説明

地図データ

【課題】データ容量が大きくなく且つ高速でのデータへのアクセスが可能なナビゲーション装置用の地図データを提供すること。
【解決手段】道路管理情報では、同一道路名称の道路に対応するリンクをリンク列にまとめている。そして、道路管理情報と1対1で対応する情報として道路名称IDがあり、この道路名称IDが名称辞書データへのオフセットを示している。よって、道路名称を取得する場合には、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置の制御回路が、記録媒体に記録される本実施形態の地図データの道路管理情報リストからリンク列に対応する道路名称IDを取得し、取得した道路名称IDに含まれるオフセット情報に基づいて名称辞書データに格納される道路名称の位置を特定して取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置用の地図データに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置用の地図データのフォーマットとして、日本ではKIWI/A方式が一般的に用いられている。この方式では、地図上の道路がリンク単位で表され、各リンクは始点ノード及び終点ノードの参照情報を有している。また、この方式に基づく地図データは経路探索の高速化などの目的で複数段階に階層化されており、最下位層の各リンクには識別情報としてのリンクIDが付与されている。特に、同一属性の道路の描画の効率化やデータ圧縮などの目的で、属性が同一であって連続するリンクのグループはリンク列として規定されており、リンク列を構成するリンクには連続した値のリンクIDが付与されている。これにより、リンク列を上位階層で表現する際には、そのリンク列の始端側及び終端側の各リンクのリンクIDに基づき、その間のリンクを特定することができる。
【0003】
そして、上述のKIWI/A方式のフォーマットなど一般的に利用されている地図フォーマットでは、経路探索データと地図描画データを分離し各々それを利用するアプリケーションに最適なフォーマットとすることでアクセス性を上げ処理時間の短いシステムを提供している。
【0004】
また、道路名称データの配信地図データ容量削減のための手法として、取得したデータを重複せずに統合する技術が知られている(例えば特許文献1参照。)。具体的には、道路地図データは、道路の位置情報を有する道路データと、道路の名称情報を有する背景データとを複数のメッシュに分割してなる。この道路地図データに基づいて、道路の始点から終点までの推奨経路を決定する。推奨経路が通過する複数のメッシュに含まれる推奨経路を表す道路データおよび背景データをそれぞれ抽出する。抽出した複数のメッシュにそれぞれ含まれる同一のデータに対する名称情報を重複せずに統合し、抽出した道路データと統合した名称データから配信地図データを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−126036号公報(第6〜9頁、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、上述のように道路地図データが道路データと背景データとを複数のメッシュに分割してなり、取得する地図データ自体にはデータを重複して格納しているため、地図データのサイズが大きいという問題があった。
【0007】
また、海外向け地図では、ストリートアドレスでの目的地設定ができるよう、道路名称データ以外に検索専用データも格納されており、データ容量が大きいという問題もある。
さらに、辞書データとしてデータをまとめる手法を用いた場合、辞書データが大きくなりアクセス速度が低下する恐れもある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、データ容量が大きくなく且つ高速でのデータへのアクセスが可能なナビゲーション装置用の地図データを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る地図データは、道路がリンク単位で表され、同一属性の連続する複数のリンクがリンク列として規定され、リンク列情報リストと、道路名称情報リストと、オフセット情報リストと、を備える。このうちのリンク列情報リストは、リンク列に含まれるリンクの数量を示す固定長のリンク列情報を順に並べて格納される。また、道路名称情報リストは、リンク列に対応する道路の名称を示す道路名称情報を、対応するリンク列情報がリンク列情報リストに格納される順に並べて格納される。また、オフセット情報リストは、道路名称情報リストに格納される道路名称情報の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応するリンク列情報がリンク列情報リストに格納される順に並べて格納される。
【0010】
このように構成された本発明の地図データによれば、リンク列情報リストからリンク列に対応するオフセット情報を取得し、取得したオフセット情報に基づいて道路名称情報リストに格納される道路名称情報の位置を特定することができる。よって、高速でのデータへのアクセスが可能である。また、本発明の地図データによれば、従来の地図データのように道路地図データが道路データと背景データとを複数のメッシュに分割しなくてもよいため、データ容量が大きくなくて済む。したがって、データ容量が大きくなく且つ高速でのデータへのアクセスを可能とすることができる。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項2に係る地図データは、道路がリンク単位で表され、同一属性の連続する複数のリンクがリンク列として規定され、リンク列情報リストと、道路名称情報リストと、オフセット情報リストと、リンク情報リストと、アドレスレンジ情報リストと、を備える。
【0012】
このうちのリンク列情報リストは、リンク列に含まれるリンクの数量を示す固定長のリンク列情報を順に並べて格納される。また、道路名称情報リストは、リンク列に対応する道路の名称を示す道路名称情報を、対応するリンク列情報がリンク列情報リストに格納される順に並べて格納される。また、オフセット情報リストは、道路名称情報リストに格納される道路名称情報の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応するリンク列情報がリンク列情報リストに格納される順に並べて格納される。また、リンク情報リストは、リンクに含まれる座標の数量を示す固定長のリンク情報を、座標がリンクに設定される順に並べて格納される。また、アドレスレンジ情報リストは、リンク列に対応する道路のハウスナンバーを示す固定長のアドレスレンジ情報を、対応するリンク情報がリンク情報リストに格納される順に並べて格納される。
【0013】
このように構成された本発明の地図データによれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、例えば、道路名称情報が指定された場合に、指定された道路名称情報を示すオフセット情報をオフセット情報リストから特定し、特定したオフセット情報と対応付けられているリンク列情報をリンク列情報リストから特定する。続いて、特定したリンク列情報と対応付けられているリンク情報をリンク情報リストから特定する。さらに、特定したリンク情報に対応付けられているアドレスレンジ情報をアドレスレンジ情報リストから特定する。アドレスレンジ情報は、リンク列に対応する道路のハウスナンバーを示しており、特定したアドレスレンジ情報およびリンク情報から道路のハウスナンバーを特定することができる。よって、高速でのデータへのアクセスが可能である。また、本発明の地図データによれば、従来の地図データのように道路地図データが道路データと背景データとを複数のメッシュに分割しなくてもよいため、データ容量が大きくなくて済む。したがって、データ容量が大きくなく且つ高速でのデータへのアクセスを可能とすることができる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項3に係る地図データは、道路がリンク単位で表され、同一属性の連続する複数のリンクがリンク列として規定され、リンク列情報リストと、道路名称情報リストと、オフセット情報リストと、を備える。このうちのリンク列情報リストは、リンク列に含まれるリンクの数量を示す固定長のリンク列情報を順に並べて格納される。また、道路名称情報リストは、リンク列に対応する道路の名称を示す道路名称情報を、予め設定された記号群の並び順序に従って並べて格納される。また、オフセット情報リストは、道路名称情報リストに格納される道路名称情報の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応するリンク列情報がリンク列情報リストに格納される順に並べて格納される。
【0015】
なお、記号群の具体例としては、アルファベットや五十音などが挙げられ、これらの場合の予め設定された記号群の並び順序とは、アルファベット順や五十音順などとなる。
このように構成された本発明の地図データによれば、道路名称を検索する際に入力される記号を用いて、例えば2分探索のような検索手法を用いて高速でのデータへのアクセスが可能となる。
【0016】
さらに、上述の道路名称情報リストにおいては、予め設定された記号群の並び順序に従ってソートされた道路名称情報を、先頭の記号単位で分割したデータ構造を有することが考えられる(請求項4)。
【0017】
このように構成された本発明の地図データによれば、道路名称を検索する際に入力される記号を用いて、道路名称情報リストの一部を検索対象とすることができ、道路名称情報リスト全体を検索対象とする場合に比べて、さらに高速でのデータへのアクセスが可能である。また、メモリ容量も小さくて済む。また、道路名称情報リスト全体の容量を削減する必要がある場合には、先頭の記号単位でデータを圧縮して、必要時に解凍して利用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の地図データ1の基本構造を説明するための説明図(1)
【図2】実施形態の地図データ1の基本構造を説明するための説明図(2)
【図3】道路管理情報、リンク情報、形状情報を取得する例を説明するための説明図
【図4】道路名称を取得する例を説明するための説明図
【図5】アドレスレンジ情報を取得する例を説明するための説明図
【図6】名称辞書データのデータ構造を示す説明図
【図7】道路名称取得時のフローチャート
【図8】アドレス検索時のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明は下記実施形態に限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
[1.地図データ1の概要]
本実施形態の地図データ1の概要について図1,2を参照しながら説明する。なお、図1,2は、本実施形態の地図データ1の基本構造を説明するための説明図である。
【0020】
本実施形態の地図データ1は、次のような特徴を有している。
(1)ファイル構造
本実施形態の地図データ1に収録されるファイルの分類としては、メタ定義データ10、基本データ20、拡張データ30、辞書データ40、その他のデータ50が挙げられる。そして、本実施形態の地図データ1は、図1に示すように、メタ定義データ10としてのメタデータ11、基本データ20としての道路データ21および背景データ22、拡張データ30としての制限速度情報31、TMC情報32、誘導・レーン情報33および家形・ランドマーク情報34、辞書データ40としてのcity名称辞書41、その他のデータ50としてのアイコン定義51、イメージ定義52およびカラーパレット定義53など、から構成される。
【0021】
なお、メタデータ11には、記録データの主な構成情報が格納されている。また、道路データ21には、道路ネットワークに関する情報が格納され、背景データ22には、背景に関する情報(面、線、点)が格納されている。また、制限速度情報31には、制限速度に関する情報が格納され、TMC情報32には、TMCに関する情報が格納され、誘導・レーン情報33には、誘導に関する情報およびレーンに関する情報が格納され、家形・ランドマーク情報34には、家形に関する情報およびランドマークに関する情報が格納されている。また、city名称辞書41には、都市の名称に関する情報が辞書形式で格納されている。また、アイコン定義51にはアイコンに関する情報が格納され、イメージ定義52にはイメージに関する情報が格納され、カラーパレット定義53にはカラーパレットに関する情報が格納されている。
【0022】
(2)メッシュ構造
本実施形態の地図データ1は、詳細度別に、レベル5からレベル0までの各レベル毎に生成され、記録されている。この際、メッシュデータは、基準メッシュをレベル別の所定数統合した統合メッシュデータ単位にまとめられる。なお、レベル5が最も広域のデータを格納したものであり、レベル0が最も詳細なデータを格納したものである。
【0023】
(3)統合ファイル構造
上述の基本データまたは拡張データに分類されるファイル(基本データ20としての道路データ21および背景データ22、拡張データ30としての制限速度情報31、TMC情報32、誘導・レーン情報33および家形・ランドマーク情報34)については、統合メッシュファイルを統合した統合ファイル単位に地図データ1を作成する。
【0024】
上述の統合ファイルは、図2に示すように、レベル別の統合メッシュデータ数からなるレベル別統合メッシュデータ数リスト、レベル別の統合メッシュオフセットからなるレベル別統合メッシュオフセットリスト、レベル別の統合メッシュデータからなるレベル別統合メッシュデータリスト、から構成される。なお、統合メッシュデータ数は、当該レベルの統合メッシュデータの数量を格納し、そのサイズは4バイトである。よって、6個の統合メッシュデータ数からなるレベル別統合メッシュデータリストのサイズは24バイトである。また、統合メッシュオフセットは、当該レベルの統合メッシュデータへのオフセット(バイト位置)を格納し、そのサイズは4バイトである。なお、該当レベルの統合メッシュデータが存在しない場合には空値(0xFFFFFFFF)を格納する。そして、6個の統合メッシュオフセットからなるレベル別統合メッシュオフセットリストのサイズは24バイトである。
【0025】
また、統合メッシュデータは、統合メッシュデータサイズ、メッシュ数、メッシュ単位データオフセットリスト、メッシュ単位データリスト、から構成される。なお、統合メッシュデータサイズは、当該レベルの統合メッシュデータの合計サイズを格納し、そのサイズは4バイトである。また、メッシュ数は、当該統合メッシュデータに対応する地図領域に含まれるメッシュの数量を格納し、そのサイズは2バイトである。また、メッシュ単位データオフセットは、当該メッシュに対応するメッシュ単位データへの当該レベルの先頭統合メッシュデータオフセットからのオフセット(バイト位置)を格納する。なお、当該メッシュに対応するメッシュ単位データが存在しない場合には空値(0xFFFFFFFF)を格納する。
【0026】
なお、メッシュ単位データについては、データの種別によってその内容が異なる。ここでは、本発明に関係する道路データ21について説明し、その他の種別のデータについてはその詳細な説明は省略する。
【0027】
(4)道路データ
上述の統合ファイルが道路データ21を構成する場合には、図2に示すように、統合ファイルに含まれる統合メッシュデータ中のメッシュ単位データは、メッシュ単位ヘッダ、道路管理情報リスト、リンク情報リスト、座標情報リスト、Street名称IDリスト(道路名称IDリスト)、道路番号名称IDリスト、名称辞書データ(city名称辞書)、エリアコードリスト、アドレスレンジ情報リスト、代表座標情報リスト、上位リンクIDリスト、境界ノード番号リストおよび複合リンク規制レコードリスト、から構成される。
【0028】
メッシュ単位ヘッダには、メッシュ単位データに含まれる各種リスト(道路管理情報リストなど)それぞれのレコード数が登録されている。なお、メッシュ単位ヘッダに含まれるそれぞれのデータは固定長となっており、したがって、メッシュ単位ヘッダについても固定長となっている。
【0029】
道路管理情報リストは、リンク列に含まれるリンクの数量を示す固定長の道路管理情報を順に並べて格納される(図3参照)。なお、道路管理情報リストはリンク列情報リストに該当する。
【0030】
リンク情報リストは、リンクの形状を示すためにリンク上に設定される座標の数量を示す固定長のリンク情報を、対応する道路管理情報が道路管理情報リストに格納される順且つ座標がリンクに設定される順に並べて格納される(図3参照)。
【0031】
座標情報リストは、リンクの形状を示すためにリンク上に設定される座標を示す固定長の座標情報を、座標がリンク上に設定される順に並べて格納される(図3参照)。
道路名称IDリストは、名称辞書データに格納される道路名称の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応する道路管理情報が道路管理情報リストに格納される順に並べて格納される(図4参照)。ここで、道路名称情報とは、リンク列に対応する道路の名称を示す情報を云う。なお、道路名称IDリストはオフセット情報リストに該当する。
【0032】
道路番号名称IDリストは、名称辞書データに格納される道路番号の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応する道路管理情報が道路管理情報リストに格納される順に並べて格納される。ここで、道路番号情報とは、リンク列に対応する道路の番号を示す情報を云う。
【0033】
名称辞書データは、道路名称および道路番号を辞書化したものであり、リンク列に対応する道路名称を示す道路名称情報を道路番号とともに、対応する道路管理情報が道路管理情報リストに格納される順に並べて格納される(図4参照)。つまり、名称辞書データは、文字数を示す情報および文字列による可変長のデータとなっている。なお、名称辞書データは道路名称情報リストに該当する。
【0034】
エリアコードリストは、リンク列に対応するエリアのコード番号を示す固定長のエリアコード情報を、対応する道路管理情報が道路管理情報リストに格納される順に並べて格納される。
【0035】
アドレスレンジ情報リストは、リンク列に対応する道路のハウスナンバーを示す固定長のアドレスレンジ情報を、対応するリンク情報がリンク情報リストに格納される順に並べて格納される(図5参照)。
【0036】
代表座標情報リストは、リンクに設定される代表座標を示す固定長の代表座標情報を、対応するリンク情報がリンク情報リストに格納される順に並べて格納される。
上位リンクIDリストは、リンクに対応する上位レベルのリンクの位置を示す固定長のオフセット情報を、対応するリンク情報がリンク情報リストに格納される順に並べて格納される。
【0037】
境界ノード番号リストは、リンクの端部に設定される座標を示す固定長の境界ノード番号情報を、座標がリンクに設定される順に並べて格納される。
複合リンク規制レコードリストは、複合リンクの規制の有無を示す固定長の複合リンク規制レコード情報を、対応するリンク情報がリンク情報リストに格納される順に並べて格納される。
【0038】
[2.地図データを用いた各種情報を取得する処理の説明]
本実施形態の地図データ1は、ハードディスクなどの記録媒体に記録され、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置によって経路探索処理や地図描画処理などの各種処理に利用される。この際、ナビゲーション装置は、道路名称などの各種情報を地図データ1から取得する。以下に、本実施形態の地図データ1を用いた道路名称を取得する処理を図3〜5を参照しながら説明する。なお、図3は、道路管理情報、リンク情報、形状情報を取得する例を説明するための説明図であり、図4は、道路名称を取得する例を説明するための説明図であり、図5は、アドレスレンジ情報を取得する例を説明するための説明図である。
【0039】
なお、ナビゲーション装置の構造、ナビゲーション機能、経路探索処理および地図描画処理については公知技術に従うのでここではその詳細な説明は省略する。
(1)道路リンクから道路名称を取得する場合
上述の道路管理情報では、図3に示すように、同一道路名称の道路に対応するリンクをリンク列にまとめている。そして、道路管理情報と1対1で対応する情報として道路名称IDがあり、この道路名称IDが名称辞書データへのオフセットを示している。よって、道路名称の取得を取得する場合には、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置の制御回路が、記録媒体に記録される本実施形態の地図データの道路管理情報リストからリンク列に対応する道路名称IDを取得し、取得した道路名称IDに含まれるオフセット情報に基づいて名称辞書データに格納される道路名称の位置を特定して取得することができる。
(2)ハウスナンバーを取得する場合
入力された道路名称を示すオフセット情報を含む道路名称IDを道路名称IDリストから特定し、特定した道路名称IDと対応付けられている道路管理情報を道路管理情報リストから特定する(図4参照)。続いて、特定した道路管理情報と対応付けられているリンク情報をリンク情報リストから特定する(図3参照)。さらに、特定したリンク情報に対応付けられているアドレスレンジ情報をアドレスレンジ情報リストから特定する(図5参照)。アドレスレンジ情報は、リンク列に対応する道路のハウスナンバーを示しており、特定したアドレスレンジ情報およびリンク情報から道路のハウスナンバーを特定することができる。
【0040】
[3.効果]
このように本実施形態の地図データ1によれば、高速でのデータへのアクセスが可能である。また、本発明の地図データによれば、従来の地図データのように道路地図データが道路データと背景データとを複数のメッシュに分割しなくてもよいため、データ容量が大きくなくて済む。したがって、データ容量が大きくなく且つ高速でのデータへのアクセスを可能とすることができる。
【0041】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下の様々な態様にて実施することが可能である。
【0042】
(1)上記実施形態では、名称辞書データにおいては、図4に示すように、リンク列に対応する道路名称を示す道路名称情報を道路番号とともに、対応する道路管理情報が道路管理情報リストに格納される順に並べて格納されているが、これには限られず、名称辞書データを、道路名称情報がアルファベット順などの他の規則に従ってソートされた並びとして、先頭の文字単位で分割されて格納されたデータ構造を有するようにしてもよい。
【0043】
このように道路名称情報をアルファベット順でソートされた並びとして格納される名称辞書データについては、図6に例示するように、ファイル分割単位を管理する管理情報と、先頭文字としてのアルファベットの文字ごとの管理ファイルと、を備える。
【0044】
このうちの管理情報には、図6(a)に例示するように、先頭文字としてのアルファベットの文字ごとに、管理ファイル名と先頭名称オフセットとデータサイズとが対応付けられて登録されている。管理ファイル名は、先頭文字としてのアルファベットの文字ごとに設定される。また、先頭名称オフセットは、名称辞書データの先頭位置から、先頭文字としてのアルファベットの文字ごとに分割された各データ群の先頭位置までのオフセット(バイト位置)を格納する。また、データサイズは、先頭文字としてのアルファベットの文字ごとに分割された各データ群のサイズ(バイト数)である。
【0045】
また、各管理ファイルには、図6(b)に例示するように、名称オフセットと名称文字数と道路名称とが対応付けられて登録されている。名称オフセットは、先頭文字としてのアルファベットの文字ごとに分割された各データ群の先頭位置から当該道路名称までのオフセット(バイト位置)を格納する。また、名称文字数は、道路名称の文字数を格納する。また、道路名称は、道路名称を示す文字列を格納する。
(3)名称辞書データから道路名称を取得する場合
次に、名称辞書データから道路名称を取得する場合の処理を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、最初のステップS110では、名称を取得する道路を選択する。具体的には、ユーザによる道路の選択入力を受け付ける。
続くS120では、S110で選択した道路に対応する名称オフセットを道路名称IDリスト(図4参照)から取得する。
【0047】
続くS130では、S120で取得した名称オフセットを用いて、名称辞書データ(図6参照)から道路名称データを取得する。具体的には、名称オフセットと名称辞書データの管理情報の先頭名称オフセットおよびデータサイズを用いてファイル(例えばA−FILE)を選択し(S1301、(図6(a)参照)、該当するファイルを取得し(S1302、(図6(b)参照)、S1302で取得した該当ファイルの名称オフセットの中から、S120で取得した名称オフセットを2分探索で検索する(S1303)。
【0048】
続くS140では、S130取得された道路名称を表示する。
そして、本処理を終了する。
(4)アドレス検索を行う場合
次に、アドレス検索を行う場合の処理を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
まず、最初のステップS210では、道路名称とアドレスを入力する。具体的には、ユーザからの道路名称およびアドレスの入力を受け付ける。
続くS220では、S210で入力した道路名称を名称辞書データ(図6参照)から検索する。具体的には、名称辞書データの管理情報を用いて、先頭アルファベットからファイル(例えばA−FILE)を選択し(S2201、(図6(a)参照)、該当するファイルを取得し(S2202、(図6(b)参照)、入力された道路名称と該当ファイルの道路名称により2分探索を実施する(S2203)。
【0050】
続くS230では、S220で検索した道路名称を用いて、道路名称IDリスト(図4参照)から名称オフセットを取得する。
続くS240では、S230で取得した名称オフセットを道路リンク列(リンク情報リスト、図5参照)から検索する。
【0051】
続くS250では、S240での検索時に該当の道路リンク列のアドレスレンジ(アドレスレンジ情報リスト、図5参照)から道路のアドレスを検索する。
続くS260では、S250で検索したアドレスに該当する場所の地図を表示する。
【0052】
そして、本処理を終了する。
このように、名称辞書データが、道路名称情報がアルファベット順などの他の規則に従ってソートされた並びとして、先頭の文字単位で分割されて格納されたデータ構造を有するので、道路名称を検索する際に入力されるアルファベットを用いて、例えば2分探索のような検索手法を用いて高速でのデータへのアクセスが可能となる。
【0053】
また、名称辞書データが、先頭の文字単位で分割されて格納されたデータ構造を有するので、道路名称を検索する際に入力されるアルファベットを用いて、道路名称情報リストの一部を検索対象とすることができ、道路名称情報リスト全体を検索対象とする場合に比べて、さらに高速でのデータへのアクセスが可能である。また、メモリ容量も小さくて済む。また、道路名称情報リスト全体の容量を削減する必要がある場合には、先頭のアルファベット単位でデータを圧縮して、必要時に解凍して利用することも可能となる。
【0054】
なお、アルファベット順でソートされた名称辞書データに限らず、五十音順など予め設定された記号群の並び順序に従ってソートされた名称辞書データにも本発明や適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…地図データ、10…メタ定義データ、11…メタデータ、20…基本データ、21…道路データ、22…背景データ、30…拡張データ、31…制限速度情報、32…TMC情報、33…誘導・レーン情報、34…家形・ランドマーク情報、40…辞書データ、41…city名称辞書、50…その他データ、51…アイコン定義、52…イメージ定義、53…カラーパレット定義

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路がリンク単位で表され、同一属性の連続する複数のリンクがリンク列として規定された地図データであって、
前記リンク列に含まれるリンクの数量を示す固定長のリンク列情報を順に並べて格納されるリンク列情報リストと、
前記リンク列に対応する道路の名称を示す道路名称情報を、対応する前記リンク列情報が前記リンク列情報リストに格納される順に並べて格納される道路名称情報リストと、
前記道路名称情報リストに格納される前記道路名称情報の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応する前記リンク列情報が前記リンク列情報リストに格納される順に並べて格納されるオフセット情報リストと、
を備えることを特徴とする地図データ。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データにおいて、
さらに、
前記リンクに含まれる座標の数量を示す固定長のリンク情報を、前記座標が前記リンクに設定される順に並べて格納されるリンク情報リストと、
前記リンク列に対応する道路のハウスナンバーを示す固定長のアドレスレンジ情報を、対応する前記リンク情報が前記リンク情報リストに格納される順に並べて格納されるアドレスレンジ情報リストと、
を備えることを特徴とする地図データ。
【請求項3】
道路がリンク単位で表され、同一属性の連続する複数のリンクがリンク列として規定された地図データであって、
前記リンク列に含まれるリンクの数量を示す固定長のリンク列情報を順に並べて格納されるリンク列情報リストと、
前記リンク列に対応する道路の名称を示す道路名称情報を、予め設定された記号群の並び順序に従って並べて格納される道路名称情報リストと、
前記道路名称情報リストに格納される前記道路名称情報の位置を示す固定長のオフセット情報を、対応する前記リンク列情報が前記リンク列情報リストに格納される順に並べて格納されるオフセット情報リストと、
を備えることを特徴とする地図データ。
【請求項4】
請求項3に記載の地図データにおいて、
道路名称情報リストにおいては、並べる順序が予め設定された記号群の並び順序に従ってソートされた道路名称情報を、先頭の記号単位で分割したデータ構造を有することを特徴とする地図データ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175231(P2011−175231A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210928(P2010−210928)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】