、コネクタケースに保持されたターミナル(端子)とボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。また、コネクタケースの凹部を塞ぐようにメタルダイアフラムが配置されて、凹部とメタルダイアフラムとにより圧力検出室が形成されている。そしてこの圧力検出室(凹部)にオイルが充填され、このオイルにより、センサ素子、ターミナルにおける凹部内に露出された端部、及びボンディングワイヤが覆われている。
【0004】
なお、コネクタケースに組み付けられるハウジング(第2ハウジング)には、メタルダイアフラムの押さえるリングウェルドが全周溶接などによって固定されており、メタルダイアフラムは、このリングウェルドを介してハウジングに固定されている。また、メタルダイアフラムにより、筒状に形成されたハウジングの内部空間が、コネクタケースを収容する収容空間と、該収容空間に配置されたコネクタケースの凹部に対して測定流体を導入する導入空間に区画されている。
【0005】
この圧力センサでは、メタルダイアフラム及びオイルからなる保護部材を介して、測定流体の圧力がセンサチップに伝達される構成となっている。また、該保護部材により、エンジンオイル、燃料、エアコンの冷媒などから、センサチップやボンディングワイヤが保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−85307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、メタルダイアフラム及びオイルからなる保護部材を介して、測定流体の圧力がセンサチップに伝達される構成の圧力センサでは、雰囲気温度の変化にともなってオイルの体積が変化し、これにより圧力検出室の体積も変化する。特に雰囲気温度が高温となると、オイルの体積が熱膨張等により増加するため、圧力検出室の体積が増加する。
【0008】
このため、圧力検出室の体積変化にともなう圧力検出室の内圧の変化、すなわち圧力の検出精度の低下を抑制するためには、メタルダイアフラムを大きく変形可能に設けなければならない。すなわち、リングウェルドにて固定された固定部よりも内側の変形可能な部分の直径をより大きくせねばならず、体格の小型化が困難である。
【0009】
また、センサチップ、端子における凹部内に露出された端部、及びボンディングワイヤが、液体であるオイルによって覆われている。このため、測定流体を送り出すポンプの脈動などにより、測定流体の圧力が急激に上昇した場合、オイルが大きく流動し、ボンディングワイヤがダメージを受けてしまう。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサにおいて、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤを保護できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載の圧力センサは、
凹部(24)を有する第1ハウジング(20)と、
一面(30a)側に形成され、ゲージ抵抗を有するダイアフラム(31)と、ダイアフラム(31)取り囲む周辺領域(32)において一面(30a)上に形成された外部接続用のパッド(33)と、を有し、一面(30a)と反対の裏面(30b)が、第1ハウジング(20)の凹部底面(24a)と対向するように、凹部底面(24a)上に配置されたセンサチップ(30)と、
第1ハウジング(20)に保持され、一方の端部(41)が凹部(24)内に露出され、他方の端部(42)が凹部(24)とは異なる部分で第1ハウジング(20)の外部に露出された外部接続用の端子(40)と、
端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)とセンサチップ(30)のパッド(33)とを電気的に接続するボンディングワイヤ(50)と、
センサチップ(30)、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)を被覆する保護部材(60)と、を備え、
液体を含む測定流体の圧力が、保護部材(60)を介してセンサチップ(30)に伝達される構成の圧力センサである。
【0012】
そして、保護部材(60)は、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材(61)と、該弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、弾性部材(61)に少なくとも一部が埋設されて弾性部材(61)に保持された高硬度部材(62)と、を有し、
弾性部材(61)により、センサチップ(30)の少なくとも一部、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)が被覆され、
高硬度部材(62)は、ダイアフラム(31)の上方に配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明では、弾性部材(61)と高硬度部材(62)を有する保護部材(60)により、センサチップ(30)、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)を、液体から保護することができる。また、保護部材(60)として、従来のようにオイル(液体)を用いておらず、メタルダイアフラムが不要であるので、体格を小型化することもできる。
【0014】
また、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材(61)により、センサチップ(30)の少なくとも一部、端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及びボンディングワイヤ(50)が被覆されている。このため、測定流体を送り出すポンプの脈動などにより、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材(61)により測定流体から受けたエネルギーを減衰させることができる。したがって急激な圧力変動に対して、特にボンディングワイヤ(50)を保護することができる。
【0015】
また、保護部材(60)は、ダイアフラム(31)の上方に配置された高硬度部材(62)を有している。高硬度部材(62)は、弾性部材(61)に較べてエネルギーの減衰量が小さい。このため、高硬度部材(62)に代えて弾性部材(61)が配置される構成に較べて、ダイアフラム(31)に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0016】
このように、本発明によれば、液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサにおいて、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤを保護することができる。
【0017】
請求項2に記載のように、
高硬度部材(62)は、弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)から外部に露出されることが好ましい。
【0018】
これによれば、高硬度部材(62)が弾性部材(61)によって完全に被覆され、外部に露出されない構成に較べて、ダイアフラム(31)に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載のように、
高硬度部材(62)は、弾性部材(61)の表面(61a)から外部に突出していると良い。
【0020】
これによれば、保護部材(60)を形成する際、高硬度部材(62)の弾性部材(61)から突出する部分を把持しつつ、凹部(24)に液状のゴムを充填し、硬化処理すれば良いため、高硬度部材(62)を弾性部材(61)に対して所望の配置としやすい。
【0021】
請求項4に記載のように、
高硬度部材(62)は、センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触しているとなお良い。これによれば、ダイアフラム(31)と高硬度部材(62)の間に弾性部材(61)が存在する構成に較べて、ダイアフラム(31)に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0022】
請求項5に記載のように、
高硬度部材(62)におけるセンサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向の面積は、センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触する端部(62a)よりも、端部(62a)と反対の端部(62b)のほうが大きいと良い。
【0023】
これによれば、高硬度部材(62)によって、ダイアフラム(31)が受ける圧力を高めることができる。すなわち、センサ感度を高めることができる。
【0024】
また、高硬度部材(62)と弾性部材(61)との界面に沿って、弾性部材(61)の表面(61a)からセンサチップ(30)に対して生じるリークパスの長さを長くすることができる。
【0025】
さらに、請求項6に記載のように、
高硬度部材(62)は、錘状に形成されることが好ましい。
【0026】
これによれば、階段状の高硬度部材(62)などに較べて、弾性部材(61)との間に作用する粘性抵抗を小さくし、これによりセンサ感度をより高めることができる。
【0027】
請求項7に記載のように、
高硬度部材(62)は、センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、ボンディングワイヤ(50)と重ならない位置に配置されていることが好ましい。
【0028】
これによれば、高硬度部材(62)が存在しない分、弾性部材(61)が厚くできるため、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材(61)により測定流体から受けたエネルギーをより効果的に減衰させることができる。
【0029】
請求項8に記載のように、
センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、高硬度部材(62)の中心とダイアフラム(31)の中心とが一致していると良い。
【0030】
これによれば、高硬度部材(62)の中心とダイアフラム(31)の中心とがずれる構成に較べて、ダイアフラム(31)の変位量を大きくとることができる。したがって、センサ感度をより高めることができる。
【0031】
請求項9に記載のように、
第1ハウジング(20)は、センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、ボンディングワイヤ(50)よりも凹部底面(24a)に対して遠くであって、弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)とボンディングワイヤ(50)との間に位置する支持部(26)を有し、
保護部材(60)は、弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、高硬度部材(62)に接触せず、且つ、ボンディングワイヤ(50)を覆うように支持部(26)に固定されたカバー(63)を有する構成としても良い。
【0032】
これによれば、測定流体の圧力が急激に上昇したときに、測定流体から保護部材(60)が受けたエネルギーの一部を、カバー(63)及び支持部(26)を介して第1ハウジング(20)に逃がすことができる。これにより、ボンディングワイヤ(50)をより効果的に保護することができる。
【0033】
請求項10に記載のように、
高硬度部材(62)としては、セラミック材料又は金属材料を用いて形成されたものを採用することができる。
【0034】
また、上記した各発明は、請求項11に記載のように、
筒状に形成され、筒内部の空間として、第1ハウジング(20)の凹部(24)を収容する収容空間と、該収容空間に配置された第1ハウジング(20)の凹部(24)に対して測定流体を導入する導入空間と、を有する第2ハウジング(70)を備え、
第1ハウジング(20)は、凹部(24)を取り囲む環状の固定面(20a)に、該固定面(20a)に環状に沿って形成された溝部(25)を有し、
第2ハウジング(70)は、その内壁面として、固定面(20a)と対向する対向面(70a)を有し、
溝部(25)に配置された環状のシール部材(80)が、第1ハウジング(20)の固定面(20a)と第2ハウジング(70)の対向面(70a)とに密接する構成に好適である。
【0035】
この場合、請求項12に記載のように、
センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、弾性部材(61)が、第2ハウジング(70)の対向面(70a)よりも凹部底面(24a)に対して遠い位置まで配置された構成とすると良い。
【0036】
これによれば、保護部材(60)により、シール部材(80)も保護することができる。このため、シール部材(80)として安価なものを採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1中の二点鎖線で囲む領域IIを拡大した図である。
【図3】センサチップと高硬度部材の位置関係を示す図である。
【図4】保護部材の変形例を示す断面図である。
【図5】保護部材の変形例を示す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図であり、上記図2に対応している。
【図7】第3実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図であり、上記図2に対応している。
【図8】センサチップと高硬度部材の位置関係を示す図である。
【図9】第4実施形態に係る圧力センサのうち、センサチップの搭載された第1ハウジングを示す平面図であり、(a)はカバーなしの状態、(b)はカバーを固定した状態を示している。なお、(a),(b)ともに保護部材の配置前の状態を示している。
【図10】第4実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。この断面図は、図9のX−X線に沿う断面図であり、上記図2に対応している。
【図11】第4実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。この断面図は、図9のXI−XI線に沿う断面図であり、上記図2に対応している。
【図12】保護部材の変形例を示す断面図である。
【図13】圧力センサのその他変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の各図相互において互いに同一もしくは均等である部分に、同一符号を付与する。
【0039】
(第1実施形態)
本実施形態に係る圧力センサは、液体を含む測定流体の圧力(1MPa以上の圧力)の測定に用いられる。具体的には、車両に搭載され、エアコンの冷媒配管内の冷媒圧、CVTの油圧、燃料圧などの測定に用いられる。
【0040】
図1〜図3に示すように、圧力センサ10は、凹部24を有する第1ハウジング20と、該第1ハウジング20の凹部24に配置される圧力測定用のセンサチップ30と、第1ハウジング20に保持された外部接続用端子としてのターミナル40と、センサチップ30とターミナル40とを電気的に接続するボンディングワイヤ50と、センサチップ30、ターミナル40の一部、及びボンディングワイヤ50を被覆する保護部材60を備える。本実施形態では、さらに、第1ハウジング20に組み付けられ、凹部24に測定流体を導く第2ハウジング70と、シール部材としてのOリング80と、を備える。
【0041】
このように構成される圧力センサ10において、本実施形態では、保護部材60に特徴がある。そこで、上記圧力センサ10のうち、保護部材60を除く部分について先ず説明する。
【0042】
第1ハウジング20は、PPSやPBTなどの合成樹脂を射出成形してなるものであり、センサチップ30が配置される凹部24を有する。また、第1ハウジング20には、ターミナル40が保持されている。
【0043】
本実施形態では、第2ハウジング70に収容される柱状の拡径部21と、該拡径部21に連結され、拡径部21よりも径の小さい柱状の小径部22と、小径部22における拡径部21と反対側に連結され、外部コネクタが嵌合されるコネクタ部23と、を有している。
【0044】
拡径部21における小径部22と反対の端面は、第1ハウジング20の一方の端面20aをなしており、この端面20aの中央部分に凹部24が形成されている。すなわち、端面20aは、凹部24を環状に取り囲んでおり、この端面20aが特許請求の範囲に記載の固定面に相当する。以下、端面20aを固定面20aと示す。凹部24は平面円形状を有しており、この凹部24の底面24aの中心位置には、圧力検出用のセンサチップ30が配置されている。
【0045】
センサチップ30は、シリコンなどの半導体基板からなるものであり、その一面30a側に薄肉部分としてのダイアフラム31を有している。このダイアフラム31は、一面30aとは反対の裏面30b側から半導体基板をエッチングすることで形成されている。また、センサチップ30の一面30aにおいて、ダイアフラム31の部分には、例えば不純物を拡散してなるゲージ抵抗(図示略)が形成されている。このゲージ抵抗は、例えば4個設けられており、図示しないブリッジ回路を構成している。
【0046】
このように、本実施形態のセンサチップ30は、半導体式のセンサチップとして構成されている。具体的には、ダイアフラム31にて圧力を受け、その圧力によってダイアフラム31が歪み(変形し)、ピエゾ抵抗効果によりゲージ抵抗の抵抗値が変化する。そして、ゲージ抵抗からなるブリッジ回路によって、ダイアフラム31の歪に応じた信号、すなわち、印加された圧力値に応じたレベルの信号が出力されるようになっている。
【0047】
また、本実施形態では、センサチップ30に、ゲージ抵抗からなるブリッジ回路だけでなく、ブリッジ回路から出力された信号を処理する処理回路も形成(集積)されている。そして、処理回路にて処理された信号は、センサチップ30の一面30aのうち、ダイアフラム31を取り囲む周辺領域32に形成されたパッド33を介して、センサチップ30の外部に出力されるようになっている。
【0048】
このセンサチップ30は、ガラス製の台座34を介して、第1ハウジング20に形成された凹部24の底面24aに固定されている。具体的には、凹部24の底面24aに台座34が接着固定され、台座34に対して裏面30bが対向するように、台座34にセンサチップ30が陽極接合されている。このようにして、センサチップ30が第1ハウジング20に固定されている。
【0049】
また、第1ハウジング20には、センサチップ30と外部の回路等とを電気的に接続する外部接続用端子としてのターミナル40が、複数本保持されている。このターミナル40は金属材料を棒状に加工してなり、本実施形態では、第1ハウジング20を成形する際に、インサート部品として第1ハウジング20と一体的に形成されている。
【0050】
各ターミナル40は、一方の端部41が、凹部24の底面24aから突出して凹部24内に露出しており、他方の端部42が、第1ハウジング20のコネクタ部23から外部に露出している。そして、各ターミナル40における凹部24内に露出された端部41と対応するパッド33とが、ボンディングワイヤ50を介して電気的に接続されている。
【0051】
第2ハウジング70は、アルミニウムなどの金属材料を用いて筒状に成形してなり、第1ハウジング20の拡径部21を収容する第1筒部71と、第1ハウジング20の凹部24に対して測定流体を導入する第2筒部72と、これら筒部71,72を連結する第3筒部73と、を有している。第1筒部71の開口面積及び第2筒部72の開口面積は、それぞれほぼ一定となっている。また、第1筒部71の開口面積は第2筒部72の開口面積よりも大きくなっている。そして、筒部71,72を連結する第3筒部73の開口面積は、センサチップ30から遠ざかるほど小さくなっている。なお、図1に示す符号72aは、測定流体を凹部24に導くために、第2筒部72に形成された圧力導入孔である。
【0052】
この第2ハウジング70は、その内壁面として、第1筒部71と第3筒部73の境界部分に、第1ハウジング20の固定面20aと対向する対向面70aを有している。そして、第1ハウジング20の固定面20aには、凹部24を取り囲むように環状の溝部25が形成され、この溝部25には、凹部24を気密に封止するためのOリング80が配置されている。このOリング80は、第1ハウジング20の溝部25の底面と、第2ハウジング70の対向面70aとに密着しており、これにより、第1ハウジング20の固定面20aと第2ハウジング70の対向面70aとの間の隙間が密封されている。
【0053】
また、第1筒部71における第3筒部73と反対の端部には、第2ハウジング70を第1ハウジング20に固定するためのかしめ部74が形成されている。このかしめ部74は、第1ハウジング20における拡径部21の側面21aから、固定面20aと反対の裏面21b側に折れ曲がっており、第2ハウジング70は、かしめ部74と対向面70aとで、拡径部21を挟持している。
【0054】
次に、このように構成される圧力センサ10において、特徴部分である保護部材60の構成について説明する。
【0055】
保護部材60は、センサチップ30、ターミナル40の凹部24内に露出された端部41、及びボンディングワイヤ50を被覆・保護するとともに、測定流体の圧力をセンサチップ30のダイアフラム31に伝達する機能を果たすものである。この保護部材60は、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材61と、弾性部材61よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、弾性部材61に少なくとも一部が埋設されて弾性部材61に保持された高硬度部材62と、を有する。
【0056】
本実施形態では、弾性部材61が常温硬化型のシリコーン系ゴムからなり、高硬度部材62が、センサチップ30との線膨張係数差を小さくすべく、セラミック(アルミナ)からなる。なお、弾性部材61としては、それ以外にも、フッ素系ゴムなどを採用することができる。また、常温硬化型に限定されず、その他の加熱硬化型などを採用することもできる。また、高硬度部材62としては、セラミック以外にも、SUSなどの金属を採用することもできる。
【0057】
上記したように、弾性部材61は液状のゴムを硬化してなり、本実施形態では、弾性部材61が第1ハウジング20の凹部24を満たすように、固定面20aと面一となる位置まで充填されている。このため、弾性部材61における凹部24の底面24aに接する面と反対の表面61aが、固定面20aと略面一となっている。
【0058】
一方、高硬度部材62は、円柱状をなしており、センサチップ30の一面30aのうち、ダイアフラム31の上方のみに位置している。すなわち、高硬度部材62は、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、ボンディングワイヤ50と重ならない位置に配置されている。また、図3に示すように、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、高硬度部材62の中心とダイアフラム31の中心とが点C1で一致している。また、柱状の高硬度部材62の一端がセンサチップ30の一面30aであってダイアフラム31の部分に接触し、他端が弾性部材61の表面61aと面一となっている。すなわち、高硬度部材62は、センサチップ30のダイアフラム31に接触しつつ、その一部が弾性部材61から外部に露出されている。
【0059】
このように、本実施形態では、円柱状の高硬度部材62が、センサチップ30の一面30aのうち、ダイアフラム31の上方のみに位置しており、第1ハウジング20の凹部24における高硬度部材62の配置部分を除く部分全てに、弾性部材61が配置されている。このため、弾性部材61により、センサチップ30のうち、高硬度部材62の接触部分を除く部分、ターミナル40における凹部24内に露出された端部41、及びボンディングワイヤ50が被覆されている。
【0060】
なお、本実施形態に係る保護部材60は、第1ハウジング20に第2ハウジング70を組み付ける前に形成することもできるし、第1ハウジング20に第2ハウジング70を組み付けた後に形成することもできる。
【0061】
例えば、ターミナル40がインサート成形された第1ハウジング20を準備し、固定面20aが上を向くように配置した状態で、凹部24の底面24aに台座34を接着固定し、次いで、台座34上にセンサチップ30を陽極接合する。次いで、センサチップ30のパッド33とターミナル40の端部41とをボンディングワイヤ50により接続する。そして、高硬度部材62を吸着して、端部がセンサチップ30のダイアフラム31に接触すべく高硬度部材62を所定位置に保持し、この状態で、凹部24内に液状のゴムを充填させる。そして、ゴムを常温硬化させることで、弾性部材61、ひいては保護部材60を形成することができる。保護部材60を形成した後は、第1ハウジング20の溝部25にOリング80を配置し、この状態で、第2ハウジング70を第1ハウジング20に組み付ければ良い。
【0062】
また、保護部材60を形成せずに、第2ハウジング70の第1ハウジング20への組み付けまでを行う。そして、第2ハウジング70の圧力導入孔72aを介して、第1ハウジング20の凹部24に対し、高硬度部材62を吸着して、端部がセンサチップ30のダイアフラム31に接触すべく高硬度部材62を所定位置に保持する。そして、この状態で、圧力導入孔72aを介して凹部24内に液状のゴムを充填させる。そして、ゴムを常温硬化させることで、弾性部材61、ひいては保護部材60を形成することができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る圧力センサ10の特徴部分の効果について説明する。
【0064】
本実施形態では、弾性部材61と高硬度部材62を有する保護部材60により、センサチップ30、ターミナル40の端部41、及びボンディングワイヤ50を、液体から保護することができる。また、保護部材60として、従来のようにオイル(液体)を用いておらず、オイル封止用にメタルダイアフラムが不要である。したがって、雰囲気温度の変化によりオイルが体積膨張し、応力がセンサチップ30のダイアフラム31に作用するのを防ぐために、メタルダイアフラムの体格を大型化しなくとも良い。このため、体格を小型化することもできる。
【0065】
また、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材61により、センサチップ30の少なくとも一部、ターミナル40における凹部24内に露出された端部41、及びボンディングワイヤ50が被覆されている。このため、測定流体を送り出すポンプの脈動などにより、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材61により測定流体から受けたエネルギーを減衰させることができる。したがって急激な圧力変動に対して、特にボンディングワイヤ50を保護することができる。
【0066】
また、保護部材60は、ダイアフラム31の上方に配置された高硬度部材62を有している。高硬度部材62は、弾性部材61に較べて硬く、測定流体から受けたエネルギーの減衰量が小さい。このため、ダイアフラム31上にも弾性部材61のみが配置される構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0067】
以上により、本実施形態によれば、液体を含む測定流体の圧力を測定する圧力センサ10において、体格を小型化しつつ、急激な圧力変動に対してもボンディングワイヤ50を保護することができる。
【0068】
また、本実施形態では、高硬度部材62が、弾性部材61の表面61aから外部に露出されている。このため、高硬度部材62に、測定流体が直接的に作用する。したがって、高硬度部材62が弾性部材61によって被覆され、外部に露出されない構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、高硬度部材62が、センサチップ30のダイアフラム31に接触している。このため、高硬度部材62を介して、センサチップ30に圧力が直接的に伝達される。これによれば、ダイアフラム31と高硬度部材62の間に弾性部材61が存在し、弾性部材61によってエネルギーが少なからず減衰される構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、高硬度部材62が、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、ボンディングワイヤ50と重ならない位置に配置されている。このように、ボンディングワイヤ50の上方には高硬度部材62が存在しないため、その分、弾性部材61の厚さを厚くすることができる。これにより、測定流体の圧力が急激に上昇したとしても、弾性部材61により、測定流体から受けるエネルギーを効果的に減衰させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、高硬度部材62の中心とダイアフラム31の中心とが点C1で一致している。このため、高硬度部材62の中心とダイアフラム31の中心とがずれる構成に較べて、ダイアフラム31の変位量を大きくとることができる。すなわち、センサ感度をより高めることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、高硬度部材62の一端がセンサチップ30の一面30aであってダイアフラム31の部分に接触し、他端が弾性部材61の表面61aと面一とされる例を示した。しかしながら、高硬度部材62の配置は上記例に限定されるものではない。少なくともダイアフラム31の上方に配置されれば良い。
【0073】
例えば図4に示す例では、高硬度部材62が、ダイアフラム31に接触せず、ダイアフラム31との間に弾性部材61が介在されている。また、高硬度部材62が、弾性部材61に完全に埋設され、高硬度部材62上に弾性部材61が位置している。このような構成としても、ダイアフラム31の上方に弾性部材61のみが存在する構成に較べて、ダイアフラム31に圧力を効率よく伝達させることができる。
【0074】
また、図5に示す例では、高硬度部材62が、弾性部材61の表面61aから外部に突出している。このような配置とすると、保護部材60を形成する際、高硬度部材62の弾性部材61から突出する部分を把持しつつ、凹部24に液状のゴムを充填し、硬化処理することができる。したがって、高硬度部材62を弾性部材61に対して所望の配置としやすい。なお、図5では、高硬度部材62がセンサチップ30のダイアフラム31に接触しているが、接触しない構成としても良い。
【0075】
本実施形態では、高硬度部材62として円柱状の例を示したが角柱状(矩形、三角等)としても良い。
【0076】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した圧力センサ10と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、第1ハウジング20の凹部24内のみに弾性部材61が配置される例を示した。これに対し、本実施形態では、図6に示すように、センサチップ30の一面30aに垂直な方向において、弾性部材61が、第2ハウジング70の対向面70aよりも凹部底面24aに対して遠い位置まで配置されている。詳しくは、第1ハウジング20の凹部24の底面24aから、第2ハウジング70のうち、第3筒部73の一部まで充填されている。また、図6に示す例では、高硬度部材62の一端がセンサチップ30の一面30aにおけるダイアフラム31の部分に接触し、他端が弾性部材61の表面61aと面一となっている。
【0077】
このような構成とすると、保護部材60(弾性部材61)により、第1ハウジング20の固定面20aと第2ハウジング70の対向面70aとの間の隙間、すなわちOリング80も保護することができる。このため、Oリング80として安価なものを採用することもできる。
【0078】
なお、このような構成の圧力センサ10は、第1実施形態に示したように、第2ハウジング70の第1ハウジング20への組み付けまでを行った後、第2ハウジング70の圧力導入孔72aを介して、保護部材60を形成することで得ることができる。
【0079】
(第3実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した圧力センサ10と共通する部分についての説明は割愛する。上記実施形態では、高硬度部材62の形状が円柱状である例を示した。換言すれば、高硬度部材62のセンサチップ30の一面30aに沿う方向の面積が、一面30aに垂直な方向において一定である例を示した。
【0080】
これに対し、本実施形態では、図7及び図8に示すように、高硬度部材62におけるセンサチップ30の一面30aに沿う方向の面積が、センサチップ30のダイアフラム31に接触する側の端部62aよりも、該端部62aと反対の端部62bのほうが大きくなっている。より詳しくは、センサチップ30から離れるほど、面積が大きくなる円錐形状をなしている。また、図8に示すように、センサチップ30側の端部62a(図8中の一点鎖線で囲んだ部分)の全てが、ダイアフラム31と接触しており、反対の端部62bは、ダイアフラム31を覆いつつ、パッド33、ひいてはボンディングワイヤ50とは重ならないように設けられている。
【0081】
ここで、センサチップ30とは反対側の端部62bの面積をS1、端部62bに作用する測定流体の圧力をP1、センサチップ30側の端部62aの面積をS2、圧力をP2とすると、理想的には、P1・S1=P2・S2となる。したがって、本実施形態に示す構成とすると、高硬度部材62によって、ダイアフラム31が受ける圧力を高めることができる。すなわち、センサ感度を高めることができる。
【0082】
特に本実施形態では、円錐形状の高硬度部材62を採用し、端部62a,62b間を繋ぐ側面がテーパ状となっているため、階段状の高硬度部材62などに較べて、弾性部材61と高硬度部材62との間に作用する粘性抵抗を小さくし、これによりセンサ感度をより高めることができる。
【0083】
また、本実施形態では、センサチップ30の一面30aに沿う方向において、高硬度部材62がボンディングワイヤ50と重ならないように設けられている。このため、ボンディングワイヤ50の上方に高硬度部材62も位置する構成に較べて、ボンディングワイヤ50を効果的に保護することができる。
【0084】
また、高硬度部材62と弾性部材61との界面に沿って、弾性部材61の表面61aからセンサチップ30に対して生じるリークパスの長さを長くすることができる。
【0085】
なお、センサチップ30のダイアフラム31に接触する側の端部62aよりも、該端部62aと反対の端部62bのほうが大きい高硬度部材62の形状としては、上記した円錐形状に限定されるものではない。例えば角錐形状としても良い。また、それ以外にも、センサチップ30の一面30aに垂直な方向に所定長さごとに面積が変化する、階段状としても良い。
【0086】
また、高硬度部材62の一部が、ボンディングワイヤ50の上方に位置するように、高硬度部材62を配置しても良い。これによれば、高硬度部材62の端部62bの面積S1をより大きくして、センサ感度をより高めることができる。
【0087】
(第4実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した圧力センサ10と共通する部分についての説明は割愛する。上記実施形態では、弾性部材61と高硬度部材62とを有する保護部材60の例を示した。これに対し、本実施形態では、図9〜図11に示すように、保護部材60が、弾性部材61及び高硬度部材62とともに、カバー63を有する点を特徴とする。
【0088】
第1ハウジング20の凹部24には、センサチップ30の一面30aに垂直な方向において、ボンディングワイヤ50よりも凹部24の底面24aに対して遠くであって、カバー63を支持する支持面26aが、弾性部材61の表面61aとボンディングワイヤ50との間に位置する支持部26を有している。
【0089】
カバー63は、弾性部材61よりもヤング率の高い材料(樹脂、セラミック、金属など)を用いて形成されている。そして、支持部26に固定され、高硬度部材62、センサチップ30、ターミナル40の端部41、及びボンディングワイヤ50に接触せず、且つ、ボンディングワイヤ50を覆うように配置されている。本実施形態では、第1ハウジング20の構成材料と同じ材料(例えばPPS)を用いて、カバー63が構成されている。
【0090】
本実施形態に示す例では、図9(b)に示すように、カバー63が、凹部24の対応して平面円形状をなしており、その中心部分に高硬度部材62に対応する貫通孔63aを有している。また、カバー63を支持部26に接着固定した状態で、凹部24におけるカバー63よりも下方の領域に、液状のゴムを充填して弾性部材61を形成するために、貫通孔63aを取り囲むように4つの貫通孔63bが形成されている。この貫通孔63bは、図9(a)に示すように、4本のターミナル40の端部41に対応して、各端部41の上方に形成されている。
【0091】
このように、ボンディングワイヤ50の上方にカバー63を設け、このカバー63を第1ハウジング20の支持部26に固定すると、測定流体の圧力が急激に上昇したときに、測定流体から保護部材60が受けたエネルギーの一部を、カバー63及び支持部26を介して第1ハウジング20に逃がすことができる。これにより、ボンディングワイヤ50をより効果的に保護することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、図10及び図11に示すように、カバー63が、弾性部材61により完全に被覆されている。また、弾性部材61は、第2ハウジング70の第3筒部73まで配置されている。しかしながら、図12に示すように、カバー63の一部が、弾性部材61から露出された構成としても良い。図12では、カバー63の底面24aと反対の表面が露出されている。また、弾性部材61が、第1ハウジング20の凹部24内のみに配置される構成としても良い。
【0093】
また、支持部26の形態は上記例に限定されるものではない。第1ハウジング20の凹部24の壁面(例えば底面24a)から凹部24内に突出し、ボンディングワイヤ50の上方に、カバー63を支持できる形態であれば採用することができる。
【0094】
また、カバー63についても、上記例に限定されるものではない。例えば4本のボンディングワイヤ50ごとにカバー63を分割配置しても良い。すなわち複数のカバー63を用いても良い。また、略十字状のカバー63を採用することもできる。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0096】
本実施形態では、圧力センサ10が、第1ハウジング20とともに、第2ハウジング70を備える例を示した。しかしながら、圧力センサ10は、図13に示すように、少なくとも、凹部24を有する第1ハウジング20と、該第1ハウジング20の凹部24に配置される圧力測定用のセンサチップ30と、第1ハウジング20に保持された外部接続用端子としてのターミナル40と、センサチップ30とターミナル40とを電気的に接続するボンディングワイヤ50と、センサチップ30、ターミナル40の一部、及びボンディングワイヤ50を被覆する保護部材60を備えればよい。なお、図13では、第1ハウジング20が金属材料からなり、ターミナル40が、第1ハウジング20にハーメチックシールされている。
【符号の説明】
【0097】
10・・・圧力センサ
20・・・第1ハウジング
24・・・凹部
24a・・・底面(凹部底面)
30・・・センサチップ
31・・・ダイアフラム
33・・・パッド
40・・・ターミナル(端子)
50・・・ボンディングワイヤ
60・・・保護部材
61・・・弾性部材
62・・・高硬度部材
70・・・第2ハウジング
72a・・・圧力導入孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部(24)を有する第1ハウジング(20)と、
一面(30a)側に形成され、ゲージ抵抗を有するダイアフラム(31)と、該ダイアフラム(31)を取り囲む周辺領域(32)において前記一面(30a)上に形成された外部接続用のパッド(33)と、を有し、前記一面(30a)と反対の裏面(30b)が、前記第1ハウジング(20)の凹部底面(24a)と対向するように、前記凹部底面(24a)上に配置されたセンサチップ(30)と、
前記第1ハウジング(20)に保持され、一方の端部(41)が前記凹部(24)内に露出され、他方の端部(42)が前記凹部(24)とは異なる部分で前記第1ハウジング(20)の外部に露出された外部接続用の端子(40)と、
前記端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)と前記センサチップ(30)のパッド(33)とを電気的に接続するボンディングワイヤ(50)と、
前記センサチップ(30)、前記端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及び前記ボンディングワイヤ(50)を被覆する保護部材(60)と、を備え、
液体を含む測定流体の圧力が、前記保護部材(60)を介して前記センサチップ(30)に伝達される圧力センサであって、
前記保護部材(60)は、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材(61)と、該弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、前記弾性部材(61)に少なくとも一部が埋設されて前記弾性部材(61)に保持された高硬度部材(62)と、を有し、
前記弾性部材(61)により、前記センサチップ(30)の少なくとも一部、前記端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及び前記ボンディングワイヤ(50)が被覆され、
前記高硬度部材(62)は、前記ダイアフラム(31)の上方に配置されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記高硬度部材(62)は、前記弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)から外部に露出されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記高硬度部材(62)は、前記弾性部材(61)の表面(61a)から外部に突出していることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記高硬度部材(62)は、前記センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触していることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記高硬度部材(62)における前記センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向の面積は、前記センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触する端部(62a)よりも、前記端部(62a)と反対の端部(62b)のほうが大きいことを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記高硬度部材(62)は、錘状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記高硬度部材(62)は、前記センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、前記ボンディングワイヤ(50)と重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、前記高硬度部材(62)の中心と前記ダイアフラム(31)の中心とが一致していることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記第1ハウジング(20)は、前記センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、前記ボンディングワイヤ(50)よりも前記凹部底面(24a)に対して遠くであって、前記弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)と前記ボンディングワイヤ(50)との間に位置する支持部(26)を有し、
前記保護部材(60)は、前記弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、前記高硬度部材(62)に接触せず、且つ、前記ボンディングワイヤ(50)を覆うように前記支持部(26)に固定されたカバー(63)を有することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記高硬度部材(62)は、セラミック材料又は金属材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項11】
筒状に形成され、筒内部の空間として、前記第1ハウジング(20)の凹部(24)を収容する収容空間と、該収容空間に配置された前記第1ハウジング(20)の凹部(24)に対して測定流体を導入する導入空間と、を有する第2ハウジング(70)を備え、
前記第1ハウジング(20)は、前記凹部(24)を取り囲む環状の固定面(20a)に、該固定面(20a)に環状に沿って形成された溝部(25)を有し、
前記第2ハウジング(70)は、その内壁面として、前記固定面(20a)と対向する対向面(70a)を有し、
前記溝部(25)に配置された環状のシール部材(80)が、前記第1ハウジング(20)の固定面(20a)と前記第2ハウジング(70)の対向面(70a)とに密接していることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、前記弾性部材(61)が、前記第2ハウジング(70)の対向面(70a)よりも前記凹部底面(24a)に対して遠い位置まで配置されていることを特徴とする請求項11に記載の圧力センサ。
【請求項1】
凹部(24)を有する第1ハウジング(20)と、
一面(30a)側に形成され、ゲージ抵抗を有するダイアフラム(31)と、該ダイアフラム(31)を取り囲む周辺領域(32)において前記一面(30a)上に形成された外部接続用のパッド(33)と、を有し、前記一面(30a)と反対の裏面(30b)が、前記第1ハウジング(20)の凹部底面(24a)と対向するように、前記凹部底面(24a)上に配置されたセンサチップ(30)と、
前記第1ハウジング(20)に保持され、一方の端部(41)が前記凹部(24)内に露出され、他方の端部(42)が前記凹部(24)とは異なる部分で前記第1ハウジング(20)の外部に露出された外部接続用の端子(40)と、
前記端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)と前記センサチップ(30)のパッド(33)とを電気的に接続するボンディングワイヤ(50)と、
前記センサチップ(30)、前記端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及び前記ボンディングワイヤ(50)を被覆する保護部材(60)と、を備え、
液体を含む測定流体の圧力が、前記保護部材(60)を介して前記センサチップ(30)に伝達される圧力センサであって、
前記保護部材(60)は、液状のゴムが硬化されてなる弾性部材(61)と、該弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、前記弾性部材(61)に少なくとも一部が埋設されて前記弾性部材(61)に保持された高硬度部材(62)と、を有し、
前記弾性部材(61)により、前記センサチップ(30)の少なくとも一部、前記端子(40)における凹部(24)内に露出された端部(41)、及び前記ボンディングワイヤ(50)が被覆され、
前記高硬度部材(62)は、前記ダイアフラム(31)の上方に配置されていることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記高硬度部材(62)は、前記弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)から外部に露出されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記高硬度部材(62)は、前記弾性部材(61)の表面(61a)から外部に突出していることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記高硬度部材(62)は、前記センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触していることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記高硬度部材(62)における前記センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向の面積は、前記センサチップ(30)のダイアフラム(31)に接触する端部(62a)よりも、前記端部(62a)と反対の端部(62b)のほうが大きいことを特徴とする請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記高硬度部材(62)は、錘状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記高硬度部材(62)は、前記センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、前記ボンディングワイヤ(50)と重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記センサチップ(30)の一面(30a)に沿う方向において、前記高硬度部材(62)の中心と前記ダイアフラム(31)の中心とが一致していることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記第1ハウジング(20)は、前記センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、前記ボンディングワイヤ(50)よりも前記凹部底面(24a)に対して遠くであって、前記弾性部材(61)における凹部底面(24a)に接する面と反対の表面(61a)と前記ボンディングワイヤ(50)との間に位置する支持部(26)を有し、
前記保護部材(60)は、前記弾性部材(61)よりもヤング率の高い材料を用いて形成され、前記高硬度部材(62)に接触せず、且つ、前記ボンディングワイヤ(50)を覆うように前記支持部(26)に固定されたカバー(63)を有することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記高硬度部材(62)は、セラミック材料又は金属材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項11】
筒状に形成され、筒内部の空間として、前記第1ハウジング(20)の凹部(24)を収容する収容空間と、該収容空間に配置された前記第1ハウジング(20)の凹部(24)に対して測定流体を導入する導入空間と、を有する第2ハウジング(70)を備え、
前記第1ハウジング(20)は、前記凹部(24)を取り囲む環状の固定面(20a)に、該固定面(20a)に環状に沿って形成された溝部(25)を有し、
前記第2ハウジング(70)は、その内壁面として、前記固定面(20a)と対向する対向面(70a)を有し、
前記溝部(25)に配置された環状のシール部材(80)が、前記第1ハウジング(20)の固定面(20a)と前記第2ハウジング(70)の対向面(70a)とに密接していることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記センサチップ(30)の一面(30a)に垂直な方向において、前記弾性部材(61)が、前記第2ハウジング(70)の対向面(70a)よりも前記凹部底面(24a)に対して遠い位置まで配置されていることを特徴とする請求項11に記載の圧力センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−29376(P2013−29376A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164653(P2011−164653)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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