説明

圧力測定機能付き電子機器

【課題】 圧力測定を妨げる侵入物を容易に除去可能な圧力測定機能付き電子機器を提供する。
【解決手段】 圧力センサ6を内蔵する装置本体2を備えるダイブコンピュータ1において、圧力センサ6の測定部6Aを間隙αを形成した状態でカバーするセンサカバー10を備え、このセンサカバー10を上記間隙α側に押し込み操作可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサを内蔵するセンサ内蔵体を備え、この圧力センサにより圧力を測定可能な圧力測定機能付き電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧力センサにより水圧を測定し、この水圧から求めた水深値を表示し、また、水深値等をログデータとして記憶するダイブコンピュータが知られている。この種の電子機器には、圧力センサを時計ケース内の裏蓋内側に配置し、裏蓋に開口させた開口孔を介して水を圧力センサの測定部に導くようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平7−280960号公報
【特許文献2】特開2003−283166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構成では、例えば、海水中で使用した場合、海水中に浮遊する藻等が、通水穴に侵入し、水圧を正確に測定できなくなってしまう場合があった。この場合、実際の水深と異なる水深値が算出され、この水深値がメモリに記憶されたり、表示されてしまうといった問題が生じる。また、圧力センサの測定部が汚れたままで放置すると、汚れによる腐食が生じるおそれがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、圧力測定を妨げる侵入物を容易に除去可能な圧力測定機能付き電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、圧力センサを内蔵するセンサ内蔵体を備え、この圧力センサにより圧力を測定可能な圧力測定機能付き電子機器において、前記センサ内蔵体が、前記圧力センサの測定部との間に外部空間と連通する間隙を形成した状態で、当該測定部をカバーするセンサカバーを備え、このセンサカバーを前記間隙側に押し込み操作可能に構成したことを特徴とする。
この構成によれば、センサカバーを、圧力センサの測定部との間の間隙側に押し込み操作可能に構成したので、押し込み操作により、その間隙内に侵入した侵入物を、間隙内に満たされた水や空気と共に外に排出することができる。
【0005】
上記構成において、前記センサカバーを弾性部材で形成し、前記センサカバーを前記間隙側に弾性変形可能に構成してもよく、また、前記センサカバーが、前記圧力センサの測定部に対向する位置に押し込み操作部を有するようにしてもよい。また、センサカバーを、前記センサ内蔵体をカバーする装置カバーと一体的に形成してもよい。
【0006】
また、上記構成において、前記センサ内蔵体が、前記圧力センサの出力結果を示す情報の変化量に基づいて前記情報の正否を判定する正否判定手段を備えるようにしてもよい。この構成によれば、センサカバーの押し込み操作中に計測された計測データか否かを判定することができる。この場合、正否判定手段が、正と判定した情報を表示対象或いは記憶対象とすることによって、センサカバーの押し込み操作中に計測された計測データを表示対象や記憶対象から除外することができる。
また、前記情報を、前記圧力センサの出力結果から求めた水深値としてもよく、また、前記電子機器を、時刻を計時する計時部を有する時計として構成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、センサカバーを、圧力センサの測定部との間の間隙側に押し込み操作可能に構成したので、押し込み操作により、その間隙内に侵入した侵入物を、間隙内に満たされた水や空気と共に外に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器の一態様としてのダイブコンピュータ1を示す図である。ダイブコンピュータ1は、腕時計型に構成され、装置本体(センサ内蔵体)2と、ダイブコンピュータ1をユーザ(ダイバー)の腕に装着するためバンド3とを備えている。装置本体2は、ケース2Aと、このケース2A内に水密構造で配置される表示装置15等の電気部品とから概略構成され、前面に透明カバー2Bが設けられ、この透明カバー2Bを介して表示装置15の表示情報が視認可能に構成されている。
また、装置本体2には、複数の操作子5が設けられると共に、ケース2Aの3時位置に相当する側部内側には、圧力センサ6が水密構造で配置され、この圧力センサ6は、その測定部6Aを、ケース2Aを貫通する複数の圧力導入孔2Cに向けて配置され、この圧力導入孔2Cを介してダイブコンピュータ1の周囲の水又は空気が導入され、これによって、水圧又は気圧が測定される。
【0009】
図2はダイブコンピュータ1の電気的構成を示すブロック図である。ダイブコンピュータ1は、表示装置15と、計時部20と、圧力計測部30と、複数の操作子5の操作を検出する操作部40と、制御部(正否判定手段)50と、報音装置60と、振動発生装置70と、外部端子80と、メモリ90とから概略構成されている。表示装置15は、液晶パネル16と、液晶ドライバ17とから構成され、制御部50の制御の下、液晶ドライバ17により液晶パネル16を駆動し、後述する各種情報を表示する。
【0010】
計時部20は、発振回路21と、発振回路21からのクロック信号を分周する分周回路22と、制御部50の制御の下、分周回路22からの分周クロック信号をカウントして時刻や潜水時間を計時する時計用カウンタ23とから構成され、これらにより時刻や潜水時間を計時する。圧力計測部30は、圧力センサ6と、圧力センサ6の出力信号を増幅する増幅回路32と、増幅回路32の出力信号をアナログ/ディジタル変換するA/D変換回路33とから構成され、制御部50の制御の下、ダイブコンピュータ1の周囲の圧力(水圧、気圧)を計測する。
【0011】
制御部50は、このダイブコンピュータ1全体を制御するものであり、CPUや集積回路からなる演算処理部51と、CPUの制御下で液晶ドライバ17や時計用カウンタ23の動作を制御する表示/計時制御回路52と、CPUが読み出して実行する制御プログラムや各種データを格納したROM53と、各種データを一時的に格納するRAM54等から構成される。そして、制御部50は、CPUがROM53に格納された各種プログラムを実行することにより、各種演算処理や表示制御処理等を行う。
具体的には、制御部50は、演算処理として、圧力計測部30が計測した水圧又は気圧から水深値又は高度を算出する処理、及び、上記水圧と圧力計測部30が計測した潜水時間から、ユーザ(ダイバー)の体内に蓄積される不活性ガス量(例えば窒素量)を算出する処理等を行い、表示制御処理として、上記演算処理により求めた各計測データの表示、及び、計時部20が計測する時刻を選択的に表示する制御を行う。
【0012】
報音装置60は、制御部50の制御の下、アラーム音を報音する装置であり、振動発生装置70は、制御部50の制御の下、ダイブコンピュータ1を振動させる装置である。これら報音装置60及び振動発生装置70は、ユーザ(ダイバー)に警告等を報知する報知手段として機能している。
また、このダイブコンピュータ1は、外部に露出する2つの外部端子80を備え、制御部50が、この外部端子80間の導通を検知することによって、当該ダイブコンピュータ1が水中(海水中を含む)にあるか否かを検知する。そして、制御部50は、水を検知すると、潜水中の動作モード(以下、ダイブモードという)に自動的に移行し、このダイブモードにおいては、潜水時間、水深値、ダイバーの体内に蓄積される不活性ガス量の計測及びこれら計測データの表示を行う共に、これら計測データを、ログデータ又はプロファイルデータとしてメモリ90に記憶するように構成されている。
なお、メモリ90は、半導体メモリであり、このメモリ90に記憶されたログデータやプロファイルデータは、上記外部端子80を介して外部機器(パーソナルコンピュータ等)にデータ通信が可能となっている。
【0013】
図3は、ダイブコンピュータ1の表示例を示す図である。この図に示すように、表示装置15の表示領域は、大まかに第1の表示領域111〜第6の表示領域116に分けられている。このうち、左上段の表示領域111には、現在月日、動作モードを示す情報、現在水深、水深ランク、潜水月日(或いはログ番号)、予定水深等が表示され、右上段の表示領域112には、現在時刻、潜水時間、無減圧潜水可能時間、潜水開始時刻、潜水時間等が表示される。なお、これら表示情報の切り替えは、操作子5の操作によって可能である。
また、左中段の表示領域113には、最大水深、体内窒素排出時間、セーフティレベル、最大水深、平均水深等が表示され、右中段の表示領域114には、無減圧潜水可能時間、水面休止時間、潜水終了時刻等が表示される。
【0014】
さらに、左下段の表示領域115には、内蔵電池(図示せず)の残量、ユーザ(ダイバー)の位置する地点の高度、ユーザ(ダイバー)の体内に蓄積される不活性ガス量(例えば窒素量)等が表示され、右下段の表示領域116には、水深値等の計測データを記録中であることを示す情報(「MEMO」)等が表示される。
なお、この図では省略しているが、これら情報以外にも、減圧潜水状態になった場合に不活性ガスが吸収傾向にあるのか、排出傾向にあるのかを示す情報や、浮上速度が高すぎる場合に表示する警告を示す情報(例えば「SLOW」)や、潜水中に減圧潜水を行わなければならない旨の警告を示す情報(例えば「DECO」)等が適宜表示される。
【0015】
さて、本構成では、装置本体2には、図4及び図5に示すように、当該装置本体2を覆うように装置カバー7が被せられる。この装置カバー7は、ウレタン、シリコンゴム等の弾性材料で形成され、当該装置本体2のバンド連結部2Dを覆って透明カバー2B側に延出する前面カバー7Aと、当該装置本体2の側面を覆う側面カバー7Bとを一体的に備えている。
この側面カバー7Bには、操作子5に対応する位置に開口孔7Cが各々設けられ、これら開口孔7Cを介して当該カバー7Bから操作子5を露出させると共に、装置本体2の側面に設けられたねじ穴2Eと連通する段付き孔7Dが設けられ、ねじ(図示せず)を、この段付き孔7Dに挿通してねじ穴2Eに各々締結することにより、装置カバー7が装置本体2に取り付けられる。なお、装置カバー7を弾性変形させて装置本体2に嵌め込み、これによって、装置カバー7を装置本体2に取り付けるように構成してもよい。
【0016】
また、ケース2Aは、金属や樹脂等から形成され、略円柱状に突出する突出部2Fを一体的に備え、この突出部2Fの上面2Gの領域内には、当該ケース2Aを貫通する圧力導入孔2Cの一端が開口している。
装置カバー7には、図1に示すように、この突起2Fに対応する位置に、当該突起2Fの突出量よりも大きく窪んだ凹部7Eを形成するように薄肉に形成された薄肉部10が形成され、この薄肉部10は、圧力センサ6の測定部6Aに連通する圧力導入孔6Aを、間隙αを形成した状態でカバーするセンサカバーとして機能している。以下、薄肉部10をセンサカバーと表記する。
【0017】
ここで、上記間隙αは、図3に示すように、ケース2Aと装置カバー7との間の間隙α1を介して外の空間と連通しており、これによって、これら間隙α1、α及び圧力導入孔6Aを介して、ダイブコンピュータ1の周囲の水(海水)や空気が圧力センサ6の測定部6Aに導かれる。このため、装置本体2に装置カバー7を被せた状態でも、圧力センサ6によってダイブコンピュータ1の周囲の圧力(水圧、気圧)の測定が可能となっている。
また、ケース2Aの突起2Fと、装置カバー7の凹部7Eとは、当該装置カバー7をケース2Aに被せた際に、図1に示すように係合し、これによって、ケース2Aに対する装置カバー7の位置が図1に示す位置に位置決めされる。すなわち、上記突起2F及び凹部7Eは、装置カバー7の位置決め部材としても機能している。
【0018】
図6(A)(B)はセンサカバー10を周辺構成と共に示す断面図である。本構成では、図6(A)に示すように、センサカバー10が、圧力センサ6の測定部6Aと対向する位置に略円形状の押し込み操作部10Aを備え、この押し込み操作部10Aの周囲が、当該操作部10Aに比して薄肉に形成され、これによって、図6(B)に示すように、押し込み操作部10Aが押下された際に、この操作部10A周囲の薄肉部分である変形部10Bが弾性変形し、当該押し込み操作部10Aが間隙α側に移動可能となっている。
より具体的には、上記変形部10Bは、押し込み操作部10Aの押し込み方向(間隙α側)に向けて屈曲する形状に形成され、これによって、ユーザの指による押下力程度の軽い力で、この屈曲部が開くように弾性変形し、押し込み操作部10Aの押し込み量(操作ストローク)が比較的大となるように構成されている。なお、図6(A)(B)において、符号8は飾り縁であり、符号9は裏蓋である。
【0019】
上記構成により、例えば、ダイブコンピュータ1を水中(海水中)で使用中に、藻等が、装置カバー7と装置本体2との間の間隙α1、間隙α又は圧力導入孔2Cに侵入して、かかる間隙を塞いでいる場合、ユーザが押し込み操作部10Aを押し込み操作することによって、間隙α1、α及び圧力導入孔2C内に満たされた水を、藻等の侵入物と一緒に外に排出させることができる。特に、この押し込み操作部10Aは、押し込み操作すると、その弾性力により自動的に押し込み操作前の状態に戻るので、水中であっても容易に押し込み操作(クリーニング)を繰り返すことができる。
また、空気中で押し込み操作部10Aを押し込み操作した場合には、間隙α、α1及び圧力導入孔2Cの空気を外に排出させることができ、これによって、ダイブコンピュータ1を地上で使用中でも、かかる間隙や孔に侵入した侵入物を外に排出させることができる。
【0020】
ところで、このダイブコンピュータ1は、水を検知するとダイブモードに移行し、圧力センサ6の出力結果に基づいて水深等を繰り返し計測するため、このモード中に上記クリーニング操作(押し込み操作部10Aの押し込み操作)が実施されると、圧力センサ6が実際の水圧と異なる圧力を測定しまうおそれがある。
そこで、本構成では、ダイブモード中は、圧力センサ6の出力結果から求めた水深値の変化量を求め、この変化量に基づいて求めた水深値の正否を判定する正否判定処理を行うように構成されている。
【0021】
図7は、ダイブコンピュータ1のダイビング時の動作を示すフローチャートである。このダイブコンピュータ1において、まず、制御部50は、外部端子80間の導通を検知することによって水を検知したか否か、言い換えれば、ダイビング中か否かを判定する(ステップS1)。
ここで、制御部50は、水が検知されない場合(ステップS1:NO)、水が検知されるまで上記ステップS1の処理を所定周期で繰り返す一方、水が検知された場合(ステップS1:YES)、ダイブモードに移行し、潜水時間、水深値、ダイバーの体内に蓄積される不活性ガス量の計測処理を開始する(ステップS2)。
次に、制御部50は、圧力センサ6の出力結果から水深値Dk(kは整数、ここではk=1)を算出すると(ステップS3)、この水深値DkをRAM54の所定領域に格納すると共に、この水深値Dkと前回の水深値D(k−1)との差(絶対値)が予め定めた設定値X以上か否かを判定する正否判定処理を行う(ステップS4)。但し、ダイブモードに移行して最初の水深値D1の測定時は、この水深値D1より過去に取得した水深値が存在しないため、このステップS4の処理はキャンセルされ、制御部50は、ステップS5の処理に移行する。なお、設定値Xの値については後述する。
【0022】
ステップS5において、制御部50は、直前のステップS3の処理で取得した水深値Dk(k=1)を、表示及び記憶対象の値として選択する。そして、制御部50は、選択した水深値と潜水時間とに基づいてダイバーの体内に蓄積される不活性ガス量を算出し、これらの計測データを表示装置15に表示させると共に、これらの計測データをメモリ90に記憶させる(ステップS6)。
次いで、制御部50は、水検知中か否かを判定し(ステップS8)、水検知中であれば(ステップS8:YES)、ステップS3の処理に移行する。なお、本実施形態では、水深値の計測周期を一定周期(本実施形態では1秒周期)としており、制御部50は、前回の水深値の取得タイミングからその周期の時間の経過を待って、圧力センサ6の出力結果から水深値Dk(k=2)を新たに算出するようになっている。
【0023】
水深値Dk(k=2)を算出すると、制御部50は、ステップS4の処理に移行し、水深値Dk(k=2)とRAM54に格納された前回の水深値D1との差(絶対値)が設定値X以上か否かを判定する(ステップS4)。ここで、設定値Xは、水深値の測定周期(1秒)内にダイバーが潜水或いは浮上可能な最大距離或いはそれ以上の距離が設定され、本構成では、例えば3mが設定される。
このステップS4の判定で、水深値Dkと前回の水深値D(k−1)との差が設定値X以下であれば、制御部50は、新たに取得した水深値Dk(k=2)を、表示及び記憶対象の値として選択する(ステップS6)。
一方、ステップS4の判定で、水深値Dkと前回の水深値D(k−1)との差(絶対値)が設定値Xより大きい場合、この水深値Dkは、潜水或いは浮上可能な最大距離を超えた値、つまり、実際の水深値とは異なる値と推定できるため、制御部50は、前回の水深値D(k−1)を、表示及び記憶対象の値として選択する(ステップS7)。なお、この場合、実際の水深値と異なる水深値Dkは、RAM54から削除され、これによって、この水深値Dkが上記ステップS4の判定に使用されることはない。
【0024】
このようにして、制御部50は、今回取得した水深値Dkと、前回の水深値D(k−1)のいずれか一方を、表示及び記憶対象の水深値として選択し、この選択した水深値と水深値取得時の潜水時間とに基づいてダイバーの体内に蓄積される不活性ガス量を算出し、これら計測データの表示(表示の更新)及びメモリ90への記憶を行うようになっている(ステップS6)。
続いて、制御部50は、ダイビングが継続しているか判断すべく、水検知中か否かを判定し(ステップS8)、水検知中であれば(ステップS8:YES)、ステップS3の処理に移行し、これによって、水検知中の間(ダイビング中)は、上記ステップS3〜S8の処理を繰り返し、現在状況を示す各種情報の表示及び計測データの記憶を継続する。一方、制御部50は、水が検知されなくなると(ステップS8:NO)、ダイビングが終了したと判断し、上記処理を中止し、ダイビングモードを終了する。以上がダイブコンピュータ1のダイビング時の動作である。
【0025】
以上説明したように、本構成では、圧力センサ6の測定部6Aを間隙αを形成した状態でカバーするセンサカバーが、当該間隙α側に押し込み操作可能な押し込み操作部10Aを備えるので、ユーザがこの押し込み操作部10Aを押し込み操作するという容易な操作で、当該間隙αや圧力導入孔2C内に存在する侵入物を容易に除去できる。また、きれいな水の中で、押し込み操作部10Aを押し込み操作することによって、手が入らない場所にある、圧力センサ6の測定部6A等の汚れを容易に除去することが可能となる。また、このセンサカバーが、装置カバー7に一体的に形成されるため、部品点数が少なくてすみ、また、このカバーの取り付けや取り外しが容易である。
【0026】
しかも、本構成では、圧力センサ6の出力結果から求めた水深値の変化量に基づいて水深値の正否を判定するので、押し込み操作部10Aを操作中に計測された水深値等の計測データが表示されたり、その計測データがメモリ90にログデータやプロファイルデータとして記憶されるのを回避することができる。
さらに、上記判定において、取得した水深値が実際の水深値と異なると判定した場合に、直前の過去の水深値を用いて計測データの表示やメモリ90への記憶を行うので、表示の更新を継続でき、かつ、ログデータやプロファイルデータの脱落が回避される。
このため、例えば、ダイビングの減圧停止のとき等の略一定の深さでダイビングをしている状況下で、押し込み操作部10Aを押し込み操作した場合、この押し込み操作前の水深値を用いた計測データが取得されるので、ほぼ正確な計測データの表示及び記憶を行うことが可能となる。
【0027】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、上述の実施形態において、図8(A)に示すように、センサカバー10をユーザの押下力で弾性変形可能な厚さに形成し、図8(B)に示すように、センサカバー10の略全体を弾性変形させて押し込み操作可能にしてもよい。要は、本発明は、センサカバー10の一部又は全体を押し込み操作可能に構成すればよく、図1に示すような押し込み操作部10Aを設けるか否かは任意でよい。
また、上述の実施形態では、センサカバー10を装置カバー7に一体的に形成する場合について例示したが、図9(A)(B)に示すように、センサカバー10を、装置カバー7と別体にしてもよい。この構成によれば、装置カバー7を金属製にすることができ、また、センサカバー10だけの交換も可能となる。
【0028】
また、上述の実施形態では、圧力センサ6の出力結果から求めた水深値の変化量に基づいて計測データの正否を判定する場合を例示したが、圧力センサ6の出力結果(圧力値)そのものの変化量に基づいて計測データの正否を判定するようにしてもよく、要は、圧力センサの出力結果を示す情報のいずれかの変化量から計測データの正否を判定すればよい。
また、上述した実施形態では、電子機器の一態様としてダイブコンピュータを例示したが、これに限らない。例えば、腕時計やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯型電子機器、及び、圧力計測器等の圧力測定機能を備えた電子機器に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態に係る電子機器の一態様としてのダイブコンピュータを示す図である。
【図2】ダイブコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ダイブコンピュータの表示例を示す図である。
【図4】装置本体と装置カバーを示す斜視図である。
【図5】装置本体と装置カバーを示す側面図である。
【図6】Aは押し込み操作部を周辺構成と共に示す断面図であり、Bは押し込み操作部の操作時の断面図である。
【図7】ダイブコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図8】Aは変形例に係る押し込み操作部を周辺構成と共に示す断面図であり、Bは押し込み操作部の操作時の断面図である。
【図9】Aは変形例に係る押し込み操作部を周辺構成と共に示す断面図であり、Bは押し込み操作部の操作時の断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1…ダイブコンピュータ(電子機器)、2…装置本体(センサ内蔵体)、2A…ケース、2C…圧力挿入孔、2F…突起、6…圧力センサ、7…装置カバー、7E…凹部、10…センサカバー(薄肉部)、15…表示装置、20…計時部、30…圧力計測部、40…操作部、50…制御部(正否判定手段)、60…報音装置、70…振動発生装置、80…外部端子、90…メモリ、α、α1…間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサを内蔵するセンサ内蔵体を備え、この圧力センサにより圧力を測定可能な圧力測定機能付き電子機器において、
前記センサ内蔵体が、前記圧力センサの測定部との間に外部空間と連通する間隙を形成した状態で、当該測定部をカバーするセンサカバーを備え、このセンサカバーを前記間隙側に押し込み操作可能に構成したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記センサカバーを弾性部材で形成し、前記センサカバーを前記間隙側に弾性変形可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記センサカバーが、前記圧力センサの測定部に対向する位置に押し込み操作部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記センサカバーが、前記センサ内蔵体をカバーする装置カバーと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記センサ内蔵体が、前記圧力センサの出力結果を示す情報の変化量に基づいて前記情報の正否を判定する正否判定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記正否判定手段は、正と判定した情報を表示対象或いは記憶対象とすることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記情報は、前記圧力センサの出力結果から求めた水深値であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器は、時刻を計時する計時部を有する時計として構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−258558(P2006−258558A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75368(P2005−75368)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】