説明

圧力測定器

【課題】正確に圧力を測定可能な圧力測定器を提供する。
【解決手段】圧力を受ける可撓膜1と、可撓膜1を保持し底面が円形の凸部12が設けられた台座2と、凸部12の円形の底面に接合された図1に示す保持部材3と、を備える圧力測定器を提供する。可撓膜1は、例えばシリコンからなり、(100)面を主面とする。また、可撓膜1は、凹部23が設けられたシリコン基板21と、凹部24が設けられたシリコン基板22に挟まれて配置されている。そのため、可撓膜1は、シリコン基板22を介して、台座2に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定技術に係り、圧力測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のピエゾ抵抗効果を利用した圧力測定器が、小型、軽量、及び高感度であることから、プラント等で広く利用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。このような圧力測定器においては、半導体からなるダイアフラムに、歪ゲージが設けられている。ダイアフラムに加わる圧力によって歪ゲージが変形すると、ピエゾ抵抗効果によって歪ゲージの抵抗値が変化する。したがって、歪ゲージの抵抗値を測定することにより、圧力を測定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3307281号公報
【特許文献2】特開2006−170823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧力測定器においては、測定対象となる圧力以外の外力が加わった場合に、構成部品の接合面において応力集中が生じ、圧力測定に誤差が生じる場合がある。また、従来提案されている応力集中を緩和するための機構や構造は複雑であり、製造コストがかかるという問題もある。そこで、本発明は、応力集中を緩和し、正確に圧力を測定可能な圧力測定器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、(イ)圧力を受ける可撓膜と、(ロ)可撓膜を保持し、底面が円形の凸部が設けられた台座と、(ハ)凸部の円形の底面に接合された保持部材と、を備える圧力測定器であることを要旨とする。本発明の態様に係る圧力測定器によれば、保持部材が、台座に設けられた底面が円形の凸部を介して台座に固定されている。そのため、台座と、保持部材と、の接合面において、応力集中が生じにくくなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、正確に圧力を測定可能な圧力測定器を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧力測定器の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る台座の底面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る第1のシリコン基板の底面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る第2のシリコン基板の上面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るガラス基板の上面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る可撓膜の上面図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例に係る圧力測定器の断面図である。
【図8】本発明のその他の実施の形態に係る圧力測定器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0009】
実施の形態に係る圧力測定器は、図1に示すように、圧力を受ける可撓膜1と、可撓膜1を保持し、図2に示すように底面が円形の凸部12が設けられた台座2と、凸部12の円形の底面に接合された図1に示す保持部材3と、を備える。可撓膜1は、例えばシリコンからなり、(100)面を主面とする。また、可撓膜1は、凹部23が設けられたシリコン基板21と、凹部24が設けられたシリコン基板22に挟まれて配置されている。シリコン基板22は、台座2上に配置されている。そのため、可撓膜1は、シリコン基板22を介して、台座2に保持されている。
【0010】
図1及び図3に示すように、シリコン基板21には、凹部23の中心から上面に貫通する貫通孔27が設けられている。図1及び図4に示すように、シリコン基板22には、凹部24の中心から底面に貫通する貫通孔28が設けられている。
【0011】
例えば、図3に示す凹部23の外周と、図4に示す凹部24の外周と、は合同である。図1に示すように、シリコン基板21とシリコン基板22とは、凹部23の外周と、凹部24の外周と、の横方向の位置が一致するように配置されている。
【0012】
シリコン基板21上には、ガラス基板31が配置されてもよい。図5に示すように、ガラス基板31には、シリコン基板21の貫通孔27に連通する貫通孔33が設けられている。図1に示すシリコン基板22の底面に配置された台座2は、ガラス(例えば、テンパックスガラス(登録商標))等からなる。台座2には、シリコン基板22の貫通孔28に連通する貫通孔13が設けられている。凸部12が設けられた台座2は、例えば、切削又はエッチングすることにより、容易に製造可能である。台座2の凸部12の底面に接するように配置された保持部材3は、ステンレス鋼等からなる。保持部材3には、台座2の貫通孔13に連通する貫通孔14が設けられている。保持部材3は、例えば可撓膜1等を囲むパッケージであり、板状に限定されない。
【0013】
可撓膜1の凹部23及び凹部24を覆う図6に示す円形の部分101は、上面に加わる圧力と、底面に加わる圧力と、の差圧を測定するためのダイアフラムとして機能する。差圧を測定するためのダイアフラムとして機能する可撓膜1の円形の部分101には、90°間隔で(110)方向に4つの歪み抵抗ゲージ51,52,53,54が設けられている。差圧により可撓膜1が撓むことにより、歪み抵抗ゲージ51,52,53,54の電気抵抗値が変化する。したがって、歪み抵抗ゲージ51,52,53,54の電気抵抗値を計測することにより、差圧の測定が可能となる。例えば、歪み抵抗ゲージ51,52,53,54は、シリコンからなる可撓膜1に不純物イオンを注入することにより形成される。
【0014】
以上説明した図1に示す圧力測定器においては、保持部材3が、台座2に設けられた図2に示すように底面が円形の凸部12に接合して固定されている。そのため、保持部材3に外力が加わった場合に、それぞれ材料が異なる台座2と、保持部材3と、の接合面において、応力集中が生じにくい。したがって、接合部破壊が生じにくい。また、同じ径の場合、四角よりも円形の方が接合面積が小さくなり、発生応力自体を小さくすることが可能、かつ、くびれ構造をとることにより、上部構造への応力伝播をも小さくすることができる。したがって、図1に示す圧力測定器においては、応力伝播によって生じうる測定誤差が抑制される。また、上部構造の応力集中による破損等も生じにくくなる。
【0015】
(変形例)
図7に示す圧力測定器は、図1に示す圧力測定器と異なり、台座2及び保持部材3に貫通孔が設けられていない。そのため、台座2により、シリコン基板22の貫通孔28は塞がれている。シリコン基板22の凹部24も可撓膜1で覆われているため、シリコン基板22の凹部24及び貫通孔28が形成する空間は、閉ざされている。この場合、可撓膜1の底面には、一定の基準圧力が加わる。そのため、測定された差圧から、可撓膜1の上面に加わった圧力を容易に求めることが可能となる。
【0016】
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、台座に設けられた底面が円形の凸部に保持部材を接合する限りにおいて、圧力測定器は様々な形態をとることが可能である。
【0017】
例えば、図8に示す圧力測定器は、シリコン基板222、シリコン基板222上に配置された酸化珪素膜250、及び酸化珪素膜250上に配置されたシリコン基板201を含むSOI(Silicon on Insulator)基板から製造されたものである。SOI基板のシリコン基板222から、エッチング等により凹部224が設けられている。凹部224が達したシリコン基板201の部分は薄膜化し、圧力を受けるダイアフラムとして機能する。図8に示す構成においても、台座2に設けられた底面が円形の凸部12に保持部材3が接合されているため、接合面における応力集中を緩和することが可能となる。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0018】
1 可撓膜
2 台座
3 保持部材
12,224 凸部
13,14、27,28,33 貫通孔
21,22,201,222 シリコン基板
23,24 凹部
31 ガラス基板
51,52,53,54 抵抗ゲージ
101 可撓膜の円形の部分
250 酸化珪素膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を受ける可撓膜と、
前記可撓膜を保持し、底面が円形の凸部が設けられた台座と、
前記凸部の円形の底面に接合された保持部材と、
を備える圧力測定器。
【請求項2】
前記台座がガラスからなり、前記保持部材が金属からなる、請求項1に記載の圧力測定器。
【請求項3】
前記台座が、シリコン基板を介して前記可撓膜を保持する、請求項1又は2に記載の圧力測定器。
【請求項4】
前記シリコン基板に、前記可撓膜で覆われる凹部が設けられている、請求項3に記載の圧力測定器。
【請求項5】
前記可撓膜がシリコンからなる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧力測定器。
【請求項6】
前記可撓膜と、前記台座と、の間に閉空間が設けられた、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧力測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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