説明

圧着装置、およびその圧着装置によって圧着された圧着端子

【課題】バリの発生を最小限に抑えることができるとともに、クリンパに圧着端子が張付いたりアンビルからクリンパを引き剥がし難いといったトラブルの発生を回避可能であって、さらに、圧着端子の変形が回避可能な圧着装置を提供する。
【解決手段】拡開した形状の斜面状案内壁22A、22Bを有する一対の脚部と、2つの曲面状圧着壁25A、25Bが窪んだ断面略逆W形状の凹部24と、を設けたクリンパ20と、脚部の斜面状案内壁22A、22B間に嵌入可能に設けられるアンビル30と、を備え、アンビル30上にセットされた圧着端子40の一対の圧着片43A、43Bの間に芯線W1を収容し、クリンパ20とアンビル30とを互いに接近する方向にスライドさせて押圧し、圧着片43A、43Bを内側に押し曲げて電線Wに喰い込むように圧着して加締める圧着装置であって、アンビル30の、斜面状案内壁22A、22Bに臨む上面の左右両端側の縁部にR面33(α)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を圧着端子に圧着固定する際、例えば異なる電線サイズ径にも対応できて圧着端子の圧着片を加締めることができる圧着装置に係り、特に、圧着端子を電線側に加締めて圧着させる際にバリの発生を効果的に低減させることができる圧着装置、及びおよびその圧着装置によって圧着された圧着端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接続用の端子と電線の一端部とを接続するために、電線に外側から加締めて圧着させるための接続端子(以下、圧着端子)、及びこの圧着作業を行うための圧着装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図5に示すように、この圧着装置100は、クリンパ101とアンビル102とから構成されている。このうち、クリンパ101には、アンビル102に向かって拡開した形状の斜面状案内壁101Aと、斜面状案内壁101Aに連続する曲面状圧着壁101Bとを有する、左右対称的な凹状の溝部を設けている。また、この圧着装置100では、クリンパ101とアンビル102とが相対移動して接近することにより、クリンパ101の溝部にアンビル102が嵌入するような構成になっている。
【0003】
この圧着装置100を用いて、圧着端子(例えば、図3に符号40で示す)を電線に固着させるには、図5(A)に示すように(但し、この図5(A)、(B)では圧着作業の後半での手順を示す)、アンビル102の上にセットされた圧着端子103の圧着片103Aの間に電線(ここでは芯線104)を収容して、クリンパ101とアンビル102とで上下方向からプレスする。
即ち、クリンパ101とアンビル102とを嵌合させるように接近させていく。すると、圧着端子103の略U字状に設けられた圧着片103Aは、その上端が斜面状案内壁101Aに摺接する。そして、互いに徐々に内側に押し曲げられる圧着片103Aは、それぞれ、曲面状圧着壁101Bに案内されて圧着壁101Bによってさらに折り曲げられていくので、互いに内側に芯線104を包囲していく。さらに、クリンパ101とアンビル102とが相対移動して接近することにより、圧着片103Aは、芯線104を包囲するとともに、芯線104に喰い込むように圧着し、加締められていく。
【0004】
しかしながら、上記構成の圧着装置100に於いて、例えば圧着接続すべき電線(図5では電線の芯線104のみが表れている)サイズ径が大きくなると、クリンパ101の圧着高さも小サイズ径の場合に較べて大きくなる。ところが、斜面状案内壁101Aはテーパ形状である。このため、圧着高さが大きいと、クリンパ101とアンビル102との間に隙間が生じ、図5(B)に示すように、この隙間が圧着された圧着端子103に背バリ103Bを発生している。
【0005】
このような背バリは、圧着された端子における高さ(クリンプハイト)の測定を不可能にするため、端子の緊締度が判断できずに所定の圧着性能が得らていない事態を生じていた。更に、背バリが形成されると、圧着端子をハウジングに挿入する場合、ハウジング等を損傷したり、ハウジングへの挿入を不可能にすることがあった。
【0006】
そこで、圧着接続すべき電線のサイズ或いは圧着端子自体の大きさに係わりなく圧着端子の加締部である圧着片を良好に加締めることができる圧着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
即ち、この圧着装置は、図6に示すように、クリンパ201とアンビル202とを嵌合することにより電線の芯線211に圧着端子220を圧着接続するものであって、クリンパ201にはアンビル202を案内するための直線状案内壁201Aが凹状の溝部201Bに設けられており、圧着端子220の圧着が直線状案内壁201Aの範囲内で行われるものである。これにより、一組のクリンパ201とアンビル202とにより異なるサイズの電線に圧着端子220を圧着接続する際、圧着端子220における背バリの発生を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−45047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような構造の圧着装置200では、クリンパ201に圧着端子220が張り付き易く、これを引き剥がす作業が非常に厄介になっている。さらに、このような構造では、ストレートな摺動部分、つまり直線状案内壁201Aがあるので、クリンパ201がアンビル202から離れ難いといった問題を有している。
【0009】
また、このとき、図3に示すような一般的な圧着端子を用いたときには、特定個所の部分βに負荷が集中して変形し易い。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バリの発生を最小限に抑えることができるとともに、クリンパに圧着端子が張付いたりアンビルからクリンパを引き剥がし難いといったトラブルの発生を回避でき、しかも、圧着端子の変形が回避可能な圧着装置、及びその圧着装置を用いた圧着方法、並びに圧着構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る圧着装置は、下記(1)を特徴としている。
(1) 拡開した形状の斜面状案内壁を有する一対の脚部と、前記斜面状案内壁から連続し2つの窪んだ略円弧状の曲面状圧着壁を有する断面略逆W形状の凹部を設けた前記脚部の間に位置する溝部と、を有するクリンパと、
前記凹部に向けて前記脚部の斜面状案内壁間に嵌入可能に設けられるアンビルと、
を備え、
前記斜面状案内壁に臨む前記アンビルの上面にセットされた圧着端子の一対の圧着片の間に電線を収容して、前記クリンパとアンビルとを互いに接近する方向にスライドさせて押圧し、前記圧着片を前記曲面状圧着壁によって内側に押し曲げて電線を包囲するとともに喰い込むように圧着して加締める圧着装置であって、
前記斜面状案内壁に臨む前記アンビルの上面の左右両端側の縁部には、前記左右両端部の縁部に向かうほど前記凹部に向けて上昇するような円弧状の曲面が形成されていること。
【0012】
上記(1)の構成の圧着装置によれば、斜面状案内壁に臨む、アンビルの上面の左右両端側の縁部にR面を有するので、クリンパとアンビルとによる圧着片への押圧力とアンビルのR面とによって、圧着端子の肉(材料)の流れが、下方ではなく、できるだけアンビルの受部のある中央部に向かうように、移動方向が矯正されるように構成されている。従って、バリの発生を最小限に抑えることができるとともに、クリンパに圧着端子が張付いたりアンビルからクリンパを引き剥がし難いといったトラブルの発生を回避することができる。さらに、圧着端子の変形が回避可能になる。
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係る圧着端子は、下記(2)を特徴としている。
(2) 底板部の上面に載置された電線が、該底板部の両端から立設する圧着片によって包囲されるとともに食い込むように加締められた圧着端子であって、
前記底板部の下面の両端には、内側に向かって窪む円弧状の曲面が形成されていること。
【0014】
上記(2)の構成の圧着端子によれば、(1)と同様の効果、即ち、バリの発生を最小限に抑えることができるとともに、クリンパに圧着端子が張付いたりアンビルからクリンパを引き剥がし難いといったトラブルの発生を回避することができる。さらに、圧着端子の変形が回避可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の圧着装置によれば、クリンパとアンビルとを相対的に近づく方向にスライドさせて嵌合させることにより、曲面状圧着壁によって圧着片の上端側を互いに内側方向に押し曲げた後、圧着片の基部側が斜面状案内壁に案内されて折り曲げられる際に、斜面状案内壁に沿った下方向に向かおうとする圧着片の肉を、アンビルのR面によって、アンビルの受部のある中央部に向かうように移動方向を矯正させている。従って、バリの発生を最小限に抑えることができるとともに、クリンパに圧着端子が張付いたりアンビルからクリンパを引き剥がし難いといったトラブルの発生を回避可能であって、さらに、圧着端子の変形が回避可能になる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る圧着装置を示す構成図である。
【図2】本発明に係る圧着装置の、アンビルの要部拡大図である。
【図3】(A)、(B)は、それぞれ、本発明に係る圧着装置で圧着される圧着端子の圧着前後の状態を説明する斜視図である。
【図4】本発明の圧着装置の作用を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)は、従来の圧着装置による圧着状態を示す工程図である。
【図6】(A)、(B)は、従来の他の圧着装置による圧着状態を示す工程図である。
【図7】従来の圧着装置のアンビルの要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る圧着装置を示すものであり、この圧着装置10は、脚部21が拡開したクリンパ(上型)20と、受部32を有するアンビル(下型)30と、で構成されている。
【0019】
このうち、クリンパ20は、アンビル30に向けて下死点(図1での一点鎖線で示す位置)まで下方(Y方向;重力の作用する方向)へ相対的に降下するようになっており、大略構成として、拡開した形状の斜面状案内壁22A、22Bを内側面に有する一対の脚部21と、この脚部21の間の、アンビル30が嵌入するガイド溝23と、で構成される。
【0020】
斜面状案内壁22A、22Bは、先端(図1では下端)に向けて拡開して広がっていくように、具体的には、先端に向けて内面側が外方へ傾斜しながら窄まっていくような形状に形成されており、アンビル30の両側面に対しても2次元的な面接触での密着状態とはならないように構成されている。
【0021】
ガイド溝23は、斜面状案内壁22A、22Bから連続して形成された略円弧状の窪みで構成された左右一対のものからなる、対称(線対称又は点対称)的な2つの曲面状圧着壁25A、25Bと、これらの2つの圧着壁25A、25Bの間に設けた突出部26と、を有しており、全体としてガイド溝23の奥部が断面略逆W形状の凹部24を構成している。
【0022】
一方、アンビル30は、凹部24に向けて脚部21の斜面状案内壁22A、22B間に嵌入可能に設けられており、凹部24に対向する上面31の中央部に向けて窪んだ形状で形成された受部32と、凹部24に対向する上面31の斜面状案内壁22A、22Bに臨む左右両端側の縁部に形成されたR面33と、互いに平行な(換言すれば、クランパ20の移動(Y)方向に平行な面形状を有する)両側面34と、を有する。
【0023】
受部32は、緩やかな円弧状に形成された上面31の一部で構成されており、この上面31が後述の圧着端子40の底板部41の下面を支持する。
【0024】
R面33は、図2に示すように、左右両端部の縁部に向かうほど凹部24に向けて上昇するような円弧状(半径R)の曲面αを有している。このような構成のR面33には、後述する圧着端子40の芯線圧着部(一部に圧着片43A、43Bを有する)43の基部側が斜面状案内壁22A、22Bに案内されて折り曲げられる際に、クリンパ20とアンビル30とによる押圧力を利用して、斜面状案内壁22A、22Bに沿った下方向に向かおうとする圧着片43A、43Bの肉(圧着片材料)を、アンビル30の受部32のある中央部に向かうように移動方向を矯正させる機能が付与されている。これにより、アンビル30の両脇のクリンパ20との隙間に圧着片43A、43Bの肉が押し寄せて来ても、これを最小限に抑制して、バリ45の形成を最小限に抑えることができる。その結果、従来のような圧着片の肉(圧着片材料)が前述の隙間に多く入り込んで、大きなバリが形成されるのを効果的に阻止できるようになっている(図4参照)。
【0025】
なお、本実施形態のR面33には、図2に示すように、従来のアンビルにおいて上面の左右両端部に形成されるようなフラット面Dを設けていないが、本発明の効果が得られるのであれば、そのようなフラット面Dを円弧状の曲面αに隣接して形成してもよい。
【0026】
次に、圧着装置10に用いて電線Wの芯線W1及び絶縁被覆W2と圧着させる圧着端子40について説明する。
図3(A)は、本発明の圧着装置10に用いる一般的な圧着端子40を示すものである。この圧着端子40は、導電性金属の板材をプレス成形することにより形成されたものであって、底板部41と、この底板部41のうちの前方(図3では手前)側に設けた電線接続部42と、底板部41の両端から立設する前述の圧着片43A、43Bを一部に有する芯線圧着部43と、別の圧着片44A、44Bを一部に有する構成する絶縁体圧着部44とを備えている。なお、同図中、Wは電線、W1は芯線、W2は絶縁被覆を示す。
【0027】
図3(A)に示す圧着前の圧着端子40において、特に、底板部41の両側から起立した一対の芯線圧着部43及び絶縁体圧着部44が、それぞれ、電線Wの芯線W1及び絶縁被覆W2をそれぞれ加締めて圧着するようになっている。
【0028】
即ち、本実施形態に使用される圧着端子40には、電線Wの先端部の絶縁被覆W2を除去することにより露出された芯線W1を圧着するための芯線圧着部43(圧着後は、ワイヤバレルとよぶ。)と、電線Wの絶縁被覆W2を有する部分に加締めて圧着するための絶縁体圧着部44(圧着後は、絶縁体バレルとよぶ。)と、を備えている。これら電気接続部42と、芯線圧着部43と、絶縁体圧着部44とは、共通の底板部41を含むものとして構成される。
【0029】
芯線圧着部43は、電線接続部42と共通の底板部41と、この底板部41の左右両側縁から上方に延長するように起立形成され、かつ、接続すべき電線Wの芯線W1を包み込むように内側に曲げられることで電線Wの芯線W1を底板部20の上面に密着した状態となるように加締める2枚の圧着片43A、43Bと、を有する。
【0030】
底板部41の左右両側縁から上方に延長した2枚の圧着片43A、43Bは、圧着端子40の前端側または後端側から見て断面U字状になった部分であり、左右対称に配置されている。
【0031】
一方、絶縁体圧着部44は、底板部41の左右方向両側縁に、一対の圧着片44A、44Bを上方に延長するように起立形成した断面U字状の部分を有する。なお、圧着片43A、43Bと、圧着片44A、44Bとは、圧着端子40の前後方向に適当な間隔をおいて配置されている。
【0032】
このように構成された、図3(A)に示す圧着端子40を電線Wに圧着固定させることにより、同図(B)に示す、本実施形態の圧着構造が得られる。
即ち、図3(A)に示すように、左右対称(又はほぼ左右対称、或いは180度反転させて重ね合う点対称でもよい)に配置された圧着片43A、43Bの間に、電線Wの芯線W1が配置された状態で、各圧着片43A、43Bが、図3(B)に示すように、芯線W1の外周を包み込むようにそれぞれ略C字型に曲げられて加締められている。これにより、芯線W1に対して圧着片43A、43Bが圧着されてワイヤバレルを形成している。なお、芯線圧着部43の一部を構成する圧着片43A、43Bの加締めによりワイヤバレルを形成するときの、圧着片43A、43Bの基部側の肉の移動方向は、図4中の破線の矢印で示す。
【0033】
次に、本実施形態に係る圧着装置を用いた圧着方法(圧着手順)について、説明する。
図1に示す圧着装置10と、図3(A)に示す圧着端子40及び電線Wとを用いて、アンビル30の受部32上に圧着端子40をセットする。なお、アンビル30の受部32上にセットされた圧着端子40の(断面略U字状の)一対の圧着片43A、43Bの間には電線Wの芯線W1を配置させておく。
【0034】
ここで、クリンパ20とアンビル30とが相対的に近づく方向にスライドさせていくことで、初めに、圧着端子40の圧着片43A、43Bの上部を押圧し、圧着片43A、43Bを互いに内側に押し曲げて電線Wの芯線W1を包囲するとともに喰い込むように圧着して加締めていく。
【0035】
即ち、クリンパ20とアンビル30とを相対的に近づく方向にスライドさせて嵌合させる。本実施形態では、クリンパ20を下死点までアンビル30の方へ向けて降下させる。これにより、曲面状圧着壁25A、25Bによって圧着端子40の圧着片43A、43Bの上端側を互いに内側方向に押し曲げた後、圧着片43A、43Bの基部側を斜面状案内壁22A、22Bに案内させていくことによって折り曲げていく。
【0036】
この際、クリンパ20とアンビル30とによる圧着片43A、43Bへの押圧力とアンビル30のR面33とによって、斜面状案内壁22A、22Bに沿った下方向に向かおうとする圧着片43A、43Bの肉(圧着片材料)の移動を、アンビル30の受部32のある中央部に向かうように、移動方向を矯正させる(図4の破線で示す矢印参照)。
【0037】
このように、アンビル30の上面31の左右両端部に、縁部に向かうにつれて上方(クリンパ20の溝部上方)へ向かって高さが増大するような略円弧状のR面33を設けることにより、クリンパ20とアンビル30との間の隙間に圧着片43A、43Bの肉(圧着片材料)が流入するのを可及的に抑えている。これにより、バリ45の発生を効果的に低減させることができるので、コネクタハウジング等への挿入の際の障害などとなるのが防止できる。
【0038】
なお、本実施形態の場合には、アンビル30の受部32上にセットされた圧着端子40の絶縁体圧着部44の間に、電線Wの絶縁被覆W2を配置・収容し、一対の圧着片44A、44Bによる行う圧着作業は、圧着片43A、43Bによる電線Wの芯線W1への圧着作業に先だって行っておくようにしたが、圧着片43A、43Bによる電線Wの芯線W1への圧着作業の後に、または、圧着片43A、43Bによる電線Wの芯線W1への圧着作業と同時に、行うようにしてもよい。
【0039】
従って、本実施形態によれば、クリンパ20が下死点まで降下しても、クリンパ20の斜面状案内壁22A、22Bはアンビル30の側面34に対して傾斜した形状を有するので、クリンパ20とアンビル30との密着状態が回避されており、圧着動作後の、双方を切り離す作業が困難になるといった虞も回避できる。
【0040】
また、クリンパ20をアンビル30から切り離すときに、圧着端子40の電線接続部42と芯線圧着部43との境界部分である細幅な底板部41に負荷が過度に集中して変形するのも効果的に防止できる。
【0041】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0042】
10 圧着装置
20 クリンパ(上型)
21 脚部
22A、22B 斜面状案内壁
23 ガイド溝
24 凹部
25A、25B 曲面状圧着壁
26 突出部
30 アンビル(下型)
31 上面
32 受部
33 R面
34 側面
40 圧着端子
41 底板部
42 電線接続部
43 芯線圧着部
43A、43B 圧着片
44 絶縁体圧着部
44A、44B 圧着片
45 バリ
α 曲面
β 特定個所の部分
W 電線
W1 芯線(導体)
W2 絶縁被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡開した形状の斜面状案内壁を有する一対の脚部と、前記斜面状案内壁から連続し2つの窪んだ略円弧状の曲面状圧着壁を有する断面略逆W形状の凹部を設けた前記脚部の間に位置する溝部と、を有するクリンパと、
前記凹部に向けて前記脚部の斜面状案内壁間に嵌入可能に設けられるアンビルと、
を備え、
前記斜面状案内壁に臨む前記アンビルの上面にセットされた圧着端子の一対の圧着片の間に電線を収容して、前記クリンパとアンビルとを互いに接近する方向にスライドさせて押圧し、前記圧着片を前記曲面状圧着壁によって内側に押し曲げて電線を包囲するとともに喰い込むように圧着して加締める圧着装置であって、
前記斜面状案内壁に臨む前記アンビルの上面の左右両端側の縁部には、前記左右両端部の縁部に向かうほど前記凹部に向けて上昇するような円弧状の曲面が形成されていることを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
底板部の上面に載置された電線が、該底板部の両端から立設する圧着片によって包囲されるとともに食い込むように加締められた圧着端子であって、
前記底板部の下面の両端には、内側に向かって窪む円弧状の曲面が形成されていることを特徴とする圧着端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−70840(P2011−70840A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219560(P2009−219560)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】