説明

圧電型アクチュエータ及びその製造方法

【課題】所望の領域のみに精度よく圧電体及び電極を形成できる圧電型アクチュエータの製造方法、該圧電型アクチュエータの製造方法で製造される圧電型アクチュエータ、並びに各装置を提供する。
【解決手段】基板上に圧電体素子を形成する圧電型アクチュエータの製造方法として、シリコン基板51に設けられた共通電極4表面の圧電体素子形成領域5aを囲む凹部5を有する隔壁層3を設ける工程と、前記凹部5に圧電体材料を含む圧電体ゾルゲル液7aをインクジェット法により塗布して圧電体7を形成する工程と、前記凹部5の前記圧電体7上に電極材料を含む液体をインクジェット法により塗布して対向電極を形成する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を用いた圧電型アクチュエータの製造方法と、該製造方法により製造されてなる圧電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、インクジェット記録装置などの画像形成装置、液体の微小流量を搬送、移送に用いるマイクロポンプ及びプロジェクタに用いる光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタやファクシミリ装置、複写装置、プロッタ等の画像記録装置あるいは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(吐出室、圧力室、インク流路とも称される)と、この液室内のインクを加圧するエネルギーを発生するアクチュエータ手段を備え、アクチュエータ手段で発生するエネルギーによって液室内の記録液に圧力を作用させてノズルから液滴を吐出させる。
【0003】
液滴吐出ヘッドとしては、電気機械変換素子などの圧電型アクチュエータを用いたもの、電極間の静電力を利用する静電型アクチュエータを用いるものがあり、この中でも圧電型アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドは、高速化、高密度化、液滴粘度への対応性において、他の方式の液滴吐出ヘッドに比べ優位であることから、現在開発が盛んに行われている。
【0004】
この圧電型アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドにおいては、圧電素子の寸法(特に短辺長、厚さ)精度が液滴吐出特性に大きく影響を及ぼし、特にインクジェットヘッドの場合、各アクチュエータの特性のバラツキが大きければ、印字精度、画質の再現性が著しく低下することとなる。また、更なる画素の高密度化に伴い、圧電素子の寸法精度も益々高い精度が求められている。
【0005】
従来のインクジェットヘッドとしては、例えば特許文献1〜3に記載されるように、基板に成膜される圧電素子の寸法精度を向上させる為にAD(エアロゾルデポジション)法、ゾルゲル法を用いて、かつ成膜領域を凹部にして、成膜後パターニングするもの(特許文献1)、予め非成膜領域をマスクしてから圧電素子材料を成膜、その後マスク材を除去する方法(特許文献2)、圧電素子材料を成膜する基板上に圧電体素子材料を成膜する成膜許容領域と、成膜を阻害する成膜阻害領域を設ける方法(特許文献3)により、圧電体素子の寸法バラツキを抑制することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている圧電型アクチュエータの製造方法では、圧電体素子材料を成膜する領域(基板)に凹部を形成し、圧電体材料を成膜後さらにパターニングする為、パターニング時の加工寸法誤差(バラツキ)が大きくなる。また、パターニング工程として前記凹部形成と圧電体素子材料のパターニングの2つが必要となり、工程増加に伴うコストアップと歩留まりへの影響が懸念される。
【0007】
また、特許文献2に記載されている圧電型アクチュエータの製造方法では、圧電体材料を基板上に選択的に形成する為に予め圧電体を形成しない領域にレジストパターンを形成しておき、その後AD法で圧電体材料を成膜した後にレジストパターンを除去し、所望の領域のみに圧電体材料を成膜する。しかし、この方法では、レジストパターン上にも高いエネルギーを有する圧電体材料が吹き付けられ堆積、結晶化する可能性があるので、レジストを除去するときに残渣として基板表面に残存したり、圧電体材料を分断したりすることになり、基板上の圧電体材料に欠けやクラックを生じたりする恐れがあった。
【0008】
また、特許文献3に記載されている圧電型アクチュエータに製造方法では、圧電体材料を基板上にAD法で成膜する前に予め圧電体材料の成膜許容領域と阻害領域を表面硬度の異なる材料で形成している。この方法では、表面材料、及びその組合せが限定されること、AD法の機構から考えて阻害領域にも圧電材料は少なからず成膜されてしまう為、阻害領域に成膜された圧電材料を結局は除去する工程を追加する必要があり、製造コスト、歩留まりに影響を及ぼす可能性がある。また、阻害領域に堆積した圧電材料は、アニール時に剥がれることもあり、剥がれたものが異物として基板上に残存すると製品歩留まりの低下を招くこともある。
【0009】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、予め圧電体材料を成膜する領域を隔壁で囲んで凹部として形成し、液滴吐出(インクジェット)法を適用することにより、所望の領域のみに精度よく圧電体及び電極を形成できる圧電型アクチュエータの製造方法、該圧電型アクチュエータの製造方法で製造される圧電型アクチュエータを提供することを目的とする。また、前記圧電型アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッド、この液滴吐出ヘッドを一体化した液体カートリッジ、この液滴吐出ヘッド又は液体カートリッジを搭載した画像形成装置、及び前記圧電型アクチュエータを用いたマイクロポンプ、光学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 基板(アクチュエータ基板1)上に圧電体素子(圧電体素子9)を形成する圧電型アクチュエータの製造方法において、前記基板に設けられた電極層(共通電極4)表面の所定領域(圧電体素子形成領域5a)を囲む凹部(凹部5)を有する隔壁層(隔壁層3)を設ける工程(図1(b))と、前記凹部に圧電体材料を含む液体(圧電体ゾルゲル液7a)をインクジェット法により塗布して圧電体(圧電体7)を形成する工程(図1(c))と、前記凹部の前記圧電体上に電極材料を含む液体(個別電極ゾルゲル液8a)をインクジェット法により塗布して対向電極(個別電極8)を形成する工程(図2(d))と、を備えることを特徴する圧電型アクチュエータの製造方法(図1〜図5)。
〔2〕 前記対向電極を形成した後に、前記隔壁層を除去する工程を備えることを特徴する前記〔1〕に記載の圧電型アクチュエータの製造方法(図2(e))。
〔3〕 前記隔壁層の仕切り幅を0.03〜0.10μmとすることを特徴とする前記〔1〕に記載の圧電型アクチュエータの製造方法(図4(b))。
〔4〕 前記隔壁層を無機材料からなるものとすることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
〔5〕 前記隔壁層を耐湿性材料からなるものとすることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
〔6〕 前記隔壁層をシリコン窒化物からなるものとすることを特徴とする前記〔5〕に記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
〔7〕 前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の圧電型アクチュエータの製造方法により製造されてなることを特徴とする圧電型アクチュエータ(図6,図7)。
〔8〕 前記〔7〕に記載の圧電型アクチュエータを備えることを特徴とする液滴吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド1000、図6,図7)。
〔9〕 前記〔8〕に記載の液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドに記録液を供給する液体タンクと、を備えることを特徴とする液体カートリッジ(インクカートリッジ80、図8)。
〔10〕 前記〔8〕に記載の液滴吐出ヘッドまたは前記〔9〕に記載の液体カートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置(インクジェット記録装置90、図9,図10)。
〔11〕 前記〔7〕に記載の圧電型アクチュエータを備え、該圧電型アクチュエータにより液体を輸送することを特徴とするマイクロポンプ(マイクロポンプ200、図11)。
〔12〕 前記〔7〕に記載の圧電型アクチュエータを備え、該圧電型アクチュエータにより光の反射方向を変化させることを特徴とする光学デバイス(光学デバイス210,220、図12,図13)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧電型アクチュエータの製造方法によれば、予め形成した隔壁材料で囲まれた凹部の領域のみに、液滴吐出(インクジェット)法で圧電体材料を含む液体と、電極材料を含む液体を塗布することにより、精度良く、かつ再現性良く確実に所望の圧電素子(圧電体)及びその上層の対向電極を形成することができる。また、圧電体、電極層のリソエッチ(リソグラフィエッチング)等によるパターニングが不要である為、量産性と歩留まりを向上でき、圧電型アクチュエータの特性ばらつきを低減することができる。さらに、圧電型アクチュエータの製造コストを低減することもできる。また、圧電体素子形成領域である所定領域を囲む隔壁層を耐湿性に優れた材料からなるものとし、圧電体素子を形成した後にも残存させることにより、動作環境下での圧電体素子の吸湿による特性劣化を防止することができるため、耐久性、信頼性の高い圧電型アクチュエータを得ることができる。
また、本発明の液滴吐出ヘッドによれば、本発明の圧電型アクチュエータの製造方法で製造された圧電型アクチュエータを備えるので、液滴吐出のバラツキを低減して信頼性を向上させることができる。
さらに、本発明の液体カートリッジによれば、本発明の圧電型アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドに液体を供給する液体タンクを一体化することにより、量産性と歩留まりを向上でき、製造コストを低減することができる。
また、本発明の画像形成装置によれば、本発明の液滴吐出ヘッド又は液体カートリッジを備えているので、該液滴吐出ヘッドのノズル孔からインク滴を吐出させて画像を記録する際に、インク滴を安定して吐出するから、良質な画像を安定して形成するとともに製造不良が減少して低コスト化を図ることができる。
また、本発明のマイクロポンプによれば、本発明の圧電型アクチュエータの圧電素子で振動板を変形させて液体を輸送することにより、小型で低消費電力のマイクロポンプを実現することができる。
さらに、本発明の光学デバイスによれば、本発明の圧電型アクチュエータの振動板の表面に反射面を形成し、振動板を圧電体素子で変形させて入射光を散乱させることにより、小型で低消費電力の光学デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第1の実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造工程(1)を示す断面図である。
【図2】本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第1の実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造工程(2)を示す断面図である。
【図3】本発明に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第2の実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造工程(1)を示す断面図である。
【図5】本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第2の実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造工程(2)を示す断面図である。
【図6】本発明に係る液滴吐出ヘッドの構成を示す斜視図である。
【図7】図6の液滴吐出ヘッドにおける液室短辺方向の断面図である。
【図8】本発明に係る液体カートリッジの外観図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置であるインクジェット記録装置の外観図である。
【図10】図9のインクジェット記録装置の機構部の構成を示す断面図である。
【図11】本発明に係るマイクロポンプの構成を示す断面図である。
【図12】本発明に係る光学デバイスの構成を示す断面図である。
【図13】本発明に係る光学デバイスの別の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法について説明する。
図1,図2は、本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第1の実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造工程を示す断面図である。以下、図1,図2を参照しながら、本発明に係る圧電型アクチュエータ及び液滴吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0014】
(S11) シリコン基板51(例えば、板厚400μm)と、該シリコン基板51上に設けられた埋め込みシリコン酸化膜11(厚さ500nm)と、活性シリコン層12(厚さ2μm)とからなるSOI基板50を用意し、活性シリコン層12の表面を一般的な熱酸化法により300nm厚のシリコン酸化膜2を形成する(図1(a))。これら埋め込みシリコン酸化膜11、活性シリコン層12、及びシリコン酸化膜2は、のちに振動板10として機能する。次に、TiとPtからなる共通電極4をスパッタ法で例えば各々厚さ30nmと100nmで成膜する。
(S12) 次に、共通電極4上に、隔壁層3となる絶縁体の無機材料の薄膜、好ましくは耐湿性のある絶縁性の無機材料の薄膜として、例えばプラズマCVD法により後の圧電体素子9の厚さ以上、例えば2μm以上となるようにシリコン窒化膜を形成する。ついで、リソエッチ(リソグラフィ及びエッチング)法により、圧電体素子形成領域に相当する部分の隔壁層3を除去して共通電極4を露出させる。これにより、共通電極4の所定領域(圧電体素子形成領域)5aを底部としてその周囲を絶縁体の無機材料で囲んでなる凹部5が隔壁層3に形成される(図1(b))。
(S13) 次に、インクジェットパターニング法(IJP法)にて、圧電体の材料を含んだ圧電体ゾルゲル液7aを凹部5の底部に選択的に塗布し、ついで焼成することにより圧電体薄膜を圧電体素子形成領域5a上に形成する。この塗布及び焼成のサイクルを複数回繰り返して、所望の厚さ(例えば1μm)の圧電体7を凹部5の底部、すなわち共通電極4の圧電体素子形成領域5a上のみに形成する(図1(c))。なお、隔壁層3に対する圧電体ゾルゲル液7aの濡れ性が低いほうが凹部5の底部である圧電体素子形成領域5aのみに圧電体7を形成しやすいので好ましい。
【0015】
(S14) 次に、IJP法にて、電極材料である金属粒子を含んだ個別電極ゾルゲル液8aを圧電体7上に塗布して、共通電極4に対向する電極である個別電極8を形成する(図2(d))。なお、個別電極ゾルゲル液8aで用いられる金属粒子は、金、銀、銅、チタン、白金など溶媒に分散させることができるものであればよい。
(S15) その後、隔壁層3を選択的に除去できる液を用いて除去する。例えばシリコン窒化膜であれば、一般的に知られている熱燐酸で除去する。隔壁層3を除去した後には、共通電極4,圧電体7,個別電極8からなる圧電体素子9が所望の箇所に且つ精度よく形成された構成となる(図2(e))。なお、圧電体素子9と振動板10からなるものを圧電型アクチュエータと称する。
(S16) 次に、後の圧力室21、共通インク供給口(不図示)、流体抵抗部(不図示)を形成するために、シリコン基板51を所望の厚さtになるように、公知の技術で研磨する。研磨法以外にもエッチングなどでもよい(図2(f))。
(S17) 次に、シリコン基板51をエッチングして、圧力室隔壁22で仕切られた圧力液室21、共通インク供給口(不図示)、流体抵抗部(不図示)からなるアクチュエータ基板1をリソエッチ法により形成する(図2(g))。特にエッチングでは、ICPエッチャーを適用することにより、高速にエッチングができ、かつ所望の形状で加工することができる。
(S18) 次に、図3に示すように、各圧力室21に対応する位置にノズル孔31を形成したノズル板30を接着剤でアクチュエータ基板1の圧電体素子9とは反対側の面に接合する。ここで、ノズル板30は、ステンレス、Ni材、樹脂材等従来から使用されている材料を用いる。このようにして、液滴吐出ヘッド1000を製造することができる(図2(h))。
【0016】
以上のように、各圧電体素子形成領域5aを予め隔壁材料で囲んだ凹部5を有する隔壁層3を形成することにより、IJP法で形成する圧電体7及び個別電極8を確実に形成したい領域に形成することができる。またこれにより、圧電型アクチュエータについて、前述したプロセス課題を解決しつつ、所望の特性が得られない等の不具合が防ぐことができ、さらに高精度で信頼性を確保するとともに製造歩留まりを向上させることができる。よって、従来技術では困難であった良好な生産性及び生産効率を有し、寸法制御に優れ、高精度、高密度、且つ高い信頼性を持った液滴吐出ヘッド1000を製造することができる。
【0017】
つぎに、本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第2の実施の形態について説明する。
図4,図5は、本発明に係る圧電型アクチュエータの製造方法の第2の実施の形態における液滴吐出ヘッドの製造工程を示す断面図である。以下、図4,図5を参照しながら、本発明に係る圧電型アクチュエータ及び液滴吐出ヘッドの製造工程について説明する。
(S21) 第1の実施の形態の場合と同様、シリコン基板51(例えば、板厚400μm)と、該シリコン基板51上に設けられた埋め込みシリコン酸化膜11(厚さ500nm)と、活性シリコン層12(厚さ2μm)とからなるSOI基板50を用意し、活性シリコン層12の表面を一般的な熱酸化法により300nm厚のシリコン酸化膜2を形成する(図4(a))。これら埋め込みシリコン酸化膜11、活性シリコン層12、及びシリコン酸化膜2は、のちに振動板10として機能する。次に、TiとPtからなる共通電極4をスパッタ法で例えば各々厚さ30nmと100nmで成膜する。
(S22) 次に、共通電極4上に、隔壁層3となる絶縁体の無機材料の薄膜、好ましくは耐湿性のある絶縁性の無機材料の薄膜として、例えばプラズマCVD法により後の圧電体素子9の厚さ以上、例えば2μm以上となるようにシリコン窒化膜を形成する。ついで、リソエッチ法により、圧電体素子形成領域に相当する部分の隔壁層3を除去して共通電極4を露出させる。これにより、共通電極4の所定領域(圧電体素子形成領域)5aを底部としてその周囲を絶縁体の無機材料で囲んでなる凹部5が隔壁層3に形成される。またこのとき、隔壁層3の仕切り幅を、プロセスに影響のない範囲で例えば0.03〜0.10μmの範囲で極力薄くしておく(図4(b))。
(S23) 次に、IJP法にて、圧電体の材料を含んだ圧電体ゾルゲル液7aを凹部5の底部に選択的に塗布し、ついで焼成することにより圧電体薄膜を圧電体素子形成領域5a上に形成する。この塗布及び焼成のサイクルを複数回繰り返して、所望の厚さ(例えば1μm)の圧電体7を凹部5の底部、すなわち共通電極4の圧電体素子形成領域5a上のみに形成する(図4(c))。なお、隔壁層3に対する圧電体ゾルゲル液7aの濡れ性が低いほうが凹部5の底部である圧電体素子形成領域5aのみに圧電体7を形成しやすいので好ましい。
【0018】
(S24) 次に、図2(c)と同様に、IJP法にて、電極材料である金属粒子を含んだ個別電極ゾルゲル液8aを圧電体7上に塗布して、共通電極4に対向する電極である個別電極8を形成する(図5(d))。なお、個別電極ゾルゲル液8aで用いられる金属粒子は、金、銀、銅、チタン、白金など溶媒に分散させることができるものであればよい。ここで、隔壁層3は除去せず圧電体素子9の一部として残す。これにより、共通電極4,圧電体7,個別電極8からなる圧電体素子9が所望の箇所に且つ精度よく形成された構成となる。なお、圧電体素子9と振動板10からなるものを圧電型アクチュエータと称する。
(S25) 次に、後の圧力室21、共通インク供給口(不図示)、流体抵抗部(不図示)を形成するために、シリコン基板51を所望の厚さtになるように、公知の技術で研磨する。研磨法以外にもエッチングなどでもよい(図5(e))。
(S26) 次に、シリコン基板51をエッチングして、圧力室隔壁22で仕切られた圧力液室21、共通インク供給口(不図示)、流体抵抗部(不図示)からなるアクチュエータ基板1をリソエッチ法により形成する(図5(f))。特にエッチングでは、ICPエッチャーを適用することにより、高速にエッチングができ、かつ所望の形状で加工することができる。
(S27) 次に、図3に示すように、各圧力室21に対応する位置にノズル孔31を形成したノズル板30を接着剤でアクチュエータ基板1の圧電体素子9とは反対側の面に接合する。ここで、ノズル板30は、ステンレス、Ni材、樹脂材等従来から使用されている材料を用いる。このようにして、液滴吐出ヘッド1000を製造することができる(図5(g))。
【0019】
以上のように、第1の実施の形態と同様に、各圧電体素子形成領域5aを予め隔壁材料で囲んだ凹部5を有する隔壁層3を形成することにより、IJP法で形成する圧電体7及び個別電極8を確実に形成したい領域に形成することができる。またこれにより、圧電型アクチュエータについて、前述したプロセス課題を解決しつつ、所望の特性が得られない等の不具合が防ぐことができ、さらに高精度で信頼性を確保するとともに製造歩留まりを向上させることができる。加えて、吸湿バリア層の機能を持つ隔壁層3を残すことにより、使用環境下における圧電体素子9の側壁からの水分の浸入を防ぐことができ、圧電体素子9の吸湿による経時的な機能劣化を防止でき、更なる高い耐久性と信頼性を確保することができる。よって、従来技術では困難であった良好な生産性及び生産効率を有し、寸法制御に優れ、高精度、高密度、且つ高い信頼性を持った液滴吐出ヘッド1000を製造することができる。
【0020】
つぎに、図6,図7を用いて、図1〜図5に示した本発明の製造方法により得られる圧電型アクチュエータ及び該圧電型アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドの構成について説明する。図6は本発明に係る圧電型アクチュエータを有する液滴吐出ヘッドの斜視図、図7は図6の液滴吐出ヘッドにおける液室短辺方向の断面図である。ここでは、第1の実施形態で示した液滴吐出ヘッド1000を図示している。
【0021】
図に示すように、液滴吐出ヘッド1000は、圧電体素子9及び振動板10からなる圧電型アクチュエータを用いてノズル板30の基板面部に設けたノズル孔31から液滴を吐出させるサイドシュータータイプのものである。詳しくは、液滴吐出ヘッド1000は、共通電極4,圧電体7,個別電極8からなる圧電体素子9と、埋め込みシリコン酸化膜11,活性シリコン層12、シリコン酸化膜2からなる振動板10と、圧力室隔壁22で仕切られた圧力室21,圧力室21に液体を供給する為の流体抵抗部42,共通液室43を有するアクチュエータ基板1と、液滴を吐出するノズル孔31を備えたノズル板30と、から構成されている。
【0022】
ここで、図6,図7に示すように、振動板10は、液室となる圧力室21の一部壁面を形成しており、振動板10における圧力室21とは反対面側に共通電極4,圧電体7,個別電極8からなる圧電体素子9が形成されている。また、共通液室43の振動板10には、共通インク供給口41が開口されており、ここから液滴であるインクを外部から供給できるようになっている。
【0023】
このように形成された液滴吐出ヘッド1000においては、各圧力室21内に液体、例えば記録液(インク)が満たされた状態で、図示しない制御部から画像データに基づいて、発振回路により、記録液の吐出を行いたいノズル孔31に対応する個別電極8に対して、20Vのパルス電圧を印加する。この電圧パルスを印加することにより、圧電体7は、電歪効果により圧電体7そのものが振動板10と平行方向に縮むことにより、振動板10が圧力室21方向に撓むことになる。これにより、圧力室21内の圧力が急激に上昇して、圧力室21に連通するノズル孔31から記録液が吐出されるようになる。次に、パルス電圧印加後は、縮んだ圧電体7が元に戻ることから撓んだ振動板10は、元の位置に戻るため、圧力室21内が共通液室43内に比べて負圧となり、共通液室43から流体抵抗部42を介して記録液が圧力室21に供給される。
以上の動作制御を繰り返すことにより、液滴吐出ヘッド1000は液滴を連続的に吐出でき、液滴吐出ヘッド1000に対向して配置した被記録媒体(用紙)に画像を形成することが可能となる。
【0024】
ところで、前述した本発明の液滴吐出ヘッドに対してインクなどの液体を供給する液体タンクを一体化して液体カートリッジとしてもよい。
図8に、その液体カートリッジであるインクカートリッジの外観図を示す。このインクカートリッジ80は、ノズル孔31等を有する前述した本発明に係る液滴吐出ヘッド1000と、この液滴吐出ヘッド1000に対してインクを供給する液体タンクであるインクタンク82とを一体化したものである。このようにインクタンク82が一体型の液滴吐出ヘッド1000の場合、アクチュエータ部を高精度化、高密度化、および高信頼化することで、インクカートリッジ80の歩留まりや信頼性を向上することができ、インクカートリッジ80の低コスト化を図ることができる。
【0025】
つぎに、本発明に係る画像形成装置について説明する。
本発明に係る画像形成装置は、液滴を吐出させて画像を形成する画像形成装置であって、前述した本発明の液滴吐出ヘッド又は本発明の一体型液滴吐出ヘッドユニットである液体カートリッジを備えていることを特徴とする。
ここでは、図9及び図10を用いて、本発明の液滴吐出ヘッド1000を搭載した画像形成装置であるインクジェット記録装置を実施例として説明する。なお、図9は同記録装置の斜視説明図、図10は同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0026】
このインクジェット記録装置は、記録装置本体の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ98、キャリッジ98に搭載した本発明の液滴吐出ヘッド(記録ヘッド)1000、液滴吐出ヘッド1000へインクを供給するインクカートリッジ99等で構成される印字機構部91等を収納し、装置本体の下方部には前方側から多数枚の用紙92を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)93を抜き差し自在に装着することができる。また、用紙92を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ94を有し、給紙カセット93あるいは手差しトレイ94から給送される用紙92を取り込み、印字機構部91によって所要の画像を記録した後、後面側の装着された排紙トレイ95に排紙する。
【0027】
印字機後部91は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド96と従ガイドロッド97とキャリッジ98を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ98には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッド1000を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ98には液滴吐出ヘッド1000に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ99を交換可能に装着している。
【0028】
インクカートリッジ99は、上方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出ヘッド1000へインクを供給する供給口が設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッド1000へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液滴吐出ヘッド1000としては各色の液滴吐出ヘッド1000を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液出ヘッドでもよい。
【0029】
ここで、キャリッジ98は後方側(用紙搬送下流側)を主ガイドロッド96に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送上流側)を従ガイドロッド97に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ98を主走査方向に移動走査するため、主走査モーター101で回転駆動される駆動プーリ102と従動プーリ103との間にタイミングベルト104を張装し、このタイミングベルト104をキャリッジ98に固定しており、主走査モーター101の正逆回転によりキャリッジ98が往復駆動される。
【0030】
一方、給紙カセット93にセットした用紙92を液滴吐出ヘッド1000に下方側に搬送するために、給紙カセット93から用紙92を分離給装する給紙ローラー105及びフリクションパッド106と、用紙92を案内するガイド部材107と、給紙された用紙92を反転させて搬送する搬送ローラー108と、この搬送ローラー108の周面に押し付けられる搬送コロ109及び搬送ローラー108からの用紙92の送り出し角度を規定する先端コロ110とを有する。搬送ローラー108は副走査モーターによってギア列を介して回転駆動される。
【0031】
そして、キャリッジ98の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラー108から送り出された用紙92を液滴吐出ヘッド1000の下方側で案内するため用紙ガイド部材である印写受け部材111を設けている。この印写受け部材111の用紙搬送方向下流側には、用紙92を排紙方向へ送り出すための回転駆動される搬送コロ112と拍車113を設け、さらに用紙92を排紙トレイ95に送り出す排紙ローラー114と拍車115と排紙経路を形成するガイド部材116,117とを配設している。
【0032】
このインクジェット記録装置90で記録時には、キャリッジ98を移動させながら画像信号に応じて液滴吐出ヘッド1000を駆動することにより、停止している用紙92にインクを吐出して1行分を記録し、その後、用紙92を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙92の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙92を排紙する。
【0033】
また、キャリッジ98の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド1000の吐出不良を回復するための回復装置118を配置している。回復装置118はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ98は印字待機中にはこの回復装置118側に移動されてキャップ手段で液滴吐出ヘッド1000をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係ないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出状態を維持する。
【0034】
また、吐出不良が発生した場合等には、キャップ手段で液滴吐出ヘッド1000の吐出出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともの気泡等を吸出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0035】
このように、このインクジェット記録装置90においては本発明で製造された液滴吐出ヘッド1000を搭載しているので、安定したインク吐出特性が得られ、画像品質が向上する。なお、ここではインクジェット記録装置90に液滴吐出ヘッド1000を使用した場合について説明したが、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する装置に液滴吐出ヘッド1000を適用してもよい。
【0036】
つぎに、本発明に係るマイクロポンプについて説明する。
本発明に係るマイクロポンプは、本発明の圧電型アクチュエータを備え、該圧電型アクチュエータにより液体を輸送することを特徴とするものである。
【0037】
図11は、本発明に係るマイクロポンプの構成を示す断面図である。
マイクロポンプ200は、2枚の基板206,207で挟まれて形成された流路203において一方の基板206に本発明の圧電型アクチュエータを設けたものであり、該圧電型アクチュエータの動作により流路203の中を流体を流す構造となっている。図11では、基板206上には、振動板202が流路203に面して設けられており、さらに振動板202において流路203とは反対側の面、すなわち振動板202と基板206の間に流路203の液体が流れる方向に複数の圧電体素子201が配列されている。
【0038】
ここで、圧電体素子201は、振動板202側から順番に、前述した共通電極4,圧電体7,個別電極8が積層されてなるものである。また、振動板202は、流路203側から順番に、前述した埋め込みシリコン酸化膜11、活性シリコン層12、シリコン酸化膜2が積層されてなるものである。
【0039】
マイクロポンプ200の動作制御に当たっては、流路203内に液体が満たされた状態で、まず図示しない制御部から発振回路により、ある圧電体素子201(例えば図中真ん中の圧電体素子201)の個別電極8に対して、所定電圧のパルス電圧を印加する。この電圧パルスを印加することにより、圧電体7は、電歪効果により圧電体7そのものが変形することにより、振動板202が流路203とは反対側方向に撓むことになる。これにより、対象の圧電体素子201のある領域の流路203内の圧力が負圧となり、右隣の流路203から液体が流入するようになる。つぎに、図中真ん中の圧電体素子201へのパルス電圧印加終了と同時に、図中左側から2番目の圧電体素子201の個別電極8に対してパルス電圧を印加する。これにより、図中真ん中の圧電体素子201における変形した圧電体7が元に戻って撓んだ振動板202は元の位置に戻るとともに、図中左側から2番目の圧電体素子201における圧電体7が変形してその部分の振動板202が流路203とは反対側方向に撓み、流路203において図中真ん中の圧電体素子201に対応する部分の液体は、図中左側から2番目の圧電体素子201に対応する部分まで送られることになる。このような動作制御を図中右側から順次駆動するように行うことにより、流路203内の液体は、矢印204方向へ流れが生じて流体の輸送が可能となる。なお、振動板202は圧電体素子201に対応させて複数設けてもよい。また、輸送効率を上げるために流路203中に弁などを設けても良い。
【0040】
つぎに、本発明に係る光学デバイスについて説明する。
本発明に係る光学デバイスは、本発明の圧電型アクチュエータを備え、該圧電型アクチュエータにより光の反射方向を変化させることを特徴とするものである。
【0041】
図12は、本発明に係る光学デバイスの構成を示す断面図である。
光学デバイス210は、基板216上に、複数の圧電体素子211と、該複数の圧電体素子211それぞれに対応して設けられる複数の振動板212と、を備えている。
【0042】
ここで、圧電体素子211は、振動板212側から順番に、前述した共通電極4,圧電体7,個別電極8が積層されてなるものである。また、振動板212は、光学デバイス210の表面側から順番に、前述した埋め込みシリコン酸化膜11、活性シリコン層12、シリコン酸化膜2が積層されてなるものである。また、この振動板212の表面はミラーを兼ねており、反射率を増加させるために誘電体多層膜や金属膜を形成すると良い。
【0043】
光学デバイス210において、この光学デバイス210上方に設けた光源213から出射した光をレンズ214を通して振動板212表面に照射し、ついで振動板212表面に入射した光は、圧電体素子211によって振動板212を駆動しない場合、入射角と同じ角度で反射して光学デバイス210上方に設けた投影用レンズ215へ入射するようになっている。
【0044】
光学デバイス210の動作制御では、前述した反射状態にある光学デバイス210上の所定位置の圧電体素子211(図12では真ん中の圧電体素子211)にパルス電圧を印加して振動板212を変形させると、その部分の振動板212は凹面ミラーとなるので反射光は発散光となり、投影用レンズ215に入射しなくなる。このように光学デバイス210の動作制御を行うことにより、光変調デバイスを実現することができる。
【0045】
図13は、この光学デバイス210を応用した光変調デバイスであり、本発明に係る光学デバイスの別の構成を示す斜視図である。
図13に示すように、光変調デバイス(光学デバイスともいう)220は、光学デバイス210を2次元に配置してなるものである。そして、図12と同様に光源213からの光をレンズ214を介して振動板212に入射し、各振動板212を独立に駆動するようになっている。このとき圧電体素子211を駆動せず振動板212を変形させない部分に入射した光は、投影用レンズ215へ入射し、圧電体素子211に電圧を印加して振動板212を変形させている部分は、該振動板212が凹面ミラーとなり、入射した光は発散し投影用レンズ215にほとんど入射しない。この投影用レンズ215に入射した光をスクリーン(不図示)などに投影することによりスクリーンに画像を表示することができる。なお、図13では圧電体素子211を縦4個×横5個に配列した光変調デバイス220について示したが、この限りではなく、より多数の圧電体素子211を配列してもよい。
【0046】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。例えば、前記液滴吐出ヘッド1000の圧電型アクチュエータを前記以外の光学デバイスやマイクロアクチュエータなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 アクチュエータ基板
2 シリコン酸化膜
3 隔壁層
4 共通電極
5 凹部
5a 圧電体素子形成領域
7 圧電体
7a 圧電体ゾルゲル液
8 個別電極(対向電極)
8a 個別電極ゾルゲル液
9,201,211 圧電体素子
10,202,212 振動板
11 埋め込みシリコン酸化膜
12 活性シリコン層
21 圧力室
22 圧力室隔壁
30 ノズル板
31 ノズル孔
41 共通インク供給口
42 流体抵抗部
43 共通液室
50 SOI基板
51 シリコン基板
80,99 インクカートリッジ
81 インクタンク
90 インクジェット記録装置
91 印字機構部
92 用紙
93 給紙カセット
94 手差しトレイ
95 排紙トレイ
96 主ガイドロッド
97 従ガイドロッド
98 キャリッジ
101 主走査モーター
102 駆動プーリ
103 従動プーリ
104 タイミングベルト
105 給紙ローラー
106 フリクションパッド
107,116,117 ガイド部材
108 搬送ローラー
109,112 搬送コロ
110 先端コロ
111 印写受け部材
113,115 拍車
114 排紙ローラー
118 回復装置
200 マイクロポンプ
203 流路
204 矢印(液体流れ方向)
206,207,216 基板
210,220 光学デバイス(光変調デバイス)
213 光源
214,215 レンズ
1000 液滴吐出ヘッド
t 圧力室隔壁厚
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2002−9355号公報
【特許文献2】特開2007−268961号公報
【特許文献3】特開2005−31795号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に圧電体素子を形成する圧電型アクチュエータの製造方法において、
前記基板に設けられた電極層表面の所定領域を囲む凹部を有する隔壁層を設ける工程と、
前記凹部に圧電体材料を含む液体をインクジェット法により塗布して圧電体を形成する工程と、
前記凹部の前記圧電体上に電極材料を含む液体をインクジェット法により塗布して対向電極を形成する工程と、
を備えることを特徴する圧電型アクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記対向電極を形成した後に、前記隔壁層を除去する工程を備えることを特徴する請求項1に記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
【請求項3】
前記隔壁層の仕切り幅を0.03〜0.10μmとすることを特徴とする請求項1に記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記隔壁層を無機材料からなるものとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
【請求項5】
前記隔壁層を耐湿性材料からなるものとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
【請求項6】
前記隔壁層をシリコン窒化物からなるものとすることを特徴とする請求項5に記載の圧電型アクチュエータの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の圧電型アクチュエータの製造方法により製造されてなることを特徴とする圧電型アクチュエータ。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電型アクチュエータを備えることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドに記録液を供給する液体タンクと、を備えることを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項10】
請求項8に記載の液滴吐出ヘッドまたは請求項9に記載の液体カートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7に記載の圧電型アクチュエータを備え、該圧電型アクチュエータにより液体を輸送することを特徴とするマイクロポンプ。
【請求項12】
請求項7に記載の圧電型アクチュエータを備え、該圧電型アクチュエータにより光の反射方向を変化させることを特徴とする光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−284012(P2010−284012A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135826(P2009−135826)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】