説明

圧着装置及び圧着方法

【課題】超低圧領域の圧着を高精度で設定できる圧着装置および圧着方法を提供する。
【解決手段】圧着装置1は、支持ベース2と、支持ベース2に固定されたリニアモータ3と、リニアモータ3から下方に延長する出力軸4により往復駆動される圧着部5と、圧着部5に設けた圧力センサ14と、圧着部5と支持ベース2を連結するバネ体7とを備え、リニアモータ3の出力軸4に加わる重力が前記バネ体7により軽減若しくは補償されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIC装置などの電気的接続部を熱圧着または超音波圧着等の圧着をするための圧着装置及びそれを用いた圧着方法に関し、特に超低圧領域の圧着を高い精度で行うことができる圧着装置及びそれを用いた圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードやICタグなどのIC装置は、例えばアンテナ線とIC回路を有し、それらの電気的接続部は熱圧着または超音波圧着により接続される。これら圧着操作は圧着装置のツールを被圧着体である電気的接続部に短時間押し当てることにより行われる。
【0003】
電気的接続部を熱圧着する熱圧着装置として、特許文献1、特許文献2に開示されたものが知られている。特許文献1の熱圧着装置は低圧用の装置であり、支持ベースに取り付けたリニアモータと、リニアモータで駆動されるロッドと、ロッドによって駆動される熱圧着部を備え、ロッドがエアベアリング式のガイド体によりスライド可能に支持されている。このガイド体はロッドを微小な間隙をもって取り囲む筒状のガイド体を有し、ロッドとガイド体との間隙に潤滑用気体を流通させている。特許文献1には低圧の熱圧着における圧着力(加圧量)として1バンプ当たり10g〜100g程度の範囲が示されている。
【0004】
特許文献2の熱圧着装置もリニアモータを利用した装置であり、高圧の熱圧着と低圧の熱圧着をピンの抜き差しにより切り換え可能にしたことに特徴がある。特許文献2には高圧の熱圧着における圧着力として数Kg〜数十Kg、低圧の熱圧着における圧着力として数十g〜数百gの範囲が示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−225200号公報
【特許文献2】特開2002−43336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、IC装置の寸法は技術の進歩に伴い年々小さくなっており、例えば微細サイズのICタグの寸法は数mm程度のものがある。このような微細なIC装置はその電気的接続部も微細に形成され、圧着に適する圧着力も1g以下、例えば0.5g程度の超低圧領域が要求される。
【0007】
圧着部で被圧着体を圧着する際には、その圧着力を被圧着体の種類や特性に合わせて最適な値に設定する必要がある。圧着力はリニアモータの推力により発生させているので、リニアモータの電流値を設定することにより所望の推力、すなわち圧着力を設定できる。しかしリニアモータの出力軸にはそれに連結された比較的重量のある圧着部からの重力が加わるので、超低圧領域の圧着力で圧着する場合、リニアモータの推力をゼロとしても圧着部に加わる重力のほうが要求される圧着力より大きくなり、この重力過剰の問題が超低圧領域の圧着操作を困難なものにしていた。
【0008】
そこで本発明は、このような従来の圧着装置における問題を解決することを課題とし、そのための超低圧領域の圧着力を高い精度で設定できる圧着装置および圧着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する本発明の圧着装置は、支持ベースと、支持ベースに固定されたリニアモータと、リニアモータから下方に延長する出力軸により往復駆動される圧着部と、圧着部と支持ベースを連結するバネ体とを備え、圧着部には圧着力を検出する圧力センサが設けられ、リニアモータの出力軸に加わる重力が前記バネ体により軽減若しくは補償されるように構成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記圧着装置において、前記圧着部は移動軸と、被圧着体を熱圧着するツールを有し、移動軸に圧力センサを設けると共に、ツールからの熱が圧力センサ側に移動することを防止する断熱体を設けることができる(請求項2)。
【0011】
上記いずれかの圧着装置において、前記圧力センサとして水晶圧電式等の圧電効果を利用したものを用いることができる(請求項3)。
【0012】
さらに上記いずれかの圧着装置において、前記圧着部を支持ベースに固定されたエアベアリング式のガイド部によりスライド可能に支持することができる(請求項4)。
【0013】
さらに上記いずれかの圧着装置において、前記支持ベースを昇降手段により昇降可能とすることができる(請求項5)。
【0014】
さらに上記いずれかの圧着装置において、前記リニアモータをその出力軸を回転中心として回転させる回転駆動手段を設けることができる(請求項6)。
【0015】
さらに上記いずれかの圧着装置において、前記支持ベースにおける圧着部の昇降位置を検出する位置検出手段を設けることができる(請求項7)。
【0016】
前記課題を解決する圧着方法は、上記のいずれかの圧着装置を用いて被圧着体を圧着する方法である(請求項8)。
【0017】
上記圧着方法において、圧着部を被圧着部に接触するまで昇降手段10で下降駆動し、圧着部が被圧着体に接触した後は、被圧着体に要求される圧着力を維持するようにリニアモータを定電流制御することができる(請求項9)。
【0018】
さらに上記圧着方法において、圧着部を被圧着部に接触するまで下降駆動し、、圧着部が被圧体着に接触したとき、被圧着体が予め設定された値だけその厚み方向に圧縮されるように、リニアモータの推力を制御することができる(請求項10)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の圧着装置は、請求項1に記載のように、圧着部と支持ベースを連結するバネ体によりリニアモータの出力軸に加わる重力が軽減若しくは補償されるように構成されている。そのため圧着に要求される加圧力が例えば1g以下の超低圧領域であっても、その加圧力に応じたリニアモータの推力を容易に設定して圧着することができる。
【0020】
上記圧着装置において、請求項2に記載のように、前記圧着部は移動軸と、被圧着体を熱圧着するツールを有し、移動軸に圧力センサを設けると共に、ツールからの熱が圧力センサ側に移動することを防止する断熱体を設けることができる。本発明の圧着装置をこのように構成すると、圧着部分からの熱が圧力センサやリニアモータ等に伝達されることを防止でき、さらに圧力センサがリニアモータの出力軸側に設けられているので、圧着部による圧着力を高い精度で検出することができる。
【0021】
上記いずれかの圧着装置において、請求項3に記載のように、前記圧力センサとして水晶圧電式等の圧電効果を利用したものを用いることができる。圧電効果を利用した圧力センサを用いることにより、例えば0.1g程度の超低圧領域の圧力を高い精度で検出することができるので、圧着の際の加圧力制御の精度をより高めることができる。
【0022】
さらに上記いずれかの圧着装置において、請求項4に記載のように、前記圧着部を支持ベースに固定されたエアベアリング式のガイド部によりスライド可能に支持することができる。このように構成すると、圧着部を安定に往復移動させることができると共に、圧着部の移動に際して発生する摩擦抵抗を軽減できるので、超低圧領域の圧着における圧着力制御の精度を更に高めることができる。
【0023】
さらに上記いずれかの圧着装置において、請求項5に記載のように、前記支持ベースを昇降手段により昇降可能とすることができる。このように構成すると、圧着部が要求される移動距離が大きい場合でも、リニアモータの出力軸の駆動距離を小さくでき、結果として超低圧領域の圧着における圧着力制御の精度を更に高めることができる。
【0024】
さらに上記いずれかの圧着装置において、請求項6に記載のように、前記リニアモータをその出力軸を回転中心として回転させる回転駆動手段を設けることができる。このような回転駆動手段を設けることにより、圧着部を回転して(いわゆるθ角度調整して)圧着部のツールと被圧着体との正確な角度調整を容易に行うことができる。
【0025】
さらに上記いずれかの圧着装置において、請求項7に記載のように、前記支持ベースにおける圧着部の昇降位置を検出する位置検出手段を設けることができる。このような位置検出装置を設けることにより、圧着を圧着位置または待機位置などに正確に且つ容易に移動制御することができる。
【0026】
本発明の圧着方法は、請求項8に記載のように、上記のいずれかの圧着装置を用いて被圧着体を圧着する方法である。本圧着方法によれば、例えば1g以下の超低圧領域の圧着を高精度で且つ容易に実施できる。
【0027】
上記圧着方法において、請求項9に記載のように、圧着部を被圧着部に接触するまで昇降手段10で下降駆動し、圧着部が被圧着体に接触した後は、被圧着体に要求される圧着力を維持するようにリニアモータを定電流制御することができる。このように制御すると、超低圧領域の圧着において、圧着部が被圧着体に接触した後の圧着力を安定且つ高精度で一定に維持できる。
【0028】
さらに上記圧着方法において、請求項10に記載のように、圧着部を被圧着体に接触するまで下降駆動し、圧着部が被圧体着に接触したとき、被圧着体が予め設定された値だけその厚み方向に圧縮されるように、リニアモータの推力を制御することができる。このように制御すると、超低圧領域の圧着において、被圧着部の圧着による圧縮量を予め設定された値になるように、正確に且つ高精度で制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の実施形態は被圧着体を熱圧着する場合を例に記載されているが、超音波圧着にも適用できることは言うまでもない。図1は本発明の圧着装置の主要部を示す正面図、図2は図1の右側面図である。これらの図において、圧着装置1は支持ベース2と、支持ベース2に固定されたリニアモータ3と、リニアモータ3から下方に延長する出力軸4により往復駆動される圧着部5と、圧着部5に設けた圧力センサ14と、圧着部5と支持ベース2を連結する1対のバネ体7とを備えている。バネ体7の上端部は係止部材6により支持ベース2に固定されている。支持ベース2は内ネジ部を有する支持部材8に固定され、その内ネジ部にネジ棒9が螺着される。なおリニアモータ3は例えばコンピュータ装置等で構成される制御装置30により駆動制御され、圧力センサ14の検出圧力の信号は制御装置30に伝達される。
【0030】
係止部材6には必要に応じて張力調整手段を設けることもできる。張力調整手段としては、例えばバネ体7の上端部を一端部で固定するネジと、そのネジが螺着する内ネジを有する固定部材により構成し、その固定部材を係止部材6に固定して構成し、ネジを回転することによりバネ体7の有効張力を調整する。
【0031】
前記支持部材8に螺着されたネジ棒9は、図示しない可逆モータからなる駆動部で回転駆動され、その回転駆動により支持ベース2が昇降するようになっている。そして支持部材8、ネジ棒9および図示しない駆動部により支持ベース2を昇降する昇降手段10が構成される。なお昇降手段10はリニアモータ3の出力軸4に連結された圧着部5に要求される移動距離(昇降距離)が大きい場合にその昇降距離の殆どを賄い、それによってリニアモータの出力軸の駆動距離を小さくできる。しかし場合によっては昇降手段10を省略し、支持ベース2を圧着システムの基盤等に直接固定することもできる。なお上記駆動部は制御装置30により駆動制御される。
【0032】
リニアモータ3は、例えばこの分野で慣用されるボイスコイルモータ(VCM)等を採用することができ、その電流値を制御することにより駆動速度もしくは被圧着体への加圧力となる推力を制御することができる。なおリニアモータ3はボルトを有する固定部材11により支持ベース2に固定される。
【0033】
圧着部5はリニアモータ3の出力軸4に連結された細長い連結部材12と、連結部材12から下方に延長する移動軸13と、移動軸13の途中に挿入されたセラミック材等の断熱体15と、移動軸13の下端部に装着されたツール16を有する。ツール16は電気的接続部などの被圧着体17を熱圧着するものであり、内部に設けられた電気ヒータが制御装置30により制御されてツール16を所望の加熱温度に維持する。圧着部5を構成する移動軸13の途中には圧力センサ14が設けられる。なお断熱体15はツール16からの熱が圧力センサ14側に移動することを防止するものである。
【0034】
本実施形態では圧着部5を構成する移動軸13がエアベアリング式のガイド部18によりスライド可能に支持されている。このガイド部18は前記の特許文献1に記載されたものと同様な構造を有する。すなわちガイド部18は移動軸13を微小な間隙をもって取り囲む筒状のガイド体19を有し、移動軸13とガイド体19との間隙にホース20から供給される潤滑用気体(例えば加圧空気)を流通させることにより、エアリング効果を発揮させている。
【0035】
水晶圧電式の圧力センサ14は水晶を加圧したときの歪による圧電効果を利用したもので、高い検出精度と分解能を有することを特徴とし、例えば日本キスラー株式会社から市販されている高感度力センサ(型式9203)や産業用力センサ(型式9101A〜9104A)を使用することができる。特に高感度力センサは0.1gの分解能を有するので、本発明の圧着装置を超低圧領域の圧着力で圧着する場合に好適に利用できる。なお圧力センサ14は水晶式に限らず他の圧電効果を利用したものであってもよい。
【0036】
本実施形態では支持ベース2に位置検出手段21が設けられる。位置検出手段21は圧着部5の昇降位置を検出するもので、例えば光学式エンコーダで構成することができる。この位置検出手段21の位置検出信号は制御装置30に伝達され、例えば圧着部5を上方の待機位置または圧着位置などに移動制御するための位置フィードバック信号として利用される。
【0037】
次に本実施形態の圧着装置を用いて被圧着体を熱圧着する方法を説明する。リニアモータ3の出力軸4に加わる重力(出力軸4および圧着部5の自重に起因する下方への引張力)は予めバネ体7の上方への張力により軽減若しくは補償(キャンセル)するが、好ましくは出力軸4に加わる重力をキャンセルするようにバネ体7の上方への張力を設定することが望ましい。この張力設定はバネ体7の引張力選定により行えるが、前記のように係止部材6に張力調整手段を設けて張力設定を行ってもよい。なおバネ体7による張力設定はツール16の先端部が被圧着体17の熱圧着位置にある状態を基準に行うことが望ましい。
【0038】
リニアモータ3の出力軸4に加わる重力を予めバネ体7の上方への張力により軽減若しくは補償することにより、リニアモータ3は超低圧領域の圧着力を高精度で被圧着体に加えることが可能になる。そしてこのようにバネ体7で重力を軽減若しくは補償した状態で、制御装置30から昇降手段10に昇降駆動の制御信号を出力して圧着制御を行う。
【0039】
本実施形態における圧着制御方式は、先ず制御手段30から制御信号を出力して、圧着部5が被圧着体17に接触するまで昇降手段10を上方の待機位置から被圧着体方向に下降駆動し、圧着部が被圧着体17に接触した後は、被圧着体17に要求される圧着力(設定圧着力)を維持するようにリニアモータ3を定電流制御する。所定時間の圧着操作が完了したら、制御装置30は昇降手段10を上昇駆動制御して圧着部5を待機位置に復帰させる制御を行い、これら各制御により1回の圧着操作が完了する。
【0040】
前記昇降手段10の下降駆動は位置制御方式により行うことができる。位置制御は制御装置30が位置検出手段21からフィードバックされる圧着部5の検出位置と設定位置を比較し、それが一致するように昇降手段10に下降制御信号を出力する。圧着部5が下降してツール16の先端部が被圧着体に接触する位置に達すると、その位置は位置検出手段21で検出されて制御装置30にフィードバックされ、制御装置30はそれを受けて昇降手段10の下降駆動制御を停止する。
【0041】
前記のように、圧着部が被圧着体17に接触した後は、被圧着体17に加えられた設定圧着力を所定時間安定に維持して圧着を行うために圧力維持制御を行うが、この圧力維持制御は、被圧着体17に加えられた設定圧着力を所定時間維持するようにリニアモータ3の推力を制御する方法で行う。すなわち制御装置30によりリニアモータ3にその推力に相当する電流を所定時間一定に流す制御、すなわちリニアモータ3を所定時間の定電流制御することによって行われる。
【0042】
図3は本発明の圧着装置の他の実施形態を模式的に示す正面図である。図1の例では支持ベース2を昇降手段10で昇降駆動出来るようになっているが、本実施形態では昇降手段10が省略され、そのほかは同様に構成される。従って図1の例と同じ部分には同一符号を付し、構成や動作に関する重複する説明は省略する。
【0043】
本実施形態では、圧着部5の待機位置と圧着位置との間をリニアモータ3の昇降駆動により行う。先ず制御手段30から制御信号を出力して、圧着部5が上方の待機位置から被圧着体17に接触するまでリニアモータ3を被圧着体方向に下降駆動し、圧着部が被圧着体17に接触した後は、被圧着体17に要求される圧着力(設定圧着力)を維持するようにリニアモータ3を定電流制御する。所定時間の圧着操作が完了したら、制御装置30はリニアモータ3を駆動制御して圧着部5を待機位置に復帰させる制御を行い、これら各制御により1回の圧着操作が完了する。
【0044】
図1または図3の実施形態において、圧着部をリニアモータで被圧着体に向けて駆動制御し、圧着部が被圧着体に接触したとき、被圧着体が予め設定された値だけその厚み方向に圧縮されるようにリニアモータの推力を制御する設定圧縮量制御方式(若しくは設定押し潰し量制御方式)を行うこともできる。
設定圧縮量制御方式を行うには、制御装置30からの制御信号で昇降手段10(図1の実施形態の場合)またはリニアモータ3(図3の実施形態の場合)を昇降することによって圧着部5(具体的にはそれに設けたツール16の下端部)が被圧着体17に接触するように下降させた後、制御装置30はリニアモータ3を駆動制御して設定圧縮量制御する。
【0045】
制御装置30には予め被圧着体17の接触位置から圧縮完了までの距離(寸法)が設定されており、ツール16の下端位置がその圧縮完了距離に達するまでリニアモータ3の推力を増加する制御を行う。そして被圧着体17が所定の圧縮量になった後、速やかに又は所定の圧着時間を経過してから、制御装置30は昇降手段10またはリニアモータ3を制御して圧着部5を待機位置まで上昇駆動させる。このような設定圧縮量制御により、被圧着体17を所定の圧縮量で且つ高い精度で圧着することができる。
【0046】
図4は本発明に係る他の圧着装置の主要部を示す正面図、図5は図4の右側面図である。本実施形態が図1の例と異なる部分は、リニアモータ3をその出力軸を回転中心として回転させる回転駆動手段40が設けられているのみで、そのほかは同様に構成される。従って、同じ部分には同一符号を付し、その構造、作用、制御方式等についての重複する説明は省略する。
【0047】
リニアモータ3は軸受部41,42を介して支持ベース2に回転自在に固定される。リニアモータの中心から軸方向に軸体43が延長し、その軸体43にタイミングプーリ44が連結される。タイミングプーリ44と図示しない可逆モータからなる回転駆動部の出力プーリ間にベルト45が張架される。そしてこれら軸受部41,42、軸体43にタイミングプーリ44、ベルト45および図示しない回転駆動部により回転駆動手段40が構成される。
【0048】
リニアモータ3の出力軸4は図1の例と同様に連結部材12に連結されるが、本実施形態では出力軸4が連結部材12に対し昇降方向には固定されるが回転が自在に連結される。すなわち連結部材12の左右には1対のガイド軸46がスライド自在に貫通し、それらガイド軸46の上端部は固定部材47で支持ベース2に固定されている。また出力軸4が貫通する連結部材12の貫通孔の内部には段差部が設けられ、その段差部と出力軸4に設けた段差部とにより、出力軸4と連結部材の昇降方向の相対移動が防止される。そして出力軸4と連結部材12の間にはピン等の固定部材を設けることなく、相対回転が自在とされる。なお連結部材12の昇降駆動における摩擦抵抗を低減させるため、ガイド軸46と連結部材12の連結部分はエアベアリング式とすることが望ましい。
【0049】
このような回転駆動手段40を設けることにより、前記のように、圧着部を回転調整して(いわゆるθ角度調整して)圧着部のツールと被圧着体との正確な角度調整を行うことができる。なお図4の例では、回転駆動手段40にベルト駆動方式を採用しているが、これに限らず例えば軸体43に直流モータや超音波モータを直接連結する方式を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の圧着装置および圧着方法は、IC装置などの電気的接続部を圧着するシステムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る圧着装置の主要部を示す正面図。
【図2】図1の右側面図。
【図3】本発明の圧着装置の他の実施形態を模式的に示す正面図。
【0052】
【図4】本発明に係る他の圧着装置の主要部を示す正面図。
【図5】図4の右側面図。
【符号の説明】
【0053】
1 圧着装置
2 支持ベース
3 リニアモータ
4 出力軸
5 圧着部
6 係止部材
7 バネ体
8 支持部材
9 ネジ棒
10 昇降手段
【0054】
11 固定部材
12 連結部材
13 移動軸
14 圧力センサ
15 断熱体
16 ツール
17 被圧着体
18 ガイド部
19 ガイド体
20 ホース
21 位置検出手段
【0055】
30 制御装置
40 回転駆動手段
41,42 軸受部
43 軸体
44 タイミングプーリ
45 ベルト
46 ガイド軸
47 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持ベース2と、支持ベース2に固定されたリニアモータ3と、リニアモータ3から下方に延長する出力軸4により往復駆動される圧着部5と、圧着部4と支持ベース2を連結するバネ体7とを備え、圧着部5には圧着力を検出する圧力センサ14が設けられ、リニアモータ3の出力軸に加わる重力がバネ体7により軽減若しくは補償されるように構成したことを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
請求項1において、前記圧着部5は移動軸13と、被圧着体17を熱圧着するツール16を有し、移動軸13には圧力センサ14が設けられると共に、ツール16からの熱が圧力センサ14側に移動することを防止する断熱体15が設けられていることを特徴とする圧着装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記圧力センサ14は圧電効果を利用したものであることを特徴とする圧着装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記圧着部5は支持ベース2に固定されたエアベアリング式のガイド部18によりスライド可能に支持されていることを特徴とする圧着装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記支持ベース2は昇降手段10により昇降可能になっていることを特徴とする圧着装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前記リニアモータ3をその出力軸4を回転中心として回転させる回転駆動手段40が設けられていることを特徴とする圧着装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前記支持ベース2における圧着部5の昇降位置を検出する位置検出手段21が設けられていることを特徴とする圧着装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の圧着装置を用いて被圧着体17を圧着する圧着方法。
【請求項9】
請求項8において、圧着部5を被圧着部17に接触するまで下降駆動し、圧着部5が被圧着体17に接触した後は、被圧着体17に要求される圧着力を維持するようにリニアモータ3を定電流制御することを特徴とする圧着方法。
【請求項10】
請求項8において、圧着部5を被圧着部17に接触するまで下降駆動し、圧着部5が被圧体着17に接触したとき、被圧着体17が予め設定された値だけその厚み方向に圧縮されるように、リニアモータ3の推力を制御することを特徴とする圧着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−311470(P2007−311470A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137608(P2006−137608)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(591157741)大崎エンジニアリング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】