説明

地図表示装置

【課題】 拡大地図を見たいときには拡大地図が自動的に画面に表示されるようにスケールを拡大し、縮小地図を見たいときには縮小地図が自動的に画面に表示されるようにスケールを縮小することができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の地図表示装置は、所定位置から対象物までの距離を検出する距離検出手段13、14と、距離検出手段13、14により検出された対象物24から所定位置までの距離に応じて画面に表示される地図のスケールを変更するスケール変更手段15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム等に用いるのに好適な地図表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーションシステムの地図表示装置には、図1に示す表示装置1の画面2に地図6を表示させて、広域ボタン3、詳細ボタン4からなるズームボタン(ズームキー)5を操作して、画面2に表示されている地図6のスケールを拡大、縮小させる構成のものが知られている。図2はその地図6の表示の一例を示すもので、(a)は広域地図を表示している状態を示し、(b)は詳細地図を表示している状態を示す。
【0003】
また、画面に表示された遠景画像をプレーヤが画面に近づくと自動的に拡大して近景画像に切り替え、画面から遠ざかると自動的に縮小させて近景画像から遠景画像に切り替えるゲームシステムも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−62150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の地図表示装置では、場所の詳細を確認するためには、詳細ボタン4を操作して画面2に表示されている地図6のスケールを拡大しなければならず、その一方、大体の場所を確認するためには、地図6のスケールを縮小しなければならず、地図6の拡大、縮小を行うのにズームボタン(ズームキー)5を操作しなければならないため不便である。
【0005】
また、自動車のナビゲーションシステムに用いられる地図表示装置では、地図6の拡大、縮小を行うのに表示装置1の画面2を見ながら行わなければならないため、運転の際中にこれを行うとすると、画面2に神経がそそがれるため、運転面の観点からは好ましくはない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、拡大地図(詳細地図)を見たいときには拡大地図が自動的に画面に表示されるようにスケールを拡大し、縮小地図(広域地図)を見たいときには縮小地図が自動的に画面に表示されるようにスケールを縮小することができる地図表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の地図表示装置は、所定位置から対象物までの距離を検出する距離検出手段と、該距離検出手段により検出された前記対象物から前記所定位置までの距離に応じて画面に表示される地図のスケールを変更するスケール変更手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載の地図表示装置は、前記スケール変更手段が所定スケールの地図が所定時間継続して表示されているか否かを判定する判定手段と、該判定手段により所定スケールの地図が所定時間継続して表示されていると判定されたときにその所定スケールの地図が固定して表示されるように所定スケールを固定するスケール固定手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に記載の地図表示装置は、前記スケール変更手段が前記距離検出手段による距離検出の消失直前の所定スケールに基づく地図が前記画面に表示されるように当該所定スケールを固定するスケール固定手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、地図上の場所を詳細に見たいときには身体を画面に無意識に近づけ、地図上の場所の大体を把握するときには身体を画面から無意識のうちに遠ざけるという人間の習性に鑑み、所定位置から対象物までの距離を検出し、対象物から所定位置までの距離に応じて画面に表示される地図のスケールを変更するようにしたから、拡大地図を見たいときには拡大地図が自動的に画面に表示されるようにスケールを拡大し、縮小地図を見たいときには縮小地図が自動的に画面に表示されるようにスケールを縮小することができるという効果を奏する。
【0011】
また、ズームボタン又はズームキーを表示装置に設けなくとも地図のスケールを切り替えることができるので、その分、地図表示装置のコストの削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係わる地図表示装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0013】
図3は本発明に係わるナビゲーションシステムの地図表示装置の一例を示す図である。その図3において、10は地図表示装置、11はその地図表示装置の画面、12は筐体である。
【0014】
筐体12の正面パネルには、ナビゲーションシステムに用いられる各種の操作ボタン又は操作キーが設けられていると共に、距離検出手段としての赤外線LED13と赤外線検出センサ14とが設けられている。
【0015】
ここでは、この赤外線LED13は画面11の右上に1個、赤外線検出センサ14は画面11の左下に1個とされているが、赤外線LED13を画面左上にもう1個、赤外線検出センサ14を画面右下にもう1個設けて、左右対称に距離検出手段を設ける構成とすることもできる。
【0016】
その地図表示装置10は、図4に示すようにマイクロコンピュータ15を有する。このマイクロコンピュータ15は、距離検出手段に関係するコントロールポートとして、赤外線LED13の駆動用のコントロールポート16、赤外光有無検出用のコントロールポート17、赤外光の強度検出用のA/D変換用のコントロールポート18、後述する機能を有するスケールコントロールユニット19を制御するためのコントロールポート20の他、ナビゲーションシステムに要求される処理を行うための各種のポートを有する。
【0017】
コントロールポート16はスイッチングトランジスタ21に接続され、赤外線LED13はそのスイッチングトランジスタ21のオンオフによって発光・消灯制御が行われる。スケールコントロールユニット19は画面11に表示される地図のスケール(縮尺)を制御する役割を果たし、そのスケールコントロールユニット19からそのスケール制御信号が図示を略す画像処理回路に向かって出力される。
【0018】
赤外線検出センサ14は増幅器22を介してコントロールポート17に接続され、増幅器23を介してコントロールポート18に接続されている。
【0019】
マイクロコンピュータ15は、ここでは、検出された赤外光の強度に応じて画面11から人体24までの距離を判断する判断手段と、この判断手段の判断結果に基づいて画面11に表示される地図のスケールを変更するスケール変更手段とをソフトウエアとして有する。ここでは、判断手段は、三段階、例えば、約40cmから約60cm(近距離)、約60cmから約80cm(中距離(近距離に含めたものを除く))、約80cmから約100cm(遠距離(中距離に含めたものを除く))に区分して距離を判断するようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、四段階に区分して画面11から人体24までの距離を判断するようにしても良い。
【0020】
マイクロコンピュータ15は、その近距離、中距離、遠距離の検出結果を得た時点から計時を開始する。マイクロコンピュータ15は、その計時開始時点から例えば2秒以下であるときには、この検出を無効と判断する。人体24の動きには揺れ等があり、判断手段により瞬間的に画面11から人体24までの距離が近距離、中距離、遠距離のいずれかであるとの演算結果が得られたとしても、地図の拡大、縮小を意図するものであるとは必ずしもいえないからである。
【0021】
また、マイクロコンピュータ15は、判断手段が近距離、中距離、遠距離の検出を有効と判断し、その距離に応じた地図が画面11に表示されてからの時間を計時し、その距離に応じた地図が所定時間継続して画面11に表示されているか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定結果に基づいて所定スケールの地図を画面11に表示させるスケール固定手段とをソフトウエアとして有する。
【0022】
例えば、その距離に応じた所定スケールの地図が画面11に表示されてから5秒以上継続して表示されているか否かを判断し、マイクロコンピュータ15は、その距離に応じた所定スケールの地図が画面11に表示されてから5秒以上継続して表示されている場合には、所定時間その所定スケールの地図を画面11に継続して表示させる。この継続表示時間は、画面11に表示されている所定スケールの地図を見て確認に要する時間として十分な時間、例えば、2分程度に設定する。
【0023】
次に、この発明の実施例の作用を説明する。
【0024】
まず、ナビゲーションシステムの図示を略すパワースイッチをオンすると、マイクロコンピュータ15が作動し、コントロールポート16からスイッチングトランジスタ21に向かって駆動信号が出力され、これにより赤外線LED13がオンされる。これにより、図5に示すように、所定角度範囲θに渡って赤外光Pが照射される。
【0025】
その赤外光Pは人体24、例えば、その人体24の頭部により反射され、その反射光P’が赤外線検出センサ14に受光される。その赤外線検出センサ14の検出出力はコントロールポート17、18に入力される。
【0026】
マイクロコンピュータ15はそのコントロールポート17に入力された検出出力に基づいて赤外光Pの反射光P’の有無を検出し、これによりノイズの有無が判断される。また、マイクロコンピュータ15はそのコントロールポート18に入力された検出出力に基づき、赤外光Pの検出出力の強度を判定する。マイクロコンピュータ15は、ここでは、その検出出力の強度が第1所定閾値よりも小さいときには遠距離であると判定し、その検出出力の強度が第2所定閾値よりも大きいときには近距離であると判定し、検出出力の強度が第1所定閾値以上で第2所定閾値以下のときには中距離であると判断する。マイクロコンピュータ15は、2秒以上継続して同一の判断結果が得られたときには、この判断結果を有効とみなして、その判断結果に基づきスケール変更指令信号をコントロールポート20からスケールコントロールユニット19に向かって出力する。
【0027】
スケールコントロールユニット19は、そのスケール変更指令信号に基づき画像処理回路に向かってスケール制御信号を出力し、これにより、画面11に画面から対象物までの距離に応じた所定スケールの地図が自動的に表示される。
【0028】
例えば、画面11から人体24までの距離が近距離の場合には、画面11に拡大地図(詳細地図)が表示され、画面11から人体24までの距離が遠距離の場合には、画面11に縮小地図(広域地図)が表示され、画面11から人体24までの距離が中距離の場合には、縮小地図と拡大地図との間のスケールの地図が表示される。
【0029】
マイクロコンピュータ15は、近距離、中距離、遠距離の検出を有効と判断してからの時間を計時し、その時間が5秒以上継続したときに、コントロールポート20からスケールコントロールユニット19に向かってスケール固定信号を出力する。
【0030】
ついで、マイクロコンピュータ15は、スケール固定信号を出力してからの時間を計時し、ここでは、2分間以上経過したか否かを判断する。これにより、画面11に表示されている地図が同一スケールに固定されて表示される。従って、スケール変更後、画面11に表示されている地図が一定時間の間保持されるので、画面11に表示されている地図を見て確認に要する時間が確保される。
【0031】
マイクロコンピュータ15は、スケール固定信号を出力してからの時間が2分間以上経過したときには、コントロールポート20からスケールコントロールユニット19に向かってスケール固定解除信号を出力する。
【0032】
これにより、スケールが変更される前に表示されていた元のスケールの地図が再び画面11に表示される。例えば、縮小地図が画面11に表示されている状態のときに近距離が検出され、画面11に近距離に応じた拡大地図が表示されて、この拡大地図が画面11に表示されてから2分間を経過すると、縮小地図が画面11に再び表示される状態となる。
【0033】
以上、実施例では、マイクロコンピュータ15は、近距離、中距離、遠距離の検出を有効と判断してからの時間を計時し、その時間が5秒以上継続したときに、コントロールポート20からスケールコントロールユニット19に向かってスケール固定信号を出力する構成を採用した例について説明したが、図6(a)に示すように、手の接近を検出してから2秒以上が経過して、その距離に応じた地図が画面11に表示されている状態で、画面11から手までの距離をほぼ一定に保ちながら手を図6(b)に示すように移動させることにより検出信号が消失した場合に、マイクロコンピュータ15がその検出信号の消失に基づきコントロールポート20からスケールコントロールユニット19に向かってスケール固定信号を出力する構成を採用し、距離検出手段による距離検出の消失直前のスケールの地図が画面11に固定表示されるようにしても良い。
【0034】
このように距離検出手段による距離検出の消失に基づきスケールの変更を行うことにすると、所定時間が経過してもスケール固定解除信号が出力されないので、距離に応じた所定スケールの地図を継続して表示させることができる。例えば、拡大地図(詳細地図)が画面11に表示されている状態で、図6(a)に示す状態から図6(b)に示すように手を移動させることにより検出信号が消失したときには、拡大地図(詳細地図)が画面11に経過時間にかかわらずその拡大地図が所定時間の間継続表示され、この拡大地図が表示されてから所定時間経過後に、マイクロコンピュータ15は、拡大前の元のスケールの地図が表示されるようにスケール固定解除信号を出力する。
【0035】
以上、発明の実施の形態では、距離検出手段として赤外線LED13と赤外線検出センサ14とを用いる構成としたが、距離検出手段として超音波発信装置と超音波センサとを用いても良い。
【0036】
また、距離検出手段としての赤外線LED13と赤外線検出センサ14とを筐体12の正面パネルに設ける構成としたが、距離検出手段を筐体12から離れた別の場所に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来の地図表示装置の正面図である。
【図2】図1に示す地図表示装置の表示の一例を示す図であって、(a)は広域地図が画面に表示されている状態を示し、(b)は詳細地図が画面に表示されている状態を示す図である。
【図3】本発明の地図表示装置の正面図である。
【図4】本発明の地図表示装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の地図表示装置の赤外光の照射角度範囲の説明図である。
【図6】本発明の地図表示装置の変形例を説明するための説明図であって、(a)は赤外光の照射角度範囲に手が存在している状態を示し、(b)は赤外光の照射角度範囲から手が離脱した状態を示している。
【符号の説明】
【0038】
13…赤外線LED(距離検出手段)
14…赤外線検出センサ(距離検出手段)
15…マイクロコンピュータ(スケール変更手段)
24…人体(対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置から対象物までの距離を検出する距離検出手段と、該距離検出手段により検出された前記対象物から前記所定位置までの距離に応じて前記画面に表示される地図のスケールを変更するスケール変更手段とを備えていることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記スケール変更手段が所定スケールの地図が所定時間継続して表示されているか否かを判定する判定手段と、該判定手段により所定スケールの地図が所定時間継続して表示されていると判定されたときにその所定スケールの地図が固定して表示されるように所定スケールを固定するスケール固定手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記スケール変更手段が前記距離検出手段による距離検出の消失直前の所定スケールに基づく地図が前記画面に表示されるように当該所定スケールを固定するスケール固定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記スケール固定手段は、前記スケールの固定後所定時間を経過したことが検出された場合、スケールの固定を解除して元のスケールに戻すことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−72194(P2006−72194A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258204(P2004−258204)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】