説明

地盤改良装置および地盤改良方法

【課題】作業性に優れた方法により高品質な地盤改良を行うことを可能とした、地盤改良装置とこの地盤改良装置を利用した地盤改良方法を提案する。
【解決手段】駆動モータと、駆動モータの動力により回転する掘削軸2と、掘削軸2の下端に配置されて該掘削軸2の回転に伴い回転する掘削刃部10と、この掘削刃部10の上方に配置されて掘削軸2の回転に伴い回転する撹拌部20とを備え、掘削刃部10に掘削材吐出口14が形成されているとともに、撹拌部20の上方に固化材吐出口31が形成されている地盤改良装置1と地盤改良方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削溝あるいは掘削孔を掘削するとともに、その掘削溝内あるいは掘削孔内において土砂と固化材との撹拌混合を行う地盤改良装置および地盤改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掘削溝を掘削するとともに、掘削溝内で土砂と固化材を撹拌して混合する地盤改良装置としては、掘削刃と撹拌翼を周囲に備えた複数の回転軸(掘削軸)と、各回転軸を回転駆動させる複数の原動機を有する駆動部とを備えた多軸掘削機本体を、ベースマシンのリーダマストに昇降自在に支持させる地盤改良装置がある。この地盤改良装置では、回転軸を回転させながら多軸掘削機本体を掘削溝内に下降させることにより、掘削溝内で掘削および撹拌を行うとともに、回転軸に設けた貫通孔から掘削溝内に固化材を注入する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような地盤改良装置を利用した地盤改良は、掘削材と固化材の地盤への注入を、掘削時および引揚げ時に地盤改良装置の最下部の掘削ビット部から行っているのが一般的である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−204674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の地盤改良装置は、撹拌翼の下方に設けた掘削ビットから固化材の注入を行うため、地盤改良装置の引揚げ時に、注入された固化材と土砂との撹拌を行うことができなかった。そのため、引揚げ時には、地盤改良装置を複数回上下動させることにより土砂と固化材との撹拌を行う場合があり、その作業に手間を要していた。
【0006】
また、改良範囲が深い場合や何らかの原因により掘削作業に時間がかかる場合には、掘削時に注入され土砂と撹拌された固化材の硬化が進行している場合があるが、かかる場合には、地盤改良装置を引揚げる際に、改良体を再撹拌してしまうこととなり、改良体の品質を低下させる原因となっていた。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、作業性に優れた方法により、高品質な地盤改良を行うことを可能とした地盤改良装置および地盤改良方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明の地盤改良装置は、駆動モータと、前記駆動モータの動力により回転する掘削軸と、前記掘削軸の下端に配置されて該掘削軸の回転に伴い回転する掘削刃部と、前記掘削軸の前記掘削刃部の上方に配置されて前記掘削軸の回転に伴い回転する撹拌部と、を備える地盤改良装置であって、前記掘削刃部に掘削材吐出口が形成されているとともに、前記撹拌部の上方に固化材吐出口が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の地盤改良装置は、所定の間隔により並設された複数本の掘削軸と、前記各掘削軸に回転力を付与する駆動モータと、前記各掘削軸の下端に配置されて該掘削軸の回転に伴い回転する掘削刃部と、前記各掘削軸の前記掘削刃部の上方に配置されて前記掘削軸の回転に伴い回転する撹拌部と、を備える地盤改良装置であって、前記掘削刃部のうち少なくとも1つに掘削材吐出口が形成されているとともに、前記撹拌部の上方に固化材吐出口が少なくとも1箇所形成されていることを特徴としている。
【0010】
かかる地盤改良装置によれば、掘削軸の先端に配置された掘削刃部に形成された掘削材吐出口から掘削材を地盤に吐出するため、効率的な掘削を行うことができる。固化材の注入は、撹拌部の上方に配置された固化材吐出口から行うため、引揚げ時の注入でも、効果的に固化材の撹拌を行うことができる。
【0011】
また、前記複数の掘削軸を備えた地盤改良装置においては、前記複数本の掘削軸に配置された複数の前記掘削刃部を、上下方向で互い違いに配置するとともに、前記掘削材吐出口を、最下段に配置された前記掘削刃部に形成するとよい。
【0012】
かかる地盤改良装置によれば、地盤改良装置の先端(最下段)から掘削材が地盤に吐出するため、地盤の強度を効率よく低下させることができる。
【0013】
また、本発明の地盤改良方法は、先端部に掘削刃部を備えた掘削軸を回転させつつ下降させることにより地盤を掘削する掘削工程と、前記掘削軸を回転させつつ上昇させることにより土砂を撹拌する改良工程と、を備える地盤改良方法であって、前記掘削工程では、前記掘削刃部に形成された掘削材吐出口から掘削材のみを吐出し、前記改良工程では、前記掘削刃部の上方に形成された固化材吐出口から固化材のみを吐出することを特徴としている。
【0014】
かかる地盤改良方法によれば、掘削工程において固化材を投入しないので、硬化が進行した改良体を改良工程で再度乱してしまうようなことがなく、固化材による強度発現の効果を、十分に発揮させることが可能となる。
また、固化材は、撹拌部の上方に配置された固化材吐出口から注入され、固化材吐出口の下方の撹拌部により撹拌されるので、掘削軸を上下動させる必要がなく、作業性に優れている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る地盤改良装置と地盤改良方法によれば、作業性に優れた方法により、高品質な地盤改良を行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0017】
本実施形態にかかる地盤改良装置1は、図1に示すように、所定の間隔により並設された3本の掘削軸2,2,2と、各掘削軸2に回転力を付与する図示しない駆動モータと、を備えて構成されている。
各掘削軸2には、下端に掘削軸2の回転に伴い回転する掘削刃部10が配置されているとともに、掘削刃部10の上方に掘削軸2の回転に伴い回転する撹拌部20を備えている。
【0018】
本実施形態では、掘削軸2を3本備えた3軸式の地盤改良装置1を使用する場合について説明するが、地盤改良装置1が、単軸でもよいことはいうまでもない。また、掘削軸2を2本または4本以上備えていてもよく、地盤改良装置1の構成は3軸式に限定されるものではない。
【0019】
3本の掘削軸2,2,2は、並設された状態で上端部が図示しないベースマシンにより自転可能に支持されている。また、掘削軸2,2,2は、上部と下部との2箇所において、連結部材40,40を介して、連結されている。
【0020】
各掘削刃部10は、隣接する他の掘削刃部10と上下方向で互い違いになるように配置されている。本実施形態では、両端(左右)の掘削軸2a,2cの掘削刃部10,10が、中央の掘削軸2bの掘削刃部10よりも下方向に突出するように配置されている。
【0021】
掘削刃部10は、掘削翼11と、この掘削翼11の下端に並設された複数のカッタビット12,12,…と、を備えて構成されている。
【0022】
掘削翼11は、地盤Gの掘削に伴い発生する掘削土砂を上方に押し上げるために螺旋状に形成されている。
また、カッタビット12,12,…は、掘削翼11の下端に、着脱可能に並設されており、磨耗等により地盤Gの切削の機能が低下した場合は、適宜交換する。カッタビット12の個数や配置や間隔等は限定されるものではなく、掘削翼11の形状や、掘削の対象となる地盤Gの土質や強度等に応じて適宜設定すればよい。
【0023】
本実施形態では、掘削刃部10として、アタッチメントを掘削軸2の下端に固定することにより構成している。このアタッチメントは、略円柱状に形成された刃部本体13の外周囲に、螺旋状に加工された鋼板である掘削翼11を一体に固定することにより形成されている。
なお、掘削刃部10をアタッチメントせずに、掘削軸2の下端部に直接形成してもよい。また、掘削翼11の形状寸法は限定されるものではなく、計画された掘削溝Mの形状等に応じて適宜設定するものとする。
【0024】
両端(左右)に配置された掘削軸2a,2cの掘削刃部10,10の下端中心部には、掘削液(掘削材)Sを地盤Gに吐出するための掘削材吐出口14が形成されている。
【0025】
掘削材吐出口14は、地上部に配置されたポンプ等を備える輸送装置と、掘削軸2の内部を挿通する輸送管路を介して連通されている。そして、輸送装置から圧送(輸送)された掘削材Sを地盤Gに向けて吐出(噴射)する。なお、掘削材Sの吐出時の圧力は、地盤G内への注入(噴射)が可能な程度の圧力に、土質状態等に応じて適宜設定する。
【0026】
左右(両端)に配置された掘削軸2a,2cの撹拌部20は、図1に示すように、移動翼21と撹拌翼22とを備えて構成されている。
【0027】
左右の掘削軸2a,2cには、図1に示すように、掘削刃部10の直上に配置されて、掘削刃部10により切削された掘削土砂を上方に押し上げる移動翼21と、この移動翼21の上方に配置されて、上方に押し上げられた掘削土砂の撹拌を行う撹拌翼22とが形成されている。また、撹拌翼22の上方には、さらに移動翼21が配置されており、掘削溝M内において、掘削土砂の撹拌が効率的に行われるように構成されている。
【0028】
移動翼21は、掘削翼11と同様に、掘削軸2の周囲に螺旋状に巻きつけられた板部材である。本実施形態に係る移動翼21は、掘削軸2に溶接等により一体に固定されているが、移動翼21の固定方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。移動翼21は、その外径(幅)寸法が、掘削翼11の外径(幅)寸法と同等以下に形成されており、掘削刃部10により切削された掘削土砂全体を撹拌することが可能に構成されている。
移動翼21により、切削された掘削溝M内の掘削土砂は、上方に押し上げられた後、重力で落下することで、上下方向で撹拌される。
【0029】
撹拌翼22は、掘削軸2の外周囲に外方向に突設された一対の板材であって、掘削軸2を挟んで対向するように配置されている。撹拌翼22は、各板材が、掘削軸2の回転方向に対して傾斜するように、配置されている。
各撹拌翼22は、掘削翼10により切削された掘削溝M内の全体を撹拌することが可能となるように、隣接する他の掘削軸2bと接触しない程度で、一対の板材の全幅が掘削翼11の外径(幅)寸法の同程度となるように構成されている。また、本実施形態では、掘削軸2a,2cに、撹拌翼22をそれぞれ2段ずつ形成している。なお、撹拌翼22の形状寸法や配置数は限定されるものではない。
【0030】
中央に配置された掘削軸2bには、両端の掘削軸2a,2cの撹拌翼22,22に対応する箇所に撹拌翼23が形成されている。
【0031】
撹拌翼23は、両端の掘削軸2a,2cに形成された撹拌翼22と同様に、掘削軸2の外周囲に外方向に突設された一対の板材であって、掘削軸2を挟んで対向するように配置されている。撹拌翼23は、各板材が、掘削軸2の回転方向に対して傾斜するように、配置されている。
各撹拌翼23は、掘削翼10により切削された掘削溝M内の全体を撹拌することが可能となるように、隣接する他の掘削軸2a,2cと接触しない程度で、一対の板材の全幅が掘削翼11の外径(幅)寸法の同程度となるように構成されている。また、本実施形態では、撹拌翼23を、3段形成している。なお、撹拌翼23の形状寸法や配置数は限定されるものではない。
【0032】
また、中央の掘削軸2bに形成された撹拌翼23と左右(両端)の掘削軸2a,2cに形成された撹拌翼22,22とは、互いに接触することがないように、高さ方向でずらした位置に形成されている。
この撹拌翼22,23が回転することにより、移動翼21により上下動している掘削土砂が水平方向で撹拌される。
【0033】
図1に示すように、撹拌部20の上方には、固化材注入装置30が配置されている。
固化材注入装置30は、図2に示すように、各掘削軸2の外周面に、外方向に突設された板材である複数の分散板32,33,34と、この分散板32,33,34の直上に配設された固化材吐出口31と、を備えている。
【0034】
固化材吐出口31は、3本の掘削軸2a,2b,2cを連結する連結部材40に固定されており、掘削軸2同士の間に、1本ずつ、下向きに形成されている。本実施形態では、各固化材吐出口31が、中央の掘削軸2b向きに形成されている。
本実施形態に係る固化材吐出口31は、地上部から連通された図示しない固化材輸送管の先端部である。なお、固化材吐出口31は、固化材輸送管を掘削軸2の内部を挿通させて、掘削軸2に直接形成してもよい。
【0035】
分散板32,33,34は、図2および図3に示すように隣接する他の掘削軸2に接触しない長さに形成されており、また、各掘削軸2に形成された分散板32,33,34同士が、掘削軸2の回転時に、互いに接触することがないように配置されている。
【0036】
中央の掘削軸2bには、図2および図3に示すように、矩形状の鋼板からなる分散板32が上下に2段配設されており、上段には4枚、下段には3枚それぞれ配置されている。
【0037】
両端(左右)の掘削軸2a,2cは、図2および図3(b)に示すように、それぞれ1枚の分散板32と、4枚の有孔板(分散板)33と2枚の小型分散板34とを備えている。
【0038】
両端の掘削軸2a,2cにそれぞれ形成された分散板32と小型分散板34,34は、図3(b)に示すように、平面視が略Y字状に配置されている。
掘削軸2a,2cの分散板32は、図2に示すように、中央の掘削軸2bの上下段の分散板32,32,…の間を回転時に通過可能な高さに配置されている。
また、小型分散板34は、分散板32よりも小さめに形成されていることで、中央の掘削軸2bに形成された分散板32と干渉しないように構成されている。
【0039】
また、貫通孔33aが形成された有孔板33は、掘削軸2a(2c)を挟んで対向する位置に配設された1対の有孔板33が上下に2段配設されることで、各掘削軸2a(2c)に4枚ずつ配置されている。
なお、貫通孔33aは必要に応じて形成されていればよく、必ずしも形成されていなくてもよい。また、貫通孔33a(有孔板33)の数や形状等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、固化材注入装置30の構成は、前記の構成に限定されるものではなく適宜設定することが可能である。
【0040】
次に、本実施形態に係る地盤改良方法について説明する。
本実施形態に係る地盤改良方法は、所定の改良深度まで掘削材のみを吐出しつつ地盤の掘削を行う掘削工程と、撹拌部20の上方から固化材を吐出しつつ掘削軸2を回転させながら引揚げることで掘削土砂と固化材との撹拌混合を行う改良工程とからなる。
【0041】
掘削工程は、掘削軸2の先端に形成された掘削材吐出口14から掘削材Sを地盤Gに吐出しつつ、この掘削軸2を回転させながら下降させることで、地盤Gに所定の深度の掘削溝Mを形成する工程である(図1参照)。
ここで、掘削材Sとして使用される材料は限定されるものではないが、本実施形態ではベントナイト液を使用するものとする。
【0042】
地盤Gの掘削は、掘削材Sが吐出されることで軟化された地盤Gを、回転しながら下降する掘削軸2のカッタビット12により切り崩すことにより行われる。掘削溝M内では、地山Gが切り崩されることにより乱された状態となるが、掘削材Sとして吐出されたベントナイト液の液圧により、掘削溝Mの溝壁面が保持されている。
【0043】
改良工程は、掘削工程により所定の深度までの掘削溝Mの掘削が終了した後、掘削軸2の引揚げに伴い、撹拌部20の上方に配設された固化材注入装置30の固化材吐出口31から固化材を掘削土砂に注入しながら、掘削翼11、移動翼21、撹拌翼22および分散板32,33,34により掘削土砂と固化材とを撹拌混合することで、改良体を形成する工程である。
【0044】
固化材吐出口31から中央の掘削軸2b方向に吐出された固化材は、掘削溝M内において、固化材注入装置30により平面的に分散された後、下方へと落下する。つまり、中央の掘削軸2bに形成された分散板32と、左右の掘削軸2a,2cに形成された分散板32,33,34が回転することにより、掘削溝Mの面方向で固化材が分散される。
【0045】
固化材注入装置30により面方向に分散された固化材は、下方へと沈下(落下)するとともに、掘削翼11、移動翼21、撹拌翼22および分散板32,33,34により掘削土砂と混合撹拌されて、掘削溝Mにおいて均等に配置される。
【0046】
固化材として使用される材料は限定されるものではなく、改良の対象となる地盤状況や必要とされる改良体の強度等に応じて適宜公知の材料の中から適宜選定して使用すればよいが、本実施形態では、セメント系固化材を使用するものとする。
【0047】
また、固化材の注入量や配合は、掘削工程において掘削とともに把握された地山状況に応じて、土質毎に設定することで、所望の強度からなる改良体が形成される。
【0048】
以上、本実施形態の地盤改良装置1によれば、固化材吐出口31が、撹拌部20の上方に配置されているため、改良工程において、掘削軸2を上下動させる手間を要することなく、掘削土砂と固化材との混合撹拌を行うことが可能となる。そのため、作業の手間を省略することが可能となった。
【0049】
また、掘削材と固化材をそれぞれ掘削材吐出口14と固化材吐出口31から別々に注入するため、掘削材や固化材等の注入材料の粘性を低く抑えることが可能となり、作業性に優れている。また、注入材料の粘性が低く抑えられることで、必要とされる注入装置(ポンプ等)の能力を低く設定することが可能となり、注入装置の小型化が可能となる。そのため、経済性にも優れているとともに、地上部において必要とされる作業ヤードの省スペース化も可能となる。
【0050】
掘削工程では掘削材Sのみを吐出し、固化材を注入は、掘削終了後の掘削軸2の引揚げ時(改良工程)に行うため、土質状況に応じた固化材の配合や注入量を設定することが可能となる。したがって、改良体の深さ方向に対して、地層の変化による強度の差が生じることがなく、高品質な改良体の形成が可能となる。
【0051】
また、固化材の注入が改良工程においてのみ行われることで、改良範囲が大深度のために掘削に時間がかかる場合や、掘削途中で何らかの原因により掘削が中断した場合であっても、固化材の凝結が進行することがなく、作業性に悪影響をきたすことがない。また、遅延剤を使用する必要がないため、経済的である。
【0052】
固化材注入装置の分散板(有孔板33)に貫通孔が形成されているため、掘削溝内への掘削材や固化材の噴射に伴い高圧となった掘削溝M内の圧力を上方へ逃がすことが可能となった。
【0053】
また、固化材吐出口31の直下に分散板32,33,34を設けたことにより、固化材を掘削溝Mの断面方向で分散させるため、固化材が面内に均一に混合された状態で、沈降する。
【0054】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、掘削軸の自転にともない、水平方向に回転する掘削刃部を備えた、3軸式の掘削装置により円が3つ連結された平面形状の掘削溝を形成する場合について説明したが、掘削溝の形状はこれに限定されないことはいうまでもない。例えば、単軸式の地盤改良装置を利用すれば円形断面の掘削孔が形成される。
【0055】
また、前記各実施形態では、撹拌部として、移動翼と撹拌翼とを備える構成としたが、移動翼または撹拌翼のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の最良の実施の形態に係る地盤改良装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す地盤改良装置の一部を示す拡大図である。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ図2のA−A断面図およびB−B断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 地盤改良装置
2 掘削軸
10 掘削刃部
14 掘削材吐出口
20 撹拌部
31 固化材吐出口
G 地盤
M 掘削溝
S 掘削材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
前記駆動モータの動力により回転する掘削軸と、
前記掘削軸の下端に配置されて該掘削軸の回転に伴い回転する掘削刃部と、
前記掘削軸の前記掘削刃部の上方に配置されて前記掘削軸の回転に伴い回転する撹拌部と、を備える地盤改良装置であって、
前記掘削刃部に掘削材吐出口が形成されているとともに、前記撹拌部の上方に固化材吐出口が形成されていることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
所定の間隔により並設された複数本の掘削軸と、
前記各掘削軸に回転力を付与する駆動モータと、
前記各掘削軸の下端に配置されて該掘削軸の回転に伴い回転する掘削刃部と、
前記各掘削軸の前記掘削刃部の上方に配置されて前記掘削軸の回転に伴い回転する撹拌部と、を備える地盤改良装置であって、
前記掘削刃部のうち少なくとも1つに掘削材吐出口が形成されているとともに、前記撹拌部の上方に固化材吐出口が少なくとも1箇所形成されていることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項3】
前記複数本の掘削軸に配置された複数の前記掘削刃部が、上下方向で互い違いに配置されており、
前記掘削材吐出口が、最下段に配置された前記掘削刃部に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
先端部に掘削刃部を備えた掘削軸を回転させつつ下降させることにより地盤を掘削する掘削工程と、
前記掘削軸を回転させつつ上昇させることにより土砂を撹拌する改良工程と、
を備える地盤改良方法であって、
前記掘削工程では、前記掘削刃部に形成された掘削材吐出口から掘削材のみを吐出し、前記改良工程では、前記掘削刃部の上方に形成された固化材吐出口から固化材のみを吐出することを特徴とする、地盤改良方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−19374(P2009−19374A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181336(P2007−181336)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000194756)成和リニューアルワークス株式会社 (32)
【Fターム(参考)】