地図表示システムにおけるアイコン表示方法
【課題】重なったアイコンを無作為に展開すると、アイコンの重なりは無くなるが、アイコンが示す地図の位置が正確ではなくなるため、利用者に誤った情報を与えてしまうという欠点を解消する。
【解決手段】基準アイコンを選定し該基準アイコン及び該基準アイコンに重なって表示されるアイコンをリスト化するアイコンデータ読込部と、前記アイコンデータ読込部により作成されたアイコン重なりリストが持つアイコンに重み付けを設定し優先順位を設定する展開優先順位処理部と、前記展開優先順位処理部により設定された優先順位でアイコンを描画するアイコン優先描画処理部と、前記アイコン優先描画処理部によって描画されたアイコンに関して前記展開優先順位処理部によって設定された優先順位によってアイコンの描画パターンを展開する展開描画処理部と、から成ることを特徴とするアイコン表示方法とする。
【解決手段】基準アイコンを選定し該基準アイコン及び該基準アイコンに重なって表示されるアイコンをリスト化するアイコンデータ読込部と、前記アイコンデータ読込部により作成されたアイコン重なりリストが持つアイコンに重み付けを設定し優先順位を設定する展開優先順位処理部と、前記展開優先順位処理部により設定された優先順位でアイコンを描画するアイコン優先描画処理部と、前記アイコン優先描画処理部によって描画されたアイコンに関して前記展開優先順位処理部によって設定された優先順位によってアイコンの描画パターンを展開する展開描画処理部と、から成ることを特徴とするアイコン表示方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ナビゲーションシステムや電子地図などのような、コンピュータ画面上に地図を表示する装置において、地図上の各種アイコンを閲覧者に見やすく提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図表示システムは、PC上で動作するシステムや、車載用ナビゲーションシステムや、通信機能付き携帯情報端末や、サーバ・クライアント形式による情報配信や、WEBサーバ形式等様々な形態により提供され、ユーザの指定に基づいて、あるいはGPS等により得られた位置情報に基づいて、所定の地図情報をディスプレイに描画するシステムである。
【0003】
また、この地図情報を表示するにあたり、建物等の不動産情報や備蓄物資等の動産情報や雨量計等のセンサ情報等の、地理位置を持つ(結び付けられる)様々な情報は、地理位置を基準とする事によって情報の種類に限定されることなく表示する事ができる。
【0004】
表示されるこれらの情報は、視覚的にイメージしやすく概略表現された情報を特徴的に示すマーク(=アイコン)を地図上の該当地理位置に配置し表示する事によって、概略表現される。
【0005】
このように、地図上にアイコンを表示することによって閲覧者に向けて情報を発する装置は多いが、図1のようにアイコンが密集した場合に、該アイコンが重なり合うことによって判別が困難になることがある。
【0006】
アイコンの重なりによる判別困難性を解決するための手法は複数提案されている。例えば特許文献1や特許文献3は、複数のアイコンをまとめて、代表アイコンとして別途生成し表示する手段である。
【0007】
また、特許文献2は、アイコンが複数重なった場合に、利用者が過去に閲覧した施設情報を解析することによって、利用者の嗜好をデータ化し、該データに基づいて、表示するアイコンを決定する手段である。
【0008】
また、既存の方法としてはアイコンの重なりを回避するために、図4のように、マウスクリック等の割り込みイベント時に、引き出し線を用いてアイコンを散らすという方法が採られる事も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−206608号公報
【特許文献2】特開2004−355075号公報
【特許文献3】特開2003−337041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、例えば代表アイコンを生成する手段であると、地図を見易くはなるものの、特定のアイコンを選択することができなくなるという欠点がある。
【0011】
また、利用者の嗜好を考慮した表示手段にすると、過去の閲覧アイコンとは違う情報を欲した場合に、それが表示されなくなるという欠点がある。
【0012】
また、アイコンを一様に散らす手段によると、散らされたアイコンに優劣が付けられておらず、重なりを防ぐために全てのアイコンが散らされてしまうため、散らされたアイコンの中で本来選択したいアイコンを利用者が探さなくてはならないという欠点がある。
【0013】
また、アイコンの重なりによる識別困難性への一般的な対処について、従来の手法を大別すると、前記のように事前にアイコンをずらしておく手法と、文字によるリスト表示を行う手法が用いられていた。
【0014】
事前にアイコンをずらしておく手法は、図2に示すようにアイコンの重なりを予め除去しておくものである。この手法によると、アイコンの重なりは無くなるが、アイコンが示す地図の位置が正確ではなくなるため、利用者に誤った情報を与えてしまうという欠点がある。
【0015】
文字による表示手法は、重なったアイコン上にポインティングデバイスによってポインティング操作を行った場合に、図3に示すように文字によってリスト表示を行うものである。この手法によると、全ての情報を表示することは出来るが、図形情報のような見易さが無くなるという欠点がある。また、文字列とアイコン位置との関連が不明瞭になるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、これらの課題を解決するために、
表示装置に地図を表示し情報を特徴的に示すアイコンも該地図上に併せて表示している地図表示システムであって、アイコンが重なって表示される場合に該重なったアイコンの位置をずらして展開するアイコン表示方法において、
基準アイコンを選定し該基準アイコン及び該基準アイコンに重なって表示されるアイコンをリスト化するアイコンデータ読込部と、
前記アイコンデータ読込部により作成されたアイコン重なりリストが持つアイコンに重み付けを設定し優先順位を設定する展開優先順位処理部と、
前記展開優先順位処理部により設定された優先順位でアイコンを描画するアイコン優先描画処理部と、
前記アイコン優先描画処理部によって描画されたアイコンに関して前記展開優先順位処理部によって設定された優先順位によってアイコンの描画パターンを展開する展開描画処理部と、
から成ることを特徴とするアイコン表示方法とする。
【0017】
この手段によって、重なったアイコンを、利用者が位置を把握しやすく考慮しながら一時的に重ならない状態にする、つまり展開することが可能になる。
【0018】
また、本発明は、前記展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に渦巻き状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【0019】
この手段によって、重なったアイコンの展開方法を一意的に定めることが可能になる。
【0020】
また、本発明は、前記展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に放射状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【0021】
この手段によっても、重なったアイコンの展開方法を一意的に定めることが可能になる。
【0022】
また、本発明は、前記展開優先順位処理部は、展開優先順位を決定するために各アイコンに重み付けをする場合に、地理的な位置を示すアイコンの重み付けを強くし、その位置で為されている位置以外の情報を示すアイコンの重み付けを軽くすることを特徴とするアイコン表示方法。
【0023】
この手段によって、例えば建物そのもののアイコンの重み付けを強くし、その建物の内部に設置された各機能のアイコンの重み付けを軽くするなどして、地理的な位置を示すアイコンと、それ以外のアイコンの展開位置を決めることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
地図上の複数のアイコンが地理的に近い位置である場合に、その表示が重なり合ってしまい、利用者が特定のアイコンを選択して詳細情報を得ることが困難になるが、本発明によれば、該アイコンを利用者が認識しやすいように展開するため、所望のアイコンを見つけて選択するのが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アイコンが密集して判別が困難になっている様子
【図2】アイコンが重ならないように表示する一例
【図3】アイコンが重なった場合に文字表示をする一例
【図4】アイコンを散らして見易くする一例
【図5】アイコンの散らし方に法則を用いる一例
【図6】全体構成図
【図7】コンピュータによる構成例
【図8】サーバ・クライアント装置による構成例
【図9】コンピュータプログラムによる構成例
【図10】重み付けをしたアイコン展開の一例
【図11】重み付け順位によって螺旋状にアイコンを展開する一例
【図12】描画全体処理フローチャート
【図13】アイコンデータ読込処理のフローチャート
【図14】展開優先順位処理のフローチャート
【図15】アイコン優先描画処理のフローチャート
【図16】アイコン展開描画処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
本発明の好適な実施例について、図を参照して説明する。本発明は前述のような、重なったアイコンを散らす手段を用いるが、従来の手段との違いは、無作為に散らすものではないところにある。
【0027】
つまり、例えば、図5に示すように、ビルディングを示すアイコンと、該ビルディング内に居を構えている会社のアイコンが重なった場合、ビルディングのアイコンの移動量は微量もしくは移動させないものとし、内部の会社のアイコンを散らすことによって、地図利用者にとって地理的な位置を把握しやすいものにすることである。
【0028】
同様に、例えばマンションのアイコンと住人のアイコンが重なった場合は住人のアイコンを散らすこととし、また、備蓄倉庫のアイコンと備蓄品のアイコンが重なった場合は備蓄品のアイコンを散らすことが、利用者にとって地理的な位置を把握しやすいものとなる。
【0029】
このように本発明は、地図上でアイコンが重なり合うことによって利用者が所望のアイコンの識別をすることが困難になることを防ぐために、重なり合ったアイコンを散らす(展開する)手段を取るのであるが、その際に、アイコンの持つ情報(アイコンデータ)を基に展開優先順位を決定する順位処理(重み付け)を行い、アイコンの散らし方を工夫することによって、アイコンの持つ特徴を活かした描画をすることに特徴がある。
【0030】
本発明は次の4つの手段によって実施される。つまり、地図と共に表示されるアイコンのアイコンデータを読み込むためのアイコンデータ読込手段と、前記アイコンデータ読込手段によって読み込まれたアイコンデータを基に展開優先順位を決定するための順位処理手段と、前記順位処理手段による優先順位に基づく順序で重ねあわせたアイコンを描画するための優先描画手段と、利用者によるアイコン選択時に前記順位処理手段に基づいて一時的にアイコンを展開するための展開描画手段である。
【0031】
なお、これら手段は、PCや携帯端末やカーナビゲーションシステムなどにおける地図表示機能に容易に追加することが可能である。
【0032】
実施の形態としては、所定のメモリにプログラムが格納されて前記手段を実行する形態が考えられ、該格納する手段としてはCD−ROM等の外部媒体からの読込によるものや、ハードディスクからの読込によるものや、ネットワーク等を介してサーバ装置から読込む形式や、サーバ装置上とクライアント装置上で役割を分担して行われる方法などの形態が考えられる。
【0033】
図6は本実施方法が適用される地図表示システムの全体構成を示したものである。
【0034】
図6に示すように、各機能を予め定められたプログラムに従って処理をする処理部601、処理部により実行される制御プログラムなどが格納される格納部611、処理部の作業用メモリなどとして用いられる展開部603、各種のデバイスを制御する入出力制御部605、表示部に表示するための画像が書き込まれる作業用メモリなどとして用いられる表示展開部607、サーバとクライアントの通信を行う通信部609、操作入力部613、表示部615からなる。
【0035】
なお、これら各機能の集合体は単体もしくは複数の装置によって構成することが可能であり、全てが物理的に一つの装置に装備されるとは限らない。
【0036】
例えば前記各機能を一つのマイクロコンピュータによって構成した例を図7に示す。殆どの機能を1つの装置内で処理する形であり、携帯型端末や車載用ナビゲーション装置等でこの様な形が採られうる。
【0037】
また、例えばサーバ装置及びクライアント装置を組み合わせた形で構成したシステムの例を図8に示す。
【0038】
例えば地図データ及びアイコンデータを読込み展開優先順位を決める機能をサーバ装置側で行い、各データと展開優先順位をクライアント側に通信部を介して受け渡し、クライアント装置側で優先描画及び展開描画を行う、というように複数の装置でシステムが構築される。各種コンピュータによるサーバクライアント型での構成やWEBサーバ形式でシステムを構築する場合でこの様な形が採られうる。
【0039】
図8において、処理部601は格納部611に格納されているプログラムに基づいて、展開部603を作業用メモリとして各種処理を実行する。また、格納部611内の情報格納部から地図データやアイコンデータなどを読み出し、処理部601にて地理座標と表示座標等の変換や位置情報の管理等を行い、地図データやアイコンデータ等を表示展開部607に展開する。
【0040】
地図データやアイコンデータは格納部611から読み込まれるだけでなく、外部システムによって供給されるものを通信部609を介して取り込むこともある。同様に、プログラムもまた通信部609を介してダウンロードすることもある。また、表示展開部607に展開された情報は、表示部615によってユーザに対して可視化される。
【0041】
操作入力部613からは、表示部615に表示された地図画像等の表示地理位置のスクロールや表示内容の変更やアイコンの選択情報などの、ユーザの各種操作入力が入出力制御部605に受け渡される。
【0042】
処理部601は入出力制御部605や通信部609を介してこれらの情報を取り込み、取り込んだ情報に基づいて、スクロールや詳細情報の表示などの各種処理を実行する。
【0043】
図9は前記実施方法を説明するもので、代表する構成として地図表示システムを構成する装置をパーソナルコンピュータとし、プログラムを用いて課題を解決するものである。パーソナルコンピュータ901をプログラム903にて動作させ、マウス等の入力装置613によって操作指示が為され、モニタ615で表示する。
【0044】
前記のような構成において、重なったアイコンから利用者が特定のアイコンの詳細情報を得たい場合に、利用者が重なったアイコンを、例えばマウスのようなポインティングデバイスで選択すると、図10に示すように、一時的にアイコンが展開され、アイコンの重なりがなくなる。図9ではパーソナルコンピュータに接続されたマウス613を用いてアイコンを選択すると、パーソナルコンピュータに接続されたモニタ615にてアイコンが展開表示される。
【0045】
このように、アイコンを展開することによりアイコンの重なりがなくなるので、利用者は容易に所望のアイコンを選択し、その詳細情報を得ることができる。
【0046】
しかし、図4で説明したように、無作為に展開処理をすると、展開されたアイコンの中で、利用者が本来選択したいアイコンを探さなければならないという問題点がある。そこで本発明では、図5で説明したように、展開に優先順位を設けることによって、この問題点を解決する。
【0047】
図10では、例えば1001(四角いアイコン)が場所のアイコン、1003(三角のアイコン)がその場所にある物のアイコンであるとすると、場所のアイコン1001は地図上の地理的な位置を移動しないということである。
【0048】
なお、アイコンの展開にあたっての各アイコンの重み付けは、このように場所と物といった単純なものに限定せずに、利用者によるアイコン表示の絞り込み状態や、また、利用者の指示による重み付けによることも可能である。
【0049】
図11は各アイコンが重み付け係数による展開優先順位を持っており、該優先順位が高いほど(丸囲い内の数字が小さいほど)元のアイコンの位置の近くにアイコンを展開している一例である。
【0050】
最も優先順位が高いアイコンは、元のアイコンの位置からの移動量を最も小さくする、あるいは、元のアイコンの位置から移動させない。なお、図11では優先順位の順番で螺旋状にアイコンを展開しているが、この手段に限定しない。
【0051】
ここまで説明したように、本発明は、地図上におけるアイコンが重なり合っていて任意のアイコンを選択できない状態になることを防ぐために、展開、つまりアイコンの位置をずらす処理をするが、その際、優先順位に基づいてアイコンを展開することによって、利用者が所望のアイコンを見つけやすくすることを特徴としている。
【0052】
次に、フローチャートを用いて本発明の実施手順を説明する。図12は描画全体処理を示したフローチャートである。
【0053】
まず地図データを読み込み(S101)地図描画を行う(S102)。次にアイコンデータを読み込み(S103)、読込まれたアイコンデータを元に展開優先順位処理を行う(S104)。既に描画されている地図の上に、展開優先順位に従って優先順位が最も高いアイコンが最上層に表示されるようにアイコンを優先描画する(S105)。
【0054】
ユーザによるアイコンの選択、すなわちマウスクリック(ポインティング操作)が行われた場合、アイコン展開描画(S107)が行われる。アイコンの選択が行われない限りアイコン展開描画は行われず処理は終了する(S106)。地図表示システム全体においては、描画地理位置の変更や描画スケールの変更等の各処理と共に、このフローチャートに示した描画全体処理が繰り返し実行される。
【0055】
図13は図12におけるアイコンデータ読込処理S103を詳述したものである。描画された地図の表示エリア(地理範囲)を確認する(S201)。次に全アイコンデータからS201で確認した表示エリア内の地理情報を持つアイコンデータを採り上げ、表示全アイコンリストとして登録する(S202)これにより表示されるべき全てのアイコンがリストとして揃う。
【0056】
次に、アイコンが重なっているという判断はアイコンのもつ地理情報位置が同一もしくは近似であるということであるが、近似というのは地図表示スケールに応じて相対的に変化するものであるから、地図の表示スケール(表示倍率)に対応した重なり判定距離を設定する(S203)ことにより重なり判定の精度を上げる。
【0057】
次に、表示全アイコンリストの中で未チェックの状態のアイコンの中から最も若いレコードのアイコンを基準アイコンとして選定する(S204)。基準アイコンとして選定したアイコンは表示全アイコンリストの中でチェック済みとして登録する(S205)。また新たなアイコン重なりリストを作成し基準アイコンを作成したアイコン重なりリストに登録する(S206)。
【0058】
次に、表示全アイコンの中で未チェックの状態のアイコンの中から最も若いレコードのアイコンから順に基準アイコンと重なっているかどうかチェックし(S207)、重なっている場合にはアイコン重なりリストに該当アイコンデータを登録する(S208)と共に全アイコンリストにおいて該当アイコンをチェック済みとして登録する(S209)。基準アイコンに対して全ての未チェックアイコンとの重なりチェックが終了した場合S207は偽となりS210に移行する。なお、アイコンが重なっているという事象の判断は、該当アイコンと基準アイコンとの地理位置情報(緯度経度)の差がS203で設定した重なり判定距離よりも小さい場合にアイコンが重なっていると判断する。
【0059】
次に、表示全アイコンリスト内のアイコンが全てチェック済みかどうか判断し(S210)、未チェックのものがあればS204へ遷移する。全てがチェック済みであれば処理は終了する。
【0060】
図14は図12における展開優先順位処理S104を詳述したものである。重み付け設定を取得する(S301)。この重み付け設定はアイコンデータの属性値(種別,データ量,フラグ値等)に対して、前述したようにシステム起動時の予め定められた設定やユーザによる優先付けの指示による設定により優劣判断の順位があらかじめ定められた状態となっている。
【0061】
具体的には種別が不動産のほうが動産よりも優先度が高く、備蓄食糧トン数データ値が大きいほど優先度が高く、空室状態フラグがONのほうが優先度が高いという様に、全てアイコンデータの属性値に結び付けられる形で重み付け設定がされている。
【0062】
次に、同一重なりリスト内に登録されているアイコンに対して重み付け設定を当て嵌めることによりリスト内の優先順位を決定する(S302)。優先順位をアイコン重なりリストに登録する(S303)。
【0063】
次に、全てのアイコン重なりリストで優先順位判定済みかどうか判断し(S304)、未チェックのリストがあればS302に遷移する。全てのリストがチェック済みであれば処理は終了する。
【0064】
図15は図12におけるアイコン優先描画処理S105を詳述したものである。重なりリスト内の優先順位に従い順にアイコンを描画する(S401)優先順位が最も高いアイコンが最上層になるように、優先順位の最も低いアイコンから順に重ねて描画を行う。
【0065】
次に、全てのアイコン重なりリストについてアイコン描画を行ったか判断し(S402)、未チェックのリストがあればS401に遷移する。全てのリストについてアイコン描画済みであれば処理は終了する。
【0066】
図16は図12におけるアイコン展開描画処理S107を詳述したものである。描画展開パターンを読込む(S501)。この描画展開パターンは最も優先度が高いアイコンを基準位置からの相対位置0とし、優先度が下がるに応じた順に表示画面上の相対位置(±X,±Y)を設定したものとなっている。すなわち、図11において説明すれば丸囲み1が最も優先度が高いアイコンであるため相対位置0であり、次いで優先度が高いアイコンである丸囲み2の相対位置は(0,−1)という形である。
【0067】
次に、全重なりリストの中から選択されたアイコンが含まれる重なりリストを該当重なりリストとして抽出する(S502)。該当重なりリストの中で最も優先順位の高い(優先順位1位)アイコンをアイコンデータの持つ地理位置を元にそのまま描画し、この描画位置を描画パターンの基準位置として登録する(S503)。
【0068】
次に重なりリスト内の優先順位に従い順に、基準位置からの展開描画パターンの相対位置にアイコンを描画する(S504)。次に、該当重なりリストに登録されている全てのアイコンについて描画を行ったか判断し(S505)、未描画のアイコンがあればS504に遷移する。全てのアイコンが描画済みであれば処理は終了する。
【0069】
本発明においては、重み付け優先順位が最も高いアイコンの周囲にその他のアイコンを展開する場合に、その展開手段は前記方法に限定しない。
【0070】
本発明においては、重み付け優先順位の決定方法については前記方法に限定しない。
【符号の説明】
【0071】
601…処理部、 603…展開部、
605…入出力制御部、 607…表示展開部、
609…通信部、 611…格納部、
613…操作入力部、 615…表示部、
901…パーソナルコンピュータ、 903…プログラム、
1001…重み付けの最も重いアイコン、 1003…重み付けの軽いアイコン、
【技術分野】
【0001】
ナビゲーションシステムや電子地図などのような、コンピュータ画面上に地図を表示する装置において、地図上の各種アイコンを閲覧者に見やすく提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図表示システムは、PC上で動作するシステムや、車載用ナビゲーションシステムや、通信機能付き携帯情報端末や、サーバ・クライアント形式による情報配信や、WEBサーバ形式等様々な形態により提供され、ユーザの指定に基づいて、あるいはGPS等により得られた位置情報に基づいて、所定の地図情報をディスプレイに描画するシステムである。
【0003】
また、この地図情報を表示するにあたり、建物等の不動産情報や備蓄物資等の動産情報や雨量計等のセンサ情報等の、地理位置を持つ(結び付けられる)様々な情報は、地理位置を基準とする事によって情報の種類に限定されることなく表示する事ができる。
【0004】
表示されるこれらの情報は、視覚的にイメージしやすく概略表現された情報を特徴的に示すマーク(=アイコン)を地図上の該当地理位置に配置し表示する事によって、概略表現される。
【0005】
このように、地図上にアイコンを表示することによって閲覧者に向けて情報を発する装置は多いが、図1のようにアイコンが密集した場合に、該アイコンが重なり合うことによって判別が困難になることがある。
【0006】
アイコンの重なりによる判別困難性を解決するための手法は複数提案されている。例えば特許文献1や特許文献3は、複数のアイコンをまとめて、代表アイコンとして別途生成し表示する手段である。
【0007】
また、特許文献2は、アイコンが複数重なった場合に、利用者が過去に閲覧した施設情報を解析することによって、利用者の嗜好をデータ化し、該データに基づいて、表示するアイコンを決定する手段である。
【0008】
また、既存の方法としてはアイコンの重なりを回避するために、図4のように、マウスクリック等の割り込みイベント時に、引き出し線を用いてアイコンを散らすという方法が採られる事も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−206608号公報
【特許文献2】特開2004−355075号公報
【特許文献3】特開2003−337041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、例えば代表アイコンを生成する手段であると、地図を見易くはなるものの、特定のアイコンを選択することができなくなるという欠点がある。
【0011】
また、利用者の嗜好を考慮した表示手段にすると、過去の閲覧アイコンとは違う情報を欲した場合に、それが表示されなくなるという欠点がある。
【0012】
また、アイコンを一様に散らす手段によると、散らされたアイコンに優劣が付けられておらず、重なりを防ぐために全てのアイコンが散らされてしまうため、散らされたアイコンの中で本来選択したいアイコンを利用者が探さなくてはならないという欠点がある。
【0013】
また、アイコンの重なりによる識別困難性への一般的な対処について、従来の手法を大別すると、前記のように事前にアイコンをずらしておく手法と、文字によるリスト表示を行う手法が用いられていた。
【0014】
事前にアイコンをずらしておく手法は、図2に示すようにアイコンの重なりを予め除去しておくものである。この手法によると、アイコンの重なりは無くなるが、アイコンが示す地図の位置が正確ではなくなるため、利用者に誤った情報を与えてしまうという欠点がある。
【0015】
文字による表示手法は、重なったアイコン上にポインティングデバイスによってポインティング操作を行った場合に、図3に示すように文字によってリスト表示を行うものである。この手法によると、全ての情報を表示することは出来るが、図形情報のような見易さが無くなるという欠点がある。また、文字列とアイコン位置との関連が不明瞭になるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、これらの課題を解決するために、
表示装置に地図を表示し情報を特徴的に示すアイコンも該地図上に併せて表示している地図表示システムであって、アイコンが重なって表示される場合に該重なったアイコンの位置をずらして展開するアイコン表示方法において、
基準アイコンを選定し該基準アイコン及び該基準アイコンに重なって表示されるアイコンをリスト化するアイコンデータ読込部と、
前記アイコンデータ読込部により作成されたアイコン重なりリストが持つアイコンに重み付けを設定し優先順位を設定する展開優先順位処理部と、
前記展開優先順位処理部により設定された優先順位でアイコンを描画するアイコン優先描画処理部と、
前記アイコン優先描画処理部によって描画されたアイコンに関して前記展開優先順位処理部によって設定された優先順位によってアイコンの描画パターンを展開する展開描画処理部と、
から成ることを特徴とするアイコン表示方法とする。
【0017】
この手段によって、重なったアイコンを、利用者が位置を把握しやすく考慮しながら一時的に重ならない状態にする、つまり展開することが可能になる。
【0018】
また、本発明は、前記展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に渦巻き状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【0019】
この手段によって、重なったアイコンの展開方法を一意的に定めることが可能になる。
【0020】
また、本発明は、前記展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に放射状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【0021】
この手段によっても、重なったアイコンの展開方法を一意的に定めることが可能になる。
【0022】
また、本発明は、前記展開優先順位処理部は、展開優先順位を決定するために各アイコンに重み付けをする場合に、地理的な位置を示すアイコンの重み付けを強くし、その位置で為されている位置以外の情報を示すアイコンの重み付けを軽くすることを特徴とするアイコン表示方法。
【0023】
この手段によって、例えば建物そのもののアイコンの重み付けを強くし、その建物の内部に設置された各機能のアイコンの重み付けを軽くするなどして、地理的な位置を示すアイコンと、それ以外のアイコンの展開位置を決めることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
地図上の複数のアイコンが地理的に近い位置である場合に、その表示が重なり合ってしまい、利用者が特定のアイコンを選択して詳細情報を得ることが困難になるが、本発明によれば、該アイコンを利用者が認識しやすいように展開するため、所望のアイコンを見つけて選択するのが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アイコンが密集して判別が困難になっている様子
【図2】アイコンが重ならないように表示する一例
【図3】アイコンが重なった場合に文字表示をする一例
【図4】アイコンを散らして見易くする一例
【図5】アイコンの散らし方に法則を用いる一例
【図6】全体構成図
【図7】コンピュータによる構成例
【図8】サーバ・クライアント装置による構成例
【図9】コンピュータプログラムによる構成例
【図10】重み付けをしたアイコン展開の一例
【図11】重み付け順位によって螺旋状にアイコンを展開する一例
【図12】描画全体処理フローチャート
【図13】アイコンデータ読込処理のフローチャート
【図14】展開優先順位処理のフローチャート
【図15】アイコン優先描画処理のフローチャート
【図16】アイコン展開描画処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
本発明の好適な実施例について、図を参照して説明する。本発明は前述のような、重なったアイコンを散らす手段を用いるが、従来の手段との違いは、無作為に散らすものではないところにある。
【0027】
つまり、例えば、図5に示すように、ビルディングを示すアイコンと、該ビルディング内に居を構えている会社のアイコンが重なった場合、ビルディングのアイコンの移動量は微量もしくは移動させないものとし、内部の会社のアイコンを散らすことによって、地図利用者にとって地理的な位置を把握しやすいものにすることである。
【0028】
同様に、例えばマンションのアイコンと住人のアイコンが重なった場合は住人のアイコンを散らすこととし、また、備蓄倉庫のアイコンと備蓄品のアイコンが重なった場合は備蓄品のアイコンを散らすことが、利用者にとって地理的な位置を把握しやすいものとなる。
【0029】
このように本発明は、地図上でアイコンが重なり合うことによって利用者が所望のアイコンの識別をすることが困難になることを防ぐために、重なり合ったアイコンを散らす(展開する)手段を取るのであるが、その際に、アイコンの持つ情報(アイコンデータ)を基に展開優先順位を決定する順位処理(重み付け)を行い、アイコンの散らし方を工夫することによって、アイコンの持つ特徴を活かした描画をすることに特徴がある。
【0030】
本発明は次の4つの手段によって実施される。つまり、地図と共に表示されるアイコンのアイコンデータを読み込むためのアイコンデータ読込手段と、前記アイコンデータ読込手段によって読み込まれたアイコンデータを基に展開優先順位を決定するための順位処理手段と、前記順位処理手段による優先順位に基づく順序で重ねあわせたアイコンを描画するための優先描画手段と、利用者によるアイコン選択時に前記順位処理手段に基づいて一時的にアイコンを展開するための展開描画手段である。
【0031】
なお、これら手段は、PCや携帯端末やカーナビゲーションシステムなどにおける地図表示機能に容易に追加することが可能である。
【0032】
実施の形態としては、所定のメモリにプログラムが格納されて前記手段を実行する形態が考えられ、該格納する手段としてはCD−ROM等の外部媒体からの読込によるものや、ハードディスクからの読込によるものや、ネットワーク等を介してサーバ装置から読込む形式や、サーバ装置上とクライアント装置上で役割を分担して行われる方法などの形態が考えられる。
【0033】
図6は本実施方法が適用される地図表示システムの全体構成を示したものである。
【0034】
図6に示すように、各機能を予め定められたプログラムに従って処理をする処理部601、処理部により実行される制御プログラムなどが格納される格納部611、処理部の作業用メモリなどとして用いられる展開部603、各種のデバイスを制御する入出力制御部605、表示部に表示するための画像が書き込まれる作業用メモリなどとして用いられる表示展開部607、サーバとクライアントの通信を行う通信部609、操作入力部613、表示部615からなる。
【0035】
なお、これら各機能の集合体は単体もしくは複数の装置によって構成することが可能であり、全てが物理的に一つの装置に装備されるとは限らない。
【0036】
例えば前記各機能を一つのマイクロコンピュータによって構成した例を図7に示す。殆どの機能を1つの装置内で処理する形であり、携帯型端末や車載用ナビゲーション装置等でこの様な形が採られうる。
【0037】
また、例えばサーバ装置及びクライアント装置を組み合わせた形で構成したシステムの例を図8に示す。
【0038】
例えば地図データ及びアイコンデータを読込み展開優先順位を決める機能をサーバ装置側で行い、各データと展開優先順位をクライアント側に通信部を介して受け渡し、クライアント装置側で優先描画及び展開描画を行う、というように複数の装置でシステムが構築される。各種コンピュータによるサーバクライアント型での構成やWEBサーバ形式でシステムを構築する場合でこの様な形が採られうる。
【0039】
図8において、処理部601は格納部611に格納されているプログラムに基づいて、展開部603を作業用メモリとして各種処理を実行する。また、格納部611内の情報格納部から地図データやアイコンデータなどを読み出し、処理部601にて地理座標と表示座標等の変換や位置情報の管理等を行い、地図データやアイコンデータ等を表示展開部607に展開する。
【0040】
地図データやアイコンデータは格納部611から読み込まれるだけでなく、外部システムによって供給されるものを通信部609を介して取り込むこともある。同様に、プログラムもまた通信部609を介してダウンロードすることもある。また、表示展開部607に展開された情報は、表示部615によってユーザに対して可視化される。
【0041】
操作入力部613からは、表示部615に表示された地図画像等の表示地理位置のスクロールや表示内容の変更やアイコンの選択情報などの、ユーザの各種操作入力が入出力制御部605に受け渡される。
【0042】
処理部601は入出力制御部605や通信部609を介してこれらの情報を取り込み、取り込んだ情報に基づいて、スクロールや詳細情報の表示などの各種処理を実行する。
【0043】
図9は前記実施方法を説明するもので、代表する構成として地図表示システムを構成する装置をパーソナルコンピュータとし、プログラムを用いて課題を解決するものである。パーソナルコンピュータ901をプログラム903にて動作させ、マウス等の入力装置613によって操作指示が為され、モニタ615で表示する。
【0044】
前記のような構成において、重なったアイコンから利用者が特定のアイコンの詳細情報を得たい場合に、利用者が重なったアイコンを、例えばマウスのようなポインティングデバイスで選択すると、図10に示すように、一時的にアイコンが展開され、アイコンの重なりがなくなる。図9ではパーソナルコンピュータに接続されたマウス613を用いてアイコンを選択すると、パーソナルコンピュータに接続されたモニタ615にてアイコンが展開表示される。
【0045】
このように、アイコンを展開することによりアイコンの重なりがなくなるので、利用者は容易に所望のアイコンを選択し、その詳細情報を得ることができる。
【0046】
しかし、図4で説明したように、無作為に展開処理をすると、展開されたアイコンの中で、利用者が本来選択したいアイコンを探さなければならないという問題点がある。そこで本発明では、図5で説明したように、展開に優先順位を設けることによって、この問題点を解決する。
【0047】
図10では、例えば1001(四角いアイコン)が場所のアイコン、1003(三角のアイコン)がその場所にある物のアイコンであるとすると、場所のアイコン1001は地図上の地理的な位置を移動しないということである。
【0048】
なお、アイコンの展開にあたっての各アイコンの重み付けは、このように場所と物といった単純なものに限定せずに、利用者によるアイコン表示の絞り込み状態や、また、利用者の指示による重み付けによることも可能である。
【0049】
図11は各アイコンが重み付け係数による展開優先順位を持っており、該優先順位が高いほど(丸囲い内の数字が小さいほど)元のアイコンの位置の近くにアイコンを展開している一例である。
【0050】
最も優先順位が高いアイコンは、元のアイコンの位置からの移動量を最も小さくする、あるいは、元のアイコンの位置から移動させない。なお、図11では優先順位の順番で螺旋状にアイコンを展開しているが、この手段に限定しない。
【0051】
ここまで説明したように、本発明は、地図上におけるアイコンが重なり合っていて任意のアイコンを選択できない状態になることを防ぐために、展開、つまりアイコンの位置をずらす処理をするが、その際、優先順位に基づいてアイコンを展開することによって、利用者が所望のアイコンを見つけやすくすることを特徴としている。
【0052】
次に、フローチャートを用いて本発明の実施手順を説明する。図12は描画全体処理を示したフローチャートである。
【0053】
まず地図データを読み込み(S101)地図描画を行う(S102)。次にアイコンデータを読み込み(S103)、読込まれたアイコンデータを元に展開優先順位処理を行う(S104)。既に描画されている地図の上に、展開優先順位に従って優先順位が最も高いアイコンが最上層に表示されるようにアイコンを優先描画する(S105)。
【0054】
ユーザによるアイコンの選択、すなわちマウスクリック(ポインティング操作)が行われた場合、アイコン展開描画(S107)が行われる。アイコンの選択が行われない限りアイコン展開描画は行われず処理は終了する(S106)。地図表示システム全体においては、描画地理位置の変更や描画スケールの変更等の各処理と共に、このフローチャートに示した描画全体処理が繰り返し実行される。
【0055】
図13は図12におけるアイコンデータ読込処理S103を詳述したものである。描画された地図の表示エリア(地理範囲)を確認する(S201)。次に全アイコンデータからS201で確認した表示エリア内の地理情報を持つアイコンデータを採り上げ、表示全アイコンリストとして登録する(S202)これにより表示されるべき全てのアイコンがリストとして揃う。
【0056】
次に、アイコンが重なっているという判断はアイコンのもつ地理情報位置が同一もしくは近似であるということであるが、近似というのは地図表示スケールに応じて相対的に変化するものであるから、地図の表示スケール(表示倍率)に対応した重なり判定距離を設定する(S203)ことにより重なり判定の精度を上げる。
【0057】
次に、表示全アイコンリストの中で未チェックの状態のアイコンの中から最も若いレコードのアイコンを基準アイコンとして選定する(S204)。基準アイコンとして選定したアイコンは表示全アイコンリストの中でチェック済みとして登録する(S205)。また新たなアイコン重なりリストを作成し基準アイコンを作成したアイコン重なりリストに登録する(S206)。
【0058】
次に、表示全アイコンの中で未チェックの状態のアイコンの中から最も若いレコードのアイコンから順に基準アイコンと重なっているかどうかチェックし(S207)、重なっている場合にはアイコン重なりリストに該当アイコンデータを登録する(S208)と共に全アイコンリストにおいて該当アイコンをチェック済みとして登録する(S209)。基準アイコンに対して全ての未チェックアイコンとの重なりチェックが終了した場合S207は偽となりS210に移行する。なお、アイコンが重なっているという事象の判断は、該当アイコンと基準アイコンとの地理位置情報(緯度経度)の差がS203で設定した重なり判定距離よりも小さい場合にアイコンが重なっていると判断する。
【0059】
次に、表示全アイコンリスト内のアイコンが全てチェック済みかどうか判断し(S210)、未チェックのものがあればS204へ遷移する。全てがチェック済みであれば処理は終了する。
【0060】
図14は図12における展開優先順位処理S104を詳述したものである。重み付け設定を取得する(S301)。この重み付け設定はアイコンデータの属性値(種別,データ量,フラグ値等)に対して、前述したようにシステム起動時の予め定められた設定やユーザによる優先付けの指示による設定により優劣判断の順位があらかじめ定められた状態となっている。
【0061】
具体的には種別が不動産のほうが動産よりも優先度が高く、備蓄食糧トン数データ値が大きいほど優先度が高く、空室状態フラグがONのほうが優先度が高いという様に、全てアイコンデータの属性値に結び付けられる形で重み付け設定がされている。
【0062】
次に、同一重なりリスト内に登録されているアイコンに対して重み付け設定を当て嵌めることによりリスト内の優先順位を決定する(S302)。優先順位をアイコン重なりリストに登録する(S303)。
【0063】
次に、全てのアイコン重なりリストで優先順位判定済みかどうか判断し(S304)、未チェックのリストがあればS302に遷移する。全てのリストがチェック済みであれば処理は終了する。
【0064】
図15は図12におけるアイコン優先描画処理S105を詳述したものである。重なりリスト内の優先順位に従い順にアイコンを描画する(S401)優先順位が最も高いアイコンが最上層になるように、優先順位の最も低いアイコンから順に重ねて描画を行う。
【0065】
次に、全てのアイコン重なりリストについてアイコン描画を行ったか判断し(S402)、未チェックのリストがあればS401に遷移する。全てのリストについてアイコン描画済みであれば処理は終了する。
【0066】
図16は図12におけるアイコン展開描画処理S107を詳述したものである。描画展開パターンを読込む(S501)。この描画展開パターンは最も優先度が高いアイコンを基準位置からの相対位置0とし、優先度が下がるに応じた順に表示画面上の相対位置(±X,±Y)を設定したものとなっている。すなわち、図11において説明すれば丸囲み1が最も優先度が高いアイコンであるため相対位置0であり、次いで優先度が高いアイコンである丸囲み2の相対位置は(0,−1)という形である。
【0067】
次に、全重なりリストの中から選択されたアイコンが含まれる重なりリストを該当重なりリストとして抽出する(S502)。該当重なりリストの中で最も優先順位の高い(優先順位1位)アイコンをアイコンデータの持つ地理位置を元にそのまま描画し、この描画位置を描画パターンの基準位置として登録する(S503)。
【0068】
次に重なりリスト内の優先順位に従い順に、基準位置からの展開描画パターンの相対位置にアイコンを描画する(S504)。次に、該当重なりリストに登録されている全てのアイコンについて描画を行ったか判断し(S505)、未描画のアイコンがあればS504に遷移する。全てのアイコンが描画済みであれば処理は終了する。
【0069】
本発明においては、重み付け優先順位が最も高いアイコンの周囲にその他のアイコンを展開する場合に、その展開手段は前記方法に限定しない。
【0070】
本発明においては、重み付け優先順位の決定方法については前記方法に限定しない。
【符号の説明】
【0071】
601…処理部、 603…展開部、
605…入出力制御部、 607…表示展開部、
609…通信部、 611…格納部、
613…操作入力部、 615…表示部、
901…パーソナルコンピュータ、 903…プログラム、
1001…重み付けの最も重いアイコン、 1003…重み付けの軽いアイコン、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に地図を表示し情報を特徴的に示すアイコンも該地図上に併せて表示している地図表示システムであって、アイコンが重なって表示される場合に該重なったアイコンの位置をずらして展開するアイコン表示方法において、
基準アイコンを選定し該基準アイコン及び該基準アイコンに重なって表示されるアイコンをリスト化するアイコンデータ読込部と、
前記アイコンデータ読込部により作成されたアイコン重なりリストが持つアイコンに重み付けを設定し優先順位を設定する展開優先順位処理部と、
前記展開優先順位処理部により設定された優先順位でアイコンを描画するアイコン優先描画処理部と、
前記アイコン優先描画処理部によって描画されたアイコンに関して前記展開優先順位処理部によって設定された優先順位によってアイコンの描画パターンを展開する展開描画処理部と、
から成ることを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に渦巻き状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項3】
請求項1に記載の展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に放射状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項4】
請求項1に記載の展開優先順位処理部は、展開優先順位を決定するために各アイコンに重み付けをする場合に、地理的な位置を示すアイコンの重み付けを強くし、その位置で為されている位置以外の情報を示すアイコンの重み付けを軽くすることを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項1】
表示装置に地図を表示し情報を特徴的に示すアイコンも該地図上に併せて表示している地図表示システムであって、アイコンが重なって表示される場合に該重なったアイコンの位置をずらして展開するアイコン表示方法において、
基準アイコンを選定し該基準アイコン及び該基準アイコンに重なって表示されるアイコンをリスト化するアイコンデータ読込部と、
前記アイコンデータ読込部により作成されたアイコン重なりリストが持つアイコンに重み付けを設定し優先順位を設定する展開優先順位処理部と、
前記展開優先順位処理部により設定された優先順位でアイコンを描画するアイコン優先描画処理部と、
前記アイコン優先描画処理部によって描画されたアイコンに関して前記展開優先順位処理部によって設定された優先順位によってアイコンの描画パターンを展開する展開描画処理部と、
から成ることを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に渦巻き状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項3】
請求項1に記載の展開描画処理部は、前記展開優先順位処理部が設定した優先順位1番のアイコンを中心とし、前記アイコン重なりリストが持つその他のアイコンを該優先順位1番の周囲に放射状に展開することを特徴とするアイコン表示方法。
【請求項4】
請求項1に記載の展開優先順位処理部は、展開優先順位を決定するために各アイコンに重み付けをする場合に、地理的な位置を示すアイコンの重み付けを強くし、その位置で為されている位置以外の情報を示すアイコンの重み付けを軽くすることを特徴とするアイコン表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−99969(P2011−99969A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253981(P2009−253981)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]