説明

圧力温度複合センサ装置

【課題】電気的な接続不良の発生、及び、コストの増大が抑制された圧力温度複合センサ装置を提供する。
【解決手段】圧力センサ及び温度センサそれぞれがターミナルを介して外部素子と電気的に接続され、圧力センサ及びターミナルが支持部に支持され、温度センサがターミナルに支持された圧力温度複合センサ装置であって、支持部に形成された流体導入孔は、第1導入孔及び第2導入孔を有し、温度センサは、感温素子、保護部、及び、リードを有し、リードの一端が感温素子に接続され、他端がターミナルに接続され、感温素子及び保護部が、リードを介してターミナルに支持されており、保護部及び感温素子が第2導入孔に設けられ、保護部と第2導入孔の壁面との間に形成された隙間における、第2導入孔の中心軸に直交する方向の横幅は、被検出流体の圧力印加によって感温素子及び保護部が振動する振れ幅よりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサ及び温度センサそれぞれがターミナルを介して外部素子と電気的に接続され、圧力センサ及びターミナルが支持部に支持され、温度センサがターミナルに支持された圧力温度複合センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、圧力センサ素子及び該圧力センサ素子と外部処理回路とを電気的に接続するコネクタピンを内部に備えるセンサケースと、センサケースに連結され、圧力センサ素子へ媒体を導く圧力導入孔を有するポート部と、圧力導入孔に設けられ、リード線を介してコネクタピンと電気的に接続された温度センサ素子と、を備える温度センサ一体型圧力センサ装置が提案されている。使用環境に晒される温度センサ素子は、コーティング材によって保護され、リード線を介してコネクタピンに支持されている。また、リード線と圧力導入孔との間に緩衝部材が設けられ、この緩衝部材によって、リード線が圧力導入孔に固定されている。この緩衝部材により、温度センサ素子とリード線の振動が抑制され、コネクタピンとリード線との接続部に応力が印加されることが抑制される。この結果、コネクタピンとリードとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−198394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したように、特許文献1に示される圧力温度複合センサ装置では、リード線と圧力導入孔との間に緩衝部材が設けられている。このため、部品点数が増大し、コストが増大する虞があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、電気的な接続不良の発生、及び、コストの増大が抑制された圧力温度複合センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、圧力を検出する圧力センサと、温度を検出する温度センサと、圧力センサ及び温度センサそれぞれと外部素子との電気的な接続を中継しつつ、温度センサを支持するターミナルと、圧力センサ及びターミナルを支持する支持部と、を有する圧力温度複合センサ装置であって、支持部は、被検出流体を導入する流体導入孔を有し、該流体導入孔は、被検出流体を圧力センサに導く第1導入孔、及び、温度センサを設けるための第2導入孔を有し、温度センサは、温度を電気信号に変換する感温素子、該感温素子を被覆保護する保護部、及び、感温素子とターミナルとを機械的及び電気的に接続するリードを有し、該リードの一端が感温素子に接続され、他端がターミナルに接続され、感温素子及び保護部が、リードを介してターミナルに支持されており、保護部及び感温素子の少なくとも一部が第2導入孔内に設けられ、保護部と第2導入孔を構成する壁面との間に隙間が形成されており、隙間における、第2導入孔の中心軸を貫く中心軸方向に直交する方向の横幅は、被検出流体の圧力印加によって感温素子及び保護部が振動する振れ幅よりも短いことを特徴とする。
【0007】
このように本発明によれば、保護部によって被覆された感温素子と第2導入孔の壁面との間に隙間が形成され、隙間の横幅が、感温素子及び保護部の振れ幅よりも短くなっている。これによれば、感温素子及び保護部が振動したとしても、保護部が第2導入孔の壁と接触するので、感温素子、及び、該感温素子を支持するリードの振動が抑制される。この結果、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制され、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0008】
以上示したように、本発明では、緩衝部材によってリードが第2導入孔に固定された構成とは異なり、緩衝部材を用いなくとも、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。したがって、上記した比較例と比べて、緩衝部材の分、部品点数が減るので、コストの増大が抑制される。
【0009】
請求項2に記載のように、リードは、第1折り曲げ部位にて折り曲げられ、感温素子側の第1区画部位と、ターミナル側の第2区画部位とに区画されており、感温素子は、第1折り曲げ部位を支点として、振動する構成が好適である。
【0010】
これによれば、感温素子及びリードは、主として、第1折り曲げ部位を支点として振動する。したがって、感温素子及びリードが、主として、リードとターミナルとの接続部位を支点として振動する構成と比べて、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制され、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0011】
請求項3に記載のように、第1区画部位と第2区画部位との連結角度が、直角である構成が好ましい。これによれば、第1区画部位と第2区画部位との連結角度が鈍角である構成と比べて、主として振動する第1区画部位の振動が、第2区画部位に伝達されることが抑制される。これにより、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制され、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0012】
請求項4に記載のように、第2区画部位は、支持部に接着固定された構成が好ましい。これによれば、リードが、ターミナルと支持部とに固定されるので、リードの振動が、リードとターミナルとの接続部位と、リードと支持部との固定部位とに分散される。そのため、リードとターミナルとの接続部位に印加される振動が低減され、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制される。この結果、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0013】
請求項5に記載のように、第2区画部位は、少なくとも1回折り曲げられ、少なくとも1つ以上の折り曲げ部位によって、少なくとも2つ以上の部位に区画された構成が良い。これによれば、第2区画部位が折り曲げられていない構成と比べて、第2区画部位の振動が、リードとターミナルとの接続部位に伝達することが抑制される。これにより、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制され、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0014】
請求項6に記載のように、第2区画部位は、第1折り曲げ部位に最も近い第2折り曲げ部位によって、感温素子側の第3区画部位と、ターミナル側の第4区画部位とに区画されており、第3区画部位と第4区画部位との連結角度が、直角である構成が良い。これによれば、第3区画部位と第4区画部位との連結角度が鈍角である構成と比べて、第2区画部位の振動が、第3区画部位に伝達されることが抑制される。これにより、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制され、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0015】
請求項7に記載のように、第1区画部位の中央部が、第2導入孔の中心軸から離れるように広がり、第2導入孔を構成する壁面に接触した構成が良い。これによれば、第1区画部位が第2導入孔を構成する壁面に接触していない構成と比べて、リードの振動が抑制される。したがって、リードとターミナルとの接続部に応力が印加されることが抑制され、リードとターミナルとに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0016】
請求項8に記載のように、支持部は、圧力センサとターミナルとを支持するケースと、流体導入孔が形成されたポートと、を有し、第2導入孔内に温度センサが挿入されるように、ケースにポートが組み付けられ、第1導入孔及び第2導入孔それぞれが有する2つの開口端の内の1つがケースによって閉塞されており、第2導入孔の閉塞された開口端から、それとは反対側の開口端に向かって、第2導入孔を構成する壁面の径が、徐々に狭まった構成が良い。これによれば、第2導入孔を構成する壁面の径が一定の構成と比べて、ケースにポートを組み付ける際に、温度センサを第2導入孔に挿入し易くなる。
【0017】
請求項9に記載のように、感温素子及び保護部の一部が、第2導入孔の一方の開口端から外部に露出した構成が良い。これによれば、感温素子を覆った保護部が、被検出流体に晒されるので、感温素子及び保護部の全てが第2導入孔内に設けられた構成と比べて、温度検出の応答性が向上される。
【0018】
請求項10に記載のように、第2導入孔の一方の開口端には、この開口端から外部に露出した感温素子及び保護部の周囲を囲む、筒状の囲み部が形成された構成が良い。これによれば、圧力温度複合センサ装置を運搬する際に、温度センサと外物との接触が抑制される。また、圧力温度複合センサ装置を使用中に、被検出流体に含まれる異物と温度センサとの接触が抑制される。これにより、温度センサに故障が生じることが抑制される。
【0019】
請求項11に記載のように、囲み部には、被検出流体を保護部によって覆われた感温素子に印加するための通し窓が形成された構成が良い。これによれば、囲み部に通し窓が形成されていない構成と比べて、感温素子を覆った保護部が被検出流体に晒され易いので、温度検出の応答性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る圧力温度複合センサ装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】リードの形状を説明するための拡大斜視図である。
【図3】リードの変形例を説明するための拡大斜視図である。
【図4】リードの変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る圧力温度複合センサ装置の概略構成を示す断面図である。図2は、リードの形状を説明するための拡大斜視図である。以下においては、互いに直交の関係にある2方向をx方向及びy方向、これら2つの方向に直交する方向をz方向と示す。z方向が、特許請求の範囲に記載の軸方向に相当する。
【0022】
図1に示すように、圧力温度複合センサ装置100は、要部として、圧力センサ10と、温度センサ20と、ターミナル30と、支持部40と、を有する。圧力センサ10は、ワイヤ12を介して、対応するターミナル30と電気的に接続され、温度センサ20(感温素子)は、リード22を介して、対応するターミナル30と電気的に接続されている。そして、圧力センサ10とターミナル30とが、支持部40に支持され、温度センサ20が、ターミナル30に支持されている。後述するように、支持部40は、流体導入孔41を有しており、該流体導入孔41から流入した被検出流体の圧力が圧力センサ10に印加されると、この圧力が圧力センサ10にて電気信号に変換される。この変換された電気信号が、ワイヤ12及びターミナル30を介して外部素子に出力される。また、温度センサ20は、流体導入孔41に設けられ、その一部が流体導入孔41から外部に露出されて、被検出流体に晒されている。これにより、温度センサ20にて、被検出流体の温度が電気信号に変換され、この変換された電気信号が、リード22及びターミナル30を介して外部素子に出力される。
【0023】
圧力センサ10は、局所的に厚さの薄くなった薄肉部(図示略)が形成された半導体基板11と、薄肉部に形成されたゲージ抵抗(図示略)と、を有する。4つのゲージ抵抗によってフルブリッジ回路が形成され、このフルブリッジ回路を構成する2つのハーフブリッジ回路の中点電位が、ワイヤ12とターミナル30とを介して外部素子に出力される。圧力センサ10、及び、圧力センサ10とターミナル30との電気的な接続部位は、ゲル状の樹脂13によって覆われている。そのため、流体導入孔41から流入した被検出流体の圧力は、ゲル状の樹脂13を介して、半導体基板11の薄肉部に印加される。この圧力印加によって薄肉部に歪みが生じると、その歪みによってゲージ抵抗の抵抗値が変動し、上記したハーフブリッジ回路の中点電位が変動する。この中点電位の変動が、被検出流体の圧力として、外部素子に出力される。
【0024】
温度センサ20は、感温素子(図示略)と、該感温素子を被覆保護する保護部21と、感温素子とターミナル30とを機械的及び電気的に接続するリード22と、を有する。感温素子は、サーミスタであり、保護部21は、弾性を有する樹脂(例えばエポキシ樹脂)である。リード22は、バネ性を有する金属線23と、該金属線23を被膜する被膜部24と、を有する。金属線23は、Co,Mn,Niなどの金属から成り、被膜部24は、ポリイミドなどの樹脂から成る。リード22の両端部の被膜部24は剥がされて、金属線23が外部に露出しており、この露出した部位とターミナル30、及び、感温素子が電気的及び機械的に接続されている。金属線23とターミナル30との接続部位は、絶縁性の接着剤25によって覆われ、金属線23と感温素子との接続部位は、保護部21によって覆われている。
【0025】
図2に示すように、本実施形態に係るリード22は、2回折り曲げられ、その2つの折り曲げ部位22a,22bにて、3つの部位22c〜22eに区画されている。すなわち、感温素子に最も近い第1折り曲げ部位22aによって、第1区画部位22cと第2区画部位22dとに区画され、第2折り曲げ部位22bによって、第2区画部位22dと第3区画部位22eとに区画されている。第1区画部位22cはz方向、第2区画部位22dはy方向、第3区画部位22eはx方向に延びており、区画部位22c,22dの第1連結角度、及び、区画部位22d,22eの第2連結角度それぞれが直角となっている。また、区画部位22d,22eが、x方向とy方向とによって規定されるx−y平面上に位置し、支持部40のケース42上に位置している。この2つの区画部位22d,22eは、接着剤25によってケース42に接着固定され、第1区画部位22cが、接着剤25から突出している。
【0026】
支持部40は、圧力センサ10及びターミナル30を支持するケース42と、流体導入孔41が形成されたポート43と、を有する。ケース42の主要部分は、断面矩形状を成し、ターミナル30がインサート成形されている。そして、ケース42の端部には、ケース42から露出したターミナル30を囲む第1囲み部44が形成され、この第1囲み部44と、第1囲み部44によって囲まれたターミナル30とによって外部素子との電気的な接続を行うコネクタが構成されている。
【0027】
ケース42の主面には、圧力センサ10を設けるための第1凹部45とリード22を設けるための第2凹部46とが形成されている。第1凹部45に圧力センサ10及び圧力センサ10に対応するターミナル30が設けられ、第2凹部46にリード22及びリード22(温度センサ20)に対応するターミナル30が設けられている。また、ケース42の主面には、凹部45,46を囲む、環状の第3凹部47が形成されており、この第3凹部47には、後述するポート43の凸部49が挿入される。
【0028】
ポート43は、筒状を成し、その中空が、流体導入孔41としての機能を果たしている。このポート43を、被検出流体の通るパイプに形成された孔に挿入することで、流体導入孔41に被検出流体が流入される。ポート43の外壁面には、ポート43と上記したパイプとの隙間から、被検出流体の外部への流出を防ぐためのOリング48が設けられている。
【0029】
図1に示すように、流体導入孔41における一方の開口端41aから所定位置(Oリング48の設置位置)までの内径は一定であり、その所定位置から他方の開口端41bまでの内径は、開口端41bに向かうにしたがって徐々に長くなっている。開口端41bを構成する縁には、z方向に沿って、ケース42側に突起した環状の凸部49が形成され、開口端41aを構成する縁には、z方向に沿って、ケース42から遠ざかる方向に延びた第2囲み部50が形成されている。凸部49が第3凹部47に挿入されることで、ケース42とポート43とが組み付けられ、その挿入時に、温度センサ20が流体導入孔41に挿入される。そして、温度センサ20の一部が、流体導入孔41の開口端41aから外部に露出し、上記した第2囲み部50によって囲まれる。この第2囲み部50には、保護部21によって覆われた感温素子に被検出流体を印加するための通し窓51が複数形成されている。
【0030】
図1に示すように、流体導入孔41内に仕切り板52が設けられており、この仕切り板52によって、流体導入孔41が、被検出流体を圧力センサ10に導く第1導入孔53と、温度センサ20を設けるための第2導入孔54とに区分けされ、開口端41aが2つの開口端に区分けされている。保護部21によって覆われた感温素子の一部が、第2導入孔54から外部に露出され、その外部に露出した部位の周囲が、上記した第2囲み部50によって囲まれている。
【0031】
本実施形態では、x方向とy方向とによって規定されるx−y平面における、保護部21の最大径は2.85mmであり、第2導入孔54の最小径は3.00mmである。したがって、保護部21と第2導入孔54を構成する壁面との間には、最小で、0.15mmの横幅を有する隙間が形成されている。この隙間の横幅は、被検出流体の圧力印加によって保護部21によって覆われた感温素子が振動する振れ幅よりも短くなっている。
【0032】
次に、本実施形態に係る圧力温度複合センサ装置100の作用効果を説明する。上記したように、保護部21によって被覆された感温素子と第2導入孔54の壁面との間に隙間が形成され、隙間の横幅が、保護部21によって覆われた感温素子の振れ幅よりも短くなっている。これによれば、感温素子及び保護部21が振動したとしても、保護部21が第2導入孔54の壁と接触するので、感温素子、及び、該感温素子を支持するリード22の振動が抑制される。この結果、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制され、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0033】
以上示したように、本実施形態に示した圧力温度複合センサ装置100の場合、緩衝部材によってリードが第2導入孔に固定された構成とは異なり、緩衝部材を用いなくとも、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。したがって、上記した比較例と比べて、緩衝部材の分、部品点数が減るので、コストの増大が抑制される。
【0034】
リード22は、感温素子に最も近い第1折り曲げ部位22aによって、第1区画部位22cと第2区画部位22dとに区画されている。この場合、感温素子及びリード22は、主として、第1折り曲げ部位22aを支点として振動する。したがって、感温素子及びリードが、主として、リードとターミナルとの接続部位を支点として振動する構成と比べて、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制され、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0035】
区画部位22c,22dの第1連結角度が直角になっている。これによれば、第1連結角度が鈍角である構成と比べて、主として振動する第1区画部位22cの振動が、第2区画部位22dに伝達されることが抑制される。これにより、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制され、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0036】
リード22は、2つの折り曲げ部位22a,22bにて、3つの部位22c〜22eに区画されている。これによれば、リードが、1つの折り曲げ部位にて、2つの部位に区画された構成と比べて、第1区画部位22cの振動が、リード22とターミナル30との接続部位に伝達することが抑制される。これにより、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制され、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0037】
区画部位22d,22eの第2連結角度が直角となっている。これによれば、第2連結角度が鈍角である構成と比べて、第2区画部位の振動が、第3区画部位に伝達されることが抑制される。これにより、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制され、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0038】
区画部位22d,22eが、接着剤25によって支持部40に接着固定され、第1区画部位22cが、接着剤25から突出している。これによれば、リード22が、ターミナル30と支持部40とに固定されるので、リード22の振動が、リード22とターミナル30との接続部位と、リード22と支持部40との固定部位とに分散される。そのため、リード22とターミナル30との接続部位に印加される振動が低減され、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制される。この結果、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。
【0039】
流体導入孔41における一方の開口端41aから所定位置(Oリング48の設置位置)までの内径は一定であり、その所定位置から他方の開口端41bまでの内径は、開口端41bに向かうにしたがって徐々に長くなっている。これによれば、流体導入孔41(第2導入孔54)を構成する壁面の径が一定の構成と比べて、ケース42にポート43を組み付ける際に、温度センサ20を第2導入孔54に挿入し易くなる。
【0040】
保護部21によって覆われた感温素子の一部が、第2導入孔54から外部に露出されている。これによれば、感温素子を覆った保護部21が、被検出流体に晒されるので、感温素子及び保護部の全てが第2導入孔内に設けられた構成と比べて、温度検出の応答性が向上される。
【0041】
第2導入孔54から外部に露出した保護部21によって覆われた感温素子の一部が、第2囲み部50によって囲まれている。これによれば、圧力温度複合センサ装置100を運搬する際に、温度センサ20と外物との接触が抑制される。また、圧力温度複合センサ装置100を使用中に、被検出流体に含まれる異物と温度センサ20との接触が抑制される。これにより、温度センサ20に故障が生じることが抑制される。
【0042】
第2囲み部50には、被検出流体を保護部21によって覆われた感温素子に印加するための通し窓51が複数形成されている。これによれば、囲み部に通し窓が形成されていない構成と比べて、感温素子を覆った保護部21が被検出流体に晒され易いので、温度検出の応答性が向上される。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0044】
本実施形態では、上記した圧力温度複合センサ装置100の具体的な適用例を示さなかったが、これは、車両などに適用することができる。本発明者が、上記構成の圧力温度複合センサ装置100を車両の空気供給孔に適用したところ、上記した隙間が、被検出流体に含まれる異物によって埋められ、感温素子の振動が抑制されることが確認されている。
【0045】
本実施形態では、x−y平面における、保護部21の最大径は2.85mm、第2導入孔54の最小径は3.00mmであり、保護部21と第2導入孔54を構成する壁面との間に、最小で0.15mmの横幅を有する隙間が形成された例を示した。しかしながら、保護部21の最大径、第2導入孔54の最小径、及び、隙間の横幅としては、上記例に限定されず、隙間の横幅が、被検出流体の圧力印加によって保護部21によって覆われた感温素子が振動する振れ幅よりも短ければ良い。
【0046】
本実施形態では、リード22が、2回折り曲げられた例を示した。しかしながら、リード22の折り曲げる回数は、上記例に限定されない。例えば、1回折り曲げた構成としても良い。この場合、1折り曲げ部位22aによって、リード22は2つの区画部位22c,22dに区画され、第1区画部位22cが主として振動することとなるので、リード22とターミナル30との電気的な接続部位に応力が印加されることが抑制される。
【0047】
本実施形態では、第1区画部位22cはz方向、第2区画部位22dはy方向、第3区画部位22eはx方向に延び、区画部位22c,22dの第1連結角度、及び、区画部位22d,22eの第2連結角度それぞれが直角となっている例を示した。しかしながら、各区画部位22c〜22eの延びる方向、及び、連結角度としては、上記例に限定されない。例えば、図3に示すように、第2区画部位22dが、z方向とx方向とによって規定されるz−x平面に沿う一方向に延び、第1連結角度が鈍角の構成を採用することができる。図3は、リードの変形例を説明するための拡大斜視図である。
【0048】
本実施形態では、第1区画部位22cが、z方向に延びた例を示した。しかしながら、第1区画部位22cの形状としては、上記例に限定されない。例えば、図4に示すように、第1区画部位22cの中央部が、z方向に沿う第2導入孔54の中心軸から離れるように広がり、第2導入孔54を構成する壁面に接触した構成を採用することもできる。これによれば、第1区画部位が第2導入孔を構成する壁面に接触していない構成と比べて、リード22の振動が抑制される。したがって、リード22とターミナル30との接続部に応力が印加されることが抑制され、リード22とターミナル30とに電気的な接続不良が生じることが抑制される。図4は、リードの変形例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10・・・圧力センサ
20・・・温度センサ
21・・・保護部
22・・・リード
30・・・ターミナル
40・・・支持部
41・・・圧力導入孔
53・・・第1導入孔
54・・・第2導入孔
100・・・圧力温度複合センサ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を検出する圧力センサと、
温度を検出する温度センサと、
前記圧力センサ及び前記温度センサそれぞれと外部素子との電気的な接続を中継しつつ、前記温度センサを支持するターミナルと、
前記圧力センサ及び前記ターミナルを支持する支持部と、を有する圧力温度複合センサ装置であって、
前記支持部は、被検出流体を導入する流体導入孔を有し、
該流体導入孔は、被検出流体を前記圧力センサに導く第1導入孔、及び、前記温度センサを設けるための第2導入孔を有し、
前記温度センサは、温度を電気信号に変換する感温素子、該感温素子を被覆保護する保護部、及び、前記感温素子と前記ターミナルとを機械的及び電気的に接続するリードを有し、
該リードの一端が前記感温素子に接続され、他端が前記ターミナルに接続され、前記感温素子及び前記保護部が、前記リードを介して前記ターミナルに支持されており、
前記保護部及び前記感温素子の少なくとも一部が前記第2導入孔内に設けられ、前記保護部と前記第2導入孔を構成する壁面との間に隙間が形成されており、
前記隙間における、前記第2導入孔の中心軸を貫く中心軸方向に直交する方向の横幅は、被検出流体の圧力印加によって前記感温素子及び前記保護部が振動する振れ幅よりも短いことを特徴とする圧力温度複合センサ装置。
【請求項2】
前記リードは、第1折り曲げ部位にて折り曲げられ、前記感温素子側の第1区画部位と、前記ターミナル側の第2区画部位とに区画されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項3】
前記第1区画部位と前記第2区画部位との連結角度が、直角であることを特徴とする請求項2に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項4】
前記第2区画部位は、前記支持部に接着固定されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項5】
前記第2区画部位は、少なくとも1回折り曲げられ、少なくとも1つ以上の折り曲げ部位によって、少なくとも2つ以上の部位に区画されていることを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項6】
前記第2区画部位は、前記第1折り曲げ部位に最も近い第2折り曲げ部位によって、前記感温素子側の第3区画部位と、前記ターミナル側の第4区画部位とに区画されており、
前記第3区画部位と前記第4区画部位との連結角度が、直角であることを特徴とする請求項5に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項7】
前記第1区画部位の中央部が、前記第2導入孔の中心軸から離れるように広がり、前記第2導入孔を構成する壁面に接触していることを特徴とする請求項2〜6いずれか1項に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項8】
前記支持部は、前記圧力センサ及び前記ターミナルを支持するケースと、前記流体導入孔が形成されたポートと、を有し、
前記第2導入孔内に前記温度センサが挿入されるように、前記ケースに前記ポートが組み付けられ、
前記第1導入孔及び前記第2導入孔それぞれが有する2つの開口端の内の1つが前記ケースによって閉塞されており、
前記第2導入孔の閉塞された開口端から、それとは反対側の開口端に向かって、前記第2導入孔を構成する壁面の径が、徐々に狭まっていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項9】
前記感温素子及び前記保護部の一部が、前記第2導入孔の一方の開口端から外部に露出していることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項10】
前記第2導入孔の一方の開口端には、この開口端から外部に露出した前記感温素子及び前記保護部の周囲を囲む、筒状の囲み部が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の圧力温度複合センサ装置。
【請求項11】
前記囲み部には、被検出流体を前記保護部によって覆われた前記感温素子に印加するための通し窓が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の圧力温度複合センサ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−29377(P2013−29377A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164656(P2011−164656)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】