地中熱利用の循環型吸放熱装置
【課題】施工コストの低減を達成できながら、歩道や駐車場等の融雪や、舗装部等の冷却を効率よく行なうことのできる循環型吸放熱装置を提供する。
【解決手段】地中に浅く埋設されたコンクリート製の水槽2と、吸放熱領域3に埋設される吸放熱パイプ5と、吸放熱パイプ5と水槽2との間で媒体液6を循環させるポンプ7とを具える。水槽2の上面部9を除き、水槽2の側面部10を覆う如く、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層11が設けられている。高熱伝導層11は、側面10を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆う。
【解決手段】地中に浅く埋設されたコンクリート製の水槽2と、吸放熱領域3に埋設される吸放熱パイプ5と、吸放熱パイプ5と水槽2との間で媒体液6を循環させるポンプ7とを具える。水槽2の上面部9を除き、水槽2の側面部10を覆う如く、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層11が設けられている。高熱伝導層11は、側面10を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱利用の循環型吸放熱装置に関するものである。より詳しくは、熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽を地中に浅く埋設して施工コストの低減を達成できながら、相対的に温度の高い周辺地盤から該熱媒液への熱移動を効率的に生じさせることができる一方、相対的に温度の低い周辺地盤に対して前記熱媒液からの熱移動を効率的に生じさせることができ、これによって、車道や駐車場等の放熱されるべき領域における融雪や、舗装部等の吸熱されるべき領域における冷却を効率よく行なうことのできる地中熱利用の循環型吸放熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地表から5mまでの深さの地中熱を利用して無散水融雪を行うシステムとして、例えば特開2006−2539号公報が開示するものが提案されている。
【0003】
該システムは、不要となった既設の浄化槽を、熱媒液を貯蔵する手段として用いるもので、融雪エリアに敷設されるものであり、その内部を熱媒液が流れる吸放熱パイプと、地中に埋設され前記熱媒液を貯蔵し得る浄化槽と、この浄化槽内の熱媒液を吸放熱パイプの入口部に送ると共に該吸放熱パイプの出口部からの熱媒液を前記浄化槽内に戻すポンプ部とを具える構成を採用していた。
【0004】
かかる無散水融雪システムによるときは、相対的に温度の高い周辺地盤から浄化槽への熱移動が生ずることを利用し、前記吸放熱パイプを通過する過程で融雪のために冷却された熱媒液が浄化槽に流入し該浄化槽内に貯留されている熱媒液の温度が低下した場合、該熱移動によって熱媒液を温め無散水で融雪を行なう構成のものであった。
【0005】
しかしながら、かかる無散水融雪システムは、既存の浄化槽を再利用する方式のものであったために、該浄化槽は、その外表面が土に直接接した状態で地中に埋設されているに過ぎず、周辺地盤から浄化槽への熱移動効率の面で改良の余地があった。
【特許文献1】特開2006−2539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、施工コストの低減を達成できながら、車道や駐車場等の放熱されるべき領域における融雪や、舗装部等の吸熱されるべき領域における冷却を効率よく行なうことのできる地中熱利用の循環型吸放熱装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る地中熱利用の循環型吸放熱装置(以下、循環型吸放熱装置という)は、その上面部が地表から0.5〜2mの深さに存し且つその下面部が地表から5mまでの深さに存するように地中に埋設されて熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽と、放熱されるべき領域又は吸熱されるべき領域に埋設され、前記熱媒液が内部に流れる吸放熱パイプと、前記水槽内の熱媒液を前記吸放熱パイプに送ると共に、該吸放熱パイプ内の熱媒液を前記水槽内に戻すポンプとを具える。そして、前記水槽の前記上面部を除き、前記水槽の少なくとも側面を覆う如く、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が設けられており、該高熱伝導層は、前記側面を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆うことを特徴とするものである。
【0008】
前記循環型吸放熱装置において、前記水槽の側面を覆う前記高熱伝導層を、前記水槽の側面の、前記地表から1mの深さの範囲部分を除く下側部分に設けるのがよい。
【0009】
前記循環型吸放熱装置において、前記水槽の上面部が地表から1〜2mの深さにあるとき、前記水槽の側面を覆う高熱伝導層を、側面視で、前記水槽の側面の上部は薄く下部は厚く設けるのがよい。
【0010】
前記各循環型吸放熱装置において、前記水槽の下面部を設置するための基礎部は、上下端が開放した収容部が設けられてなるコンクリート基礎の該収容部に、砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層を充填されたものとして構成するのがよい。
【0011】
前記各循環型吸放熱装置において、前記水槽の上面に、合成樹脂発泡体からなる断熱材層を設けるのがよい。
【0012】
前記各循環型吸放熱装置において、前記高熱伝導層を構成する砂利層の内部間隙に、前記高熱伝導層を構成する砂が充填されたものとして構成するのがよい。
【0013】
前記各循環型吸放熱装置において、前記コンクリート製の水槽は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利と砂との混合物を主骨材として用いて構成するのがよい。
【0014】
前記各循環型吸放熱装置において、前記砂利として珪石を用いると共に前記砂として珪砂を用いるのがよい。
【0015】
前記水槽として防火水槽を用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る循環型吸放熱装置によるときは、熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽を地中に浅く埋設してよいため、施工コストの低減を達成できながら、相対的に温度の高い周辺地盤から該熱媒液への熱移動を効率的に生じさせることができる一方、相対的に温度の低い周辺地盤に対して前記熱媒液からの熱移動を効率的に生じさせることができ、これによって、車道や駐車場等の放熱されるべき領域における融雪や、舗装部等の吸熱されるべき領域における冷却を効率よく行なうことができる。
【0017】
(2) 本発明に係る循環型吸放熱装置において、高熱伝導層を、水槽の側面の、地表から1m深さの範囲部分を除く下側部分に設けることにより、地表熱の影響を受けることなく地中熱をより効率的に活用できる利点がある。
【0018】
(3) 本発明に係る循環型吸放熱装置において、水槽の上面部が地表から1〜2mの深さにある場合において、水槽の側面を覆う熱伝導層を、側面視で、水槽の側面の上部は薄く下部は厚く設けることにより、施工コストの低減を図りつつ地中温度を有効活用できる利点がある。
【0019】
(4) 水槽の下面部を設置するための基礎部を、上下端が開放した収容部が設けられてなるコンクリート基礎の該収容部に、砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が充填された構成とすることにより、水槽の下面部を通しての効率的な熱移動も確保されることになる。
【0020】
(5) 水槽の上面に、合成樹脂発泡体からなる断熱層を設ける場合は、地表熱の影響を受けやすい上面部を効果的に断熱でき、地表熱の影響を遮断できることになる。
【0021】
(6) 高熱伝導層を構成する砂利層の内部間隙に、高熱伝導層を構成する砂を充填させる場合は、高熱伝導層による熱移動の効率を向上させ得る利点がある。
【0022】
(7) 水槽を、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利(好ましくは珪石)と砂(好ましくは珪砂)の混合物を主骨材とするコンクリート製とする場合は、所要の熱効率を確保できながら水槽を小型化できることになり、循環型吸放熱装置をよりコンパクトに構成できる利点がある。
【実施例1】
【0023】
図1〜3において本発明に係る循環型吸放熱装置1は、地中に浅く埋設されたコンクリート製の水槽2と、放熱されるべき領域又は吸熱されるべき領域(以下吸放熱領域という)3に埋設される吸放熱パイプ5と、該吸放熱パイプ5と前記水槽2との間で熱媒液(水、不凍液等)6を循環させるポンプ7とを具え、前記水槽2の上面部9を除き、前記水槽2の少なくとも側面10を覆う如く側部の高熱伝導層11が設けられてなるものである。
【0024】
前記コンクリート製の水槽2は通常の骨材を用いた普通コンクリート製でもよいのであるが、本実施例においては、熱伝導率の高い骨材、例えば熱伝導率が5W/(m・k)以上の熱伝導率を有する骨材、好ましくは熱伝導率が約6W/(m・k)である珪石と珪砂の混合物を骨材とするコンクリート製としている。本実施例においては、珪石と珪砂の割合を50対50、より好ましくは46対54に設定している。因みに、普通コンクリートの熱伝導率は約1.6W/(m・k)であるのに対して、珪石と珪砂の混合物を骨材とするコンクリートの熱伝導率は約3.26W/(m・k)である。
【0025】
かかる構成の水槽2は、例えば図3に示すように、地面を掘削して形成した施工空間13の底部に設けた基礎部15上で構築された後、土砂16を埋め戻すことによって、地中に浅く埋設状態とされるものである。該水槽2は、本実施例においては、図1〜3に示すように、該基礎部15上において、プレキャストコンクリート製の箱型暗渠部材状の中間部材17の複数個を水密を確保して相互を接合すると共に、該中間部材の接合体19の両端を閉塞するように、プレキャストコンクリート製の端面部材20,20を接合してなるものであり、例えば一端に位置する中間部材17aには、水槽2内への出入口となるマンホール21が設けられ、該マンホール21に連通するように、円筒状をなす筒状部材22が立設され、該筒状部材22の上端が蓋体23で閉蓋されている。
【0026】
前記基礎部15は、本実施例においては図1〜4に示すように、その長辺に沿って連続する2本の帯状のコンクリート基礎26,26の内側に、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利27及び/又は砂29からなる高熱伝導層11が充填され構成されている。そして、該基礎部15の上面30は水平に形成され、前記水槽2の下面部31に密接されている。該砂利27としては珪石を用い、該砂29としては珪砂を用いており、本実施例においては、珪石と珪砂の割合を50対50、より好ましくは46対54に設定することによって、図4(B)に示すように、砂利層32の内部間隙33に砂29を充填し、熱移動の効率を向上させている。
【0027】
このように構築された水槽2の上面部9は、地表36から0.5〜2mの深さに存するように、本実施例においては約1mに設定されている。又、該水槽2の下面部31は、地表36から5mまでの深さに存するように、本実施例においては約3.4mの深さに存するように設定されている。
【0028】
地表36からの深さが0.5mよりも小さいと、土被り厚さが0.5mよりも小さくなるので、地表36からの熱の影響が大きくなって水槽2内の熱媒体の熱効率が悪くなって好ましくない。又、地表36からの深さが2mを越えると、土被り厚さが2mを越えて地表36からの熱の影響がないからである。そして、水槽の下面部31の深さが地表36から5mを越えると、施工コストの上昇を招くことになって好ましくないからである。
【0029】
前記吸放熱領域3は本実施例においては、図2、図5〜6に示すように、歩道面38を構成するコンクリートパネル37を、整地された歩道路盤39上に所要枚数敷き並べて形成されており、該コンクリートパネル37は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の骨材、好ましくは珪石と砂利の混合物(本実施例においては、珪石と珪砂の割合が50対50、より好ましくは46対54に設定されている)を骨材としたコンクリート製の矩形板状のパネルとして形成されている。そして図7に示すように、該コンクリートパネル37の内部には、前記熱媒液6が内部に流れる吸放熱パイプ5が蛇行状態に埋設されている。かかる構成を有するコンクリートパネル37を、図5〜6に示すように、整地された歩道路盤39上に所要枚数敷き並べ、該吸放熱パイプ5の一方の端部40を、地下に埋設してある一方の管体41に接続すると共に、他方の端部42を他方の管体43に接続し、歩道の吸放熱領域3を構築する。
【0030】
前記一方の管体41の端部分41a及び前記他方の管体43の端部分43aは、共に、所要間隔を置いて前記水槽2内で配設され、前記熱媒液6中で開放されている。本実施例においては、一方の管体41の開口45が上に位置し、他方の管体43の開口46が下に位置している。そして、前記ポンプ7は前記一方の管体41又は前記他方の管体43の中間所要部位に配設されており、本実施例においては、他方の管体43に配設されている。該ポンプ7を駆動することにより、前記水槽2内の熱媒液6が前記吸放熱パイプ5の一方の端部40(図5)に送られると共に、前記吸放熱パイプ5の他方の端部42からの熱媒液6が前記水槽2内に戻される。
【0031】
なお本実施例においては、水槽2内の水は、その上側が温かく下が冷たいため、前記ポンプ7の順駆動によって、冬期においては、上に位置する開口45を流入口として、温かい水を前記吸放熱パイプ5に送給する共に、下に位置する開口46から熱媒液を水槽2内に戻す。逆に夏期にあっては、前記ポンプ7の逆駆動によって、下に位置する開口46としての流入口から、水槽内の熱媒液6を前記吸放熱パイプ5に送給すると共に前記上に位置する開口45としての流出口より熱媒液を水槽2内に戻す構成を採用している。
【0032】
前記水槽2の側面10を覆う前記側部の高熱伝導層11は、本実施例においては図1〜2に示すように、側面視で、該側面10の上部は薄く下部は厚く設けられ、例えば階段状に設けられている。該熱伝導層11は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなり、本実施例においては図4(B)に示すと同様に、珪石からなる砂利層32の内部間隙33に珪砂からなる砂29を充填させ、熱移動の効率を向上させている。
【0033】
かかる構成を有する高熱伝導層11を設けるに際しては、図8に示すように、前記施工空間13の底部において、例えば約30cm厚さで約100cm幅の断面長方形状を呈する1段目の高熱伝導層11aを、前記側面10を取り囲むように形成する。その後、該1段目の高熱伝導層11aの上面50の高さにまで土砂16を埋め戻す。その後、図9に示すように、該上面50上において約30cm厚さで幅が約88cmの2段目の高熱伝導層11bを、前記側面10を取り囲むように形成する。その後、該2段目の高熱伝導層11bの上面51の高さにまで土砂16を埋め戻す。これを順次繰り返して、図1〜2、図10に示すように、3段目の高熱伝導層11c、4段目の高熱伝導層11d、5段目の高熱伝導層11e、6段目の高熱伝導層11f、7段目の高熱伝導層11g、8段目の高熱伝導層11hを、上に向かうにつれて小幅となるように形成する。なお、該8段目の高熱伝導層11hの幅は約13cmに設定されている。最上段の8段目の高熱伝導層11hを形成した後、その上面53の高さにまで土砂16を埋め戻す。
【0034】
その後、前記水槽2の上面部9に、例えば20mm厚さの合成樹脂発泡体等からなる断熱材層(その熱伝導率は例えば0.028W/(m・k))55を設ける。水槽2の該上面部9は地表熱の影響を受けやすいために、本実施例においては、上面部9に高熱伝導層11を設けないだけでなく、水槽2内の熱が地表36側に移動しにくいようにするために積極的に断熱材層55を設けているのである。又本実施例においては、前記のようにマンホール21が設けられているため、前記筒状部材22の外面56を覆うように断熱材層55を設け、又、前記蓋体23の下面57を覆うように断熱材層55を設けている。
【0035】
然る後、前記水槽2の上部及びその周辺の全体に亘って土砂16を埋め戻す。これにより、水槽2の上面部9が地表36から約1mの深さに存し、且つ水槽2の下面部31が地表36から約3.4mの深さに存する循環型吸放熱装置1が構成されることになる。
【0036】
かかる構成を有する循環型吸放熱装置1の作用を、冬期の融雪時の作用と、夏期の舗装部冷却時の作用に分けて、図2に基づいて説明する。
【0037】
即ち冬期にあっては、前記水槽2が埋設されている周辺の地盤(以下周辺地盤という)58の地中温度は、融雪を要する吸放熱領域3の表面温度(前記コンクリートパネル37による舗装部59の表面61の温度)よりも相対的に高い。そのため、前記ポンプ7の駆動によって、前記吸放熱パイプ5を通過する過程で融雪のために冷却された熱媒液6が前記水槽2に流入することにより、該水槽2内に貯留されている熱媒液6の温度を低下させることになるが、相対的に温度の高い周辺地盤58から該水槽2への熱移動が生じ、水槽2内の熱媒液6は徐々に温められることになる。そして、このように温められた熱媒液は前記吸放熱パイプ5に送られる。かかる熱移動は、前記のように、水槽の側面10を覆うように設けられている側部の高熱伝導層11と水槽の下面部31に密接して配置されている前記下部の高熱伝導層11によって効率よく行なわれることになる。本発明者が例えば北陸地方で実験した結果によれば、該周辺地盤の温度は、冬期にあっては6〜8℃であり、夏期にあっては6〜14℃であった。
【0038】
逆に夏期にあっては、水槽2が埋設されている周辺の地盤(周辺地盤)58の地中温度は、吸熱されるべき領域の表面温度(冷却されるべき舗装部59の表面61の温度)よりも相対的に低い。このため、前記ポンプ7の駆動によって、前記吸放熱パイプ5を通過して舗装部の表面61を冷却させる過程で上昇された媒体液6が水槽2に流入することにより、該水槽2内に貯留されている熱媒液の温度を上昇させることになるが、相対的に温度の低い周辺地盤58に対して前記水槽2からの熱移動が生じ、水槽2内の熱媒液6は徐々に温度が低下する。そして、このように冷やされた熱媒液6は前記吸放熱パイプ5に送られる。かかる熱移動も、前記のように、水槽の側面10を覆うように設けられている側部の高熱伝導層11と水槽の下面部31に密接して配置されている前記下部の高熱伝導層11とによって効率よく行なわれることになる。
【0039】
なお本実施例においては、前記のように、水槽の側面10を覆う如く設けられた側部の高熱伝導層11は、側面視で、該水槽2の側面10の上部は薄く下部は厚く設けているが、その理由は次の通りである。即ち本実施例においては、前記水槽2の上面部9が地表36から1mの深さにあり、水槽2の下面部31が地表36から3.4mの深さにあるため、該側面10が地表36からの熱の影響を殆ど受けないと共に、地表36に近いほど地中温度が、冬期にあっては低く、夏期にあっては高い傾向にある。そこで、前記側面10の上部については、前記高熱伝導層11を厚く形成しても熱移動量が特に多くなるわけではないことに鑑み、施工コストの低減を図るために、砂利や砂(珪石や珪砂)の使用量を削減しているのである。
【0040】
又本実施例においては、前記水槽2を、珪石等の熱伝導率の高い骨材を用いたコンクリート製としているため、普通コンクリート製の水槽とは異なり、該水槽2を通しての熱移動も、より効率的に行なわれることとなる。
【0041】
又本実施例においては、前記高熱伝導層11を構成する砂利層の内部間隙に砂が充填されているために、該高熱伝導層11には断熱層となる空気層が殆ど存在せず、従って、前記熱移動がより効率的に行なわれることとなる。
【実施例2】
【0042】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0043】
(1) 図11〜12、図13は、前記水槽2の側面10を高熱伝導層11で覆う場合の他の態様を示すものである。
【0044】
図11〜12は、該水槽2の上面部9が地表36から0.5〜1mの深さにある場合を示しており、該高熱伝導層11が、該水槽2の側面10の、地表から1m深さの範囲部分を除く下側部分62に設けられている。図11は、上面部9が地表36から0.5mの深さにある場合を示し、高熱伝導層11が前記側面10の上下幅の50%の幅部分をなす下側部分62に設けられている。又図12は、上面部9が地表36から0.8mの深さにある場合を示し、高熱伝導層11が前記側面10の上下幅の80%の幅部分をなす下側部分62に設けられている。
【0045】
又図13は、前記水槽2の上面部9が地表36から1〜2mの深さにある場合、例えば2mの深さにある場合を示しており、水槽2の側面10の全体に亘って、側面視で同厚さで高熱伝導層11が設けられている。
【0046】
このように、水槽2の側面10を高熱伝導層11で覆う構成は、水槽2の埋設深さが関係しており、前記上面部9が地表36から0.5〜1mの深さにある場合は、地表熱の影響を受けやすいために、該高熱伝導層11が、該水槽2の側面10の、地表から1m深さの範囲部分は少なくとも除いた下側部分62に設けられているのである。図11〜12においては一段で設けられているが、図14に示すように、側面視で上側ほど薄い複数段で設けられたり、図15に示すように一様変化状態に設けることもある。又、前記水槽2の上面部9が地表36から1〜2mの深さにある場合は、前記図13に示すように、水槽2の側面10の全体に亘って、側面視で同厚さで高熱伝導層11が設けられられたり、図16に示すように、側面視で、前記水槽2の側面10の上部は薄く下部は厚く設けられる。そして何れの場合も、高熱伝導層11は、前記側面10を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆うように設けられるのである。
【0047】
(2) 本発明において、水槽2の側面10の上部は薄く下部は厚く設けるとは、施工性を考慮して、図1〜2に示すように高熱伝導層11を階段状に設けるのが好ましいが、図17に示すように一様変化状態に設けることもある。又、階段状に設ける場合、図18に示すように2段階で設けることもある。
【0048】
(3) 前記吸放熱パイプ5は、図7に示すようなコンクリートパネル37に埋設されることの他、現場打ちによって形成されたコンクリート層に埋設されることもある。
【0049】
(4) 前記水槽2を設置する際、図19に示すように、基礎部15の四角枠状の周囲部分のみをコンクリート基礎26として構成し、その間の、上下端が開放した収容部64に高熱伝導層11を充填した場合を示すものである。又図20は、並行した2本のコンクリート基礎26,26を設け、その間の、上下端が開放した収容部64に、高熱伝導層11を充填した場合を示すものである。これらの場合、該コンクリート基礎26を、例えば熱伝導率が5W/(m・k)以上の熱伝導率を有する骨材、好ましくは熱伝導率が約6W/(m・k)である珪石と珪砂の混合物を骨材とする基礎コンクリートとするのがよい。
【0050】
又前記水槽2は、その下面部31の全体を、図21に示すように、コンクリート基礎26からなる基礎部15上に設置することもある。この場合、該コンクリート基礎26を、例えば熱伝導率が5W/(m・k)以上の熱伝導率を有する骨材、好ましくは熱伝導率が約6W/(m・k)である珪石と珪砂の混合物を骨材とするコンクリート基礎とするのがよい。
【0051】
基礎部15をコンクリート基礎26を用いて形成する場合、該コンクリート基礎26は、現場打ちコンクリートを用いて形成されることの他、プレキャストコンクリート板を敷設して形成されることもある。
【0052】
(5) 前記水槽2は、コンクリート基礎26が設けられることなく、高熱伝導層11のみからなる基礎部上に設置されることもある。
【0053】
(6) 本発明で用いる熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/砂には、鉄鉱石や御影石を用いたものも含まれる。
【0054】
(7) 前記高熱伝導層11は、珪石等の砂利のみからなるものも含む。
【0055】
(8) 前記水槽2は、前記した直方体状の他、立方体状や円筒状等であってもよい。又該水槽2は現場打ち施工によって構築してもよい。又、水槽2の下面部31は、内部清掃等の為に、吸管挿入用凹部が設けられることもある。
【0056】
(9) 前記水槽2は、防火水槽を用いて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る循環型吸放熱装置を説明する縦断面図である。
【図2】本発明に係る循環型吸放熱装置を説明する横断面図である。
【図3】施工空間の底部に設けた基礎部上で構築した水槽を示す斜視図である。
【図4】基礎部の構成を示す斜視図である。
【図5】吸放熱領域を説明する平面図である。
【図6】その断面図である。
【図7】吸放熱領域を構成するコンクリートパネルを示す斜視図である。
【図8】1段目の高熱伝導層を形成した状態を示す断面図である。
【図9】2段目の高熱伝導層を形成した状態を示す断面図である。
【図10】高熱伝導層の全体を形成して水槽を地中に埋設した状態を示す部分断面図である。
【図11】水槽の側面を高熱伝導層で覆った他の態様を示す断面図である。
【図12】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す断面図である。
【図13】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す断面図である。
【図14】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図15】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図16】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図17】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図18】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図19】コンクリート基礎を四角枠状に形成した基礎部を示す斜視図と断面図である。
【図20】並行した2本のコンクリート基礎を具える基礎部を示す斜視図である。
【図21】水槽の下面部の全体をコンクリート基礎からなる基礎部上に当接状態とした断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 循環型吸放熱装置
2 水槽
3 吸放熱領域
5 吸放熱パイプ
6 熱媒液
7 ポンプ
9 水槽の上面部
10 水槽の側面
11 高熱伝導層
12 骨材
15 基礎部
16 土砂
26 コンクリート基礎
27 砂利
29 砂
31 水槽の下面部
32 砂利層
33 内部間隙
36 地表
37 コンクリートパネル
41 一方の管体
42 他方の端部
43 他方の管体
45 一方の管体の開口
46 他方の管体の開口
55 断熱材層
58 周辺地盤
59 舗装部
64 収容部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱利用の循環型吸放熱装置に関するものである。より詳しくは、熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽を地中に浅く埋設して施工コストの低減を達成できながら、相対的に温度の高い周辺地盤から該熱媒液への熱移動を効率的に生じさせることができる一方、相対的に温度の低い周辺地盤に対して前記熱媒液からの熱移動を効率的に生じさせることができ、これによって、車道や駐車場等の放熱されるべき領域における融雪や、舗装部等の吸熱されるべき領域における冷却を効率よく行なうことのできる地中熱利用の循環型吸放熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地表から5mまでの深さの地中熱を利用して無散水融雪を行うシステムとして、例えば特開2006−2539号公報が開示するものが提案されている。
【0003】
該システムは、不要となった既設の浄化槽を、熱媒液を貯蔵する手段として用いるもので、融雪エリアに敷設されるものであり、その内部を熱媒液が流れる吸放熱パイプと、地中に埋設され前記熱媒液を貯蔵し得る浄化槽と、この浄化槽内の熱媒液を吸放熱パイプの入口部に送ると共に該吸放熱パイプの出口部からの熱媒液を前記浄化槽内に戻すポンプ部とを具える構成を採用していた。
【0004】
かかる無散水融雪システムによるときは、相対的に温度の高い周辺地盤から浄化槽への熱移動が生ずることを利用し、前記吸放熱パイプを通過する過程で融雪のために冷却された熱媒液が浄化槽に流入し該浄化槽内に貯留されている熱媒液の温度が低下した場合、該熱移動によって熱媒液を温め無散水で融雪を行なう構成のものであった。
【0005】
しかしながら、かかる無散水融雪システムは、既存の浄化槽を再利用する方式のものであったために、該浄化槽は、その外表面が土に直接接した状態で地中に埋設されているに過ぎず、周辺地盤から浄化槽への熱移動効率の面で改良の余地があった。
【特許文献1】特開2006−2539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、施工コストの低減を達成できながら、車道や駐車場等の放熱されるべき領域における融雪や、舗装部等の吸熱されるべき領域における冷却を効率よく行なうことのできる地中熱利用の循環型吸放熱装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る地中熱利用の循環型吸放熱装置(以下、循環型吸放熱装置という)は、その上面部が地表から0.5〜2mの深さに存し且つその下面部が地表から5mまでの深さに存するように地中に埋設されて熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽と、放熱されるべき領域又は吸熱されるべき領域に埋設され、前記熱媒液が内部に流れる吸放熱パイプと、前記水槽内の熱媒液を前記吸放熱パイプに送ると共に、該吸放熱パイプ内の熱媒液を前記水槽内に戻すポンプとを具える。そして、前記水槽の前記上面部を除き、前記水槽の少なくとも側面を覆う如く、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が設けられており、該高熱伝導層は、前記側面を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆うことを特徴とするものである。
【0008】
前記循環型吸放熱装置において、前記水槽の側面を覆う前記高熱伝導層を、前記水槽の側面の、前記地表から1mの深さの範囲部分を除く下側部分に設けるのがよい。
【0009】
前記循環型吸放熱装置において、前記水槽の上面部が地表から1〜2mの深さにあるとき、前記水槽の側面を覆う高熱伝導層を、側面視で、前記水槽の側面の上部は薄く下部は厚く設けるのがよい。
【0010】
前記各循環型吸放熱装置において、前記水槽の下面部を設置するための基礎部は、上下端が開放した収容部が設けられてなるコンクリート基礎の該収容部に、砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層を充填されたものとして構成するのがよい。
【0011】
前記各循環型吸放熱装置において、前記水槽の上面に、合成樹脂発泡体からなる断熱材層を設けるのがよい。
【0012】
前記各循環型吸放熱装置において、前記高熱伝導層を構成する砂利層の内部間隙に、前記高熱伝導層を構成する砂が充填されたものとして構成するのがよい。
【0013】
前記各循環型吸放熱装置において、前記コンクリート製の水槽は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利と砂との混合物を主骨材として用いて構成するのがよい。
【0014】
前記各循環型吸放熱装置において、前記砂利として珪石を用いると共に前記砂として珪砂を用いるのがよい。
【0015】
前記水槽として防火水槽を用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る循環型吸放熱装置によるときは、熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽を地中に浅く埋設してよいため、施工コストの低減を達成できながら、相対的に温度の高い周辺地盤から該熱媒液への熱移動を効率的に生じさせることができる一方、相対的に温度の低い周辺地盤に対して前記熱媒液からの熱移動を効率的に生じさせることができ、これによって、車道や駐車場等の放熱されるべき領域における融雪や、舗装部等の吸熱されるべき領域における冷却を効率よく行なうことができる。
【0017】
(2) 本発明に係る循環型吸放熱装置において、高熱伝導層を、水槽の側面の、地表から1m深さの範囲部分を除く下側部分に設けることにより、地表熱の影響を受けることなく地中熱をより効率的に活用できる利点がある。
【0018】
(3) 本発明に係る循環型吸放熱装置において、水槽の上面部が地表から1〜2mの深さにある場合において、水槽の側面を覆う熱伝導層を、側面視で、水槽の側面の上部は薄く下部は厚く設けることにより、施工コストの低減を図りつつ地中温度を有効活用できる利点がある。
【0019】
(4) 水槽の下面部を設置するための基礎部を、上下端が開放した収容部が設けられてなるコンクリート基礎の該収容部に、砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が充填された構成とすることにより、水槽の下面部を通しての効率的な熱移動も確保されることになる。
【0020】
(5) 水槽の上面に、合成樹脂発泡体からなる断熱層を設ける場合は、地表熱の影響を受けやすい上面部を効果的に断熱でき、地表熱の影響を遮断できることになる。
【0021】
(6) 高熱伝導層を構成する砂利層の内部間隙に、高熱伝導層を構成する砂を充填させる場合は、高熱伝導層による熱移動の効率を向上させ得る利点がある。
【0022】
(7) 水槽を、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利(好ましくは珪石)と砂(好ましくは珪砂)の混合物を主骨材とするコンクリート製とする場合は、所要の熱効率を確保できながら水槽を小型化できることになり、循環型吸放熱装置をよりコンパクトに構成できる利点がある。
【実施例1】
【0023】
図1〜3において本発明に係る循環型吸放熱装置1は、地中に浅く埋設されたコンクリート製の水槽2と、放熱されるべき領域又は吸熱されるべき領域(以下吸放熱領域という)3に埋設される吸放熱パイプ5と、該吸放熱パイプ5と前記水槽2との間で熱媒液(水、不凍液等)6を循環させるポンプ7とを具え、前記水槽2の上面部9を除き、前記水槽2の少なくとも側面10を覆う如く側部の高熱伝導層11が設けられてなるものである。
【0024】
前記コンクリート製の水槽2は通常の骨材を用いた普通コンクリート製でもよいのであるが、本実施例においては、熱伝導率の高い骨材、例えば熱伝導率が5W/(m・k)以上の熱伝導率を有する骨材、好ましくは熱伝導率が約6W/(m・k)である珪石と珪砂の混合物を骨材とするコンクリート製としている。本実施例においては、珪石と珪砂の割合を50対50、より好ましくは46対54に設定している。因みに、普通コンクリートの熱伝導率は約1.6W/(m・k)であるのに対して、珪石と珪砂の混合物を骨材とするコンクリートの熱伝導率は約3.26W/(m・k)である。
【0025】
かかる構成の水槽2は、例えば図3に示すように、地面を掘削して形成した施工空間13の底部に設けた基礎部15上で構築された後、土砂16を埋め戻すことによって、地中に浅く埋設状態とされるものである。該水槽2は、本実施例においては、図1〜3に示すように、該基礎部15上において、プレキャストコンクリート製の箱型暗渠部材状の中間部材17の複数個を水密を確保して相互を接合すると共に、該中間部材の接合体19の両端を閉塞するように、プレキャストコンクリート製の端面部材20,20を接合してなるものであり、例えば一端に位置する中間部材17aには、水槽2内への出入口となるマンホール21が設けられ、該マンホール21に連通するように、円筒状をなす筒状部材22が立設され、該筒状部材22の上端が蓋体23で閉蓋されている。
【0026】
前記基礎部15は、本実施例においては図1〜4に示すように、その長辺に沿って連続する2本の帯状のコンクリート基礎26,26の内側に、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利27及び/又は砂29からなる高熱伝導層11が充填され構成されている。そして、該基礎部15の上面30は水平に形成され、前記水槽2の下面部31に密接されている。該砂利27としては珪石を用い、該砂29としては珪砂を用いており、本実施例においては、珪石と珪砂の割合を50対50、より好ましくは46対54に設定することによって、図4(B)に示すように、砂利層32の内部間隙33に砂29を充填し、熱移動の効率を向上させている。
【0027】
このように構築された水槽2の上面部9は、地表36から0.5〜2mの深さに存するように、本実施例においては約1mに設定されている。又、該水槽2の下面部31は、地表36から5mまでの深さに存するように、本実施例においては約3.4mの深さに存するように設定されている。
【0028】
地表36からの深さが0.5mよりも小さいと、土被り厚さが0.5mよりも小さくなるので、地表36からの熱の影響が大きくなって水槽2内の熱媒体の熱効率が悪くなって好ましくない。又、地表36からの深さが2mを越えると、土被り厚さが2mを越えて地表36からの熱の影響がないからである。そして、水槽の下面部31の深さが地表36から5mを越えると、施工コストの上昇を招くことになって好ましくないからである。
【0029】
前記吸放熱領域3は本実施例においては、図2、図5〜6に示すように、歩道面38を構成するコンクリートパネル37を、整地された歩道路盤39上に所要枚数敷き並べて形成されており、該コンクリートパネル37は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の骨材、好ましくは珪石と砂利の混合物(本実施例においては、珪石と珪砂の割合が50対50、より好ましくは46対54に設定されている)を骨材としたコンクリート製の矩形板状のパネルとして形成されている。そして図7に示すように、該コンクリートパネル37の内部には、前記熱媒液6が内部に流れる吸放熱パイプ5が蛇行状態に埋設されている。かかる構成を有するコンクリートパネル37を、図5〜6に示すように、整地された歩道路盤39上に所要枚数敷き並べ、該吸放熱パイプ5の一方の端部40を、地下に埋設してある一方の管体41に接続すると共に、他方の端部42を他方の管体43に接続し、歩道の吸放熱領域3を構築する。
【0030】
前記一方の管体41の端部分41a及び前記他方の管体43の端部分43aは、共に、所要間隔を置いて前記水槽2内で配設され、前記熱媒液6中で開放されている。本実施例においては、一方の管体41の開口45が上に位置し、他方の管体43の開口46が下に位置している。そして、前記ポンプ7は前記一方の管体41又は前記他方の管体43の中間所要部位に配設されており、本実施例においては、他方の管体43に配設されている。該ポンプ7を駆動することにより、前記水槽2内の熱媒液6が前記吸放熱パイプ5の一方の端部40(図5)に送られると共に、前記吸放熱パイプ5の他方の端部42からの熱媒液6が前記水槽2内に戻される。
【0031】
なお本実施例においては、水槽2内の水は、その上側が温かく下が冷たいため、前記ポンプ7の順駆動によって、冬期においては、上に位置する開口45を流入口として、温かい水を前記吸放熱パイプ5に送給する共に、下に位置する開口46から熱媒液を水槽2内に戻す。逆に夏期にあっては、前記ポンプ7の逆駆動によって、下に位置する開口46としての流入口から、水槽内の熱媒液6を前記吸放熱パイプ5に送給すると共に前記上に位置する開口45としての流出口より熱媒液を水槽2内に戻す構成を採用している。
【0032】
前記水槽2の側面10を覆う前記側部の高熱伝導層11は、本実施例においては図1〜2に示すように、側面視で、該側面10の上部は薄く下部は厚く設けられ、例えば階段状に設けられている。該熱伝導層11は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなり、本実施例においては図4(B)に示すと同様に、珪石からなる砂利層32の内部間隙33に珪砂からなる砂29を充填させ、熱移動の効率を向上させている。
【0033】
かかる構成を有する高熱伝導層11を設けるに際しては、図8に示すように、前記施工空間13の底部において、例えば約30cm厚さで約100cm幅の断面長方形状を呈する1段目の高熱伝導層11aを、前記側面10を取り囲むように形成する。その後、該1段目の高熱伝導層11aの上面50の高さにまで土砂16を埋め戻す。その後、図9に示すように、該上面50上において約30cm厚さで幅が約88cmの2段目の高熱伝導層11bを、前記側面10を取り囲むように形成する。その後、該2段目の高熱伝導層11bの上面51の高さにまで土砂16を埋め戻す。これを順次繰り返して、図1〜2、図10に示すように、3段目の高熱伝導層11c、4段目の高熱伝導層11d、5段目の高熱伝導層11e、6段目の高熱伝導層11f、7段目の高熱伝導層11g、8段目の高熱伝導層11hを、上に向かうにつれて小幅となるように形成する。なお、該8段目の高熱伝導層11hの幅は約13cmに設定されている。最上段の8段目の高熱伝導層11hを形成した後、その上面53の高さにまで土砂16を埋め戻す。
【0034】
その後、前記水槽2の上面部9に、例えば20mm厚さの合成樹脂発泡体等からなる断熱材層(その熱伝導率は例えば0.028W/(m・k))55を設ける。水槽2の該上面部9は地表熱の影響を受けやすいために、本実施例においては、上面部9に高熱伝導層11を設けないだけでなく、水槽2内の熱が地表36側に移動しにくいようにするために積極的に断熱材層55を設けているのである。又本実施例においては、前記のようにマンホール21が設けられているため、前記筒状部材22の外面56を覆うように断熱材層55を設け、又、前記蓋体23の下面57を覆うように断熱材層55を設けている。
【0035】
然る後、前記水槽2の上部及びその周辺の全体に亘って土砂16を埋め戻す。これにより、水槽2の上面部9が地表36から約1mの深さに存し、且つ水槽2の下面部31が地表36から約3.4mの深さに存する循環型吸放熱装置1が構成されることになる。
【0036】
かかる構成を有する循環型吸放熱装置1の作用を、冬期の融雪時の作用と、夏期の舗装部冷却時の作用に分けて、図2に基づいて説明する。
【0037】
即ち冬期にあっては、前記水槽2が埋設されている周辺の地盤(以下周辺地盤という)58の地中温度は、融雪を要する吸放熱領域3の表面温度(前記コンクリートパネル37による舗装部59の表面61の温度)よりも相対的に高い。そのため、前記ポンプ7の駆動によって、前記吸放熱パイプ5を通過する過程で融雪のために冷却された熱媒液6が前記水槽2に流入することにより、該水槽2内に貯留されている熱媒液6の温度を低下させることになるが、相対的に温度の高い周辺地盤58から該水槽2への熱移動が生じ、水槽2内の熱媒液6は徐々に温められることになる。そして、このように温められた熱媒液は前記吸放熱パイプ5に送られる。かかる熱移動は、前記のように、水槽の側面10を覆うように設けられている側部の高熱伝導層11と水槽の下面部31に密接して配置されている前記下部の高熱伝導層11によって効率よく行なわれることになる。本発明者が例えば北陸地方で実験した結果によれば、該周辺地盤の温度は、冬期にあっては6〜8℃であり、夏期にあっては6〜14℃であった。
【0038】
逆に夏期にあっては、水槽2が埋設されている周辺の地盤(周辺地盤)58の地中温度は、吸熱されるべき領域の表面温度(冷却されるべき舗装部59の表面61の温度)よりも相対的に低い。このため、前記ポンプ7の駆動によって、前記吸放熱パイプ5を通過して舗装部の表面61を冷却させる過程で上昇された媒体液6が水槽2に流入することにより、該水槽2内に貯留されている熱媒液の温度を上昇させることになるが、相対的に温度の低い周辺地盤58に対して前記水槽2からの熱移動が生じ、水槽2内の熱媒液6は徐々に温度が低下する。そして、このように冷やされた熱媒液6は前記吸放熱パイプ5に送られる。かかる熱移動も、前記のように、水槽の側面10を覆うように設けられている側部の高熱伝導層11と水槽の下面部31に密接して配置されている前記下部の高熱伝導層11とによって効率よく行なわれることになる。
【0039】
なお本実施例においては、前記のように、水槽の側面10を覆う如く設けられた側部の高熱伝導層11は、側面視で、該水槽2の側面10の上部は薄く下部は厚く設けているが、その理由は次の通りである。即ち本実施例においては、前記水槽2の上面部9が地表36から1mの深さにあり、水槽2の下面部31が地表36から3.4mの深さにあるため、該側面10が地表36からの熱の影響を殆ど受けないと共に、地表36に近いほど地中温度が、冬期にあっては低く、夏期にあっては高い傾向にある。そこで、前記側面10の上部については、前記高熱伝導層11を厚く形成しても熱移動量が特に多くなるわけではないことに鑑み、施工コストの低減を図るために、砂利や砂(珪石や珪砂)の使用量を削減しているのである。
【0040】
又本実施例においては、前記水槽2を、珪石等の熱伝導率の高い骨材を用いたコンクリート製としているため、普通コンクリート製の水槽とは異なり、該水槽2を通しての熱移動も、より効率的に行なわれることとなる。
【0041】
又本実施例においては、前記高熱伝導層11を構成する砂利層の内部間隙に砂が充填されているために、該高熱伝導層11には断熱層となる空気層が殆ど存在せず、従って、前記熱移動がより効率的に行なわれることとなる。
【実施例2】
【0042】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0043】
(1) 図11〜12、図13は、前記水槽2の側面10を高熱伝導層11で覆う場合の他の態様を示すものである。
【0044】
図11〜12は、該水槽2の上面部9が地表36から0.5〜1mの深さにある場合を示しており、該高熱伝導層11が、該水槽2の側面10の、地表から1m深さの範囲部分を除く下側部分62に設けられている。図11は、上面部9が地表36から0.5mの深さにある場合を示し、高熱伝導層11が前記側面10の上下幅の50%の幅部分をなす下側部分62に設けられている。又図12は、上面部9が地表36から0.8mの深さにある場合を示し、高熱伝導層11が前記側面10の上下幅の80%の幅部分をなす下側部分62に設けられている。
【0045】
又図13は、前記水槽2の上面部9が地表36から1〜2mの深さにある場合、例えば2mの深さにある場合を示しており、水槽2の側面10の全体に亘って、側面視で同厚さで高熱伝導層11が設けられている。
【0046】
このように、水槽2の側面10を高熱伝導層11で覆う構成は、水槽2の埋設深さが関係しており、前記上面部9が地表36から0.5〜1mの深さにある場合は、地表熱の影響を受けやすいために、該高熱伝導層11が、該水槽2の側面10の、地表から1m深さの範囲部分は少なくとも除いた下側部分62に設けられているのである。図11〜12においては一段で設けられているが、図14に示すように、側面視で上側ほど薄い複数段で設けられたり、図15に示すように一様変化状態に設けることもある。又、前記水槽2の上面部9が地表36から1〜2mの深さにある場合は、前記図13に示すように、水槽2の側面10の全体に亘って、側面視で同厚さで高熱伝導層11が設けられられたり、図16に示すように、側面視で、前記水槽2の側面10の上部は薄く下部は厚く設けられる。そして何れの場合も、高熱伝導層11は、前記側面10を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆うように設けられるのである。
【0047】
(2) 本発明において、水槽2の側面10の上部は薄く下部は厚く設けるとは、施工性を考慮して、図1〜2に示すように高熱伝導層11を階段状に設けるのが好ましいが、図17に示すように一様変化状態に設けることもある。又、階段状に設ける場合、図18に示すように2段階で設けることもある。
【0048】
(3) 前記吸放熱パイプ5は、図7に示すようなコンクリートパネル37に埋設されることの他、現場打ちによって形成されたコンクリート層に埋設されることもある。
【0049】
(4) 前記水槽2を設置する際、図19に示すように、基礎部15の四角枠状の周囲部分のみをコンクリート基礎26として構成し、その間の、上下端が開放した収容部64に高熱伝導層11を充填した場合を示すものである。又図20は、並行した2本のコンクリート基礎26,26を設け、その間の、上下端が開放した収容部64に、高熱伝導層11を充填した場合を示すものである。これらの場合、該コンクリート基礎26を、例えば熱伝導率が5W/(m・k)以上の熱伝導率を有する骨材、好ましくは熱伝導率が約6W/(m・k)である珪石と珪砂の混合物を骨材とする基礎コンクリートとするのがよい。
【0050】
又前記水槽2は、その下面部31の全体を、図21に示すように、コンクリート基礎26からなる基礎部15上に設置することもある。この場合、該コンクリート基礎26を、例えば熱伝導率が5W/(m・k)以上の熱伝導率を有する骨材、好ましくは熱伝導率が約6W/(m・k)である珪石と珪砂の混合物を骨材とするコンクリート基礎とするのがよい。
【0051】
基礎部15をコンクリート基礎26を用いて形成する場合、該コンクリート基礎26は、現場打ちコンクリートを用いて形成されることの他、プレキャストコンクリート板を敷設して形成されることもある。
【0052】
(5) 前記水槽2は、コンクリート基礎26が設けられることなく、高熱伝導層11のみからなる基礎部上に設置されることもある。
【0053】
(6) 本発明で用いる熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/砂には、鉄鉱石や御影石を用いたものも含まれる。
【0054】
(7) 前記高熱伝導層11は、珪石等の砂利のみからなるものも含む。
【0055】
(8) 前記水槽2は、前記した直方体状の他、立方体状や円筒状等であってもよい。又該水槽2は現場打ち施工によって構築してもよい。又、水槽2の下面部31は、内部清掃等の為に、吸管挿入用凹部が設けられることもある。
【0056】
(9) 前記水槽2は、防火水槽を用いて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る循環型吸放熱装置を説明する縦断面図である。
【図2】本発明に係る循環型吸放熱装置を説明する横断面図である。
【図3】施工空間の底部に設けた基礎部上で構築した水槽を示す斜視図である。
【図4】基礎部の構成を示す斜視図である。
【図5】吸放熱領域を説明する平面図である。
【図6】その断面図である。
【図7】吸放熱領域を構成するコンクリートパネルを示す斜視図である。
【図8】1段目の高熱伝導層を形成した状態を示す断面図である。
【図9】2段目の高熱伝導層を形成した状態を示す断面図である。
【図10】高熱伝導層の全体を形成して水槽を地中に埋設した状態を示す部分断面図である。
【図11】水槽の側面を高熱伝導層で覆った他の態様を示す断面図である。
【図12】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す断面図である。
【図13】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す断面図である。
【図14】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図15】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図16】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図17】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図18】水槽の側面を高熱伝導層で覆ったその他の態様を示す部分断面図である。
【図19】コンクリート基礎を四角枠状に形成した基礎部を示す斜視図と断面図である。
【図20】並行した2本のコンクリート基礎を具える基礎部を示す斜視図である。
【図21】水槽の下面部の全体をコンクリート基礎からなる基礎部上に当接状態とした断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 循環型吸放熱装置
2 水槽
3 吸放熱領域
5 吸放熱パイプ
6 熱媒液
7 ポンプ
9 水槽の上面部
10 水槽の側面
11 高熱伝導層
12 骨材
15 基礎部
16 土砂
26 コンクリート基礎
27 砂利
29 砂
31 水槽の下面部
32 砂利層
33 内部間隙
36 地表
37 コンクリートパネル
41 一方の管体
42 他方の端部
43 他方の管体
45 一方の管体の開口
46 他方の管体の開口
55 断熱材層
58 周辺地盤
59 舗装部
64 収容部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上面部が地表から0.5〜2mの深さに存し且つその下面部が地表から5mまでの深さに存するように地中に埋設されて熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽と、放熱されるべき領域や吸熱されるべき領域に埋設され、前記熱媒液が内部に流れる吸放熱パイプと、前記水槽内の熱媒液を前記吸放熱パイプに送ると共に該吸放熱パイプ内の熱媒液を前記水槽内に戻すポンプとを具え、
前記水槽の前記上面部を除き、前記水槽の少なくとも側面を覆う如く、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が設けられており、該高熱伝導層は、前記側面を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆うことを特徴とする地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項2】
前記水槽の側面を覆う前記高熱伝導層が、前記水槽の側面の、前記地表から1mの深さの範囲部分を除く下側部分に設けられていることを特徴とする請求項1記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項3】
前記水槽の上面部が地表から1〜2mの深さにあるとき、前記水槽の側面を覆う高熱伝導層が、側面視で、前記水槽の側面の上部は薄く下部は厚く設けられていることを特徴とする請求項1記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項4】
前記水槽の下面部を設置するための基礎部は、上下端が開放した収容部が設けられてなるコンクリート基礎の該収容部に、砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が充填されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項5】
前記水槽の上面部に、合成樹脂発泡体からなる断熱材層を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項6】
前記高熱伝導層を構成する砂利層の内部間隙に、前記高熱伝導層を構成する砂が充填されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項7】
前記コンクリート製の水槽は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利と砂との混合物を主骨材として用いて構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の循環型吸放熱装置。
【請求項8】
前記砂利は珪石であり且つ前記砂は珪砂であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の循環型吸放熱装置。
【請求項9】
前記水槽として防火水槽を用いることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の循環型吸放熱装置。
【請求項1】
その上面部が地表から0.5〜2mの深さに存し且つその下面部が地表から5mまでの深さに存するように地中に埋設されて熱媒液を貯留し得るコンクリート製の水槽と、放熱されるべき領域や吸熱されるべき領域に埋設され、前記熱媒液が内部に流れる吸放熱パイプと、前記水槽内の熱媒液を前記吸放熱パイプに送ると共に該吸放熱パイプ内の熱媒液を前記水槽内に戻すポンプとを具え、
前記水槽の前記上面部を除き、前記水槽の少なくとも側面を覆う如く、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が設けられており、該高熱伝導層は、前記側面を、その上下幅の下側部分をなす50〜80%の幅部分は少なくとも覆うことを特徴とする地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項2】
前記水槽の側面を覆う前記高熱伝導層が、前記水槽の側面の、前記地表から1mの深さの範囲部分を除く下側部分に設けられていることを特徴とする請求項1記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項3】
前記水槽の上面部が地表から1〜2mの深さにあるとき、前記水槽の側面を覆う高熱伝導層が、側面視で、前記水槽の側面の上部は薄く下部は厚く設けられていることを特徴とする請求項1記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項4】
前記水槽の下面部を設置するための基礎部は、上下端が開放した収容部が設けられてなるコンクリート基礎の該収容部に、砂利及び/又は砂からなる高熱伝導層が充填されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項5】
前記水槽の上面部に、合成樹脂発泡体からなる断熱材層を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項6】
前記高熱伝導層を構成する砂利層の内部間隙に、前記高熱伝導層を構成する砂が充填されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の地中熱利用の循環型吸放熱装置。
【請求項7】
前記コンクリート製の水槽は、熱伝導率が5W/(m・k)以上の砂利と砂との混合物を主骨材として用いて構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の循環型吸放熱装置。
【請求項8】
前記砂利は珪石であり且つ前記砂は珪砂であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の循環型吸放熱装置。
【請求項9】
前記水槽として防火水槽を用いることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の循環型吸放熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−156867(P2008−156867A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345550(P2006−345550)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】
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