地盤排水構造、およびその施工方法
【課題】盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域から水が浸透することをより確実に防止して、盛土などの遮水領域や、これに加え、この遮水領域を支持する基礎地盤に、透水による地滑りなどの崩壊がより確実に生じないようにし、かつ、このようにした場合でも、地盤排水構造の施工が容易かつ安価にできるようにする。
【解決手段】地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とこの遮水領域１７に水平方向で隣接する外部領域１８との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材１９が設けられる。外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗが、縦向き排水材１９の内部に集水されて流下し、この水Ｗが遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにする。縦向き排水材１９が、予め所定形状に形成された形成品とされる。
【解決手段】地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とこの遮水領域１７に水平方向で隣接する外部領域１８との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材１９が設けられる。外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗが、縦向き排水材１９の内部に集水されて流下し、この水Ｗが遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにする。縦向き排水材１９が、予め所定形状に形成された形成品とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域からの水の浸透を抑制すると共に、遮水領域外への排水を促進させるようにする地盤排水構造、およびその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
上記地盤排水構造には、従来、下記特許文献１に示されるものがある。この公報のものによれば、地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられている。そして、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水は、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されることとされている。
【０００３】
また、上記従来の技術における排水材は砕石とされ、上記遮水領域である遮水性補強土層の側面と、外部領域である地山の崖面との間に、上記砕石が充填されて排水壁が形成されている。そして、上記したように、外部領域から遮水領域に向かうよう流れる水は上記排水壁の内部に集水されて流下し、その後、排水されるようになっている。
【特許文献１】特開２００４−２３２２３２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記したように従来の技術における排水材は砕石であるが、このような砕石は個々の形状や大きさが不均一である。このため、この砕石により排水壁を形成する場合、この排水壁の各部における空隙率や厚さ寸法を互いに均一にすることは容易でない。この結果、上記排水壁の各部における集水や、この集水後の水の流下の性能が不均一となって、上記遮水領域の各部への水の浸透の防止が不十分になるおそれがある。
【０００５】
そこで、上記排水壁の各部の厚さ寸法を全体的に大きくして、集水や水の流下の性能を全体的に向上させることが考えられる。しかし、このようにすると、砕石が多量に必要となって、上記排水壁の形成作業が煩雑かつ高価になり、つまり、地盤排水構造の施工が煩雑かつ高価になるおそれが生じる。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域から水が浸透することをより確実に防止して、盛土などの上記遮水領域や、これに加え、この遮水領域を支持する基礎地盤に、透水による地滑りなどの崩壊がより確実に生じないようにし、かつ、このようにした場合でも、地盤排水構造の施工が容易かつ安価にできるようにすることである。
【０００７】
請求項１の発明は、地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とこの遮水領域１７に水平方向で隣接する外部領域１８との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材１９が設けられ、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗが、上記縦向き排水材１９の内部に集水されて流下し、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材１９が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする地盤排水構造である。
【０００８】
請求項２の発明は、上記遮水領域１７の下方に隣接して上記地盤１の一部を構成する下部領域２９と上記遮水領域１７との間に埋め込まれる横向き排水材３０が設けられ、この横向き排水材３０の一端部側である上記外部領域１８側に上記縦向き排水材１９の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材１９から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材１９を流下した水が上記横向き排水材３０をその一端部側から他端部側に流れ、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材３０が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする請求項１に記載の地盤排水構造である。
【０００９】
請求項３の発明は、上記遮水領域１７が盛土１０により形成され、上記下部領域２９の上面が上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう方向で下傾する傾斜面３ａであることを特徴とする請求項２に記載の地盤排水構造である。
【００１０】
請求項４の発明は、上記縦向き排水材１９と横向き排水材３０とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としたことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造である。
【００１１】
請求項５の発明は、上記縦向き排水材１９における上記遮水領域１７側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材２７を設けたことを特徴とする請求項１から４のうちいずれか１つに記載の地盤排水構造である。
【００１２】
請求項６の発明は、請求項２に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記遮水領域１７と下部領域２９との間に上記横向き排水材３０を埋め込んだ後、上記遮水領域１７と外部領域１８との間にその上方から上記縦向き排水材１９を埋め込むようにしたことを特徴とする地盤排水構造の施工方法である。
【００１３】
請求項７の発明は、請求項１に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記縦向き排水材１９を上下方向で複数の排水ブロック２０により形成し、これら排水ブロック２０のうちの最下段である第１段の排水ブロック２０を縦向きに設置し、この排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック２０上に第２段の排水ブロック２０を縦向きに設置して、これら両排水ブロック２０，２０の対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、以下、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返して、盛土１０の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返すことを特徴とする地盤排水構造の施工方法である。
【００１４】
請求項８の発明は、上記縦向き排水材１９と横向き排水材３０とのうち、少なくともいずれか一方を互いに並設されるパイプ状排水材３３で構成したことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造である。
【００１５】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【００１６】
本発明による効果は、次の如くである。
【００１７】
請求項１の発明は、地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられ、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水が、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００１８】
このため、次の「基本的効果」が生じる。
【００１９】
即ち、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水は、上記縦向き排水材により上記遮水領域の外部に向けて排水が促進されることから、水がこの遮水領域に浸透することは防止される。よって、遮水領域への透水がより確実に防止されることから、この透水により盛土など遮水領域の強度が低下して地滑りなどの崩壊が生じる、ということは防止され、また、これにより、この遮水領域を支持している基礎地盤の地滑りなどの崩壊も防止される。
【００２０】
そして、上記したように縦向き排水材は人工的な形成品であるため、次の第１〜第３の「具体的効果」が生じる。
【００２１】
即ち、第１に、縦向き排水材の各部における空隙率や厚さ寸法を互いに均一にすることが容易にできる。よって、この縦向き排水材の各部における集水や、この集水後の水の流下の性能を均一にして、この水を排水をさせることができるため、上記遮水領域の各部への水の浸透をより確実に防止することができる。
【００２２】
また、第２に、上記した遮水領域の各部への水の浸透の防止が過度にならないよう上記縦向き排水材自体の仕様を定めたり、複数の縦向き排水材を準備して、これら縦向き排水材を水平方向、および／もしくは縦方向で所定間隔をあけて設置したりすることも容易にできる。そして、このようにすれば、上記遮水領域を、できるだけ最適含水状態にして、この遮水領域を好ましい強度に保持させることができる。
【００２３】
更に、第３に、上記縦向き排水材を、予め所望の大きさや重さに形成することができるため、その取り扱いが容易にできる。よって、この縦向き排水材を用いた地盤排水構造の施工は、精度良く容易かつ安価にできる。
【００２４】
請求項２の発明は、上記遮水領域の下方に隣接して上記地盤の一部を構成する下部領域と上記遮水領域との間に埋め込まれる横向き排水材が設けられ、この横向き排水材の一端部側である上記外部領域側に上記縦向き排水材の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材を流下した水が上記横向き排水材をその一端部側から他端部側に流れ、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００２５】
このため、上記縦向き排水材で集水され、流下させられた水は、上記した人工的な形成品である横向き排水材により排水される。
【００２６】
よって、上記横向き排水材によれば、前記縦向き排水材についての「基本的効果」や「具体的効果」と同様の効果が生じる。
【００２７】
請求項３の発明は、上記遮水領域が盛土により形成され、上記下部領域の上面が上記外部領域から遮水領域に向かう方向で下傾する傾斜面としている。
【００２８】
ここで、例えば、地山の斜面部分の一部分を切土して、これにより生じた切土により、上記斜面部分の傾斜方向で、上記一部分の下側に位置する斜面部分の他部分の上面に盛土を形成することは、一般的に多用されている便利な盛土施工方法である。
【００２９】
そして、上記発明の盛土が、上記のように切土により構成されたものであるとすると、この切土は別途に選定されたものではなく、現地発生土であるため、低透水性によりその上流側を止水して水位を上昇させてしまったり、高透水性によりその透水が容易になされたりする可能性がある。しかも、この盛土は上記のように傾斜面に形成されていて不安定である。よって、上記切土による盛土では、この盛土が地滑りにより崩壊を生じ、延いては、この盛土を支持している基礎地盤である下部領域が地滑りにより崩壊を生じるなど、不都合を発生するおそれがある。
【００３０】
しかし、上記遮水領域が盛土施工方法による盛土であるとしても、前記縦向き排水材と横向き排水材とによれば、上記外部領域から遮水領域への水は、より確実に集水されて排水が促進されるため、上記不都合の発生が防止される。
【００３１】
請求項４の発明は、上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としている。
【００３２】
このため、上記縦向き排水材や横向き排水材の表面積を大きく採ることができる分、上記外部領域から遮水領域に向かう水の集水や排水がより効果的に行われ、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００３３】
請求項５の発明は、上記縦向き排水材における上記遮水領域側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材を設けている。
【００３４】
このため、上記外部領域から遮水領域に向かう水の遮水がより確実に行われて、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００３５】
請求項６の発明は、請求項２に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記遮水領域と下部領域との間に上記横向き排水材を埋め込んだ後、上記遮水領域と外部領域との間にその上方から上記縦向き排水材を埋め込むようにしている。
【００３６】
このため、上記遮水領域と外部領域とを設置した後に上記縦向き排水材の設置ができるため、これら両設置作業の互いの干渉を避けて、これら作業を個別にすることができる。よって、上記施工を容易にすることができる。
【００３７】
請求項７の発明は、請求項１に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記縦向き排水材を上下方向で複数の排水ブロックにより形成し、これら排水ブロックのうちの最下段である第１段の排水ブロックを縦向きに設置し、この排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック上に第２段の排水ブロックを縦向きに設置して、これら両排水ブロックの対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、以下、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返して、盛土の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返している。
【００３８】
このため、上記排水ブロックを縦向きに設置すると共に、上記遮水領域と外部領域とにおいてそれぞれ盛土を設置する場合、これら両領域で同時に盛土の設置作業をすることができると共に、これら両領域に設置した両盛土により上記排水ブロックを縦向き姿勢に保持させることができる。よって、上記施工方法は合理的かつ迅速に達成される。
【００３９】
請求項８の発明は、上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を互いに並設されるパイプ状排水材で構成している。
【００４０】
ここで、上記パイプ状排水材によれば、その径方向外方からの土圧に対し大きい強度を保持できて、その内孔を所定形状に保持させることが容易にできる。よって、上記パイプ状排水材で構成した縦向き排水材や横向き排水材は、集水や排水の性能が良好に保たれる。
【００４１】
また、上記したパイプ状排水材は、所望強度を保持したままで断面積を大きくすることが容易にできる。このため、このパイプ状排水材は、面状排水材と比較して、集水や排水のための断面積をより大きくすることができ、これにより、これら集水や排水をより促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００４２】
本発明の地盤排水構造に関し、盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域から水が浸透することをより確実に防止して、盛土などの上記遮水領域や、これに加え、この遮水領域を支持する基礎地盤に、透水による地滑りなどの崩壊がより確実に生じないようにし、かつ、このようにした場合でも、地盤排水構造の施工が容易かつ安価にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【００４３】
即ち、地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられる。また、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水が、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにしている。上記縦向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品とされている。
【実施例１】
【００４４】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例１を添付の図１，２に従って説明する。
【００４５】
図１，２において、符号１は地盤であって、この地盤１の主体は、自然のままの地山２の斜面部分３に相当している。この地山２の斜面部分３の一部分４が切土されて凹部５が形成されている。この凹部５の底面６はほぼ水平に延び、この凹部５の地山２側の壁面７はほぼ鉛直に延びている。
【００４６】
上記斜面部分３の一部分４における凹部５の形成により生じた切土により、上記斜面部分３の傾斜方向Ａで、上記一部分４の下側に隣接する斜面部分３の他部分９の上面に盛土１０が形成されている。上記斜面部分３の他部分９の表面は、上記斜面部分３の一部分４から他部分９に向かう方向で下傾する傾斜面３ａとされている。上記盛土１０の上面は上記凹部５の底面６とほぼ面一とされて、この底面６に連設され、また、上記盛土１０の地山２と反対側の側面はほぼ鉛直に延びている。
【００４７】
上記盛土１０の側面に沿うように、上記斜面部分３の他部分９の上記傾斜方向Ａでの下端部に擁壁１１が立設されている。この擁壁１１により、上記盛土１０の土圧が支持されて、この盛土１０が所定形状に保持されている。
【００４８】
上記擁壁１１は、その側面断面視（図１）で、上記斜面部分３の他部分９に設置された基礎１２上に、上下方向に複数積み上げられるコンクリート製壁ブロック１３を備えている。これら各壁ブロック１３は互いにほぼ同形同大とされている。また、上下方向で、これら各壁ブロック１３は互いに係脱可能に係合する構造とされ、この係合により、上下に隣接する各壁ブロック１３同士が水平方向で互いに位置ずれする、ということは防止される。上記壁ブロック１３のうち、最下段の壁ブロック１３にはその厚さ方向に貫通する通水孔１３ａが形成されている。
【００４９】
上記したように上下方向に積み上げられた各壁ブロック１３同士の継ぎ目位置から上記地山２側に向かって、ほぼ水平方向に延びると共に、上記盛土１０に埋設される補強材１４が設けられている。この構造は、いわゆる補強土壁工法といわれる工法によって形成されたもので、これら各補強材１４は、上記盛土１０を補強して、この盛土１０を所定形状に保持可能とする。上記各補強材１４の一端部は、上記各壁ブロック１３の上端に連結され、他端部側は、上記斜面部分３の他部分９の表面近傍にまで延びている。
【００５０】
上記補強材１４は多孔性の可撓性シート材で構成され、通水性を有している。具体的には、上記補強材１４は、繊維性の網状体と、この網状体の表面にコーティングされる樹脂表皮とを備えたジオグリッドやジオテキスタイルといわれるもので構成される。なお、上記補強材１４は多孔性の不織布や金属製の補強材で構成してもよい。
【００５１】
上記盛土１０における上記擁壁１１側の大部分は、地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とされる。この遮水領域１７と上記遮水領域１７に水平方向で隣接する上記盛土１０の他部分である外部領域１８との間は、上下方向に延びる面状の縦向き排水材１９（具体的には、板形状）の縦向き排水材１９が埋め込まれている。この縦向き排水材１９はほぼ鉛直に延びている。
【００５２】
上記縦向き排水材１９は予め所定形状に形成された人工的な形成品である。この縦向き排水材１９は、その側面断面視（図１）で、上下方向に複数積み上げられる排水ブロック２０を構成している排水ブロック２０を備えている。これら各排水ブロック２０は、全体として横長かつ縦向きの長方形板形状とされ、互いに同形同大とされている。これら各排水ブロック２０の高さ寸法は、上記擁壁１１の各壁ブロック１３の高さ寸法とほぼ同じとされ、各排水ブロック２０は、それぞれ上下方向で隣り合う両補強材１４，１４間に配置されている。
【００５３】
上記各排水ブロック２０は、横長かつ縦向きの長方形芯板材２３と、この芯板材２３の各面からそれぞれ一体的に突出して縦方向に延びる複数の帯板状突条体２４と、これら芯板材２３と突条体２４とを一体的に覆う袋形状の通水性カバー体２５とを備えている。
【００５４】
上記突条体２４は、上記芯板材２３の面方向かつ水平方向で等間隔に配置され、隣り合う両突条体２４，２４の間には縦方向に延びる排水溝２６が形成されている。また、上記芯板材２３には通水孔が形成されず、もしくは、通水孔がわずかに形成されるだけであって、非通水性の遮水材２７とされている。上記カバー体２５は、上記縦向き排水材１９の外部からの土砂により、上記排水溝２６が塞がれることを防止する。
【００５５】
上記芯板材２３と突条体２４とはポリプロピレン等の樹脂製であり、上記排水ブロック２０にその周りから与えられる土圧などの外力に対抗するよう十分の剛性と強度とを備えている。また、上記カバー体２５はポリプロピレン等の樹脂製であり、かつ、長繊維不織布製であり、十分な通水性を有している。
【００５６】
上記遮水領域１７および外部領域１８の下方に隣接して、上記地盤１の一部を構成する下部領域２９と上記遮水領域１７との間には、横向き排水材３０が埋め込まれている。この横向き排水材３０の一端部側である上記外部領域１８側に上記縦向き排水材１９の下部が連通し、他端部側は上記傾斜方向Ａに向かって上記縦向き排水材１９から離れる方向に延出している。
【００５７】
具体的には、上記下部領域２９は上記地山２の斜面部分３の他部分９に相当し、上記遮水領域１７および外部領域１８は上記盛土１０に相当している。また、上記横向き排水材３０は、予め所定形状に形成された人工的な形成品であって、上記縦向き排水材１９の各排水ブロック２０を互いに一体的に結合した構造とされている。上記横向き排水材３０は、その各排水溝２６が上記傾斜方向Ａに延びるよう上記下部領域２９（斜面部分３の傾斜面３ａ）と盛土１０の下面との間に埋め込まれている。
【００５８】
そして、雨天時など、上記地山２の斜面部分３の一部分４や外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を水Ｗが流れるとき、この水Ｗは、上記縦向き排水材１９のカバー体２５を透過して、上記外部領域１８側の各排水溝２６に集水され、その自重により流下させられる。また、この流下により、上記縦向き排水材１９の下端部に達した水Ｗは、上記横向き排水材３０のカバー体２５を透過して、上面側の各排水溝２６に集水され、その自重により傾斜方向Ａの下方に流下させられる。また、この流下により、上記横向き排水材３０の下端部に達した水Ｗは、上記通水孔１３ａを通り擁壁１１の外部に排水される。
【００５９】
また、上記外部領域１８から遮水領域１７に水Ｗが浸透しようとすることは、上記縦向き排水材１９の芯板材２３である遮水材２７により、より確実に防止される。更に、上記遮水領域１７に対し、その上面などから水Ｗの透水があった場合、この水Ｗは、上記横向き排水材３０のカバー体２５を透過して、上記遮水領域１７側の各排水溝２６に集水され、その自重により流下させられる。また、この流下により、上記縦向き排水材１９の下端部に達した水Ｗは、前記と同様に、横向き排水材３０により集水されると共に傾斜方向Ａの下方に流下させられて排水される。
【００６０】
よって、上記遮水領域１７への透水がより確実に防止される。このため、この透水により遮水領域１７の強度が低下して地滑りなどの崩壊が生じる、ということは防止される。なお、上記遮水領域１７は、適度に湿った状態、つまり、最適含水比状態で好ましい強度が得られるため、できるだけ、この状態となるよう上記縦向き排水材１９と横向き排水材３０の各仕様が定められる。
【００６１】
図１において、上記下地盤排水構造の施工方法につき説明する。
【００６２】
まず、上記下部領域２９の上面に上記横向き排水材３０を敷設し、また、上記基礎１２上に擁壁１１の第１段（最下段）となる壁ブロック１３を積み上げる。次に、この第１段の壁ブロック１３の上端にほぼ同じ高さとなるまで、上記横向き排水材３０の上面に第１層となる盛土１０を設置し、この際、ローラ等で締め固めをする。次に、上記第１段の壁ブロック１３の上端に上記補強材１４の一端部を連結し、この補強材１４の他端部側を上記第１層の盛土１０の上面に敷設する。
【００６３】
次に、上記施工を繰り返し、互いに、ほぼ同じ高さとされる第ｎ段の壁ブロック１３の上端と第ｎ層の盛土１０の上端とが、上記外部領域１８の下端に達すれば、次に、上記第ｎ段の壁ブロック１３に第ｎ＋１段の壁ブロック１３を積み上げると共に、上記排水ブロック２０のうちの最下段である第１段の排水ブロック２０を上記遮水領域１７と外部領域１８との間で下部領域２９上に縦向きに設置する。この際、上記第ｎ＋１段の壁ブロック１３と第１段の排水ブロック２０との各上端は互いにほぼ同じ高さとされる。
【００６４】
次に、上記第ｎ＋１段の壁ブロック１３と第１段の排水ブロック２０との各上端とほぼ同じ高さとなるまで、上記第ｎ層の盛土１０上と上記外部領域１８側の横向き排水材３０の上面に盛土１０を設置し、この際、ローラ等で締め固めをする。次に、上記第ｎ＋１段の壁ブロック１３の上端に上記補強材１４の一端部を連結し、この補強材１４の他端部を上記遮水領域１７における第ｎ＋１層の盛土１０の上面と上記外部領域１８における第１層の盛土１０の上面とに敷設する。次に、上記施工を繰り返せば、上記地盤排水構造の施工が終了する。
【００６５】
なお、上下方向で隣り合う上記排水ブロック２０，２０の対向端部同士は上記補強材１４を介し、もしくは直接に連結紐などの連結具により互いに連結される。
【００６６】
なお、以上は図示の例によるが、前記した各部材の材質はこれに限定されるものではない。また、地盤１は、上記地山２や盛土１０の他、補強土壁などの土構造物が含まれる。また、上記擁壁１１は各壁ブロック１３を一体的にした一体構造であってもよく、矢板など金属板などで構成してもよい。
【００６７】
また、上記縦向き排水材１９は各排水ブロック２０を一体的にした一体構造であってもよく、芯板材２３の外部領域１８側の面にのみ、上記突条体２４を突設させてもよい。また、上記縦向き排水材１９は上下方向に長い帯形状など長尺材として、上記遮水領域１７の幅方向に所定ピッチで断続的に配置してもよい。また、上記縦向き排水材１９は多少傾斜していてもよい。
【００６８】
また、上記横向き排水材３０は、上記傾斜方向Ａに長い帯形状など長尺材として、上記遮水領域１７の幅方向に所定ピッチで断続的に配置してもよい。また、上記縦向き排水材１９は水平に延びるよう配置してもよい。
【００６９】
また、上記縦向き排水材１９や横向き排水材３０はロール形状に巻回して収納可能な可撓性の長尺材であってもよい。
【００７０】
上記構成によれば、地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とこの遮水領域１７に水平方向で隣接する外部領域１８との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材１９が設けられ、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗが、上記縦向き排水材１９の内部に集水されて流下し、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材１９が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００７１】
このため、次の「基本的効果」が生じる。
【００７２】
即ち、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗは、上記縦向き排水材１９により上記遮水領域１７の外部に向けて排水が促進されることから、水Ｗがこの遮水領域１７に浸透することは防止される。よって、遮水領域１７への透水がより確実に防止されることから、この透水により盛土など遮水領域１７の強度が低下して地滑りなどの崩壊が生じる、ということは防止され、また、これにより、この遮水領域１７を支持している基礎地盤の地滑りなどの崩壊も防止される。
【００７３】
そして、上記したように縦向き排水材１９は人工的な形成品であるため、次の第１〜第３の「具体的効果」が生じる。
【００７４】
即ち、第１に、縦向き排水材１９の各部における空隙率や厚さ寸法を互いに均一にすることが容易にできる。よって、この縦向き排水材１９の各部における集水や、この集水後の水Ｗの流下の性能を均一にして、この水Ｗを排水をさせることができるため、上記遮水領域１７の各部への水Ｗの浸透をより確実に防止することができる。
【００７５】
また、第２に、上記した遮水領域１７の各部への水Ｗの浸透の防止が過度にならないよう上記縦向き排水材１９自体の仕様を定めたり、複数の縦向き排水材１９を準備して、これら縦向き排水材１９を水平方向、および／もしくは縦方向で所定間隔をあけて設置したりすることも容易にできる。そして、このようにすれば、上記遮水領域１７を、できるだけ最適含水状態にして、この遮水領域１７を好ましい強度に保持させることができる。
【００７６】
更に、第３に、上記縦向き排水材１９を、予め所望の大きさや重さに形成することができるため、その取り扱いが容易にできる。よって、この縦向き排水材１９を用いた地盤排水構造の施工は、精度良く容易かつ安価にできる。
【００７７】
また、前記したように、遮水領域１７の下方に隣接して上記地盤１の一部を構成する下部領域２９と、上記遮水領域１７との間に埋め込まれる横向き排水材３０が設けられ、この横向き排水材３０の一端部側である上記外部領域１８側に上記縦向き排水材１９の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材１９から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材１９を流下した水が上記横向き排水材３０をその一端部側から他端部側に流れ、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材３０が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００７８】
このため、上記縦向き排水材１９で集水され、流下させられた水Ｗは、上記した人工的な形成品である横向き排水材３０により排水される。
【００７９】
よって、上記横向き排水材３０によれば、前記縦向き排水材１９についての「基本的効果」や「具体的効果」と同様の効果が生じる。
【００８０】
また、前記したように、遮水領域１７が盛土１０により形成され、上記下部領域２９の上面が上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう方向で下傾する傾斜面３ａとしている。
【００８１】
ここで、例えば、地山の斜面部分の一部分を切土して、これにより生じた切土により、上記斜面部分の傾斜方向で、上記一部分の下側に位置する斜面部分の他部分の上面に盛土を形成することは、一般的に多用されている便利な盛土施工方法である。
【００８２】
そして、上記構成の盛土１０が、上記のように切土により構成されたものであるとすると、この切土は別途に選定されたものではなく、現地発生土であるため、低透水性によりその上流側を止水して水位を上昇させてしまったり、高透水性によりその透水が容易になされたりする可能性がある。しかも、この盛土１０は上記のように傾斜面３ａ上に形成されていて不安定である。よって、上記切土による盛土１０では、この盛土１０が地滑りにより崩壊を生じ、延いては、この盛土１０を支持している基礎地盤である下部領域２９が地滑りにより崩壊を生じるなど、不都合を発生するおそれがある。
【００８３】
しかし、上記遮水領域１７が盛土施工方法による盛土であるとしても、前記縦向き排水材１９と横向き排水材３０とによれば、上記外部領域１８から遮水領域１７への水Ｗは、より確実に集水されて排水が促進されるため、上記不都合の発生が防止される。
【００８４】
また、前記したように、縦向き排水材１９と横向き排水材３０とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としている。
【００８５】
このため、上記縦向き排水材１９や横向き排水材３０の表面積を大きく採ることができる分、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう水Ｗの集水や排水がより効果的に行われ、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００８６】
また、前記したように、縦向き排水材１９における上記遮水領域１７側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材２７を設けている。
【００８７】
このため、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう水Ｗの遮水がより確実に行われて、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００８８】
また、前記したように、地盤排水構造の施工方法であって、上記縦向き排水材１９を上下方向で複数の排水ブロック２０により形成し、これら排水ブロック２０のうちの最下段である第１段の排水ブロック２０を縦向きに設置し、この排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック２０上に第２段の排水ブロック２０を縦向きに設置して、これら両排水ブロック２０，２０の対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、以下、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返して、盛土１０の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返している。
【００８９】
このため、上記排水ブロック２０を縦向きに設置すると共に、上記遮水領域１７と外部領域１８とにおいてそれぞれ盛土１０を設置する場合、これら両領域１７，１８で同時に盛土１０の設置作業をすることができると共に、これら両領域１７，１８に設置した両盛土１０により上記排水ブロック２０を縦向き姿勢に保持させることができる。よって、上記施工方法は合理的かつ迅速に達成される。
【００９０】
また、地盤排水構造の施工方法であって、上記遮水領域１７と下部領域２９との間に上記横向き排水材３０を埋め込んだ後、上記遮水領域１７と外部領域１８との間にその上方から上記縦向き排水材１９を埋め込むようにしてもよく、この場合、矢板を打ち込むような打ち込み機３９を用いて上記縦向き排水材１９を埋め込むようにしてもよい。
【００９１】
上記構成によれば、遮水領域１７と外部領域１８とを設置した後に上記縦向き排水材１９の設置ができるため、これら両設置作業の互いの干渉を避けて、これら作業を個別にすることができる。よって、上記施工を容易にすることができる。
【００９２】
以下の図３，４は、実施例２を示している。この実施例２は、前記実施例１と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例２】
【００９３】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例２を添付の図３，４に従って説明する。
【００９４】
図３，４において、上記縦向き排水材１９は、上記遮水領域１７の幅方向に所定ピッチで配置される多数のパイプ状排水材３３で構成されている。このパイプ状排水材３３は高密度ポリエチレン製の樹脂円形パイプで、その径方向からの外力に剛性を有しているが、全体として可撓性を有している。
【００９５】
上記パイプ状排水材３３は螺旋形状に延びる骨格線材３４と、パイプ状排水材３３の軸方向でのこれら骨格線材３４の間の隙間を閉じるようこの骨格線材３４に一体的に形成される薄肉のパイプ材３５とを備えている。このパイプ材３５には、微小径の通水孔３６が多数形成されている。
【００９６】
なお、上記横向き排水材３０も、上記パイプ状排水材３３で構成してもよい。
【００９７】
上記パイプ状排水材３３によれば、その径方向外方からの土圧に対し大きい強度を保持できて、その内孔を所定形状に保持させることが容易にできる。よって、上記パイプ状排水材３３で構成した縦向き排水材１９や横向き排水材３０は、集水や排水の性能が良好に保たれる。
【００９８】
また、上記したパイプ状排水材３３は、所望強度を保持したままで断面積を大きくすることが容易にできる。このため、このパイプ状排水材３３は、面状排水材と比較して、集水や排水のための断面積をより大きくすることができ、これにより、これら集水や排水をより促進させることができる。
【００９９】
地盤排水構造の施工方法において、上記縦向き排水材１９を構成するパイプ状排水材３３は、上記遮水領域１７と外部領域１８との間に打ち込み機３９によって次のように埋め込まれる。
【０１００】
即ち、上記打ち込み機３９は昇降可能なケーシングパイプ４０を備えている。このケーシングパイプ４０に上記パイプ状排水材３３が挿入されている。このパイプ状排水材３３の下端に先端アンカー４１が取り付けられ、この先端アンカー４１は上記ケーシングパイプ４０の下面に当接させられている。
【０１０１】
そして、上記ケーシングパイプ４０は、上記パイプ状排水材３３の下端が横向き排水材３０に達するまで、上記先端アンカー４１を押動しながら上記遮水領域１７と外部領域１８との間に打ち込まれる（図３中、パイプ状排水材３３を実線、ケーシングパイプ４０を二点鎖線図示）。次に、上記パイプ状排水材３３と先端アンカー４１とを残して、上記ケーシングパイプ４０のみが上昇させられる（図３中、一点鎖線）。これにより、上記パイプ状排水材３３の埋め込みが終了する。
【図面の簡単な説明】
【０１０２】
【図１】実施例１を示し、地盤の側面断面図である。
【図２】実施例１を示し、縦向き排水材と横向き排水材の部分斜視部分破断図である。
【図３】実施例２を示し、図１に相当する図である。
【図４】実施例２を示し、パイプ状排水材の図で、（１）は部分側面図、（２）は（１）のII−II線矢視断面図である。
【符号の説明】
【０１０３】
１ 地盤
２ 地山
３ 斜面部分
３ａ 傾斜面
４ 一部分
９ 他部分
１０ 盛土
１１ 擁壁
１３ 壁ブロック
１３ａ 通水孔
１４ 補強材
１７ 遮水領域
１８ 外部領域
１９ 縦向き排水材
２０ 排水ブロック
２３ 芯板材
２４ 突条体
２５ カバー体
２６ 排水溝
２７ 遮水材
２９ 下部領域
３０ 横向き排水材
３３ パイプ状排水材
Ａ 傾斜方向
Ｗ 水
【技術分野】
【０００１】
本発明は、盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域からの水の浸透を抑制すると共に、遮水領域外への排水を促進させるようにする地盤排水構造、およびその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
上記地盤排水構造には、従来、下記特許文献１に示されるものがある。この公報のものによれば、地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられている。そして、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水は、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されることとされている。
【０００３】
また、上記従来の技術における排水材は砕石とされ、上記遮水領域である遮水性補強土層の側面と、外部領域である地山の崖面との間に、上記砕石が充填されて排水壁が形成されている。そして、上記したように、外部領域から遮水領域に向かうよう流れる水は上記排水壁の内部に集水されて流下し、その後、排水されるようになっている。
【特許文献１】特開２００４−２３２２３２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、上記したように従来の技術における排水材は砕石であるが、このような砕石は個々の形状や大きさが不均一である。このため、この砕石により排水壁を形成する場合、この排水壁の各部における空隙率や厚さ寸法を互いに均一にすることは容易でない。この結果、上記排水壁の各部における集水や、この集水後の水の流下の性能が不均一となって、上記遮水領域の各部への水の浸透の防止が不十分になるおそれがある。
【０００５】
そこで、上記排水壁の各部の厚さ寸法を全体的に大きくして、集水や水の流下の性能を全体的に向上させることが考えられる。しかし、このようにすると、砕石が多量に必要となって、上記排水壁の形成作業が煩雑かつ高価になり、つまり、地盤排水構造の施工が煩雑かつ高価になるおそれが生じる。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域から水が浸透することをより確実に防止して、盛土などの上記遮水領域や、これに加え、この遮水領域を支持する基礎地盤に、透水による地滑りなどの崩壊がより確実に生じないようにし、かつ、このようにした場合でも、地盤排水構造の施工が容易かつ安価にできるようにすることである。
【０００７】
請求項１の発明は、地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とこの遮水領域１７に水平方向で隣接する外部領域１８との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材１９が設けられ、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗが、上記縦向き排水材１９の内部に集水されて流下し、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材１９が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする地盤排水構造である。
【０００８】
請求項２の発明は、上記遮水領域１７の下方に隣接して上記地盤１の一部を構成する下部領域２９と上記遮水領域１７との間に埋め込まれる横向き排水材３０が設けられ、この横向き排水材３０の一端部側である上記外部領域１８側に上記縦向き排水材１９の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材１９から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材１９を流下した水が上記横向き排水材３０をその一端部側から他端部側に流れ、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材３０が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする請求項１に記載の地盤排水構造である。
【０００９】
請求項３の発明は、上記遮水領域１７が盛土１０により形成され、上記下部領域２９の上面が上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう方向で下傾する傾斜面３ａであることを特徴とする請求項２に記載の地盤排水構造である。
【００１０】
請求項４の発明は、上記縦向き排水材１９と横向き排水材３０とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としたことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造である。
【００１１】
請求項５の発明は、上記縦向き排水材１９における上記遮水領域１７側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材２７を設けたことを特徴とする請求項１から４のうちいずれか１つに記載の地盤排水構造である。
【００１２】
請求項６の発明は、請求項２に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記遮水領域１７と下部領域２９との間に上記横向き排水材３０を埋め込んだ後、上記遮水領域１７と外部領域１８との間にその上方から上記縦向き排水材１９を埋め込むようにしたことを特徴とする地盤排水構造の施工方法である。
【００１３】
請求項７の発明は、請求項１に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記縦向き排水材１９を上下方向で複数の排水ブロック２０により形成し、これら排水ブロック２０のうちの最下段である第１段の排水ブロック２０を縦向きに設置し、この排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック２０上に第２段の排水ブロック２０を縦向きに設置して、これら両排水ブロック２０，２０の対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、以下、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返して、盛土１０の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返すことを特徴とする地盤排水構造の施工方法である。
【００１４】
請求項８の発明は、上記縦向き排水材１９と横向き排水材３０とのうち、少なくともいずれか一方を互いに並設されるパイプ状排水材３３で構成したことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造である。
【００１５】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【００１６】
本発明による効果は、次の如くである。
【００１７】
請求項１の発明は、地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられ、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水が、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００１８】
このため、次の「基本的効果」が生じる。
【００１９】
即ち、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水は、上記縦向き排水材により上記遮水領域の外部に向けて排水が促進されることから、水がこの遮水領域に浸透することは防止される。よって、遮水領域への透水がより確実に防止されることから、この透水により盛土など遮水領域の強度が低下して地滑りなどの崩壊が生じる、ということは防止され、また、これにより、この遮水領域を支持している基礎地盤の地滑りなどの崩壊も防止される。
【００２０】
そして、上記したように縦向き排水材は人工的な形成品であるため、次の第１〜第３の「具体的効果」が生じる。
【００２１】
即ち、第１に、縦向き排水材の各部における空隙率や厚さ寸法を互いに均一にすることが容易にできる。よって、この縦向き排水材の各部における集水や、この集水後の水の流下の性能を均一にして、この水を排水をさせることができるため、上記遮水領域の各部への水の浸透をより確実に防止することができる。
【００２２】
また、第２に、上記した遮水領域の各部への水の浸透の防止が過度にならないよう上記縦向き排水材自体の仕様を定めたり、複数の縦向き排水材を準備して、これら縦向き排水材を水平方向、および／もしくは縦方向で所定間隔をあけて設置したりすることも容易にできる。そして、このようにすれば、上記遮水領域を、できるだけ最適含水状態にして、この遮水領域を好ましい強度に保持させることができる。
【００２３】
更に、第３に、上記縦向き排水材を、予め所望の大きさや重さに形成することができるため、その取り扱いが容易にできる。よって、この縦向き排水材を用いた地盤排水構造の施工は、精度良く容易かつ安価にできる。
【００２４】
請求項２の発明は、上記遮水領域の下方に隣接して上記地盤の一部を構成する下部領域と上記遮水領域との間に埋め込まれる横向き排水材が設けられ、この横向き排水材の一端部側である上記外部領域側に上記縦向き排水材の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材を流下した水が上記横向き排水材をその一端部側から他端部側に流れ、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００２５】
このため、上記縦向き排水材で集水され、流下させられた水は、上記した人工的な形成品である横向き排水材により排水される。
【００２６】
よって、上記横向き排水材によれば、前記縦向き排水材についての「基本的効果」や「具体的効果」と同様の効果が生じる。
【００２７】
請求項３の発明は、上記遮水領域が盛土により形成され、上記下部領域の上面が上記外部領域から遮水領域に向かう方向で下傾する傾斜面としている。
【００２８】
ここで、例えば、地山の斜面部分の一部分を切土して、これにより生じた切土により、上記斜面部分の傾斜方向で、上記一部分の下側に位置する斜面部分の他部分の上面に盛土を形成することは、一般的に多用されている便利な盛土施工方法である。
【００２９】
そして、上記発明の盛土が、上記のように切土により構成されたものであるとすると、この切土は別途に選定されたものではなく、現地発生土であるため、低透水性によりその上流側を止水して水位を上昇させてしまったり、高透水性によりその透水が容易になされたりする可能性がある。しかも、この盛土は上記のように傾斜面に形成されていて不安定である。よって、上記切土による盛土では、この盛土が地滑りにより崩壊を生じ、延いては、この盛土を支持している基礎地盤である下部領域が地滑りにより崩壊を生じるなど、不都合を発生するおそれがある。
【００３０】
しかし、上記遮水領域が盛土施工方法による盛土であるとしても、前記縦向き排水材と横向き排水材とによれば、上記外部領域から遮水領域への水は、より確実に集水されて排水が促進されるため、上記不都合の発生が防止される。
【００３１】
請求項４の発明は、上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としている。
【００３２】
このため、上記縦向き排水材や横向き排水材の表面積を大きく採ることができる分、上記外部領域から遮水領域に向かう水の集水や排水がより効果的に行われ、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００３３】
請求項５の発明は、上記縦向き排水材における上記遮水領域側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材を設けている。
【００３４】
このため、上記外部領域から遮水領域に向かう水の遮水がより確実に行われて、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００３５】
請求項６の発明は、請求項２に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記遮水領域と下部領域との間に上記横向き排水材を埋め込んだ後、上記遮水領域と外部領域との間にその上方から上記縦向き排水材を埋め込むようにしている。
【００３６】
このため、上記遮水領域と外部領域とを設置した後に上記縦向き排水材の設置ができるため、これら両設置作業の互いの干渉を避けて、これら作業を個別にすることができる。よって、上記施工を容易にすることができる。
【００３７】
請求項７の発明は、請求項１に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記縦向き排水材を上下方向で複数の排水ブロックにより形成し、これら排水ブロックのうちの最下段である第１段の排水ブロックを縦向きに設置し、この排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック上に第２段の排水ブロックを縦向きに設置して、これら両排水ブロックの対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、以下、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返して、盛土の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返している。
【００３８】
このため、上記排水ブロックを縦向きに設置すると共に、上記遮水領域と外部領域とにおいてそれぞれ盛土を設置する場合、これら両領域で同時に盛土の設置作業をすることができると共に、これら両領域に設置した両盛土により上記排水ブロックを縦向き姿勢に保持させることができる。よって、上記施工方法は合理的かつ迅速に達成される。
【００３９】
請求項８の発明は、上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を互いに並設されるパイプ状排水材で構成している。
【００４０】
ここで、上記パイプ状排水材によれば、その径方向外方からの土圧に対し大きい強度を保持できて、その内孔を所定形状に保持させることが容易にできる。よって、上記パイプ状排水材で構成した縦向き排水材や横向き排水材は、集水や排水の性能が良好に保たれる。
【００４１】
また、上記したパイプ状排水材は、所望強度を保持したままで断面積を大きくすることが容易にできる。このため、このパイプ状排水材は、面状排水材と比較して、集水や排水のための断面積をより大きくすることができ、これにより、これら集水や排水をより促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００４２】
本発明の地盤排水構造に関し、盛土などの地盤において遮水をさせようとする遮水領域に対し、その外部の外部領域から水が浸透することをより確実に防止して、盛土などの上記遮水領域や、これに加え、この遮水領域を支持する基礎地盤に、透水による地滑りなどの崩壊がより確実に生じないようにし、かつ、このようにした場合でも、地盤排水構造の施工が容易かつ安価にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【００４３】
即ち、地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられる。また、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水が、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにしている。上記縦向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品とされている。
【実施例１】
【００４４】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例１を添付の図１，２に従って説明する。
【００４５】
図１，２において、符号１は地盤であって、この地盤１の主体は、自然のままの地山２の斜面部分３に相当している。この地山２の斜面部分３の一部分４が切土されて凹部５が形成されている。この凹部５の底面６はほぼ水平に延び、この凹部５の地山２側の壁面７はほぼ鉛直に延びている。
【００４６】
上記斜面部分３の一部分４における凹部５の形成により生じた切土により、上記斜面部分３の傾斜方向Ａで、上記一部分４の下側に隣接する斜面部分３の他部分９の上面に盛土１０が形成されている。上記斜面部分３の他部分９の表面は、上記斜面部分３の一部分４から他部分９に向かう方向で下傾する傾斜面３ａとされている。上記盛土１０の上面は上記凹部５の底面６とほぼ面一とされて、この底面６に連設され、また、上記盛土１０の地山２と反対側の側面はほぼ鉛直に延びている。
【００４７】
上記盛土１０の側面に沿うように、上記斜面部分３の他部分９の上記傾斜方向Ａでの下端部に擁壁１１が立設されている。この擁壁１１により、上記盛土１０の土圧が支持されて、この盛土１０が所定形状に保持されている。
【００４８】
上記擁壁１１は、その側面断面視（図１）で、上記斜面部分３の他部分９に設置された基礎１２上に、上下方向に複数積み上げられるコンクリート製壁ブロック１３を備えている。これら各壁ブロック１３は互いにほぼ同形同大とされている。また、上下方向で、これら各壁ブロック１３は互いに係脱可能に係合する構造とされ、この係合により、上下に隣接する各壁ブロック１３同士が水平方向で互いに位置ずれする、ということは防止される。上記壁ブロック１３のうち、最下段の壁ブロック１３にはその厚さ方向に貫通する通水孔１３ａが形成されている。
【００４９】
上記したように上下方向に積み上げられた各壁ブロック１３同士の継ぎ目位置から上記地山２側に向かって、ほぼ水平方向に延びると共に、上記盛土１０に埋設される補強材１４が設けられている。この構造は、いわゆる補強土壁工法といわれる工法によって形成されたもので、これら各補強材１４は、上記盛土１０を補強して、この盛土１０を所定形状に保持可能とする。上記各補強材１４の一端部は、上記各壁ブロック１３の上端に連結され、他端部側は、上記斜面部分３の他部分９の表面近傍にまで延びている。
【００５０】
上記補強材１４は多孔性の可撓性シート材で構成され、通水性を有している。具体的には、上記補強材１４は、繊維性の網状体と、この網状体の表面にコーティングされる樹脂表皮とを備えたジオグリッドやジオテキスタイルといわれるもので構成される。なお、上記補強材１４は多孔性の不織布や金属製の補強材で構成してもよい。
【００５１】
上記盛土１０における上記擁壁１１側の大部分は、地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とされる。この遮水領域１７と上記遮水領域１７に水平方向で隣接する上記盛土１０の他部分である外部領域１８との間は、上下方向に延びる面状の縦向き排水材１９（具体的には、板形状）の縦向き排水材１９が埋め込まれている。この縦向き排水材１９はほぼ鉛直に延びている。
【００５２】
上記縦向き排水材１９は予め所定形状に形成された人工的な形成品である。この縦向き排水材１９は、その側面断面視（図１）で、上下方向に複数積み上げられる排水ブロック２０を構成している排水ブロック２０を備えている。これら各排水ブロック２０は、全体として横長かつ縦向きの長方形板形状とされ、互いに同形同大とされている。これら各排水ブロック２０の高さ寸法は、上記擁壁１１の各壁ブロック１３の高さ寸法とほぼ同じとされ、各排水ブロック２０は、それぞれ上下方向で隣り合う両補強材１４，１４間に配置されている。
【００５３】
上記各排水ブロック２０は、横長かつ縦向きの長方形芯板材２３と、この芯板材２３の各面からそれぞれ一体的に突出して縦方向に延びる複数の帯板状突条体２４と、これら芯板材２３と突条体２４とを一体的に覆う袋形状の通水性カバー体２５とを備えている。
【００５４】
上記突条体２４は、上記芯板材２３の面方向かつ水平方向で等間隔に配置され、隣り合う両突条体２４，２４の間には縦方向に延びる排水溝２６が形成されている。また、上記芯板材２３には通水孔が形成されず、もしくは、通水孔がわずかに形成されるだけであって、非通水性の遮水材２７とされている。上記カバー体２５は、上記縦向き排水材１９の外部からの土砂により、上記排水溝２６が塞がれることを防止する。
【００５５】
上記芯板材２３と突条体２４とはポリプロピレン等の樹脂製であり、上記排水ブロック２０にその周りから与えられる土圧などの外力に対抗するよう十分の剛性と強度とを備えている。また、上記カバー体２５はポリプロピレン等の樹脂製であり、かつ、長繊維不織布製であり、十分な通水性を有している。
【００５６】
上記遮水領域１７および外部領域１８の下方に隣接して、上記地盤１の一部を構成する下部領域２９と上記遮水領域１７との間には、横向き排水材３０が埋め込まれている。この横向き排水材３０の一端部側である上記外部領域１８側に上記縦向き排水材１９の下部が連通し、他端部側は上記傾斜方向Ａに向かって上記縦向き排水材１９から離れる方向に延出している。
【００５７】
具体的には、上記下部領域２９は上記地山２の斜面部分３の他部分９に相当し、上記遮水領域１７および外部領域１８は上記盛土１０に相当している。また、上記横向き排水材３０は、予め所定形状に形成された人工的な形成品であって、上記縦向き排水材１９の各排水ブロック２０を互いに一体的に結合した構造とされている。上記横向き排水材３０は、その各排水溝２６が上記傾斜方向Ａに延びるよう上記下部領域２９（斜面部分３の傾斜面３ａ）と盛土１０の下面との間に埋め込まれている。
【００５８】
そして、雨天時など、上記地山２の斜面部分３の一部分４や外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を水Ｗが流れるとき、この水Ｗは、上記縦向き排水材１９のカバー体２５を透過して、上記外部領域１８側の各排水溝２６に集水され、その自重により流下させられる。また、この流下により、上記縦向き排水材１９の下端部に達した水Ｗは、上記横向き排水材３０のカバー体２５を透過して、上面側の各排水溝２６に集水され、その自重により傾斜方向Ａの下方に流下させられる。また、この流下により、上記横向き排水材３０の下端部に達した水Ｗは、上記通水孔１３ａを通り擁壁１１の外部に排水される。
【００５９】
また、上記外部領域１８から遮水領域１７に水Ｗが浸透しようとすることは、上記縦向き排水材１９の芯板材２３である遮水材２７により、より確実に防止される。更に、上記遮水領域１７に対し、その上面などから水Ｗの透水があった場合、この水Ｗは、上記横向き排水材３０のカバー体２５を透過して、上記遮水領域１７側の各排水溝２６に集水され、その自重により流下させられる。また、この流下により、上記縦向き排水材１９の下端部に達した水Ｗは、前記と同様に、横向き排水材３０により集水されると共に傾斜方向Ａの下方に流下させられて排水される。
【００６０】
よって、上記遮水領域１７への透水がより確実に防止される。このため、この透水により遮水領域１７の強度が低下して地滑りなどの崩壊が生じる、ということは防止される。なお、上記遮水領域１７は、適度に湿った状態、つまり、最適含水比状態で好ましい強度が得られるため、できるだけ、この状態となるよう上記縦向き排水材１９と横向き排水材３０の各仕様が定められる。
【００６１】
図１において、上記下地盤排水構造の施工方法につき説明する。
【００６２】
まず、上記下部領域２９の上面に上記横向き排水材３０を敷設し、また、上記基礎１２上に擁壁１１の第１段（最下段）となる壁ブロック１３を積み上げる。次に、この第１段の壁ブロック１３の上端にほぼ同じ高さとなるまで、上記横向き排水材３０の上面に第１層となる盛土１０を設置し、この際、ローラ等で締め固めをする。次に、上記第１段の壁ブロック１３の上端に上記補強材１４の一端部を連結し、この補強材１４の他端部側を上記第１層の盛土１０の上面に敷設する。
【００６３】
次に、上記施工を繰り返し、互いに、ほぼ同じ高さとされる第ｎ段の壁ブロック１３の上端と第ｎ層の盛土１０の上端とが、上記外部領域１８の下端に達すれば、次に、上記第ｎ段の壁ブロック１３に第ｎ＋１段の壁ブロック１３を積み上げると共に、上記排水ブロック２０のうちの最下段である第１段の排水ブロック２０を上記遮水領域１７と外部領域１８との間で下部領域２９上に縦向きに設置する。この際、上記第ｎ＋１段の壁ブロック１３と第１段の排水ブロック２０との各上端は互いにほぼ同じ高さとされる。
【００６４】
次に、上記第ｎ＋１段の壁ブロック１３と第１段の排水ブロック２０との各上端とほぼ同じ高さとなるまで、上記第ｎ層の盛土１０上と上記外部領域１８側の横向き排水材３０の上面に盛土１０を設置し、この際、ローラ等で締め固めをする。次に、上記第ｎ＋１段の壁ブロック１３の上端に上記補強材１４の一端部を連結し、この補強材１４の他端部を上記遮水領域１７における第ｎ＋１層の盛土１０の上面と上記外部領域１８における第１層の盛土１０の上面とに敷設する。次に、上記施工を繰り返せば、上記地盤排水構造の施工が終了する。
【００６５】
なお、上下方向で隣り合う上記排水ブロック２０，２０の対向端部同士は上記補強材１４を介し、もしくは直接に連結紐などの連結具により互いに連結される。
【００６６】
なお、以上は図示の例によるが、前記した各部材の材質はこれに限定されるものではない。また、地盤１は、上記地山２や盛土１０の他、補強土壁などの土構造物が含まれる。また、上記擁壁１１は各壁ブロック１３を一体的にした一体構造であってもよく、矢板など金属板などで構成してもよい。
【００６７】
また、上記縦向き排水材１９は各排水ブロック２０を一体的にした一体構造であってもよく、芯板材２３の外部領域１８側の面にのみ、上記突条体２４を突設させてもよい。また、上記縦向き排水材１９は上下方向に長い帯形状など長尺材として、上記遮水領域１７の幅方向に所定ピッチで断続的に配置してもよい。また、上記縦向き排水材１９は多少傾斜していてもよい。
【００６８】
また、上記横向き排水材３０は、上記傾斜方向Ａに長い帯形状など長尺材として、上記遮水領域１７の幅方向に所定ピッチで断続的に配置してもよい。また、上記縦向き排水材１９は水平に延びるよう配置してもよい。
【００６９】
また、上記縦向き排水材１９や横向き排水材３０はロール形状に巻回して収納可能な可撓性の長尺材であってもよい。
【００７０】
上記構成によれば、地盤１において遮水をさせようとする遮水領域１７とこの遮水領域１７に水平方向で隣接する外部領域１８との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材１９が設けられ、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗが、上記縦向き排水材１９の内部に集水されて流下し、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材１９が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００７１】
このため、次の「基本的効果」が生じる。
【００７２】
即ち、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かうよう地中を流れる水Ｗは、上記縦向き排水材１９により上記遮水領域１７の外部に向けて排水が促進されることから、水Ｗがこの遮水領域１７に浸透することは防止される。よって、遮水領域１７への透水がより確実に防止されることから、この透水により盛土など遮水領域１７の強度が低下して地滑りなどの崩壊が生じる、ということは防止され、また、これにより、この遮水領域１７を支持している基礎地盤の地滑りなどの崩壊も防止される。
【００７３】
そして、上記したように縦向き排水材１９は人工的な形成品であるため、次の第１〜第３の「具体的効果」が生じる。
【００７４】
即ち、第１に、縦向き排水材１９の各部における空隙率や厚さ寸法を互いに均一にすることが容易にできる。よって、この縦向き排水材１９の各部における集水や、この集水後の水Ｗの流下の性能を均一にして、この水Ｗを排水をさせることができるため、上記遮水領域１７の各部への水Ｗの浸透をより確実に防止することができる。
【００７５】
また、第２に、上記した遮水領域１７の各部への水Ｗの浸透の防止が過度にならないよう上記縦向き排水材１９自体の仕様を定めたり、複数の縦向き排水材１９を準備して、これら縦向き排水材１９を水平方向、および／もしくは縦方向で所定間隔をあけて設置したりすることも容易にできる。そして、このようにすれば、上記遮水領域１７を、できるだけ最適含水状態にして、この遮水領域１７を好ましい強度に保持させることができる。
【００７６】
更に、第３に、上記縦向き排水材１９を、予め所望の大きさや重さに形成することができるため、その取り扱いが容易にできる。よって、この縦向き排水材１９を用いた地盤排水構造の施工は、精度良く容易かつ安価にできる。
【００７７】
また、前記したように、遮水領域１７の下方に隣接して上記地盤１の一部を構成する下部領域２９と、上記遮水領域１７との間に埋め込まれる横向き排水材３０が設けられ、この横向き排水材３０の一端部側である上記外部領域１８側に上記縦向き排水材１９の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材１９から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材１９を流下した水が上記横向き排水材３０をその一端部側から他端部側に流れ、この水Ｗが上記遮水領域１７の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材３０が、予め所定形状に形成された形成品としている。
【００７８】
このため、上記縦向き排水材１９で集水され、流下させられた水Ｗは、上記した人工的な形成品である横向き排水材３０により排水される。
【００７９】
よって、上記横向き排水材３０によれば、前記縦向き排水材１９についての「基本的効果」や「具体的効果」と同様の効果が生じる。
【００８０】
また、前記したように、遮水領域１７が盛土１０により形成され、上記下部領域２９の上面が上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう方向で下傾する傾斜面３ａとしている。
【００８１】
ここで、例えば、地山の斜面部分の一部分を切土して、これにより生じた切土により、上記斜面部分の傾斜方向で、上記一部分の下側に位置する斜面部分の他部分の上面に盛土を形成することは、一般的に多用されている便利な盛土施工方法である。
【００８２】
そして、上記構成の盛土１０が、上記のように切土により構成されたものであるとすると、この切土は別途に選定されたものではなく、現地発生土であるため、低透水性によりその上流側を止水して水位を上昇させてしまったり、高透水性によりその透水が容易になされたりする可能性がある。しかも、この盛土１０は上記のように傾斜面３ａ上に形成されていて不安定である。よって、上記切土による盛土１０では、この盛土１０が地滑りにより崩壊を生じ、延いては、この盛土１０を支持している基礎地盤である下部領域２９が地滑りにより崩壊を生じるなど、不都合を発生するおそれがある。
【００８３】
しかし、上記遮水領域１７が盛土施工方法による盛土であるとしても、前記縦向き排水材１９と横向き排水材３０とによれば、上記外部領域１８から遮水領域１７への水Ｗは、より確実に集水されて排水が促進されるため、上記不都合の発生が防止される。
【００８４】
また、前記したように、縦向き排水材１９と横向き排水材３０とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としている。
【００８５】
このため、上記縦向き排水材１９や横向き排水材３０の表面積を大きく採ることができる分、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう水Ｗの集水や排水がより効果的に行われ、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００８６】
また、前記したように、縦向き排水材１９における上記遮水領域１７側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材２７を設けている。
【００８７】
このため、上記外部領域１８から遮水領域１７に向かう水Ｗの遮水がより確実に行われて、前記した「基本的効果」と「具体的効果」とが助長される。
【００８８】
また、前記したように、地盤排水構造の施工方法であって、上記縦向き排水材１９を上下方向で複数の排水ブロック２０により形成し、これら排水ブロック２０のうちの最下段である第１段の排水ブロック２０を縦向きに設置し、この排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック２０上に第２段の排水ブロック２０を縦向きに設置して、これら両排水ブロック２０，２０の対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロック２０の上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域１７と外部領域１８とにそれぞれ盛土１０を設置し、以下、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返して、盛土１０の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロック２０と盛土１０との設置を繰り返している。
【００８９】
このため、上記排水ブロック２０を縦向きに設置すると共に、上記遮水領域１７と外部領域１８とにおいてそれぞれ盛土１０を設置する場合、これら両領域１７，１８で同時に盛土１０の設置作業をすることができると共に、これら両領域１７，１８に設置した両盛土１０により上記排水ブロック２０を縦向き姿勢に保持させることができる。よって、上記施工方法は合理的かつ迅速に達成される。
【００９０】
また、地盤排水構造の施工方法であって、上記遮水領域１７と下部領域２９との間に上記横向き排水材３０を埋め込んだ後、上記遮水領域１７と外部領域１８との間にその上方から上記縦向き排水材１９を埋め込むようにしてもよく、この場合、矢板を打ち込むような打ち込み機３９を用いて上記縦向き排水材１９を埋め込むようにしてもよい。
【００９１】
上記構成によれば、遮水領域１７と外部領域１８とを設置した後に上記縦向き排水材１９の設置ができるため、これら両設置作業の互いの干渉を避けて、これら作業を個別にすることができる。よって、上記施工を容易にすることができる。
【００９２】
以下の図３，４は、実施例２を示している。この実施例２は、前記実施例１と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例２】
【００９３】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例２を添付の図３，４に従って説明する。
【００９４】
図３，４において、上記縦向き排水材１９は、上記遮水領域１７の幅方向に所定ピッチで配置される多数のパイプ状排水材３３で構成されている。このパイプ状排水材３３は高密度ポリエチレン製の樹脂円形パイプで、その径方向からの外力に剛性を有しているが、全体として可撓性を有している。
【００９５】
上記パイプ状排水材３３は螺旋形状に延びる骨格線材３４と、パイプ状排水材３３の軸方向でのこれら骨格線材３４の間の隙間を閉じるようこの骨格線材３４に一体的に形成される薄肉のパイプ材３５とを備えている。このパイプ材３５には、微小径の通水孔３６が多数形成されている。
【００９６】
なお、上記横向き排水材３０も、上記パイプ状排水材３３で構成してもよい。
【００９７】
上記パイプ状排水材３３によれば、その径方向外方からの土圧に対し大きい強度を保持できて、その内孔を所定形状に保持させることが容易にできる。よって、上記パイプ状排水材３３で構成した縦向き排水材１９や横向き排水材３０は、集水や排水の性能が良好に保たれる。
【００９８】
また、上記したパイプ状排水材３３は、所望強度を保持したままで断面積を大きくすることが容易にできる。このため、このパイプ状排水材３３は、面状排水材と比較して、集水や排水のための断面積をより大きくすることができ、これにより、これら集水や排水をより促進させることができる。
【００９９】
地盤排水構造の施工方法において、上記縦向き排水材１９を構成するパイプ状排水材３３は、上記遮水領域１７と外部領域１８との間に打ち込み機３９によって次のように埋め込まれる。
【０１００】
即ち、上記打ち込み機３９は昇降可能なケーシングパイプ４０を備えている。このケーシングパイプ４０に上記パイプ状排水材３３が挿入されている。このパイプ状排水材３３の下端に先端アンカー４１が取り付けられ、この先端アンカー４１は上記ケーシングパイプ４０の下面に当接させられている。
【０１０１】
そして、上記ケーシングパイプ４０は、上記パイプ状排水材３３の下端が横向き排水材３０に達するまで、上記先端アンカー４１を押動しながら上記遮水領域１７と外部領域１８との間に打ち込まれる（図３中、パイプ状排水材３３を実線、ケーシングパイプ４０を二点鎖線図示）。次に、上記パイプ状排水材３３と先端アンカー４１とを残して、上記ケーシングパイプ４０のみが上昇させられる（図３中、一点鎖線）。これにより、上記パイプ状排水材３３の埋め込みが終了する。
【図面の簡単な説明】
【０１０２】
【図１】実施例１を示し、地盤の側面断面図である。
【図２】実施例１を示し、縦向き排水材と横向き排水材の部分斜視部分破断図である。
【図３】実施例２を示し、図１に相当する図である。
【図４】実施例２を示し、パイプ状排水材の図で、（１）は部分側面図、（２）は（１）のII−II線矢視断面図である。
【符号の説明】
【０１０３】
１ 地盤
２ 地山
３ 斜面部分
３ａ 傾斜面
４ 一部分
９ 他部分
１０ 盛土
１１ 擁壁
１３ 壁ブロック
１３ａ 通水孔
１４ 補強材
１７ 遮水領域
１８ 外部領域
１９ 縦向き排水材
２０ 排水ブロック
２３ 芯板材
２４ 突条体
２５ カバー体
２６ 排水溝
２７ 遮水材
２９ 下部領域
３０ 横向き排水材
３３ パイプ状排水材
Ａ 傾斜方向
Ｗ 水
【特許請求の範囲】
【請求項１】
地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられ、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水が、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする地盤排水構造。
【請求項２】
上記遮水領域の下方に隣接して上記地盤の一部を構成する下部領域と上記遮水領域との間に埋め込まれる横向き排水材が設けられ、この横向き排水材の一端部側である上記外部領域側に上記縦向き排水材の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材を流下した水が上記横向き排水材をその一端部側から他端部側に流れ、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする請求項１に記載の地盤排水構造。
【請求項３】
上記遮水領域が盛土により形成され、上記下部領域の上面が上記外部領域から遮水領域に向かう方向で下傾する傾斜面であることを特徴とする請求項２に記載の地盤排水構造。
【請求項４】
上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としたことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造。
【請求項５】
上記縦向き排水材における上記遮水領域側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材を設けたことを特徴とする請求項１から４のうちいずれか１つに記載の地盤排水構造。
【請求項６】
請求項２に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記遮水領域と下部領域との間に上記横向き排水材を埋め込んだ後、上記遮水領域と外部領域との間にその上方から上記縦向き排水材を埋め込むようにしたことを特徴とする地盤排水構造の施工方法。
【請求項７】
請求項１に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記縦向き排水材を上下方向で複数の排水ブロックにより形成し、これら排水ブロックのうちの最下段である第１段の排水ブロックを縦向きに設置し、この排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック上に第２段の排水ブロックを縦向きに設置して、これら両排水ブロックの対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、以下、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返して、盛土の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返すことを特徴とする地盤排水構造の施工方法。
【請求項８】
上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を互いに並設されるパイプ状排水材で構成したことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造。
【請求項１】
地盤において遮水をさせようとする遮水領域とこの遮水領域に水平方向で隣接する外部領域との間に埋め込まれ、上下方向に延びる縦向き排水材が設けられ、上記外部領域から遮水領域に向かうよう地中を流れる水が、上記縦向き排水材の内部に集水されて流下し、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにした地盤排水構造において、
上記縦向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする地盤排水構造。
【請求項２】
上記遮水領域の下方に隣接して上記地盤の一部を構成する下部領域と上記遮水領域との間に埋め込まれる横向き排水材が設けられ、この横向き排水材の一端部側である上記外部領域側に上記縦向き排水材の下部が連通する一方、他端部側が水平方向もしくは斜め下方に向かって、上記縦向き排水材から離れる方向に延出し、上記縦向き排水材を流下した水が上記横向き排水材をその一端部側から他端部側に流れ、この水が上記遮水領域の外部に向けて排水されるようにし、上記横向き排水材が、予め所定形状に形成された形成品であることを特徴とする請求項１に記載の地盤排水構造。
【請求項３】
上記遮水領域が盛土により形成され、上記下部領域の上面が上記外部領域から遮水領域に向かう方向で下傾する傾斜面であることを特徴とする請求項２に記載の地盤排水構造。
【請求項４】
上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を面状の排水材としたことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造。
【請求項５】
上記縦向き排水材における上記遮水領域側の面に対面するよう埋め込まれる遮水材を設けたことを特徴とする請求項１から４のうちいずれか１つに記載の地盤排水構造。
【請求項６】
請求項２に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記遮水領域と下部領域との間に上記横向き排水材を埋め込んだ後、上記遮水領域と外部領域との間にその上方から上記縦向き排水材を埋め込むようにしたことを特徴とする地盤排水構造の施工方法。
【請求項７】
請求項１に記載の地盤排水構造の施工方法であって、
上記縦向き排水材を上下方向で複数の排水ブロックにより形成し、これら排水ブロックのうちの最下段である第１段の排水ブロックを縦向きに設置し、この排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、次に、上記第１段の排水ブロック上に第２段の排水ブロックを縦向きに設置して、これら両排水ブロックの対向縁部同士を互いに連結し、上記第２段の排水ブロックの上端とほぼ同じ高さとなるよう上記遮水領域と外部領域とにそれぞれ盛土を設置し、以下、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返して、盛土の上端が所望高さになるまで、上記排水ブロックと盛土との設置を繰り返すことを特徴とする地盤排水構造の施工方法。
【請求項８】
上記縦向き排水材と横向き排水材とのうち、少なくともいずれか一方を互いに並設されるパイプ状排水材で構成したことを特徴とする請求項２、もしくは３に記載の地盤排水構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００９−１６１９８５（Ｐ２００９−１６１９８５Ａ）
【公開日】平成２１年７月２３日（２００９．７．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−６２０（Ｐ２００８−６２０）
【出願日】平成２０年１月７日（２００８．１．７）
【出願人】（５０４１５０４５０）国立大学法人神戸大学 (421)
【出願人】（０００２０４１９２）太陽工業株式会社 (174)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月２３日（２００９．７．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１月７日（２００８．１．７）
【出願人】（５０４１５０４５０）国立大学法人神戸大学 (421)
【出願人】（０００２０４１９２）太陽工業株式会社 (174)
【Ｆターム（参考）】
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