説明

圧電デバイス

【課題】支持部材の上面における省スペース化を図ることが可能な圧電デバイスを提供する。
【解決手段】圧電デバイス1は、ベース基板5と、ベース基板5上に実装され、下面(機能面19a)に機能部7aを有する圧電素子7と、ベース基板5及び圧電素子7間に、機能部7aを囲むように位置してベース基板5及び圧電素子7を接続する複数のバンプ9と、複数のバンプ9の少なくとも一部(本実施形態では全部)についてバンプ9同士を結びつつ機能部7aを囲むようにベース基板5の上面11aと圧電素子7の下面との間に設けられる壁部10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を含む圧電デバイスに関する。圧電素子は、圧電体を利用した素子であり、例えば、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)素子、圧電薄膜共振器、弾性境界波素子(広義のSAW素子に含まれる)である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、支持部材(ベース基板)と、該支持部材の上面にフェースダウン実装された圧電素子(圧電体基板及びIDT(InterDigital transducer))と、該圧電素子に被せられるシートと、該シートの上から圧電素子を覆う封止材とを有する圧電デバイスが開示されている。
【0003】
当該圧電デバイスにおいて、支持部材の上面に対向する圧電素子の下面は弾性表面波(SAW;Surface Acoustic Wave)が伝搬する機能面となっている。また、当該機能面と支持部材の上面との間にはバンプが介在することにより間隙が形成されている。シートは、圧電素子の上面及び側面から支持部材の上面に亘っており、当該間隙を塞いでいる。また、封止材は、シートによって圧電素子の機能面と支持部材の上面との間隙に流れこむことが防止されつつ、間隙の外周、圧電素子の側面及び上面を覆っている。このように、シート及び封止材によって圧電素子の機能面は密閉されて保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−4139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、封止材が圧電素子の側面を覆っている。換言すれば、封止材が圧電素子の周囲において支持部材の上面に設けられている。従って、支持部材の上面に封止材を配置するスペースが必要であり、例えば、圧電デバイスの小型化が困難になっていた。
【0006】
本発明の目的は、支持部材の上面における省スペース化を図ることが可能な圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る圧電デバイスは、支持部材と、前記支持部材上に実装され、下面に機能部を有する圧電素子と、前記支持部材及び前記圧電素子間に、前記機能部を囲むように位置して前記支持部材及び前記圧電素子を接続する複数のバンプと、前記複数のバンプの少なくとも一部についてバンプ同士を結びつつ前記機能部を囲むように前記支持部材の上面と前記圧電素子の下面との間に設けられる壁部と、を備える。
【0008】
好適には、前記壁部によって結ばれるバンプは、基準電位が付与されるバンプと、前記基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプとを含み、前記壁部は絶縁性を有している。
【0009】
好適には、前記壁部によって結ばれるバンプは、基準電位が付与されるバンプと、前記基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプとを含み、前記壁部は、前記バンプ間を絶縁する異方性の導電性を有する。
【0010】
好適には、前記壁部によって結ばれるバンプは、基準電位が付与されるバンプを含み、前記基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプは含まず、前記壁部は導電性を有する。
【0011】
好適には、前記複数のバンプは、前記機能部を囲むように混在して配列された前記基準電位が付与されるバンプ及び前記変動する電位が付与されるバンプを含み、前記壁部は、前記複数のバンプの配列の経路をショートカットする経路で前記変動する電位が付与されるバンプを飛ばしてバンプ同士を結び、前記変動する電位が付与されるバンプを当該壁部の外側に位置させている。
【0012】
好適には、前記壁部によって結ばれるバンプの少なくとも一部は、前記壁部及び当該壁部によって結ばれるバンプの前記機能部を囲むラインに沿って長く形成されている。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、支持部材の上面における省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの外観を示す上面側及び下面側から見た斜視図。
【図2】図1の圧電デバイスを分解するとともに一部を破断して示す斜視図。
【図3】図3(a)は、図1(a)のIIIa−IIIa線における断面図、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における断面図。
【図4】図4(a)〜図4(d)は、図1の圧電デバイスの製造方法を説明する断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る圧電デバイスを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る圧電デバイスについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイス1の外観を示す上面側から見た斜視図であり、図1(b)は、圧電デバイス1の外観を示す下面側から見た斜視図である。
【0017】
なお、圧電デバイス1は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいものであるが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面若しくは下面の語を用いるものとする。
【0018】
圧電デバイス1は、例えば、概ね直方体状に形成されており、その下面には、複数の外部端子3が適宜な形状及び適宜な数で露出している。圧電デバイス1の大きさは適宜な大きさとされてよいが、例えば、1辺の長さが1mm〜数mmである。
【0019】
圧電デバイス1は、不図示の実装基板に対して下面を対向させて配置され、実装基板に設けられたパッドと複数の外部端子3とがはんだバンプ等を介して接合されることにより実装基板に実装される。そして、圧電デバイス1は、例えば、複数の外部端子3のいずれかを介して信号が入力され、入力された信号に所定の処理を施して複数の外部端子3のいずれかから出力する。
【0020】
図2は、圧電デバイス1を分解するとともに一部を破断して示す斜視図である。図3(a)は、図1(a)のIIIa−IIIa線における断面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における断面図である。
【0021】
圧電デバイス1は、ベース基板5と、当該ベース基板5上に実装された圧電素子7と、これらの間に介在する複数のバンプ9及び壁部10とを有している。
【0022】
ベース基板5は、例えば、リジッド式のプリント配線板によって構成されており、絶縁基体11と、絶縁基体11の上面11aに形成された上面導電層13A(図3(a))と、絶縁基体11の内部に上面11aに平行に形成された内部導電層13B(図3(a))と、絶縁基体11の全部又は一部を上下方向に貫通するビア導体15(図3(a))と、絶縁基体11の下面11bに形成された既述の外部端子3とを有している。なお、ベース基板5は、内部導電層13Bが設けられないものであってもよい。
【0023】
絶縁基体11は、例えば、概ね直方体状に形成されており、上面11a、下面11b及び4つの側面11cを有している。また、絶縁基体11は、例えば、樹脂、セラミック及び/又はアモルファス状態の無機材料を含んで形成されている。絶縁基体11は、単一の材料からなるものであってもよいし、基材に樹脂を含浸させた基板のように複合材料からなるものであってもよい。
【0024】
上面導電層13Aは、圧電素子7をベース基板5に実装するための基板パッド17(図3(a))を含んでいる。ビア導体15及び内部導電層13Bは、基板パッド17と外部端子3とを接続する配線を含んでいる。なお、上面導電層13A、内部導電層13B及びビア導体15は、インダクタ、コンデンサ若しくは適宜な処理を実行する回路を含んでいてもよい。上面導電層13A、内部導電層13B、ビア導体15及び外部端子3は、例えば、Cu等の金属により構成されている。
【0025】
圧電素子7は、例えば、SAW素子であり、圧電基板19と、圧電基板19の機能面19aに設けられた励振電極21と、機能面19aに設けられ、ベース基板5に接続される素子パッド25(図3(a))とを有している。なお、圧電素子7は、この他、励振電極21を覆う保護層、裏面19bを覆う電極等の適宜な部材を有していてよい。
【0026】
圧電基板19は、例えば、概ね直方体状に形成されており、機能面19a、その背面となる裏面19b及び4つの側面19cを有している。圧電基板19の平面視における形状及び大きさは、例えば、ベース基板5の平面視における形状及び大きさと同様である。そして、圧電基板19の側面19cとベース基板5の側面11cとは面一になっている。また、圧電基板19は、例えば、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する単結晶の基板により構成されている。
【0027】
励振電極21は、いわゆるIDT(InterDigital transducer)であり、一対の櫛歯電極23を含んでいる。各櫛歯電極23は、バスバー23aと、バスバー23aから延びる複数の電極指23bとを有しており、一対の櫛歯電極23は、互いに噛み合うように(複数の電極指23bが互いに交差するように)配置されている。なお、図2等は模式図であることから、複数本の電極指23bを有する櫛歯電極23が1対のみ図示されているが、実際には、これよりも多くの電極指23bを有する複数対の櫛歯電極23が設けられていてよい。励振電極21は、例えば、SAWフィルタ、SAW共振器及び/又はデュプレクサ等を構成している。
【0028】
励振電極21に信号が入力されると、当該信号はSAWに変換されて機能面19aを電極指23bに直交する方向(x方向)に伝搬し、再度信号に変換されて励振電極21から出力される。その過程において、信号はフィルタリング等がなされる。
【0029】
なお、機能面19aのうち励振電極21が配置される領域及び励振電極21は、圧電素子7の機能部7aを構成している。
【0030】
素子パッド25は、機能面19aに形成された不図示の配線を介して励振電極21に接続されている。励振電極21は、素子パッド25を介して信号が入力され、素子パッド25を介して信号を出力する。
【0031】
なお、励振電極21、素子パッド25及びこれらを接続する不図示の配線は、例えば、Al−Cu合金等の適宜な金属により構成されている。これらは、同一材料により形成されていてもよいし、互いに異なる材料により形成されていてもよい。
【0032】
バンプ9は、素子パッド25と基板パッド17との間に介在して、これらパッドを接合している。バンプ9は、はんだにより構成されている。はんだは、Pb−Sn合金はんだ等の鉛を用いたはんだであってもよいし、Au−Sn合金はんだ、Au−Ge合金はんだ、Sn−Ag合金はんだ、Sn−Cu合金はんだ等の鉛フリーはんだであってもよい。なお、バンプ9は、導電性接着剤によって形成されていてもよい。
【0033】
素子パッド25と基板パッド17との間にバンプ9が介在していることにより、絶縁基体11の上面11aと、圧電基板19の機能面19aとの間には間隙(振動空間S)が形成されている。これにより、機能面19aの振動(SAWの伝搬)が容易化されている。
【0034】
複数のバンプ9(素子パッド25、基板パッド17)には、基準電位が付与されるバンプ9(以下、「GNDバンプ9G」ということがある。)と、基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプ9(以下、「信号バンプ9S」ということがある。)とが含まれている。GNDバンプ9G及び信号バンプ9Sの数は、機能部7aの構成等に応じて適宜に設定されている。
【0035】
なお、複数のバンプ9には、基準電位及び変動電位のいずれも付与されず、電気的に浮遊状態となっているバンプ9が含まれていてもよい。当該浮遊状態のバンプ9は、対応する素子パッド25及び/又は基板パッド17が設けられていなくてもよい。
【0036】
また、複数のバンプ9は、機能面19aの平面視において機能部7a(励振電極21)を囲むように配列されている。その配列によって構成される形状は適宜に設定されてよい。本実施形態では、複数のバンプ9は、矩形のベース基板5及び圧電素子7の外周に沿って配列されることによって、矩形を形成している。なお、配列のピッチは一定であってもよいし、変化してもよい。また、本実施形態においては、GNDバンプ9G及び信号バンプ9Sは、配列中のいずれの位置に配置されてもよい。
【0037】
壁部10は、複数のバンプ9を結びつつ機能部7aを囲むように設けられている。より具体的には、壁部10は、全てのバンプ9について、隣接するバンプ9同士を結ぶことにより、全てのバンプ9の配列と同様の形状に延びている。また、壁部10は、バンプ9と同様に、ベース基板5の上面11aと圧電素子7の機能面19aとの間に介在するとともにこれらに接合されている。従って、機能部7a(振動空間S)は、壁部10及びバンプ9によって密閉されている。
【0038】
壁部10の外側面10cは、例えば、ベース基板5の側面11c及び圧電素子7の側面19cと面一となっている。また、壁部10の内側面10dは、例えば、概ね、バンプ9の位置において内側に膨らむように波打っている。
【0039】
壁部10は、例えば、絶縁材料により形成されている。絶縁材料は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂である。当該樹脂には、当該樹脂よりも熱膨張係数が低い材料により形成された絶縁性粒子からなるフィラーが混入されていてもよい。絶縁性粒子の材料は、例えば、シリカ、アルミナ、フェノール、ポリエチレン、グラスファイバー、グラファイトである。
【0040】
又は、壁部10は、異方性の導電性材料により形成されている。例えば、壁部10は、金属等により形成された導電性フィラーを含む絶縁性の樹脂によって構成されており、上下方向においては導電性フィラーが素子パッド25及び基板パッド17に当接することによって導電性を示し、バンプ9間の方向においては、導電性フィラー同士が離間していることによって絶縁性を示す。若しくは、壁部10は、導電性高分子によって構成され、上下方向においては導電性を示し、バンプ9間の方向においては絶縁性を示してもよい。
【0041】
なお、圧電デバイス1の上面は圧電素子7の裏面19bによって構成され、圧電デバイス1の下面はベース基板5の下面11bによって構成され、圧電デバイス1の側面は、圧電素子7の側面19c、ベース基板5の側面11c及び壁部10の外側面10cによって構成されている。
【0042】
図4(a)〜図4(d)は、圧電デバイス1の製造方法を説明する、図3(a)に相当する断面図である。
【0043】
まず、図4(a)に示すように、ベース基板5を用意する。ベース基板5は、一般的な多層基板と同様に作製されてよい。
【0044】
次に、図4(b)に示すように、ベース基板5の基板パッド17上にバンプ9を形成する。バンプ9の形成も、一般的なバンプと同様に形成されてよく、例えば、蒸着法、めっき法若しくは印刷法により行われる。
【0045】
次に、図4(c)に示すように、壁部10となる液状の材料31(例えば未硬化の樹脂材料)をバンプ9間に供給する。材料31の供給は、例えば、印刷法若しくはディスペンサー法により行われる。なお、材料31は、ある程度の粘性を有していることが好ましい。
【0046】
ここで、材料31は、表面張力(毛細管力)によって、バンプ9間への流れ込みが促進されるとともにバンプ9間に保持される。従って、好適にバンプ9間の隙間が塞がれるとともに、複数のバンプ9によって囲まれる領域(機能部7aと重なる領域)への材料31の浸入は抑制される。また、材料31がバンプ9を濡らそうとする力によって壁部10の内側面10dは波打つような形状となる。
【0047】
次に、図4(d)に示すように、ベース基板5の上面11aに対して圧電素子7の機能面19aを対向させて配置する。そして、これらをリフロー炉に通すことなどによりバンプ9を溶融させ、基板パッド17と素子パッド25とを接合する。この際、例えば、材料31が熱硬化性樹脂であれば、熱によって硬化し、壁部10となる。
【0048】
なお、これらの工程は、図示したように個片化されたベース基板5及び圧電素子7において行われてもよいし、ベース基板5及び圧電素子7の少なくとも一方が母基板(個片が多数個取りされる母基板)の状態において行われてもよい。バンプ9及び材料31は、ベース基板5に代えて、圧電素子7に形成されてもよい。壁部10の外側面10cは、例えば、ベース基板5等の母基板のダイシングおいてベース基板5等と面一とされたり、適宜な処理によって面一とされてよい。
【0049】
以上のとおり、本実施形態では、圧電デバイス1は、ベース基板5と、ベース基板5上に実装され、下面(機能面19a)に機能部7aを有する圧電素子7と、ベース基板5及び圧電素子7間に、機能部7aを囲むように位置してベース基板5及び圧電素子7を接続する複数のバンプ9と、複数のバンプ9の少なくとも一部(本実施形態では全部)についてバンプ9同士を結びつつ機能部7aを囲むようにベース基板5の上面11aと圧電素子7の下面との間に設けられる壁部10と、を備える。
【0050】
従って、ベース基板5と圧電素子7との間に介在する壁部10によって機能部7aが封止されることなり、ベース基板5の上面11aに封止材を配置するためのスペースは不要である。さらに、壁部10は、バンプ9同士を結ぶように延びていることから、バンプ9が機能部7aの封止に兼用され、圧電デバイス1の小型化が図られる。例えば、複数のバンプ9とは離間して、複数のバンプ9の内側若しくは外側に、機能部7aを囲むはんだリングを形成した場合に比較して、圧電デバイス1の小型化が図られる。また、製造方法に着目すると、バンプ9間の毛細管力を利用して液状の材料31を壁部10が形成されるべき位置に保持することができるから、生産設備に要求される加工精度を緩やかにしたり、歩留まりが向上したりすることが期待される。
【0051】
また、圧電デバイス1では、壁部10によって結ばれるバンプ9は、基準電位が付与されるGNDバンプ9Gと、基準電位に対して変動する電位が付与される信号バンプ9Sとを含み、壁部10は絶縁性を有している。
【0052】
従って、壁部10は、GNDバンプ9Gと信号バンプ9Sとの間の絶縁性を向上させることにも寄与する。また、壁部10は、機能部7aを囲む全てのバンプ9を結ぶことが可能であるから、後述する実施形態に比較して、壁部10の配置位置と複数のバンプ9の配置位置とを最大限重複させて、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
【0053】
又は、圧電デバイス1では、壁部10によって結ばれるバンプ9は、基準電位が付与されるGNDバンプ9Gと、基準電位に対して変動する電位が付与される信号バンプ9Sとを含み、壁部10は、バンプ9間を絶縁する異方性の導電性を有する。
【0054】
この場合、上述した壁部10が絶縁性を有している場合の効果に加えて、壁部10を電磁シールドとして機能させることができる。その結果、圧電デバイス1の電気特性が向上する。
【0055】
なお、以上の実施形態において、ベース基板5又は絶縁基体11は、本発明の支持部材の一例である。
【0056】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイス201を示す、図3(b)に相当する断面図である。
【0057】
圧電デバイス201は、GNDバンプ9G及び信号バンプ9Sの配置及び壁部210の材料及び位置が第1の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0058】
複数のバンプ9は、第1の実施形態と同様に、矩形の圧電デバイス1の外周に沿って配列されて矩形を構成している。ただし、信号バンプ9Sは、その4隅の少なくともいずれか(本実施形態では4隅全て)に配置されており、残りのバンプ9はGNDバンプ9Gとなっている。
【0059】
そして、壁部210は、信号バンプ9Sを避けるようにしてGNDバンプ9Gのみを結ぶように延びている。具体的には、壁部210は、複数のバンプ9の配列の経路をショートカットする経路で信号バンプ9Sを飛ばしてGNDバンプ9G同士を結び、信号バンプ9Sを当該壁部210の外側に位置させている。
【0060】
壁部210の材料は、例えば、導電性を有する材料とされている。例えば、導電性フィラーが種々の方向において互いに当接する程度に十分に含まれた樹脂材料若しくは金属材料とされている。
【0061】
本実施形態においても、圧電デバイス201は、第1の実施形態と同様に、複数のバンプ9の少なくとも一部(本実施形態では一部)についてバンプ9同士を結びつつ機能部7aを囲むようにベース基板5の上面11aと圧電素子7の下面(機能面19a)との間に設けられる壁部210を備えることから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、ベース基板5の上面11aの省スペース化等の効果が奏される。
【0062】
また、壁部210は、導電性を有していることから、電磁シールドとして機能する。その結果、圧電デバイス1の電気特性が向上する。さらに、複数のバンプ9は、機能部7aを囲むように配列されており、壁部210が複数のバンプ9の配列の経路をショートカットする経路で信号バンプ9Sを飛ばしてGNDバンプ9G同士を結ぶことによって、信号バンプ9Sを当該壁部210の外側に位置させていることから、複数のバンプ9の内側若しくは外側にはんだリングを形成する場合に比較して小型化が図られる。
【0063】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイス301を示す、図3(b)に相当する断面図である。
【0064】
圧電デバイス301は、GNDバンプ309Gの形状が第2の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
【0065】
信号バンプ9Sの配置位置は、第2の実施形態と同様であり、また、信号バンプ9S及びGNDバンプ309は、第2の実施形態と同様に、機能部7aを囲むように配列されている。
【0066】
ただし、GNDバンプ309Gは、第2の実施形態の2又は3つのGNDバンプ9Gを繋げたような形状となっている。すなわち、GNDバンプ309は、壁部310及び当該壁部310によって結ばれるバンプの機能部7aを囲むラインに沿って長く形成されている。
【0067】
壁部310は、第2の実施形態と同様に、複数の信号バンプ9S及びGNDバンプ309の配列の経路をショートカットする経路で信号バンプ9Sを飛ばしてGNDバンプ9G同士を結び、信号バンプ9Sを当該壁部210の外側に位置させている。ただし、GNDバンプ309の形状が第2の実施形態と異なることから、壁部310の具体的な形状は第2の実施形態と異なっている。
【0068】
本実施形態においても、圧電デバイス301は、第1の実施形態と同様に、複数のバンプの少なくとも一部(本実施形態では一部)についてバンプ同士を結びつつ機能部7aを囲むようにベース基板5の上面11aと圧電素子7の下面(機能面19a)との間に設けられる壁部210を備えることから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、ベース基板5の上面の省スペース化等の効果が奏される。また、第2の実施形態と同様に、壁部310による電磁シールド効果やはんだリングを設ける場合に比較した小型化の効果が奏される。
【0069】
(第4の実施形態)
図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る圧電デバイス401を示す、図3図3(a)及び図3(b)に相当する断面図である。
【0070】
圧電デバイス401の圧電素子407は、一の圧電基板19において2つの機能部7aを有している。また、2つの機能部7aに対応して壁部410によって形成される振動空間Sも2つ設けられている。なお、2つの振動空間Sの間においては、各振動空間Sを囲む壁部410及び当該壁部410と接合されるGNDバンプ309Gが共通化されている。
【0071】
このように、圧電デバイスにおいては、適宜な数の機能部7aが設けられてよく、これに対応して壁部410が設けられてもよい。なお、一の壁部によって2つの機能部7aを囲むことも可能である。
【0072】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0073】
上述の実施形態の種々の特徴は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第3の実施形態のGNDバンプ309Gの形状は、第1の実施形態に適用されてもよいし、信号バンプに適用されてもよい。また、第4の実施形態のような複数の機能部7aを設ける特徴は、第1又は第2の実施形態に適用されてもよい。
【0074】
圧電素子は、SAW素子に限定されず、圧電薄膜共振器や弾性境界波素子であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…圧電デバイス、5…ベース基板(支持部材)、7…圧電素子、7a…機能部、9…バンプ、10…壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材上に実装され、下面に機能部を有する圧電素子と、
前記支持部材及び前記圧電素子間に、前記機能部を囲むように位置して前記支持部材及び前記圧電素子を接続する複数のバンプと、
前記複数のバンプの少なくとも一部についてバンプ同士を結びつつ前記機能部を囲むように前記支持部材の上面と前記圧電素子の下面との間に設けられる壁部と、
を備えた圧電デバイス。
【請求項2】
前記壁部によって結ばれるバンプは、基準電位が付与されるバンプと、前記基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプとを含み、
前記壁部は絶縁性を有している
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記壁部によって結ばれるバンプは、基準電位が付与されるバンプと、前記基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプとを含み、
前記壁部は、前記バンプ間を絶縁する異方性の導電性を有する
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記壁部によって結ばれるバンプは、基準電位が付与されるバンプを含み、前記基準電位に対して変動する電位が付与されるバンプは含まず、
前記壁部は導電性を有する
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記複数のバンプは、前記機能部を囲むように混在して配列された前記基準電位が付与されるバンプ及び前記変動する電位が付与されるバンプを含み、
前記壁部は、前記複数のバンプの配列の経路をショートカットする経路で前記変動する電位が付与されるバンプを飛ばしてバンプ同士を結び、前記変動する電位が付与されるバンプを当該壁部の外側に位置させている
請求項4に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記壁部によって結ばれるバンプの少なくとも一部は、前記壁部及び当該壁部によって結ばれるバンプの前記機能部を囲むラインに沿って長く形成されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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