説明

地盤状態評価装置およびプログラム

【課題】掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することのできる地盤状態評価装置およびプログラムを得る。
【解決手段】地盤削孔機30により評価対象とする地盤を削孔しているときの、当該地盤削孔機30のリーダ部32において第1の加速度計14によって計測された振動の振幅に対する前記地盤の表面における第2の加速度計16によって計測された振動の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価し、評価結果を示す情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤状態評価装置およびプログラムに係り、より詳しくは、地盤削孔機を用いて地盤の状態を評価する地盤状態評価装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤の掘削工事を行う場合、親杭横矢板で山留め壁を構築し、地盤アンカーを支保工とする山留めを行うことが多い。そして、当該山留めの設計を行う際には、工事の対象となる地盤の硬さや、亀裂の量等といった地盤の状態を考慮して行う必要がある。
【0003】
このため、掘削工事の対象とする地盤の状態を把握する必要があるが、ボーリング調査によって、ばらつきの大きい地盤の状態を調査するには多数のボーリングが必要となり、多額の費用がかかるため、従来は、掘削工事の段階で山留め壁の変位量に基づいて把握したり、地盤に対する目視観察によって把握したりすることが一般的であった。
【0004】
このように、従来は、費用の面から掘削工事を行うまでは地盤の状態を把握することが困難であったため、費用の発生を抑えつつ、地盤の状態を早い段階で評価できる技術が切望されていた。
【0005】
このために応用できる従来の技術として、特許文献1には、トンネルボーリングマシンにより掘削される掘削面の地質分類を推定し、可視化し、かつ作業を制御するための調査装置であって、カッターディスクを支持すべくカッターヘッドに固持される多数個のカッター台座に装着される加速度計と、当該加速度計の位置検出を行うべく前記カッターヘッドに係着される回転角検出器と、前記加速度計の計測値から振動数および振幅の平均値を求めるアナライザと、前記カッターヘッドの少なくとも1回転中に得られた前記卓越振動数および振動の補正値を基にして掘削面の地質分類を推定し表示する情報伝達表示装置を有する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、地盤削孔時に削孔装置の削孔部に作用している推進力エネルギー、回転エネルギー、および打撃エネルギーをセンサ検出パラメータに基づいて算出するエネルギー算出手段と、調査削孔時に得られた前記推進力エネルギー、前記回転エネルギー、および前記打撃エネルギーと深度/柱状図データとの相関に基づいて、地盤岩盤の判別基準を設定する判別基準設定手段と、実削孔時に得られた前記推進力エネルギー、前記回転エネルギー、および前記打撃エネルギーと前記判別基準との比較結果より削孔中の地層岩盤をリアルタイムに判別する判別手段とを有する技術が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、地盤の機械掘削または穿孔の際に、ビット付近に音響センサまたは加速度センサを装着し、掘削または穿孔時に発生する掘削音または振動の波形を連続的に計測し、計測した波形に基づいて単位時間または単位深度毎に振幅分布を求め、地質・地層変化の解析を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−170398号公報
【特許文献2】特開2004−92063号公報
【特許文献3】特開2000−337070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に開示されている技術では、地盤の状態の評価に用いる物理量を検出するためのセンサが掘削、削孔等を行う機械側のみに設けられており、評価対象とする地盤に生じている亀裂の一部のみの影響を受けた物理量を検出することになる結果、必ずしも高精度に地盤の状態を評価できるとは限らない、という問題点があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することのできる地盤状態評価装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の地盤状態評価装置は、評価対象とする地盤を削孔する地盤削孔機に設けられ、設けられた位置における振動の振幅を計測して第1の信号を出力する第1の計測手段と、前記地盤の表面における振動の振幅を計測して第2の信号を出力する第2の計測手段と、前記地盤削孔機により前記地盤を削孔しているときに前記第1の計測手段により出力された第1の信号および前記第2の計測手段により出力された第2の信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1の信号により得られる第1の振幅に対する前記第2の信号により得られる第2の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果を示す情報を表示する表示手段と、を備えている。
【0012】
請求項1記載の地盤状態評価装置によれば、評価対象とする地盤を削孔する地盤削孔機に設けられた第1の計測手段により、設けられた位置における振動の振幅が計測されて第1の信号が出力される一方、第2の計測手段により、前記地盤の表面における振動の振幅が計測されて第2の信号が出力される。なお、上記第1の計測手段および第2の計測手段には、加速度計、速度計、変位計、加速度センサ、速度センサ、変位センサ等の振動の振幅が計測できる各種装置や各種センサが含まれる。
【0013】
ここで、本発明では、前記地盤削孔機により前記地盤を削孔しているときに前記第1の計測手段により出力された第1の信号および前記第2の計測手段により出力された第2の信号が受信手段によって受信され、受信された前記第1の信号により得られる第1の振幅に対する前記第2の信号により得られる第2の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価手段によって評価される。
【0014】
そして、本発明では、前記評価手段による評価結果を示す情報が表示手段によって表示される。なお、上記表示手段による表示には、液晶ディスプレイ装置、プラズマ・ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置、CRTディスプレイ装置等の各種ディスプレイ装置による可視表示の他、プリンタ装置等の画像形成装置による永久可視表示、音声合成装置等の音声出力装置による可聴表示が含まれる。
【0015】
すなわち、本発明では、評価に用いる物理量として、地盤削孔機に設けられた第1の計測手段により計測された第1の振幅に対する、地盤の表面に設けられた第2の計測手段により計測された第2の振幅の減衰量を用いており、この減衰量は、地盤に生じている亀裂の多くが反映された値とされているため、当該減衰量を用いない場合に比較して、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0016】
また、本発明では、地盤削孔機により実削孔している段階で地盤の状態を評価することが可能であり、掘削工事よりも早い段階で地盤の状態を評価することができる。なお、本発明による地盤の状態の評価は、ボーリング調査を多数行う場合に比較して低コストにて実現できる。
【0017】
このように、請求項1記載の地盤状態評価装置によれば、地盤削孔機により評価対象とする地盤を削孔しているときの、当該地盤削孔機において計測された振動の振幅に対する前記地盤の表面における振動の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価し、評価結果を示す情報を表示しているので、掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することができる。
【0018】
なお、上記第1の計測手段の地盤削孔機への設置位置としては、特に制限はないが、本発明において地盤の状態の評価に用いる物理量が上記減衰量であるため、地盤削孔機における地盤に近い位置に設けることが好ましく、当該地盤削孔機のリーダ部やロッド部に設けることが好ましい。
【0019】
また、この場合、前記減衰量が多いほど多くなるように予め定められた地盤の亀裂の量を示す情報を予め記憶手段により記憶しておき、前記評価手段は、前記記憶手段から当該情報を読み出して適用することが好ましい。ここで、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置等が好適に用いられる。
【0020】
また、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記評価手段が、さらに前記第1の振幅が小さいほど前記地盤の軟質の程度が高いと評価してもよい。これにより、当該第1の振幅を用いないで評価する場合に比較して、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0021】
なお、この場合も、前記第1の振幅が小さいほど程度が高くなるように予め定められた地盤の軟質の程度を示す情報を予め前記記憶手段により記憶しておき、前記評価手段は、前記記憶手段から当該情報を読み出して適用することが好ましい。
【0022】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記第1の振幅および前記第2の振幅から前記地盤削孔機自身の振動成分を除去する除去手段をさらに備え、前記評価手段が、前記除去手段により前記地盤削孔機自身の振動成分が除去された前記第1の振幅および前記第2の振幅により前記減衰量を導出して適用してもよい。これにより、上記減衰量を、より高精度なものとすることができる結果、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0023】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記減衰量から、前記削孔の深さによる影響を除去する第2の除去手段をさらに備え、前記評価手段が、前記第2の除去手段により前記削孔の深さによる影響が除去された前記減衰量を適用してもよい。これにより、上記減衰量を、より高精度なものとすることができる結果、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0024】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記評価手段が、前記評価を、前記地盤削孔機による前記地盤に対する予め定められた複数の削孔深度区分毎に行ってもよい。これにより、削孔深度区分毎に地盤の状態の評価を行うことができる結果、より利便性を向上させることができる。
【0025】
特に、請求項5に記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記評価手段が、前記削孔深度区分間での相対的な大小関係に基づいて前記評価を行ってもよい。これにより、同一地盤における相対評価が可能となる結果、より利便性を向上させることができる。
【0026】
一方、上記目的を達成するために、請求項7記載のプログラムは、コンピュータを、評価対象とする地盤を削孔する地盤削孔機により前記地盤を削孔しているときの前記地盤削孔機の振動の振幅に対する、前記地盤の表面における振動の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価する評価手段と、前記評価手段による評価結果を示す情報を表示する表示手段と、として機能させるためのものである。
【0027】
したがって、請求項7記載のプログラムによれば、コンピュータに対して請求項1記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1記載の発明と同様に、掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することができる。
【0028】
さらに、上記目的を達成するために、請求項8記載のプログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の地盤状態評価装置における評価手段および表示手段として機能させるためのものである。
【0029】
したがって、請求項8記載のプログラムによれば、コンピュータに対して本発明の地盤状態評価装置と同様に作用させることができるので、当該地盤状態評価装置と同様に、掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、地盤削孔機により評価対象とする地盤を削孔しているときの、当該地盤削孔機において計測された振動の振幅に対する前記地盤の表面における振動の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価し、評価結果を示す情報を表示しているので、掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態に係る地盤状態評価システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る地盤状態評価システムの要部の配設位置を示す側面図である。
【図3】実施の形態に係るパーソナル・コンピュータの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係るパーソナル・コンピュータに備えられた二次記憶部の主な記憶内容を示す模式図である。
【図5】実施の形態に係る計測情報データベースのデータ構造を示す模式図である。
【図6】実施の形態に係る地盤分類情報データベースのデータ構造を示す模式図である。
【図7】実施の形態に係る計測情報データベースに記憶される第1の加速度応答および第2の加速度応答の一例を示す波形図である。
【図8】実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムの処理内容の説明に供する図であり、削孔深度毎の第1の補正振幅の一例を示すグラフである。
【図10】実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムの処理内容の説明に供する図であり、削孔深度毎の減衰量の一例を示すグラフである。
【図11】実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムの処理内容の説明に供する図であり、削孔深度毎の補正減衰量の一例を示すグラフである。
【図12】実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムの処理内容の説明に供する図であり、削孔深度毎の第1の補正振幅の削孔深度区分毎の平均値の一例を示すグラフである。
【図13】実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムの処理内容の説明に供する図であり、削孔深度毎の補正減衰量の削孔深度区分毎の平均値とせん断波速度との関係を示すグラフである。
【図14】実施の形態に係る結果画面の表示状態例を示す概略図である。
【図15】実施の形態に係る結果画面の他の表示状態例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0033】
まず、図1〜図2を参照して、本発明が適用された地盤状態評価システム10の全体構成を説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10は、当該システム10の中核的な役割を担うパーソナル・コンピュータ(以下、「PC」という。)12と、第1の加速度計14と、第2の加速度計16と、動ひずみアンプ18と、データ・レコーダ20と、記録・出力装置22とを備えている。
【0035】
図2に示すように、第1の加速度計14は、評価対象とする地盤(以下、「評価対象地盤」という。)を削孔する地盤削孔機30のリーダ部32に設けられており、設けられた位置における振動の振幅を計測する。また、第2の加速度計16は、評価対象地盤の表面に設けられており、当該表面における振動の振幅を計測する。なお、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、評価対象地盤の表面に不図示の板(本実施の形態では、厚さ2cmの鉄板。)を載せ、当該板の表面上に第2の加速度計16を設けているが、評価対象地盤の表面の硬さ等によっては当該板を設けず、評価対象地盤の表面に直接第2の加速度計16を設けてもよい。また、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、第1の加速度計14を地盤削孔機30のリーダ部32における地表面から1.5m上部に設け、第2の加速度計16を削孔位置から水平距離4.5mの位置に設けたが、これに限るものではない。
【0036】
図1に示すように、第1の加速度計14の計測結果を示す第1の加速度情報を出力する出力端子および第2の加速度計16の計測結果を示す第2の加速度情報を出力する出力端子は、共に動ひずみアンプ18の入力端子に接続されており、動ひずみアンプ18の出力端子はデータ・レコーダ20の入力部に接続されている。したがって、上記第1の加速度情報および第2の加速度情報は動ひずみアンプ18によって受信されて所定のレベル範囲にまで増幅された後、データ・レコーダ20により記録される。
【0037】
なお、第1の加速度計14の配設位置はリーダ部32に限らず、地盤削孔機30の何れの位置でも構わないが、後述する減衰量の精度を向上させるためには評価対象地盤に近いほうが好ましく、例えば、ロッド34に設けてもよい。この場合、ロッド34は削孔時には回転するため、第1の加速度計14による計測結果を無線で動ひずみアンプ18に送信することになる。
【0038】
一方、データ・レコーダ20の出力部はPC12の入力部に接続される一方、PC12の出力部は記録・出力装置22の入力部に接続されている。したがって、PC12は、データ・レコーダ20に記録された第1の加速度情報および第2の加速度情報を読み出すことにより取得することができる一方、当該第1の加速度情報および第2の加速度情報に基づく各種情報を記録・出力装置22によって記録し、かつ出力することができる。なお、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、記録・出力装置22として、上記各種情報を記録するためのものとしてハードディスク装置が、上記各種情報を出力するためのものとしてプリンタが、各々搭載されているが、各種情報を記録ないし出力することができるものであれば、この装置に限らないことは言うまでもない。
【0039】
次に、図3を参照して、本システムにおいて特に重要な役割を有するPC12の電気系の要部構成を説明する。
【0040】
同図に示すように、本実施の形態に係るPC12は、PC12全体の動作を司るCPU(中央処理装置)12Aと、CPU12Aによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM12Bと、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM12Cと、各種情報を記憶するための記憶手段として用いられる二次記憶部(ここでは、ハードディスク装置)12Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード12Eと、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ12Fと、外部装置等との間の各種信号の授受を司る入出力I/F(インタフェース)12Gと、が備えられており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。
【0041】
したがって、CPU12Aは、RAM12B、ROM12C、および二次記憶部12Dに対するアクセス、キーボード12Eを介した各種入力情報の取得、ディスプレイ12Fに対する各種情報の表示、および入出力I/F12Gを介した外部装置等との間の各種情報の授受を各々行うことができる。なお、入出力I/F12Gには、前述したデータ・レコーダ20および記録・出力装置22が電気的に接続されている。
【0042】
一方、図4には、PC12に備えられた二次記憶部12Dの主な記憶内容が模式的に示されている。同図に示すように、二次記憶部12Dには、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DBと、各種処理を行うためのプログラム等を記憶するためのプログラム領域PGと、が設けられている。
【0043】
なお、データベース領域DBには、計測情報データベースDB1と、地盤分類情報データベースDB2とが含まれている。
【0044】
本実施の形態に係る計測情報データベースDB1は、一例として図5に模式的に示されるように、予め定められた期間(本実施の形態では、1.8秒間)の第1の加速度応答、および第2の加速度応答の各情報が、地盤削孔機30による削孔の予め定められた深度毎(本実施の形態では、1m毎)に記憶されるように構成されている。
【0045】
上記深度は、評価対象地盤の表面から地盤削孔機30のロッド34の削孔側先端部までの距離として得られる。
【0046】
また、上記第1の加速度応答は、地盤削孔機30により対応する深度で評価対象地盤を削孔しているときに第1の加速度計14から出力され、動ひずみアンプ18を介してデータ・レコーダ20に記録された加速度応答を示す情報であり、上記第2の加速度応答は、地盤削孔機30により対応する深度で評価対象地盤を削孔しているときに第2の加速度計16から出力され、動ひずみアンプ18を介してデータ・レコーダ20に記録された加速度応答を示す情報である。
【0047】
なお、図7(A)には上記第1の加速度応答の一例が示されており、図7(B)には、上記第2の加速度応答の一例が示されている。
【0048】
ところで、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、上記第1の加速度応答に基づいて当該第1の加速度応答の平均的な振幅を第1の振幅として算出すると共に、上記第2の加速度応答に基づいて当該第2の加速度応答の平均的な振幅を第2の振幅として算出し、上記第1の振幅が小さいほど評価対象地盤の軟質の程度が高いと評価する一方、上記第1の振幅に対する上記第2の振幅の減衰量が多いほど評価対象地盤に亀裂が多いと評価する。
【0049】
なお、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、上記第1の振幅を次の(1)式により算出し、上記第2の振幅を次の(2)式により算出する。ここで、(1)式および(2)式におけるu1は上記第1の振幅を、u2は上記第2の振幅を、Tdは上記第1の加速度応答および上記第2の加速度応答の計測期間(本実施の形態では、1.8秒間)を、X1(t)は上記第1の加速度応答の時刻tにおける振幅を、X2(t)は上記第2の加速度応答の時刻tにおける振幅を、各々表す。
【0050】
【数1】

【0051】
【数2】


また、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、地盤削孔機30は作動しているが、削孔は行っていないときの第1の加速度計14により得られた加速度応答(以下、「第1の暗加速度応答」という。)の平均的な振幅(以下、「第1の暗振幅」という。)を次の(3)により算出し、地盤削孔機30は作動しているが、削孔は行っていないときの第2の加速度計16により得られた加速度応答(以下、「第2の暗加速度応答」という。)の平均的な振幅(以下、「第2の暗振幅」という。)を次の(4)により算出する。ここで、(3)式および(4)式におけるa1は上記第1の暗振幅を、a2は上記第2の暗振幅を、A1(t)は上記第1の暗加速度応答の時刻tにおける振幅を、A2(t)は上記第2の暗加速度応答の時刻tにおける振幅を、各々表す。
【0052】
【数3】

【0053】
【数4】


また、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、第1の振幅u1の補正値(以下、「第1の補正振幅」という。)および上記第2の振幅u2の補正値(以下、「第2の補正振幅」という。)を次の(5)式および(6)式により算出する。ここで、(5)式および(6)式におけるu1’は上記第1の補正振幅を、u2’は上記第2の補正振幅を、各々表す。
【0054】
【数5】

【0055】
【数6】


さらに、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、上記減衰量を次の(7)式により算出する。ここで、(7)式におけるdは上記減衰量を表す。
【0056】
【数7】


そして、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、減衰量dを、地盤削孔機30の削孔深度による影響を除去する、後述する削孔深度影響除去処理によって補正した補正減衰量d’を算出して評価に用いる。
【0057】
本実施の形態に係る地盤分類情報データベースDB2は、一例として図6に模式的に示されるように、上記第1の補正振幅u1’の予め定められた第1閾値別で、上記補正減衰量d’の予め定められた第2閾値別に地盤の状態を示す情報が記憶されるように構成されている。
【0058】
図6に示される地盤分類情報データベースDB2では、例えば、第1の補正振幅u1’が第1閾値未満であり、補正減衰量d’が第2閾値未満である場合、評価対象地盤が軟質で、かつ亀裂が多い地盤であることを示し、第1の補正振幅u1’が上記第1閾値以上であり、補正減衰量d’が上記第2閾値以上である場合、評価対象地盤が硬質で、かつ亀裂が少ない地盤であることを示している。なお、上記第1閾値および第2閾値は、地盤状態評価システム10の用途や、要求される安全性等に応じて予め定めておいてもよいし、ユーザによって設定させるようにしてもよい。
【0059】
なお、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、上記第1の暗振幅a1及び第2の暗振幅a2を予め取得して二次記憶部12Dの所定領域に予め記憶している。
【0060】
ところで、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、地盤削孔機30による評価対象地盤に対する予め定められた複数の削孔深度区分毎に地盤状態の評価を行うものとされている。
【0061】
このため、地盤状態評価システム10では、上記削孔深度区分を示す情報(以下、「削孔深度区分情報」という。)を二次記憶部12Dの所定領域に予め記憶している。
【0062】
なお、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10では、上記削孔深度区分情報として、評価対象地盤について予め判明しているせん断波速度の大きさに応じて区分した各地層毎の深度を示す情報を適用しているが、これに限らず、例えば、5m毎、10m毎、20m毎等の等間隔の深度を示す情報や、深度の浅い順に、例えば、10m→25m→30mといった任意の間隔の深度を示す情報等を適用してもよい。
【0063】
次に、本実施の形態に係る地盤状態評価システム10の作用を説明する。
【0064】
まず、評価対象地盤における第1の加速度応答および第2の加速度応答の各情報を取得して計測情報データベースDB1を構築する際の地盤状態評価システム10の作用を説明する。
【0065】
このとき、作業員は、地盤削孔機30により評価対象地盤における予め定められた削孔位置に対して削孔する。
【0066】
この削孔の過程において、第1の加速度計14から第1の加速度情報がリアルタイムで出力されると共に、第2の加速度計16から第2の加速度情報がリアルタイムで出力される。
【0067】
これらの加速度情報は動ひずみアンプ18によって所定のレベル範囲にまで増幅された後、データ・レコーダ20により記録される。このとき、データ・レコーダ20は、各加速度情報を、削孔深度が上記予め定められた深度(本実施の形態では、1m)を経る毎に、上記予め定められた期間(本実施の形態では、1.8秒間)だけ第1の加速度応答および第2の加速度応答としてデータ・レコーダ20に記録する。
【0068】
そして、PC12は、データ・レコーダ20に記録された第1の加速度応答および第2の加速度応答をデータ・レコーダ20から読み出して計測情報データベースDB1に登録する。
【0069】
以上の処理により、一例として図5に示される計測情報データベースDB1が構築されることになる。
【0070】
次に、図8を参照して、以上の手順により構築された計測情報データベースDB1を用いて評価対象地盤の状態を評価する際の本実施の形態に係る地盤状態評価システム10の作用を説明する。なお、図8は、ユーザにより、PC12に設けられているキーボード12E等の入力装置(図示省略。)を介して地盤状態の評価の実行指示が入力された際にPC12のCPU12Aによって実行される地盤状態評価処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは二次記憶部12Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、計測情報データベースDB1および地盤分類情報データベースDB2が予め構築されている場合について説明する。
【0071】
同図のステップ100では、二次記憶部12Dから削孔深度区分情報を読み出し、次のステップ102では、地盤分類情報データベースDB2から全ての情報(以下、「地盤分類情報」という。)を読み出し、さらに次のステップ104では、二次記憶部12Dから第1の暗振幅a1および第2の暗振幅a2を読み出す。
【0072】
次のステップ106では、全ての第1の加速度応答および第2の加速度応答を計測情報データベースDB1から読み出し、次のステップ108では、読み出した全ての第1の加速度応答および第2の加速度応答に対してロー・パス・フィルタ(Low Pass Filter)によるフィルタリング処理を施すことにより各加速度応答からノイズを除去し、次のステップ110では、上記フィルタリング処理が施された全ての第1の加速度応答および第2の加速度応答を用い、前述した(1)式および(2)式によって第1の振幅u1および第2の振幅u2を算出する。
【0073】
次のステップ112では、対応する削孔深度毎に上記ステップ110の処理によって算出した第1の振幅u1および第2の振幅u2と、上記ステップ104の処理によって読み出した第1の暗振幅a1および第2の暗振幅a2とを前述した(5)式および(6)式に代入することにより、削孔深度毎の第1の補正振幅u1’および第2の補正振幅u2’を算出する。
【0074】
図9には、以上の処理によって得られた削孔深度毎の第1の補正振幅u1’の一例を示すグラフが示されている。
【0075】
次のステップ114では、以上の処理によって得られた削孔深度毎の第1の補正振幅u1’および第2の補正振幅u2’を前述した(7)式に代入することにより、減衰量dを算出し、次のステップ116にて、算出した減衰量dに対する地盤削孔機30の削孔深度による影響を除去する削孔深度影響除去処理を実行する。
【0076】
評価対象地盤を半無限弾性体と仮定し、削孔部を点振動源と仮定した場合、減衰量dは次の(8)式で表される。ここで、hは評価対象地盤の内部減衰定数を、fは削孔により生じる振動の周波数を、Vは削孔により生じる振動の伝搬速度を、rは削孔深度を、各々表す。
【0077】
【数8】


一方、図10には、以上の処理によって得られた削孔深度毎の減衰量dの一例を示すグラフが示されている。
【0078】
(8)式で示されるように、減衰量dは理論的には削孔深度rの−2乗に比例するが、図10に示される減衰量dでは、その近似曲線が約−1.85乗に比例しており、理論値と略一致している。
【0079】
本ステップ116では、各削孔深度rの減衰量dを、当該削孔深度rの影響を除いて比較できるようにするため、一例として図11に示されるように、上記削孔深度影響除去処理として、図10における各削孔深度の減衰量dと累乗近似した曲線との差(以下、「補正減衰量」という。)d’を算出する。
【0080】
次のステップ118では、上記ステップ100の処理によって読み出した削孔深度区分情報により示される削孔深度区分毎に、以上の処理によって削孔深度毎に得られた第1の補正振幅u1’および補正減衰量d’の各々の平均値を算出する。
【0081】
図12には、本ステップ118の処理によって得られた削孔深度区分毎の第1の補正振幅u1’の平均値の一例を示すグラフが示されており、図13には、本ステップ118の処理によって得られた削孔深度区分毎の補正減衰量d’の平均値の一例を示すグラフが示されている。
【0082】
次のステップ120では、以上の処理によって得られた削孔深度区分毎の第1の補正振幅u1’の平均値および補正減衰量d’の平均値が、上記ステップ102の処理によって読み出した地盤分類情報により示される地盤分類(図6も参照。)の何れの領域に属するかを特定し、次のステップ122にて、当該特定の結果に基づいて予め定められたフォーマットとされた評価結果を示す結果画面を示す情報を構成した後、次のステップ124にて、構成した情報に基づいて上記結果画面をディスプレイ12Fによって表示させ、その後に本地盤状態評価処理プログラムを終了する。
【0083】
図14には、本地盤状態評価処理プログラムのステップ124の処理によってディスプレイ12Fにより表示された結果画面の表示状態例が示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る地盤状態評価処理プログラムでは、第1の補正振幅u1’を横軸とし、補正減衰量d’を縦軸としたグラフにおける、上記ステップ120の処理によって特定された領域に、対応する削孔深度区分を示す情報(同図に示す例では、「深度A」、「深度B」、・・・、「深度F」)をプロットした画面を結果画面として表示している。したがって、地盤状態評価システム10の利用者は、当該結果画面を参照することにより、各削孔深度区分別の地盤の状態を視覚的に、容易に把握することができる。
【0084】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、地盤削孔機により評価対象とする地盤を削孔しているときの、当該地盤削孔機において計測された振動の振幅(第1の振幅)に対する前記地盤の表面における振動の振幅(第2の振幅)の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価し、評価結果を示す情報を表示しているので、掘削工事よりも早い段階で、高精度かつ低コストで地盤の状態を評価することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、さらに前記第1の振幅が小さいほど前記地盤の軟質の程度が高いと評価しているので、当該第1の振幅を用いないで評価する場合に比較して、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、前記第1の振幅および前記第2の振幅から前記地盤削孔機自身の振動成分(ここでは、暗振幅)を除去し、当該地盤削孔機自身の振動成分が除去された前記第1の振幅(ここでは、第1の補正振幅u1’)および前記第2の振幅(ここでは、第2の補正振幅u2’)により前記減衰量を導出して適用しているので、上記減衰量を、より高精度なものとすることができる結果、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、前記減衰量から、前記削孔の深さによる影響を除去し、当該削孔の深さによる影響が除去された前記減衰量(ここでは、補正減衰量d’)を適用しているので、上記減衰量を、より高精度なものとすることができる結果、より高精度に地盤の状態を評価することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、前記評価を、前記地盤削孔機による前記地盤に対する予め定められた複数の削孔深度区分毎に行っているので、削孔深度区分毎に地盤の状態の評価を行うことができる結果、より利便性を向上させることができる。
【0089】
さらに、本実施の形態では、前記削孔深度区分間での相対的な大小関係に基づいて前記評価を行っているので、同一地盤における相対評価が可能となる結果、より利便性を向上させることができる。
【0090】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0091】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。上記の実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記の実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、本発明の減衰量として、第1の補正振幅u1’で第2の補正振幅u2’を除算した値を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の補正振幅u1’から第2の補正振幅u2’を減算した値、第1の振幅u1で第2の振幅u2を除算した値、第1の振幅u1から第2の振幅u2を減算した値等、第1の振幅u1に対する第2の振幅u2の減衰量を示す値であれば他の値を適用してもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、上記実施の形態では、第1の補正振幅u1’を用いて評価対象地盤の軟質の程度を評価する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の振幅u1を用いて評価対象地盤の軟質の程度を評価する形態とすることもできる。この場合、上記実施の形態に比較して、評価対象地盤に対する評価精度は若干落ちるものの、第1の暗振幅a1を導出する必要がなくなる結果、より簡易に地盤の状態を評価することができる。
【0094】
また、上記実施の形態では、補正減衰量d’を用いて評価対象地盤の亀裂の多さを評価する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、減衰量dを用いて評価対象地盤の亀裂の多さを評価する形態とすることもできる。この場合、減衰量dの近似曲線を導出する必要がなくなる結果、より簡易に地盤の状態を評価することができる。
【0095】
また、上記実施の形態では、削孔深度区分毎に評価対象地盤を評価する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、計測情報データベースDB1に第1の加速度応答および第2の加速度応答を登録した削孔深度毎に評価対象地盤を評価する形態とすることもできる。この場合、上記実施の形態に比較して、評価時間は長くなるものの、より詳細な評価を行うことができる。
【0096】
また、上記実施の形態では、第1の補正振幅u1’および補正減衰量d’の双方を用いて評価対象地盤の評価を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、補正減衰量d’のみを用いて評価対象地盤の評価を行う形態とすることもできる。この場合、評価対象地盤の軟質の程度を評価することができなくなるものの、より短時間で地盤の状態を評価することができる。
【0097】
また、上記実施の形態では、補正減衰量d’および第1の補正振幅u1’の双方とも各々に対応した1つの閾値を用いて評価対象地盤の評価を行った場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、補正減衰量d’については、当該補正減衰量d’が多いほど評価対象地盤の亀裂が多いと評価し、第1の補正振幅u1’については、当該第1の補正振幅u1’が小さいほど評価対象地盤の軟質の程度が高いと評価するものであれば、例えば、補正減衰量d’および第1の補正振幅u1’の双方とも複数の閾値を用いて評価対象地盤の評価を行ってもよい。
【0098】
また、上記実施の形態では、第1の加速度応答および第2の加速度応答を記憶手段(上記実施の形態では、データ・レコーダ20)に一旦記憶し、これらの加速度応答を読み出して本発明に係る減衰量を導出し適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、地盤削孔機30により地盤を削孔しているときの第1の加速度計14から出力された第1の加速度情報および第2の加速度計16から出力された第2の加速度情報の各々のピーク値をサンプル・ホールド回路等によってリアルタイムで検出し、第1の加速度情報のピーク値に対する第2の加速度情報のピーク値の減衰量を導出して適用する形態等とすることもできる。この場合、上記記憶手段を設ける必要がなくなると共に、リアルタイムでの地盤の評価が実現できる。
【0099】
その他、上記実施の形態で説明した地盤状態評価システム10の構成(図1〜図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりすることができることは言うまでもない。
【0100】
また、上記実施の形態で示した各データベースのデータ構造(図5,図6参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な情報を削除したり、新たな情報を追加したりすることができることは言うまでもない。
【0101】
また、上記実施の形態で示した地盤状態評価処理プログラムの処理の流れ(図8参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【0102】
また、上記実施の形態で示した結果画面の構成(図14参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において変更することができることは言うまでもない。
【0103】
例えば、一例として図15に示すように、評価対象地盤における複数の削孔箇所について上記実施の形態と同様に地盤分類を特定し、当該特定結果を上記複数の削孔箇所分まとめて視覚的に表示する形態としてもよい。この場合、複数の削孔箇所について1画面で地盤の状態を確認することができるため、より利便性に優れている。
【0104】
さらに、上記実施の形態で示した各種演算式((1)式〜(8)式参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0105】
10 地盤状態評価システム
12 パーソナル・コンピュータ
12A CPU(評価手段,表示手段,除去手段,第2の除去手段)
12B RAM
12C ROM
12D 二次記憶部
12E キーボード
12F ディスプレイ
12G 入出力インタフェース
14 第1の加速度計(第1の計測手段)
16 第2の加速度計(第2の計測手段)
18 動ひずみアンプ(受信手段)
20 データ・レコーダ
22 記録・出力装置
30 地盤削孔機
32 リーダ部
34 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象とする地盤を削孔する地盤削孔機に設けられ、設けられた位置における振動の振幅を計測して第1の信号を出力する第1の計測手段と、
前記地盤の表面における振動の振幅を計測して第2の信号を出力する第2の計測手段と、
前記地盤削孔機により前記地盤を削孔しているときに前記第1の計測手段により出力された第1の信号および前記第2の計測手段により出力された第2の信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1の信号により得られる第1の振幅に対する前記第2の信号により得られる第2の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価する評価手段と、
前記評価手段による評価結果を示す情報を表示する表示手段と、
を備えた地盤状態評価装置。
【請求項2】
前記評価手段は、さらに前記第1の振幅が小さいほど前記地盤の軟質の程度が高いと評価する
請求項1記載の地盤状態評価装置。
【請求項3】
前記第1の振幅および前記第2の振幅から前記地盤削孔機自身の振動成分を除去する除去手段をさらに備え、
前記評価手段は、前記除去手段により前記地盤削孔機自身の振動成分が除去された前記第1の振幅および前記第2の振幅により前記減衰量を導出して適用する
請求項1または請求項2記載の地盤状態評価装置。
【請求項4】
前記減衰量から、前記削孔の深さによる影響を除去する第2の除去手段をさらに備え、
前記評価手段は、前記第2の除去手段により前記削孔の深さによる影響が除去された前記減衰量を適用する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の地盤状態評価装置。
【請求項5】
前記評価手段は、前記評価を、前記地盤削孔機による前記地盤に対する予め定められた複数の削孔深度区分毎に行う
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の地盤状態評価装置。
【請求項6】
前記評価手段は、前記削孔深度区分間での相対的な大小関係に基づいて前記評価を行う
請求項5記載の地盤状態評価装置。
【請求項7】
コンピュータを、
評価対象とする地盤を削孔する地盤削孔機により前記地盤を削孔しているときの前記地盤削孔機の振動の振幅に対する、前記地盤の表面における振動の振幅の減衰量が多いほど前記地盤の亀裂が多いと評価する評価手段と、
前記評価手段による評価結果を示す情報を表示する表示手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の地盤状態評価装置における評価手段および表示手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−180605(P2010−180605A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24655(P2009−24655)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】