圧電アクチュエーター、ロボット及びロボットハンド
【課題】駆動電圧を印加する電極を切り換えずに正転と逆転の切り換えが可能な圧電モーターを実現する。
【解決手段】圧電体層120と圧電体層120に駆動電圧を印加可能な電極121とを含む圧電素子22と、圧電素子22と積層される短辺と長辺とを有する長方形の板材であり、かつ長辺方向の一方の端部から平面方向に突出する突出部23を有する振動板21と、突出部23に当接されるローター100と、を少なくとも備える圧電アクチュエーター1であって、突出部23は振動板21の略中心を通り長辺方向に延在する第1の中心線71からオフセットされた位置に配置されており、振動板21は、突出部23が配置された位置の略対角位置にカウンターウェイト25を備えていることを特徴とする圧電アクチュエーター1。
【解決手段】圧電体層120と圧電体層120に駆動電圧を印加可能な電極121とを含む圧電素子22と、圧電素子22と積層される短辺と長辺とを有する長方形の板材であり、かつ長辺方向の一方の端部から平面方向に突出する突出部23を有する振動板21と、突出部23に当接されるローター100と、を少なくとも備える圧電アクチュエーター1であって、突出部23は振動板21の略中心を通り長辺方向に延在する第1の中心線71からオフセットされた位置に配置されており、振動板21は、突出部23が配置された位置の略対角位置にカウンターウェイト25を備えていることを特徴とする圧電アクチュエーター1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエーター、ロボット及びロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電アクチュエーターは、高周波の交流電圧等の駆動電圧を機械的振動に変換する圧電素子と、該圧電素子によって駆動される被駆動部材と、を少なくとも有する駆動装置である。圧電モーターは、圧電アクチュエーターの一種である。すなわち圧電モーターは、上述の被駆動部材としてローターを用いた駆動装置であり、圧電素子の振動を回転力として利用可能な駆動装置である。
【0003】
圧電モーターの用途としては、従来は時計のカレンダー機能等の駆動手段としての用途が知られていた。そして近年、新たな用途として、ロボット(ロボットハンド)の駆動手段としての用途が注目されている。上述のカレンダーの場合、回転の方向は一方向に限定されていたため、圧電モーターの回転方向も一方向(例えば正方向)に固定されていた。一方、ロボットハンドは、複雑な動作が必要であるため、ロボットハンドの駆動手段として用いられる圧電モーターの場合、回転方向が正転(左回転)と逆転(右回転)とが反転可能であることが必要とされる。
【0004】
圧電モーターの回転方向を変更する手法としては、圧電素子を構成する電極を正転用の電極と逆転用の電極を含む複数の電極で構成して、正転時と逆転時とで駆動電圧を印加する電極を切り換える手法が知られている。また、例えば特許文献1に示すように、1つの圧電素子を、夫々が異なる固有の共振周波数を有する複数の被駆動部と組み合わせる手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−111457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記の手法のうち、前者の手法は、正転時と逆転時とで夫々専用の電極が必要となり、かつ、駆動電圧を印加する電極を切り換える機構等が別途必要となる。また、後者の手法は、複数個の被駆動部を必要とする。したがってどちらの手法も、圧電アクチュエーターの複雑化及び高コスト化をもたらすという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる圧電アクチュエーターは、少なくとも1つの圧電体層と上記圧電体層に駆動電圧を印加可能な電極とを含む圧電素子と、上記圧電素子と積層される短辺と長辺とを有する長方形の板材であり、かつ長辺方向の一方の端部から平面方向に突出する突出部を有する振動板と、上記突出部に当接されるローターと、を少なくとも備える圧電アクチュエーターであって、上記突出部は上記振動板の略中心を通り上記長辺方向に延在する第1の中心線からオフセットされた位置に配置されており、上記振動板は、上記突出部が配置された位置の略対角位置にカウンターウェイトを備えていることを特徴とする。
【0009】
このような構造の振動板を備える圧電アクチュエーターであれば、縦一次振動の共振点におけるインピーダンスと屈曲二次振動の共振点におけるインピーダンスを、略等しい値に揃えることができる。したがって、2つの共振点における夫々の振動を、上記長辺方向に対して略線対称となる楕円形状とすることができる。そのため、圧電体層に印加する駆動電圧の周波数を切り換えることで、突出部の回転方向の正転と逆転とを切り換えることができる。したがって、構造を複雑化することなく正転と逆転とを切り換え可能な圧電アクチュエーターを実現できる。なお、上述の正転と逆転は、左回転を正転、右回転を逆転と便宜的に定めたものである。
【0010】
[適用例2]上述の圧電アクチュエーターであって、上記突出部は上記振動板の上記第1の中心線と略平行な第2の中心線を有し、上記ローターの回転軸の中心は上記第2の中心線上に位置していることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0011】
このような圧電アクチュエーターであれば、ローターに対して突出部を均等に当接できる。したがって、どちらの方向でも略均等に回転可能な圧電アクチュエーターを実現できる。
【0012】
[適用例3]上述の圧電アクチュエーターであって、上記圧電素子は単板であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0013】
このような圧電アクチュエーターであれば、構成を簡略化でき、低コスト化が可能になる。なお、「単板」とは単一の板状部材であることを示している。
【0014】
[適用例4]上述の圧電アクチュエーターであって、上記突出部の上記長辺方向の寸法は、上記カウンターウェイトの上記長辺方向の寸法よりも小さいことを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0015】
このような圧電アクチュエーターであれば、圧電素子の長辺方向におけるバランスが向上する。したがって、どちらの方向でも略均等に回転可能な圧電アクチュエーターを実現できる。
【0016】
[適用例5]上述の圧電アクチュエーターであって、上記振動板の長辺寸法と上記振動板の短辺寸法との比は略7対2であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0017】
このような寸法比の振動板であれば、圧電体層に駆動電圧が印加された場合、効率的に振動する。したがって、構造を複雑化することなくどちらの方向でも高いエネルギー変換効率で回転可能な圧電アクチュエーターを実現できる。
【0018】
[適用例6]本適用例にかかるロボットハンドは、上述の圧電アクチュエーターを備えたことを特徴とする。
【0019】
このような構成であれば、ワークを把持する指の開閉動作を必要とするロボットハンドを低コストで実現できる。
【0020】
[適用例7]本適用例にかかるロボットは、上述のロボットハンドを備えたことを特徴とする。
【0021】
このような構成であれば、ワークを把持する指の開閉動作を必要とするロボットを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる圧電モーターの概略を示す平面図。
【図2】圧電素子と振動板の積層体及び該積層体を振動可能に支持する支持体等を示す概略斜視図。
【図3】圧電モーターの断面を示す図。
【図4】本実施形態の圧電モーターが備える振動板を、ローターと共に示す平面図。
【図5】振動板のインピーダンス特性を示す図。
【図6】振動板の突出部が描く2種類の軌跡を示す図。
【図7】本実施形態にかかる圧電モーターが備えるローターの回転方向を示す図。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかるロボットの概略を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかるロボットハンドの概略を示す図。
【図10】ロボットハンドが備える第1の指の概略を示す図。
【図11】変形例の振動板平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態にかかる圧電アクチュエーター、すなわち回転方向を正転/逆転に変換可能な圧電モーター1について、図面を参照しつつ述べる。なお本発明の実施の形態は、以下の各図に示す構造、形状に限定されるものではない。また、以下の各図においては、各構成要素を図面で認識可能な程度の寸法とするため、該構成要素の縮尺を実際とは異ならせてある。
【0024】
(第1の実施形態)
<圧電モーター>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電アクチュエーターとしての圧電モーター1の概略を示す平面図である。図2は、圧電モーター1の構成要素である圧電素子22と振動板21、及び圧電素子22と振動板21の積層体を振動可能に支持する支持体3等を示す概略斜視図である。そして図3は、圧電モーター1の図1のA−A’線における断面を示す断面図である。
【0025】
図1に示すように、圧電モーター1は、上述の圧電素子22と振動板21との積層体と、該積層体を支持する支持体3と、被駆動部材であるローター100と、を、少なくとも構成要素として備えている。そして、かかる複数の構成要素は、基台4の一方の面上に配置されている。
【0026】
図2に示すように、圧電素子22及び振動板21は平面視で短辺と長辺とを有する長方形の板材である。そして圧電素子22は、振動板21の表裏両面に配置されている。圧電素子22は、圧電体層120と該圧電体層の表裏両面に形成された一対の電極とで構成されている。振動板21側の電極が第1電極121であり、もう一方の電極が第2電極122である。なお、双方の電極(121,122)には、該電極と圧電モーター1を駆動用アクチュエーターとして用いる電子機器の制御回路との間を接続する電極配線が接続されている。本図及び後述する各図では、かかる電極配線の図示を省略している。
【0027】
圧電体層120の材料は特に限定されておらず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種の材料を用いることができる。双方の電極(121,122)の材料も特に限定されておらず、Ni(ニッケル)、Au(金)等を用いることができる。電極の形成方法は、めっき、スパッタ、蒸着等の方法を用いることができる。
【0028】
本実施形態の圧電素子22は、単板である。単板とは、上述の圧電体層120と電極(121,122)の双方が分割されていないことを示している。すなわち、圧電体層120は振動板21と重なる長方形であり、一対の電極(121,122)は、該圧電体層の全面に形成されている。そのため、圧電モーター1の動作時には、圧電体層120の全域に同一の駆動電圧が印加されている。したがって、圧電体層120に局所的に、すなわち領域毎に駆動電圧を印加することができない。本実施形態の圧電モーター1は、振動板21等の形状等を工夫することで、かかる全面に形成された、すなわち分割されていない電極(121,122)を有する圧電素子22を用いて、双方向の回転を可能にしている。
【0029】
振動板21には、夫々の長辺から短辺方向の外側に突出する腕部24が一体的に形成されている。そして夫々の腕部24の端部には、貫通孔241が形成されている。支持体3は、振動板21が固定される一対の固定部31と、双方の固定部31の間に該固定部と一体的に形成されるスライド部32とを備えている。固定部31には、腕部24の貫通孔241に対応する位置にねじ部34が形成されている。このねじ部34に貫通孔241を貫通してねじ26が螺合されることにより、振動板21(より具体的には、圧電素子22と振動板21の積層体)は固定部31に固定される。
【0030】
図3に示すように、スライド部32は、基台4に凹状に形成されたスライド溝41に配置されている。また、スライド部32の幅方向略中央には、ローター100に対する突出部23の当接方向に沿って長孔33が(2箇所)形成されている。長孔33には、ねじ421が貫通している。そして、ねじ421は、基台4に形成されたねじ孔42に螺合されている。かかる構成により、支持体3は、基台4に、長孔33の長手方向にスライド可能に支持されている。したがって、支持体3の固定部31に固定される振動板21(より具体的には、圧電素子22と振動板21の積層体)は、ローター100の中心方向に向かって移動可能である。
【0031】
ここで、固定部31とスライド部32とは、段差を有するように形成されている。したがって、固定部31を凸部と考えた場合、スライド部32は凹状部分となる。かかる構成により、振動板21が固定部31に取り付けられた時に、圧電素子22と振動板21との積層体とスライド部32との間には間隙が確保される。したがって、圧電素子22に駆動電圧が印加され上述の積層体が振動しても、スライド部32を貫通するねじ421に干渉しない。
【0032】
そして、図1及び図3に示すように、支持体3の両側の固定部31において、ローター100側とは反対の端部側面には、円柱状に突出したばね取付け部35がそれぞれ形成されている。このばね取付け部35には、ばね36の一端が挿入されている。そしてばね36の他端は、基台4に設けられた係止片37に固定されている。そしてばね36は、その伸縮方向が振動板21の長辺方向と略平行となるように配置されている。かかるばね36のばね力により、後述する突出部23は、ローター100に好適な付勢力で押しつけられる。
【0033】
図1、及び図2に示すように、振動板21のローター100側の短辺には、突出部(摺動部)23が、該ローターに当接するように配置されている。振動板21のもう一方の短辺には、振動板21の一部を突出させたカウンターウェイト25が、腕部24と同様に一体的に形成されている。「一体的」とは、板材をプレス加工等で成型して振動板21とする際に、腕部24とカウンターウェイト25が連続するように形成されていることを示している。かかる一体的に形成(成型)された部材のうち、本実施形態においては、圧電素子22と重なる平面視で長方形の部分を振動板21と定義している。なお、突出部23は、振動板21と一体的には形成されていない。
【0034】
ローター100は直径が略6.0mmであり、SUS440C等の硬度の高い材料で形成されており、外周に沿って断面円弧状の凹部97が形成されている。そしてローター100は軸44を有しており、基台4における上述の一方の面に対して垂直方向に形成された軸受ピン43で回転可能に支持されている。
突出部23は、かかる凹部97に当接されている。後述するように、圧電素子22に駆動電圧が印加されると、該圧電素子及び振動板21は振動する。その結果、振動板21から突出した部分である突出部23は、楕円軌道を描くように振動する。ローター100は、かかる楕円軌道を描く振動により回転する。
【0035】
<振動板>
図4は、本実施形態の圧電モーター1が備える振動板21を、ローター100と共に示す平面図である。なお、凹部97の図示は省略している。
振動板21は、厚さ0.5mmのSUS301からなり、横(X)方向の寸法が略2.0mm、縦(Y)方向の寸法が略7.0mmである。したがって、アスペクト比すなわち縦寸法と横寸法の比は、7:2である。
【0036】
突出部23とカウンターウェイト25は、振動板21の対角線上の角部に、すなわち平面視で互いに対角となる位置に、双方の外側の輪郭線が振動板21の長辺と連続するように配置(形成)されている。すなわち、突出部23とカウンターウェイト25は、振動板21の長辺方向の中心線である第1の中心線71からオフセットされた位置に配置(形成)されている。
【0037】
突出部23は、厚さが略0.5mmで直径Rが略1.0mmのアルミナからなる円形部材を、振動板21の短辺に半円が突出するように接着して形成されている。したがって、振動板21の突出部23は接着されている側の角部は、半円形にくり抜かれている。上記の円形部材のうち、振動板21の短辺側、すなわち長辺方向の端部から突出する部分が突出部23である。したがって、突出部23の長辺方向の寸法は、略0.5mmである。なお、振動板21と突出部23とは、エポキシ樹脂等の接着剤で接着されている。
【0038】
突出部23は、振動板21の第1の中心線71と平行な第2の中心線72を有しており、該第2の中心線に対してX方向で対称の形状を有している。ローター100の中心は、第2の中心線72上に位置している。すなわち、支持体3とローター100は、支持体3で支持される振動板21とローター100の中心とが上記の位置関係となるように、基台4上に配置されている。
【0039】
カウンターウェイト25の寸法は、短辺方向(X方向)の寸法Wが略0.5mm、長辺方向(Y方向)の寸法Lが略1.0mmであり、短辺寸法と長辺寸法の比が1:2となっている。このよう、カウンターウェイト25は長辺方向に細長く形成され、先端が振動板21の中心(重心)から離れた位置に達している。そのため、振動板21が振動する際に突出部23とのバランスを効果的に取る(得る)ことができる。
また、カウンターウェイト25の長辺方向の寸法L(略1.0mm)は、突出部23の長辺方向の寸法(略0.5mm)よりも大きい。かかる寸法比も、振動板21が振動する際のバランスの確保に寄与している。
【0040】
なお、カウンターウェイト25の横寸法と縦寸法の比は、上述の値に限定されるものではない。横寸法に比べて縦寸法が大きければ、充分に効果を発揮することができる。また、縦寸法が横寸法の2倍を超えても良い。また、縦寸法が横寸法よりも小さくても、カウンターウェイト25の全体の面積を大きくすることで、突出部23とのバランスを取ることもできる。
【0041】
図5は、図4に示す形状の振動板21のインピーダンス特性(周波数−インピーダンス特性)を示す図である。横軸に駆動周波数(圧電素子22に印加される駆動電圧すなわち交流電圧の周波数)を示し、縦軸にインピーダンスを示している。
【0042】
図示するように、駆動周波数に対するインピーダンスが極小である共振点が2点現れている。2点の共振点のうち周波数の低い方が縦一次振動の共振点であり、周波数の高い方が屈曲二次振動の共振点である。そして、双方の共振点におけるインピーダンスは略等しい値となっている。発明者は、振動板21の形状等、及び該振動板に配置等される突出部23とカウンターウェイト25の形状等を工夫することで、上記双方のインピーダンス値を揃えることに成功した。そして、上記2つの振動のうちの一方の振動のみで、突出部23に好適な楕円軌道を描かせることに成功した。
【0043】
ここで、縦一次振動とは圧電素子22が長辺方向に伸縮する振動であり、屈曲二次振動とは圧電素子22が短辺方向、すなわち長辺方向に略直交する方向に屈曲する振動である。一般の回転駆動する圧電アクチュエーターすなわち圧電モーター1においては、上記双方の振動を合成することで、突出部23に、楕円軌道を描く振動を発生させている。そのため、駆動周波数として上記双方の共振周波数の略中央の周波数を選択して、縦一次振動と屈曲二次振動を同時に発生させている。
しかし、かかる駆動方法の場合は、楕円軌道の回転方向を逆転させるためには、上述したように圧電素子22の一方の面に複数の電極を形成する必要がある。本実施形態にかかる圧電モーター1は、どちらか一方の振動のみでローター100を回転させるため、表裏両面に単一の電極を備える圧電素子22を用いて、左右両方向の回転を可能としている。
【0044】
図6は、本実施形態にかかる圧電モーター1が備える振動板21の突出部23が描く、2種類の軌跡、すなわち突出部23の変位を示す図である。101が、279143Hzの駆動電圧を印加して得られる縦一次振動の軌跡であり、102が283443Hzの駆動電圧を印加して得られる屈曲二次振動の軌跡である。
図示するように、横軸すなわち振動板21の短辺方向に対して略40度の傾きを有している。したがって、突出部23をローター100に当接させた場合、該ローターを好適に回転させることができる。
【0045】
図7は、本実施形態にかかる圧電モーター1が備えるローター100の回転方向を示す図である。なお、本図では腕部24及び貫通孔241については、図示を省略している。また、突出部23及びカウンターウェイト25の説明は省略する。
図7(a)は、振動板21に縦一次振動が発生している場合を示している。縦一次振動の軌跡101が右回りの楕円を描くため、ローター100は左回りに回転する。すなわち正転する。
図7(b)は、振動板21に屈曲二次振動が発生している場合を示している。屈曲二次振動の軌跡102が左回りの楕円を描くため、ローター100は右回りに回転する。すなわち逆転する。
【0046】
ここで、本図及び図6に示すように、縦一次振動の軌跡101と屈曲二次振動の軌跡102は、第2の中心線72(図4参照)を中心とする略線対称となっている。したがって、ローター100は、正転時と逆転時の双方の回転時において、略同等の速度等で回転する。
上述したように、本実施形態の圧電モーター1は、駆動電圧の周波数を切り換えることで、縦一次振動と屈曲二次振動とを切り換えることができる。したがって本実施形態の圧電モーター1は、駆動電圧の周波数の切り換えのみで、回転方向の正転と逆転とを切り換えることができる。
【0047】
<本実施形態の効果>
以上述べたように、本実施形態の圧電モーター1は、正転と逆転の双方向の回転が可能である。そのため、ロボット(ロボットハンド)等の往復動作が必要な電子機器の駆動用アクチュエーターとして用いることができる。上述したように、本実施形態の圧電モーター1は、かかる回転方向の切り換えを、駆動電圧の周波数を切り換えることのみで行うことができる。したがって、圧電素子22の表裏両面に形成する電極(121,122)も、単一の物(単板)とすることができ、コストを低減できる。
また、本実施形態の圧電モーター1を用いる電子機器も、電極配線及び駆動電圧を印加する電極配線の切り換え機構等を省くことができ、駆動回路等を簡略化できる。したがって、本実施形態の圧電モーター1を用いることで、往復動作が可能な電子機器を低コストで製造することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエーターとしての圧電モーター1と同様の圧電モーターを備えたロボットハンド、及び該ロボットハンドを備えたロボットについて、図8〜図10を用いて説明する。
【0049】
図8は、ロボットハンド(201,202)を備えた、本発明の第2の実施形態にかかるロボット200の概略を示す図である。ロボット200は第1のアーム240と第2のアーム250を備えており、夫々のアーム(240,250)の先端には、第1のロボットハンド201と第2のロボットハンド202が配置されている。第1のロボットハンド201と第2のロボットハンド202とは、互いに略同一の構成を有している。そこで、以降、第1のロボットハンド201についてのみ説明する。
【0050】
図9は、本発明の第2の実施形態にかかるロボットハンド201の概略を示す図である。図9(a)、図9(b)に示すように、ロボットハンド201は、手のひら225と、第1の指210と第2の指220を備えている。第1の指210は第1のリンク211と第2のリンク212で構成され、第2の指220は第1のリンク221と第2のリンク222で構成されている。そしてロボットハンド201は、把持するワークの大小により使用するリンク変更可能である。
【0051】
図9(a)は、ロボットハンド201が大型ワーク233を把持している状態を示している。大型ワーク233は、第1の指210の第1のリンク211と、第2の指220の第1のリンク221と、で把持されている。そして、第1の指210の第2のリンク212は第1のリンク211の中に格納され、第2の指220の第2のリンク222は第1のリンク221の中に格納されている。
【0052】
図9(b)は、ロボットハンド201が小型ワーク234を把持している状態を示している。小型ワーク234は、第1の指210の第2のリンク212と第2の指220の第2のリンク222とで把持されている。
このように、ロボットハンド201は把持するワークにより使用するリンクを変更することで、夫々のワーク(233,234)を好適に把持できる。そしてロボットハンド201は、ワークの把持及び第2のリンク(212,222)の格納等のために複数の駆動機構としての圧電モーターを備えている。
【0053】
図10(a)〜(d)は、ロボットハンド201が備える第1の指210の概略を示す図である。なお、第2の指220も同一の構成を有している。図10(a)は、第2のリンク212が、第1のリンク211に形成された溝226(図10(d)参照)内に格納された状態を示している。図10(b)は、第2のリンク212が第1のリンク211から取り出される途中の状態を示している。図10(c)は、第2のリンク212が第1のリンク211から取り出された状態を示している。
【0054】
かかる動作は第2の関節(回転軸)215を中心に行われる。そして第1のリンク211の開閉動作は第1の関節(回転軸)213を中心に行われる。そして各関節(213,215)には、駆動用のアクチュエーターとして、上述の第1の実施形態にかかる圧電モーター1と同様の構成を有する第1の圧電モーター214及び第2の圧電モーター216が配置されている。
上述したように、第2のリンク212は、小型ワーク234を把持するリンクである。したがって第2の圧電モーター216には、第1の圧電モーター214に比べて小型かつ低トルクの圧電モーターを用いることができる。
【0055】
このようにロボットハンド201は、把持動作を行うためのアクチュエーターとして駆動電圧の周波数の切り換えのみで回転方向を切り換えることが可能な圧電モーター(214,216)を用いている。したがって、ロボットハンド201は複雑な動作が可能であるにもかかわらず、低コストで実現できる。同様に、かかるロボットハンド201を備えるロボットも、複雑な作業を実施可能であるにもかかわらず低コストで実現できる。
【0056】
なお、ロボットハンド(201,202)のみではなく、第1のアーム240及び第2のアーム250を駆動するためのアクチュエーターとしても、第1の実施形態にかかる圧電モーター1と同様の構成を有する圧電モーターを用いることができる。
また、圧電モーターを上述のようにロボットハンドの把持動作を行うためのアクチュエーターとして用いる場合、歯車等の増減速手段を介して用いることが好ましい。一般に、圧電モーターの回転数はかなり速いため、リンク(第1のリンク211等)の動きに合せて、回転数の減速を要する場合もあり得る。また一方では、回転数の増速を要する場合もあり得る。かかる場合において、圧電モーターを歯車等の増減速手段を介して用いることで、多様な動作を行うロボットハンドのアクチュエーターとして、圧電モーターを好適に利用できる。
【0057】
本発明の実施の形態は、上述の各実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0058】
(変形例1)
上述したように、振動板21の形状は図4に示す形状以外にも、色々考えることができる。図11は変形例1の振動板151の平面形状を示す図である。本変形例の振動板151は、全体の形状は上述の振動板21と略同一であり、突出部23の形状のみが異なっている。
【0059】
図示するように、振動板151の突出部23は円形ではなく、先端のみが半円形である長尺状の形状を有している。突出部23の材質は第1の実施形態と同様にアルミナであり、厚さも略同一である。カウンターウェイト25の形状が変更可能であることは上述したが、このように突出部23の形状も色々な型に変更可能である。すなわち、突出部23とカウンターウェイト25は、双方のバランスが取れる範囲で、色々な形状のものを用いることができる。
【0060】
(変形例2)
第1の実施形態の圧電モーター1における圧電素子22は、表裏両面に振動板21と重なる平面視で長方形の、単板の電極を有している。しかし圧電素子22の形態はかかる構成に限定されるものではない。例えば、単板の電極の一部をくり貫くようにパターニングして、振動等の検出用の電極を別途配置しても良い。検出用の電極の面積が極小さい物であれば、駆動には殆んど影響を及ぼさない。したがって、振動等の検出が容易であり、かつ、簡略化された駆動回路等を有する低コストの圧電モーターを実現できる。
【0061】
(変形例3)
上述の第2の実施形態では、第1の実施形態の圧電モーター1を用いる機器として、ロボットハンド201及び該ロボットハンドを用いるロボット200について述べた。しかし、第1の実施形態の圧電モーター1を用いる機器は、ロボット200に限定される物ではない。時計、ICハンドラー、印刷装置、投薬ポンプ等の各種の機器が考えられる。特にICハンドラーでは、回転方向の変更を頻繁に行う必要があるため、圧電モーター1の特性を効果的に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…圧電アクチュエーターとしての圧電モーター、3…支持体、4…基台、21…振動板、22…圧電素子、23…突出部、24…腕部、25…カウンターウェイト、26…ねじ、31…固定部、32…スライド部、33…長孔、34…ねじ部、35…ばね取付け部、36…ばね、37…係止片、41…スライド溝、42…ねじ孔、43…軸受ピン、44…軸、71…第1の中心線、72…第2の中心線、97…凹部、100…ローター、101…縦一次振動の軌跡、102…屈曲二次振動の軌跡、120…圧電体層、121…第1電極、122…第2電極、151…変形例1の振動板、200…ロボット、201…第1のロボットハンド、202…第2のロボットハンド、210…第1の指、211…第1のリンク、212…第2のリンク、213…第1の関節、214…第1の圧電モーター、215…第2の関節、216…第2の圧電モーター、220…第2の指、221…第1のリンク、222…第2のリンク、225…手のひら、226…溝、233…大型ワーク、234…小型ワーク、240…第1のアーム、241…貫通孔、250…第2のアーム、421…ねじ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエーター、ロボット及びロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電アクチュエーターは、高周波の交流電圧等の駆動電圧を機械的振動に変換する圧電素子と、該圧電素子によって駆動される被駆動部材と、を少なくとも有する駆動装置である。圧電モーターは、圧電アクチュエーターの一種である。すなわち圧電モーターは、上述の被駆動部材としてローターを用いた駆動装置であり、圧電素子の振動を回転力として利用可能な駆動装置である。
【0003】
圧電モーターの用途としては、従来は時計のカレンダー機能等の駆動手段としての用途が知られていた。そして近年、新たな用途として、ロボット(ロボットハンド)の駆動手段としての用途が注目されている。上述のカレンダーの場合、回転の方向は一方向に限定されていたため、圧電モーターの回転方向も一方向(例えば正方向)に固定されていた。一方、ロボットハンドは、複雑な動作が必要であるため、ロボットハンドの駆動手段として用いられる圧電モーターの場合、回転方向が正転(左回転)と逆転(右回転)とが反転可能であることが必要とされる。
【0004】
圧電モーターの回転方向を変更する手法としては、圧電素子を構成する電極を正転用の電極と逆転用の電極を含む複数の電極で構成して、正転時と逆転時とで駆動電圧を印加する電極を切り換える手法が知られている。また、例えば特許文献1に示すように、1つの圧電素子を、夫々が異なる固有の共振周波数を有する複数の被駆動部と組み合わせる手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−111457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記の手法のうち、前者の手法は、正転時と逆転時とで夫々専用の電極が必要となり、かつ、駆動電圧を印加する電極を切り換える機構等が別途必要となる。また、後者の手法は、複数個の被駆動部を必要とする。したがってどちらの手法も、圧電アクチュエーターの複雑化及び高コスト化をもたらすという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる圧電アクチュエーターは、少なくとも1つの圧電体層と上記圧電体層に駆動電圧を印加可能な電極とを含む圧電素子と、上記圧電素子と積層される短辺と長辺とを有する長方形の板材であり、かつ長辺方向の一方の端部から平面方向に突出する突出部を有する振動板と、上記突出部に当接されるローターと、を少なくとも備える圧電アクチュエーターであって、上記突出部は上記振動板の略中心を通り上記長辺方向に延在する第1の中心線からオフセットされた位置に配置されており、上記振動板は、上記突出部が配置された位置の略対角位置にカウンターウェイトを備えていることを特徴とする。
【0009】
このような構造の振動板を備える圧電アクチュエーターであれば、縦一次振動の共振点におけるインピーダンスと屈曲二次振動の共振点におけるインピーダンスを、略等しい値に揃えることができる。したがって、2つの共振点における夫々の振動を、上記長辺方向に対して略線対称となる楕円形状とすることができる。そのため、圧電体層に印加する駆動電圧の周波数を切り換えることで、突出部の回転方向の正転と逆転とを切り換えることができる。したがって、構造を複雑化することなく正転と逆転とを切り換え可能な圧電アクチュエーターを実現できる。なお、上述の正転と逆転は、左回転を正転、右回転を逆転と便宜的に定めたものである。
【0010】
[適用例2]上述の圧電アクチュエーターであって、上記突出部は上記振動板の上記第1の中心線と略平行な第2の中心線を有し、上記ローターの回転軸の中心は上記第2の中心線上に位置していることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0011】
このような圧電アクチュエーターであれば、ローターに対して突出部を均等に当接できる。したがって、どちらの方向でも略均等に回転可能な圧電アクチュエーターを実現できる。
【0012】
[適用例3]上述の圧電アクチュエーターであって、上記圧電素子は単板であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0013】
このような圧電アクチュエーターであれば、構成を簡略化でき、低コスト化が可能になる。なお、「単板」とは単一の板状部材であることを示している。
【0014】
[適用例4]上述の圧電アクチュエーターであって、上記突出部の上記長辺方向の寸法は、上記カウンターウェイトの上記長辺方向の寸法よりも小さいことを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0015】
このような圧電アクチュエーターであれば、圧電素子の長辺方向におけるバランスが向上する。したがって、どちらの方向でも略均等に回転可能な圧電アクチュエーターを実現できる。
【0016】
[適用例5]上述の圧電アクチュエーターであって、上記振動板の長辺寸法と上記振動板の短辺寸法との比は略7対2であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【0017】
このような寸法比の振動板であれば、圧電体層に駆動電圧が印加された場合、効率的に振動する。したがって、構造を複雑化することなくどちらの方向でも高いエネルギー変換効率で回転可能な圧電アクチュエーターを実現できる。
【0018】
[適用例6]本適用例にかかるロボットハンドは、上述の圧電アクチュエーターを備えたことを特徴とする。
【0019】
このような構成であれば、ワークを把持する指の開閉動作を必要とするロボットハンドを低コストで実現できる。
【0020】
[適用例7]本適用例にかかるロボットは、上述のロボットハンドを備えたことを特徴とする。
【0021】
このような構成であれば、ワークを把持する指の開閉動作を必要とするロボットを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる圧電モーターの概略を示す平面図。
【図2】圧電素子と振動板の積層体及び該積層体を振動可能に支持する支持体等を示す概略斜視図。
【図3】圧電モーターの断面を示す図。
【図4】本実施形態の圧電モーターが備える振動板を、ローターと共に示す平面図。
【図5】振動板のインピーダンス特性を示す図。
【図6】振動板の突出部が描く2種類の軌跡を示す図。
【図7】本実施形態にかかる圧電モーターが備えるローターの回転方向を示す図。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかるロボットの概略を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかるロボットハンドの概略を示す図。
【図10】ロボットハンドが備える第1の指の概略を示す図。
【図11】変形例の振動板平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態にかかる圧電アクチュエーター、すなわち回転方向を正転/逆転に変換可能な圧電モーター1について、図面を参照しつつ述べる。なお本発明の実施の形態は、以下の各図に示す構造、形状に限定されるものではない。また、以下の各図においては、各構成要素を図面で認識可能な程度の寸法とするため、該構成要素の縮尺を実際とは異ならせてある。
【0024】
(第1の実施形態)
<圧電モーター>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電アクチュエーターとしての圧電モーター1の概略を示す平面図である。図2は、圧電モーター1の構成要素である圧電素子22と振動板21、及び圧電素子22と振動板21の積層体を振動可能に支持する支持体3等を示す概略斜視図である。そして図3は、圧電モーター1の図1のA−A’線における断面を示す断面図である。
【0025】
図1に示すように、圧電モーター1は、上述の圧電素子22と振動板21との積層体と、該積層体を支持する支持体3と、被駆動部材であるローター100と、を、少なくとも構成要素として備えている。そして、かかる複数の構成要素は、基台4の一方の面上に配置されている。
【0026】
図2に示すように、圧電素子22及び振動板21は平面視で短辺と長辺とを有する長方形の板材である。そして圧電素子22は、振動板21の表裏両面に配置されている。圧電素子22は、圧電体層120と該圧電体層の表裏両面に形成された一対の電極とで構成されている。振動板21側の電極が第1電極121であり、もう一方の電極が第2電極122である。なお、双方の電極(121,122)には、該電極と圧電モーター1を駆動用アクチュエーターとして用いる電子機器の制御回路との間を接続する電極配線が接続されている。本図及び後述する各図では、かかる電極配線の図示を省略している。
【0027】
圧電体層120の材料は特に限定されておらず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種の材料を用いることができる。双方の電極(121,122)の材料も特に限定されておらず、Ni(ニッケル)、Au(金)等を用いることができる。電極の形成方法は、めっき、スパッタ、蒸着等の方法を用いることができる。
【0028】
本実施形態の圧電素子22は、単板である。単板とは、上述の圧電体層120と電極(121,122)の双方が分割されていないことを示している。すなわち、圧電体層120は振動板21と重なる長方形であり、一対の電極(121,122)は、該圧電体層の全面に形成されている。そのため、圧電モーター1の動作時には、圧電体層120の全域に同一の駆動電圧が印加されている。したがって、圧電体層120に局所的に、すなわち領域毎に駆動電圧を印加することができない。本実施形態の圧電モーター1は、振動板21等の形状等を工夫することで、かかる全面に形成された、すなわち分割されていない電極(121,122)を有する圧電素子22を用いて、双方向の回転を可能にしている。
【0029】
振動板21には、夫々の長辺から短辺方向の外側に突出する腕部24が一体的に形成されている。そして夫々の腕部24の端部には、貫通孔241が形成されている。支持体3は、振動板21が固定される一対の固定部31と、双方の固定部31の間に該固定部と一体的に形成されるスライド部32とを備えている。固定部31には、腕部24の貫通孔241に対応する位置にねじ部34が形成されている。このねじ部34に貫通孔241を貫通してねじ26が螺合されることにより、振動板21(より具体的には、圧電素子22と振動板21の積層体)は固定部31に固定される。
【0030】
図3に示すように、スライド部32は、基台4に凹状に形成されたスライド溝41に配置されている。また、スライド部32の幅方向略中央には、ローター100に対する突出部23の当接方向に沿って長孔33が(2箇所)形成されている。長孔33には、ねじ421が貫通している。そして、ねじ421は、基台4に形成されたねじ孔42に螺合されている。かかる構成により、支持体3は、基台4に、長孔33の長手方向にスライド可能に支持されている。したがって、支持体3の固定部31に固定される振動板21(より具体的には、圧電素子22と振動板21の積層体)は、ローター100の中心方向に向かって移動可能である。
【0031】
ここで、固定部31とスライド部32とは、段差を有するように形成されている。したがって、固定部31を凸部と考えた場合、スライド部32は凹状部分となる。かかる構成により、振動板21が固定部31に取り付けられた時に、圧電素子22と振動板21との積層体とスライド部32との間には間隙が確保される。したがって、圧電素子22に駆動電圧が印加され上述の積層体が振動しても、スライド部32を貫通するねじ421に干渉しない。
【0032】
そして、図1及び図3に示すように、支持体3の両側の固定部31において、ローター100側とは反対の端部側面には、円柱状に突出したばね取付け部35がそれぞれ形成されている。このばね取付け部35には、ばね36の一端が挿入されている。そしてばね36の他端は、基台4に設けられた係止片37に固定されている。そしてばね36は、その伸縮方向が振動板21の長辺方向と略平行となるように配置されている。かかるばね36のばね力により、後述する突出部23は、ローター100に好適な付勢力で押しつけられる。
【0033】
図1、及び図2に示すように、振動板21のローター100側の短辺には、突出部(摺動部)23が、該ローターに当接するように配置されている。振動板21のもう一方の短辺には、振動板21の一部を突出させたカウンターウェイト25が、腕部24と同様に一体的に形成されている。「一体的」とは、板材をプレス加工等で成型して振動板21とする際に、腕部24とカウンターウェイト25が連続するように形成されていることを示している。かかる一体的に形成(成型)された部材のうち、本実施形態においては、圧電素子22と重なる平面視で長方形の部分を振動板21と定義している。なお、突出部23は、振動板21と一体的には形成されていない。
【0034】
ローター100は直径が略6.0mmであり、SUS440C等の硬度の高い材料で形成されており、外周に沿って断面円弧状の凹部97が形成されている。そしてローター100は軸44を有しており、基台4における上述の一方の面に対して垂直方向に形成された軸受ピン43で回転可能に支持されている。
突出部23は、かかる凹部97に当接されている。後述するように、圧電素子22に駆動電圧が印加されると、該圧電素子及び振動板21は振動する。その結果、振動板21から突出した部分である突出部23は、楕円軌道を描くように振動する。ローター100は、かかる楕円軌道を描く振動により回転する。
【0035】
<振動板>
図4は、本実施形態の圧電モーター1が備える振動板21を、ローター100と共に示す平面図である。なお、凹部97の図示は省略している。
振動板21は、厚さ0.5mmのSUS301からなり、横(X)方向の寸法が略2.0mm、縦(Y)方向の寸法が略7.0mmである。したがって、アスペクト比すなわち縦寸法と横寸法の比は、7:2である。
【0036】
突出部23とカウンターウェイト25は、振動板21の対角線上の角部に、すなわち平面視で互いに対角となる位置に、双方の外側の輪郭線が振動板21の長辺と連続するように配置(形成)されている。すなわち、突出部23とカウンターウェイト25は、振動板21の長辺方向の中心線である第1の中心線71からオフセットされた位置に配置(形成)されている。
【0037】
突出部23は、厚さが略0.5mmで直径Rが略1.0mmのアルミナからなる円形部材を、振動板21の短辺に半円が突出するように接着して形成されている。したがって、振動板21の突出部23は接着されている側の角部は、半円形にくり抜かれている。上記の円形部材のうち、振動板21の短辺側、すなわち長辺方向の端部から突出する部分が突出部23である。したがって、突出部23の長辺方向の寸法は、略0.5mmである。なお、振動板21と突出部23とは、エポキシ樹脂等の接着剤で接着されている。
【0038】
突出部23は、振動板21の第1の中心線71と平行な第2の中心線72を有しており、該第2の中心線に対してX方向で対称の形状を有している。ローター100の中心は、第2の中心線72上に位置している。すなわち、支持体3とローター100は、支持体3で支持される振動板21とローター100の中心とが上記の位置関係となるように、基台4上に配置されている。
【0039】
カウンターウェイト25の寸法は、短辺方向(X方向)の寸法Wが略0.5mm、長辺方向(Y方向)の寸法Lが略1.0mmであり、短辺寸法と長辺寸法の比が1:2となっている。このよう、カウンターウェイト25は長辺方向に細長く形成され、先端が振動板21の中心(重心)から離れた位置に達している。そのため、振動板21が振動する際に突出部23とのバランスを効果的に取る(得る)ことができる。
また、カウンターウェイト25の長辺方向の寸法L(略1.0mm)は、突出部23の長辺方向の寸法(略0.5mm)よりも大きい。かかる寸法比も、振動板21が振動する際のバランスの確保に寄与している。
【0040】
なお、カウンターウェイト25の横寸法と縦寸法の比は、上述の値に限定されるものではない。横寸法に比べて縦寸法が大きければ、充分に効果を発揮することができる。また、縦寸法が横寸法の2倍を超えても良い。また、縦寸法が横寸法よりも小さくても、カウンターウェイト25の全体の面積を大きくすることで、突出部23とのバランスを取ることもできる。
【0041】
図5は、図4に示す形状の振動板21のインピーダンス特性(周波数−インピーダンス特性)を示す図である。横軸に駆動周波数(圧電素子22に印加される駆動電圧すなわち交流電圧の周波数)を示し、縦軸にインピーダンスを示している。
【0042】
図示するように、駆動周波数に対するインピーダンスが極小である共振点が2点現れている。2点の共振点のうち周波数の低い方が縦一次振動の共振点であり、周波数の高い方が屈曲二次振動の共振点である。そして、双方の共振点におけるインピーダンスは略等しい値となっている。発明者は、振動板21の形状等、及び該振動板に配置等される突出部23とカウンターウェイト25の形状等を工夫することで、上記双方のインピーダンス値を揃えることに成功した。そして、上記2つの振動のうちの一方の振動のみで、突出部23に好適な楕円軌道を描かせることに成功した。
【0043】
ここで、縦一次振動とは圧電素子22が長辺方向に伸縮する振動であり、屈曲二次振動とは圧電素子22が短辺方向、すなわち長辺方向に略直交する方向に屈曲する振動である。一般の回転駆動する圧電アクチュエーターすなわち圧電モーター1においては、上記双方の振動を合成することで、突出部23に、楕円軌道を描く振動を発生させている。そのため、駆動周波数として上記双方の共振周波数の略中央の周波数を選択して、縦一次振動と屈曲二次振動を同時に発生させている。
しかし、かかる駆動方法の場合は、楕円軌道の回転方向を逆転させるためには、上述したように圧電素子22の一方の面に複数の電極を形成する必要がある。本実施形態にかかる圧電モーター1は、どちらか一方の振動のみでローター100を回転させるため、表裏両面に単一の電極を備える圧電素子22を用いて、左右両方向の回転を可能としている。
【0044】
図6は、本実施形態にかかる圧電モーター1が備える振動板21の突出部23が描く、2種類の軌跡、すなわち突出部23の変位を示す図である。101が、279143Hzの駆動電圧を印加して得られる縦一次振動の軌跡であり、102が283443Hzの駆動電圧を印加して得られる屈曲二次振動の軌跡である。
図示するように、横軸すなわち振動板21の短辺方向に対して略40度の傾きを有している。したがって、突出部23をローター100に当接させた場合、該ローターを好適に回転させることができる。
【0045】
図7は、本実施形態にかかる圧電モーター1が備えるローター100の回転方向を示す図である。なお、本図では腕部24及び貫通孔241については、図示を省略している。また、突出部23及びカウンターウェイト25の説明は省略する。
図7(a)は、振動板21に縦一次振動が発生している場合を示している。縦一次振動の軌跡101が右回りの楕円を描くため、ローター100は左回りに回転する。すなわち正転する。
図7(b)は、振動板21に屈曲二次振動が発生している場合を示している。屈曲二次振動の軌跡102が左回りの楕円を描くため、ローター100は右回りに回転する。すなわち逆転する。
【0046】
ここで、本図及び図6に示すように、縦一次振動の軌跡101と屈曲二次振動の軌跡102は、第2の中心線72(図4参照)を中心とする略線対称となっている。したがって、ローター100は、正転時と逆転時の双方の回転時において、略同等の速度等で回転する。
上述したように、本実施形態の圧電モーター1は、駆動電圧の周波数を切り換えることで、縦一次振動と屈曲二次振動とを切り換えることができる。したがって本実施形態の圧電モーター1は、駆動電圧の周波数の切り換えのみで、回転方向の正転と逆転とを切り換えることができる。
【0047】
<本実施形態の効果>
以上述べたように、本実施形態の圧電モーター1は、正転と逆転の双方向の回転が可能である。そのため、ロボット(ロボットハンド)等の往復動作が必要な電子機器の駆動用アクチュエーターとして用いることができる。上述したように、本実施形態の圧電モーター1は、かかる回転方向の切り換えを、駆動電圧の周波数を切り換えることのみで行うことができる。したがって、圧電素子22の表裏両面に形成する電極(121,122)も、単一の物(単板)とすることができ、コストを低減できる。
また、本実施形態の圧電モーター1を用いる電子機器も、電極配線及び駆動電圧を印加する電極配線の切り換え機構等を省くことができ、駆動回路等を簡略化できる。したがって、本実施形態の圧電モーター1を用いることで、往復動作が可能な電子機器を低コストで製造することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、第1の実施形態にかかる圧電アクチュエーターとしての圧電モーター1と同様の圧電モーターを備えたロボットハンド、及び該ロボットハンドを備えたロボットについて、図8〜図10を用いて説明する。
【0049】
図8は、ロボットハンド(201,202)を備えた、本発明の第2の実施形態にかかるロボット200の概略を示す図である。ロボット200は第1のアーム240と第2のアーム250を備えており、夫々のアーム(240,250)の先端には、第1のロボットハンド201と第2のロボットハンド202が配置されている。第1のロボットハンド201と第2のロボットハンド202とは、互いに略同一の構成を有している。そこで、以降、第1のロボットハンド201についてのみ説明する。
【0050】
図9は、本発明の第2の実施形態にかかるロボットハンド201の概略を示す図である。図9(a)、図9(b)に示すように、ロボットハンド201は、手のひら225と、第1の指210と第2の指220を備えている。第1の指210は第1のリンク211と第2のリンク212で構成され、第2の指220は第1のリンク221と第2のリンク222で構成されている。そしてロボットハンド201は、把持するワークの大小により使用するリンク変更可能である。
【0051】
図9(a)は、ロボットハンド201が大型ワーク233を把持している状態を示している。大型ワーク233は、第1の指210の第1のリンク211と、第2の指220の第1のリンク221と、で把持されている。そして、第1の指210の第2のリンク212は第1のリンク211の中に格納され、第2の指220の第2のリンク222は第1のリンク221の中に格納されている。
【0052】
図9(b)は、ロボットハンド201が小型ワーク234を把持している状態を示している。小型ワーク234は、第1の指210の第2のリンク212と第2の指220の第2のリンク222とで把持されている。
このように、ロボットハンド201は把持するワークにより使用するリンクを変更することで、夫々のワーク(233,234)を好適に把持できる。そしてロボットハンド201は、ワークの把持及び第2のリンク(212,222)の格納等のために複数の駆動機構としての圧電モーターを備えている。
【0053】
図10(a)〜(d)は、ロボットハンド201が備える第1の指210の概略を示す図である。なお、第2の指220も同一の構成を有している。図10(a)は、第2のリンク212が、第1のリンク211に形成された溝226(図10(d)参照)内に格納された状態を示している。図10(b)は、第2のリンク212が第1のリンク211から取り出される途中の状態を示している。図10(c)は、第2のリンク212が第1のリンク211から取り出された状態を示している。
【0054】
かかる動作は第2の関節(回転軸)215を中心に行われる。そして第1のリンク211の開閉動作は第1の関節(回転軸)213を中心に行われる。そして各関節(213,215)には、駆動用のアクチュエーターとして、上述の第1の実施形態にかかる圧電モーター1と同様の構成を有する第1の圧電モーター214及び第2の圧電モーター216が配置されている。
上述したように、第2のリンク212は、小型ワーク234を把持するリンクである。したがって第2の圧電モーター216には、第1の圧電モーター214に比べて小型かつ低トルクの圧電モーターを用いることができる。
【0055】
このようにロボットハンド201は、把持動作を行うためのアクチュエーターとして駆動電圧の周波数の切り換えのみで回転方向を切り換えることが可能な圧電モーター(214,216)を用いている。したがって、ロボットハンド201は複雑な動作が可能であるにもかかわらず、低コストで実現できる。同様に、かかるロボットハンド201を備えるロボットも、複雑な作業を実施可能であるにもかかわらず低コストで実現できる。
【0056】
なお、ロボットハンド(201,202)のみではなく、第1のアーム240及び第2のアーム250を駆動するためのアクチュエーターとしても、第1の実施形態にかかる圧電モーター1と同様の構成を有する圧電モーターを用いることができる。
また、圧電モーターを上述のようにロボットハンドの把持動作を行うためのアクチュエーターとして用いる場合、歯車等の増減速手段を介して用いることが好ましい。一般に、圧電モーターの回転数はかなり速いため、リンク(第1のリンク211等)の動きに合せて、回転数の減速を要する場合もあり得る。また一方では、回転数の増速を要する場合もあり得る。かかる場合において、圧電モーターを歯車等の増減速手段を介して用いることで、多様な動作を行うロボットハンドのアクチュエーターとして、圧電モーターを好適に利用できる。
【0057】
本発明の実施の形態は、上述の各実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0058】
(変形例1)
上述したように、振動板21の形状は図4に示す形状以外にも、色々考えることができる。図11は変形例1の振動板151の平面形状を示す図である。本変形例の振動板151は、全体の形状は上述の振動板21と略同一であり、突出部23の形状のみが異なっている。
【0059】
図示するように、振動板151の突出部23は円形ではなく、先端のみが半円形である長尺状の形状を有している。突出部23の材質は第1の実施形態と同様にアルミナであり、厚さも略同一である。カウンターウェイト25の形状が変更可能であることは上述したが、このように突出部23の形状も色々な型に変更可能である。すなわち、突出部23とカウンターウェイト25は、双方のバランスが取れる範囲で、色々な形状のものを用いることができる。
【0060】
(変形例2)
第1の実施形態の圧電モーター1における圧電素子22は、表裏両面に振動板21と重なる平面視で長方形の、単板の電極を有している。しかし圧電素子22の形態はかかる構成に限定されるものではない。例えば、単板の電極の一部をくり貫くようにパターニングして、振動等の検出用の電極を別途配置しても良い。検出用の電極の面積が極小さい物であれば、駆動には殆んど影響を及ぼさない。したがって、振動等の検出が容易であり、かつ、簡略化された駆動回路等を有する低コストの圧電モーターを実現できる。
【0061】
(変形例3)
上述の第2の実施形態では、第1の実施形態の圧電モーター1を用いる機器として、ロボットハンド201及び該ロボットハンドを用いるロボット200について述べた。しかし、第1の実施形態の圧電モーター1を用いる機器は、ロボット200に限定される物ではない。時計、ICハンドラー、印刷装置、投薬ポンプ等の各種の機器が考えられる。特にICハンドラーでは、回転方向の変更を頻繁に行う必要があるため、圧電モーター1の特性を効果的に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…圧電アクチュエーターとしての圧電モーター、3…支持体、4…基台、21…振動板、22…圧電素子、23…突出部、24…腕部、25…カウンターウェイト、26…ねじ、31…固定部、32…スライド部、33…長孔、34…ねじ部、35…ばね取付け部、36…ばね、37…係止片、41…スライド溝、42…ねじ孔、43…軸受ピン、44…軸、71…第1の中心線、72…第2の中心線、97…凹部、100…ローター、101…縦一次振動の軌跡、102…屈曲二次振動の軌跡、120…圧電体層、121…第1電極、122…第2電極、151…変形例1の振動板、200…ロボット、201…第1のロボットハンド、202…第2のロボットハンド、210…第1の指、211…第1のリンク、212…第2のリンク、213…第1の関節、214…第1の圧電モーター、215…第2の関節、216…第2の圧電モーター、220…第2の指、221…第1のリンク、222…第2のリンク、225…手のひら、226…溝、233…大型ワーク、234…小型ワーク、240…第1のアーム、241…貫通孔、250…第2のアーム、421…ねじ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体層と前記圧電体層に駆動電圧を印加可能な電極とを含む圧電素子と、前記圧電素子と積層される短辺と長辺とを有する長方形の板材であり、かつ長辺方向の一方の端部から平面方向に突出する突出部を有する振動板と、前記突出部に当接されるローターと、を備える圧電アクチュエーターであって、
前記突出部は前記振動板の略中心を通り前記長辺方向に延在する第1の中心線からオフセットされた位置に配置されており、前記振動板は、前記突出部が配置された位置の略対角位置にカウンターウェイトを備えていることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記突出部は前記振動板の前記第1の中心線と略平行な第2の中心線を有し、前記ローターの回転軸の中心は前記第2の中心線上に位置していることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項3】
請求項2に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記圧電素子は単板であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記突出部の前記長辺方向の寸法は、前記カウンターウェイトの前記長辺方向の寸法よりも小さいことを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項5】
請求項4に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記振動板の長辺寸法と前記振動板の短辺寸法との比は略7対2であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエーターを備えたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項7】
請求項6に記載のロボットハンドを備えたことを特徴とするロボット。
【請求項1】
圧電体層と前記圧電体層に駆動電圧を印加可能な電極とを含む圧電素子と、前記圧電素子と積層される短辺と長辺とを有する長方形の板材であり、かつ長辺方向の一方の端部から平面方向に突出する突出部を有する振動板と、前記突出部に当接されるローターと、を備える圧電アクチュエーターであって、
前記突出部は前記振動板の略中心を通り前記長辺方向に延在する第1の中心線からオフセットされた位置に配置されており、前記振動板は、前記突出部が配置された位置の略対角位置にカウンターウェイトを備えていることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記突出部は前記振動板の前記第1の中心線と略平行な第2の中心線を有し、前記ローターの回転軸の中心は前記第2の中心線上に位置していることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項3】
請求項2に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記圧電素子は単板であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記突出部の前記長辺方向の寸法は、前記カウンターウェイトの前記長辺方向の寸法よりも小さいことを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項5】
請求項4に記載の圧電アクチュエーターであって、
前記振動板の長辺寸法と前記振動板の短辺寸法との比は略7対2であることを特徴とする圧電アクチュエーター。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエーターを備えたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項7】
請求項6に記載のロボットハンドを備えたことを特徴とするロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−210053(P2012−210053A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73560(P2011−73560)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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