説明

地上波デジタル放送受信機

【課題】移動体において用いられる地上波デジタル放送受信機において、現在の受信エリアから外れても容易に同じ放送局の他の送信局を選局して同一番組を、継続受信できるようにする。
【解決手段】移動体において使用される地上波デジタル放送受信機10は、受信する放送電波を選択する周波数選択部27と、送信局から受信する放送電波中のデータ信号中に記録されている全送信局の放送電波の送信局周波数情報を検出して記憶する周波数情報検出部26と、を備え、受信中の放送電波の受信レベルが所定の受信レベル以下になった場合、前記周波数選択部27は、前記周波数情報検出部26が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波デジタルテレビ放送を受信するための地上波デジタル放送受信機に関するものであり、特に、自動車などの移動体において、受信機の移動に伴い受信中の放送電波の受信状態が悪くなった場合に、送信局周波数情報に基づいて同じ放送局の送信局周波数のみをスキャンすることにより、他の送信局から放送電波を受信し、チャンネルスキャンに時間をかけることなく同じ番組を継続して視聴できるようにした地上波デジタル放送受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では電子機器の小型化や低価格化が進み、種々の電子機器が自動車に搭載されるようになってきている。例えば、カーラジオやカーテレビなどの放送受信装置、MD・DVDプレイヤーなどのオーデオ・ビデオ装置、カーナビゲーション装置など種々の機器が多くの自動車に搭載されて利用されている。
【0003】
また、最近では地上波デジタル放送の商業放送が開始され、徐々に普及しつつあるが、地上波デジタル放送では、OFDMと呼ばれるゴーストに強い伝送方式が採用されており、自動車などの移動体においても地上波デジタル放送受信機が使用されようとしている。
【0004】
しかしながら、これらの車載用放送受信装置においては、移動体の宿命として移動とともに現在受信しているチャンネルの受信エリアから外れてしまい、受信できなくなるという現象が生じる。
【0005】
一般に放送局は、放送地域内の複数の場所に送信局を置局し、これら送信局から電波を送出して、放送局の受信可能エリアを広げている。これら送信局が同一周波数で電波を送信していれば(SFN:Single Frequency Network)、受信していた送信局の受信エリアから外れた場合でも、別の送信局の受信エリア内であれば視聴を続けることができる。しかし、異なる周波数で送信局が送信している場合(MFN:Multiple Frequency Network)もあり、この場合は、チャンネルスキャンをし直して、受信可能な送信局からの周波数を受信しないと、受信していた放送局の番組の視聴を継続できない。
【0006】
このチャンネルスキャンには数分間を要するのが一般的であり、この放送エリア間の移動が、テレビ放送などのサービスを受けている場合に発生すると、映像が数分間に渡ってフリーズするなどの障害を生じてしまう。さらに、移動したエリアにおいて今まで受信していた放送局の番組を受信し続けるためには、チャンネルスキャンチ後、再度選局しなければならないという不都合があった。
【0007】
このような問題を解消するため、例えば、下記の特許文献1(特開2004−320406号公報)には、放送地域をまたがって移動しても地域ごとのデジタル放送を継続的に選局する地上デジタル自動選局方法を有する車載用放送受信装置が開示されている。
【0008】
この特許文献1に開示された車載用放送受信装置は、ダブルチューナー搭載のダイバーシティアンテナ受信機を備え、2個のチューナーで状態の良い方の信号を用いて受信を行う。電波が安定しているときは、片方のチューナーを用いてチャンネルサーチを行い、受信地域の全チャンネル情報を受信機に記憶させる。また、放送で隣接地域のチャンネル情報を放送し、それを片方のチューナーで受信して、隣接地域のチャンネル情報を記憶させることにより、隣接地域に移動したときにその地域の放送チャンネルをサーチすることなく、シームレスな放送受信を可能としたものである。
【0009】
また、下記の特許文献2(特開2001−285101号公報)には、現在の受信エリアから外れても容易に同一番組を受信可能にする車載用放送受信装置が開示されている。
【0010】
この特許文献2に開示された車載用放送受信装置は、カーナビゲーション・システムから現在位置情報などを受け取ると、移動体上のデジタル放送受信機は、メモリ内に予め格納された受信範囲情報と現在位置情報とを比較し、受信可能範囲内の放送局をメモリ内でサーチし、直前まで受信していた番組を探す動作を行うように構成したものである。
【特許文献1】特開2004−320406号公報
【特許文献2】特開2001−285101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたにおいては、ダブルチューナー搭載のダイバーシティアンテナ受信機を備える必要があるという問題点があった。そして2個のチューナーで状態の良い方の信号を用いて受信を行い、電波が安定しているときは、片方のチューナーを用いてチャンネルサーチを行い、受信地域の全チャンネル情報を受信機に記憶させる。また、放送で隣接地域のチャンネル情報を放送し、それを片方のチューナーで受信して、隣接地域のチャンネル情報を記憶させる複雑な処理が必要になるという問題点があった。
【0012】
また、上記特許文献2に開示された車載用放送受信装置においては、受信機に、地図情報とともに各放送局の受信可能エリアの情報を記憶しておく必要があり、地図情報のデータ量が増大するという問題点があった。
【0013】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、地上波デジタル放送においては、放送局の各送信局から送信される送信信号(放送電波)に含まれるデータ信号中に親局・中継局などの全送信局の周波数情報(以下、送信局周波数情報という)が記録されていることに着目し、地上波デジタル放送受信機の移動に伴い、受信中の放送電波の受信状態が悪くなった場合、前記送信局周波数情報に基づいて送信局の周波数のみをスキャンするようになせば上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、簡単な構成と制御により選局時間を要することなく、現在の送信局の受信エリアから外れても容易に同じ放送局の別の送信局を選局して同一番組を、継続受信できるようにした地上波デジタル放送受信機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
移動体において地上波デジタル放送を受信する地上波デジタル放送受信機において、
前記地上波デジタル放送受信機は、受信する放送電波を選択する周波数選択部と、放送局から受信する放送電波中のデータ信号中に記録されている当該放送局の全送信局で使用される放送電波の送信局周波数情報を検出して記憶する周波数情報検出部と、を備え、
受信中の放送電波の受信レベルが所定の受信レベル以下になった場合、前記周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようになしたことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地上波デジタル放送受信機において、周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出して記憶した送信局周波数情報の記憶順に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようになしたことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる地上波デジタル放送受信機において、周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンする際、初期スキャン時に受信できた周波数を優先してスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようになしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1にかかる発明においては、地上波デジタル放送受信機は、受信する放送電波を選択する周波数選択部と、放送局から受信する放送電波中のデータ信号中に記録されている当該放送局の全送信局で使用される放送電波の送信局周波数情報を検出して記憶する周波数情報検出部と、を備え、受信中の放送電波の受信レベルが所定の受信レベル以下になった場合、前記周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択する。
【0019】
このような構成により、地上波デジタル放送受信機は、移動などにより受信中の放送電波の受信状態が悪化した場合に、何ら操作することなく別の送信局からの放送を選局するから同じ番組を継続して受信することができるようになる。
【0020】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地上波デジタル放送受信機において、周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出して記憶した送信局周波数情報記憶順に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択する。
【0021】
このような構成により、地上波デジタル放送受信機は、移動などにより受信中の放送電波の受信状態が悪化した場合に、順次、全送信局の放送電波をスキャンし所定の受信レベルの放送電波を受信するから、何ら操作することなく別の送信局からの放送を選局して同じ番組を継続して受信することができるようになる。
【0022】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる地上波デジタル放送受信機において、周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンする際、初期スキャン時に受信できた周波数を優先してスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択する。
【0023】
このような構成により、地上波デジタル放送受信機は、移動などにより受信中の放送電波の受信状態が悪化した場合に、初期スキャン時に受信できた周波数を優先してスキャンするから、何ら操作することなく受信していた放送局の放送を選局して同じ番組を継続して受信することができるようになる。
【0024】
また、新規に送信局を置局されたり、送信局が使う周波数が変更されたり(周波数リパッキング)した場合に、NIT内に記載される放送局の全送信局の送信局周波数情報と、実際に送信局が使用する周波数が異なる期間があっても、初期スキャンで受信できた周波数がNIT内周波数情報に記述されてない場合でも、新規または変更された周波数の送信局の放送電波を受信することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一実施例の形態を例示するものであって、本発明をこの実施例の形態に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地上波デジタル放送受信機にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例にかかる地上波デジタル放送受信機10は、図1に示すように、アンテナ12、フロントエンド部13、デマルチプレクサ14、MPEGデコーダ15、音声信号処理部16、スピーカ17、映像信号処理部18、表示部19、制御部22、ROM23、RAM24、操作部25、周波数情報検出部26、周波数選択部27などを備えて構成されている。
【0027】
放送局から送信される送信信号(放送電波:以下単に送信信号という)はアンテナ12で受信され、フロントエンド処理部14で処理された後、デマルチプレクサ14で、データ信号(NIT)、音声信号、映像信号の分離が行われる。映像信号はMPEGデコーダ15により復号され、映像信号処理部18で画像信号に変換され、表示部19に映像が表示される。一方音声信号は音声信号処理部16で処理され、スピーカ17により出力される。
【0028】
制御部22は、ROM23、RAM24を備えたマイクロプロセッサから構成され、地上波デジタル放送受信機10の各部を制御する。操作部25は地上波デジタル放送受信機10を操作するためのものであり、タッチパネル、キー、スイッチ、ダイヤルなどから構成される。周波数情報検出部26は放送局から受信した送信信号(放送電波)中に含まれるデータ信号に記録されている送信局周波数情報を検出するものであり、周波数選択部27は所望の放送局の放送電波を受信するための周波数を選択するものである。
【0029】
利用者が所望の放送を受信する場合、通常は操作部25を操作していずれかの送信局から送信される当該放送局の送信局周波数を選択する。ここで、地上波デジタル放送受信機10が自動車等の移動体において利用される時には、移動体の移動に伴って受信中の送信局からの放送電波を受信できなくなることがある。このため、一般の移動体用の放送受信機においては、送信局とその放送電波の受信可能範囲であるエリア情報を蓄積しておき、移動体が他の送信局のエリアに移動した時には当該エリアで受信可能な放送局を表示して、その中から所望の放送局を選択(当該送信局の放送電波の周波数を選択)するようにしている。
【0030】
一般に移動体において受信中であった放送局のエリアから外に移動し、その放送局の放送電波を受信できなくなった場合、利用者は移動したエリアにおいても同じ放送番組を継続して受信したいという場合が多い。このため、上記特許文献2に記憶したような技術が利用されている。
【0031】
ところで、地上波デジタル放送においては、放送局の各送信局から送信される送信信号(放送電波)に含まれるデータ信号中に親局・中継局などの全送信局の周波数情報(以下、送信局周波数情報という)が記録されている。この送信局周波数情報はNIT(Network Information Table)内に記述される。図2は、地上波デジタル放送における送信信号のデータ信号(NIT)に記憶(記録)される送信局周波数情報を示す図ある。この図に示すようにNITには、放送局が放送サービスを提供している地域を示す地域識別コード、放送局(TS)を特定するユニークな放送局ID、放送局名(TS名)、当該放送局の親局や中継局などの送信局が送信する放送電波の物理周波数が記憶(記録)されている。
【0032】
図2においては、例えば、地域識別コードO1の放送エリアには、放送局AAA〜CCCC・・があり、放送局IDがAの放送局AAAから送信される放送電波のデータ信号(NIT)には地域識別コード(O1)、放送局ID(A)、放送局名(AAA)の他に、親局や中継局などの全送信局の放送電波の物理周波数がUHF13ch、UHF20ch、UHF46chのように記録されている。実際には上記の各物理周波数は、中心周波数が1/7Mhz単位でNIT内に記述される。
【0033】
同様に、放送局IDがBの放送局BBBから送信される放送電波のNITには地域識別コード(O1)、放送局ID(B)、放送局名(BBB)の他に、親局や中継局などの全送信局の放送電波の物理周波数がUHF14ch、UHF19ch、UHF36chのように記録されている。また、放送局IDがCの放送局CCCから送信される放送電波のNITには地域識別コード(O1)、放送局ID(C)、放送局名(CCC)の他に、親局や中継局などの送信局の放送電波の物理周波数がUHF13ch、UHF20chのように記録されている。
【0034】
本発明は、NITに親局や中継局などの当該放送局の放送が送信される全送信局の物理周波数の情報が記録されていることに着目したものである。すなわち、地上波デジタル放送受信機の移動(自動車などの移動体の移動)に伴い、受信中の放送電波の受信状態が悪くなった場合、NITに記録されている周波数情報に基づいて同じ放送局の他の送信局(親局や中継局)の周波数のみをスキャンする。例えば、13〜62chのうち全送信局の送信周波数が送信局周波数情報として20ch、24ch、36chのようにNITに記録されている場合は、この3chの周波数のみをスキャンして受信状態の最もよい放送電波、あるいは所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようにすれば、簡単に当該放送局の放送を継続して受信することができるようになる。
【0035】
図3は、送信局と受信エリアおよび送信局から放送される放送局の物理周波数との関係を示す模式図である。送信局Aは受信エリアAを有しており、送信局Aが送信する放送電波のデータ信号には親局や中継局などの全送信局(送信局a、送信局b)の放送電波の物理周波数(13ch、14ch)が記憶されている。
【0036】
同様に、送信局Bは受信エリアBを有しており、送信局Bが送信する放送電波のデータ信号には親局や中継局などの全送信局(送信局a、送信局b)の放送電波の物理周波数(20ch、19ch)が記憶され、送信局Cは受信エリアCを有しており、送信局Cが送信する放送電波のデータ信号には親局や中継局などの全送信局(送信局a、送信局b)の放送電波の物理周波数(20ch、19ch)が記憶されている。
【0037】
地上波デジタル放送受信機10がエリアCからエリアBに移動して放送局Cからの放送電波の受信状態が悪くなった場合、それまで受信していた放送局Bの放送電波にデータ信号の記憶9されている物理周波数20ch、19chをスキャンして最も受信状態のよい放送電波を選択して受信すれば、同じ放送局の他の送信局から番組を継続して受信できる。
【0038】
このため、図1に示す地上波デジタル放送受信機10は、周波数情報検出部26、周波数選択部27を備えている。周波数情報検出部26は受信した放送電波のデータ信号(NIT)に記録されている送信局周波数情報から各送信局の物理周波数を検出する。周波数選択部27は受信する放送電波の周波数を選択するものであり、操作部25から指定された周波数を選択し、あるいは、周波数情報検出部26が検出した送信局周波数をスキャンして選択する。
【0039】
図4は、上記の地上波デジタル放送受信機10の動作手順を示すフローチャートである。図4に示すように、地上波デジタル放送受信機10は、先ず、ステップS11の処理において、地域番号(地域識別コード)を入力し、ステップS12の処理において当該地域番号に対応する所定帯域の物理周波数をスキャンし、ステップS13の処理において受信可能な物理周波数を記憶する。
【0040】
次いで、ステップS14の処理において周波数情報検出手段26は、放送電波のデータ信号(NIT)を受信してそれに記録されている送信局周波数情報を検出して記憶する。そして、ステップS15の処理において周波数選択手段27は、選局に対応する放送局(TS)を特定し、ステップS16の処理において受信可能な物理周波数と、周波数情報検出手段26が記憶した送信局周波数情報とを比較し、ステップS17の処理において一致する物理周波数にチューニング(選局)する。
【0041】
そして、ステップS18の処理において受信感度が所定のレベル以上か(感度が良好か)を判定する。受信感度がOK(良好)であればステップS19の処理において表示(受信感度ステータスなどの表示)を行いステップS18の判定処理に戻る。
【0042】
ステップS18の受信感度の判定処理において、受信感度が所定のレベル以上ない(受信感度が悪い)場合は、ステップS21の処理に進み周波数選択手段27は周波数情報検出手段26がNITを受信して記憶した他の送信局の物理周波数と一致する物理周波数を選局する。そして、ステップS22の処理において受信感度を判定し、受信感度が良好であればステップS19の処理において受信感度を表示してステップS18の処理に戻る。
【0043】
ステップS22受信感度の判定処理において、受信感度が所定のレベル以上ない(受信感度が悪い)場合は、ステップS23の処理に進み、TSI(放送局IDに対応する物理周波数のうちスキャン時(初期スキャン時)に受信可能であった物理周波数を選局する。そして、ステップS24の処理において受信感度を判定し、受信感度が良好であればステップS19の処理において受信感度を表示してステップS18の処理に戻る。
【0044】
ステップS24受信感度の判定処理において、受信感度が所定のレベル以上ない(受信感度が悪い)場合は、ステップS25の処理に進み、周波数情報検出手段26がNITを受信して記憶した残りの物理周波数を選局(チューニング)する。そして、ステップS26の処理において受信感度を判定し、受信感度が良好であればステップS19の処理において受信感度を表示してステップS18の処理に戻る。ステップS26の判定処理において受信感度が所定のレベル以上ない(受信感度が悪い)場合は、ステップS23の処理に進みエラーを表示して処理を終了する。
【0045】
すなわち、ステップS21〜ステップS25の処理において、周波数選択部27は周波数情報検出部26がNITを受信して記憶した親局や中継局などの送信局の物理周波数を順次スキャンして良好に受信できる物理周波数を選択するものである。これにより、地上波デジタル放送受信機10は、移動などにより受信状態が悪化した場合に、何ら操作することなく同じ放送局の他の送信局からの放送を選局するから、同じ番組を継続して受信することができるようになる。
【0046】
なお、新規に送信局を置局されたり、送信局が使う周波数が変更されたり(周波数リパッキング)した場合に、NIT内に記載される放送局の全送信局の送信局周波数情報と、実際に送信局が使用する周波数が異なる期間があっても、初期スキャン時に受信できた送信局周波数を記憶しておき、優先的にスキャンするようにすれば、初期スキャンで受信できた周波数がNIT内周波数情報に記述されてない場合でも、新規または変更された周波数の送信局の放送電波を受信することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例にかかる地上波デジタル放送受信機10の構成を示すブロック図である。
【図2】地上波デジタル放送における送信信号のデータ信号(NIT)に記載(記録)される周波数情報を示す図ある。
【図3】受信エリアと放送局および当該放送局が送信する放送電波のデータ信号に記録される周波数情報を模式的に示す図である。
【図4】上記の地上波デジタル放送受信機10の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10・・・・地上波デジタル放送受信機
12・・・・アンテナ
13・・・・フロントエンド部
14・・・・デマルチプレクサ
15・・・・MPEGデコーダ
16・・・・音声信号処理部
17・・・・スピーカ
18・・・・映像信号処理部
19・・・・表示部
22・・・・制御部
23・・・・ROM
24・・・・RAM
25・・・・操作部
26・・・・周波数情報検出部
27・・・・周波数選択部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体において地上波デジタル放送を受信する地上波デジタル放送受信機において、
前記地上波デジタル放送受信機は、受信する放送電波を選択する周波数選択部と、放送局から受信する放送電波中のデータ信号中に記録されている当該放送局の全送信局で使用される放送電波の送信局周波数情報を検出して記憶する周波数情報検出部と、を備え、
受信中の放送電波の受信レベルが所定の受信レベル以下になった場合、前記周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようになしたことを特徴とする地上波デジタル放送受信機。
【請求項2】
前記周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出して記憶した送信局周波数情報の記憶順に基づいて受信可能な放送電波をスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようになしたことを特徴とする請求項1に記載の地上波デジタル放送受信機。
【請求項3】
前記周波数選択部は、前記周波数情報検出部が検出した送信局周波数情報に基づいて受信可能な放送電波をスキャンする際、初期スキャン時に受信できた周波数を優先してスキャンし、所定の受信レベル以上の放送電波を選択するようになしたことを特徴とする請求項1に記載の地上波デジタル放送受信機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−259053(P2007−259053A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80583(P2006−80583)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】