説明

垂直に延在する溝を地中に掘る掘削装置及びその方法

【課題】用途が広く、信頼性の高い掘削装置を提供する。
【解決手段】垂直に延在する溝を地中5に掘るための掘削装置であって、切削フレーム10、第1の切削輪機構21、および第2の切削輪機構22を有する溝壁切削装置1を備え、両切削輪機構21、22が、切削フレーム10の下の土塊を除去するために、切削フレーム10の下側に互いに隣接して配置されている掘削装置に関する。本発明は、溝壁切削装置1が、第1の切削輪機構21を第2の切削輪機構の斜め下側の方向に位置に調節することができる調節手段30を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直に延在する溝を地中に掘るための掘削装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な掘削装置は、たとえば特許文献1によって既知である。この既知の掘削装置では、切削輪は、ある領域で拡張された溝を掘るために、切削輪軸に垂直に通る軸の周りに枢動可能である。
【0003】
枢動可能な切削輪を有するさらに別の溝壁切削装置は、特許文献2から6によって既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0802286A2号
【特許文献2】独国特許第3602387号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0496926号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0109907号
【特許文献5】仏国特許出願公開第2565290号
【特許文献6】仏国特許出願公開第2579265号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、格別に用途が広く、著しく信頼性の高いことを特徴とする掘削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の掘削装置は、垂直に延在する溝を地中に掘るための掘削装置であって、切削フレーム、第1の切削輪機構、および第2の切削輪機構を有する溝壁切削装置を備え、前記両切削輪機構は、前記切削フレームの下の土塊を除去するために、前記切削フレームの下側に互いに隣接して配置され、前記第1の切削輪機構を前記第2の切削輪機構の斜め下側の方向の位置調節することができる調節手段を有すること、を特徴とする。
【0007】
本発明の基本的な思想は、第1の切削輪機構が、切削フレームおよび第2の切削輪機構に対して調節可能なように設けられていることに見ることができる。本発明によれば、第1の切削輪機構が、第2の切削輪機構の斜め下側の方向の位置に調節可能であり、すなわち、調節手段によってもたらすことができる調節移動が、一方で下向き方向の垂直成分を有し、さらに、第2の切削輪機構に向かう方向の水平成分も有する。たとえば、第1の切削輪機構が、調節手段によって第2の切削輪機構を取り囲む湾曲経路上に調節可能であるように整えることができる。詳細には、本発明による調節手段は、この湾曲経路が、第1の切削輪機構および/または第2の切削輪機構の回転軸に垂直に延在する平面内を通るように設計することができる。
【0008】
本発明による調節手段は、傾斜した除去面を生成することを可能にする。さらに、第1の切削輪機構を第2の切削輪機構の下側に斜めに変位させることによって、2つの切削輪機構の切削断面の重複をもたらすことができ、その結果、さらに、たとえば特別に固い土塊の場合に有利であり得る付加荷重の増加を可能にする。
【0009】
複雑な組立作業に関し、調節手段が少なくとも1つの操作棒を有し、その操作棒を介して第1の切削輪機構が切削フレームに連結されていることは、特に有利である。そのような操作棒によって、本発明によって形成される、第2の切削輪機構の斜め下側に位置する領域への調節経路は、とりわけ簡単で信頼できる方式で予め決定することができる。詳細には、調節手段が、平行に延在する2つの操作棒を有し、それら操作棒を介して第1の切削輪機構が切削フレームに連結されるように整えることができる。その結果、とりわけ信頼性が高く組立作業を最小限にしか必要とせず、本発明によって提供される調節経路を著しく容易に実現することができる4節リンク機構を形成することができる。より詳細には、4節リンク機構の平行4辺形態様の変位はまた、2つの切削輪機構の回転軸が、変位中、常にほぼ同じ間隔を保つという効果を有する。このようにして、除去されない土塊の隆起部が切削輪の間に残り、その上に溝壁切削装置が乗り上げかねないことを防止する。最も適切には、少なくとも1つの操作棒の関節結合の軸、詳細には平行な2つの操作棒の関節結合の軸が、切削輪機構の回転軸と平行に延在する。本発明による4節リンク機構は、揺動継手と呼ぶこともできる。
【0010】
溝を特に正確に掘削するためには、溝壁切削装置の案内面に、切削フレームが、該切削フレームを案内ポール上で案内するための少なくとも1つの案内手段を有することが有利であり得る。このようにして、地中に下降させるに際し、詳細には垂直方向に延在する案内ポール上で案内することができる案内式溝壁切削装置が得られる。
【0011】
案内手段は、たとえば少なくとも1つの案内シューを有し得る。詳細には、案内手段が、互いに上下に配置された少なくとも2つの案内シューを有するように整えることができ、それによって引掛りが防止される。好ましくは、少なくとも1つの案内シューが、案内ポール上の案内レールを抱え込む受け溝を有し得る。案内シューは、詳細には、摺動シューまたはローラ案内シューとして設計することができる。
【0012】
調節可能な第1の切削輪機構が、第2の切削輪機構より案内面の近くに配置されていることは特に有効である。それにより、この実施形態によれば、調節手段によって調節可能である切削輪機構が案内面に面し、第2の切削輪機構が案内面から遠い方へ面している。この実施形態では、案内ポールに隣接して配置されている第1の切削輪機構は、調節手段によって前記案内ポールから離れる方へ移動させることができる。これは、言い換えれば、幅広のポール基部を有する案内ポールを使用することを可能にし、その理由は、調節手段が、第1の切削輪機構をこのポール基部から離れる方へ移動させることができ、それによって、ポール基部に切り込むことが避けられるからである。
【0013】
案内手段が存在すれば、本発明によって、案内ポールを設け、案内手段によってその案内ポール上で溝壁切削装置を案内することができる。したがって、掘削装置はまた、案内ポールを備えることができる。
【0014】
詳細には、案内ポールが、切削輪機構によって除去される土塊を搬送する少なくとも1つのコンベヤラインを有するように整えることができる。本発明によれば、案内ポールは、一方では切削装置を案内し、他方では掘削された溝から土塊を運び去るようにも働く2重の機能を果たす。コンベヤラインは、たとえば案内ポールの内側に延在させることができる。その場合、案内ポールは、たとえばその外面に少なくとも1つの通路開口を有し得、それを通って土塊がコンベヤラインに入ることができる。
【0015】
本発明によれば、第1の切削輪機構は少なくとも1つの第1の切削輪を有し、第2の切削輪機構は少なくとも1つの第2の切削輪を有する。溝の掘削のためには、第1の切削輪の回転軸と第2の切削輪の回転軸とが互いに平行に延在することが特に有利である。
【0016】
第1の切削輪と第2の切削輪とが、同じ切削方向を有することが特に好ましい。これは、調節手段がなくてもやはり実現することができる本発明の独立した態様と考えることができる。本発明によれば、切削方向は、溝壁切削装置の側面図に関連させて理解することができる。たとえば、回転によって、全ての切削輪は、切削装置の側面図から見たとき、時計方向に切削し、または、同じ上記側面図から見たとき、半時計方向に切削するように整えることができる。そのような同一の切削方向は、除去された穿掘廃土を中央集積式ではない方式で、たとえば案内ポールによって搬送する場合に特に有利である。同一の切削方向の場合においては、全ての切削輪が、切削作動中、除去された土塊を同じ方向に、好ましくは、中央集積式ではない廃棄場所に運ぶ。
【0017】
特に良好な切削効果のために、第1の切削輪機構が、同軸に配置された2つの第1の切削輪をもつ第1の切削輪対を有し、第2の切削輪機構が、同軸に配置された2つの第2の切削輪をもつ第2の切削輪対を有するように整えることができる。たとえば、2つの切削輪機構が、それぞれ切削シールドを有し得、いずれもその切削シールドの両側に切削輪が配置されている。上記の理由により、共通の切削方向は切削輪対に関しても利点であり得る。詳細には、それによって、溝壁切削装置の側面図において、第1の切削輪対の切削輪および第2の切削輪対の切削輪は、全て同一の切削方向を有することが好ましい。
【0018】
切削輪が、切削方向に回転することによって、それら切削輪の下側の土塊を案内面の方へ運ぶことが特に有益である。この実施形態によれば、切削輪は、切削の機能を果たすだけではなく、切削中、除去された土塊を案内面の方へ、したがって案内面側に延在する案内ポールのコンベヤラインの方へ運ぶことも行う。
【0019】
複雑な組立作業に関し、溝壁切削装置がケーブル懸吊部によって懸吊されることが特に利点である。このケーブル懸吊部によって、溝壁切削装置を地中に降下させ、地中に掘られた溝から再び引き上げることができる。ケーブル懸吊部のみでは、しばしば限られた程度にしか実現することができない横方向の誘導を、本発明によれば、特に、案内手段および案内ポールによって確保することができる。
【0020】
本発明によれば、第2の切削輪機構、すなわち詳細には案内柱から遠い方に配置されている切削輪機構は、固定式に切削フレームに配置され、すなわち、第1の切削輪機構とは対照的に、切削フレームに対して調節可能ではないように整えることができる。これにより、溝に沿う特に信頼できる誘導が可能になる。
【0021】
第1の切削輪機構の特に信頼できる駆動式調節を確実に行うために、調節手段が少なくとも1つの油圧シリンダを有することが有益である。この場合、調節手段は油圧式調節と呼ぶこともできる。好ましくは、油圧シリンダは、一方で切削フレームに、他方で第1の切削輪機構に関節結合されている。動力消費量の最少化と共に、構造を特にコンパクトにするために、油圧シリンダの切削フレームへの関節結合点は、油圧シリンダの切削輪機構への関節結合点の上方に適切に設けられている。詳細には、油圧シリンダは、少なくともほぼ垂直方向に延在することができる。
【0022】
たとえば、第1の切削輪機構は、該第1の切削輪機構の少なくとも1つの切削輪の上に存在し、油圧シリンダおよび/または少なくとも1つの操作棒が関節結合される補助フレームを有し得る。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態では、切削フレームに、溝壁切削装置を溝の壁に固定するための少なくとも1つの伸張式フラップが設けられている。そのような伸張式フラップは、溝壁切削装置を溝の壁に押し付けることができ、それにより、その結果生じる壁の摩擦によって溝壁切削装置の垂直移動が防止される。フラップが伸張されて切削フレームが固定されると直ちに、たとえば、調節手段を作動させることができ、そうすることによって、第1の切削輪機構に負荷を掛けることができる。その結果、付加荷重が2つの切削輪機構の1つ、すなわち第1の切削輪機構のみに生じる構成を実現することができる。
【0024】
作動上の信頼性に関し、伸張式フラップが、平行に延在する2つのフラップ操作棒を介して切削フレームに連結されていることが特に有利である。より詳細には、フラップの調節をすることができる4節リンク機構を、そのようにして形成することができる。したがって、フラップ操作棒の関節結合軸は、適切には、互いに平行に延在する。
【0025】
溝壁切削装置の特に信頼性の高い作動を確保するためには、溝壁切削装置を溝の壁に固定する少なくとも2つの伸張式フラップを設けることが有利であり得る。詳細には、両方のフラップが、互いに垂直に延在する方向に伸張可能であることが有利であり得る。たとえば、第1のフラップは切削輪機構の回転軸に垂直に伸張することができ、第2のフラップはそれら回転軸の方向に伸張することができる。
【0026】
本発明はまた、地中に垂直に延在する溝を掘る方法に関し、その方法では、本発明による掘削装置の溝壁切削装置の切削輪機構を作動させ、溝壁切削装置を地中へ導き入れる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、格別に用途が広く、著しく信頼性の高いことを特徴とする掘削装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態による掘削装置の溝壁切削装置の斜視図である。
【図2】第1の切削輪機構が中立位置に位置する、図1の溝壁切削装置の側面図である。
【図3】図2の第1の切削輪機構が延伸された図である。
【図4】図1〜3の溝壁切削装置を有する掘削装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を用いてより詳細に説明する。
【0030】
本発明の実施形態による掘削装置用の溝壁切削装置1が図1〜3に示されている。溝壁切削装置1は、箱型の切削フレーム10を有し、切削フレーム10の上側でケーブル懸吊部19に懸吊されている。切削フレーム10の下側に、2つの切削輪機構21、22が設けられている。したがって、切削輪機構21、22は、切削フレーム10の前進方向に配置されている。
【0031】
図1で詳細に分かるように、第1の切削輪機構21は、垂直方向下方に向いた切削シールド25を有し、その両側にはいずれにも、切削輪23および23’がそれぞれ配置されている。第1の切削輪機構21の2つの切削輪23、23’は、互いに同軸に設計され、水平に通る共通の回転軸を有する。第1の切削輪機構21と同様に、第2の切削輪機構22もまた、垂直方向下方に延在する第2の切削シールド26を有し、その両側にはいずれにも、第2の切削輪24および24’がそれぞれ配置されている。同様に、第2の切削輪24、24’もまた、互いに同軸に設計され、水平に通る共通の回転軸を有する。第1の切削輪23、23’と第2の切削輪24、24’の回転軸は、互いに平行に延在する。
【0032】
第1の切削輪23、23’の回転駆動のために、第1の切削輪機構21は、切削シールド25の上に配置された第1の駆動モータ27を有する。同様に、第2の切削輪24、24’の回転駆動のために、第2の切削輪機構22は、第2の切削シールド26の上に配置された第2の駆動モータ28を有する。
【0033】
さらに、第1の切削輪機構21は、図2および3の側面図で外形がほぼ3角形の補助フレーム29を有する。この補助フレーム29は、切削フレーム10に対して移動可能である。補助フレーム29の下面に、第1の切削シールド25が固定されている。さらに、補助フレーム29には、第1の切削輪機構21の駆動モータ27が配置されている。
【0034】
第2の切削輪機構22は、切削フレーム10に固定式に設けられている。対照的に、第1の切削輪機構21は、調節手段30によって切削フレーム10に対し、したがって第2の切削輪機構22に対して調節可能であり、それに関し、調節手段30の機能は、詳細には、図2と図3の比較から明らかである。調節手段30は、一方(図2および3の右側)で切削フレーム10に関節結合され、他方(図2および3の左側)で第1の切削輪機構21、すなわちその補助フレーム29に関節結合された2つの平行に延在する操作棒31および32を有する。操作棒31および32の全ての関節結合軸は、互いに平行、かつ切削輪23、24の回転軸に平行で、水平に延在する。操作棒31、32を配置した結果として、4節リンク機構が生成され、第1のリンクは第1の操作棒31によって形成され、第2のリンクは切削フレーム10によって形成され、第3のリンクは第2の操作棒32によって形成され、第4のリンクは補助フレーム29によって形成される。図2および3に示されるように、この4節リンク機構によって、第1の切削輪機構21を所定の経路上で切削フレーム10に対し、したがって第2の切削輪機構22に対して変位させることができ、それによって、第1の切削輪機構21は、その経路に沿って、第2の切削輪機構22の斜め下側に位置を占めることができる。調節手段30の4節リンク機構によって事前設定される経路は、変位運動の間、第1の切削輪23の軸が、第2の切削輪24の軸に対する距離をほぼ維持するように設計されている。調節手段30によって生じる変位運動の間、図3に示されるように、切削輪23と24との切削断面の重複が起こり得る。
【0035】
やはり図2および3に詳細に示されるように、調節手段30は、油圧シリンダ34として設計された線形駆動機構をさらに有する。この油圧シリンダ34は、ほぼ垂直に延在し、一方で、補助フレーム29の上方で切削フレーム10に、他方で、第1の切削輪機構21自体の補助フレーム29に関節結合している。図3に示されるように、油圧シリンダ34が延伸すると、第1の切削輪機構21が、下方に伸出する。他方、油圧シリンダ34が縮退すると、切削輪機構21は、図2に示される中立位置に至るまで切削フレーム10の方へ後退し、両切削輪機構21および22、より詳細にはそれらの回転軸が、同じ高さ位置になる。中立位置では、図2に示すように、両操作棒31、32は水平に延在する。
【0036】
図1〜3の左側に、溝壁切削装置1は、切削フレーム10に上下に配置された2つの案内シュー11および12をもつ案内手段を有する。
【0037】
したがって、案内シュー11および12が配置されている切削装置の側面は、案内面3と呼ぶこともできる。図4を参照して、より詳細に以下に述べるように、案内シュー11、12は、溝壁切削装置1を案内ポール70上で案内するように働く。
【0038】
図1〜3にさらに示されるように、溝壁切削装置1は、その切削フレーム上に、伸張式フラップ41、42を有し、そのフラップを用いて、切削フレーム10が、掘られた溝の壁に固定され得る。第1のフラップ41は、案内面3の反対側のフレームの側面に配置されている。第2のより小さいフラップ42が、切削フレーム10の前方および後方に、すなわち切削輪23、24の回転軸の方向に見たとき正面の側に、対で配置されている。第1のフラップ41は、2本の平行に延在するフラップ操作棒43、43’を介して切削フレーム10に配置され、それによって、第1のフラップ41、フラップ操作棒43、43’、および切削フレーム10が、別の4節リンク機構を形成する。同様に、第2のフラップ42は、2本の平行に延在する操作棒44、44’を介して切削フレーム10に連結され、それによって、さらに別の4節リンク機構が形成される。第1のフラップ41を手動で伸張するために、油圧シリンダ45が設けられ、第2のフラップ42を手動で伸張するために、油圧シリンダ46が設けられている。両方のフラップ41および42は、互いに垂直に延在する方向に、すなわち、第1のフラップ41は切削輪23、24の回転軸に垂直に延在する方向に、第2のフラップ42は回転軸に平行に延在する方向に伸張することができる。
【0039】
図4は、本実施形態による掘削装置を示し、その掘削装置では、図1〜3の溝壁切削装置が案内ポール70上に配置され、本発明による方法を実施している。この案内ポール70は、少なくともほぼ垂直に地中5に差し込まれている。このために、たとえば穿掘孔を地中5に掘ってもよい。案内ポール70は、溝壁切削装置1を用いて前もって既に掘られている溝部分に差し込むこともできる。
【0040】
溝壁切削装置1は、案内シュー11、12を有する案内手段を介して、垂直に変位できるように案内ポール70上に配置されており、その結果、溝壁切削装置1がケーブル懸吊部19によって地中5に降下するとき、前記案内ポール70によって、切削方向が予め決定される。この場合、案内シュー11、12は、案内ポール70の垂直に延在するレールを抱え込む。
【0041】
図4に示すように、溝壁切削装置1が下降している間、第1の切削輪機構21は、調節手段30によって少なくとも一時的に進行方向前方へ移動させることができ、その結果、斜めに延在する除去面を生成することができる。
【0042】
案内ポール70の内部には、排出手段72に直列に接続されるコンベヤライン71を設けることができる。このコンベヤライン71を介して、切削輪機構21および22を用いて除去された土塊を排出することができる。
【0043】
図2および3から詳細に分かるように、第1の切削輪23は切削歯51を有し、第2の切削輪24は切削歯52を有する。これらの切削歯51および52は、回転すると切削輪機構21および22が同じ切削方向に切削するように設計されている。図示されている実施形態では、切削歯51、52は、回転中、全ての切削輪23、23’、24、24’が図2および3の側面図で時計方向に切削するように構成されている。切削方向は、切削輪23、24が、切削方向に回転すると、その下側の除去した土塊を案内面3に向けて、したがって案内ポール70に向けて、(したがって図示の実施形態の左に向けて)運ぶように選択されている。その結果、切削輪23、23’、24、24’は、その場の土塊を崩すだけではなく、同時に、土塊を案内ポール70に向けて、したがってコンベヤライン71に向けて搬送する。
【0044】
溝壁切削装置1の作動に際し、切削輪23、23’、24、24’が全て一方向の回転に設定され、溝壁切削装置1が、案内ポール70に沿って地中5に導き入れられる。そうすることによって、切削輪23、23’、24、24’が、その場の土塊を除去し、同時にそれを案内ポール70に向けて運び、そこで土塊はコンベヤライン71を介して排出される。
【0045】
斜めの除去断面を生成するために、第1のフラップ41および42を伸張することによって、切削フレーム10を垂直移動に対して一時的に固定するように整えることができ、その後、調節手段30の油圧シリンダ34を延伸させ、そうすることによって、第2の切削輪機構22の斜め下側に位置する方向へ第1の切削輪機構21を降下させる。
【符号の説明】
【0046】
1 溝壁切削装置、3 案内面、5 地中、10 切削フレーム、11,12 案内シュー、19 ケーブル懸吊部、21 第1の切削輪機構、22 第2の切削輪機構、23,23’ 第1の切削輪、24,24’ 第2の切削輪、25 第1の切削シールド、26 第2の切削シールド、27 第1の駆動モータ、28 第2の駆動モータ、29 補助フレーム、30 調節手段、31,32 操作棒、34 油圧シリンダ、41,42 フラップ、43,43’ フラップ操作棒、44,44’ 操作棒、45,46 油圧シリンダ、51,52 切削歯、70 案内ポール、71 コンベヤライン、72 排出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に延在する溝を地中に掘るための掘削装置であって、
切削フレーム、第1の切削輪機構、および第2の切削輪機構を有する溝壁切削装置を備え、
前記両切削輪機構は、前記切削フレームの下の土塊を除去するために、前記切削フレームの下側に互いに隣接して配置され、前記第1の切削輪機構を前記第2の切削輪機構の斜め下側の方向の位置調節することができる調節手段を有すること
を特徴とする掘削装置。
【請求項2】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記調節手段は平行に延在する2つの操作棒を有し、前記操作棒を介して前記第1の切削輪機構が前記切削フレームに連結されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項3】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記切削フレームは、前記切削フレームを案内ポール上で案内するための少なくとも1つの案内手段を前記溝壁切削装置の案内面に有することを特徴とする掘削装置。
【請求項4】
請求項3に記載の掘削装置であって、
前記案内手段が、互いに上下に配置された少なくとも2つの案内シューを有することを特徴とする掘削装置。
【請求項5】
請求項3に記載の掘削装置であって、
前記調節可能な第1の切削輪機構が、前記第2の切削輪機構より前記案内面の近くに配置されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項6】
請求項3に記載の掘削装置であって、
案内ポールが設けられ、前記案内ポール上を、前記溝壁切削装置が前記案内手段によって案内され、
前記案内ポールが、前記切削輪機構によって除去される土塊を搬送する少なくとも1つのコンベヤラインを有すること
を特徴とする掘削装置。
【請求項7】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記第1の切削輪機構が少なくとも1つの第1の切削輪を有し、
前記第2の切削輪機構が少なくとも1つの第2の切削輪を有し、
前記第1の切削輪と前記第2の切削輪とが、同じ切削方向を有すること
を特徴とする掘削装置。
【請求項8】
請求項3に記載の掘削装置であって、
前記切削輪が、前記切削方向に回転することによって、前記切削輪の下側の土塊を前記案内面の方へ運ぶことを特徴とする掘削装置。
【請求項9】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記溝壁切削装置が、ケーブル懸吊部で懸吊されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項10】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記第2の切削輪機構が、前記切削フレームに固定式に配置されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項11】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記調節手段が少なくとも1つの油圧シリンダを有し、前記油圧シリンダが、一方で前記切削フレームに、他方で前記第1の切削輪機構に関節結合されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項12】
請求項1に記載の掘削装置であって、
前記切削フレーム上に、前記溝壁切削装置を前記溝の壁に固定するための少なくとも1つの伸張式フラップが設けられていることを特徴とする掘削装置。
【請求項13】
請求項12に記載の掘削装置であって、
前記伸張式フラップが、平行に延在する2つのフラップ操作棒を介して前記切削フレームに連結されていることを特徴とする掘削装置。
【請求項14】
請求項12に記載の掘削装置であって、
前記溝壁切削装置を前記溝の壁に固定するための少なくとも2つの伸張式フラップが設けられ、両フラップが、互いに垂直に延在する方向に伸張可能であることを特徴とする掘削装置。
【請求項15】
垂直に延在する溝を地中に掘る方法であって、
請求項1に記載の掘削装置の前記溝壁切削装置の前記切削輪機構を作動させ、前記溝壁切削装置を地中に導き入れることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−226258(P2011−226258A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86147(P2011−86147)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(502407107)バウアー マシーネン ゲーエムベーハー (48)
【Fターム(参考)】