説明

圧縮機

【課題】圧縮機のケーシングに固定されたアキュムレータ等の振動を小さくする。
【解決手段】密閉ケーシング9の外部に配置されており、密閉ケーシング9内に配置された圧縮機構に対して冷媒を供給するアキュムレータ60と、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定する固定機構80とを備える。固定機構80は、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接する当接部材70と、アキュムレータ60を当接部材70に押し付ける締結バンド81とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機構を収容するケーシングの外部に配置されたアキュムレータ等を備えた圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機は、ケーシング内に配置された圧縮機構と、ケーシングの外部に配置され、供給管を介して圧縮機構に対して冷媒を供給するアキュムレータとを備えている。特許文献1には、ケーシングの側面に設けられていると共に、アキュムレータと当接して、ケーシングに対してアキュムレータを固定する固定部材を備えた圧縮機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−275969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、圧縮機の小型化が望まれており、ケーシングの高さは低くなっている。しかしながら、アキュムレータは、製品の容量によって大きさが決まるので小型化できない。したがって、その上端部がケーシングの上端よりも上方に位置するようにアキュムレータが配置されることが考えられる。このような場合には、ケーシングとアキュムレータとの上端の高さ位置がほぼ同じである場合に比べて、アキュムレータからの供給管(ケーシングに対するアキュムレータの取り付け部(支点))と、固定部材による固定位置との間の距離が近くなる。ここで、アキュムレータの取り付け部(支点)から離れたアキュムレータの上端部は、圧縮機運転時の振動振幅が大きくなる。よって、アキュムレータの上端部を固定できないと、アキュムレータの振動が大きくなるという問題が生じる。
この問題は、上記の圧縮機に限らず、ケーシング内に配置された圧縮機構と、ケーシングの外部に配置され、供給管を介して圧縮機構に対して冷媒を供給する吸入マフラとを備えた圧縮機においても問題である。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ケーシングに固定されたアキュムレータ等の振動を小さくできる圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る圧縮機は、ケーシング内に配置された圧縮機構を備えた圧縮機であって、前記ケーシングの外部に配置され、前記圧縮機構に対して供給管を介して冷媒を供給する筒状部材と、前記ケーシングの上端よりも上方において前記筒状部材と当接して、前記ケーシングに対して前記筒状部材を固定する固定機構とを備えている。
【0007】
なお、「前記ケーシングに対して前記筒状部材を固定する」とは、筒状部材をケーシングに直接固定する場合だけでなく、筒状部材をケーシングに固定された部材(例えば、吐出管や保護カバー)を介してケーシングに固定する場合を含む。
また、本発明の筒状部材には、ケーシングの外部に配置され、供給管を介して圧縮機構に対して冷媒を供給するアキュムレータや吸入マフラが含まれる。
【0008】
この圧縮機では、固定機構は、ケーシングの上端よりも上方で筒状部材と当接するので、筒状部材からの供給管(ケーシングに対する筒状部材の取り付け部(支点))と、固定機構による筒状部材の固定位置との間の距離を比較的長くできる。したがって、筒状部材の振動を小さくできる。
【0009】
第2の発明に係る圧縮機は、第1の発明に係る圧縮機において、前記ケーシングの上部に配置された給電端子の周囲に設けられた保護カバーを備え、前記固定機構は、前記保護カバーを介して、前記ケーシングに対して前記筒状部材を固定する。
【0010】
この圧縮機では、ケーシングの上部に配置された給電端子の周囲に設けられた保護カバーを利用し、簡易な構成でケーシングの上端よりも上方において固定機構を筒状部材に当接させることができる。
【0011】
第3の発明に係る圧縮機は、第2の発明に係る圧縮機において、前記保護カバーが前記固定機構の一部である。
【0012】
この圧縮機では、保護カバー用の部材を別途準備する必要がないので、部品点数を削減できる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
第1の発明では、固定機構は、ケーシングの上端よりも上方で筒状部材と当接するので、筒状部材からの供給管(ケーシングに対する筒状部材の取り付け部(支点))と、固定機構による筒状部材の固定位置との間の距離を比較的長くできる。したがって、筒状部材の振動を小さくできる。
【0015】
第2の発明では、ケーシングの上部に配置された給電端子の周囲に設けられた保護カバーを利用し、簡易な構成でケーシングの上端よりも上方において固定機構を筒状部材に当接させることができる。
【0016】
第3の発明では、保護カバー用の部材を別途準備する必要がないので、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮機の側面図である。
【図2】図1の圧縮機の上視図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる圧縮機の側面図である。
【図5】図4の圧縮機の上視図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる圧縮機の側面図である。
【図7】図6の圧縮機の上視図である。
【図8】本発明の第2実施形態の変形例にかかる圧縮機の側面図である。
【図9】図8の圧縮機の上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、図1〜図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、ロータリ圧縮機に本発明を適用した一例である。
本実施形態の圧縮機1は、内部に圧縮機構10および駆動機構6(図3参照)が配置された密閉ケーシング9と、密閉ケーシング9の外部に配置されたアキュムレータ60と、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定する固定機構80とを主に備えている。なお、図3は、駆動機構6の断面を示すハッチングを省略して表示している。固定機構80は、密閉ケーシング9の上端部に設けられており、アキュムレータ60と当接する当接部材70と、アキュムレータ60を当接部材70に押し付ける締結バンド81とで構成されている。この圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、例えば、空調装置などの冷凍サイクルに組み込まれて使用され、アキュムレータ60から供給された冷媒(本実施形態では、R410A)が吸入管2を介して圧縮機構10に導入され、圧縮機構10において圧縮した冷媒を排出管3から排出する。図1の上下方向を単に上下方向として、圧縮機1について以下説明する。
【0019】
密閉ケーシング9は、両端が塞がれた円筒状の容器であり、両端が開口した筒状の本体91と、本体91の上端の開口を閉鎖する上蓋体92と、下端の開口を閉鎖する下蓋体93とで構成されている。上蓋体92および下蓋体93は、いずれも全体として中空の外側に膨らむように湾曲している。上蓋体92には、上述の当接部材70に加えて、排出管3と、駆動機構6の後述する固定子7bのコイルに電流を供給するための端子4と、端子4を保護する保護カバー5とが設けられている。なお、図3では、コイルと端子4とを接続する配線は省略して表示している。図2に示すように、本実施形態においては、保護カバー5は、端子4の周囲の全周を覆っている。また、密閉ケーシング9の本体91の下端部には、吸入管2が設けられている。密閉ケーシング9内の下部には、圧縮機構10の摺動部の動作を滑らかにするための潤滑油Lが貯留されている。密閉ケーシング9の内部には、駆動機構6と、圧縮機構10とが上下に並んで配置されている。
【0020】
駆動機構6は、圧縮機構10を駆動するために設けられており、駆動源となるモータ7と、このモータ7に取り付けられたシャフト8とから構成されている。
【0021】
モータ7は、密閉ケーシング9の内周面に固定されている略円環状の固定子7bと、この固定子7bの径方向内側にエアギャップを介して配置される回転子7aとを備えている。回転子7aは磁石(図示省略)を有し、固定子7bはコイルを有している。モータ7は、コイルに電流を流すことによって発生する電磁力によって、回転子7aを回転させる。
【0022】
シャフト8は、モータ7の駆動力を圧縮機構10に伝達するために設けられており、回転子7aの内周面に固定されて、回転子7aと一体的に回転する。また、シャフト8は、後述する圧縮室31内となる位置に、偏心部8aを有している。偏心部8aは、円柱状に形成されており、その軸心がシャフト8の回転中心から偏心している。この偏心部8aには、圧縮機構10の後述するピストン40が装着されている。
【0023】
圧縮機構10は、密閉ケーシング9の内周面に固定されるフロントヘッド20と、フロントヘッド20の上側に配置されるマフラー11と、フロントヘッド20の下側に配置されるシリンダ30と、シリンダ30の内部に揺動自在に配置されるピストン40と、シリンダ30の下側に配置されるリアヘッド50とを備えている。詳細は後述するが、シリンダ30は、略円環状の部材であって、その中央部に圧縮室31が形成されている。
【0024】
図3に示すように、フロントヘッド20およびリアヘッド50は、いずれも略円環状の部材であって、その中央部に、シャフト8が回転可能に挿通される軸受け孔21、51がそれぞれ形成されている。フロントヘッド20は圧縮室31の上端を閉塞しており、リアヘッド50は圧縮室31の下端を閉塞している。マフラー11は、フロントヘッド20の上面にボルトによって取り付けられ、フロントヘッド20との間に吐出孔(図示省略)からの冷媒が吐出されるマフラー空間Mを形成している。
【0025】
シリンダ30には、上述した圧縮室31と、圧縮室31内に冷媒を導入するための吸入孔32とが形成されている。圧縮室31には、偏心部8aに装着されたピストン40が、揺動自在に配置されている。
【0026】
圧縮機構10において、吸入管2から吸入孔32を介して圧縮室31に冷媒を供給しつつ、モータ7の駆動によりシャフト8を回転させると、偏心部8aに装着されたピストン40は、圧縮室31の周壁面に沿って移動する。これに伴って、ピストン40の外周面と圧縮室31の周壁面とによって形成される空間の容積が小さくなる。これにより、圧縮室31内で冷媒が圧縮される。そして、圧縮室31内で圧縮された冷媒は、フロントヘッド20の吐出孔(図示省略)を介してマフラー空間Mに吐出される。マフラー空間Mに吐出された冷媒は、マフラー11のマフラー吐出孔(図示省略)から圧縮機構10の外に吐出される。圧縮機構10から吐出された冷媒は、固定子7bと回転子7aとの間のエアギャップなどを通過した後、最終的に、排出管3から密閉ケーシング9の外に排出される。
【0027】
アキュムレータ60は、圧縮機構10に吸入される冷媒を一時的に貯留することができる円筒状の容器である。アキュムレータ60の下端部には、密閉ケーシング9の本体91の下端部に設けられた吸入管2に接続される供給管61が設けられている。そして、供給管61を介して、アキュムレータ60内の冷媒が圧縮機構10に供給される。
【0028】
当接部材70は、金属製の板状部材であり、取付部71、脚部72、延出部73、当接部74、および折り返し部75を有している。取付部71は、密閉ケーシング9の上蓋体92の上面に沿う板状部分であり、溶接等によって上蓋体92の上面に取り付けられている。図2に示すように、取付部71は、上蓋体92の上面における外周縁部近傍に設けられている。脚部72は、取付部71の両端に設けられており、図1、3に示すように、円筒状の密閉ケーシング9の径方向外側に向けて斜め上方(図中右斜め上方)に延びる板状部分である。延出部73は、2つの脚部72の上端部からそれぞれ水平方向に延びる板状部分である。2つの延出部73は互いに平行であり、それらの間の間隔は、アキュムレータ60の径よりも小さい。当接部74は、各延出部73の脚部72側とは反対側の端部に設けられており、アキュムレータ60の外周面に沿う板状部分である。折り返し部75は、各当接部74の延出部73側とは反対側の端部から密閉ケーシング9側に折り返された板状部分である。2つの折り返し部75のうちの一方(図2において下方に位置する方)には、図1に示すように、開口75aが形成されている。また、他方(図2において上方に位置する方)の折り返し部75には、図示しないネジ孔が形成されている。
【0029】
アキュムレータ60は、当接部材70の当接部74にアキュムレータ60の外周面を接触させた状態で、締結バンド81により、アキュムレータ60を当接部材70に押さえつけることで、密閉ケーシング9に対して固定される。締結バンド81は、金属製の板状部材であり、アキュムレータ60の外周面に巻き付けられるものである。図2に示すように、締結バンド81は、その一端部には係止爪部81aが形成されており、他端部には図示しないネジ孔が設けられたネジ止め部81bが形成されている。締結バンド81の係止爪部81aは、当接部材70の一方の折り返し部75に形成された開口75aに係止される。締結バンド81のネジ止め部81bは、ネジ65によって、当接部材70の他方の折り返し部75に固定される。
【0030】
このように、当接部材70と締結バンド81とからなる固定機構80により、平面視において密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定することができる。すなわち、固定機構80により固定されたアキュムレータ60は、平面視において、密閉ケーシング9に近付く方向にも、密閉ケーシング9から遠ざかる方向にも移動しない。
【0031】
ここで、当接部材70は、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接している。すなわち、図1に示すように、当接部材70に設けられた当接部74の上端の高さ位置H1は、密閉ケーシング9の上端の高さ位置H2よりも上方に位置している。なお、本実施形態においては、当接部74の下端は、密閉ケーシング9の上端の高さ位置H2よりも下方に位置している。すなわち、当接部74の上端(当接部74の一部)が、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接している。
【0032】
<本実施形態の圧縮機1の特徴>
本実施形態の圧縮機1は、密閉ケーシング9の外部に配置されており、密閉ケーシング9内に配置された圧縮機構10に対して冷媒を供給するアキュムレータ60と、アキュムレータ60を固定する固定機構80とを備えている。固定機構80は、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接し、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定する。
したがって、固定機構80は、密閉ケーシング9の上端よりも上方でアキュムレータ60と当接するので、アキュムレータ60からの供給管61(密閉ケーシング9に対するアキュムレータ60の取り付け部(支点))と、固定機構80によるアキュムレータ60の固定位置との間の距離を比較的長くできる。したがって、アキュムレータ60の振動を小さくできる。
【0033】
<第2実施形態>
次に、図4および図5を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態の圧縮機101は、固定機構180の当接部材170の構成が上記第1実施形態と異なっている。その他の構成は上記第1実施形態とほぼ同様であるので、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0034】
本実施形態の当接部材170は、第1実施形態の保護カバー5の役割も兼ねている。具体的には、当接部材170は、保護カバー部171、延出部173、当接部174、および折り返し部175を有している。保護カバー部171は、図5に示すように、上面視で略コの字型形状を有しており、端子4の周囲を取り囲んでいる。保護カバー部171の下端は、上蓋体92の上面に取り付けられている。延出部173は、略コの字型の保護カバー部171の両端からそれぞれ延びており、第1実施形態の延出部73と同様の構成を有している。当接部174および折り返し部175についても、第1実施形態の当接部74および折り返し部75と同様の構成を有している。図4に示すように、当接部174の上端(当接部174の一部)は、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接している。
【0035】
本実施形態の圧縮機101では、締結バンド81の係止爪部81aを当接部材170の一方の折り返し部175に形成された開口175aに係止すると共に、締結バンド81のネジ止め部81bを当接部材170の他方の折り返し部175にネジ止めすることで、アキュムレータ60を密閉ケーシング9に対して固定する。
【0036】
<本実施形態の圧縮機101の特徴>
本実施形態の圧縮機101では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、アキュムレータ60の振動を小さくできる。
【0037】
また、本実施形態の圧縮機101では、端子4を保護する保護カバーの役割を果たす保護カバー部171が当接部材170の一部である。
したがって、密閉ケーシング9の上部に配置された端子4の周囲に設けられた保護カバー部171を利用し、簡易な構成で密閉ケーシング9の上端よりも上方において当接部材170をアキュムレータ60に当接させることができる。
さらに、保護カバー用の部材を当接部材の他に別途準備する必要がないので、部品点数を削減できる。
【0038】
<第3実施形態>
次に、図6および図7を参照しつつ、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態の圧縮機201は、固定機構280の当接部材270の構成が上記第1実施形態と異なっている。その他の構成は上記第1実施形態とほぼ同様であるので、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0039】
固定機構280は、排出管3を介して、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定する。具体的には、固定機構280の当接部材270は、取付部271、ベース部272、延出部273、当接部274、および折り返し部275を有している。取付部271は、水平方向に長尺な部材であり、その一端が排出管3に取り付けられている。延出部273、当接部274、および折り返し部275は、第1実施形態の延出部73、当接部274、および折り返し部75と同様の構成を有している。ベース部272は、2つの延出部273の当接部274側とは反対の端部同士を繋いでいると共に、取付部271の排出管3側とは反対側の端部が取り付けられている。図6に示すように、当接部274の上端(当接部274の一部)は、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接している。
【0040】
本実施形態の圧縮機201では、締結バンド81の係止爪部81aを当接部材270の一方の折り返し部275に形成された開口275aに係止すると共に、締結バンド81のネジ止め部81bを当接部材270の他方の折り返し部275にネジ止めすることで、アキュムレータ60を密閉ケーシング9に対して固定する。
【0041】
<本実施形態の圧縮機201の特徴>
本実施形態の圧縮機201では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、アキュムレータ60の振動を小さくできる。
【0042】
また、密閉ケーシング9の上部に配置された排出管3を利用し、簡易な構成で密閉ケーシング9の上端よりも上方において当接部材270をアキュムレータ60に当接させることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0044】
例えば、上述の第1〜第3実施形態では、1つの固定機構80(180、280)によって、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定する場合について説明したが、これには限定されない。図8および図9に示すように、第2実施形態の変形例にかかる圧縮機101aにおいては、固定機構280に加えて、補助固定機構380が設けられている。補助固定機構380は、当接部材370と締結バンド81とで構成されている。当接部材370は、取付部371、延出部373、当接部374、および折り返し部375を有している。取付部371は、図8に示すように、密閉ケーシング9の本体91の側面に沿う形状を有しており、本体91の側面に取り付けられている。延出部373は、取付部371の両端からそれぞれ延びており、第2実施形態の延出部173と同様の構成を有している。当接部374および折り返し部375についても、第2実施形態の当接部174および折り返し部175と同様の構成を有している。
【0045】
本変形例において、アキュムレータ60を密閉ケーシング9に対して固定する際には、まず、固定機構180の当接部174および補助固定機構380の当接部374にアキュムレータ60の外周面をそれぞれ接触させた状態とする。そして、締結バンド81の係止爪部81aを固定機構180の当接部材170に形成された一方の折り返し部175の開口175aに係止すると共に、締結バンド81のネジ止め部81bを当接部材170の他方の折り返し部175にネジ止めする。さらに、締結バンド81の係止爪部81aを補助固定機構380の当接部材370に形成された一方の折り返し部375の開口375aに係止すると共に、締結バンド81のネジ止め部81bを当接部材370の他方の折り返し部(図示せず)にネジ止めする。
【0046】
上述の変形例においては、固定機構180および補助固定機構380によって、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定するので、より安定してアキュムレータ60を支持することができる。また、保護カバーの役割を果たす保護カバー部171が、固定機構180の当接部材170の一部であるので、補助固定機構380を新たに設けても、保護カバー用の部材を当接部材の他に別途用意する場合に比べて、部品点数の増加を1点に抑えることができる。
なお、第1実施形態および第3実施形態に対して、本変形例を適用することもできる。
【0047】
加えて、上述の第2実施形態では、端子4を保護する保護カバーの役割を果たす保護カバー部171が当接部材170の一部である場合について説明したが、これには限定されない。保護カバーとは別の部材で形成されており且つ保護カバーに取り付けられた当接部材と、締結バンドとで構成される固定機構により、保護カバーを介して、密閉ケーシング9に対してアキュムレータ60を固定するようにしてもよい。
【0048】
さらに、上述の第1〜第3実施形態、および第2実施形態の変形例では、当接部材70(170、270)における当接部74(174、274)の上端が、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接している場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、当接部74(174、274)の少なくとも一部が、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接していればよい。また、当接部74(174、274)の全体が、密閉ケーシング9の上端よりも上方においてアキュムレータ60と当接していてもよい。
【0049】
また、上述の第1〜第3実施形態、および第2実施形態の変形例では、ケーシングに固定されたアキュムレータの振動を抑制する場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、ケーシング内に配置された圧縮機構と、ケーシングの外部に配置され、供給管を介して圧縮機構に対して冷媒を供給する吸入マフラとを備えた圧縮機において、ケーシングに固定された吸入マフラの振動を抑制する場合にも、本発明は適用できる。この吸入マフラを備えた圧縮機には、冷媒としてCO2を用いるものがある。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明を利用すれば、圧縮機のケーシングに固定されたアキュムレータ等の振動を小さくできる。
【符号の説明】
【0051】
1、101、201、101a圧縮機
10 圧縮機構
5 保護カバー
9 密閉ケーシング
4 端子(給電端子)
60 アキュムレータ
61 供給管
70、170、270 当接部材
80、180、280 固定機構
81 締結バンド
171 保護カバー部(保護カバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に配置された圧縮機構を備えた圧縮機であって、
前記ケーシングの外部に配置され、前記圧縮機構に対して供給管を介して冷媒を供給する筒状部材と、
前記ケーシングの上端よりも上方において前記筒状部材と当接して、前記ケーシングに対して前記筒状部材を固定する固定機構とを備えていることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記ケーシングの上部に配置された給電端子の周囲に設けられた保護カバーを備え、
前記固定機構は、前記保護カバーを介して、前記ケーシングに対して前記筒状部材を固定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記保護カバーが前記固定機構の一部であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate