地中推進装置
【課題】埋設管の敷設途中において掘削ヘッドを交換する場合、埋設管を撤去せずに短時間に発進位置まで掘削ヘッドを撤去し交換できるようにする。
【解決手段】推進機20と、後部に配置された先導体2と、この先導体2内に挿通された内筒体3と、この内筒体3内に配置されたスクリュー4と、このスクリュー4の先端に固定された掘削ヘッド5と、を備えてなる地中推進装置1であって、上記掘削ヘッド5は、上記先導体2の内径よりも小さな外径であって上記内筒体3の外径よりも大きな外径を有するヘッド本体8と、このヘッド本体8には掘削ビット15が固定されてなる複数の回動板10などが取り付けられ、これら複数の回動板は、上記ヘッド本体8の正回転時には、掘削抵抗によりそれぞれ先端が上記先導体2の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時にも掘削抵抗によって上記ヘッド本体8の外周よりも内側に移動するよう配置されてなる。
【解決手段】推進機20と、後部に配置された先導体2と、この先導体2内に挿通された内筒体3と、この内筒体3内に配置されたスクリュー4と、このスクリュー4の先端に固定された掘削ヘッド5と、を備えてなる地中推進装置1であって、上記掘削ヘッド5は、上記先導体2の内径よりも小さな外径であって上記内筒体3の外径よりも大きな外径を有するヘッド本体8と、このヘッド本体8には掘削ビット15が固定されてなる複数の回動板10などが取り付けられ、これら複数の回動板は、上記ヘッド本体8の正回転時には、掘削抵抗によりそれぞれ先端が上記先導体2の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時にも掘削抵抗によって上記ヘッド本体8の外周よりも内側に移動するよう配置されてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中を掘削しながら埋設管を連続して推進させ地中に該埋設管を敷設する際に使用される地中推進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば発進立坑等の発進位置から到達立坑等の到達位置に向かって多数の埋設管を順次上記発進位置から推進し、上記発進位置から到達位置に亘って埋設管を地中に設置する地中推進方法が知られており、こうした推進工法を行う装置として、地中推進装置が使用されている。
【0003】
この地中推進装置は、発進位置に配置された推進機と併用されるものであり、この推進機は、上記地中推進装置を到達位置方向に押圧する押圧機構と、後述するスクリューを回転させる回転機構を備えてなるものである。そして、上記地中推進装置は、後部には埋設管が連続する筒状の先導体と、この先導体内に挿通された内筒体と、この内筒体内に配置され外周に螺旋構造を備えてなるとともに回転可能なスクリューと、このスクリューの先端に固定され正面には複数の掘削ビットが固定された掘削ヘッドと、を備えている(特許文献1参照)。こうした従来の地中推進装置では、上記推進機により上記スクリューと掘削ヘッドとを回転駆動させながら、上記先導体に続く埋設管を到達位置方向に押圧することにより、地山が掘削されて徐々に先導体及び埋設管は推進して行くとともに、上記掘削ヘッドにより掘削された土砂は、上記スクリューの回転により上記内筒体内を通過して発進位置に搬送される。なお、上記地中推進装置により地中を推進する際には、推進距離に応じて上記埋設管を後方から継ぎ足すとともに、上記スクリュー並びに内筒体も継ぎ足して行く。
【特許文献1】特開2001−214690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、掘削しながら埋設管を敷設すべき地中には、多数の礫が存在したり、場合によっては過去に敷設された埋設管等の障害物が存在したりする場合がある。こうした障害物が存在する場合には、当初に配置した掘削ヘッドを交換しなければ、初期に予定された埋設管を敷設することができない。しかしながら、上述した従来の地中推進装置では、上記掘削ヘッドを交換するためには、既に敷設した埋設管も含めて、全てを発進位置まで撤去しなければならず、こうした作業は極めて面倒で且つ長い作業時間が必要となる。特に、埋設管として鋼管を使用し個々の鋼管を溶接しながら推進した場合には、引き抜いた鋼管を切断しなければならず、極めて過酷な作業となる。また、こうした鋼管を使用しない場合であったり溶接することなくボルト・ナット等の締結具を使用したりする場合であっても、引き抜いた後に形成される空洞の崩壊により地盤沈下を起す危険性もあることから、充填材などを用いて上記空洞を埋める作業も必要となり、工期を著しく遅延させる原因となるばかりか、膨大なコストが必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の地中推進装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、埋設管の敷設途中において掘削ヘッドを交換する必要性が生じた場合であっても、敷設した埋設管を撤去する必要性がなく、極めて簡単且つ短時間内に発進位置まで掘削ヘッドを撤去し交換することができる新規な地中推進装置を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した目的を達成するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、発進位置に配置された推進機により到達位置方向に押圧されるとともに後部には埋設管が連続する筒状の先導体と、この先導体内に挿通された内筒体と、この内筒体内に配置され外周に螺旋構造を備えてなるとともに回転可能なスクリューと、このスクリューの先端に固定され正面には複数の掘削ビットが固定された掘削ヘッドと、を備えてなる地中推進装置であって、上記掘削ヘッドは、上記先導体の内径よりも小さな外径であって上記内筒体の外径よりも大きな外径となされ略円盤状に成形されたヘッド本体と、このヘッド本体の正面に回動自在に軸支されてなるとともに正面には掘削ビットが固定されてなる複数の回動板とを有し、これら複数の回動板は、上記ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を掘削ビットが受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を掘削ビットが受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されてなることを特徴とするものである。
【0007】
この第1の発明では、スクリューの先端に固定された掘削ヘッドを該スクリューとともに正回転駆動させると、該掘削ヘッドを構成するヘッド本体の正面に複数固定された各回動板は、該回転板の正面に固定された掘削ビットと地中の土との抵抗により、先導体の外周よりも外側に移動する。そして、この掘削ヘッドが正回転することにより、地山が掘削され、掘削されることにより発生した土砂は、上記内筒体内に流入し、上記スクリューの回転により発進位置まで移送される。こうした動作とともに、上記先導体及びこれに後続する埋設管、内筒体及びスクリュー並びに掘削ヘッドは、発進位置から押圧され、この結果徐々に全体が地中を推進して行く。なお、上記掘削ヘッドを構成する各回動板の先端は、先導体の外周よりも外側に位置しているので、該先導体やこれに後続する埋設管の外周面と地山との摩擦抵抗が低減される。そして、こうした推進中に、上記掘削ヘッドが礫などの障害物に当たり、該掘削ヘッドを交換する必要性が生じた場合には、上記スクリュー及び掘削ヘッドを逆回転させる。こうした掘削ヘッドの逆回転により、それまで先導体の外周よりも外側に突出していた各回動板は、該回動板の正面に固定された掘削ビットと土砂との抵抗により上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動する。このように各回動板が移動すると、ヘッド本体の外径は先導体の内径よりも小さいことから、推進した先導体と埋設管とをそのままにした状態で、上記内筒体とスクリュー及び掘削ヘッドとを発進位置まで引き抜くことができ、ひいては掘削ヘッドを交換することができる。
【0008】
なお、上記掘削ヘッドは、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されたものであっても良いし、掘削された土砂が流入する開口が形成されたものであっても良い。また、この掘削ヘッドを構成する回動板は、少なくとも二つ以上設けられている必要があり、それぞれヘッド本体の正面に回動自在に配置され、正面には掘削ビットが固定されている必要がある。これらの回動板の回動範囲は、先端が上記先導体の外周よりも外側に突出する位置から、該ヘッド本体の外周よりも内側に収まる位置であり、該回動板の回動中心となる位置は特に限定されない。但し、これらの回動板は、ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されている必要がある。例えば、ヘッド本体の外周側に任意の回動中心とヘッド本体の中心とを結んだ線よりも掘削ビットの配置位置は、正回転方向に位置している必要があるとともに、(上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動した場合における)上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度は、45度以上170度未満とすることが望ましい。なお、上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度を45度未満とする場合には、掘削ヘッドが正回転した場合に、地中の土の抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出しないおそれがあり、また、上記角度が170度以上である場合には、回転中心から掘削ビットまでの距離が短くなり、上記先導体の外周よりも外側まで掘削できない可能性がある。したがって、上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度は、50度から90度の範囲とすることがより好ましい。
【0009】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記ヘッド本体の正面には、該ヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制する規制部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明では、ヘッド本体が逆回転することにより、それぞれ地中の土の抵抗を掘削ビットが受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動した場合、上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度が、45度よりも狭い位置まで移動してしまうと、掘削ヘッドを交換した後に正回転させた際、掘削ビットと土との抵抗により、回動板の先端がヘッド本体の外側に開くよう回転しないおそれがある。この第2の発明によれば、こうした不都合を解消することができる。
【0011】
なお、上記規制部は、少なくともヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制するものであれば良く、例えば、ヘッド本体の正面に凸部を形成し、この凸部が回動板に当接するように構成したものであっても良いし、回動板の外形形状に対応した薄肉部をヘッド本体の正面に形成し、この薄肉部と通常の肉厚とされた部位の境目を形成する起立面に回動板が当接するようにしたものであっても良い。
【0012】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかの発明において、前記ヘッド本体の中央には、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されてなるとともに、前記スクリューの中央には、上記貫通穴と同一の軸心を有し上記誘導管が挿通される筒状部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第3の発明に係る地中推進装置では、発進位置から到達位置に亘って予め誘導管を推進させ、この誘導管にガイドされながら推進するタイプの地中推進装置に適用できるようにしたものである。
【0014】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1、第2又は第3の発明の何れかの発明において、前記先導体の先端には、一方の係合部が形成された先導体側リングが固定され、前記内筒体の先端には、上記一方の係合部に係合する他方の係合部が形成されてなるとともに、上記先導体側リングと共働して先導体と内筒体との間を閉塞する内筒体側リングが固定されてなることを特徴とするものである。
【0015】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第4の発明において、前記掘削ヘッドの外周面には、背面側にかけて徐々に縮径された一方の縮径面が形成されてなるとともに、前記内筒体側リングの内周面は、前記掘削ヘッドに形成された一方の縮径面に対応して徐々に縮径されてなる他方の縮径面が形成されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)によれば、埋設管の敷設途中において掘削ヘッドを交換する必要性が生じた場合であっても、敷設した埋設管を撤去する必要性がなく、極めて簡単且つ短時間内に発進位置まで掘削ヘッドを撤去し交換することができる。すなわち、この地中推進装置を構成する掘削ヘッドは、上記先導体の内径よりも小さな外径であって上記内筒体の外径よりも大きな外径となされ略円盤状に成形されたヘッド本体と、このヘッド本体の正面に回動自在に軸支されてなるとともに正面には掘削ビットが固定されてなる複数の回動板とを有し、これら複数の回動板は、上記ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されてなることから、上記各回動板に固定された掘削ビットにより地山を上記先導体の外径よりも大きな径で掘削することができる一方、掘削ヘッドを逆回転させることにより、上記各回動板をヘッド本体の外周よりも内側に移動させることにより、先導体と敷設された埋設管をそのままにした状態で、上記内筒体とスクリュー及び掘削ヘッドとを発進位置まで引き抜くことができ、ひいては掘削ヘッドを交換することができる。
【0017】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、ヘッド本体の正面には、該ヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制する規制部が形成されてなることから、掘削ヘッドを正回転した場合に、回動板が掘削ビットと地中の土との抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出しない事態を有効に防止することができる。
【0018】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、ヘッド本体の中央には、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されてなるとともに、前記スクリューの中央には、上記貫通穴と同一の軸心を有し上記誘導管が挿通される筒状部が形成されてなることから、発進位置から到達位置に亘って予め誘導管を推進させ、この誘導管にガイドされながら埋設管を真っ直ぐに、且つ、正確に敷設することができる。
【0019】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、発進位置に配置された推進機により、内筒体を到達位置方向に押圧すると、先導体側リングに形成された一方の係合部と内筒体側リングに形成された他方の係合部とが係合することにより、先導体も内筒体と一体的に推進させることができ、しかも、この内筒体側リングは、上記先導体側リングと共働して先導体と内筒体との間を閉塞することから、掘削ヘッドにより掘削された土砂が、先導体と内筒体との間に侵入する危険性がない。
【0020】
また、第5の発明(請求項4記載の発明)では、内筒体側リングの内周面は、掘削ヘッドに形成された一方の縮径面に対応して徐々に縮径されてなる他方の縮径面が形成されてなることから、先ず、スクリューと掘削ヘッドを発進位置方向に移動させると、上記一方の縮径面と他方の縮径面とが当接し、その上でスクリュー及び掘削ヘッドと内筒体とを発進位置方向に移動させることにより、残置される先導体内に土砂が流入する危険性を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る地中推進装置を、図面を参照しながら工程順に詳細に説明する。なお、この実施の形態に係る地中推進装置は、(一工程目において)予め敷設された誘導管にガイドされながら(二工程目に)地中を推進する地中推進装置に本発明を適用したものである。そこで、以下、この地中推進装置の実施の形態を詳細に説明し、次いで、この地中推進装置を用いた地中推進工法に付いて簡単に説明する。
【0022】
この地中推進装置1は、図1に示すように、先導体2と、内筒体3と、スクリュー4と、掘削ヘッド5を備えている。上記先導体2は、鋼製からなる筒状体であり、先端には、先導体側リング6が固定されている。なお、この先導体2は、先導体側リング6を除いて基本的に該先導体2に後続して地中に敷設される埋設管と同一である。そして、上記先導体側リング6は、上記先導体2の先端が挿入されるリング状の凹部6aが背面に形成され、内周側に位置する部位の背面は、本発明を構成する一方の係合部6bとされている。なお、上記先導体2の後端は、該先導体2の外径と略同じ外径となされた埋設管Pが順次継ぎ足されながら固定されて行くものである。また、上記先導体側リング6の内周面には、後述する内筒体側リング7の外周面との間でのシール性を図る二つのオーリング(符号は省略する。)が配置されている。また、上記内筒体3は、上記先導体2(及び埋設管P)の内径よりも小径の外径を有してなる筒状体であり、先端の外周には、内筒体側リング7が固定されている。この内筒体側リング7は、上記先導体側リング6に形成された一方の係合部6bに対して後方から前方側に該内筒体3を移動させた場合に係合(当接)する他方の係合部7aがリング状に形成されている。また、この他方の係合部7aの形成位置よりも前方側の外径は、上記先導体側リング6の内径よりも僅かに小径とされてなるものであり、先端には上記内筒体3の先端よりも前方に突出したリング状突出部7bが形成されている。そして、このリング状突出部7bの内周面は、先端側から基端側にかけて徐々に縮径された他方の縮径面7cとされている。なお、こうした内筒体側リング7が先端に固定された内筒体3は、前端外周及び後端外周にそれぞれフランジ部3a,3bが形成され、特定の内筒体3の後端外周に形成されたフランジ部3aと、この特定の内筒体3に後続する他の内筒体3の前端外周に形成されたフランジ部3aとをボルト及びナット(何れも符号は省略する。)を介して互いに固定することにより(地中推進装置1の推進に伴い)順番に継ぎ足されて行くものである。
【0023】
また、上記内筒体3内には、スクリュー4が挿通されている。このスクリュー4は、円筒状に成形された筒状部4aと、この筒状部4aの外周に形成された螺旋状の羽根部4bとから構成されてなるものである。上記筒状部4aの内径は、後述する先導管の外径よりも大きな内径とされている。なお、このスクリュー4も、上記内筒体3と同じように、地中推進装置1の推進に伴い徐々に継ぎ足されて行くものである。
【0024】
そして、このスクリュー4の先端には、掘削ヘッド5が固定されている。この掘削ヘッド5は、図2に示すように、全体形状が略円板状に成形されたヘッド本体8と、このヘッド本体8に回動自在に軸支された第1ないし第3の移動板9,10,11とを備えている。上記ヘッド本体8は、図1に示すように、上記先導体2の内径及び先導体側リング6の内径よりも小さな外径を有しているとともに、該ヘッド本体8の外周面は、同一の外径とされた同径面8aと、この同径面8aの後方に形成された(一方の)縮径面8bとから構成され、この一方の縮径面8bは、上記内筒体側リング7に形成された他方の縮径面7cに対応している。すなわち、後述するように、上記一方の縮径面8bと他方の縮径面7cとは相互に密着するように、互いにその縮径率は同一とされている。また、上記ヘッド本体8には、図1及び図2に示すように、中心に(予め敷設された先導管が挿通される)貫通穴8cが形成され、この貫通穴8cと、上記スクリュー4を構成する筒状部4aと同じ軸心とされている。また、上述した形状に成形されたヘッド本体8の正面には、第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fがヘッド本体8の回転方向に対して等間隔に形成されており、上記第1の薄肉部8dには、上記第1の移動板9が第1の支軸12により回動自在に軸支され、上記第2の薄肉部8eには、上記第2の移動板10が第2の支軸13により回動可能に軸支され、上記第3の薄肉部8fには、上記第3の移動板11が第3の支軸14により回動自在に軸支されている。なお、図2中、最も外側に一点鎖線で示された部位は、上記先導体2の外径である。また、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fは、上記ヘッド本体8の外周面側に形成されてなるものであり、該第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの形状は、上記第1ないし第3の移動板9,10,11の外形形状と略同一とされている。なお、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fとヘッド本体8の正面との段差部(符号は省略する。)は、本発明を構成する規制部である。
【0025】
そして、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの形状は、ヘッド本体8の外周から該ヘッド本体8中心方向に最も幅広とされた部位から正回転方向(図2中反時計回り方向)にかけて該ヘッド本体8の外周からの幅が徐々に狭い形状とされている。また、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの先端(掘削ヘッド5の正回転方向)には、それぞれ傾斜面部8h,8i,8jが形成されている。これらの傾斜面部8h,8i,8jは、それぞれヘッド本体8の外周と、第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの境界線と、ヘッド本体8の正面との境界線とにより、略三角形状とされてなるものであり、ヘッド本体8の外周とヘッド本体8の正面との境界線とにより形成される頂点から、第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの境界線までの範囲で徐々に該ヘッド本体8の肉厚が薄くなるように傾斜している。そして、上記第1ないし第3の移動板9,10,11を軸支する第1ないし第3の支軸12,13,14は、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの最も幅広の部位に固定されている。
【0026】
そして、上記掘削ヘッド5の正面には、図3に示すように、多数の掘削ビット15が固定されている。具体的には、上記掘削ビット15は、上記ヘッド本体8の正面であって、上記第1の移動板9と第2の移動板10との間に2つ、第2の移動板10と第3の移動板11との間に3つ、そして第3の移動板11と第1の移動板9との間に4つ固定されている。また、上記第1ないし第3の移動板9,10,11の先端側中途部にそれぞれ2つずつ配置されている。そして、これらの掘削ビット15は、基端側から先端側にかけて掘削ヘッド5の正回転方向に徐々に近づくように傾斜している。
【0027】
したがって、地中で上記掘削ヘッド5が正回転するとともに前方に押圧されると、土砂は、上記各傾斜面部8h,8i,8jから上記第1ないし第3の移動板12,13,14の正面に到る。すると、土砂と上記各掘削ビット15との摩擦抵抗が生じ、第1ないし第3の移動板12,13,14は、図3に示す状態から、図2に示すように、時計回り方向にやや回転し、該第1ないし第3の移動板12,13,14の各先端がヘッド本体8の外周よりも外側に突出する。こうした状態により、地山は上記各掘削ビット15により上記先導体2の外径と略同じ範囲で掘削される。また、上記正回転されている掘削ヘッド5を停止させ、逆回転させることにより、それまで外側に先端が突出していた第1ないし第3の移動板9,10,11は、各掘削ビット15と土砂との抵抗又は該掘削ヘッド5の外周に存在する土砂と第1ないし第3の移動板9,10,11との抵抗により、図2に示す状態から各支軸12,13,14を中心に図2中反時計回り方向に回転し、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fとヘッド本体8の正面との段差部(符号は省略する。)により、それ以上第1ないし第3の移動板9,10,11は回転することがなく、図3に示す状態となる。すなわち、それまで先端がヘッド本体8の外側に突出していた第1ないし第3の移動板9,10,11は、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fに収まり、ヘッド本体8の外周よりも外側に突出しない状態となる。そして、図3に示す状態とされた後に、上記スクリュー4を手前(発進位置方向)に移動させると、上記掘削ヘッド5に形成された一方の縮径面8bは、上記内筒体側リング7に形成された他方の縮径面7cと接合し、さらにスクリュー4を手前に移動させると、該スクリュー4と内筒体3とが一体的に手前に移動する(引き出される)。
【0028】
以下、上述した地中推進装置1を使用しながら地中を掘削し埋設管Pを敷設する方法に付いて説明する。この埋設管の敷設工法は、発進位置である発進立坑と、この発進立坑から離間した到達位置である到達立坑を形成し、上記発進立坑内に推進機20を設置する。この推進機20は、図4,図5又は図6に示すように、左右二本のレール21,22上に配置されてなるものである。これら二本のレール21,22は、上記発進立坑から到達立坑方向に向けて配置されてなるものであり、この推進機20をガイドするものである。また、上記二本のレール21,22のそれぞれの後端側上面には、左右の当接部材23,24(図6参照)が固定されている。そして、この発進機20は、上記二本のレール21,22の長さ方向にスライド可能に支持されたスライド部材25と、このスライド部材25に固定された左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27とを備えている。上記左油圧シリンダ26の図示しないシリンダロッドは、上記左の当接部材23に固定され、上記右油圧シリンダ27のシリンダロッド27aは、上記右の当接部材24に固定されている。したがって、上記左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27の駆動により、この推進機20は、前進及び後退する。また、上記スライド部材25の中心には、円盤状に成形された内側回動盤30が正回転及び逆回転自在に配置されている。この内側回動盤30は、後述する先導管を回転させる際及びスクリュー4を回転させる場合に使用される部位であり、該内側回動盤30の中心には、貫通穴30aが形成されてなり、また、該回動盤30の正面には、上記貫通穴30aと同径の内径を有するリング状の内側位置決め部30bが、該回動盤30の正面から突出している(図5参照)。また、上記スライド部材25の正面には、上記内側位置決め部30bの径よりも大径とされた外側位置決め部25aが突出しており、この外側位置決め部25aの内側には、外側回動盤29が回転自在に配置されている。この外側回動盤29は、ドーナツ状に成形されてなるものであり、後述する内筒体3を回動させる際に使用される部材である。なお、上記内側位置決め部30bは、後述する先導管内管を位置決めする部位であり、上記外側位置決め部25aは、上記内筒体3を位置決めする部位である。また、上記スライド部材25の背面には、図6に示すように、上記回動盤30を正回転及び逆回転させる6つの駆動モータ31が配置されている。
【0029】
そして、この埋設管の敷設工法においては、先ず、図7に示すように、発進立坑H1内に、上記推進機20を設置するとともに、上記回動盤30に先導管40の基端を取り付け、上記推進機20のスライド部材25を前進及び後退させることを繰り返すことにより、先導管40を到達立坑H2方向に圧入する。なお、上記先導管40は、鋼管からなる先導管外管41と、この先導管外管41内に挿通されてなる先導管内筒42とから構成されている。上記先導管内管42は、基端が上記推進機20を構成する内側位置決め部30bにより位置決めされるものであり、先端には、掘削用ビット43が固定されている。なお、上記先導管内管42の先端側の内部には、図示しない高輝度発光ダイオードが複数(三つ)固定されている。したがって、上記推進機20を構成する左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27の駆動により、上記スライド部材25を前進させるとともに、上記6つの駆動モータ31を駆動させることにより、上記掘削用ビット43が回転しながら到達立坑H2方向に圧入される。なお、上記要領により、上記左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27のストローク長さに対応した所定の長さの先導管40が地中に圧入されると、再び上記左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27を駆動させて元の状態に復帰させ、上記先導管外管42の後端に新たな先導管外管(符号は省略する。)を溶接することにより継ぎ足し、また、上記先導管内管42も同じように継ぎ足す。なお、上記先導管外管41は、必ずしも到達立坑H2に到達するまで継続的に継ぎ足す必要な無く、中途で継ぎ足すのを止め、先導管内管42のみを継ぎ足しても良い。
【0030】
こうした作業を繰り返すことにより、継ぎ足されて長尺とされた先導管40を構成する先導管内管42の先端が上記到達立坑H2内に到達すると、上記掘削用ビット43を取り外し、該先導管内管42の先端を、図8に示すように、固定金具44により到達立坑H2内壁に固定する。次いで、上記推進機20を利用して、上記先導管外管41のみを発進立坑H1方向に引き抜く(1工程目の終了)。そして、こうした先導管外管41を全て引き抜いた後には、2工程目の作業として、上記地中推進装置1を使用して、埋設管Pを順次埋設する。
【0031】
この地中推進装置1を使用した埋設管Pの埋設工法は、先ず、上記先導管内管(以下、単に先導管40という。)40の発進立坑H1側の端部側を上記掘削ヘッド5に形成された貫通穴8cに挿通し、次いでこの掘削ヘッド5の背面に上記スクリュー4を構成する筒状部4aの先端を固定する。次に、上記スクリュー4の外側に上記先導体2が位置するようにし、さらに、この先導体2内に上記内筒体3を挿通しながら、該内筒体3内に上記スクリュー4が挿通されるようにセットする。上記先導体2内に内筒体3を挿入することにより、該内筒体3の先端に固定された他方の係合部7aと、先導体側リング6に形成された一方の係合部6bとが互いに係合する。したがって、上記内筒体3を到達立坑H2方向に押圧することにより、先導体2も押圧される。そこで、上記(短い)内筒体3の後端を上記推進機20のスライド部材25に設けられた外側位置決め部25aに係合させるとともに、上記(短い)スクリュー4を構成する筒状部4aの後端を上記回動盤30に固定する。こうした作業が終了すると、上記推進機20を前進駆動させ、上記スクリュー4及び内筒体3を前方(到達立坑H2側)に押圧するとともに、上記6つの駆動モータ31を正回転させる。こうした作業により、上記掘削ヘッド5は正回転し、該掘削ヘッド5(のヘッド本体8)の正面に固定された掘削ビット15により地中が掘削されるとともに、この地中推進装置1全体は、上記掘削ヘッド5及びスクリュー4を構成する円筒部4a内に挿通された先導管40にガイドされながら先進する。なお、上記掘削ヘッド5により掘削された土砂は、該掘削ヘッド5の外周側から背面側に移動し、さらに上記内筒体3内を通過して発進立坑H1に移送される。こうして発進立坑H1に移送された土砂は、図示しない手段により、地上に搬送される。
【0032】
そして、所定長さ(左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27のストローク長さ)推進させると、次いで、上記スクリュー4、内筒体3を継ぎ足すとともに、上記先導体2には埋設管Pを溶接する。こうした作業が終了すると、全体を再び上記推進機20を使用して、到達立坑H2方向に推進させる。図9は、こうした要領により複数の推進管Pを先導体2に継ぎ足しながら所定距離敷設した後の状態を模式的に示すものである。そして、この状態において、上記掘削ヘッド5が地中の図示しない礫やコンクリート等の障害物に当たり、その位置よりもさらに前進しない場合には、一旦上記駆動モータ31の駆動を停止させ、次いで該駆動モータ31を逆回転させる。こうした駆動モータ31の逆回転により上記掘削ヘッド5も逆回転し、これに伴いそれまで先端が外側に突出していた(開いていた)第1ないし第3の移動板9,10,11は、前述したように、各掘削ビット15と土砂との抵抗により、図2に示す状態から各支軸12,13,14を中心に図2中反時計回り方向に回転し、図3に示す状態となる。すなわち、それまで先端がヘッド本体8の外側に突出していた第1ないし第3の移動板9,10,11は、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fに収まり、ヘッド本体8の外周よりも外側に突出しない状態となる。そして、図3に示す状態とされた後に、上記スクリュー4を手前(発進位置方向)に移動させると、上記掘削ヘッド5に形成された一方の縮径面8bは、上記内筒体側リング7に形成された他方の縮径面7cと接合し、さらにスクリュー4を手前に移動させると、該スクリュー4と内筒体3とが一体的に手前に移動する(引き出される)。
【0033】
こうした引き出し作業ないし掘削ヘッド5の交換作業を説明すると、先ず、上記スクリュー4の後端を上記推進機20に固定し、上記(左右の)油圧シリンダ26,27を駆動させることにより、先端に掘削ヘッド5が固定されたスクリュー4及び内筒体3を所定の長さ(左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27のストローク長さ)の分だけ発進立坑H1内に引き出し、先に継ぎ足した部位を切断したり図示しないボルト・ナットによる締結状態を解除したりしながら取り除き、再度(左右の)油圧シリンダ26,27を駆動させることにより所定の長さ引き出す。図10は、掘削ヘッド5及びスクリュー4並びに内筒体3が、やや発進立坑H1方向に引き出され、やや移動した後の状態を拡大して示すものであり、図11は、先導体2及び敷設された埋設管Pを残した状態で、掘削ヘッド5及びスクリュー4並びに内筒体3が引き出される途中を示すものである。こうした作業を繰り返すことにより、既に敷設された先導体2及び埋設管Pをそのままにした状態で、発進立坑H1内まで掘削ヘッド5を移動させることができ、この状態において、別個の掘削ヘッドに交換する。なお、新たな掘削ヘッドに交換した後には、前述した要領で、再びスクリュー4及び内筒体3をそれぞれ継ぎ足しながら、図3に示すように、上記内筒体側リング7に形成された他方の係合部7aと、先導体側リング6に形成された一方の係合部6bとが互いに係合するまで前進させ、されに前述した要領で、埋設管Pを到達立坑H2まで敷設する。
【0034】
そして、上述した要領で地中推進装置1が到達立坑H2まで推進した後には、前記掘削ヘッド5を交換する際の作業と同じように、発進立坑H1に設置した推進機20を利用しながら、図12に示すように、掘削ヘッド5及びスクリュー4並びに内筒体3を発進立坑H1方向に順次抜き出し、また、残置された先導体2に固定された先導体側リング6を取り外す。なお、上記先導体2とこれに後続する多数の埋設管Pは、同一の素材により同径に成形されていることから、埋設管Pの一部として地中に残置する。
【0035】
このように、上記地中推進装置1によれば、推進途中に礫やコンクリート等の障害物が存在し、それまで使用していた掘削ヘッド5を新たな掘削ヘッドに交換する必要性が生じた場合であっても、既に敷設した埋設管Pを全て発進立坑H1まで抜き出す必要性はなく、該埋設管Pはそのままの状態で交換することができる。したがって、この地中推進装置1によれば、既に敷設した埋設管Pを引き抜いた後に形成される空洞の崩壊により地盤沈下を起す危険性も防止することができ、また、充填材などを用いて上記空洞を埋める作業も必要なくなり、工期を短縮することができるとともに、コストも低減することができる。
【0036】
なお、上記実施の形態に係る地中推進装置1では、予め発進位置である発進立坑H1から到達位置である到達立坑H2に亘って敷設された先導管40にガイドされるものに本発明を適用したものであるが、本発明は、必ずしもこうした先導管40にガイドされる構造を備えている必要性はない。すなわち、掘削ヘッド5の中心には、先導体40が挿通される貫通穴8cが形成されている必要性はなく、また、スクリュー4の軸は、先導体40が挿通される円筒部4aとされている必要性はない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態に係る地中推進装置の要部を示す側断面図である。
【図2】第1ないし第3の移動板が開いた後の状態を示す掘削ヘッドの正面図である。
【図3】第1ないし第3の移動板が閉じた後の状態を示す掘削ヘッドの正面図である。
【図4】推進機を示す正面図である。
【図5】推進機を示す右側面図である。
【図6】推進機を示す背面図である。
【図7】先導管を敷設する工程を模式的に示す側面図である。
【図8】先導管を構成する先導管外管を除去する工程を模式的に示す側面図である。
【図9】地中推進装置の推進工程を模式的に示す側面図である。
【図10】先導体及び埋設管を残した状態で掘削ヘッド等がやや発進立坑方向に引かれた状態を拡大して示す側面図である。
【図11】先導体及び埋設管を残した状態で掘削ヘッド等が発進立坑方向に引かれた状態を示す側面図である。
【図12】埋設管を到達立坑まで敷設した後に、掘削ヘッド等が発進立坑方向に引かれた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 地中推進装置
2 先導体
3 内筒体
4 スクリュー
5 掘削ヘッド
6 先導体側リング
6b 一方の係合部
7 内筒体側リング
7a 他方の係合部
7c 他方の縮径面
8 ヘッド本体
8b 一方の縮径面
9 第1の移動板
10 第2の移動板
11 第3の移動板
12 第1の支軸
13 第2の支軸
14 第3の支軸
15 掘削ビット
H1 発進立坑
H2 到達立坑
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中を掘削しながら埋設管を連続して推進させ地中に該埋設管を敷設する際に使用される地中推進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば発進立坑等の発進位置から到達立坑等の到達位置に向かって多数の埋設管を順次上記発進位置から推進し、上記発進位置から到達位置に亘って埋設管を地中に設置する地中推進方法が知られており、こうした推進工法を行う装置として、地中推進装置が使用されている。
【0003】
この地中推進装置は、発進位置に配置された推進機と併用されるものであり、この推進機は、上記地中推進装置を到達位置方向に押圧する押圧機構と、後述するスクリューを回転させる回転機構を備えてなるものである。そして、上記地中推進装置は、後部には埋設管が連続する筒状の先導体と、この先導体内に挿通された内筒体と、この内筒体内に配置され外周に螺旋構造を備えてなるとともに回転可能なスクリューと、このスクリューの先端に固定され正面には複数の掘削ビットが固定された掘削ヘッドと、を備えている(特許文献1参照)。こうした従来の地中推進装置では、上記推進機により上記スクリューと掘削ヘッドとを回転駆動させながら、上記先導体に続く埋設管を到達位置方向に押圧することにより、地山が掘削されて徐々に先導体及び埋設管は推進して行くとともに、上記掘削ヘッドにより掘削された土砂は、上記スクリューの回転により上記内筒体内を通過して発進位置に搬送される。なお、上記地中推進装置により地中を推進する際には、推進距離に応じて上記埋設管を後方から継ぎ足すとともに、上記スクリュー並びに内筒体も継ぎ足して行く。
【特許文献1】特開2001−214690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、掘削しながら埋設管を敷設すべき地中には、多数の礫が存在したり、場合によっては過去に敷設された埋設管等の障害物が存在したりする場合がある。こうした障害物が存在する場合には、当初に配置した掘削ヘッドを交換しなければ、初期に予定された埋設管を敷設することができない。しかしながら、上述した従来の地中推進装置では、上記掘削ヘッドを交換するためには、既に敷設した埋設管も含めて、全てを発進位置まで撤去しなければならず、こうした作業は極めて面倒で且つ長い作業時間が必要となる。特に、埋設管として鋼管を使用し個々の鋼管を溶接しながら推進した場合には、引き抜いた鋼管を切断しなければならず、極めて過酷な作業となる。また、こうした鋼管を使用しない場合であったり溶接することなくボルト・ナット等の締結具を使用したりする場合であっても、引き抜いた後に形成される空洞の崩壊により地盤沈下を起す危険性もあることから、充填材などを用いて上記空洞を埋める作業も必要となり、工期を著しく遅延させる原因となるばかりか、膨大なコストが必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の地中推進装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、埋設管の敷設途中において掘削ヘッドを交換する必要性が生じた場合であっても、敷設した埋設管を撤去する必要性がなく、極めて簡単且つ短時間内に発進位置まで掘削ヘッドを撤去し交換することができる新規な地中推進装置を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した目的を達成するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、発進位置に配置された推進機により到達位置方向に押圧されるとともに後部には埋設管が連続する筒状の先導体と、この先導体内に挿通された内筒体と、この内筒体内に配置され外周に螺旋構造を備えてなるとともに回転可能なスクリューと、このスクリューの先端に固定され正面には複数の掘削ビットが固定された掘削ヘッドと、を備えてなる地中推進装置であって、上記掘削ヘッドは、上記先導体の内径よりも小さな外径であって上記内筒体の外径よりも大きな外径となされ略円盤状に成形されたヘッド本体と、このヘッド本体の正面に回動自在に軸支されてなるとともに正面には掘削ビットが固定されてなる複数の回動板とを有し、これら複数の回動板は、上記ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を掘削ビットが受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を掘削ビットが受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されてなることを特徴とするものである。
【0007】
この第1の発明では、スクリューの先端に固定された掘削ヘッドを該スクリューとともに正回転駆動させると、該掘削ヘッドを構成するヘッド本体の正面に複数固定された各回動板は、該回転板の正面に固定された掘削ビットと地中の土との抵抗により、先導体の外周よりも外側に移動する。そして、この掘削ヘッドが正回転することにより、地山が掘削され、掘削されることにより発生した土砂は、上記内筒体内に流入し、上記スクリューの回転により発進位置まで移送される。こうした動作とともに、上記先導体及びこれに後続する埋設管、内筒体及びスクリュー並びに掘削ヘッドは、発進位置から押圧され、この結果徐々に全体が地中を推進して行く。なお、上記掘削ヘッドを構成する各回動板の先端は、先導体の外周よりも外側に位置しているので、該先導体やこれに後続する埋設管の外周面と地山との摩擦抵抗が低減される。そして、こうした推進中に、上記掘削ヘッドが礫などの障害物に当たり、該掘削ヘッドを交換する必要性が生じた場合には、上記スクリュー及び掘削ヘッドを逆回転させる。こうした掘削ヘッドの逆回転により、それまで先導体の外周よりも外側に突出していた各回動板は、該回動板の正面に固定された掘削ビットと土砂との抵抗により上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動する。このように各回動板が移動すると、ヘッド本体の外径は先導体の内径よりも小さいことから、推進した先導体と埋設管とをそのままにした状態で、上記内筒体とスクリュー及び掘削ヘッドとを発進位置まで引き抜くことができ、ひいては掘削ヘッドを交換することができる。
【0008】
なお、上記掘削ヘッドは、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されたものであっても良いし、掘削された土砂が流入する開口が形成されたものであっても良い。また、この掘削ヘッドを構成する回動板は、少なくとも二つ以上設けられている必要があり、それぞれヘッド本体の正面に回動自在に配置され、正面には掘削ビットが固定されている必要がある。これらの回動板の回動範囲は、先端が上記先導体の外周よりも外側に突出する位置から、該ヘッド本体の外周よりも内側に収まる位置であり、該回動板の回動中心となる位置は特に限定されない。但し、これらの回動板は、ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されている必要がある。例えば、ヘッド本体の外周側に任意の回動中心とヘッド本体の中心とを結んだ線よりも掘削ビットの配置位置は、正回転方向に位置している必要があるとともに、(上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動した場合における)上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度は、45度以上170度未満とすることが望ましい。なお、上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度を45度未満とする場合には、掘削ヘッドが正回転した場合に、地中の土の抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出しないおそれがあり、また、上記角度が170度以上である場合には、回転中心から掘削ビットまでの距離が短くなり、上記先導体の外周よりも外側まで掘削できない可能性がある。したがって、上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度は、50度から90度の範囲とすることがより好ましい。
【0009】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記ヘッド本体の正面には、該ヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制する規制部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明では、ヘッド本体が逆回転することにより、それぞれ地中の土の抵抗を掘削ビットが受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動した場合、上記回転中心と掘削ビットとを結んだ線と該回転中心とヘッド本体の中心とを結んだ線との角度が、45度よりも狭い位置まで移動してしまうと、掘削ヘッドを交換した後に正回転させた際、掘削ビットと土との抵抗により、回動板の先端がヘッド本体の外側に開くよう回転しないおそれがある。この第2の発明によれば、こうした不都合を解消することができる。
【0011】
なお、上記規制部は、少なくともヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制するものであれば良く、例えば、ヘッド本体の正面に凸部を形成し、この凸部が回動板に当接するように構成したものであっても良いし、回動板の外形形状に対応した薄肉部をヘッド本体の正面に形成し、この薄肉部と通常の肉厚とされた部位の境目を形成する起立面に回動板が当接するようにしたものであっても良い。
【0012】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかの発明において、前記ヘッド本体の中央には、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されてなるとともに、前記スクリューの中央には、上記貫通穴と同一の軸心を有し上記誘導管が挿通される筒状部が形成されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第3の発明に係る地中推進装置では、発進位置から到達位置に亘って予め誘導管を推進させ、この誘導管にガイドされながら推進するタイプの地中推進装置に適用できるようにしたものである。
【0014】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1、第2又は第3の発明の何れかの発明において、前記先導体の先端には、一方の係合部が形成された先導体側リングが固定され、前記内筒体の先端には、上記一方の係合部に係合する他方の係合部が形成されてなるとともに、上記先導体側リングと共働して先導体と内筒体との間を閉塞する内筒体側リングが固定されてなることを特徴とするものである。
【0015】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第4の発明において、前記掘削ヘッドの外周面には、背面側にかけて徐々に縮径された一方の縮径面が形成されてなるとともに、前記内筒体側リングの内周面は、前記掘削ヘッドに形成された一方の縮径面に対応して徐々に縮径されてなる他方の縮径面が形成されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)によれば、埋設管の敷設途中において掘削ヘッドを交換する必要性が生じた場合であっても、敷設した埋設管を撤去する必要性がなく、極めて簡単且つ短時間内に発進位置まで掘削ヘッドを撤去し交換することができる。すなわち、この地中推進装置を構成する掘削ヘッドは、上記先導体の内径よりも小さな外径であって上記内筒体の外径よりも大きな外径となされ略円盤状に成形されたヘッド本体と、このヘッド本体の正面に回動自在に軸支されてなるとともに正面には掘削ビットが固定されてなる複数の回動板とを有し、これら複数の回動板は、上記ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されてなることから、上記各回動板に固定された掘削ビットにより地山を上記先導体の外径よりも大きな径で掘削することができる一方、掘削ヘッドを逆回転させることにより、上記各回動板をヘッド本体の外周よりも内側に移動させることにより、先導体と敷設された埋設管をそのままにした状態で、上記内筒体とスクリュー及び掘削ヘッドとを発進位置まで引き抜くことができ、ひいては掘削ヘッドを交換することができる。
【0017】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、ヘッド本体の正面には、該ヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制する規制部が形成されてなることから、掘削ヘッドを正回転した場合に、回動板が掘削ビットと地中の土との抵抗を受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出しない事態を有効に防止することができる。
【0018】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、ヘッド本体の中央には、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されてなるとともに、前記スクリューの中央には、上記貫通穴と同一の軸心を有し上記誘導管が挿通される筒状部が形成されてなることから、発進位置から到達位置に亘って予め誘導管を推進させ、この誘導管にガイドされながら埋設管を真っ直ぐに、且つ、正確に敷設することができる。
【0019】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、発進位置に配置された推進機により、内筒体を到達位置方向に押圧すると、先導体側リングに形成された一方の係合部と内筒体側リングに形成された他方の係合部とが係合することにより、先導体も内筒体と一体的に推進させることができ、しかも、この内筒体側リングは、上記先導体側リングと共働して先導体と内筒体との間を閉塞することから、掘削ヘッドにより掘削された土砂が、先導体と内筒体との間に侵入する危険性がない。
【0020】
また、第5の発明(請求項4記載の発明)では、内筒体側リングの内周面は、掘削ヘッドに形成された一方の縮径面に対応して徐々に縮径されてなる他方の縮径面が形成されてなることから、先ず、スクリューと掘削ヘッドを発進位置方向に移動させると、上記一方の縮径面と他方の縮径面とが当接し、その上でスクリュー及び掘削ヘッドと内筒体とを発進位置方向に移動させることにより、残置される先導体内に土砂が流入する危険性を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る地中推進装置を、図面を参照しながら工程順に詳細に説明する。なお、この実施の形態に係る地中推進装置は、(一工程目において)予め敷設された誘導管にガイドされながら(二工程目に)地中を推進する地中推進装置に本発明を適用したものである。そこで、以下、この地中推進装置の実施の形態を詳細に説明し、次いで、この地中推進装置を用いた地中推進工法に付いて簡単に説明する。
【0022】
この地中推進装置1は、図1に示すように、先導体2と、内筒体3と、スクリュー4と、掘削ヘッド5を備えている。上記先導体2は、鋼製からなる筒状体であり、先端には、先導体側リング6が固定されている。なお、この先導体2は、先導体側リング6を除いて基本的に該先導体2に後続して地中に敷設される埋設管と同一である。そして、上記先導体側リング6は、上記先導体2の先端が挿入されるリング状の凹部6aが背面に形成され、内周側に位置する部位の背面は、本発明を構成する一方の係合部6bとされている。なお、上記先導体2の後端は、該先導体2の外径と略同じ外径となされた埋設管Pが順次継ぎ足されながら固定されて行くものである。また、上記先導体側リング6の内周面には、後述する内筒体側リング7の外周面との間でのシール性を図る二つのオーリング(符号は省略する。)が配置されている。また、上記内筒体3は、上記先導体2(及び埋設管P)の内径よりも小径の外径を有してなる筒状体であり、先端の外周には、内筒体側リング7が固定されている。この内筒体側リング7は、上記先導体側リング6に形成された一方の係合部6bに対して後方から前方側に該内筒体3を移動させた場合に係合(当接)する他方の係合部7aがリング状に形成されている。また、この他方の係合部7aの形成位置よりも前方側の外径は、上記先導体側リング6の内径よりも僅かに小径とされてなるものであり、先端には上記内筒体3の先端よりも前方に突出したリング状突出部7bが形成されている。そして、このリング状突出部7bの内周面は、先端側から基端側にかけて徐々に縮径された他方の縮径面7cとされている。なお、こうした内筒体側リング7が先端に固定された内筒体3は、前端外周及び後端外周にそれぞれフランジ部3a,3bが形成され、特定の内筒体3の後端外周に形成されたフランジ部3aと、この特定の内筒体3に後続する他の内筒体3の前端外周に形成されたフランジ部3aとをボルト及びナット(何れも符号は省略する。)を介して互いに固定することにより(地中推進装置1の推進に伴い)順番に継ぎ足されて行くものである。
【0023】
また、上記内筒体3内には、スクリュー4が挿通されている。このスクリュー4は、円筒状に成形された筒状部4aと、この筒状部4aの外周に形成された螺旋状の羽根部4bとから構成されてなるものである。上記筒状部4aの内径は、後述する先導管の外径よりも大きな内径とされている。なお、このスクリュー4も、上記内筒体3と同じように、地中推進装置1の推進に伴い徐々に継ぎ足されて行くものである。
【0024】
そして、このスクリュー4の先端には、掘削ヘッド5が固定されている。この掘削ヘッド5は、図2に示すように、全体形状が略円板状に成形されたヘッド本体8と、このヘッド本体8に回動自在に軸支された第1ないし第3の移動板9,10,11とを備えている。上記ヘッド本体8は、図1に示すように、上記先導体2の内径及び先導体側リング6の内径よりも小さな外径を有しているとともに、該ヘッド本体8の外周面は、同一の外径とされた同径面8aと、この同径面8aの後方に形成された(一方の)縮径面8bとから構成され、この一方の縮径面8bは、上記内筒体側リング7に形成された他方の縮径面7cに対応している。すなわち、後述するように、上記一方の縮径面8bと他方の縮径面7cとは相互に密着するように、互いにその縮径率は同一とされている。また、上記ヘッド本体8には、図1及び図2に示すように、中心に(予め敷設された先導管が挿通される)貫通穴8cが形成され、この貫通穴8cと、上記スクリュー4を構成する筒状部4aと同じ軸心とされている。また、上述した形状に成形されたヘッド本体8の正面には、第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fがヘッド本体8の回転方向に対して等間隔に形成されており、上記第1の薄肉部8dには、上記第1の移動板9が第1の支軸12により回動自在に軸支され、上記第2の薄肉部8eには、上記第2の移動板10が第2の支軸13により回動可能に軸支され、上記第3の薄肉部8fには、上記第3の移動板11が第3の支軸14により回動自在に軸支されている。なお、図2中、最も外側に一点鎖線で示された部位は、上記先導体2の外径である。また、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fは、上記ヘッド本体8の外周面側に形成されてなるものであり、該第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの形状は、上記第1ないし第3の移動板9,10,11の外形形状と略同一とされている。なお、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fとヘッド本体8の正面との段差部(符号は省略する。)は、本発明を構成する規制部である。
【0025】
そして、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの形状は、ヘッド本体8の外周から該ヘッド本体8中心方向に最も幅広とされた部位から正回転方向(図2中反時計回り方向)にかけて該ヘッド本体8の外周からの幅が徐々に狭い形状とされている。また、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの先端(掘削ヘッド5の正回転方向)には、それぞれ傾斜面部8h,8i,8jが形成されている。これらの傾斜面部8h,8i,8jは、それぞれヘッド本体8の外周と、第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの境界線と、ヘッド本体8の正面との境界線とにより、略三角形状とされてなるものであり、ヘッド本体8の外周とヘッド本体8の正面との境界線とにより形成される頂点から、第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの境界線までの範囲で徐々に該ヘッド本体8の肉厚が薄くなるように傾斜している。そして、上記第1ないし第3の移動板9,10,11を軸支する第1ないし第3の支軸12,13,14は、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fの最も幅広の部位に固定されている。
【0026】
そして、上記掘削ヘッド5の正面には、図3に示すように、多数の掘削ビット15が固定されている。具体的には、上記掘削ビット15は、上記ヘッド本体8の正面であって、上記第1の移動板9と第2の移動板10との間に2つ、第2の移動板10と第3の移動板11との間に3つ、そして第3の移動板11と第1の移動板9との間に4つ固定されている。また、上記第1ないし第3の移動板9,10,11の先端側中途部にそれぞれ2つずつ配置されている。そして、これらの掘削ビット15は、基端側から先端側にかけて掘削ヘッド5の正回転方向に徐々に近づくように傾斜している。
【0027】
したがって、地中で上記掘削ヘッド5が正回転するとともに前方に押圧されると、土砂は、上記各傾斜面部8h,8i,8jから上記第1ないし第3の移動板12,13,14の正面に到る。すると、土砂と上記各掘削ビット15との摩擦抵抗が生じ、第1ないし第3の移動板12,13,14は、図3に示す状態から、図2に示すように、時計回り方向にやや回転し、該第1ないし第3の移動板12,13,14の各先端がヘッド本体8の外周よりも外側に突出する。こうした状態により、地山は上記各掘削ビット15により上記先導体2の外径と略同じ範囲で掘削される。また、上記正回転されている掘削ヘッド5を停止させ、逆回転させることにより、それまで外側に先端が突出していた第1ないし第3の移動板9,10,11は、各掘削ビット15と土砂との抵抗又は該掘削ヘッド5の外周に存在する土砂と第1ないし第3の移動板9,10,11との抵抗により、図2に示す状態から各支軸12,13,14を中心に図2中反時計回り方向に回転し、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fとヘッド本体8の正面との段差部(符号は省略する。)により、それ以上第1ないし第3の移動板9,10,11は回転することがなく、図3に示す状態となる。すなわち、それまで先端がヘッド本体8の外側に突出していた第1ないし第3の移動板9,10,11は、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fに収まり、ヘッド本体8の外周よりも外側に突出しない状態となる。そして、図3に示す状態とされた後に、上記スクリュー4を手前(発進位置方向)に移動させると、上記掘削ヘッド5に形成された一方の縮径面8bは、上記内筒体側リング7に形成された他方の縮径面7cと接合し、さらにスクリュー4を手前に移動させると、該スクリュー4と内筒体3とが一体的に手前に移動する(引き出される)。
【0028】
以下、上述した地中推進装置1を使用しながら地中を掘削し埋設管Pを敷設する方法に付いて説明する。この埋設管の敷設工法は、発進位置である発進立坑と、この発進立坑から離間した到達位置である到達立坑を形成し、上記発進立坑内に推進機20を設置する。この推進機20は、図4,図5又は図6に示すように、左右二本のレール21,22上に配置されてなるものである。これら二本のレール21,22は、上記発進立坑から到達立坑方向に向けて配置されてなるものであり、この推進機20をガイドするものである。また、上記二本のレール21,22のそれぞれの後端側上面には、左右の当接部材23,24(図6参照)が固定されている。そして、この発進機20は、上記二本のレール21,22の長さ方向にスライド可能に支持されたスライド部材25と、このスライド部材25に固定された左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27とを備えている。上記左油圧シリンダ26の図示しないシリンダロッドは、上記左の当接部材23に固定され、上記右油圧シリンダ27のシリンダロッド27aは、上記右の当接部材24に固定されている。したがって、上記左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27の駆動により、この推進機20は、前進及び後退する。また、上記スライド部材25の中心には、円盤状に成形された内側回動盤30が正回転及び逆回転自在に配置されている。この内側回動盤30は、後述する先導管を回転させる際及びスクリュー4を回転させる場合に使用される部位であり、該内側回動盤30の中心には、貫通穴30aが形成されてなり、また、該回動盤30の正面には、上記貫通穴30aと同径の内径を有するリング状の内側位置決め部30bが、該回動盤30の正面から突出している(図5参照)。また、上記スライド部材25の正面には、上記内側位置決め部30bの径よりも大径とされた外側位置決め部25aが突出しており、この外側位置決め部25aの内側には、外側回動盤29が回転自在に配置されている。この外側回動盤29は、ドーナツ状に成形されてなるものであり、後述する内筒体3を回動させる際に使用される部材である。なお、上記内側位置決め部30bは、後述する先導管内管を位置決めする部位であり、上記外側位置決め部25aは、上記内筒体3を位置決めする部位である。また、上記スライド部材25の背面には、図6に示すように、上記回動盤30を正回転及び逆回転させる6つの駆動モータ31が配置されている。
【0029】
そして、この埋設管の敷設工法においては、先ず、図7に示すように、発進立坑H1内に、上記推進機20を設置するとともに、上記回動盤30に先導管40の基端を取り付け、上記推進機20のスライド部材25を前進及び後退させることを繰り返すことにより、先導管40を到達立坑H2方向に圧入する。なお、上記先導管40は、鋼管からなる先導管外管41と、この先導管外管41内に挿通されてなる先導管内筒42とから構成されている。上記先導管内管42は、基端が上記推進機20を構成する内側位置決め部30bにより位置決めされるものであり、先端には、掘削用ビット43が固定されている。なお、上記先導管内管42の先端側の内部には、図示しない高輝度発光ダイオードが複数(三つ)固定されている。したがって、上記推進機20を構成する左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27の駆動により、上記スライド部材25を前進させるとともに、上記6つの駆動モータ31を駆動させることにより、上記掘削用ビット43が回転しながら到達立坑H2方向に圧入される。なお、上記要領により、上記左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27のストローク長さに対応した所定の長さの先導管40が地中に圧入されると、再び上記左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27を駆動させて元の状態に復帰させ、上記先導管外管42の後端に新たな先導管外管(符号は省略する。)を溶接することにより継ぎ足し、また、上記先導管内管42も同じように継ぎ足す。なお、上記先導管外管41は、必ずしも到達立坑H2に到達するまで継続的に継ぎ足す必要な無く、中途で継ぎ足すのを止め、先導管内管42のみを継ぎ足しても良い。
【0030】
こうした作業を繰り返すことにより、継ぎ足されて長尺とされた先導管40を構成する先導管内管42の先端が上記到達立坑H2内に到達すると、上記掘削用ビット43を取り外し、該先導管内管42の先端を、図8に示すように、固定金具44により到達立坑H2内壁に固定する。次いで、上記推進機20を利用して、上記先導管外管41のみを発進立坑H1方向に引き抜く(1工程目の終了)。そして、こうした先導管外管41を全て引き抜いた後には、2工程目の作業として、上記地中推進装置1を使用して、埋設管Pを順次埋設する。
【0031】
この地中推進装置1を使用した埋設管Pの埋設工法は、先ず、上記先導管内管(以下、単に先導管40という。)40の発進立坑H1側の端部側を上記掘削ヘッド5に形成された貫通穴8cに挿通し、次いでこの掘削ヘッド5の背面に上記スクリュー4を構成する筒状部4aの先端を固定する。次に、上記スクリュー4の外側に上記先導体2が位置するようにし、さらに、この先導体2内に上記内筒体3を挿通しながら、該内筒体3内に上記スクリュー4が挿通されるようにセットする。上記先導体2内に内筒体3を挿入することにより、該内筒体3の先端に固定された他方の係合部7aと、先導体側リング6に形成された一方の係合部6bとが互いに係合する。したがって、上記内筒体3を到達立坑H2方向に押圧することにより、先導体2も押圧される。そこで、上記(短い)内筒体3の後端を上記推進機20のスライド部材25に設けられた外側位置決め部25aに係合させるとともに、上記(短い)スクリュー4を構成する筒状部4aの後端を上記回動盤30に固定する。こうした作業が終了すると、上記推進機20を前進駆動させ、上記スクリュー4及び内筒体3を前方(到達立坑H2側)に押圧するとともに、上記6つの駆動モータ31を正回転させる。こうした作業により、上記掘削ヘッド5は正回転し、該掘削ヘッド5(のヘッド本体8)の正面に固定された掘削ビット15により地中が掘削されるとともに、この地中推進装置1全体は、上記掘削ヘッド5及びスクリュー4を構成する円筒部4a内に挿通された先導管40にガイドされながら先進する。なお、上記掘削ヘッド5により掘削された土砂は、該掘削ヘッド5の外周側から背面側に移動し、さらに上記内筒体3内を通過して発進立坑H1に移送される。こうして発進立坑H1に移送された土砂は、図示しない手段により、地上に搬送される。
【0032】
そして、所定長さ(左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27のストローク長さ)推進させると、次いで、上記スクリュー4、内筒体3を継ぎ足すとともに、上記先導体2には埋設管Pを溶接する。こうした作業が終了すると、全体を再び上記推進機20を使用して、到達立坑H2方向に推進させる。図9は、こうした要領により複数の推進管Pを先導体2に継ぎ足しながら所定距離敷設した後の状態を模式的に示すものである。そして、この状態において、上記掘削ヘッド5が地中の図示しない礫やコンクリート等の障害物に当たり、その位置よりもさらに前進しない場合には、一旦上記駆動モータ31の駆動を停止させ、次いで該駆動モータ31を逆回転させる。こうした駆動モータ31の逆回転により上記掘削ヘッド5も逆回転し、これに伴いそれまで先端が外側に突出していた(開いていた)第1ないし第3の移動板9,10,11は、前述したように、各掘削ビット15と土砂との抵抗により、図2に示す状態から各支軸12,13,14を中心に図2中反時計回り方向に回転し、図3に示す状態となる。すなわち、それまで先端がヘッド本体8の外側に突出していた第1ないし第3の移動板9,10,11は、上記第1ないし第3の薄肉部8d,8e,8fに収まり、ヘッド本体8の外周よりも外側に突出しない状態となる。そして、図3に示す状態とされた後に、上記スクリュー4を手前(発進位置方向)に移動させると、上記掘削ヘッド5に形成された一方の縮径面8bは、上記内筒体側リング7に形成された他方の縮径面7cと接合し、さらにスクリュー4を手前に移動させると、該スクリュー4と内筒体3とが一体的に手前に移動する(引き出される)。
【0033】
こうした引き出し作業ないし掘削ヘッド5の交換作業を説明すると、先ず、上記スクリュー4の後端を上記推進機20に固定し、上記(左右の)油圧シリンダ26,27を駆動させることにより、先端に掘削ヘッド5が固定されたスクリュー4及び内筒体3を所定の長さ(左油圧シリンダ26及び右油圧シリンダ27のストローク長さ)の分だけ発進立坑H1内に引き出し、先に継ぎ足した部位を切断したり図示しないボルト・ナットによる締結状態を解除したりしながら取り除き、再度(左右の)油圧シリンダ26,27を駆動させることにより所定の長さ引き出す。図10は、掘削ヘッド5及びスクリュー4並びに内筒体3が、やや発進立坑H1方向に引き出され、やや移動した後の状態を拡大して示すものであり、図11は、先導体2及び敷設された埋設管Pを残した状態で、掘削ヘッド5及びスクリュー4並びに内筒体3が引き出される途中を示すものである。こうした作業を繰り返すことにより、既に敷設された先導体2及び埋設管Pをそのままにした状態で、発進立坑H1内まで掘削ヘッド5を移動させることができ、この状態において、別個の掘削ヘッドに交換する。なお、新たな掘削ヘッドに交換した後には、前述した要領で、再びスクリュー4及び内筒体3をそれぞれ継ぎ足しながら、図3に示すように、上記内筒体側リング7に形成された他方の係合部7aと、先導体側リング6に形成された一方の係合部6bとが互いに係合するまで前進させ、されに前述した要領で、埋設管Pを到達立坑H2まで敷設する。
【0034】
そして、上述した要領で地中推進装置1が到達立坑H2まで推進した後には、前記掘削ヘッド5を交換する際の作業と同じように、発進立坑H1に設置した推進機20を利用しながら、図12に示すように、掘削ヘッド5及びスクリュー4並びに内筒体3を発進立坑H1方向に順次抜き出し、また、残置された先導体2に固定された先導体側リング6を取り外す。なお、上記先導体2とこれに後続する多数の埋設管Pは、同一の素材により同径に成形されていることから、埋設管Pの一部として地中に残置する。
【0035】
このように、上記地中推進装置1によれば、推進途中に礫やコンクリート等の障害物が存在し、それまで使用していた掘削ヘッド5を新たな掘削ヘッドに交換する必要性が生じた場合であっても、既に敷設した埋設管Pを全て発進立坑H1まで抜き出す必要性はなく、該埋設管Pはそのままの状態で交換することができる。したがって、この地中推進装置1によれば、既に敷設した埋設管Pを引き抜いた後に形成される空洞の崩壊により地盤沈下を起す危険性も防止することができ、また、充填材などを用いて上記空洞を埋める作業も必要なくなり、工期を短縮することができるとともに、コストも低減することができる。
【0036】
なお、上記実施の形態に係る地中推進装置1では、予め発進位置である発進立坑H1から到達位置である到達立坑H2に亘って敷設された先導管40にガイドされるものに本発明を適用したものであるが、本発明は、必ずしもこうした先導管40にガイドされる構造を備えている必要性はない。すなわち、掘削ヘッド5の中心には、先導体40が挿通される貫通穴8cが形成されている必要性はなく、また、スクリュー4の軸は、先導体40が挿通される円筒部4aとされている必要性はない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態に係る地中推進装置の要部を示す側断面図である。
【図2】第1ないし第3の移動板が開いた後の状態を示す掘削ヘッドの正面図である。
【図3】第1ないし第3の移動板が閉じた後の状態を示す掘削ヘッドの正面図である。
【図4】推進機を示す正面図である。
【図5】推進機を示す右側面図である。
【図6】推進機を示す背面図である。
【図7】先導管を敷設する工程を模式的に示す側面図である。
【図8】先導管を構成する先導管外管を除去する工程を模式的に示す側面図である。
【図9】地中推進装置の推進工程を模式的に示す側面図である。
【図10】先導体及び埋設管を残した状態で掘削ヘッド等がやや発進立坑方向に引かれた状態を拡大して示す側面図である。
【図11】先導体及び埋設管を残した状態で掘削ヘッド等が発進立坑方向に引かれた状態を示す側面図である。
【図12】埋設管を到達立坑まで敷設した後に、掘削ヘッド等が発進立坑方向に引かれた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 地中推進装置
2 先導体
3 内筒体
4 スクリュー
5 掘削ヘッド
6 先導体側リング
6b 一方の係合部
7 内筒体側リング
7a 他方の係合部
7c 他方の縮径面
8 ヘッド本体
8b 一方の縮径面
9 第1の移動板
10 第2の移動板
11 第3の移動板
12 第1の支軸
13 第2の支軸
14 第3の支軸
15 掘削ビット
H1 発進立坑
H2 到達立坑
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発進位置に配置された推進機により到達位置方向に押圧されるとともに後部には埋設管が連続する筒状の先導体と、この先導体内に挿通された内筒体と、この内筒体内に配置され外周に螺旋構造を備えてなるとともに回転可能なスクリューと、このスクリューの先端に固定され正面には複数の掘削ビットが固定された掘削ヘッドと、を備えてなる地中推進装置であって、
上記掘削ヘッドは、上記先導体の内径よりも小さな外径であって上記内筒体の外径よりも大きな外径となされ略円盤状に成形されたヘッド本体と、このヘッド本体の正面に回動自在に軸支されてなるとともに正面には掘削ビットが固定されてなる複数の回動板とを有し、
これら複数の回動板は、上記ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を掘削ビットが受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を掘削ビットが受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されてなることを特徴とする地中推進装置。
【請求項2】
前記ヘッド本体の正面には、該ヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制する規制部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の地中推進装置。
【請求項3】
前記ヘッド本体の中央には、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されてなるとともに、前記スクリューの中央には、上記貫通穴と同一の軸心を有し上記誘導管が挿通される筒状部が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の地中推進装置。
【請求項4】
前記先導体の先端には、一方の係合部が形成された先導体側リングが固定され、前記内筒体の先端には、上記一方の係合部に係合する他方の係合部が形成されてなるとともに、上記先導体側リングと共働して先導体と内筒体との間を閉塞する内筒体側リングが固定されてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の地中推進装置。
【請求項5】
前記掘削ヘッドの外周面には、背面側にかけて徐々に縮径された一方の縮径面が形成されてなるとともに、前記内筒体側リングの内周面は、前記掘削ヘッドに形成された一方の縮径面に対応して徐々に縮径されてなる他方の縮径面が形成されてなることを特徴とする請求項4記載の地中推進装置。
【請求項1】
発進位置に配置された推進機により到達位置方向に押圧されるとともに後部には埋設管が連続する筒状の先導体と、この先導体内に挿通された内筒体と、この内筒体内に配置され外周に螺旋構造を備えてなるとともに回転可能なスクリューと、このスクリューの先端に固定され正面には複数の掘削ビットが固定された掘削ヘッドと、を備えてなる地中推進装置であって、
上記掘削ヘッドは、上記先導体の内径よりも小さな外径であって上記内筒体の外径よりも大きな外径となされ略円盤状に成形されたヘッド本体と、このヘッド本体の正面に回動自在に軸支されてなるとともに正面には掘削ビットが固定されてなる複数の回動板とを有し、
これら複数の回動板は、上記ヘッド本体の正回転時には、地中の土の抵抗を掘削ビットが受けてそれぞれ先端が上記先導体の外周よりも外側に突出するよう移動し、逆回転時には、それぞれ地中の土の抵抗を掘削ビットが受けて上記ヘッド本体の外周よりも内側に移動するよう配置されてなることを特徴とする地中推進装置。
【請求項2】
前記ヘッド本体の正面には、該ヘッド本体の逆回転時に移動した前記各回動板が当接しそれ以上移動することを規制する規制部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の地中推進装置。
【請求項3】
前記ヘッド本体の中央には、予め地中に推進設置される誘導管が挿通される円形状の貫通穴が形成されてなるとともに、前記スクリューの中央には、上記貫通穴と同一の軸心を有し上記誘導管が挿通される筒状部が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の地中推進装置。
【請求項4】
前記先導体の先端には、一方の係合部が形成された先導体側リングが固定され、前記内筒体の先端には、上記一方の係合部に係合する他方の係合部が形成されてなるとともに、上記先導体側リングと共働して先導体と内筒体との間を閉塞する内筒体側リングが固定されてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の地中推進装置。
【請求項5】
前記掘削ヘッドの外周面には、背面側にかけて徐々に縮径された一方の縮径面が形成されてなるとともに、前記内筒体側リングの内周面は、前記掘削ヘッドに形成された一方の縮径面に対応して徐々に縮径されてなる他方の縮径面が形成されてなることを特徴とする請求項4記載の地中推進装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−328729(P2006−328729A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151815(P2005−151815)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(596119571)サン・シールド株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(596119571)サン・シールド株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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