説明

垂れ抵抗性を向上させるためのポリエチレンパイプの改質

本明細書で、パイプ製品の成形方法及びパイプ製品を開示する。方法は一般的に、エチレンに基づく二峰性ポリマーを準備し、エチレンに基づく二峰性ポリマーを最高で約50ppmの過酸化物と配合して改質ポリエチレンを生成させ、改質ポリエチレンをパイプに成形することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明の態様は、一般的にポリエチレンを用いて成形される製品に関する。特に本発明は、一般的に二峰性ポリエチレンを用いて成形されるパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
特許文献中に反映されている通り、プロピレンポリマーは、例えば射出成形、回転成形、吹込みフィルム、押出し及び固体状態延伸法のような多様な用途において改質され、加工性及び得られる製品の性質における向上を示した。しかしながら、エチレンポリマーの改質(そして特に過酸化物を用いるエチレンポリマーの改質)は、一般に加工性及び成形される製品の性質における所望の向上を示さなかった。特に、エチレンポリマーの改質は、パイプ製品に関する垂れ抵抗性において所望の向上を与えなかった。従って、向上した加工性及び製品の性質を示すエチレンに基づくポリマー及びポリマー製品の成形方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
概略
本発明の態様は、パイプ製品の成形法を含む。方法は一般に、エチレンに基づく二峰性ポリマーを与え、エチレンに基づく二峰性ポリマーを最高で約50ppmの過酸化物と配合して改質ポリエチレンを生成させ、改質ポリエチレンをパイプに成形することを含む。
【0004】
態様はさらに、本明細書に記載される方法により成形されるパイプ製品を含む。
【0005】
図面の簡単な記述
図1は、選ばれた二峰性ポリオレフィンに関するゼロせん断粘度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】選ばれた二峰性ポリオレフィンに関するゼロせん断粘度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
序論及び定義
ここで詳細な説明を与える。添付の請求項のそれぞれは別々の発明を定義し、それは侵害の目的に関し、請求項中に規定される種々の要素又は制限への同等事項を含むと認識される。状況によって、下記の「発明」へのすべての言及は、いくつかの場合にはある特定の態様のみを指し得る。他の場合、「発明」への言及は1つもしくはそれより多くの、しかし必ずしもすべてではない請求項中に挙げられる主題を指すことが認識されるであろう。ここで特定の態様、変形及び実施例を含む本発明のそれぞれを下記でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの態様、変形又は実施例に制限されず、それらは、本特許中の情報を利用可能な情報及び技術と組み合わせると、当該技術分野における通常の熟練者が本発明を作り且つ利用することを可能にするために含まれる。
【0008】
本明細書中で用いられる種々の用語を下記に示す。請求項中で用いられる用語が下記に定義されない限り(to the extent)、それは、申請の時点における印刷出版物及び発行された特許中に反映される通り、関連する技術分野における熟練者がその用
語に与えた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、他に特定されなければ、本明細書に記載されるすべての化合物は置換されているか又は置換されていないことができ、化合物のリストはその誘導体を含む。
【0009】
さらに、種々の範囲及び/又は数量的限界が下記に明白に記載され得る。他にことわらなければ、末端値(endpoints)は互換性であるべきことが意図されていると認識されねばならない。さらに、いずれの範囲も、明白に記載される範囲又は限界内に含まれる同じ大きさの繰り返し範囲を含む。
【0010】
本発明の態様は、一般的に向上した垂れ抵抗性を示すパイプ製品を含む。
【0011】
触媒系
オレフィンモノマーの重合に有用な触媒系は、いずれの適した触媒系も含む。例えば触媒系はクロムに基づく触媒系、メタロセン触媒系を含むシングルサイト遷移金属触媒系、チーグラー・ナッタ触媒系又はそれらの組み合わせを含むことができる。続く重合のために触媒を活性化することができ、例えば触媒は担持材料を伴っているか又は伴っていないことができる。そのような触媒系の簡単な議論が下記に含まれるが、本発明の範囲をそのような触媒に制限することは全く意図されていない。
【0012】
例えばチーグラー・ナッタ触媒系は一般に金属成分(例えば触媒)と1種もしくはそれより多い追加の成分、例えば触媒担体、助触媒及び/又は1種もしくはそれより多い電子供与体の組み合わせから調製される。
【0013】
本発明の1つもしくはそれより多い態様は、一般にアルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を生成させ、次いでマグネシウムジアルコキシド化合物を連続的により強い塩素化剤(stronger chlorinating agent)と接触させることにより形成されるチーグラー・ナッタ触媒系を含む(引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる米国特許第6,734,134号明細書及び米国特許第6,174,971号明細書を参照されたい。)。
【0014】
重合法
本明細書の他の場所で示す通り、触媒系を用いてポリオレフィン組成物を生成させる。上記に記載の通り、及び/又は当該技術分野における熟練者に既知の通りに触媒系が調製されたら、その組成物を用いて多様な方法を実施することができる。重合法において用いられる装置、プロセス条件、反応物、添加物及び他の材料は、生成されているポリマーの所望の組成及び性質に依存して、与えられる方法内で変わるであろう。そのような方法には、例えば溶液相、気相、スラリ相、バルク相、高圧法又はそれらの組み合わせが含まれ得る(引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる米国特許第5,525,678号明細書;米国特許第6,420,580号明細書;米国特許第6,380,328号明細書;米国特許第6,359,072号明細書;米国特許第6,346,586号明細書;米国特許第6,340,730号明細書;米国特許第6,339,134号明細書;米国特許第6,300,436号明細書;米国特許第6,274,684号明細書;米国特許第6,271,323号明細書;米国特許第6,248,845号明細書;米国特許第6,245,868号明細書;米国特許第6,245,705号明細書;米国特許第6,242,545号明細書;米国特許第6,211,105号明細書;米国特許第6,207,606号明細書;米国特許第6,180,735号明細書及び米国特許第6,147,173号明細書を参照されたい。)。
【0015】
ある態様において、上記の方法は一般に、1種もしくはそれより多いオレフィンモノマ
ーを重合させてポリマーを生成させることを含む。オレフィンモノマーは、例えばC−C30オレフィンモノマー又はC−C12オレフィンモノマー(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン及びデセン)を含むことができる。モノマーは、例えばエチレン性不飽和モノマー、C−C18ジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環状オレフィンを含むことができる。他のモノマーの制限ではない例には、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンが含まれ得る。生成するポリマーは、例えばホモポリマー、コポリマー又はターポリマーを含むことができる。
【0016】
溶液法の例は、引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる米国特許第4,271,060号明細書、米国特許第5,001,205号明細書、米国特許第5,236,998号明細書及び米国特許第5,589,555号明細書に記載されている。
【0017】
気相重合法の1つの例には、循環ガス流(他にはリサイクル流又は流動化媒体として既知)を重合の熱により反応器中で加熱する連続サイクルシステムが含まれ得る。熱は、反応器の外部の冷却システムにより、サイクルの別の部分において循環ガス流から除去される。1種もしくはそれより多いモノマーを含有する循環ガス流を、反応性条件下で触媒の存在下に、流動床を介して連続的に循環させることができる。循環ガス流は一般に流動床から回収され、反応器中に戻して再循環される。同時にポリマー生成物を反応器から回収することができ、新しいモノマーを加えて、重合したモノマーと置き換えることができる。気相法における反応器圧は、例えば約100psig〜約500psig又は約200psig〜約400psig又は約250psig〜約350psigで変わることができる。気相法における反応器温度は、例えば約30℃〜約120℃又は約60℃〜約115℃又は約70℃〜約110℃又は約70℃〜約95℃で変わることができる(例えば引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる米国特許第4,543,399号明細書;米国特許第4,588,790号明細書;米国特許第5,028,670号明細書;米国特許第5,317,036号明細書;米国特許第5,352,749号明細書;米国特許第5,405,922号明細書;米国特許第5,436,304号明細書;米国特許第5,456,471号明細書;米国特許第5,462,999号明細書;米国特許第5,616,661号明細書;米国特許第5,627,242号明細書;米国特許第5,665,818号明細書;米国特許第5,677,375号明細書及び米国特許第5,668,228号明細書を参照されたい。)。
【0018】
スラリ相法は一般に、液体重合媒体中の固体粒子状ポリマーの懸濁液を形成し、それにモノマー及び場合により水素を触媒と一緒に加えることを含む。懸濁液(希釈剤を含むことができる)を反応器から断続的又は連続的に取り出すことができ、そこで揮発性成分をポリマーから分離し、場合により蒸留後に反応器に再循環させることができる。重合媒体中で用いられる液化希釈剤は、例えばC−Cアルカン(例えばヘキサン又はイソブタン)を含むことができる。用いられる媒体は、一般的に重合の条件下で液体であり、比較的不活性である。バルク相法は、バルク相法においては液体媒体が反応物(例えばモノマー)でもあることを除いて、スラリ法のそれと類似である。しかしながら方法は、例えばバルク法、スラリ法又はバルクスラリ法であることができる。
【0019】
特別な態様において、スラリ法又はバルク法を1つもしくはそれより多いループ反応器において連続的に行うことができる。例えばスラリとして、又は乾燥流動性粉末としての触媒を反応器ループに規則的に注入することができ、反応器自身は希釈剤中の成長するポリマー粒子の循環スラリで満たされていることができる。場合により、例えば得られるポ
リマーの分子量制御のために、水素を工程中に加えることができる。ループ反応器を例えば約27バール〜約50バール又は約35バール〜約45バールの圧力及び約38℃〜約121℃の温度に保つことができる。例えば二重ジャケット付きパイプ又は熱交換器を介するような適した方法を介し、ループ壁を通って反応熱を除去することができる。
【0020】
あるいはまた、例えば直列、並列又はそれらの組み合わせにおける撹拌反応器のような他の型の重合法を用いることができる。1つもしくはそれより多い態様において、重合法は多峰性ポリオレフィンの製造を含む。本明細書で用いられる場合、「多峰性プロセス」という用語は、多峰性分子量分布を示すポリマーを製造する複数の反応領域(例えば少なくとも2つの反応領域)を含む重合法を指す。本明細書で用いられる場合、複数の分子量ピークを含む単一の組成物を「多峰性」ポリオレフィンであると考える。例えば少なくとも1つの同定可能な高分子量画分及び少なくとも1つの同定可能な低分子量画分を含む単一の組成物を、「二峰性」ポリオレフィンと考える。
【0021】
複数の直列の反応器を介するような適した方法を介して、多峰性ポリオレフィンを生成させることができる。反応器は上記のようないずれの反応器又は反応器の組み合わせを含むこともできる。1つもしくはそれより多い態様において、複数の反応器において同じ触媒が用いられる。別の態様において、複数の反応器において異なる触媒が用いられる。二峰性ポリマーの製造において、高分子量画分及び低分子量画分を反応器中でいずれの順番で製造することもでき、例えば第1の反応器中で低分子量画分を生成させ、第2の反応器中で高分子量画分を生成させるか、あるいはその逆に生成させる。
【0022】
反応器から取り出したら、さらなる処理、例えば添加物の添加及び/又は押出しのために、ポリマーをポリマー回収システムに通過させることができる。
【0023】
ポリマーを改質剤と配合することができ(すなわち「改質」)、改質剤はポリマー回収システム中に、あるいは当該技術分野における熟練者に既知の他の方法で存在することができる。1つもしくはそれより多い態様において、改質剤は過酸化物である。例えば過酸化物には既知の過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル、第3級ブチルヒドロペルオキシド、ジ第3級ブチルペルオキシド、過酸化水素、過硫酸カリウム、メチルシクロヘキシルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、アセチルベンゾイルペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、フェニルシクロヘキサンヒドロペルオキシド、第3級ブチルペルアセテート、ジクミルペルオキシド、第3級ブチルペルベンゾエート、ジ第3級アミルペルフタレート、ジ第3級ブチルペルアジペート、第3級アミルペルカーボネート及びそれらの組み合わせが含まれ得る。1つもしくはそれより多い態様において、過酸化物は有機過酸化物を含む。例えば有機過酸化物にはArkema Inc.から商業的に入手可能なLuperox(登録商標) 101、Degussa Corp.から商業的に入手可能なDegussa DMBH、両方ともAkzo Nobelから商業的に入手可能なTrigonox(登録商標) 1010及びTrigonox(登録商標) 301が含まれ得る。
【0024】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーを、例えば最高で50ppm又は約10ppm〜約30ppm又は約15ppm〜約20ppmの量における改質剤と配合する。
【0025】
いずれの適した方法によってもポリマーを改質剤と配合することができる。さらに、ポリマーの押出しの前、その間又はその後にポリマーを改質剤と配合することができる。1つの態様において、ポリマーを押出しの前に改質剤と配合する。
【0026】
ポリマーを、例えば酸素を含むフリーラジカル開始剤のような追加の改質剤と配合する
ことができることが意図されている。
【0027】
ポリマー生成物
本明細書に記載される方法を介して生成するポリマー(及びそのブレンド)には、例えば線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーが含まれ得るが、これらに限られない。
【0028】
本明細書で他に明示しなければ、すべての試験法は申請の時点における現法である。
【0029】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはエチレンに基づくポリマーを含む。本明細書で用いられる場合、「エチレンに基づく」という用語は「エチレンポリマー」又は「ポリエチレン」という用語と互換的に用いられ、例えばポリマーの合計重量に対して少なくとも約50重量%又は少なくとも約70重量%又は少なくとも約75重量%又は少なくとも約80重量%又は少なくとも約85重量%又は少なくとも約90重量%のポリエチレンを有するポリマーを指す。
【0030】
エチレンに基づくポリマーは、例えば約0.86g/cc〜約0.98g/cc又は約0.88g/cc〜約0.965g/cc又は約0.90g/cc〜約0.965g/cc又は約0.925g/cc〜約0.97g/ccの密度(ASTM D−792により測定される)を有することができる。
【0031】
エチレンに基づくポリマーは、例えば約0.001dg/分〜約1000dg/分又は約0.01dg/分〜約100dg/分又は約0.03dg/分〜約10dg/分のメルトインデックス(MI)(ASTM D−1238により測定される)を有することができる。
【0032】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーは高密度ポリエチレンを含む。本明細書で用いられる場合、「高密度ポリエチレン」という用語は、例えば約0.94g/cc〜約0.97g/ccの密度を有するエチレンに基づくポリマーを指す。
【0033】
1つもしくはそれより多い態様において、エチレンに基づくポリマーはチーグラー・ナッタ触媒から生成する。例えば1つもしくはそれより多い特別な態様において、エチレンに基づくポリマーは、連続的により強い塩素化剤と接触させることにより調製されるチーグラー・ナッタ触媒から生成する。
【0034】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーは高分子量ポリエチレンを含む。本明細書で用いられる場合、「高分子量ポリエチレン」という用語は、例えば約50,000〜約10,000,000の分子量を有するエチレンに基づくポリマーを指す。
【0035】
1つもしくはそれより多い態様において、エチレンに基づくポリマーは二峰性分子量分布を示すことができる(すなわちそれらは二峰性ポリマーである)。例えばサイズ排除クロマトグラフ(SEC)を用いて2つの明瞭な分子量ピークを含む単一の組成物は、「二峰性」ポリオレフィンであると考えられる。例えば分分子量画分は高分子量画分及び低分子量画分を含むことができる。
【0036】
高分子量画分は、低分子量画分の分子量より大きい分子量を示す。高分子量画分は、例えば約50,000〜約10,000,000又は約60,000〜約5,000,000又は約65,000〜約1,000,000の分子量を有することができる。対照的に、低分子量画分は例えば約500〜約50,000又は約525〜約40,000又は約
600〜約35,000の分子量を有することができる。
【0037】
二峰性ポリマーは、例えば約80:20〜約20:80又は約70:30〜約30:70又は約60:40〜約40:60の高分子量画分対低分子量画分の比率を有することができる。
【0038】
1つもしくはそれより多い態様において、エチレンに基づく二峰性ポリマーは、改質の前に線状である。本明細書で用いられる場合、「線状」という用語は、本質的に長鎖分枝がないポリエチレンを指す。しかしながら、エチレンに基づく二峰性ポリマーは、改質されると長鎖分枝を示すことができる。本明細書で用いられる場合、「長鎖分枝」という用語は、長さにおいて主鎖と類似のポリマー主鎖からの分枝を指し、それは少なくともポリマーのからみ合い(entanglement)に関する限界分子量(M)くらい大きな分子量を有する分枝として同定され得る。
【0039】
1つもしくはそれより多い態様において、エチレンに基づく二峰性ポリマーは、改質後により大きな流動学的幅(rheological breadth)を示す。本明細書で用いられる場合、「流動学的幅」は、粘度のニュートン型せん断速度依存性と指数法則型せん断速度依存性の間の遷移領域の幅を指す。流動学的幅はポリマーの緩和時間分布の関数であり、Cox−Merz則を仮定して、線形−粘弾性動的振動周波数掃引実験(linear−viscoelastic dynamic oscillatory frequency sweep experiments)を用いて形成される流れ曲線を、以下:
η=η[1+(λγ(n−1)/a
の通りの修正Carreau−Yasuda(CY)モデルを用いてフィッティングすることにより実験的に決定され、式中、ηは粘度(Pa s)であり、γはせん断速度(1/s)であり、aは流動学的幅パラメーターであり、λは緩和時間(s)であり、ηはゼロせん断粘度(Pa s)であり、nは指数法則定数である。
【0040】
1つもしくはそれより多い態様において、エチレンに基づく二峰性ポリマーは、上記と同じ方法で決定される約2.5X10〜約1.0X10のゼロせん断粘度を示す。
【0041】
生成物用途
ポリマー及びそのブレンドは、成形作業(forming operation)(例えばフィルム、シート、パイプ及び繊維押出し及び共押出しならびに吹込成形、射出成形及び回転式成形)のような当該技術分野における熟練者に既知の用途において有用である。フィルムには、例えば食品と接触するか又は食品と接触しない用途における、収縮フィルム、クリングフィルム、延伸フィルム(stretch film)、シーリングフィルム、配向フィルム(oriented film)、スナック包装、重包装袋、野菜袋、焼成及び冷凍食品包装、医療用包装、産業用ライナー(industrial liners)及び膜として有用な、押出し又は共押出しにより、あるいは積層により成形される吹込み、延伸又はキャストフィルムが含まれる。繊維には、例えば袋(sacks)、袋(bags)、ロープ、トワイン(twine)、カーペット裏地、カーペット糸、フィルター、おむつ生地、医療用衣服及びジオテキスタイルの製造のための編織又は不織形態における使用のためのスリットフィルム、モノィラメント、溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融吹込み繊維作業が含まれる。押出し製品には、例えば医療用チューブ、ワイア及びケーブルコーティング、シート、熱成形シート、ジオメンブレン(geomembranes)及び池ライナー(pond liners)が含まれる。成形品には、例えばビン、タンク、大中空製品、剛性食品容器及びおもちゃの形態の単層及び多層構造物が含まれる。
【0042】
1つもしくはそれより多い態様において、ポリマーはパイプ製品の成形に利用される。
例えばパイプ製品にはパイプ、チューブ、成形継手(molded fitting)、パイプコーティング及びそれらの組み合わせが含まれ得る。パイプ製品を、例えば産業/化学プロセス、採鉱作業、ガス配給、飲料水配給、ガス及び油生産、ファイバーオプティック管、下水システム及びパイプリライニングにおいて利用することができる。1つの態様において、高圧に耐えることができる厚壁パイプを提供する。
【0043】
パイプ製品の性質を向上させる先行技術の試みは、エチレンに基づくポリマーの使用ならびにエチレンに基づく二峰性ポリマーの限られた使用を含んだ。しかしながら、垂れ抵抗性はポリエチレンに特有の重要な性能であり、それはこれまでエチレンに基づく二峰性ポリマーを用いて達成され得なかった。本明細書に記載される二峰性ポリエチレンからのパイプ製品の成形は、一般的に有意な冷却時間を必要とする。冷却プロセスの間に、パイプ製品は一般に実質的に水平に整列した縦軸を有するように配置され、そこでパイプ壁は冷却の間に垂れ得る。この垂れは、パイプの壁の下部が壁の上部より大きな厚さを得る原因となる。パイプ製品における過剰の垂れはパイプ性能を低下させ(例えばより薄い部分はより弱い)、例えば加工を困難にする及び/又は流体がそこを通過して流れるのを妨げさせる。従って、垂れ抵抗性は、パイプ製品成形及びパイプ製品の成形に用いられるポリマーの選択における重要な特徴である。特に、厚壁パイプにおける垂れ抵抗性は、エチレンに基づく二峰性ポリマーを用いると特に困難であった。
【0044】
1つもしくはそれより多い態様において、パイプ製品は、例えば少なくとも約1インチ又は少なくとも約1.25インチ又は少なくとも約1.5インチの壁厚を有することができる。別の態様において、ポリマーを例えば熱成形品又は波板の成形に利用する。
【0045】
1つもしくはそれより多い態様において、パイプ製品は大きな直径(例えば少なくとも約42インチ又は42インチ〜約72インチの直径)を有する。
【0046】
垂れ抵抗性の決定のために流動学的方法が用いられる。本発明と結び付けて用いられるこの方法はポリマーの流動学に関し、非常に低い一定のせん断応力におけるポリマーの粘度の決定に基づく。この方法のために、747Paのせん断応力が選ばれた。このせん断応力におけるポリマーの粘度を190℃の温度で決定し、それはポリマーの重力流に逆比例する、すなわち粘度が高いほど重力流が低いことが見出された。本発明において、747Pa及び190℃での粘度は少なくとも650kPa.sでなければならない。747Pa及び190℃におけるポリマーの粘度の決定のための方法の段階のより詳細な説明を下記に示す。
【0047】
Bohlin CS Melt Rheometerのようなレオメーターの使用により決定を行う。レオメーター及びそれらの機能は、“Encyclopedia of Polymer Science and Engineering”,2nd Ed.,Vol.14,pp.492−509に記載されている。測定は、直径が25mmの2つのプレートの間の(一定の回転方向)一定の応力下で行われる。プレート間の間隙は1.8mmである。1.8mmの厚さのポリマー試料をプレートの間に挿入する。
【0048】
ポリマーが上記の特性を有するように製造された場合、得られる材料は低い垂れの傾向を有することが見出された。それは優れた押出し適性及び機械的性質も有する。
【実施例】
【0049】
本明細書で用いられる場合、ポリマー「A」はDow Chemicalsから商業的に入手可能な二峰性高密度ポリエチレンパイプ銘柄であった。
【0050】
本明細書で用いられる場合、ポリマー「B」はIneosからの二峰性高密度ポリエチ
レンパイプ銘柄であった。
【0051】
本明細書で用いられる場合、ポリマー「C」はTOTAL PETROCHEMICALS USA,Incから商業的に入手可能な二峰性高密度ポリエチレンパイプ銘柄であった。
【0052】
本明細書で用いられる場合、ポリマー「D」は、20ppmの改質剤を用いて改質されたTOTAL PETROCHEMICALS USA,Incからの二峰性高密度ポリエチレンであった。
【0053】
図1は、市販のHDPEs及び改質されたHDPE(ポリマーD)のゼロせん断粘度における増加を示す。
【0054】
前記は本発明の態様に向けられているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明の他の及びさらなる態様を工夫することができ、本発明の範囲は続く請求項により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに基づく二峰性ポリマーを準備し;
エチレンに基づく二峰性ポリマーを最高で約50ppmの過酸化物と配合して改質ポリエチレンを生成させ;
改質ポリエチレンをパイプに成形する
ことを含んでなるパイプ製品の成形方法。
【請求項2】
エチレンに基づく二峰性ポリマーをチーグラー・ナッタ触媒系から生成させ、ここでアルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を生成させ、マグネシウムジアルコキシド化合物を連続的により強い塩素化剤と接触させることによりチーグラー・ナッタ触媒系を調製する請求項1の方法。
【請求項3】
改質ポリエチレンが約10ppm〜30ppmの過酸化物を含む請求項1の方法。
【請求項4】
過酸化物が有機過酸化物を含む請求項1の方法。
【請求項5】
改質ポリエチレンが、エチレンに基づく二峰性ポリマーの流動学的幅パラメーター「a」より増加したパラメーター「a」を示す請求項1の方法。
【請求項6】
改質ポリエチレンが約0.19〜約0.21の流動学的幅パラメーター「a」を示す請求項1の方法。
【請求項7】
改質ポリエチレンが約0.8〜約7秒の緩和時間を示す請求項1の方法。
【請求項8】
改質ポリエチレンが約2.5*10Pa s〜約1.0*10Pa sのゼロせん断粘度を示す請求項1の方法。
【請求項9】
エチレンに基づく二峰性ポリマーが線状であり、改質ポリエチレンが長鎖分枝を示す請求項1の方法。
【請求項10】
エチレンに基づく二峰性ポリマーをフリーラジカル開始剤と配合することをさらに含んでなる請求項1の方法。
【請求項11】
フリーラジカル開始剤が酸素を含む請求項10の方法。
【請求項12】
エチレンに基づく二峰性ポリマーが高密度ポリエチレンを含む請求項1の方法。
【請求項13】
エチレンに基づく二峰性ポリマーが高分子量ポリエチレンを含み、高分子量ポリエチレンが約50,000〜約10,000,000のMwを示す請求項1の方法。
【請求項14】
請求項1の方法により成形されるパイプ製品。
【請求項15】
パイプ製品が少なくとも約1.25インチの壁厚を有する請求項14のパイプ製品。
【請求項16】
パイプ製品が少なくとも42インチの直径を有する請求項14のパイプ製品。

【図1】
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【公表番号】特表2013−517368(P2013−517368A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550026(P2012−550026)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/020775
【国際公開番号】WO2011/090846
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】