説明

地盤中に複数のパイプ・エレメントを前進させる方法

本発明の目的は、軟質の地盤や、石や岩石の多い地盤や、石や岩石の多い軟質の地盤中に、細長い構造物を製作するため、複数のパイプ・エレメント(18)の前進させることにある。この目的は、前進させる力(40)と、その中立軸(N)及びその前進方向(28)のいずれか一方又は双方に関する偏心量(52)とを、加圧装置(24)と、流体が充填され、かつ、管状体(14)の複数のジョイント(70)の面上に配置された、複数の拡張エレメント(44)とを使用して決定することにより達成される。流体圧力(p)は、拡張エレメント(44)の少なくとも一部で計測され、その変形はジョイント(70)のいくつかの箇所で計測される。前進させる力(40)及び偏心量(52)はこれらのパラメーターから計算され、これらの数値は保存され、又は、保存された標準値と比較される。これらの数値は制御コマンドに変換可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質の地盤や、石や岩石の多い地盤や、石や岩石の多い軟質の地盤中に、細長い構造物を製作するため、複数のパイプ・エレメントの前進時に、その推進力と、その中立軸及びその前進方向のいずれか一方又は双方に関する偏心量とを、加圧装置と、流体が充填された複数の拡張エレメントとを使用して決定するための方法であって、この拡張エレメントは、パイプラインの複数のジョイント内の端面に配置されている、前述の方法に関するものである。更に、本発明は、前述の推進力と、偏心量と、前進方向とを制御する方法、及び、この方法の用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパイプラインは、深くて細長い溝内に配管を一つずつ埋め込み、密封し、そして覆い隠すことにより敷設される。
【0003】
建物でふさがれるか、区画されるか、或いは、上層領域にその他の困難がある地域では、埋設シャフトから地中にパイプラインを打ち込むことができることも知られている。パイプラインの公称路線は、出来る限り直線的に計画され、あらゆる障害物は最大半径の湾曲部で迂回されるように計画される。
【0004】
パイプラインは、制御可能な先端部品にその道筋を指向させ、複数のパイプ・エレメントの連続的な敷設によって地盤中に圧入される。新たに埋設されるパイプ・エレメントは、加圧シャフト内に降ろされ、次のパイプ部品が挿入可能になるまで、加圧装置によって前方に駆動される。これらのパイプ・エレメントは数メートルまでの直径を有し、例えば、1乃至4mの直径を有するパイプ・エレメントで構成されたパイプラインは、1乃至2kmの長さに達することができる。
【0005】
標的シャフト内で、パイプラインから先端部品を取り外し、必要な末端装置と配管を附加することができる。
【0006】
前進した長さが増加するにつれて、パイプ・エレメントのケーシング摩擦のために、必要な推進力が増加する。パイプラインの長さと印加される圧力によっては、更なる加圧装置を配置するための中間加圧ステーション又は中間加圧シャフトを設け、これにより、この距離をしかるべく延長させることができる。
【0007】
切削ヘッドによって取り除かれた土は、通常は水平なパイプの前進方向に対して反対方向に排出されなければならないが、これは、コンベア・ベルトや瓦礫搬送用の台車等を用いて、既知の方法で行うことができる。更に、閉鎖されたパイプ中で、適当な土を用いて薄流トランスポートを行うこともできる。
【0008】
高い推進力は、パイプ・エレメントからパイプ・エレメントに、パイプ・エレメントの端面に応力の局所集中を生じないように、出来るだけ均一に伝達されなければならない。パイプ・エレメントの端面を損傷させることなく、パイプ・エレメントの端面同士を直接接触させることはできない。そこで、木製材料によってパイプ断面形状に対応する複数の圧力伝達リングを挿入することが知られている。
【0009】
加圧前進の間、パイプ・エレメントには軸方向及び放射方向に大きな応力が作用する。その推進力は、前面の抵抗と、パイプ・ケーシングと土の間の摩擦力とに打ち勝たなければならない。推進力を増大させることと同様に、方向の修正は、とりわけ、パイプの端面及びパイプ・エレメント自体の内部に圧力及び応力の不均一な分布をもたらす。例えば、2次的な曲げ力や固有重量のような更なる効果が、パイプに放射方向の荷重を印加する。
【0010】
CH 574023 A5は、加圧システムで製造されるパイプラインのジョイント・シールを開示する。個々のパイプ・エレメントの端面間には、閉鎖されたキャビティを形成する拡張エレメントが配置されている。この拡張エレメントは、加圧された充填媒体を用いて膨張可能であり、これにより、隣り合う構造要素の端面は押し隔てられる。
【特許文献1】CH 574023 A5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の発明者は、推進力と、中立軸に関する偏心量と、前進方向に関する偏心量という、3つのパラメータのうちの少なくとも一つが最適に決定され、次いで、選択的に保存されるか、プロセス制御に使用されるか、又は、選択的に保存されてプロセス制御に使用されるという、本明細書の最初に述べた形式の方法を創造するという目的に向かっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述のパラメータの決定に関して、本発明の目的は、パイプラインの全長にわたって分布するように配置された複数の拡張エレメント(Dehnelements)の少なくとも一部において、ジョイントの流体圧力と変形のいずれか一方又は双方が計測され、これらのパラメータから、推進力と偏心量が計算され、次いで、これらの値が、保存されるか、保存された標準値と比較されるか、あるいは、保存されて、保存された標準値と比較されるという構成の本発明によって達成される。パイプラインの全長にわたって分布するように配置された複数の拡張エレメントの少なくとも一部におけるプロセス制御のために、ジョイントの流体圧力と変形とのいずれか一方又は双方が計測され、これらのパラメータから、推進力と偏心量とが計算され、これらの値は、加圧装置用の制御コマンドと、個々の拡張エレメントに流体を供給するか、個々の拡張エレメントから流体を排出させるための制御コマンドとの、いずれか一方又は双方に変換される。本発明に係る方法の特別な更なる改良点は従属請求項の主題である。
【発明の効果】
【0013】
本発明による方法を用いて、完全な実施設計図を、いつでも再生可能に保存し、かつ製作することができる。
【0014】
これらの記録は、質的に及び量的に履行可能な品質管理に使用可能である。更に、パイプラインの建設経過を、パイプラインの予め計画された公称値といつでも比較することができる。
【0015】
偏向が生じると、本発明の変更態様である連続プロセス制御は、予め条件として指定された標準値が計画されたパイプラインのための公称値に再度従うまで、いつでも実行され得る。これは、プロセスのローリングプランの実施という意味において達成される。
【0016】
本発明のパラメータの決定プロセスとこれらのパラメータの制御プロセスとが同時に進行可能であることは明らかである。
【0017】
「流体」という英単語が、流動性を有する媒体、特に、気体、高粘度又は低粘度の流体、ゲル、ペースト状の物質等を意味することは、ドイツ人にとって共通の認識になっている。
【0018】
計測装置を備えた拡張エレメントが各ジョイントに配置されることが好ましい。前述のように、拡張エレメントは各ジョイントに配置されなければならないが、複数の計測用エレメントのうちの一部は、好ましくは周期的に、省略され得る。例えば、圧力計測装置は、2番目、4番目、…n番目の拡張エレメントに夫々配置され得る。規則的な配置は、必須ではないが、都合が良いことは明らかである。同一又は異なるジョイントで変形を計測することが可能であり、これは、通常、ジョイントの膨張の計測を構成する。しかし、剪断変形やそれ自体は既知の他のパラメータも、又、計測可能である。この計測は、周面上に規則的に分布するように配置された少なくとも3つのポイントで実行されることが好ましく、それ故、膨張を計測する場合には、ジョイントの膨張平面のジオメトリーを決定することができる。
【0019】
拡張エレメント内の流体圧力は、マノメーター(圧力計)によって適切に計測される。計測された複数のパラメーターに基づいて、この流体圧力が公称値から偏向していることが発見されたときには、対応するコマンドが流体の供給又は排出を制御するか、又は、前述の推進力がしかるべく増加又は減少させられる。これらの制御コマンドは特定のアクチュエーターに対して個々に供給されることが可能であるが、複数のグループ内のいくつかのアクチュエータに対して供給されることも可能である。
【0020】
拡張エレメントは断面形状に関して如何なる幾何学的な形態をもとることができる。最も単純な事例では、それは円形をなす。しかしながら、その断面形態は、同一の又は異なる壁面厚さを備えた正方形又は長方形であることができる。適当な材料は弾性材料であり、この弾性材料は繊維強化された材料であることが可能であり、これらの材料の機械的特性は、客体に特有の力及び幾何学的条件に適合するように構成され得る。
【0021】
断面形状が、円形、楕円形又は方形の複数の拡張エレメントは、これらの拡張エレメントが応力を生じない予備的な圧縮状態にあるときには、パイプ端面上の接触幅は、荷重下で生じる圧縮によってほんの僅かな影響を受けるのみであるという幾何学的特性を有する。これは、ジョイントに極めて傾斜した拡張平面がある場合であっても、拡張エレメントによってパイプ周面に沿って伝達される特定の力は僅かに変化するのみであり、このため、パイプの中立軸に関する推進力の偏心量は小さいままであり、これは、以前から通常に使用されている木製材料のジョイントに対する大きな相違点である。
【0022】
更に、許容される力Kに対する印加される力Kの比率は、その比率の周期的又は連続的な計算によって監視され得る。この比率が1に達し又は1を超えると、警報が自動的に発せられ、関係するポイントで表示が示されるから、オペレータは直ちに介入することができる。
【0023】
最後に、加圧シャフトの内部で、パイプラインの最後のパイプ・エレメントと新たなパイプ・エレメントの間に挿入された拡張エレメントは、予備的に圧縮されることが好ましく、このとき計測されたパラメータは保存される。換言すると、予備的な圧縮により、拡張エレメントの幾何学的な断面形状が確立される。同様に、他の全ての計測結果の分析も、時間遅れを生じることなく、同時に行われる。本発明は、特に本発明に必須の装置は、図面に示した複数の実施例を参照して、以下、より詳細に説明される。図面に示した複数の実施例は、また、従属請求項の主題である。これらの図は概略的に描かれている。
【実施例1】
【0024】
地盤10の内部を、軟質土壌から均質で強固な岩盤までずっと、パイプライン14は加圧シャフト12から出発して前進し、地盤表面16から数メートルの深さのところを地盤表面16にほぼ平行に進む。個々のパイプ・エレメント18は、つり上げ装置20によって、加圧シャフト20の内部に降ろされる。
【0025】
アバットメント22に据えられた加圧装置24は、パイプライン14に対して一直線に整列して配置されている。本実施例では、この加圧装置は液圧プレスであるが、気圧プレスや行程スピンドル(Hubspindeln)を使用することも可能である。圧力リング26は最後部のパイプ・エレメント18の端面を押圧し、パイプライン14の全体を一つのパイプ・エレメント18の長さlだけ前進方向28に押し進める。次いで、圧力リング26は引っ込められ、新しいパイプ・エレメント18が中間拡張エレメント44(図3)と共に挿入され、かつ、正確に配置される。そして、パイプライン全体はパイプ長さlだけ更に前進させられる。
【0026】
パイプライン18を地盤10の内部に圧入すると同時に、先端部品30は排除された土壌を既知の方法で抜き出す。これは、例えば、一体化された掘削機32や、切削工具や、その他の採掘で用いられる加工工具によって行われる。掘り出された土砂34は、図示しないコンベアベルトによって、加圧シャフト24の方向に、即ち、前進方向28とは反対方向に搬送される。
【0027】
前述のように、前進は徐々に行われる。一工程には、パイプ・エレメント18を挿入する工程と、パイプライン14をパイプ・エレメント18の長さlだけ前進方向に推進させる工程とが含まれる。推進力40(図3)は、後述するように、拡張エレメント44を通って(図3)、パイプ・エレメントからパイプ・エレメント18に伝達される。
【0028】
前述のように、パイプライン14は、通常は、地盤表面16に対してほぼ平行に延在する。しかしながら、パイプライン14は、地盤表面16に平行をなす以外のある角度をもって延在することもできる。
【0029】
図3に詳細に示すように、パイプライン14の前進中には、種々の理由により偏心が生じる場合がある。
【0030】
先端部品30は、通常、基準位置探査装置36を有し、これにより先端部品30の位置をいつでも設定することが可能であり、かつ、必要な修正を行うことができる。更に、先端部品30の修理や交換が必要なときには、補助シャフトを正確に堀抜くことができる。
【0031】
図2は、地下にパイプライン14が埋設された道路38のS字形区画を示す。パイプライン14は、計画されたルートが出来る限り直線状に延びるように、S字形区画を最大曲げ半径をもって案内される。本発明の計測及びプロセス制御によって、パイプライン14は計画されたルートを十分に辿ることができる。
【0032】
図3は、推進力が印加された2つのパイプ・エレメント18の端面42を示している。これらのパイプ・エレメント18の2つの端面42は、中空部品として形成された拡張エレメント44によって連結されている。拡張エレメント44のキャビティは耐圧性流体46で充填され、その圧力Pは100barよりも遙かに高圧に達することができる。
【0033】
これらの2つのパイプ・エレメント18の連結領域は、案内機能と密封機能を有するスリーブ48によって被覆されている。この密封機能は、挿入されたO−リング50によって維持される。
【0034】
パイプ・エレメント18からなるパイプライン14が前進する間、パイプライン14の中立軸Nに関して推進力40の偏心52が生じる場合がある。かかる偏心が生じる理由は、複数のパイプ・エレメント18と地盤10の接触面54に沿う摩擦条件が異なることにあり、しかしながら、主として、計画されてはいるが、不測の制御運動と、複数のパイプ・エレメント18の寸法の不正確さとにあり、特に、明らかに非直線的で、不可逆性の荷重変形特性を有する木製素材からなる複数のジョイント要素を使用することにある。これらの偏心52は、前進方向28に対して垂直に起立する平面に位置する複数の軸の周りの回転力を発生させる。平衡を達成するため、流動化作用を、これらのモーメントに対して反対に回転する複数のトルクと、前進方向28に対して直角方向に作用する土壌圧力によるほぼ等しい相当量とに求める。これらの土壌圧力は、極端な場合にはパイプ・エレメント18の破損をも招く大きな荷重を構成する。
【0035】
本発明によれば、拡張エレメント44の全てのキャビティは、図4及び5に示す圧力配管56を介して、パイプライン14の全体にわたって連結されている。この圧力配管56は、充填バルブ58を介して、連結された各拡張エレメント54の取付部品60に連結されている。充填バルブ58はレバー62によって開放可能である。取付部品60には、また、圧力計64と抜気バルブ66とが取り付けられ、これによってパイプライン14の内部の過剰流体を排出することができる。
【0036】
図4の実施例では、拡張エレメント44は、エラストマーによってホース状に形成されている。この周辺ホースは複数の区画に分割されていない。このため、圧力は、測地線の違いを除き、図5に点線で、変形した拡張エレメント44が示されているように、たとえ、最高圧力が作用したときにも全周にわたって常に等しい。
【0037】
図6は、パイプ・エレメント18のいくつかの可能な断面形状を示す。これらの断面形状は、例えば、円形、正方形、長方形、横断壁を有する長方形、又は、曲線形を採ることができる。これらのエレメントは、1メートル又はそれ以上の直径又はこれに対応する直線状の主要部を有する。これらのエレメントは、例えば、コンクリート、強化コンクリート、又は、金属で構成される。
【0038】
図7は、拡張エレメント44の断面形状を示す。これらの断面形状は、円形、方形、楕円形、丸みを帯びた長方形、カセット形、及び、凸状両側面を有する形状である。種々の多様な断面形状を使用することが可能であり、又、それらの壁を部分的に強化することができる。
【0039】
図8の実施例によれば、周辺拡張エレメント44は同一寸法の3つの区画A、B、Cに分割され、これらの区画は流体圧的に連結されていない。拡張エレメント44の各区画には充填バルブ58と排出バルブ68を備えた取付部品を設けることができる。作動中の方向変換を行うことができる。図8による拡張エレメント44を用いて、対応する配置で、案内ヘッド30(図1)を直接制御することができる。通常は、3乃至6個の扇形区画が設けられる。
【0040】
図9による実施例において、複数のパイプ・エレメント18の端面42の間の拡張量は、拡張メーター68を使用して計測される。
【0041】
圧力及び変形の計測データは、特に、拡張量の計測データは、プロセッサーを使用してパイプライン18の内部又は外部で管理される。充填バルブ58及び抜気バルブ66も、又、対応するアクチュエータを介してプロセッサーによって制御することができる。これらのデータは、電気ケーブル、光ケーブル、又は、無線通信を介して、プロセッサーに入出力され、或いは、インターネットを使用してプロセッサーに入出力される。通常用いられているこれらの電気機器は明瞭化のために図示されていない。
【0042】
しかしながら、動作可能な全ての拡張エレメント44の複数のキャビティが、圧力配管56を介して連通するように連結され得ることは、本質的に重要である。パイプライン14の内部にその全長にわたって延在する圧力配管56は、全ての拡張エレメント54に連結可能であるか、又は、そのうちのいくつかに連結可能である。充填バルブ58を介して、拡張エレメント44のキャビティは、推進力40の適用前に、耐圧性流体46によって適当に充填され、同時に、少なくとも一つの抜気バルブ66を介して排出される。これらの二つの弁58、66を介して、流体46の現在の内部圧力を圧力計64を用いて計測することもできる。ジョイント70の前進方向28への拡張量の少なくとも3カ所の局所計測値を使用して、ジョイント70内の拡張平面を決定することができる。流体46の取得されたパラメーター圧力と、ジョイント70内の拡張平面のジオメトリーとから、記載されたジョイント機能のために結果として生じる推進力40の大きさ及び偏心量72を、可逆的荷重ひずみの原理を使用して、場所及び量について決定することができる。これから、又、中立軸Nを横切る土壌圧力の大きさ及び方向を決定することが可能であり、これ故に、損傷の危険性の大きさや、更には、パイプ・エレメント18が横断方向に破損する大きさについての情報を得ることができる。これにより、推進力40を監視し、かつ制御する、信頼性のある正確な方法が得られ、この方法は、シンプルで、実用的で、堅牢な手段を用いて達成可能である。図示されていないが、ジョイント70は、他の実施態様として、同軸状、螺旋状の形態をとることも可能であり、横断方向への如何なる力をも発生しない複雑なジオメトリーを有することもできる。
【0043】
充填バルブ58及び抜気バルブ66のうちのいずれか一方又は双方が開放している間にジョイント70内の拡張エレメント44が圧縮されることにより、そして、これにより、流体46が拡張エレメント44に自由に出入可能になることにより、拡張エレメント44のキャビティ内の圧力が変化することなく、拡張エレメント44は変形させられる。かかる予備的な圧縮(Vorstauchung)により、この力の伝達が拡張エレメント44の表面をパイプ・エレメントの端面42に接触させ、そして、これにより、推進力40も増加させることができる。この結果、目標とされた予備的な圧縮によって、拡張エレメント44の変形動作は、必要とされる一定の範囲内で制御され得る。
【0044】
いくつかの部分に分割され、即ち、区画された、複数の拡張エレメント44は、異なる内圧を有することができる複数の独立した流体容器を構成する。これらの区画の唯一の共通パラメーターは、その拡張平面のジオメトリーである。拡張エレメント44の個々の区画のキャビティ内に存在する流体46の圧力又は量を制御することにより、結果として生じる推進力40の状態(die Lage)は位置及び量において影響される。この特性の目標とされる使用によって、分割された拡張エレメント40は、推進力40の位置と大きさとを正確に制御すると共に監視するという要求を満たすことができる。
【0045】
拡張エレメント44のこれらの副次的な分割が省かれる場合には、拡張エレメント44のキャビティ内の流体圧力Pは全体にわたって同一であり、周面方向に計測された拡張エレメント44の単位長さ当たり、拡張エレメント44を介して伝達される力の大きさは、複数のエレメントの端面における拡張エレメント44の接触幅の大きさのみによって定まり、特に、拡張エレメント44の他のジオメトリーとは無関係である。拡張エレメント44の特性とジオメトリー及び予備的な圧縮の適当な選択により、拡張エレメント44の圧縮時の単位長さ当たりの作業基準面であるジョイント接触面の影響を低く維持することができる。これにより、結果として生じる推進力40の偏心量52を、拡張エレメント44の膨張量から無関係にすることが可能になり、又は、狭い範囲内に維持される。これは、記述された拡張エレメント44の特性の重要な改善を構成する。
【0046】
前進した後、拡張エレメント44の再使用ために本質的に2つの可能性がある。すなわち、
−拡張エレメント44の内部圧力が低減され、完成した構造物の内部から取り外される。これは、拡張エレメント44の再使用を可能にする。
−拡張エレメント44は装着されたままの状態に維持され、最終状態のための構造シールとして再使用される。
【0047】
拡張エレメント44の内部の流体46の圧力は、更に、監視されると共に制御され、これにより、拡張エレメント44のシール効果を制御することができる。
【0048】
拡張エレメント内部の流体46を、例えば、セメント懸濁液等の硬化流体に入れ替えることができる。これは、特定の圧力下で、拡張エレメント44のキャビティ内に圧入され、硬化後に、永続的な予備的緊張状態(Vorspannung)と密封圧力(Dichtdruck)とを得るように使用される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
要約すると、本発明によれば、拡張エレメント44の前述の構成を用いて、簡単に構造物全体を架橋し又は連結することが可能であり、これに伴う種々の利点を得ることができることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】パイプラインを備えた加圧シャフトの縦断面図である。
【図2】道路区画の下方のパイプラインの進路である。
【図3】2つのパイプ・エレメントがそれらの端面を近接させて敷設されている状態の軸方向断面図である。
【図4】拡張エレメントの放射方向断面図である。
【図5】2つのパイプ・エレメントの突き合わせジョイントの断面図であり、このジョイントは、図3のVによって示された計測及び充填装置を備える。
【図6】パイプ・エレメントの種々の断面形状を示す図である。
【図7】拡張エレメントの種々の断面形状を示す図である。
【図8】拡張エレメントのいくつかに区分された区画を示す、図3の変更態様を示す図である。
【図9】拡張量を計測するための装置を備えた、図3の変更態様を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質の地盤や、石や岩石の多い地盤や、石や岩石の多い軟質の地盤中に、細長い構造物を製作するため、複数のパイプ・エレメント(18)の前進時に、その推進力(40)と、その中立軸(N)及びその前進方向(28)のいずれか一方又は双方に関する偏心量(52)とを、加圧装置(24)と、流体が充填された複数の拡張エレメント(44)とを使用して決定するための方法であって、前記拡張エレメント(44)は、前記パイプライン(14)の複数のジョイント(70)内の端面に配置されている、前記方法において、前記パイプライン(14)の全長にわたって分布するように配置された前記複数の拡張エレメント(44)のうちの少なくとも一部において、その流体圧力(p)及び前記複数のジョイント(70)の変形のうちのいずれか一方又は双方が計測され、これらのパラメータから前記推進力(40)と偏心量(52)が計算され、これらの数値は保存され、又は、これらの数値は保存された標準値と比較され、又は、これらの数値は保存されて前記保存された標準値と比較されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
軟質の地盤や、石や岩石の多い地盤や、石や岩石の多い軟質の地盤中に、細長い構造物を製作するため、複数のパイプ・エレメント(18)の前進時に、加圧装置(24)と、流体が充填された複数の拡張エレメント(44)とを使用して、その推進力(40)を制御し、その中立軸(N)及びその前進方向(28)のいずれか一方又は双方に関するその偏心量(52)を最小にする方法であって、前記拡張エレメント(44)は、前記パイプライン(14)の複数のジョイント(70)内の端面に配置されている、前記方法において、前記パイプライン(14)の全長にわたって分布するように配置された前記複数の拡張エレメント(44)のうちの少なくとも一部において、その流体圧力(p)及び前記複数のジョイント(70)の変形のうちのいずれか一方又は双方が計測され、これらのパラメータから前記推進力(40)と偏心量(52)が計算され、これらの数値は、前記加圧装置(24)と、前記複数の拡張エレメント(44)のそれぞれに対する流体供給又は流体排出との、いずれか一方又は双方の制御コマンドに変換されることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記変形は、好ましくは拡張変形又は剪断変形であり、前記変形は全ての前記ジョイント(70)で計測されることを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法において、前記変形は、好ましくは、ジョイント(70)の拡張量が、ジョイント(70)一つ当り少なくとも3つのポイントで計測され、前記ポイントは、好ましくは、その周面にわたって規則的に分布し、前記ジョイント(70)の拡張平面のジオメトリーが決定されることを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記拡張エレメント(44)は複数の区画に分割され、前記流体の圧力は区画(A,B,C)ごとに計測され、前記各区画に供給され又は前記各区画から排出される流体量は、各区画に対応する制御コマンドによって個々に決定されることを特徴とする、前記方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、先端部品(30)は最先端部の拡張エレメント(44)によって制御されることを特徴とする、前記方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記流体の圧力(p)は、耐圧性流体で満たされた拡張エレメント(44)の内部で計測されることを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、前記流体の圧力(p)は、前記パイプ・エレメント(18)の少なくとも一つの端面(42)に向かって断面形状が円形、楕円形、長円形又は半円形の拡張エレメント(44)の内部で計測されることを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の方法において、許容された力(K)に対する印加された力(K)の比が、定期的に又は連続的に、計算され、かつ、監視され、

であるときに、好ましくは警報が発せられることを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の方法において、加圧用立坑(12)内で前記拡張エレメント(44)の予備的な圧縮時に計測された前記複数のパラメーターが保存されることを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の方法において、分析が実時間で実行されることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法の品質管理のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−523276(P2007−523276A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553411(P2006−553411)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000090
【国際公開番号】WO2005/080753
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506272884)
【Fターム(参考)】