説明

地物の3次元データ生成方法及び地物の3次元データ生成システム

【課題】Web環境下において、サーバコンピュータの負担が少なく、ユーザが、衛星画像データから地物の3次元データを容易に作成することのできるようにする。
【解決手段】地上の任意の3次元座標値の地点が撮影されている左右の衛星画像データの座標位置をRPCモデル13に基づいて計算し、座標位置が撮影された左右の衛星画像データをサーバコンピュータ1に要求する第1のステップと、サーバコンピュータ1から入手した左右の衛星画像を撮影した各衛星の位置を結ぶ線分をステレオ基線とみなし、左右の衛星画像の座標位置同士を一致させた状態で、左右の衛星画像をステレオ基線の方向ベクトルと左右の衛星画像のスキャン方向とのなす角度だけ回転させてステレオ表示した場合に、左右の衛星画像の座標位置に写る地物が一致していれば、当該地物の3次元座標値が地上の地点の3次元座標値であると決定する第2のステップと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Web環境下において、地物の3次元データを生成する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
Web環境下において、航空写真画像データから地物の3次元データを生成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4438002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空写真画像はフレーム型の面センサカメラにより撮影するため、ステレオ画像形成に不可欠な共面条件に基づくエピポーラ・ラインが成立する。
しかしながら、衛星から撮影される衛星画像は、ライン型(プッシュブルーム型とも言う)センサカメラを固定搭載した衛星が飛行することにより当該ライン型センサカメラで撮影されるか、もしくは、衛星に搭載したライン型センサカメラを動かすことにより撮影されるため、前記エピポーラ・ラインが成立しない。このため、Web環境下において、衛星画像データから地物の3次元データを生成する方法については開発されていない。
したがって、結局のところユーザは、近年、携帯電話等に提供されているような、サーバである地図検索サイトが、ユーザからの入手希望が多いとサーバ側が予想して予め作成した地物の3DCADデータしか入手できないでいるのが現状である。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、Web環境下において、サーバコンピュータの負担が少なく、ユーザが、衛星画像データから地物の3次元データを容易に作成することのできるネットワークを用いた地物の3次元データ生成方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る地物の3次元データ生成方法は、サーバコンピュータから地物が撮影された衛星情報付きの衛星画像データ及びRPCモデルを入手して前記地物の3次元データを生成する方法であって、地上の任意の3次元座標値の地点が撮影されている左右の衛星画像データの座標位置を前記RPCモデルに基づいて計算し、前記座標位置が撮影された左右の衛星画像データを前記サーバコンピュータに要求する第1のステップと、前記サーバコンピュータから入手した前記左右の衛星画像を撮影した各衛星の位置を結ぶ線分をステレオ基線とみなし、前記左右の衛星画像の前記座標位置同士を一致させた状態で、前記左右の衛星画像を前記ステレオ基線の方向ベクトルと前記左右の衛星画像のスキャン方向とのなす角度だけ回転させてステレオ表示した場合に、前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致していれば、当該地物の3次元座標値が前記地上の地点の3次元座標値であると決定する第2のステップと、を備えたので、Web環境下において、サーバコンピュータの負担が少なく、かつ、ユーザが、衛星画像データから地物の3次元データを容易に作成することができる。
前記各衛星画像がどの方向から撮影されたかを表わす前記各衛星の3次元方向ベクトルで形成される平面が撮影対象地表面と交差する交線ベクトルを前記ステレオ基線の方向ベクトルとしたので、ステレオ基線の方向ベクトルをエピポーラ・ラインの近似と見なすことによって立体視が可能となる。
前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致しない場合には、前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致するまで、前記地上の地点の3次元座標値を変化させて前記RPCモデルに基づいて前記左右の衛星画像の前記座標位置を再計算させるので、地物の3次元座標値を確実に得ることができる。
本発明に係る地物の3次元データ生成システムは、サーバコンピュータとユーザコンピュータとが公衆通信網を介して接続されて構成され、前記サーバコンピュータは、衛星情報付きの衛星画像データ、RPCモデル、前記ユーザコンピュータで作動するウェブブラウザと協働して動作する3次元データ生成プログラムを記憶手段に保存するとともに、前記ユーザコンピュータに配信可能に構成され、前記ユーザコンピュータは、前記サーバコンピュータから配信される前記3次元データ生成プログラムに基づいて3次元データ生成手段を構成し、前記3次元データ生成手段は、前記サーバコンピュータから配信される前記RPCモデルに基づいて、地上の任意の3次元座標値の地点が撮影されている左右の衛星画像データの座標位置を計算して、当該座標位置が撮影された左右の衛星画像データを前記サーバコンピュータから入手するとともに、前記左右の衛星画像を撮影した各衛星の位置を結ぶ線分をステレオ基線とみなし、前記左右の衛星画像の前記座標位置を一致させた状態で、前記左右の衛星画像を前記ステレオ基線の方向ベクトルと前記左右の衛星画像のスキャン方向とのなす角度だけ回転させてステレオ表示した場合に、前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致していれば、当該地物の3次元座標値が前記地上の地点の3次元座標値であると決定するので、Web環境下において、サーバコンピュータの負担が少なく、かつ、ユーザが、衛星画像データから地物の3次元データを容易に作成することができる。
前記3次元データ生成手段は、前記左右の衛星画像がそれぞれ1画素の地上投影寸法の異なる衛星によって撮影されたものである場合に、前記ユーザコンピュータの表示手段の画像表示倍率を調整するスケールファクタを乗じる処理を行うので、左右の衛星画像がそれぞれ1画素の地上投影寸法の異なる衛星によって撮影されたものである場合でも自然な立体視を実現できる。
前記3次元データ生成手段は、前記ステレオ表示に縦視差が残る場合には、前記RPCモデルのバイアス補正値を算出して前記RPCモデルを修正する処理を行うので、縦視差を解消できる。
前記3次元データ生成手段は、ジオイドモデルを用いて、前記地上の地点の3次元座標値の楕円体高を標高へ換算する処理を行うので、地球のジオイドを考慮した標高(海抜標高)hを表した地物の3次元座標値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】3次元地物データの生成システムの構成を示す図(実施形態1)。
【図2】地上の座標系と衛星画像の座標系との関係を示す図(実施形態1)。
【図3】衛星画像撮影方法を示す図(実施形態1)。
【図4】衛星画像のステレオ基線方向に基づくエピポーラ・ラインの近似を説明した図(実施形態1)。
【図5】衛星画像のステレオ基線方向の設定方法の説明図(実施形態1)。
【図6】回転角の説明図(実施形態1)。
【図7】RPCモデルを用いた標高変化と画素位置変化の関係を示す説明図(実施形態1)。
【図8】ステレオペア画像を立体化する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1に係る地物の3次元データ生成システムは、図1に示すように、地図作成情報提供サイトのWebサーバのようなサーバコンピュータ1とユーザコンピュータ2とがインターネット3等の公衆通信網を介して接続されて構成される。
【0008】
サーバコンピュータ1は、衛星画像データ11、衛星画像データに関する衛星情報12、RPCモデル(Rational Polynomial Coefficients Model)13、ユーザコンピュータ2で作動するWebブラウザと協働して動作するアプリケーションプログラムである3次元データ生成プログラム14を記憶手段15に保存するとともに、これら衛星画像データ11、衛星情報12、RPCモデル13、3次元データ生成プログラム14をユーザコンピュータ2に配信可能に構成される。
尚、各衛星画像データ11と各衛星画像データ11の衛星情報12とが関連付けされて記憶され、衛星画像データ11が検索された場合、その検索された衛星画像データ11と当該衛星画像データ11に関する衛星情報12とを一緒に取り出せるようにデータベース化されており、衛星画像データ11と当該衛星画像データ11の衛星情報12とが一緒にユーザコンピュータ2に送信される。
また、衛星画像は、データの取出しが容易になるように、例えば、等倍画像と、距離比が等倍画像の1/2である中領域画像と、距離比が中領域画像の1/2である大領域画像とに階層化/小分割(タイル)化されて保存されている。
【0009】
ユーザコンピュータ2は、サーバコンピュータ1から配信される3次元データ生成プログラム14を入手して3次元データ生成手段20を構成する。
即ち、3次元データ生成手段20は、ユーザコンピュータ2とユーザコンピュータ2上で動作するWebブラウザと3次元データ生成プログラム14との協働により実現される。この3次元データ生成手段20は、サーバコンピュータ1に対して3次元計測対象となるステレオ立体視のための左右の衛星画像(以下、ステレオペア画像という)を要求する処理、及び、当該ステレオペア画像に基づいて地物の3次元データを生成する処理を行う。
【0010】
つまり、3次元データ生成手段20は、画像座標計算手段21と、サーバコンピュータ1にステレオペア画像を要求するステレオペア画像要求手段22と、ステレオ基線方向設定手段23と、回転角算出手段24と、ステレオ表示手段25と、標高換算手段26とを備える。なお、ステレオペア画像を立体視する方法としては、上下分割方式、左右分割方式などがあるが、Webブラウザでの立体表示としては、周知のグラフィックスカードを用いることが好ましい。
【0011】
次に、本発明による地物の3次元データの生成方法について説明する。
はじめに、ユーザは、ユーザコンピュータ2を用い、インターネット3を介してサーバコンピュータ1にアクセスする。これにより、サーバコンピュータ1からユーザコンピュータ2に3次元データ生成プログラム14、RPCモデル13が送信される。
当該3次元データ生成プログラム14は、ユーザコンピュータ2上で作動しているWebブラウザに、地上の任意の点Pの3次元座標値P(U,V,W)を指定するための初期入力画面の表示を指示する。これにより、ユーザコンピュータ2の表示手段30の表示画面31に初期入力画面が表示される。
【0012】
前記3次元座標値P(U,V,W)が前記初期入力画面に入力された場合、ユーザコンピュータ2の画像座標計算手段21は、RPCモデル13に基づいて、前記3次元座標値P(U,V,W)の地点が撮影されている左の衛星画像データ及び右の衛星画像データのスキャン方向座標位置とライン方向座標位置とを計算する。
【0013】
地上の座標系と衛星画像の座標系との関係は、RPCモデル13により決定される。
RPCモデル13とは、地上の座標系と衛星画像の座標系を有理多項式で関係づけるモデルである。
RPCモデル13を用いることによって、図2に示すように、衛星の軌道情報が未知であっても3次元座標値P(U,V,W)に対応する画像座標p(c,l)を計算できる。但し、cは衛星画像のスキャン方向座標、lは衛星画像のライン方向座標である。
画像座標p(c,l)は、次の式により表される。但し、U,Vは経緯度座標、Wは楕円体高である。

但しRPC(U,V,W)は以下により与えられる。

【0014】
次に、ステレオペア画像要求手段22は、画像座標p(c,l)を中心としたステレオ表示に必要な範囲領域を表示手段30の表示画面31の大きさ等に応じて計算し、この計算した範囲領域を示す情報をサーバコンピュータ1に送信してサーバコンピュータ1にステレオペア画像を要求する。これにより、サーバコンピュータ1は、衛星画像データ11中からステレオ表示に必要な範囲領域のステレオペア画像データを抽出して、ユーザコンピュータ2に送信する。
【0015】
ユーザコンピュータ2のステレオ基線方向設定手段23は、サーバコンピュータ1から送られてきたステレオペア画像及びステレオペア画像の衛星情報12に基づいてステレオ基線方向を設定する。
【0016】
衛星画像の場合、エピポーラ・ラインは成立しないが、図3に示すように、衛星画像は画角が極めて狭く、平行投影とみなせるので、図4に示すように、ステレオを形成する2つの衛星の位置(図4のS;S)を結ぶ線分をステレオ基線aと見なし、このステレオ基線aの方向を画像のエピポーラ・ラインの近似と見なすことによって立体視が可能となる。
【0017】
ステレオ基線方向設定手段23は、以下の(1)、(2)に示す方法のうちのいずれか方法でステレオ基線aの方向を設定する。
(1)ステレオペア画像を撮影した衛星および衛星(図4;図5参照)のそれぞれの撮影位置(撮影時の衛星位置S;S)及び撮影対象地表位置Pの3点で作られる面が撮影対象地表面と交差する交差線を計算し、この交差線をステレオ基線aの方向とする。
(2)図5に示すように、立体視のためのステレオペア画像(図5の画像;画像)に付加されている衛星情報の一つである撮影時の衛星と衛星のそれぞれの方位角θと仰角φとにもとづき計算する。即ち、衛星画像;衛星画像(ステレオペア画像)がどの方向から撮影されたかを表わす衛星、衛星の3次元方向ベクトルで形成される平

【0018】
前記衛星情報12は、軌道情報(撮影時の衛星位置、撮影方向角)、1画素が相当する地上投影寸法、画像取得時の衛星方位と仰角など画像毎に付加されアンシラリ・データや画像メタデータに記載の事項等であるが、一般に、軌道情報として、衛星の撮影方向角、即ち、衛星の方位角θと仰角φの情報は与えられるが、撮影時の衛星位置に関する情報は与えられない場合が多い。従って、撮影時の衛星位置に関する情報が与えられない場合は、ステレオ基線方向設定手段23は、前記(2)で示した方法でステレオ基線aの方

・ラインの近似と見なすことによって立体視が可能となる。
【0019】
そして、ステレオ表示手段25は、ステレオペア画像を前記のように求めたステレオ基線aの方向に合わせて左右に配置し、かつ、エピポーラ・ラインの近似方向に対する回転角としてステレオペア画像を後述する角度で回転表示させ、ステレオ基線aの方向を表示手段30の表示画面31の横軸方向に一致させるようにして表示させる。
【0020】
ステレオ基線aの方向に対するステレオペア画像の回転角は、回転角算出手段24により以下のように算出される。

めのステレオペア画像の回転角τとして算出する。ここで、iは衛星番号、jは四隅の番号である。

されていることから、例えば、図5,図6に示すように、画像の中心付近が位置する地上の座標Q(U,V,W)に対応する画像座標q(c,l)i=1,2と、Qにステレオ

向に一致させるように回転させる。高さ方向Wは任意の一定値とする。
【0021】
前記RPCモデル13で計算されたステレオペア画像の画像座標p(c,l)を計測点位置として、例えば測標(表示画面31の中央などを設定した目印(メスマーク))の位置に一致させ、かつ、それぞれの画像について上述した回転角で画像を回転させて表示する。そして、左右の画像の座標位置p(c,l)に写る地物を立体視して一致していれば、その地物の3次元座標値が(U,V,W)であると決定でき、地物の3次元座標値データが得られる。
【0022】
図2に示すように、地上の3次元座標値P(U,V,W)のWは地球楕円体からの比高(楕円体高)を表しており、地球のジオイドを考慮した標高(海抜標高)hを表してはいない。Wとhの差(ジオイド高)をモデル化したジオイドモデルが一般に提供されているため、所与のジオイドモデルを用いて楕円体高Wを標高hへ換算すればよい。これにより、地球のジオイドを考慮した標高(海抜標高)hを表した地物の3次元座標値を得ることができる。即ち、ジオイドモデルを用いて、地上の点の3次元座標値の楕円体高Wを標高(海抜標高)hへ換算する処理する標高換算手段26を備えた構成の3次元データ生成手段20とした。
【0023】
横視差の制御方法について説明する。
ステレオペア画像の画像座標p(c,l)を、例えば測標(表示画面の中央などを設定した目印(メスマーク))の位置に一致させ、かつ、その時それぞれの画像について上述した回転角で画像を回転させて表示するが、この際、もし、計算された画像座標位置の地物が立体視しても一致しない場合は、図7に示す如く、(U,V,W+ΔW)や(U+ΔU,V+ΔV,W)もしくは(U+ΔU,V+ΔV,W+ΔW)のように地上座標値を変化させて画像座標を再計算させ、再度、立体表示させて画像に写る地物が一致するまで繰り返し、一致したところを地物の3次元座標値として決定する。このようにすれば、地物の3次元座標値を確実に得ることができる。尚、図7はWを変化させた場合を図示している。
このとき、ΔU,ΔV,ΔWの変化は、ユーザコンピュータ2のポインティングデバイスとしての3次元ホイール付きマウスなどの動きとして、ΔU,ΔVをマウスの左右前後の動きに、ΔWをホイールの動きにそれぞれ対応させることができるため、マウスの動きにより、立体表示する位置や3次元計測する位置を制御することができる。
なお、マウスの左右前後の動きに対応させる方向は、マウスの左右の動きを例えばステ

それぞれ設定する。
【0024】
なお、前記3次元計測は対象物である地物のカテゴリー別に行うことが好ましい。例えば、建物ならば直角閉合モード、道路ならば直線モードの計測モードが自動的に割り当てられていればよい。
【0025】
即ち、実施形態1では、Webブラウザ上で、地上の任意の点の3次元座標値P(U,V,W)を指定することにより、ユーザコンピュータ2は、RPCモデル13に基づいてP(U,V,W)に対応する衛星画像の座標位置p(c,l)を計算し、この座標位置p(c,l)を中心としてステレオ表示に必要な領域範囲を計算し、この領域範囲を示すデータをサーバコンピュータに送信してステレオペア画像を要求することによりステレオペア画像を入手する。そして、ステレオペア画像の座標位置p(c,l)を回転中心としてステレオペア画像を回転させてステレオ表示させる。この際、座標位置p(c,l)の画像に写る地物が一致していれば、その地物の3次元座標値が(U,V,W)であると決定できて、3次元計測でき、地物の3次元座標値データを生成できる。
従って、ユーザコンピュータ2側で3次元データ生成処理を行うので、Web環境下において、サーバコンピュータ1の負担が少なく、かつ、ユーザが、衛星画像データから地物の3次元データを容易に作成することができる。
【0026】
実施形態2
衛星画像配信元より提供されるRPCモデル13のみでは縦視差が残る場合がある。この場合には、所与の手法であるシフトバイアスA,Bおよび画像座標軸方向のドリフトバイアスA,Bを、

を観測方程式として、k個の地上基準点(U,V,W)およびそれに対応する画素の画

場合はシフトバイアスのみ、k≧2の場合はドリフトバイアスまで計算できる。以上により、縦視差を解消できる。
即ち、ステレオ表示に縦視差が残る場合には、RPCモデルのバイアス補正値を算出してRPCモデルを修正する処理を行う残存縦視差除去手段を備えた構成の3次元データ生成手段20とした。
【0027】
実施形態3
1画素の地上投影寸法の異なる2衛星によるステレオ形成について説明する。
衛星画像データのステレオ形成は、1画素の地上投影寸法が同じである衛星同士の組み合わせのみならず、1画素の地上投影寸法が互いに異なる衛星同士の組み合わせであっても、RPCモデルが存在し、かつステレオ基線方向が計算されるなら可能である。画像の地上投影寸法の異なるときは、左右画像(i=1,2、iは画像の区別)のそれぞれの1画素の地上投影寸法の縦m、横n、の長さに基づき、1:n1/m1m2/m1n2/m1をスケールファクタとして左右の画像のディスプレイ上の画像表示倍率をスキャン方向とライン方向でそれぞれ1:n1/m1m2/m1n2/m1とすれば、自然な立体視を得ることができる。
即ち、左右の衛星画像がそれぞれ1画素の地上投影寸法の異なる衛星によって撮影されたものである場合に、ユーザコンピュータ2の表示手段30の画像表示倍率を調整するスケールファクタを乗じる処理を行う手段を備えた構成の3次元データ生成手段20とした。
【0028】
尚、前記例では、ステレオペア画像を立体視する方法として、グラフィックスカードを用いた例を示したが、グラフィックスカードは高価なので、図8(a),(b)に示すように、奇数行を左目で、偶数行を右目でみるようなラインシーケンシャル方式の画面を表示手段30の表示画面31に表示し、ユーザは偏光メガネ32をかけてこの画面を見る方法などのように、画素単位で左眼と右眼とを制御して立体視を行う仕組みを用いるようにすれば、ユーザシステムを安価に構築することができる。
また、画像座標を計算する処理、ステレオ表示に必要な範囲領域を計算する処理をサーバコンピュータ1に負担させてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 サーバコンピュータ、2 ユーザコンピュータ、3 インターネット、
14 3次元データ生成プログラム、20 3次元データ生成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバコンピュータから地物が撮影された衛星情報付きの衛星画像データ及びRPCモデルを入手して前記地物の3次元データを生成する方法であって、
地上の任意の3次元座標値の地点が撮影されている左右の衛星画像データの座標位置を前記RPCモデルに基づいて計算し、前記座標位置が撮影された左右の衛星画像データを前記サーバコンピュータに要求する第1のステップと、
前記サーバコンピュータから入手した前記左右の衛星画像を撮影した各衛星の位置を結ぶ線分をステレオ基線とみなし、前記左右の衛星画像の前記座標位置同士を一致させた状態で、前記左右の衛星画像を前記ステレオ基線の方向ベクトルと前記左右の衛星画像のスキャン方向とのなす角度だけ回転させてステレオ表示した場合に、前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致していれば、当該地物の3次元座標値が前記地上の地点の3次元座標値であると決定する第2のステップと、
を備えたことを特徴とする地物の3次元データ生成方法。
【請求項2】
前記各衛星画像がどの方向から撮影されたかを表わす前記各衛星の3次元方向ベクトルで形成される平面が撮影対象地表面と交差する交線ベクトルを前記ステレオ基線の方向ベクトルとしたことを特徴とする請求項1に記載の地物の3次元データ生成方法。
【請求項3】
前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致しない場合には、前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致するまで、前記地上の地点の3次元座標値を変化させて前記RPCモデルに基づいて前記左右の衛星画像の前記座標位置を再計算させることを特徴とする請求項1に記載の地物の3次元データ生成方法。
【請求項4】
サーバコンピュータとユーザコンピュータとが公衆通信網を介して接続されて構成され、
前記サーバコンピュータは、衛星情報付きの衛星画像データ、RPCモデル、前記ユーザコンピュータで作動するウェブブラウザと協働して動作する3次元データ生成プログラムを記憶手段に保存するとともに、前記ユーザコンピュータに配信可能に構成され、
前記ユーザコンピュータは、前記サーバコンピュータから配信される前記3次元データ生成プログラムに基づいて3次元データ生成手段を構成し、
前記3次元データ生成手段は、前記サーバコンピュータから配信される前記RPCモデルに基づいて、地上の任意の3次元座標値の地点が撮影されている左右の衛星画像データの座標位置を計算して、当該座標位置が撮影された左右の衛星画像データを前記サーバコンピュータから入手するとともに、前記左右の衛星画像を撮影した各衛星の位置を結ぶ線分をステレオ基線とみなし、前記左右の衛星画像の前記座標位置を一致させた状態で、前記左右の衛星画像を前記ステレオ基線の方向ベクトルと前記左右の衛星画像のスキャン方向とのなす角度だけ回転させてステレオ表示した場合に、前記左右の衛星画像の前記座標位置に写る地物が一致していれば、当該地物の3次元座標値が前記地上の地点の3次元座標値であると決定することを特徴とする地物の3次元データ生成システム。
【請求項5】
前記3次元データ生成手段は、前記左右の衛星画像がそれぞれ1画素の地上投影寸法の異なる衛星によって撮影されたものである場合に、前記ユーザコンピュータの表示手段の画像表示倍率を調整するスケールファクタを乗じる処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の地物の3次元データ生成システム。
【請求項6】
前記3次元データ生成手段は、前記ステレオ表示に縦視差が残る場合には、前記RPCモデルのバイアス補正値を算出して前記RPCモデルを修正する処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の地物の3次元データ生成システム。
【請求項7】
前記3次元データ生成手段は、ジオイドモデルを用いて、前記地上の地点の3次元座標値の楕円体高を標高へ換算する処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の地物の3次元データ生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32304(P2012−32304A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172838(P2010−172838)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】