説明

圧縮空気制御装置

【課題】圧縮機の設置台数を削減して装置コストとメンテナンス・コストの削減を図った圧縮空気制御装置を提供する。
【解決手段】この圧縮空気制御装置70は、空気を所定圧力に圧縮する圧縮機(空気圧縮機)2、6、10と、圧縮機2、6、10の出口に設けられ圧縮空気の経路の開閉を行なう出力弁3、7、11と、圧縮機2、6、10により圧縮された空気を貯留する空気槽4、8、12と、圧縮機2、6、10の起動・停止を制御する制御部(制御手段)と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気制御装置に関し、さらに詳しくは、空気圧縮機の稼働率を高めて設備の削減を図った圧縮空気制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所等のプラントに設置されるガスタービン発電装置は、圧縮した空気中で燃料を燃やしてガスを発生させ、このガスの膨張力を利用して発電機を回す構成を備えている。また、発電所等のプラントでは、ガスタービン発電装置以外にも圧縮空気によって稼動される設備、機器が多数設置されている。そのため、この種のプラントには、圧縮空気を多量に且つ安定的に供給する圧縮空気制御装置が必要となる。また、発電所等では、発電機の信頼性を高めるために発電機が二重化され、1台の発電機が故障した場合に予備の発電機が代替して稼動する構成になっている。従って、これら発電機の運転を維持するためには、圧縮空気制御装置も高い信頼性が要求される。そのため、従来の圧縮空気制御装置では、各発電ユニット毎に常用機と予備機を備えて構成されている。
【0003】
図10は、従来の圧縮空気制御装置の概略構成を示す図である。この圧縮空気制御装置100は、例えば発電ユニットが3ユニットある場合について説明すると、1号ユニット53に対して、常用機として空気圧縮機(以下、単に圧縮機と呼ぶ)50、出力弁51、空気槽52を備え、予備機として圧縮機54、出力弁55、空気槽56を備えている。即ち、1つのユニットで、圧縮機が2台、出力弁が2つ、空気槽が2つ必要となる。同様にして2号ユニット60及び3号ユニット67にも夫々圧縮機、出力弁、空気槽が3つずつ必要となり、圧縮空気制御装置100として、圧縮機、出力弁、空気槽が6つずつ必要となる。この圧縮空気制御装置100では、各ユニット毎に完全に独立しているので、各ユニット毎に独立して制御することができる反面、設備の数が多くなり、設備コストが高くなると共に、それらの設備に要するメンテナンスコストが高くなるといった問題がある。また、各圧縮機の稼働率が常時高くなるとは限らず、システム全体で見た場合、圧縮機の数に対する必要空気圧量が必ずしもバランスしていない場合があり、圧縮機が有効に稼動していないといった問題がある。
【0004】
尚、従来技術として特許文献1には、複数の低圧側圧縮機と複数の高圧側圧縮機を、その低圧と高圧空気の各消費量に応じてその運転台数を設定して運転し、消費系に低圧と高圧空気をそれぞれ供給する圧縮機の運転台数制御方法において、低圧空気の全消費量に対し、低圧側圧縮機の運転台数を設定すると共にその低圧側圧縮機を負荷運転し、不足分を高圧側圧縮機の高圧空気を減圧して供給すると共に、その高圧側圧縮機の任意の一台を容量制御運転するようにした圧縮機の運転台数制御方法について開示されている。
【特許文献1】特開平5−60077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、圧縮機の効率的な運転による動力費の削減には効果があるが、圧縮機の設置台数の削減には寄与しないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、最小限の圧縮機によりユニットに圧縮空気を供給するために、可能な限り高い稼働率により圧縮機を稼動すると共に、圧縮空気を貯留する空気槽の出口を並列にして複数のユニットに対して共通の圧縮空気を供給することにより、圧縮機の設置台数を削減して装置コストとメンテナンスコストの削減を図った圧縮空気制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する空気槽と、前記空気圧縮機の起動・停止を制御する制御手段と、を備え、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記プラントシステムが運転中に稼動する常用機とし、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記常用機が故障した際に代替する予備機とし、且つ前記各空気槽の出力側を並列に接続した場合、前記制御手段は、前記常用機の運転時間が所定時間を経過したことを検出する毎に、前記常用機と前記予備機とを交替して運転を再開することを特徴とする。
本発明は、少なくとも1台の常用機と予備機を備え、各圧縮機の圧縮空気を貯留する空気槽の出口を並列に接続して複数のユニットに供給する構成とした場合、運転開始から予め設定した時間に到達したことを検出すると、常用機と予備機とを交替して運転を再開するものである。これにより、常時運転する常用機と、殆ど停止して待機している予備機の使用頻度を平均化することができる。
【0007】
請求項2は、プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する空気槽と、前記空気圧縮機の起動・停止を制御する制御手段と、を備え、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記プラントシステムが運転中に稼動する常用機とし、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記常用機が故障した際に代替する予備機とし、且つ前記各空気槽の出力側を並列に接続した場合、前記制御手段は、前記常用機の切替時間が所定時間に到達したことを検出する毎に、該常用機と前記予備機とを交替して運転を再開することを特徴とする。
本発明は、少なくとも1台の常用機と予備機を備え、各圧縮機の圧縮空気を貯留する空気槽の出口を並列に接続して複数のユニットに供給する構成とした場合、運転開始から予め設定した使用時間に到達した常用機があることを検出すると、その常用機と予備機とを交替して運転を再開するものである。これにより、常時運転する常用機と、殆ど停止して待機している予備機の使用頻度を平均化すると共に、使用時間からメンテナンス時期を推測することができる。
【0008】
請求項3は、前記切替時間は、前記空気圧縮機の積算使用時間であることを特徴とする。
圧縮機の動力源は一般的にはモータである。そしてモータのメンテナンス時期や寿命はそのモータがどの位の時間駆動したかにより決定される。そこで本発明では、常用機と予備機の切替時間を空気圧縮機の積算使用時間により決定するものである。これにより、正確なメンテナンス時期と寿命を推測することができる。
【0009】
請求項4は、前記各空気槽の出力側を並列にしたラインの圧力を検出する圧力検出手段を備え、設置された複数の前記空気圧縮機を常用機とした場合、前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出した圧力に基づいて、前記空気圧縮機の稼動台数を制御することを特徴とする。
出力側のユニットの動作状態は常に一定ではなく逐一変動する。その変動状態は出力側の空気圧力をチエックすることにより可能である。即ち、圧力が高い場合は、出力側に供給する圧縮空気量が少なくともよい場合であり、逆に圧力が低下した場合は、出力側に供給する圧縮空気量を多く必要としている場合である。また、各圧縮機は、出力側の負荷が最大のときでも充分圧縮空気が所定圧力により供給可能なように設計されている。従って、出力側の負荷により必ずしも全ての圧縮機が稼動する必要がない場合もある。そこで本発明では、圧力検出手段により検出した圧力に基づいて、空気圧縮機の稼動台数を制御するものである。これにより、不要な圧縮機の駆動を抑制して、消費電力の削減を図ることができる。
【0010】
請求項5は、プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機の出力経路を切り替える切替手段と、前記空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する第1の空気槽と、前記切替手段により切り替えられた経路側に備えられた第2の空気槽と、前記第1の空気槽内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段の圧力に基づいて前記切替手段を制御する制御手段と、を備え、前記第1の空気槽の出力経路と前記第2の空気槽の出力経路とを夫々並列接続した場合、前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出した圧力が所定の圧力に達したことを検出すると、前記空気圧縮機の駆動を継続したまま前記出力経路を前記第2の空気槽側に切り替えるように前記切替手段を制御することを特徴とする。
圧縮機はそれに接続された空気槽内の圧力が所定の圧力になると圧縮空気を供給することを停止する。停止の方法としては、圧縮機のモータを停止する場合と、モータは駆動したまま空運転する方法とがある。前者の場合は、その都度モータの回転、停止を繰り返すため、頻度にもよるが、モータにメカ的なダメージを与えたり、電力側にモータ駆動時に発生する突入電流が頻繁に発生してノイズ源となる虞がある。本発明では、これを回避するために、空気槽内の圧力が所定の圧力になった場合でも空運転を行い、そのとき発生する圧縮空気を第2の空気槽に貯留してユニットに供給するものである。これにより、空運転時の圧縮空気を無駄にせず、有効に活用することができる。
【0011】
請求項6は、プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機の出力経路を切り替える切替手段と、前記空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する第1の空気槽と、前記切替手段により切り替えられた経路側に備えられた第2の空気槽と、前記第1の空気槽内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段の圧力に基づいて前記切替手段を制御する制御手段と、を備え、前記空気圧縮機が複数備えられ、各空気圧縮機に夫々前記第1の空気槽を備え、前記各第1の空気槽の出力経路と前記第2の空気槽の出力経路とを夫々並列接続した場合、前記制御手段は、前記各第1の空気槽の中から前記圧力検出手段により検出した圧力が所定の圧力に達した第1の空気槽を検出すると、該第1の空気槽と接続した空気圧縮機の駆動を継続したまま該第1の空気槽の出力経路を前記第2の空気槽側に切り替えるように前記切替手段を制御することを特徴とする。
本発明は第1の空気槽を複数備え、第2の空気槽を1つ備えた構成により、複数の第1の空気槽の夫々から空運転時の余剰圧縮空気をまとめて第2の空気槽に貯留するものである。これにより、第1の空気槽から発生する余剰圧縮空気を無駄なく効率的に貯留し、空気槽のマージンを増加することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する空気槽と、前記空気圧縮機の起動・停止を制御する制御手段と、を備え、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記プラントシステムが運転中に稼動する常用機とし、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記常用機が故障した際に代替する予備機とし、且つ前記各空気槽の出力側を並列に接続した場合、前記制御手段は、前記常用機の運転時間が所定時間を経過したことを検出する毎に、前記常用機と前記予備機とを交替して運転を再開するので、圧縮機の設置台数を削減して装置コストとメンテナンスコストの削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の第1の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。この例では説明を簡略化するために、プラントシステムを構成するユニットを3ユニットとし、各圧縮機の性能を同一で1つの圧縮機が1つのユニットを稼動するのに必要な稼働率を50%として説明する。
この圧縮空気制御装置70は、空気を所定圧力に圧縮する圧縮機(空気圧縮機)2、6、10と、圧縮機2、6、10の出口に設けられ圧縮空気の経路の開閉を行なう出力弁3、7、11と、圧縮機2、6、10により圧縮された空気を貯留する空気槽4、8、12と、圧縮機2、6、10の起動・停止を制御する制御部(制御手段)と、を備えて構成されている。
【0014】
この例では、圧縮機2、6をプラントシステムが運転中に稼動する常用機とし、圧縮機10を常用機2、6が故障した際に代替する予備機とし、且つ各空気槽4、8、12の出力側を経路14により並列に接続した場合について説明する。尚、出力弁3、7、11は常時開放され、各圧縮機2、6、10は制御部1により駆動が許可されている場合、接続された空気槽内の圧力が予め設定した圧力に達すると自動的に運転を停止するものとする。この例では、3つのユニット合計で150%の圧縮空気量を供給すればよいので、常用機として2つの圧縮機で稼動するには、それぞれ75%の稼働率で運転することになる。そして制御部1は、常用機としての圧縮機2、6の運転時間が所定時間を経過したことを検出する毎に、圧縮機2、6の何れかと予備機としての圧縮機10とを交替して運転を再開する。
即ち、本実施形態は、2台の常用機と1台の予備機を備え、各圧縮機2、6、10の圧縮空気を貯留する空気槽4、8、12の出口を並列に接続して1号〜3号のユニットに供給する構成とした場合、運転開始から予め設定した時間に到達したことを検出すると、常用機と予備機とを交替して運転を再開するものである。これにより、常時運転する常用機と、殆ど停止して待機している予備機の使用頻度を平均化することができる。
【0015】
また、同じ構成により、運転開始から予め設定した使用時間(積算使用時間)に到達した常用機があることを検出すると、その常用機と予備機とを交替して運転を再開するものである。これにより、常時運転する常用機と、殆ど停止して待機している予備機の使用頻度を平均化すると共に、使用時間からメンテナンス時期を推測することができる。尚、圧縮機の動力源は一般的にはモータである。そしてモータのメンテナンス時期や寿命は、そのモータがどの位の時間駆動したかにより決定される。そこで本実施形態では、常用機と予備機の切替時間を空気圧縮機の積算使用時間により決定するものである。これにより、正確なメンテナンス時期と寿命を推測することができる。
【0016】
図2は本発明の第2の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付し、重複する説明は省略する。この圧縮空気制御装置71が図1と異なる点は、各空気槽4、8、12の出力側を並列にしたライン14の圧力を検出する圧力計(圧力検出手段)16を備えた点である。
即ち、設置された3台の圧縮機2、6、10を全て常用機とした場合、制御部1は、圧力計16により検出した圧力に基づいて、圧縮機2、6、10の稼動台数を制御するものである。更に詳しく説明すると、出力側のユニット5、9、13、の動作状態は常に一定ではなく逐一変動する。その変動状態は出力側の空気圧力をチエックすることにより可能である。即ち、圧力が高い場合は、出力側に供給する圧縮空気量が少なくともよい場合であり、逆に圧力が低下した場合は、出力側に供給する圧縮空気量を多く必要としている場合である。また、各圧縮機は、出力側の負荷が最大のときでも充分圧縮空気が所定圧力により供給可能なように設計されている。従って、出力側の負荷により必ずしも全ての圧縮機が稼動する必要がない場合もある。そこで本実施形態では、圧力計16により検出した圧力に基づいて、圧縮機2、6、10の稼動台数を制御するものである。これにより、不要な圧縮機の駆動を抑制して、消費電力の削減を図ることができる。尚、圧力計16は圧力に応じて抵抗、電圧等が可変となるセンサを用いることにより可能である。
【0017】
図3は本発明の第3の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。この圧縮空気制御装置72は、空気を所定圧力に圧縮する圧縮機21、25と、圧縮機25の出力経路を切り替える切替器(切替手段)31と、圧縮機21により圧縮された空気を貯留する空気槽(第1の空気槽)23、29と、切替器31により切り替えられた経路側に備えられた空運転空気槽(第2の空気槽)30と、空気槽29内の圧力を検出する圧力計(圧力検出手段)24と、圧力計24の圧力に基づいて切替器31を制御する制御部(制御手段)20と、を備えて構成されている。尚、切替器31は開閉が制御部1の信号32により可能な出力弁26、28と、信号32を反転させるインバータ27とを備えている。この切替器31の動作は、信号が正の場合に出力弁が開放し、負の場合に閉鎖するように構成されている。従って、信号32が正のときは、出力弁28が開放で、出力弁26は閉鎖されている。この実施形態では、圧縮機21の稼働率を100%、圧縮機25の稼働率を50%とする。
そして、空気槽23、29の出力経路と空運転空気槽30の出力経路14とを夫々並列接続した場合、制御部20は、圧力計24により検出した圧力が所定の圧力に達したことを検出すると、圧縮機25の駆動を継続したまま出力経路14を空運転空気槽30側に切り替えるように制御する。
【0018】
即ち、圧縮機25はそれに接続された空気槽29内の圧力が所定の圧力になると圧縮空気を供給することを停止する。停止の方法としては、圧縮機25のモータを停止する場合と、モータは駆動したまま空運転する方法とがある。前者の場合は、その都度モータの回転、停止を繰り返すため、頻度にもよるが、モータにメカ的なダメージを与えたり、電力側にモータ駆動時に発生する突入電流が頻繁に発生してノイズ源となる虞がある。本実施形態では、これを回避するために、空気槽29内の圧力が所定の圧力になった場合でも空運転を行い、そのとき発生する圧縮空気を空運転空気槽30に貯留してユニット5、9、13に供給するものである。これにより、空運転時の圧縮空気を無駄にせず、有効に活用することができる。
【0019】
図4は本発明の第4の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。この圧縮空気制御装置73は、空気を所定圧力に圧縮する圧縮機36、42、48と、圧縮機36、42、48の出力経路を切り替える切替器(切替手段)65、66、67と、圧縮機36、42、48により圧縮された空気を貯留する空気槽38、44、60と、切替器65、66、67により切り替えられた経路68に備えられた空運転空気槽64と、空気槽38、44、60内の圧力を検出する圧力計(圧力検出手段)37、43、49と、圧力計37、43、49の圧力に基づいて切替器65、66、67を制御する制御部(制御手段)35と、を備えて構成されている。尚、切替器の構成は図3の切替器31と同様である。また、各圧縮機の稼働率は75%である。
そして圧縮機36、42、48が備えられ、各圧縮機に夫々空気槽38、44、60を備え、空気槽38、44、60の出力経路14と空運転空気槽64の出力経路69とを夫々並列接続した場合、制御部35は、空気槽38、44、60の中から例えば、圧力計37により検出した圧力が所定の圧力に達した空気槽38を検出すると、その空気槽38と接続した圧縮機36の駆動を継続したまま空気槽38の出力経路を空運転空気槽64に切り替えるように切替器65を制御する。
即ち、本実施形態は空気槽を複数備え、空運転空気槽64を1つ備えた構成により、複数の空気槽の夫々から空運転時の余剰圧縮空気をまとめて空運転空気槽64に貯留するものである。これにより、各空気槽から発生する余剰圧縮空気を無駄なく効率的に貯留し、空気槽のマージンを増加することができる。
【0020】
図5は本発明の第1の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。図1を参照して説明する。まず、圧縮機2、6を常用機とし、圧縮機10を予備機として設定する(S1)。そして常用機である圧縮機2、6の運転を開始し(S2)、制御部1は運転開始から予め設定した所定時間に達したか否かをチエックし(S3)、所定時間に達していなければ(S3でNO)ステップS2に戻って運転を繰り返し、所定時間に達していれば(S3でYES)、例えば常用機である圧縮機2と予備機である圧縮機10を交替して、圧縮機2を予備機とし、圧縮機10を常用機とする(S4)。それ以後、ステップS2に戻って繰り返す。
【0021】
図6は本発明の第2の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。図1を参照して説明する。まず、圧縮機2、6を常用機とし、圧縮機10を予備機として設定する(S10)。そして常用機である圧縮機2、6の運転を開始し(S11)、制御部1は各圧縮機の積算使用時間をチエックして積算使用時間が予め設定した切替時間に達した常用機が存在するか否かをチエックし(S12)、切替時間に達した常用機が存在していなければ(S12でNO)ステップS11に戻って運転を繰り返し、切替時間に達した常用機が存在していれば(S12でYES)、例えば切替時間に達した常用機が圧縮機2とすると、予備機である圧縮機10と交替して、圧縮機2を予備機とし、圧縮機10を常用機とする(S13)。それ以後、ステップS11に戻って繰り返す。
【0022】
図7は本発明の第3の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。図2を参照して説明する。まず、全ての圧縮機2、6、10を常用機とし、予備機を設定しない(S20)。そして常用機である全ての圧縮機2、6、10の運転を開始し(S21)、制御部1は圧力計16の圧力を監視して、必要空気圧が大きい場合は(S23で大)、3台の圧縮機2、6、10を運転し(S24)、必要空気圧が中の場合は(S23で中)、2台の圧縮機2、6を運転し(S25)、必要空気圧が小さい場合は(S23で小)、1台の圧縮機2を運転し(S26)、所定時間が経過すると(S27でYES)ステップS22に戻って繰り返す。尚、2台の運転、1台の運転の場合は、どの圧縮機を選択するかは、予め順番を決定しておいたり、図5、6で説明した方法により選択しても良い。
【0023】
図8は本発明の第4の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。図3を参照して説明する。まず、圧縮機21、25を常用機とし、圧縮機21を稼働率100%、圧縮機25を稼働率50%で運転するように設定する(S30)。制御部20は信号32を負にして出力弁26を開放して空気槽29に圧縮空気を貯留する(S31)。そして制御部20は圧力計24の圧力を監視し(S32)、所定の圧力以下であれば空気槽29に圧縮空気を貯留し続け(S37)、所定の圧力以上になると信号32を正にして出力弁26を閉鎖して、出力弁28を開放する(S33)。このとき圧縮機25は空運転しており、その圧縮空気は空運転空気槽30に貯留される(S34)。その後、制御部20は圧力計24の圧力が所定圧力以下になると(S35でYES)、信号32を再び負にして出力弁26を開放し、出力弁28を閉鎖して(S36)空気槽29に圧縮空気を貯留する。
【0024】
図9は本発明の第5の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。図4を参照して説明する。まず、圧縮機36、42を常用機とし、圧縮機48を予備機として設定する(S40)。制御部35は圧縮機36、42の運転を開始し(S41)、信号75、76を負にして出力弁39、46を開放して空気槽38、44に圧縮空気を貯留する(S42)。そして制御部35は圧力計37、43の圧力を監視し(S43)、所定の圧力以下であれば空気槽38、44に圧縮空気を貯留し続け、所定の圧力以上になると信号75、76を正にして出力弁39、46を閉鎖して、出力弁41、47を開放する(S44)。このとき圧縮機36、42は空運転しており、その圧縮空気は空運転空気槽64に貯留される(S45)。その後、制御部35は圧力計37、43の圧力が所定圧力以下になると(S46でYES)、信号75、76を再び負にして出力弁39、46を開放し、出力弁41、47を閉鎖して(S47)空気槽38、44に圧縮空気を貯留する。
尚、圧力計37、43の圧力は同時に同じ値になるとは限らないので、信号75、76が出力されるタイミングは異なってくる。また、予備機の圧縮機48が稼動した場合は、圧縮機36、42の何れか一方が停止して、上記と同様の動作を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る圧縮空気制御装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る圧縮空気制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図10】従来の圧縮空気制御装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 制御部、2、6、10 圧縮機、3、7、11 出力弁、4、8、12 空気槽、5 1号ユニット、9 2号ユニット、13 3号ユニット、70 圧縮空気制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、
空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する空気槽と、前記空気圧縮機の起動・停止を制御する制御手段と、を備え、
少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記プラントシステムが運転中に稼動する常用機とし、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記常用機が故障した際に代替する予備機とし、且つ前記各空気槽の出力側を並列に接続した場合、
前記制御手段は、前記常用機の運転時間が所定時間を経過したことを検出する毎に、前記常用機と前記予備機とを交替して運転を再開することを特徴とする圧縮空気制御装置。
【請求項2】
プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、
空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する空気槽と、前記空気圧縮機の起動・停止を制御する制御手段と、を備え、
少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記プラントシステムが運転中に稼動する常用機とし、少なくとも1台の前記空気圧縮機を前記常用機が故障した際に代替する予備機とし、且つ前記各空気槽の出力側を並列に接続した場合、
前記制御手段は、前記常用機の切替時間が所定時間に到達したことを検出する毎に、該常用機と前記予備機とを交替して運転を再開することを特徴とする圧縮空気制御装置。
【請求項3】
前記切替時間は、前記空気圧縮機の積算使用時間であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮空気制御装置。
【請求項4】
前記各空気槽の出力側を並列にしたラインの圧力を検出する圧力検出手段を備え、設置された複数の前記空気圧縮機を常用機とした場合、
前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出した圧力に基づいて、前記空気圧縮機の稼動台数を制御することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の圧縮空気制御装置。
【請求項5】
プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、
空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機の出力経路を切り替える切替手段と、前記空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する第1の空気槽と、前記切替手段により切り替えられた経路側に備えられた第2の空気槽と、前記第1の空気槽内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段の圧力に基づいて前記切替手段を制御する制御手段と、を備え、
前記第1の空気槽の出力経路と前記第2の空気槽の出力経路とを夫々並列接続した場合、
前記制御手段は、前記圧力検出手段により検出した圧力が所定の圧力に達したことを検出すると、前記空気圧縮機の駆動を継続したまま前記出力経路を前記第2の空気槽側に切り替えるように前記切替手段を制御することを特徴とする圧縮空気制御装置。
【請求項6】
プラントシステムを構成する少なくとも1つのユニットの起動、停止に係る制御を空気圧により行なう圧縮空気制御装置であって、
空気を所定圧力に圧縮する空気圧縮機と、該空気圧縮機の出力経路を切り替える切替手段と、前記空気圧縮機により圧縮された空気を貯留する第1の空気槽と、前記切替手段により切り替えられた経路側に備えられた第2の空気槽と、前記第1の空気槽内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段の圧力に基づいて前記切替手段を制御する制御手段と、を備え、
前記空気圧縮機が複数備えられ、各空気圧縮機に夫々前記第1の空気槽を備え、前記各第1の空気槽の出力経路と前記第2の空気槽の出力経路とを夫々並列接続した場合、
前記制御手段は、前記各第1の空気槽の中から前記圧力検出手段により検出した圧力が所定の圧力に達した第1の空気槽を検出すると、該第1の空気槽と接続した空気圧縮機の駆動を継続したまま該第1の空気槽の出力経路を前記第2の空気槽側に切り替えるように前記切替手段を制御することを特徴とする圧縮空気制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−103058(P2009−103058A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275676(P2007−275676)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】