説明

型枠用間隔保持具、型枠用間隔保持具セット、及び、コンクリート構造物の施工方法

【課題】コンクリート構造物の内部で錆びが発生することがない型枠用間隔保持具、型枠用間隔保持具セット、及び、コンクリート構造物の施工方法を提供する。
【解決手段】型枠用間隔保持具1は、コンクリートから成り、内部にセパレーター31を挿入可能な貫通孔が形成された円筒部3と、コンクリートから成り、円筒部3の両端側に形成され、互いに対向する型枠33とそれぞれ接触する一対の端部4と、を備える。端部4は、貫通孔を囲む環形状を有する接触面と、接触面の内側であって貫通孔の周囲に形成され、接触面より奥側に凹んでいる凹部と、を備える。型枠間隔保持具1自体は錆びるおそれがない。セパレーター31は、生コンクリート37が硬化し、コンクリート構造物が構築された後に、貫通孔から容易に抜き取ることができる。よって、コンクリート構造物の内部で錆びが発生することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、型枠用間隔保持具、型枠用間隔保持具セット、及び、コンクリート構造物の施工方法に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スラブ、梁、壁などのコンクリート構造物を構築する際、型枠を組み立てる。従来、型枠の組み立てでは、型枠を所定位置に固定したり、互いに対向する型枠同士の間隔を一定に保つ型枠固定金具が使用される。
【0003】
型枠固定金具としては、セパレーターやフォームタイ(登録商標)などが例示される。セパレーターは互いに向かい合う2枚の型枠を貫通するように設置される。フォームタイは、各型枠の外側に突出したセパレーターの端部と螺合される。これにより、対向する各型枠はセパレーターとフォームタイによって両側から挟まれ、所定の間隔を隔てた位置で固定される。
【0004】
型枠が組み立てられると、その内側に生コンクリートを流し込む。生コンクリートを硬化すると、フォームタイや型枠を取り外す。セパレーターについては、コンクリート構造物から突出している部分のみを切除する。さらに、防水処理を施したり美感を整える必要がある場合は、コンクリート構造物の表面に表れているセパレーターを切除した跡や、凹んだ部位を適宜に補修する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−159237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の型枠固定金具または施工方法では、金属製のセパレーターがコンクリート構造物の内部に埋め込まれたまま残置される。このため、コンクリート構造物の内部でセパレーターが錆びるおそれがある。セパレーターが錆びると、その錆びがコンクリート構造物の表面に表れ、コンクリート構造物の美感が損なわれるという不都合がある。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンクリート構造物の内部で錆びが発生することがない型枠用間隔保持具、型枠用間隔保持具セット、及び、コンクリート構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明の型枠用間隔保持具は、対向する型枠同士の間に設置される型枠用間隔保持具であって、コンクリートまたはモルタルから成り、内部にロッドを挿入可能な貫通孔が形成された円筒部と、コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成り、前記円筒部の両端側に形成され、互いに対向する型枠とそれぞれ接触する一対の端部と、を備え、前記一対の端部の少なくとも一方は、前記貫通孔を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、前記接触面の内側であって前記貫通孔の周囲に形成され、前記接触面より奥側に凹んでいる凹部と、を備えているものである。
【0009】
[作用・効果]本発明に係る型枠用間隔保持具は、互いに向かい合う型枠の間に設置されて、型枠同士の間隔を一定に保つ。ここで、円筒部の材質はコンクリートまたはモルタルである。よって、円筒部は錆びるおそれがない。一対の端部の材質は、コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかである。よって、一対の端部も錆びるおそれがない。また、一対の端部は互いに向かい合う型枠とそれぞれ接触する。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。よって、型枠内に生コンクリートを流し込むときに貫通孔にロッドを挿入していても、ロッドに生コンクリートが接触しにくい。このため、生コンクリートが硬化し、コンクリート構造物が構築された後に、貫通孔からロッドを容易に抜き取ることができる。そして、そうすることによって、ロッド自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物の内部で錆びが発生することを防止できる。
【0010】
さらに、一対の端部の少なくとも一方は、接触面の内側に形成される凹部を有している。凹部はコンクリート構造物の表面に露出するとともに、貫通孔と通じている。よって、凹部を容易に塞ぐことができ、これによりコンクリート構造物を好適に補修することができる。
【0011】
ここで、「ロッド」とは、棒形状の部材という意味である。その材質は金属であってもよいし、金属でなくてもよい。ロッドとしては、互いに向かい合う2枚の型枠を貫通するように設置され、型枠を固定するために使用されるセパレーターなどの型枠固定具が例示される。また、「補修」とは、コンクリート構造物の表面を平坦にする処理であってもよいし、止水処理を伴うものであってもよい。
【0012】
上述した発明において、前記円筒部及び前記一対の端部は、型枠に流し込まれる生コンクリートと一体になってコンクリート構造物の内部に残置され、かつ、生コンクリートと一体になった後であっても、前記貫通孔に挿入されているロッドの抜き取りを許容することが好ましい。円筒部および一対の端部はコンクリート構造物の内部に残置されるので、コンクリート構造物を構築した後、円筒部及び一対の端部を取り外す手間を要しない。また、円筒部及び一対の端部が生コンクリートと一体になった後であっても、円筒部及び一対の端部は貫通孔からロッドを抜き取ることを許容する。このため、ロッドを貫通孔に挿入した状態で型枠内に生コンクリートを流し込むことができる。
【0013】
また、上述した発明において、前記凹部は、前記接触面の内周縁から奥側に向かって形成される内周壁と、前記内周壁から前記貫通孔に連続する、前記接触面と略平行な内奥面と、を備えることが好ましい。凹部は、シンプルな形状(たとえば、扁平な円柱形状、または、扁平な円錐台形状)の空間を形成することができる。また、内奥面は接触面と同様にコンクリート構造物の表面と略平行とである。よって、凹部を簡易に塞ぐことができる。
【0014】
また、上述した発明において、前記凹部を有する端部の外周面は、その径を減少させつつ前記接触面の外周縁と接合していることが好ましい。端部の外形状は、型枠と接触する接触面に向かって細くなっている。このため、端部をコンクリート構造物の内部に好適に残置させることができる。なお、外周面の径が減少する範囲は、凹部が形成されている端部の全体であってよいし、凹部が形成されている端部の一部であってもよい。
【0015】
また、上述した発明において、前記凹部を有する端部の外周面と前記接触面とは、湾曲面によってなめらかに接合されていることが好ましい。接触面の外周縁と生コンクリートを好適に一体にさせることができる。よって、接触面の外周縁の付近において、コンクリート構造物が欠けたりすることを好適に防止することができる。
【0016】
また、上述した発明において、前記円筒部とは別個に成形される端部部材を、前記円筒部の少なくとも一方の端部に取り付けて成り、前記端部部材には、前記接触面及び前記凹部と、前記凹部の略中央に配置され、前記貫通孔と通じる開口とが形成されていることが好ましい。円筒部および端部部材を別個に成形し、これら円筒部および端部部材を相互に接続することで、型枠用間隔保持具が構成される。このため、円筒部の長さを変えることによって、長さの異なる種々の型枠用間隔保持具を好適に製造することができる。言い換えれば、共通の端部部材を使用して種々の型枠用間隔保持具を好適に製造することができる。
【0017】
また、上述した発明において、前記円筒部とは別個に成形される端部部材を、前記円筒部の少なくとも一方の端部に取り付けて成り、前記端部部材には、前記接触面と、前記接触面の内側に配置され、前記貫通孔に比べて大きな径を有し、前記貫通孔と通じる開口とが形成されており、前記開口の内周面と、前記開口から露出する円筒部の端面とによって前記凹部が形成されることが好ましい。円筒部および端部部材を別個に成形し、これら円筒部および端部部材を相互に接続することで、型枠用間隔保持具が構成される。このため、円筒部の長さを変えることによって、長さの異なる種々の型枠用間隔保持具を好適に製造することができる。さらに、円筒部の端面を利用して凹部の一部を形成する。このため、端部部材に凹部全体を形成する場合に比べて、端部部材の形状を簡略化することができる。
【0018】
また、上述した発明において、前記円筒部と前記一対の端部を一体に形成して成ることが好ましい。円筒部と端部部材とを別個に成形する場合に比べて、製造工程を簡略化することができる。
【0019】
また、本発明の型枠用間隔保持具セットは、型枠用間隔保持具セットであって、請求項1から請求項8のいずれかに記載の型枠用間隔保持具と、コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成り、前記貫通孔、及び、前記端部の前記凹部の少なくともいずれかに詰めるための詰め部材と、を備えている。
【0020】
[作用・効果]本発明に係る型枠用間隔保持具セットは、型枠用間隔保持具と詰め部材を備えている。詰め部材はコンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成るので、錆びるおそれがない。このような詰め部材を備えているので、円筒部及び一対の端部が生コンクリートと一体となった後に、貫通孔、または/および、凹部を埋めることができる。これにより、コンクリート構造物を好適に補修することができる。
【0021】
また、本発明の型枠用間隔保持具は、対向する型枠同士の間に設置される型枠用間隔保持具であって、コンクリートまたはモルタルから成り、内部にロッドを挿入可能な貫通孔が形成された円筒部と、樹脂または金属から成り、前記円筒部の少なくとも一端側に着脱自在に取り付けられて型枠と接触するキャップ部材と、を備え、前記キャップ部材は、前記貫通孔と通じる開口と、前記開口を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、前記接触面に向かって径が増大している外周面と、を備えている。
【0022】
[作用・効果]本発明に係る型枠用間隔保持具は、互いに向かい合う型枠同士の間に設置されて、型枠同士の間隔を一定に保つ。ここで、円筒部の材質はコンクリートまたはモルタルである。よって、円筒部は錆びるおそれがない。他方、キャップ部材の材質は樹脂または金属である。また、キャップ部材の外周面の径は接触面に向かって増大している(換言すれば、キャップ部材の外形状は、型枠と接触する接触面に向かって太くなっている)。よって、型枠内に流し込んだ生コンクリートが硬化しても、コンクリート構造物からキャップ部材を容易に取り外すことができる。
【0023】
また、キャップ部材には接触面が形成されている。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。よって、型枠内に生コンクリートを流し込むときに貫通孔にロッドを挿入していても、ロッドに生コンクリートが接触しにくい。このため、生コンクリートが硬化し、コンクリート構造物が構築された後に、貫通孔からロッドを容易に抜き取ることができる。よって、ロッド自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物の内部で錆びが発生することを防止できる。
【0024】
また、上述した発明において、前記キャップ部材は、型枠に流し込まれる生コンクリートによって構築されるコンクリート構造物から取り外され、前記円筒部は、型枠に流し込まれる生コンクリートと一体になって、コンクリート構造物の内部に残置され、かつ、生コンクリートと一体になった後であっても、前記貫通孔に挿入されているロッドの抜き取りを許容することが好ましい。キャップ部材はコンクリート構造物から取り外されるので、キャップ部材を円筒部に取り付けた状態で型枠内に生コンクリートを流し込むことができる。他方、円筒部はコンクリート構造物の内部に残置されるので、コンクリート構造物を構築した後、円筒部を取り外す手間が要らない。また、円筒部が生コンクリートと一体になった後であっても、円筒部は貫通孔からロッドを抜き取ることを許容する。このため、ロッドを貫通孔に挿入した状態で型枠内に生コンクリートを流し込むことができる。
【0025】
また、本発明の型枠用間隔保持具セットは、請求項10または請求項11に記載の型枠用間隔保持具と、コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成り、前記キャップ部材をコンクリート構造物から取り外すときに形成される空間、及び、前記貫通孔の少なくともいずれかに詰めるための詰め部材と、を備えている。
【0026】
[作用・効果]本発明に係る型枠用間隔保持具セットは、型枠用間隔保持具と詰め部材を備えている。詰め部材はコンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成るので、錆びるおそれがない。このような詰め部材を備えているので、円筒部が生コンクリートと一体となった後、キャップ部材をコンクリート構造物から取り外した後にできる空間、または/および、貫通孔を埋めることができる。これにより、コンクリート構造物を好適に補修することができる。
【0027】
また、本発明のコンクリート構造物の施工方法は、コンクリート構造物の施工方法であって、コンクリートまたはモルタルから成る円筒部の内部に形成されている貫通孔にロッドを挿入し、前記ロッドを型枠に固定して、前記円筒部を対向する型枠同士の間で支持する工程と、型枠に生コンクリートを流し込む工程と、前記円筒部が生コンクリートと一体になり、前記円筒部をコンクリート構造物の内部に残置する工程と、型枠を取り外すとともに前記ロッドを前記円筒部から抜き取る工程と、を備えている。
【0028】
[作用・効果]本発明に係るコンクリート構造物の施工方法によれば、円筒部の材質は、コンクリートまたはモルタルである。よって、円筒部は錆びるおそれがない。支持する工程では、この円筒部の貫通孔にロッドを挿入し、このロッドの両端をそれぞれ型枠に固定する。これにより、円筒部を互いに向かい合う型枠同士の間で支持し、型枠同士の間隔を一定に保つことができる。
【0029】
流し込む工程では型枠の内側に生コンクリートを流し込む。残置する工程では、生コンクリートの硬化により、円筒部は生コンクリートと一体になり、コンクリート構造物の内部に埋設された状態で残される。抜き取る工程ではロッドを貫通孔から抜き取る。すなわち、ロッドはコンクリート構造物の内部に残らない。よって、錆びるおそれのあるロッドであっても、コンクリート構造物の施工方法において使用することができる。
【0030】
また、上述した発明において、前記円筒部の両端側には、対向する型枠とそれぞれ接触する一対の端部が形成されており、前記一対の端部の少なくとも一方は、前記貫通孔を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、前記接触面の内側であって前記貫通孔の周囲に形成され、前記接触面より奥側に凹んでいる凹部と、を備えており、前記残置させる工程では、前記一対の端部も生コンクリートと一体になり、前記一対の端部もコンクリート構造物の内部に残置することが好ましい。
【0031】
一対の端部の材質は、コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかである。よって、一対の端部は錆びるおそれがない。支持する工程では、この一対の端部は円筒部とともに型枠同士の間で支持される。このとき、一対の端部はそれぞれ互いに向かい合う型枠と接触している。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。このため、貫通孔にロッドを挿入していても、流し込む工程および残置する工程ではロッドに生コンクリートが接触しにくい。よって、抜き取る工程では、好適にロッドを抜き取ることができる。また、一対の端部の少なくとも一方は、接触面の内側に形成される凹部を有している。凹部はコンクリート構造物の表面に露出するとともに、貫通孔と通じている。よって、凹部を容易に塞ぐことができ、これにより、コンクリート構造物を好適に補修することができる。
【0032】
また、上述した発明において、前記支持する工程では、樹脂または金属から成り、型枠と接触するキャップ部材を前記円筒部の少なくとも一端に取り付け、前記円筒部とともに前記キャップ部材を支持し、前記抜き取る工程では、前記キャップ部材を前記コンクリート構造物から取り外し、前記キャップ部材は、前記貫通孔に通じる開口と、前記開口を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、前記接触面に向かって径が増大している外周面と、を備え、前記円筒部と着脱自在であることが好ましい。
【0033】
支持する工程では、円筒部及びキャップ部材が型枠同士の間で支持される。キャップ部材の材質は樹脂または金属である。また、キャップ部材の外周面の径は接触面に向かって増大している(換言すれば、キャップ部材の外形状は、型枠と接触する接触面に向かって太くなっている)。よって、抜き取る工程では、コンクリート構造物からキャップ部材を容易に取り外すことができる。
【0034】
キャップ部材には接触面が形成されている。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。このため、貫通孔にロッドを挿入していても、流し込む工程および残置する工程ではロッドに生コンクリートが接触しにくい。よって、抜き取る工程では、好適にロッドを抜き取ることができる。
【0035】
なお、本明細書は、次のような型枠用間隔保持具およびコンクリート構造物の施工方法に係る発明も開示している。
【0036】
(1)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、ロッドを前記貫通孔に挿入するとともに前記ロッドを型枠に固定することによって、前記円筒部および前記一対の端部を対向する型枠同士の間で支持可能である型枠用間隔保持具。
【0037】
前記(1)に記載の発明によれば、好適に円筒部および一対の端部を型枠同士の間に固定することができる。
【0038】
(2)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記接触面は前記貫通孔の軸心と略直交している型枠用間隔保持具。
【0039】
前記(2)に記載の発明によれば、接触面を型枠と好適に接触させることができる。
【0040】
(3)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記貫通孔は円柱形状の空隙であり、前記接触面は前記貫通孔と同心の円環形状である型枠用間隔保持具。
【0041】
前記(3)に記載の発明によれば、簡易な構造とすることができる。
【0042】
(4)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記接触面の外周縁の径は、前記円筒部の外径と同等以上である型枠用間隔保持具。
【0043】
前記(4)に記載の発明によれば、接触面と貫通孔との間に好適に凹部を形成することができる。
【0044】
(5)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記接触面の内周縁は、前記貫通孔と略同心で、かつ、前記貫通孔に比べて大きな径を有する型枠用間隔保持具。
【0045】
(6)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記内周壁は、前記貫通孔と略同心で、かつ、前記貫通孔に比べて大きな径を有する型枠用間隔保持具。
【0046】
前記(5)、(6)に記載の発明によれば、凹部は貫通孔に比べて大きいので、補修が簡易な形状の凹部とすることができる。
【0047】
(7)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記接触面の内周縁の径は、前記円筒部の外径に比べて小さい型枠用間隔保持具。
【0048】
(8)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記内周壁の径は、前記円筒部の外径未満である型枠用間隔保持具。
【0049】
前記(7)、(8)に記載の発明によれば、適度な大きさの凹部とすることができる。
【0050】
(9)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記内周壁の径は前記接触面に向かって増大している型枠用間隔保持具。
【0051】
前記(9)に記載の発明によれば、凹部に対して詰め部材を好適に嵌め込むことができる。
【0052】
(10)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記凹部が形成されている端部の外周面の径が減少する割合は、前記接触面に近づくに従って小さくなる型枠用間隔保持具。
【0053】
前記(10)に記載の発明によれば、端部の外周面と一体となる生コンクリートの厚みが、接触面の外周縁付近において、極端に薄くなることを好適に防止することができる。よって、外周縁の付近において、コンクリート構造物が欠けたりすることを好適に防止することができる。
【0054】
(11)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記凹部が形成されている端部の外周面は、円筒部に対して外方に張り出している型枠用間隔保持具。
【0055】
前記(11)に記載の発明によれば、凹部が形成されている端部に、適度な大きさの接触面と、この接触面に向かって径が減少する外周面を好適に形成することができる。
【0056】
(12)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記接触面と前記外周面との接合部の曲率半径は略1.5mmである型枠用間隔保持具。
【0057】
前記(12)に記載の発明によれば、コンクリート構造物の表面に表れる接触面の外周縁の付近において、コンクリート構造物が欠けたりすることを好適に防止することができる。
【0058】
(13)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記端部部材はさらに、前記円筒部の一端を嵌め込むための嵌合部を有する型枠用間隔保持具。
【0059】
前記(13)に記載の発明によれば、端部部材は嵌合部を備えているので、円筒部に端部部材を好適に取り付けることができる。
【0060】
(14)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記端部部材と前記円筒部とはコンクリートボンドで接着されている型枠用間隔保持具。
【0061】
前記(14)に記載の発明によれば、円筒部に端部部材を強固に接続することができる。
【0062】
(15)上述した発明に係る型枠用間隔保持具セットにおいて、前記詰め部材は、貫通孔より若干小さい径を有し、前記円筒部が前記型枠に流し込まれる生コンクリートと一体になった後に前記貫通孔内に挿入するための棒状体である型枠用間隔保持具セット。
【0063】
前記(15)に記載の発明によれば、貫通孔を好適に塞ぐ、または、埋めることができる。
【0064】
(16)上述した発明に係る型枠用間隔保持具セットにおいて、前記詰め部材は、前記凹部によって形成される空間と略同形状のフランジ部を有し、前記端部が前記型枠に流し込まれる生コンクリートと一体になった後に前記凹部に嵌め込むための栓部材である型枠用間隔保持具セット。
【0065】
前記(16)に記載の発明によれば、フランジ部を有する栓部材によれば、凹部を好適に塞ぐ、または、埋めることができる。
【0066】
(17)前記(16)に記載の型枠用間隔保持具セットにおいて、前記栓部材は、前記フランジ部の一方面の略中央から突出し、前記貫通孔に比べて若干小さい径を有する突出部を有する型枠用間隔保持具セット。
【0067】
前記(17)に記載の発明によれば、突出部が貫通孔に挿入されることで、栓部材を凹部に一層確実に嵌め込むことができる。
【0068】
(18)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記キャップ部材は略円錐台形状を呈する型枠用間隔保持具。
【0069】
前記(18)に記載の発明によれば、コンクリート構造物からキャップ部材を容易に取り外すことができる。
【0070】
(19)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記キャップ部材は、前記接触面の内側であって前記開口の周囲に形成され、前記接触面より奥側に凹んでいる凹部を備えている型枠用間隔保持具。
【0071】
前記(19)に記載の発明によれば、ロッドをキャップ部材から好適に抜き取ることができる。
【0072】
(20)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記円筒部に前記キャップ部材を取り付け、ロッドを前記貫通孔に挿入するとともに前記ロッドを型枠に固定することによって、前記円筒部及び前記キャップ部材を対向する型枠同士の間で支持可能である型枠用間隔保持具。
【0073】
前記(20)に記載の発明によれば、型枠同士の間で円筒部およびキャップ部材を好適に固定することができる。
【0074】
(21)上述した発明に係る型枠用間隔保持具において、前記キャップ部材は、前記貫通孔より若干小さい外径を有し、前記貫通孔に挿入されて円筒部と接続可能で、かつ、その内部にロッドを挿入可能な接続管を備えている型枠用間隔保持具。
【0075】
前記(21)に記載の発明によれば、接続管を貫通孔に挿入することによって、キャップ部材を円筒部に好適に着脱自在に取り付けることができる。
【0076】
(22)上述した発明に係る型枠用間隔保持具セットにおいて、前記詰め部材は、前記キャップ部材と略同じ外周面と、略平坦な端面を有し、前記キャップ部材の取り外しによって形成される空間に嵌め込まれる栓部材である型枠用間隔保持具セット。
【0077】
前記(22)に記載の発明によれば、栓部材を備えているので、キャップ部材の取り外しによって形成された空間を好適に塞ぐ、または、埋めることができる。
【0078】
(23)上述した発明に係るコンクリート構造物の施工方法において、さらに、前記一対の端部が生コンクリートと一体になった後に、前記凹部に詰め部材を取り付ける工程を備えているコンクリート構造物の施工方法。
【0079】
前記(23)に記載の発明によれば、コンクリート構造物の表面を好適に仕上げることができる。
【0080】
(24)上述した発明に係るコンクリート構造物の施工方法において、さらに、前記詰め部材は、前記キャップ部材の取り外しによって形成される空間に詰め部材を取り付ける工程を備えているコンクリート構造物の施工方法。
【0081】
前記(24)に記載の発明によれば、コンクリート構造物の表面を好適に仕上げることができる。
【発明の効果】
【0082】
本発明に係る型枠用間隔保持具は、互いに向かい合う型枠の間に設置されて、型枠同士の間隔を一定に保つ。ここで、円筒部の材質はコンクリートまたはモルタルである。よって、円筒部は錆びるおそれがない。一対の端部の材質は、コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかである。よって、一対の端部も錆びるおそれがない。また、一対の端部は互いに向かい合う型枠とそれぞれ接触する。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。よって、型枠内に生コンクリートを流し込むときに貫通孔にロッドを挿入していても、ロッドに生コンクリートが接触しにくい。このため、生コンクリートが硬化し、コンクリート構造物が構築された後に、貫通孔からロッドを容易に抜き取ることができる。そして、そうすることによって、ロッド自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物の内部で錆びが発生することを防止できる。
【0083】
さらに、一対の端部の少なくとも一方は、接触面の内側に形成される凹部を有している。凹部はコンクリート構造物の表面に露出するとともに、貫通孔と通じている。よって、凹部を容易に塞ぐ、または、埋めることができ、これによりコンクリート構造物を好適に補修することができる。
【0084】
本発明に係る型枠用間隔保持具は、互いに向かい合う型枠同士の間に設置されて、型枠同士の間隔を一定に保つ。ここで、円筒部の材質はコンクリートまたはモルタルである。よって、円筒部は錆びるおそれがない。他方、キャップ部材の材質は樹脂または金属である。また、キャップ部材の外周面の径は接触面に向かって増大している(換言すれば、キャップ部材の外形状は、型枠と接触する接触面に向かって太くなっている)。よって、型枠内に流し込んだ生コンクリートが硬化しても、コンクリート構造物からキャップ部材を容易に取り外すことができる。
【0085】
また、キャップ部材には接触面が形成されている。これにより、貫通孔は型枠によって塞がれた状態となる。よって、型枠内に生コンクリートを流し込むときに貫通孔にロッドを挿入していても、ロッドに生コンクリートが接触しにくい。このため、生コンクリートが硬化し、コンクリート構造物が構築された後に、貫通孔からロッドを容易に抜き取ることができる。よって、ロッド自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物の内部で錆びが発生することを防止できる。
【0086】
本発明に係る型枠用間隔保持具セットは、型枠用間隔保持具と詰め部材を備えている。詰め部材はコンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成るので、錆びるおそれがない。このような詰め部材を備えているので、円筒部及び一対の端部が生コンクリートと一体となった後に、貫通孔、または/および、凹部を塞ぐことができる。あるいは、このような詰め部材を備えているので、円筒部が生コンクリートと一体となった後、キャップ部材をコンクリート構造物から取り外した後にできる空間、または/および、貫通孔を塞ぐことができる。これらにより、コンクリート構造物を好適に補修することができる。
【0087】
本発明に係るコンクリート構造物の施工方法によれば、円筒部の材質は、コンクリートまたはモルタルである。よって、円筒部は錆びるおそれがない。支持する工程では、この円筒部の貫通孔にロッドを挿入し、このロッドの両端をそれぞれ型枠に固定する。これにより、円筒部を互いに向かい合う型枠同士の間で支持し、型枠同士の間隔を一定に保つことができる。
【0088】
流し込む工程では型枠の内側に生コンクリートを流し込む。残置する工程では、生コンクリートの硬化により、円筒部は生コンクリートと一体になり、コンクリート構造物の内部に埋設された状態で残される。抜き取る工程ではロッドを貫通孔から抜き取る。すなわち、ロッドはコンクリート構造物の内部に残らない。よって、錆びるおそれのあるロッドであっても、コンクリート構造物の施工方法において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施例1に係る型枠用間隔保持具の斜視図である。
【図2】実施例1に係る型枠用間隔保持具の断面図である。
【図3】型枠用間隔保持具の要部の分解断面図である。
【図4】端部部材の成形型の一例を示す外観斜視図である。
【図5】(a)、(b)は端部部材の成形型の断面図である。
【図6】型枠用間隔保持具を型枠同士の間で支持する工程を示す図である。
【図7】型枠内に生コンクリートを流し込む工程を示す図である。
【図8】型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程である。
【図9】実施例2に係る型枠用間隔保持具セットの斜視図である。
【図10】栓部材の成形型の一例を示す外観斜視図である。
【図11】貫通孔に詰め部材(棒状体)を取り付けた様子を示す図である。
【図12】凹部に詰め部材(栓部材)を取り付けた様子を示す図である。
【図13】実施例3に係る型枠用間隔保持具の斜視図である。
【図14】実施例3に係る型枠用間隔保持具の断面図である。
【図15】型枠用間隔保持具の要部の分解断面図である。
【図16】型枠用間隔保持具を型枠同士の間で支持する工程を示す図である。
【図17】型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程である。
【図18】実施例4に係る型枠用間隔保持具の斜視図である。
【図19】実施例4に係る型枠用間隔保持具の要部断面図である。
【図20】型枠用間隔保持具を型枠同士の間で支持する工程を示す図である。
【図21】型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程を示す図である。
【図22】実施例5に係る型枠用間隔保持具の斜視図である。
【図23】実施例5に係る型枠用間隔保持具の断面図である。
【図24】型枠用間隔保持具の要部の分解断面図である。
【図25】型枠用間隔保持具を型枠同士の間で支持する工程を示す図である。
【図26】型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程を示す図である。
【図27】実施例6に係る型枠用間隔保持具セットの斜視図である。
【図28】貫通孔に詰め部材(棒状体)を取り付けた様子を示す図である。
【図29】キャップ部材を取り外した後にコンクリート構造物の表面にできる空間に詰め部材(栓部材)を取り付けた様子を示す図である。
【図30】変形実施例に係る型枠間隔保持具の断面図である。
【図31】変形実施例に係る型枠間隔保持具の断面図である。
【図32】変形実施例に係る型枠間隔保持具の断面図である。
【図33】変形実施例に係る型枠間隔保持具の斜視図である。
【図34】変形実施例に係る型枠間隔保持具の断面図である。
【実施例1】
【0090】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る型枠用間隔保持具の斜視図であり、図2は、実施例1に係る型枠用間隔保持具の断面図であり、図3は、型枠用間隔保持具の要部の分解断面図である。
【0091】
本実施例に係る型枠用間隔保持具1は、互いに対向する型枠33a、33b(図6参照)の間に設置され、型枠33a、33b同士の間隔を一定距離で保持する。図1に示すように、型枠間隔保持具1は、円筒形状を呈する円筒部3と、この円筒部3の両端側に形成される一対の端部4a、4bとを備えている。型枠間隔保持具1の端部4a、4bは、対向する型枠33a、33bとそれぞれ接触する。なお、以下の説明では、端部4a、4bを特に区別しない場合は、単に「端部4」と呼ぶ。また、型枠33a、33bを特に区別しない場合は単に「型枠33」と呼ぶ。
【0092】
この型枠間隔保持具1は、円筒部3及び端部部材5を別個に成形してから、これら円筒部3及び端部部材5を相互に連結したものである。円筒部3及び端部部材5の材質は、いずれもコンクリートである。各端部部材5は上述の端部4a、4bを構成する。
【0093】
図2、図3に示すように、円筒部3の内部には、セパレーター31(図6参照)を挿入可能な貫通孔Aが形成されている。貫通孔Aはセパレーター31よりも大きい径R1を有する円柱形状の空隙である。なお、貫通孔Aを形成する円筒部3の内周面は平滑であり、当該内周面にセパレーター31と結合するための螺子溝や凹凸は形成されていない。貫通孔Aは、その軸心Pが円筒部3の中心軸と一致するように配置されている。セパレーター31は、本発明におけるロッドに相当する。
【0094】
図1乃至図3に示すように、端部部材5の外形状は、略円錐台形状を有する。径の比較的小さい方が型枠33と接触する先端側となり、径の比較的大きい方が円筒部3と接続される基端側となる。
【0095】
端部部材5の先端側の端面には、接触面11と凹部13が形成されている。接触面11は貫通孔Aを囲む円環形状を有し、型枠33と直接的に面接触する。この接触面11は、貫通孔Aの軸心Pと略直交する平面内に形成されている。接触面11を画定する内周縁11a及び外周縁11bは、いずれも貫通孔Aの軸心Pと略同心である。内周縁11aの径r1は、貫通孔Aの径R1よりも大きく、かつ、円筒部3の外径R2より小さい。外周縁11bの径r2は、円筒部3の外径R2と略同じである。
【0096】
凹部13は、接触面11の内側(内周側)であって貫通孔Aの周囲に形成されている。凹部13は、接触面11に比べて奥側に凹んでいる。このため、凹部13は型枠33と接触しない。また、凹部13は、奥側から接触面11に向かって拡大する扁平な略円錐台形状の空間を形成する。
【0097】
より詳細には、凹部13は、内周壁13aと内奥面13bとを有している。内周壁13aは、内周縁11aから奥側に向かって形成されている。内周壁13aの径r3は、接触面11から奥側に向かって徐々に小さくなっている。ただし、内周壁13aの径r3は、少なくとも貫通孔Aの径R1より大きい値を採る。内奥面13bは、内周壁13aの奥端から、その内側(内周側)に張り出すように形成されている。この内奥面13bは接触面11と略平行である。
【0098】
この内奥面13bの中央には、貫通孔Aに通じる開口B1が形成されている。開口B1は、貫通孔Aと略同じ大きさの円形状であり、開口B1の中心が貫通孔Aの軸心Pと一致するように開口部B1が配置されている。したがって、軸心P方向から見たとき、開口B1の範囲と貫通孔Aの範囲は略一致する。
【0099】
外周縁11bには、端部部材5の外周面15が接合している。外周面15と接触面11とは、湾曲面によってなめらかに連続している。具体的には、外周面15と接触面11との接合部(外周縁11b)の曲率半径は、たとえば1.5mmであることが好ましい。
【0100】
この外周面15は、さらに先端部分15aと基端部分15bとに分けられる。先端部分15aは、接触面11(先端)に向かって外周面15の径r4を減少させつつ(縮径しつつ)、外周縁11bと接合する。さらに、先端部分15aでは、外周面15の径r4が減少する割合は、接触面11(先端)に近づくに従って小さくなる。このため、図2、図3に示すように、先端部分15aは接触面11に向かって細くなるように傾斜しているが、傾斜の勾配は接触面11に近づくほど緩やかになっている。
【0101】
基端部分15bでは、外周面15の径r4は、円筒部3の外径R2より一回り大きい値で一定である。基端部分15bは、円筒部3に対して外方に張り出している。
【0102】
端部部材5の基端側の端面には、円筒部3の一端を嵌め込むための嵌合部17が形成されている。嵌合部17は円形の穴部である。嵌合部17の径は円筒部3の外径R2より若干大きい。嵌合部17の中心は、開口B1の中心と略一致している。嵌合部17の深さd1は、端部部材5全体の長さd2の約3分の1程度である。この嵌合部17は、上述した開口B1を通じて、端部部材5の先端側に通じている。
【0103】
この嵌合部17に円筒部3の端部を挿入することにより、円筒部3と端部部材5は接続されている。円筒部3に端部部材5を取り付ける際には、コンクリートボンドによって円筒部3と端部部材5とを接着することが好ましい。
【0104】
上述した円筒部3自体は、例えば押し出し成形型によって成形される。また、端部部材5自体は、例えば成形型を用いて成形される。以下、端部部材5の製法について説明する。
【0105】
図4、図5を参照する。図4は端部部材5の成形型の一例を示す外観斜視図であり、図5(a)、(b)は端部部材5の成形型の断面図である。端部部材5の成形型21は、互いに着脱可能な下部材23と上部材25とに分割されている。
【0106】
下部材23は、端部部材5の接触面11、凹部13、開口B1、及び、外周面15に対応した形状のキャビティC1が形成されている。下部材23は、キャビティC1の底部の略中央から上方に突出する円筒形状の突出部23aを備えている。突出部23aの外形状は開口B1に対応している。
【0107】
上部材25は、嵌合部17に対応した略円盤形状を有する。上部材25の下面25aの略中央から下方に連結軸25bが突出している。この連結軸25bを突出部23aに挿入することにより、下部材23と上部材25とを連結可能である。下部材23に上部材25を連結したとき、上部材25の上面25cの高さ位置は、下部材23の上端面23bの高さ位置と略一致するように設定されている。
【0108】
そして、まず、図5(a)に示すように、上部材25を取り外して、下部材23のキャビティC1に生コンクリート27を流し込む。続いて、図5(b)に示すように、下部材23に上部材25を連結する。この際、余剰の生コンクリート27をヘラなどで掻き取り、下部材23の上端面23b及び上部材25の上面25cに沿って生コンクリート27を平坦に掻き均す。このとき、上端面23bと上面25cの高さが同じであるので、容易に平坦に均すことができる。
【0109】
そして、所定の温度および湿度管理のもとで養生する。これにより、端部部材5を成形し、硬化させる。養生を終えると、上部材25を下部材23から取り外す。さらに、下部材23に衝撃や振動などを与えて、下部材23から端部部材5を脱型する。
【0110】
次に、図6乃至8を参照して実施例1に係る型枠用間隔保持具1の使用例を説明する。図6は型枠用間隔保持具1を型枠同士の間で支持する工程を示す図であり、図7は型枠内に生コンクリートを流し込む工程を示す図であり、図8は型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程である。
【0111】
1.支持する工程
図6に示すように、貫通孔Aにセパレーター31を挿入し、このセパレーター31の両端を型枠33a、33bに貫通させる。各型枠33a、33bの外側に突出したセパレーター31の端部にフォームタイ35a、35bをそれぞれ締結する。このとき、セパレーター31に付設される羽根31aが型枠33a、33bに食い込み、セパレーター31自体が型枠33a、33bに対して回転しにくくなる。このため、フォームタイ35a、35bをセパレーター31に対して強く締め付けることができ、セパレーター31を型枠33a、33bに強固に固定することができる。
【0112】
また、セパレーター31に付設される座金31bは凹部13内に収まり、端部4aが型枠33aと接触することを妨げない。よって、型枠間隔保持具1の端部4a、4bは型枠33a、33bの内側と的確に接触する。そして、型枠間隔保持具1は、セパレーター31に応じた位置において、型枠33a、33bによって両側から挟まれるように保持される。これにより、型枠33a、33bは互いに一定の間隔は保った状態で固定される。なお、以下の説明では、フォームタイ35a、35bを特に区別しない場合は単に「フォームタイ35」と記載する。
【0113】
2.流し込む工程
図7に示すように、型枠33によって区画された中に、生コンクリート37を流し込む。型枠用間隔保持具1は生コンクリート37の中に埋まり、円筒部3及び端部4の表面には生コンクリート37が付着する。しかし、接触面11が型枠33と接触しているため、セパレーター31には生コンクリート37が付着しにくい。
【0114】
3.残置する工程
図7に示す状態で、所定の期間、養生する。生コンクリート37は硬化し、円筒部3、及び、端部4は生コンクリート37と一体となる。これら円筒部3、及び、端部4はコンクリート構造物39の内部に残置される。
【0115】
4.抜き取る工程
図8に示すように、フォームタイ35をセパレーター31から取り外して、型枠33を取り外すとともに、セパレーター31を円筒部3から抜き取る。これにより、生コンクリート37によって構築されたコンクリート構造物39が表れる。コンクリート構造物39の表面には、接触面11と凹部13が露出する。凹部13は貫通孔Aに通じている。
【0116】
このように、実施例1に係る型枠用間隔保持具1及びコンクリート構造物39の施工方法によれば、円筒部3及び一対の端部4a、4bはそれぞれ、コンクリートから成るので錆びるおそれがない。よって、コンクリート構造物39の内部に残置されてもコンクリート構造物39の内部で錆びが発生することはない。むしろ、円筒部3及び一対の端部4a、4bは、コンクリート構造物39と材質が実質的に同じであるので、コンクリート構造物39(生コンクリート37)と好適に一体となる。
【0117】
また、円筒部3は貫通孔Aを有している。このため、型枠間隔保持具1にセパレーター31等の型枠固定金具を組み合わせて使用することができる。すなわち、セパレーター31を貫通孔Aに挿入するとともにセパレーター31を型枠33に固定することによって、型枠用間隔保持具1を対向する型枠33同士の間で好適に支持することができる(支持する工程)。
【0118】
また、一対の端部4a、4bはそれぞれ型枠33a、33bと接触する(支持する工程、流し込む工程、及び、残置する工程)。より詳細には、貫通孔Aを囲む環形状の接触面11が、型枠33と接触する。このため、貫通孔Aの両側は型枠33によって塞がれ、貫通孔Aに生コンクリート37が浸入しにくい。
【0119】
よって、型枠33内に生コンクリート37を流し込むときにセパレーター31を貫通孔Aに挿入していても、セパレーター31に生コンクリート37が接触しにくい(流し込む工程)。このため、生コンクリート37が硬化し、コンクリート構造物39が構築された後に、貫通孔Aからセパレーター31を容易に抜き取ることができる(抜き取る工程)。そして、セパレーター31を抜き取ることによって、仮にセパレーター31が金属製であり、セパレーター31自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物39の内部で錆びが発生することを防止できる。また、セパレーター31を抜き取ることによって、セパレーター31を繰り返し使用することができる。
【0120】
また、端部4は接触面11の内側に凹部13を有している。この凹部13はコンクリート構造物39の表面にそのまま露出する。よって、この凹部13を容易に閉塞することができる。また、この凹部13は貫通孔Aと通じている。よって、凹部13を閉塞することによって、貫通孔Aも閉塞することができる。このため、コンクリート構造物39を効果的に補修することができる。
【0121】
また、内周壁13a及び内奥面13bを有する凹部13によって形成される空間は、簡略な形状(具体的には、扁平な円錐台形状)を呈する。よって、凹部13を簡易に閉塞することができる。また、接触面11及び内奥面13bは、コンクリート構造物39の表面と略平行であるので、凹部13を一層簡易に閉塞することができる。
【0122】
また、外周面15は縮径しつつ接触面11の外周縁11bと連続している。これにより、端部4を、コンクリート構造物39から離脱しにくい構造とすることができる。この結果、端部4をコンクリート構造物39の内部に好適に残置させることができる。
【0123】
さらに、外周面15の径r4が減少する割合は、接触面11に近づくに従って小さくなる。このため、端部4と一体となる生コンクリート37の厚みが、外周縁11b付近において、極端に薄くなることを好適に防止することができる。よって、外周縁11bの付近において、コンクリート構造物39が欠けたりすることを好適に防止することができる。
【0124】
また、接触面11と外周面15は湾曲面によってなめらかに接合されている。このため、端部4は、外周縁11b付近においても、生コンクリート37と好適に一体となる。よって、外周縁11bの付近において、コンクリート構造物39が欠けたりすることを一層防止することができる。
【0125】
また、型枠用間隔保持具1は、別個に成形される円筒部3及び端部4を互いに接続して構成される。形状が単純な円筒部3については押し出し成形等によって簡易に製造することができる。また、長さの異なる複数種の円筒部3を準備し、各種の円筒部3に共通の端部部材5をそれぞれ装着することで、長さの異なる種々の型枠用間隔保持具1を容易に製造することができる。
【0126】
また、実施例1にコンクリート構造物の施工方法によれば、支持する工程では、この円筒部3の貫通孔Aにセパレーター31を挿入し、このセパレーター31の両端をそれぞれ型枠33に固定する。これにより、円筒部3を互いに向かい合う型枠33同士の間で支持し、型枠33同士の間隔を一定に保つことができる。
【0127】
また、残置する工程では、円筒部3及び端部4を、コンクリート構造物39の内部に残置する。抜き取る工程では、セパレーター31を貫通孔Aから抜き取り、セパレーター31はコンクリート構造物39の内部に残さない。よって、セパレーター31自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物39の内部で錆びを発生させることがない。
【実施例2】
【0128】
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。図9は、実施例2に係る型枠用間隔保持具セット41の斜視図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0129】
図9に示すように、本実施例の型枠用間隔保持具セット41は、型枠用間隔保持具1と、棒状体43と、栓部材45とを備えている。なお、棒状体43と栓部材45は、それぞれ本発明における詰め部材に相当する。型枠用間隔保持具1は、実施例1で説明したものと同じであるので説明を省略し、棒状体43と栓部材45について説明する。
【0130】
棒状体43は、円筒部3の貫通孔Aに挿入するための部材である。本実施例では、コンクリート構造物39を構築した後、その内部に残置されている円筒部3の貫通孔Aに棒状体43を挿入する。棒状体43は、貫通孔Aに挿入したときに貫通孔Aを完全に閉塞したり、貫通孔Aを隙間無く埋めることが好ましい。但し、棒状体43としては、これに限定されない。例えば、貫通孔Aに挿入しても多少の隙間が残存する棒状体43であってもよい。
【0131】
棒状体43は、貫通孔Aより若干小さい径を有する円柱形状を有する。棒状体43の長さは、使用時に貫通孔Aの隙間が少なくなるように選択設計されている。本実施例では、棒状体43の長さは、後述する栓部材45の軸部47の長さとの関係で決められる。棒状体43の材質はコンクリートである。棒状体43は押し出し成形法等によって、型枠間隔保持具1(円筒部3及び端部部材5)とは別個に成形される。
【0132】
栓部材45は、凹部13に嵌め込むための部材である。本実施例では、コンクリート構造物39を構築後、その内部に残置される端部4の凹部13に栓部材45を嵌め込む。栓部材45の材質もコンクリートである。栓部材45はフランジ部46と軸部47とを備えている。
【0133】
フランジ部46は、凹部13によって形成される空間に対応した形状を有する。本実施例では、フランジ部46は扁平な円錐台形状を呈する。軸部47は、フランジ部46の両面のうち、比較的に径の小さい一方面の略中央から突出している。軸部47は、貫通孔Aに比べて若干小さい径を有している。このような栓部材45は、例えば、成形型を用いて成形される。
【0134】
図10は、栓部材45の成形型の一例を示す外観斜視図である。図示するように、成形型49は、栓部材45に対応した形状のキャビティC2が形成されている。そして、成形型49のキャビティC2に生コンクリートを流し込み、養生後に成形型49から栓部材45を脱型する。
【0135】
次に、図11、図12を参照して実施例2に係る型枠用間隔保持具セット41の使用例を説明する。ここで、実施例2の使用例は、実施例1で説明した「1.支持する工程」から「4.抜き取る工程」を行い、さらに、その後に、取り付ける工程を行うものである。このため、取り付ける工程のみについて説明する。図11は貫通孔Aに詰め部材(棒状体43)を取り付けた様子を示す図であり、図12は凹部に詰め部材(栓部材45)を取り付けた様子を示す図である。
【0136】
5.取り付ける工程
図11に示すように、コンクリート構造物39の内部に残置された円筒部3の貫通孔Aに、棒状体43を挿入する。この際、コンクリートボンドを介して棒状体43と円筒部3とを接着することが好ましい。これによれば、棒状体43を貫通孔Aに好適に固定することができる。また、棒状体43を挿入したときに貫通孔Aに残る隙間を一層少なくすることができる。
【0137】
続いて、図12に示すように、コンクリート構造物39の内部に残置された端部4の凹部13に栓部材45を嵌め込む。具体的には、軸部47を貫通孔Aに挿入し、この軸部47が形成されているフランジ部46の一方面を内奥面13bに接触させる。これにより、フランジ部46の周面が内周壁13aに接触する。フランジ部46の他方面は、コンクリート構造物39の表面に露出する。この際も、コンクリートボンドを介して栓部材45と凹部13とを接着することが好ましい。これによれば、栓部材45を凹部13に対して接着、固定することができる。
【0138】
このように、実施例2に係る型枠用間隔保持具セット41によれば、棒状体43及び栓部材45を備えているので、コンクリート構造物39を好適に補修することができる。また、実施例2に係るコンクリート構造物39の施工方法によれば、取り付ける工程を備えているので、コンクリート構造物39を好適に補修することができる。なお、補修とは、防水処理であってもよいし、単に美感を整える処理であってもよい。
【0139】
たとえば、棒状体43によれば、貫通孔Aを好適に埋める(あるいは、塞ぐ)ことができる。これにより、コンクリート構造物39の内部に雨水等が容易に溜まらないようにすることができる。また、栓部材45によれば、凹部13を好適に塞ぐことができるとともに、これにより実質的に貫通孔Aをも閉塞してしまうことができる。さらに、栓部材45によれば、露出する凹部13を埋めてコンクリート構造物39の表面を平坦にして、外観を整えることができる。
【0140】
また、棒状体43および栓部材45はいずれも、コンクリートから成る。よって、構築されたコンクリート構造物39に棒状体43及び栓部材45を取り付けても、コンクリート構造物39に錆びが発生することはない。
【0141】
また、栓部材45は貫通孔Aに挿入可能な軸部47を備えているので、栓部材45を凹部13に確実に装着することができる。また、凹部13によって形成される空間は奥に向かって縮径しているので、栓部材45は凹部13に好適に密着させることができる。
【実施例3】
【0142】
以下、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。図13は、実施例3に係る型枠用間隔保持具51の斜視図であり、図14は、実施例3に係る型枠用間隔保持具51の断面図であり、図15は、実施例3に係る型枠用間隔保持具51の要部の分解断面図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0143】
図13に示すように、本実施例の型枠間隔保持具51は、円筒部3と、この円筒部3の両端側に形成される一対の端部53、54とを備えている。型枠間隔保持具51の端部53、54は、対向する型枠33a、33bとそれぞれ接触する。
【0144】
この型枠間隔保持具51は、円筒部3及び端部部材55を別個に成形してから、円筒部3の一端3aに端部部材55を連結したものである。この端部部材55と円筒部3の一端3aが、上述の端部53は端部部材55を構成する。また、端部54は、円筒部3と一体に形成されている。言い換えれば、円筒部3の他端3bが、型枠間隔保持具51の端部54を構成する。
【0145】
円筒部3の材質はコンクリートであり、端部部材55の材質は合成樹脂である。合成樹脂としては、たとえば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどが例示される。また、合成樹脂としては耐候性を有するものが好ましい。
【0146】
図13乃至図15に示すように、端部部材55の外形状は、略円錐台形状を有する。径の比較的小さい方が型枠33と接触する先端側となり、径の比較的大きい方が円筒部3と接続される基端側となる。
【0147】
端部部材55の先端側の端面には、接触面61が形成されている。接触面61は貫通孔Aを囲む円環形状を有し、型枠33aと直接的に面接触する。この接触面61は、貫通孔Aの軸心Pと略直交する平面内に形成されている。接触面61を画定する内周縁61a及び外周縁61bは、いずれも貫通孔Aの軸心Pと略同心である。内周縁61aの径r1は、貫通孔Aの径R1よりも大きく、かつ、円筒部3の外径R2より小さい。外周縁61bの径r2は、円筒部3の外径R2より大きい。
【0148】
内周縁61aの内側(内周側)には、貫通孔Aに通じる円形の開口B2が形成されている。開口B2の径r5は、接触面61から奥側に向かって徐々に小さくなっている。ただし、開口B2の径r5は、少なくとも貫通孔Aの径R1より大きい値を採る。この開口B2によって、端部部材55には内周縁61aから奥側に向かう内周面64が形成される。
【0149】
なお、内周面64の奥端は、後述する嵌合部67の底部と接合している。すなわち、実施例1で説明した内奥面13bに相当する部位は、端部部材55に形成されていない。
【0150】
外周縁61bには、端部部材55の外周面65が接合している。外周面65と接触面61との接合部である外周縁61bは、角張っている(換言すれば、エッジが立っている、あるいは、面取りされていない)。
【0151】
外周面65の径r4は、端部部材55の先端側から基端側にかけて一様に大きくなっている。このため、外周面65が傾斜する勾配は、端部部材55全体にわたって一定である。そして、外周面65の基端は、円筒部3に対して外方に張り出すようにして、円筒部3の外周面と連続する。
【0152】
端部部材55の基端側の端面には、円筒部3の一端3aを嵌め込むための嵌合部67が形成されている。嵌合部67は円形の穴部である。嵌合部67の径は円筒部3の外径R2より若干大きい。嵌合部67の中心は、開口B2の中心と略一致している。嵌合部67の深さd1は、端部部材55全体の長さd2の約3分の2程度である。この嵌合部67は、上述した開口B2を通じて、端部部材55の先端側に通じている。
【0153】
この嵌合部67に円筒部3の一端3aを挿入することにより、円筒部3と端部部材55は接続されている。円筒部3に端部部材55を取り付ける際には、コンクリートボンドによって円筒部3と端部部材55とを接着することが好ましい。
【0154】
そして、円筒部3の一端3aに端部部材55を取り付けると、開口B2から円筒部3の一端3aの端面3a1の一部が露出する。この露出する端面3a1と、開口B2の内周面64とによって、凹部63が接触面61の内側であって貫通孔Aの周囲に形成される。当然ながら、この凹部63は接触面61より奥側に凹んでいる。このように、円筒部3の一端3aは端部部材55とともに端部53を構成する。
【0155】
他方、円筒部3の他端3bの外形状は、円筒部3の中央部と同様である。他端3bの端面には、貫通孔Aを囲む環形状を有する接触面62が形成されている。接触面62は型枠33bと直接的に接触する。接触面62の外周縁は円筒部3の外径R2と同じであり、接触面62の内周縁は貫通孔Aの径R1と同じである。なお、接触面62の内側(内周側)には、実施例1で説明した凹部13に相当する部位は形成されていない。
【0156】
次に、図16、図17を参照して実施例3に係る型枠用間隔保持具51の使用例を説明する。図16は型枠用間隔保持具51を型枠同士の間で支持する工程を示す図であり、図17は型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程である。なお、実施例1と同様の工程については簡略に説明にする。
【0157】
1.支持する工程
図16に示すように、型枠間隔保持具51の貫通孔Aにセパレーター31を挿入し、このセパレーター31の両端を型枠33a、33bに貫通させる。各型枠33a、33bの外側に突出したセパレーター31の端部にフォームタイ35a、35bをそれぞれ締結する。これにより、セパレーター31は型枠33a、33bに固定される。端部53の接触面61は型枠33aと接触し、端部54の接触面62は型枠33bと接触する。そして、型枠間隔保持具51は型枠33a、33bの間で支持される。
【0158】
2.流し込む工程、及び、3.残置する工程
型枠33内に生コンクリート37を流し込む。接触面61、62は型枠33a、33bと接触しているため、セパレーター31に生コンクリート37が付着しにくい。この状態で所定の期間、養生する。これにより、型枠間隔保持具51は生コンクリート37と一体となり、コンクリート構造物39の内部に残置される。
【0159】
4.抜き取る工程
図17に示すように、フォームタイ35をセパレーター31から取り外し、型枠33を取り外すとともに、セパレーター31を円筒部3から抜き取る。これにより、生コンクリート37によって構築されたコンクリート構造物39が表れる。コンクリート構造物39の一方面には、接触面61と、貫通孔Aに通じる凹部63が露出する。他方、コンクリート構造物39の他方面には、接触面62と貫通孔Aが露出する。
【0160】
このように、実施例3に係る型枠用間隔保持具51及びコンクリート構造物39の施工方法では、円筒部3はコンクリートから成り、端部部材55は合成樹脂から成る。したがって、型枠間隔保持具51が錆びるおそれはない。よって、コンクリート構造物39の内部に残置されてもコンクリート構造物39の内部で錆びが発生することはない。
【0161】
また、凹部63の一部は、円筒部3の端面3a1によって形成されている。このため、端部部材55に凹部63の全部を形成することを要しないので、端部部材55自体の形状を簡略化することができる。
【0162】
また、円筒部3の他端3bを型枠間隔保持具51の端部54としているので、型枠間隔保持具51の構造、及び、製造工程を一層簡略化することができる。
【0163】
なお、型枠間隔保持具51の端部53のみが凹部63を有し、端部54は当該凹部63に相当する部位を有していない。このような型枠間隔保持具51であっても、コンクリート構造物39の前面及び背面のいずれを補修しなくてもよい場合にあっては、支障なく使用することができる。
【実施例4】
【0164】
以下、図面を参照してこの発明の実施例4を説明する。図18は、実施例4に係る型枠用間隔保持具71の斜視図であり、図19は、実施例4に係る型枠用間隔保持具71の要部断面図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0165】
図18に示すように、本実施例の型枠間隔保持具71は円筒部73と、この円筒部3の両端側に形成される一対の端部74a、74bとを備えている。型枠間隔保持具71の端部74a、74bは、対向する型枠33a、33bとそれぞれ接触する。
【0166】
この型枠間隔保持具71は、円筒部73と一対の端部74a、74bとを一体に形成したしたものである。言い換えれば、円筒部73の一端が型枠間隔保持具71の端部74aを構成し、円筒部3の他端が型枠間隔保持具71の端部74bを構成する。以下では、型枠間隔保持具71の端部74a、74bについて特に区別しない場合は、単に「端部74」と記載する。
【0167】
図18、図19に示すように、円筒部73は略円筒形状を呈する。円筒部73の内部には、セパレーター31を挿入可能な貫通孔Aが形成されている。貫通孔Aはセパレーター31よりも大きい径R1を有する円柱形状を呈している。貫通孔Aは、その軸心Pが円筒部73の中心軸と一致するように配置されている。
【0168】
端部74の外形状は、円筒部73と同じ外径を有する円筒形状を呈する。端部74の端面には、接触面81と凹部83が形成されている。接触面81は貫通孔Aを囲む円環形状を有し、型枠33と直接的に面接触する。この接触面81は、貫通孔Aの軸心Pと略直交する平面内に形成されている。接触面81を画定する内周縁81a及び外周縁81bは、いずれも貫通孔Aの軸心Pと略同心である。内周縁81aの径r1は、貫通孔Aの径R1よりも大きく、かつ、円筒部73の外径R2より小さい。なお、外周縁81bの径r2は、円筒部73の外径R2と同じである。
【0169】
凹部83は、内周縁81aの内側(内周側)であって貫通孔Aの周囲に形成されている。凹部83は、接触面81に比べて奥側に凹んでいる。このため、凹部83は型枠33と接触しない。また、凹部83は、接触面81に向かって拡大する扁平な略円錐台形状の空間を形成する。
【0170】
この凹部83は、内周壁83aと内奥面83bとを有している。内周壁83aは、接触面81の内周縁81aから奥側に向かって形成されている。内周壁83aの径r3は、接触面81から奥側に向かって徐々に小さくなっている。ただし、内周壁83aの径r3は、少なくとも貫通孔Aの径R1より大きい値を採る。内奥面83bは、内周壁83aの奥端から、内側(内周側)に張り出すように形成され、貫通孔Aに連続している。この内奥面83bは接触面81と略平行である。
【0171】
上述した円筒部3と端部74が一体に形成される型枠間隔保持具71は、例えば押し出し成形や、成形型を用いて成形される。ここで、円筒部73の成形と、端部74の成形を一挙同時に行ってもよい。あるいは、まず円筒状73を成形し、この円筒部73の両端に端部74を形成する加工を施すなど、円筒部3の成形と端部74の形成を順次、行ってもよい。
【0172】
次に、図20、図21を参照して実施例4に係る型枠用間隔保持具71の使用例を説明する。図20は型枠用間隔保持具71を型枠同士の間で支持する工程を示す図であり、図21は型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程である。なお、実施例1と同様の工程については簡略に説明にする。
【0173】
1.支持する工程
図20に示すように、型枠間隔保持具71の貫通孔Aにセパレーター31を挿入し、このセパレーター31の両端を対向する各型枠33に貫通させる。型枠33の外側に突出したセパレーター31の各端部にフォームタイ35をそれぞれ締結する。これにより、セパレーター31は型枠33に固定される。型枠間隔保持具71の各端部74はそれぞれ型枠33と接触する。そして、型枠間隔保持具71は対向する型枠33同士の間で支持される。
【0174】
2.流し込む工程、及び、3.残置する工程
型枠33内に生コンクリート37を流し込む。各接触面81は型枠33と接触しているため、セパレーター31に生コンクリート37が付着しにくい。この状態で所定の期間、養生する。これにより、型枠間隔保持具71は生コンクリート37と一体となり、コンクリート構造物39の内部に残置される。
【0175】
4.抜き取る工程
図21に示すように、フォームタイ35をセパレーター31から取り外して、型枠33を取り外すとともに、セパレーター31を円筒部73から抜き取る。これにより、生コンクリート37によって構築されたコンクリート構造物39が表れる。コンクリート構造物39の表面には、接触面81と、貫通孔Aに通じる凹部83が露出する。
【0176】
このように、実施例4に係る型枠用間隔保持具71及びコンクリート構造物39の施工方法では、型枠間隔保持具71はコンクリートから成る。よって、型枠間隔保持具71がコンクリート構造物39の内部に残置されても、コンクリート構造物39の内部で錆びが発生することはない。
【0177】
また、型枠間隔保持具71は、円筒部73と一対の端部74a、74bとを一体に形成したしたものである。このため、型枠間隔保持具71の構造、および、製造工程を簡略化することができる。
【実施例5】
【0178】
以下、図面を参照してこの発明の実施例5を説明する。図22は、実施例5に係る型枠用間隔保持具91の斜視図であり、図23は、実施例5に係る型枠用間隔保持具91の断面図であり、図24は、実施例5に係る型枠用間隔保持具91の要部の分解断面図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0179】
図22に示すように、本実施例の型枠用間隔保持具91は、円筒部3と、この円筒部3の両端側に形成される一対の端部94a、94bとを備えている。一対の端部94a、94bは、対向する型枠33a、33bとそれぞれ接触する。以下の説明では、端部94a、94bを特に区別しない場合は、単に「端部94」と呼ぶ。
【0180】
この型枠間隔保持具91は、円筒部3及びキャップ部材95を別個に成形してから、円筒部3の両端にキャップ部材95をそれぞれ連結したものである。円筒部3の材質はコンクリートであり、キャップ部材95の材質は金属である。各キャップ部材95は、上述の端部94a、94bを構成する。
【0181】
図22乃至図24に示すように、キャップ部材95の外形状は、略円錐台形状を有する。キャップ部材95の径の比較的大きい方が型枠33と接触する先端側となり、キャップ部材95の径の比較的小さい方が円筒部3と接続される基端側となる。
【0182】
キャップ部材95の先端側の端面には、接触面101が形成されている。接触面101は貫通孔Aを囲む円環形状を有し、型枠33と直接的に面接触する。この接触面101は、貫通孔Aの軸心Pと略直交する平面内に形成されている。接触面101を画定する内周縁101a及び外周縁101bは、いずれも貫通孔Aの軸心Pと略同心である。内周縁101aの径r1は、貫通孔Aの径R1よりも大きく、かつ、円筒部3の外径R2より小さい。外周縁101bの径r2は、円筒部3の外径R2より大きい。
【0183】
接触面101の内側(内周側)であって貫通孔Aの周囲には、凹部103が形成されている。凹部103は、接触面101に比べて奥側に凹んでいる。このため、凹部103は型枠33と接触しない。また、凹部103は、奥側から接触面101に向かって拡大する扁平な略円錐台形状の空間を形成する。
【0184】
より詳細には、凹部103は、内周壁103aと内奥面103bとを有している。内周壁103aは、内周縁101aから奥側に向かって形成されている。内周壁103aの径r3は、接触面101から奥側に向かって徐々に小さくなっている。ただし、内周壁103aの径r3は、少なくとも貫通孔Aの径R1より大きい値を採る。内奥面103bは、内周壁103aの奥端から、その内側(内周側)に張り出すように形成されている。この内奥面103bは接触面101と略平行である。
【0185】
この内奥面103bの中央には、貫通孔Aに通じる開口B3が形成されている。開口B3は、セパレーター31を挿入可能な、貫通孔Aの径R1より若干小さい円形状を呈する。開口B3の中心は貫通孔Aの軸心P上に位置するように配置されている。この開口B3はキャップ部材95の基端側にまで到達している。
【0186】
外周縁101bには、キャップ部材95の外周面105が接合している。外周面105と接触面101との接合部である外周縁101bは、角張っている。また、外周面105は平滑に仕上げられている。
【0187】
外周面105の径r4は、キャップ部材95の先端側から基端側にかけて一様に減少している。そして、キャップ部材95の基端側では、外周面105の径r4は円筒部3の外径R2より一回り小さい。よって、円筒部3は、キャップ部材95に対して張り出している。
【0188】
キャップ部材95の基端側の端面には、貫通孔Aに挿入可能な接続管107が突出している。接続管107の外径は、貫通孔Aの径R1より若干小さい。接続管107の内部には上記開口B3が形成されており、接続管107は略円筒形状を呈している。接続管107の先端の端面は、略すり鉢状に傾斜している。言い換えれば、接続管107の先端において、開口B3の径r5は、接続管107の外径と同等程度まで拡大している。これにより、セパレーター31が接続管107の先端の端面に突き当たったり、引っ掛かったりすることを防止できる。よって、セパレーター31を円滑に貫通孔Aに挿入することができ、かつ、セパレーター31を円滑に貫通孔Aから抜き取ることができる。
【0189】
この接続管107が貫通孔Aに挿入されることで、円筒部3にキャップ部材95が装着される。なお、円筒部3と端部部材5とは接着剤等を用いて固着しない。このため、キャップ部材95は、容易に取り外すことができる状態で円筒部3と接続されている。
【0190】
次に、図25乃至図26を参照して実施例5に係る型枠用間隔保持具91の使用例を説明する。図25は型枠用間隔保持具91を型枠同士の間で支持する工程を示す図であり、図26は型枠を取り外し、セパレーターを抜き取る工程を示す図である。なお、実施例1と同様の工程については簡略に説明にする。
【0191】
1.支持する工程
図25に示すように、型枠間隔保持具51の貫通孔Aにセパレーター31を挿入し、このセパレーター31の両端を各型枠33に貫通させる。各型枠33の外側に突出したセパレーター31の端部にフォームタイ35をそれぞれ締結する。これにより、セパレーター31は型枠33に固定される。各端部94は型枠33とそれぞれ接触する。このとき、セパレーター31に付設される座金31bは、キャップ部材95の凹部103に収まるので、端部94aが型枠33と接触することは妨げられない。そして、型枠間隔保持具91は対向する型枠同士33の間で支持される。
【0192】
2.流し込む工程、及び、3.残置する工程
型枠33内に生コンクリート37を流し込む。接触面101は各型枠33と接触しているため、セパレーター31に生コンクリート37が付着しにくい。この状態で所定の期間、養生する。これにより、型枠間隔保持具91のうち、円筒部3は生コンクリート37と一体となり、コンクリート構造物39の内部に残置される。
【0193】
4.抜き取る工程
図26に示すように、フォームタイ35をセパレーター31から取り外し、型枠33を取り外すとともに、セパレーター31を円筒部3から抜き取る。これにより、生コンクリート37によって構築されたコンクリート構造物39が表れる。
【0194】
さらに、図26に示すように、キャップ部材95を円筒部3から抜き取るとともに、コンクリート構造物39から取り外す。キャップ部材95が取り外しにくくなっている場合は、工具等を適宜に使用してもよい。これにより、コンクリート構造物39の表面には、キャップ部材95が抜き取られた跡に形成される空間E(穴部)が形成される。この空間Eは、貫通孔Aに通じている。
【0195】
このように、実施例5に係る型枠用間隔保持具91及びコンクリート構造物39の施工方法では、円筒部3はコンクリートから成るので、円筒部3が錆びるおそれはない。他方、キャップ部材95は金属から成るので、キャップ部材95自体は錆びるおそれがある。しかし、キャップ部材95が金属から成り、キャップ部材95が円筒部3に着脱自在に取り付けられており、かつ、キャップ部材95の外周面105の径r4が基端側から先端側にかけて減少しているため、コンクリート構造物39からキャップ部材95を容易に取り外すことができる。さらに、外周面105が平滑に仕上げられているため、コンクリート構造物39からキャップ部材95を一層容易に取り外すことができる。
【0196】
したがって、型枠間隔保持具91を設置した型枠33内に生コンクリート37を流し込み、コンクリート構造物39が構築しても、その後に、コンクリート構造物39からキャップ部材95のみを抜き取ることができる(抜き取る工程)。そして、そうすることによって、キャップ部材95自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物39の内部で錆びが発生することを防止できる。また、キャップ部材95を抜き取ることによって、キャップ部材95を繰り返し使用することができる。
【0197】
また、一対の端部94a、94bはそれぞれ型枠33a、33bと接触する。より詳細には、貫通孔Aを囲む環形状の接触面101が、型枠33と接触する。このため、貫通孔Aの両側を型枠33で好適に塞ぐことができ、セパレーター31に生コンクリート37が付着しにくくすることができる。
【0198】
よって、型枠33内に生コンクリート37を流し込むときにセパレーター31を貫通孔Aに挿入していても、コンクリート構造物39が構築された後に貫通孔Aからセパレーター31を容易に抜き取ることができる(抜き取る工程)。そして、そうすることによって、セパレーター31自体が錆びるおそれがあっても、コンクリート構造物39の内部で錆びが発生することを防止できる。
【実施例6】
【0199】
以下、図面を参照してこの発明の実施例6を説明する。図27は、実施例6に係る型枠用間隔保持具セット111の斜視図である。なお、実施例1、2と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0200】
図27に示すように、本実施例の型枠用間隔保持具セット111は、型枠用間隔保持具91と、棒状体43と、栓部材115とを備えている。棒状体43と栓部材115は、それぞれ本発明における詰め部材に相当する。型枠用間隔保持具91は実施例5で説明しており、棒状体43は実施例2で説明しているため、これらの説明を省略し、栓部材115について説明する。
【0201】
栓部材115は、キャップ部材95をコンクリート構造物39から取り外した跡である空間Eに嵌め込むための部材である。栓部材115の材質はコンクリートである。栓部材115はフランジ部116と軸部117とを備えている。
【0202】
フランジ部116は、空間Eに対応した形状を有する。本実施例では、フランジ部116は円錐台形状を呈する。軸部117は、フランジ部116の比較的に径の小さい一方面の略中央から突出している。軸部117は、貫通孔Aに比べて若干小さい径を有している。フランジ部116の比較的に径の大きい他方面は、平坦な端面となっている。換言すれば、他方面には開口や凹凸が形成されていない。このような栓部材115は、例えば成形型を用いて成形される。
【0203】
次に、図28、図29を参照して実施例6に係る型枠用間隔保持具セット111の使用例を説明する。ここで、実施例6の使用例は、実施例5で説明した「1.支持する工程」から「4.抜き取る工程」を行い、さらに、その後に、取り付ける工程を行うものである。このため、取り付ける工程のみについて説明する。図28は貫通孔Aに詰め部材(棒状体43)を取り付けた様子を示す図であり、図29はキャップ部材95を取り外した後にコンクリート構造物39の表面にできる空間Eに詰め部材(栓部材115)を取り付けた様子を示す図である。
【0204】
5.取り付ける工程
図28に示すように、コンクリート構造物39の内部に残置された円筒部3の貫通孔Aに、棒状体43を挿入する。この際、コンクリートボンドを介して棒状体43と円筒部3とを接着することが好ましい。
【0205】
続いて、図29に示すように、空間Eに栓部材115を嵌め込む。具体的には、軸部117を貫通孔Aに挿入し、フランジ部116の比較的に径の小さい一方面を円筒部3の端面に接触させる。これにより、フランジ部116の周面が空間Eの内周面に接触する。フランジ部116の比較的に径の大きい他方面は、コンクリート構造物39の表面に露出する。この際も、コンクリートボンドを介して栓部材115と円筒部3等を接着することが好ましい。
【0206】
このように、実施例6に係る型枠用間隔保持具セット111、及び、コンクリート構造物39の施工方法によれば、取り付ける工程を備えているので、コンクリート構造物39を好適に補修することができる。なお、補修とは、防水処理であってもよいし、単に美感を整える処理であってもよい。
【0207】
たとえば、栓部材115によれば、空間Eを好適に塞ぐことができる。また、栓部材115によって空間Eを塞ぐことによって、実質的に貫通孔Aをも閉塞してしまうことができる。さらに、栓部材115によれば、コンクリート構造物39の表面を平坦にして、外観を整えることができる。
【0208】
また、棒状体43および栓部材115はいずれも、コンクリートから成る。よって、構築されたコンクリート構造物39に棒状体43及び栓部材115を取り付けても、コンクリート構造物39に錆びが発生することはない。
【0209】
また、栓部材115は貫通孔Aに挿入可能な軸部117を備えているので、栓部材115を空間Eに確実に装着することができる。また、空間Eは奥に向かって縮径しているので、栓部材115は空間Eを隙間無く埋めることができる。
【0210】
この発明は、上記した各実施例に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0211】
(1)上述した実施例3、4に説明した型枠間隔保持具51、71と、実施例2で説明した棒状体43及び/又は栓部材45を備える型枠間隔保持具セットを構成してもよい。
【0212】
(2)上述した実施例2に説明した型枠間隔保持具セット41では、型枠間隔保持具1のほかに、単一の棒状体43と一対の栓部材45を備えるものであったが、これに限られない。例えば、棒状体43を省略した型枠間隔保持具セットに変更してもよい。栓部材45のみによっても、貫通孔Aを閉じることができる。よって、よって、この変形例に係る型枠間隔保持具セットであっても、好適にコンクリート構造物39を好適に補修することができる。
【0213】
(3)上述した実施例2、6では、棒状体43、栓部材45、115によって貫通孔A、凹部13、空間Eを塞いでいたが、これに限られない。すなわち、棒状体43、栓部材45、115の形状は適宜に選択、変更することができる。また、棒状体43等を使用することなく、生コンクリートや生モルタルによって、貫通孔A、凹部13、または、空間Eを塞ぐように変更してもよい。
【0214】
(4)上述した実施例1などでは、型枠間隔保持具1の両端が、凹部13を有する端部4a、4bであったが、これに限られない。すなわち、型枠間隔保持具1の一端のみを、凹部13を有する端部としてもよい。また、上述した実施例3では、型枠間隔保持具51の一端のみが、凹部63を有する端部53であったが、これに限られない。型枠間隔保持具51の両端とも、凹部63を有する端部としてもよい。
【0215】
(5)上述した各実施例では、型枠間隔保持具1は、円筒部3と端部部材5を別個に成型した上で、円筒部3に端部部材5を取り付けて構成されていたが、これに限られない。円筒部3と端部部材5とを一体に形成してもよい。
【0216】
図30を参照する。図30は、変形実施例に係る型枠間隔保持具121の断面図である。図示するように、型枠間隔保持具121は、円筒部123と、この円筒部123の両端側に形成される一対の端部124a、124bとを備えている。ここで、円筒部123と一対の端部124a、124bとは、一体に形成されている。言い換えれば、円筒部123の一端が型枠間隔保持具121の端部124aを構成し、円筒部123の他端が型枠間隔保持具121の端部124bを構成する。このような変形実施例によれば、2以上の部品を組み立てる工程等が省略され、型枠間隔保持具121の製造工程を簡略化することができる。
【0217】
(6)上述した各実施例では、端部部材5が有する嵌合部17に円筒部3の一端を挿入することで、端部部材5と円筒部3とを接続していたが、これに限られない。端部部材5の基端側の端面と、円筒部3の端面とを接着剤等を介して接着することで構成してもよい。
【0218】
図31を参照する。図31は変形実施例に係る型枠間隔保持具131の断面図である。図示するように、枠間隔保持具131は、円筒部3と、この円筒部3の両端側に形成される一対の端部134a、134bとを備えている。この型枠間隔保持具131は、円筒部3及び端部部材135を別個に成形してから、これら円筒部3及び端部部材135を相互に連結したものであり、各端部部材135が端部134a、134bを構成する。端部部材135の基端側の端面は円環形状を呈しているが、この端面に実施例1で説明した嵌合部17に相当する部位は形成されていない。この端部部材135の端面と円筒部3の端面とを、コンクリートボンド等を介して接着している。このような変形実施例によっても、好適に型枠間隔保持具131を構成することができる。
【0219】
(7)上述した各実施例では、接触面11、61、62、81、101は、いずれも円環形状であったが、これに限られない。たとえば、内周縁11aの形状を、円形から楕円形や四角形などの多角形に変更してもよい。あるいは、外周縁11bの形状を、円形から楕円形や四角形などの多角形に変更してもよい。これらの変形実施例によっても、好適に貫通孔Aの周囲を囲む接触面とすることができる。
【0220】
(8)上述した各実施例では、凹部13、63、83、103は、いずれも略円錐台形状の空間を形成するものであったが、これに限られない。たとえば、内周壁13aの径r3が接触面11から奥側に向かって一定となるように変更して、円柱形状の空間を形成する凹部を構成してもよい。あるいは、略半球状の空間を形成する凹部に変更してもよい。また、凹部13等は、内周壁13aと内奥面13bとを有していたが、これに限られない。凹部13の構成は適宜に設計、選択可能である。
【0221】
図32を参照する。図32は、変形実施例にかかる型枠間隔保持具141の断面図である。型枠間隔保持具141は、円筒部3と、この円筒部3の両端側に形成される一対の端部144a、144bとを備えている。端部144aは端部部材145によって構成されている。また、端部144bは端部部材146によって構成されている。
【0222】
端部部材145は接触面151と凹部153を有している。凹部153は、接触面151の内周縁から奥側に向かって貫通孔Aの縁部に到達し、かつ、勾配が一定の傾斜面によって構成されている。
【0223】
他方、端部部材146は接触面152と凹部154を有している。凹部154は、接触面152の内周縁から奥側に向かって貫通孔Aの縁部に到達し、かつ、勾配が変化している傾斜面を有している。
【0224】
以上に説明した凹部153、154のように、凹部13を適宜に変更することができる。なお、キャップ部材95が有する凹部103についても、凹部153、154のように適宜に変更することができる。
【0225】
(9)上述した実施例5、6では、キャップ部材95は凹部103を有していたが、これに限られない。すなわち、凹部103を有しないキャップ部材に変更してもよい。
【0226】
(10)上述した各実施例では、端部部材5の外周面15の先端部分15aでは、外周面15の径r4が減少する割合が、接触面11(先端)に近づくに従って小さくなっているが、これに限られない。先端部分15aにおいて、外周面15の径r4が減少する割合が、接触面11(先端)に近づくに従って大きくなるように変更してもよい。あるいは、外周面15の径r4が減少する割合が一定となるように変更してもよい。
【0227】
(11)上述した各実施例では、端部部材5、端部部材55の外形状を具体的に説明したが、これに限られない。図33、図34を参照する。図33は変形実施例に係る型枠間隔保持具161の斜視図であり、図34は変形実施例に係る型枠間隔保持具161の断面図である。
【0228】
図示するように、型枠間隔保持具161は、円筒部3と端部164a、164bを備えている。この型枠間隔保持具161は、円筒部3と端部部材165を接続したものである。各端部部材165は、上述の端部164a、164bを構成する。
【0229】
端部部材165は、接触面171と凹部173と外周面175とを有し、扁平な略円錐台形状を呈する。具体的は、この端部部材165の外周面175の径r4に比べて、端部部材165の全体の長さd2が短い。さらには、円筒部3の外径R2に比べても、端部部材165全体の長さd2が短い。このような端部部材165によっても、型枠間隔保持具161の端部164a、164bを好適に構成することができる。
【0230】
(12)上述した各実施例では、端部部材5に形成される開口B1、端部部材55に形成される開口B2、および、キャップ部材95に形成される開口B3は、いずれも貫通孔Aの径R1と同等であったが、これに限られない。セパレーター31を挿入することができれば、開口B1、B2、B3の各径を適宜に変更してもよい。
【0231】
(13)上述した各実施例では、円筒部3、73は、コンクリートから成ると説明したが、これに限られない。例えば、円筒部3、73の材質をモルタルに変更してもよい。あるいは、円筒部3、73の材質をセラミックスに変更してもよい。
【0232】
(14)上述した各実施例では、端部部材5はコンクリートから成ると説明したが、これに限られない。例えば、端部部材5の材質をモルタルとしてもよい。あるいは、端部部材5の材質をセラミックス、樹脂またはゴムに変更してもよい。ここで、ゴムとしては、合成ゴムまたは天然ゴムが例示される。また、合成ゴムとしては、耐候性を有するものが望ましい。合成ゴムとしては、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴムなどが例示される。
【0233】
(15)上述した各実施例では、端部部材55は樹脂から成ると説明したが、これに限られない。例えば、端部部材55をゴムから成るものに変更してもよい。あるいは、端部部材の材質をコンクリート、モルタルまたはセラミックに変更してもよい。
【0234】
(16)上述した各実施例では、キャップ部材95は金属から成ると説明したが、これに限られない。例えば、キャップ部材95の材質を樹脂またはゴムに変更してもよい。
【0235】
(17)上述した各実施例では、棒状体43、栓部材45、及び、栓部材115は、いずれもコンクリートから成ると説明したが、これに限られない。例えば、棒状体43、栓部材45、または、栓部材115の少なくともいずれかの材質をモルタルに変更してもよい。あるいは、棒状体43、栓部材45、または、栓部材115の少なくともいずれかの材質をセラミックス、樹脂またはゴムとしてもよい。
【0236】
なお、上述した各部材を樹脂に変更する場合には、実施例3の端部部材55の材質として例示したものを適用することができる。また、上述した各部材をゴム製に変更する場合には、上記(14)においてゴムとして例示したものを適用することができる。
【0237】
(18)上述した各実施例では、型枠固定金具として例示したセパレーター31は、羽根31aや座金31bを有するものであったが、これに限られない。種々の仕様のセパレーターに変更することができる。また、セパレーターと呼ばれている部材のみならず、それ以外の棒状の部材であっても、本発明を適用することができる。なお、棒状の部材は、本発明における「ロッド」に含まれる。
【0238】
(19)上述した各実施例および上記(1)から(18)で説明した各変形実施例の各構成を、他の実施例および変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0239】
1、51、71、91、121、131、141、161 …型枠間隔保持具
3、73、123 …円筒部
4a、4b、4、53、54、74a、74b、74、94a、94b、94、124a、124b、134a、134b、144a、144b、164a、164b …型枠間隔保持具の端部
5、55、135、145、146、165 …端部部材
11、61、62、81、101、151、152、171 …接触面
11a、61a、81a、101a …内周縁
11b、61b、81b、101b …外周縁
13、63、83、103、153、154、173 …凹部
13a、83a、103a …内周壁
13b、83b、103b …内奥面
15、65、105、175 …外周面
17、67 …嵌合部
31 …セパレーター
33a、33b、33 …型枠
35a、35b、35 …フォームタイ
37 …生コンクリート
39 …コンクリート構造物
41、111 …型枠間隔保持具セット
43 …棒状体
45、115 …栓部材
46、116 …フランジ部
47、117 …軸部
64 …内周面
95 …キャップ部材
107 …接続管
A …貫通孔
R1 …貫通孔の径
R2 …円筒部の外径
P …貫通孔の軸心
r1 …内周縁の径
r2 …外周縁の径
r3 …内周壁の径
r4 …外周面の径
r5 …開口の径
B1、B2、B3 …開口
E …空間
d1 …嵌合部の深さ
d2 …端部部材全体の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する型枠同士の間に設置される型枠用間隔保持具であって、
コンクリートまたはモルタルから成り、内部にロッドを挿入可能な貫通孔が形成された円筒部と、
コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成り、前記円筒部の両端側に形成され、互いに対向する型枠とそれぞれ接触する一対の端部と、
を備え、
前記一対の端部の少なくとも一方は、
前記貫通孔を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、
前記接触面の内側であって前記貫通孔の周囲に形成され、前記接触面より奥側に凹んでいる凹部と、
を備えている型枠用間隔保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の型枠用間隔保持具において、
前記円筒部及び前記一対の端部は、型枠に流し込まれる生コンクリートと一体になってコンクリート構造物の内部に残置され、かつ、生コンクリートと一体になった後であっても、前記貫通孔に挿入されているロッドの抜き取りを許容する型枠用間隔保持具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の型枠用間隔保持具において、
前記凹部は、
前記接触面の内周縁から奥側に向かって形成される内周壁と、
前記内周壁から前記貫通孔に連続する、前記接触面と略平行な内奥面と、
を備える型枠用間隔保持具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の型枠用間隔保持具において、
前記凹部を有する端部の外周面は、その径を減少させつつ前記接触面の外周縁と接合している型枠用間隔保持具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の型枠用間隔保持具において、
前記凹部を有する端部の外周面と前記接触面とは、湾曲面によってなめらかに接合されている型枠用間隔保持具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の型枠用間隔保持具において、
前記円筒部とは別個に成形される端部部材を、前記円筒部の少なくとも一方の端部に取り付けて成り、
前記端部部材には、前記接触面及び前記凹部と、前記凹部の略中央に配置され、前記貫通孔と通じる開口とが形成されている型枠用間隔保持具。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の型枠用間隔保持具において、
前記円筒部とは別個に成形される端部部材を、前記円筒部の少なくとも一方の端部に取り付けて成り、
前記端部部材には、前記接触面と、前記接触面の内側に配置され、前記貫通孔に比べて大きな径を有し、前記貫通孔と通じる開口とが形成されており、
前記開口の内周面と、前記開口から露出する円筒部の端面とによって前記凹部が形成される型枠用間隔保持具。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の型枠用間隔保持具において、
前記円筒部と前記一対の端部を一体に形成して成る型枠用間隔保持具。
【請求項9】
型枠用間隔保持具セットであって、
請求項1から請求項8のいずれかに記載の型枠用間隔保持具と、
コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成り、前記貫通孔、及び、前記端部の前記凹部の少なくともいずれかに詰めるための詰め部材と、
を備えている型枠用間隔保持具セット。
【請求項10】
対向する型枠同士の間に設置される型枠用間隔保持具であって、
コンクリートまたはモルタルから成り、内部にロッドを挿入可能な貫通孔が形成された円筒部と、
樹脂または金属から成り、前記円筒部の少なくとも一端側に着脱自在に取り付けられて型枠と接触するキャップ部材と、
を備え、
前記キャップ部材は、
前記貫通孔と通じる開口と、
前記開口を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、
前記接触面に向かって径が増大している外周面と、
を備えている型枠用間隔保持具。
【請求項11】
請求項10に記載の型枠用間隔保持具において、
前記キャップ部材は、型枠に流し込まれる生コンクリートによって構築されるコンクリート構造物から取り外され、
前記円筒部は、型枠に流し込まれる生コンクリートと一体になって、コンクリート構造物の内部に残置され、かつ、生コンクリートと一体になった後であっても、前記貫通孔に挿入されているロッドの抜き取りを許容する型枠用間隔保持具。
【請求項12】
型枠用間隔保持具セットであって、
請求項10または請求項11に記載の型枠用間隔保持具と、
コンクリート、モルタル、及び、樹脂のいずれかから成り、前記キャップ部材をコンクリート構造物から取り外すときに形成される空間、及び、前記貫通孔の少なくともいずれかに詰めるための詰め部材と、
を備えている型枠用間隔保持具セット。
【請求項13】
コンクリート構造物の施工方法であって、
コンクリートまたはモルタルから成る円筒部の内部に形成されている貫通孔にロッドを挿入し、前記ロッドを型枠に固定して、前記円筒部を対向する型枠同士の間で支持する工程と、
型枠に生コンクリートを流し込む工程と、
前記円筒部が生コンクリートと一体になり、前記円筒部をコンクリート構造物の内部に残置する工程と、
型枠を取り外すとともに前記ロッドを前記円筒部から抜き取る工程と、
を備えているコンクリート構造物の施工方法。
【請求項14】
請求項13に記載のコンクリート構造物の施工方法において、
前記円筒部の両端側には、対向する型枠とそれぞれ接触する一対の端部が形成されており、
前記一対の端部の少なくとも一方は、
前記貫通孔を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、
前記接触面の内側であって前記貫通孔の周囲に形成され、前記接触面より奥側に凹んでいる凹部と、
を備えており、
前記残置させる工程では、前記一対の端部も生コンクリートと一体になり、前記一対の端部もコンクリート構造物の内部に残置するコンクリート構造物の施工方法。
【請求項15】
請求項13に記載のコンクリート構造物の施工方法であって、
前記支持する工程では、樹脂または金属から成り、型枠と接触するキャップ部材を前記円筒部の少なくとも一端に取り付け、前記円筒部とともに前記キャップ部材を支持し、
前記抜き取る工程では、前記キャップ部材を前記コンクリート構造物から取り外し、
前記キャップ部材は、
前記貫通孔に通じる開口と、
前記開口を囲む環形状を有し、型枠と接触する接触面と、
前記接触面に向かって径が増大している外周面と、
を備え、前記円筒部と着脱自在であるコンクリート構造物の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2011−214346(P2011−214346A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85150(P2010−85150)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(500003040)アートスペース株式会社 (4)
【Fターム(参考)】