型締装置及びその制御方法並びに射出成形機
【課題】より安価に型締部を基準姿勢に戻すことができる射出成形機等に用いられる型締装置及び射出成形機を提供する。
【解決手段】型締装置は、第1及び第2の型締部40と、駆動源としてのモータ92及び前記第1の型締部の移動を案内する軸91を含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段90と、各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段93とを備える。前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とし、更に、逆方向に限界まで傾かせた第2姿勢とし、前記検出手段が検出した、前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる。
【解決手段】型締装置は、第1及び第2の型締部40と、駆動源としてのモータ92及び前記第1の型締部の移動を案内する軸91を含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段90と、各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段93とを備える。前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とし、更に、逆方向に限界まで傾かせた第2姿勢とし、前記検出手段が検出した、前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機等に用いられる型締装置及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機等に用いられる型締装置は、型締力を発揮するための駆動機構として種々の方式が提案されている。そのうち、複数軸によって駆動対象を進退させる駆動機構を備えた射出装置が知られており(例えば特許文献1及び2)、負荷慣性等において単軸駆動による駆動機構よりも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−314512号公報
【特許文献2】特開2007−136961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数軸によって型締部を移動させるため、軸に対して型締部が意図せず傾いてしまう場合がある。型締部が傾くと、型締時における型締力の分布が意図しない分布となったり、型締部が移動できなくなる場合がある。そこで、型締部を本来の姿勢(基準姿勢)に戻すことが必要となる。型締部を基準姿勢に戻すにあたっては、型締部の現在の姿勢、つまり、各部の現在の絶対位置を検出してその検出結果に基づき姿勢を戻すことが考えられる。しかし、この方法では型締部の絶対位置を検出するためのセンサが必要となり、装置コストが増加する。
【0005】
本発明の目的は、より安価に型締部を基準姿勢に戻すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御手段と、前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御手段と、前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰手段と、を備えたことを特徴とする型締装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、上記型締装置を備えた射出成形機が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、を備えた型締装置の制御方法であって、前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御工程と、前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御工程と、前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰工程と、を備えたことを特徴とする型締装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より安価に型締部を基準姿勢に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機の斜視図。
【図2】視点を変えた前記射出成形機の斜視図。
【図3】前記射出成形機の分解斜視図。
【図4】型締部(下側)をロックする位置ロック機構の説明図。
【図5】型締部(下側)をロックする位置ロック機構の説明図。
【図6】型締部(下側)をロックする位置ロック機構の説明図。
【図7】駆動ユニットの説明図。
【図8】(A)は型締部(上側)の平面図、(B)は型締部(上側)の正面図。
【図9】(A)は射出シリンダを装着した型締部(上側)の正面図、(B)は射出シリンダを装着した型締部(上側)の底面図。
【図10】金型とノズル部の配置関係の説明図。
【図11】(A)及び(B)は金型とノズル部の配置関係の説明図。
【図12】制御系のブロック図。
【図13】前記射出成形機の動作説明図。
【図14】前記射出成形機の動作説明図。
【図15】前記射出成形機の動作説明図。
【図16】前記射出成形機の動作説明図。
【図17】前記射出成形機の動作説明図。
【図18】前記射出成形機の動作説明図。
【図19】型締部(下側)の位置ロック機構の他の構成例の説明図。
【図20】型締部(下側)の位置ロック機構の他の構成例の説明図。
【図21】型締部(下側)の位置ロック機構の他の構成例の説明図。
【図22】(A)は型締部(上側)が傾いた状態を示す図、(B)は型締部(上側)が基準姿勢である状態を示す図。
【図23】(A)乃至(C)は型締部(上側)を基準姿勢へ復帰させる制御を模式的に示した説明図。
【図24】型締部(上側)を基準姿勢へ復帰させる制御の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<射出成形機>
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る射出成形機1を視点を変えて示した斜視図、図3は射出成形機1の分解斜視図である。射出成形機1は射出装置2と型締装置3とを備える。型締装置3は金型4及び5に型締力を付与して型締めを行い、射出装置2は金型4及び5に射出材料(本実施形態の場合、溶融樹脂である。)を射出し、樹脂成形品を成形する。金型4は、その上面が溶融樹脂の注入口4bを有する平坦な注入面4aを構成している。金型5の下には、受け板6が配設されている。受け板6はリターンスプリング8を介してエジェクタプレート7に連結されている。これらは樹脂成形品の排出に関わる構成であるが、その詳細は割愛する。
【0012】
<射出装置>
射出装置2は、射出シリンダ10と、射出用の駆動ユニット20と、材料供給ユニット30と、を備える。
【0013】
<射出シリンダ>
射出シリンダ10は、溶融樹脂を射出するノズル部11をその先端部に備える。ノズル部11には加熱筒部12の先端が接続されている。加熱筒部12はその中心線上に加熱筒部12を貫通する樹脂通路を有して円筒状に形成され、この樹脂通路の上部にはプランジャ14が進退自在に挿入されている。加熱筒部12内には材料供給ユニット30から樹脂材料が供給される。樹脂材料は例えばペレット状をなしている。
【0014】
加熱筒部12の周囲にはバンドヒータ13が設けられ、加熱筒部12の樹脂通路内の樹脂材料を加熱して溶融する。溶融した樹脂材料はプランジャ14の進退動作によってノズル部11から射出される。本実施形態ではプランジャ14の進退動作で射出する構成としたが、スクリューの回転動作により射出する構成としてもよい。
【0015】
ノズル部11は、本実施形態の場合、射出シリンダ10の径方向(加熱筒部12の径方向)に突出したフランジ状をなしており、かつ、その外形が円柱形状となっている。すなわち、ノズル部11の周縁部は、射出シリンダ10の径方向に突出したフランジ部となっている。ノズル部11の先端面11aは平坦面をなし、その中心には加熱筒部12の樹脂通路と連通した射出口11bが形成されている。本実施形態の場合、この先端面11aは金型4の注入面4aに当接する当接面を構成している。
【0016】
<射出用の駆動ユニット>
駆動ユニット20は、ユニットベース21を備える。ユニットベース21は、後述する上側の型締部40に立設された一対の支柱21aに支持されている。ユニットベース21には、減速機23bが取り付けられ、減速機23bにはモータ23aが取り付けられている。モータ23aは本実施形態の場合、ステッピングモータである。モータ23aの出力は減速機23bで減速され、減速機23bの出力軸に取り付けられたプーリ23cを回転させる。
【0017】
ユニットベース21には、また、ボールネジ軸25aが回転自在に支持されており、その上端にはプーリ25cが取り付けられている。プーリ23cとプーリ25cとには無端ベルト24が巻きまわされ、モータ23aの出力がボールネジ軸25aに伝達されてボールネジ軸25aを回転させる。
【0018】
ボールネジ軸25aにはボールナット25bが螺着しており、ボールナット25bにはプランジャガイド板26が連結されている。プランジャガイド板26には、一対の支柱21aが貫通しており、プランジャガイド板26は一対の支柱21aに案内されて上下方向に移動可能になっている。しかして、モータ23aがボールネジ軸25aを回転させると、その回転方向によってプランジャガイド板26が昇降する。プランジャガイド板26には、プランジャ14の上端部が係合し、プランジャガイド板26の昇降によりプランジャ14も昇降する。この昇降動作によって、プランジャ14が加熱筒部12内の樹脂通路を進退し、溶融樹脂の射出動作が行われることになる。
【0019】
一対の支柱21aには、また、シリンダ支持部22が移動不能に支持されている。シリンダ支持部22にはセンサユニット27が取り付けられている。センサユニット27はプランジャガイド板26の昇降位置を検出するセンサを搭載しており、その検出結果を参照することでプランジャ14の進退動作を行うことができる。
【0020】
シリンダ支持部22は、凹状のシリンダ取付部22aが形成されている。射出シリンダ10は、その加熱筒部12の上部がこのシリンダ取付部22aに装着され、ロックレバー22cの開閉によりシリンダ支持部22に対して着脱自在に支持される。シリンダ取付部22aには、供給筒用の取付孔22bが形成されている。この取付孔22bはシリンダ支持部22を貫通しており、材料供給ユニット30の供給筒31の先端部が挿入される。供給筒31の供給口31aと、加熱筒部12とは、シリンダ取付部22aにおいて連結され、樹脂材料が材料供給ユニット30から射出シリンダ10へ供給される。
【0021】
<材料供給ユニット>
材料供給ユニット30は、供給筒31と、ホッパ32と、モータ33とを備える。供給筒31は、その中心線上に樹脂材料の供給通路を有する円筒体であり、その先端の供給口31aが上記の通り加熱筒部12の側部に接続されて連結される。ホッパ32は、樹脂材料を貯留する容器であり、本実施形態ではボトル状をなしている。ホッパ32内の樹脂材料は自重により供給筒31内の供給通路内に落下する。モータ33は、供給筒31内の供給通路に設けたスクリュ(不図示)を回転駆動するモータであり、スクリュの回転により樹脂材料を加熱筒部12に送出する。本実施形態の場合、モータ33はステッピングモータである。なお、樹脂材料の送出機構はスクリュを用いたものに限られず、例えば、プランジャを進退させる送出機構等、他の送出機構でもよい。
【0022】
<型締装置>
型締装置3は、金型4及び5を挟む型締部40及び型締部50と、金型4を支持する金型支持部60と、型締部50を型締方向(型締部40に対して近接・離間する方向)に移動する駆動ユニット70と、型締部50をロックする位置ロック機構80と、型締部40を型締方向(型締部40に対して近接・離間する方向)に移動する複数の駆動ユニット90と、を備える。
【0023】
<型締部及び金型支持部>
図1乃至図3、図8及び図9を参照して型締部40について説明する。図8(A)は型締部40の平面図、図8(B)は型締部40の正面図、図9(A)は射出シリンダ10を装着した型締部40の正面図、図9(B)は射出シリンダ10を装着した型締部40の底面図である。
【0024】
型締部40は、板状方形のプレート部41と、互いに離間して形成された筒状の取付部42と、を備える。本実施形態の場合、取付部42はプレート部41の4隅にそれぞれ形成されている。取付部42には後述する駆動ユニット90がそれぞれ取り付けられ、取付部42には駆動ユニット90から型締部40を型締方向に移動させる移動力が独立して付勢(付与)される。つまり、取付部42は被付勢部位として機能する。
【0025】
プレート部41には支柱21aが取り付けられる取付孔41aが形成されている。また、プレート部41には、射出シリンダ10が装着される溝部43が形成されている。溝部43は平面視でU字型をなし、上部43aは相対的に幅が狭く、下部43bは相対的に幅が広く形成されている。上部43aの幅は射出シリンダ10の加熱筒部12の外径に合わせて設定され、加熱筒部12の下端部が装着される。下部43bの幅は射出シリンダ10のノズル部11の外径に合わせて設定され、ノズル部11が装着される。固定部材44は、射出シリンダ10の装着後に溝部43に嵌合し、溝部43の残りの部分を埋めて射出シリンダ10の脱落を防止する。
【0026】
図9(A)に示すように、下部43bの上下の厚みはノズル部11の厚みよりも薄く設定されており、射出シリンダ10が型締部40に装着された状態では、ノズル部11が型締部40の底面から下方に突出した態様となる。このとき、バンドヒータ13の下端面は、射出シリンダ10の自重が作用して、型締部40の溝部43の周縁部に当接している。なお、バンドヒータ13は、射出成形時において高温状態となるため、バンドヒータ13と接触する型締部40の一部(具体的には溝部43の周縁部)は断熱部によって覆われている。これにより、バンドヒータ13から型締部40への熱伝達を低減することができる。
【0027】
また、詳細は後述するが、型締め状態においては、上部43aの底面43a'はノズル部11の上面に当接する。型締部40に対して駆動ユニット90から型締力が作用すると、底面43a'を介してノズル部11に型締力が伝達し、ノズル部11の先端面11aが金型4の注入面4aに当接し、押圧する。これにより先端面11aと注入面4aとが密着してシールが形成される。シール性能は先端面11aと注入面4aの平滑度が高いほど向上する。
【0028】
なお、本実施形態では、先端面11aと、注入面4aとがそれぞれ平坦面であるが、平坦面でもなくてもよく、曲面や凹凸面等、互いに密着し合う面形状であればよい。また、本実施形態では、ノズル部11に型締力が伝達するようにしたが、射出シリンダ10のノズル部11以外の部位でもよい。尤も、ノズル部11に型締力が伝達するようにすることで、ノズル部11のみが型締力に耐久できる強度を有すれば足り、射出シリンダ10全体が型締力に耐久できる強度を有することが必ずしも主要件とならない。
【0029】
図10は型締時における金型4とノズル部11の配置関係の説明図である。ノズル部11の射出口11bは、金型4の注入口4b上に位置しており、射出口11bから注入口4bに溶融樹脂が射出される位置関係にある。ノズル部11の先端面11aは、注入口4bを覆う大きさを有しており、上記の型締力の伝達で注入口4bの周囲においては先端面11aと注入面4aとが密着してシールが形成される。よって、溶融樹脂の漏れが防止される。しかも、型締力を利用してノズル部11を金型4に押し付ける方式なので、従来必要とされたノズルの先端位置の調整作業は不要である。
【0030】
本実施形態の場合、各取付部42が互いに離間していることから、駆動ユニット90を同期的に駆動することでより均一にノズル部11に型締力をかけ易くなる。特に、本実施形態では、各取付部42がプレート部41の4隅に位置し、ノズル部11はプレート部41の略中央に位置していることから、より均一にノズル部11に型締力をかけ易くなる。
【0031】
なお、金型には成形時に生じるランナを排出する目的でランナロック部材を金型に着脱自在に装着し、ランナロック部材に溶融樹脂の注入口を設ける場合がある。図11(A)はその例を示し、ランナロック部材4cに注入口4bが形成されている。この構成の場合も、ノズル部11の先端面11aが注入口4bを覆う大きさを有していれば溶融樹脂の漏れを防ぐことができる。ランナロック部材4cと、金型本体との間で、ランナロック部材4cの輪郭部分に隙間が生じて溶融樹脂が漏れるような場合は、ノズル部11の先端面11aが該隙間をも覆う大きさを有するものとすることが望ましい。図11(B)はその例を示し、注入口4bが2つある。この場合は、ノズル部11の先端面11aが同図に示すように双方の注入口4bを覆う大きさを有するものとすることで、双方の注入口4bからの溶融樹脂の漏れを防止できる。
【0032】
なお、本実施形態ではノズル部11を円柱形状としたが、角柱形状や三角柱形状でもよく、その外形は適宜選択可能である。先端面11aの大きさは、注入口4bを覆うだけでなく、注入面4a全体を覆うよう、注入面4aと同じか、それよりも大きくしてもよい。これは、金型4への型締力が注入面4a全体に分布する点で有利な場合がある。
【0033】
次に、図1乃至図3を参照して金型支持部60について説明する。金型支持部60は、金型4を支持するための部材である。金型支持部60は、金型4と係合するコの字型をなし、ロックレバー61の開閉で金型4の保持及び解除を行う。金型支持部60はタイバ91が挿通する挿通部62に案内されて型締方向に移動可能である。但し、タイバ91には止め輪91bが設けられており、金型支持部60の最下位置はこの止め輪91bによって規定される。
【0034】
次に、図1乃至図3を参照して型締部50について説明する。型締部50は、受け板6及び金型5が搭載される搭載部51を備え、ロックレバー53の開閉で受け板6及び金型5の保持及び開放を行う。型締部50は、また、搭載部51から窪んでエジェクタプレート7やリターンスプリング8を収容する収容部52を備える。型締部50は更に、タイバ91が挿通する挿通部54を備え、タイバ91に案内されて型締方向に移動可能となっている。
【0035】
<型締部(下側)の移動機構>
図1乃至図3を参照して、駆動ユニット70は、駆動源として、ベース9に支持されたモータ71を備える。モータ71は本実施形態の場合、ステッピングモータである。モータ71には、ベース9に支持された減速機73が接続されており、モータ71の出力を減速する。減速機73の出力軸にはプーリ74が取り付けられている。プーリ75は、プーリ74の上方で、ベース9上に立設された不図示の支柱により回転自在に支持されている。プーリ74とプーリ75とには無端ベルト76が巻きまわされており、モータ71を回転駆動することで無端ベルト76が走行する。
【0036】
無端ベルト76の一部と型締部50とは連結部77により連結されている。したがって、モータ71を回転することで、その回転方向によって型締部50を型締方向に移動することができる。駆動ユニット70は、型締部50を金型4と金型5とが離間する最下方の位置(型開き位置)と、金型4と金型5との型締めを開始する最上方の位置(型締開始位置)と、の間で移動する。本実施形態の場合、駆動ユニット70は型締めは行わないため、モータ71としては、その出力が比較的小さいもので足りる。
【0037】
センサ72は、型締部50の位置を検出する。本実施形態の場合、センサ72はモータ71に取り付けられ、その回転量を検出するエンコーダであり、センサ72が検出した回転量から型締部50の位置を演算する構成であるが、型締部50の位置が検出できれば他の種類のセンサでもよい。
【0038】
<型締部(下側)の位置ロック機構>
図1乃至図3及び図4乃至図6を参照して位置ロック機構80の構成について説明する。図4乃至図6は位置ロック機構80の説明図である。型締部50は、上記の通り、駆動ユニット70によって型締開始位置へ移動されるが、駆動ユニット70は型締め時に型締部50からの型締力を受けない構成になっている。位置ロック機構80は、型締時において、型締部50が型締力に抗して移動しないように型締部50を支持する機構である。
【0039】
位置ロック機構80は、中心軸81aを介して型締部50の底部に回転自在に支持された回転板81を備える。回転板81には、複数のロックブロック82がそれぞれ固定される取付孔81cと、ベース9に立設された複数のロック支柱83がそれぞれ挿通する開口部81bと、を備える。ロックブロック82とロック支柱83とは同数である。型締部50の底部には、ロック支柱83との干渉を避け、ロック支柱83が進入可能な挿入孔55が、各ロック支柱83に対応して形成されている。
【0040】
位置ロック機構80は型締部50の側部に支持されたモータ84を備える。モータ84は本実施形態の場合、ステッピングモータである。モータ84の出力軸にはピニオンギア84aが取り付けられている。回転板81の周縁にはピニオンギア84aと噛合するギア81dが形成されている。このため、モータ84を回転すると、中心軸81a回りに回転板81が回転する。
【0041】
センサ85(図4において不図示)は、回転板81の回転量を検出する。本実施形態の場合、センサ85はモータ84に取り付けられ、その回転量を検出するエンコーダであり、センサ85が検出した回転量から回転板81の回転量を演算する構成であるが、回転板81の回転量が検出できれば他の種類のセンサでもよい。
【0042】
係る構成からなる位置ロック機構80では、回転板81は、その回転により、ロック支柱83と同軸上に開口部81bが位置する位置(図4)と、ロック支柱83と同軸上にロックブロック82が位置する位置(図6)と、に位置する。
【0043】
図4の位置の場合、ロック支柱83と、回転板81及び型締部50と、が干渉しないので、型締部50を型締方向に移動可能となる。したがって、型締部50を型開き位置と型締開始位置との間で移動する場合は、回転板81を図4の位置とする。図6の位置の場合、ロックブロック82を介して型締部50がロック支柱83によって、その下方への移動が規制され、位置がロックされた状態となる。したがって、型締時には、回転板81を図6の位置とする。
【0044】
図5は図4の位置と図6の位置との中間の位置に回転板81が位置している状態を示している。以上のように、型締部50を、型開き位置→型締開始位置→(型締)→型開き位置と、移動する場合、回転板81は、図4の位置→図6の位置→(型締)→図4の位置に位置させることになる。
【0045】
型締部50の位置ロック機構としては他の構成例も採用可能である。図19乃至図21はその一例を示す。同図の例は、複数のアーム部181を回動自在に型締部50の底部に固定し、アーム部181と連結された旋回円板182を回転させることで、アーム部181のフック181aがタイバ191に設けた切り欠き191aに係合(図20)、係合解除(図19)するようにした構成である。型締部50のロックは、フック181aと切り欠き191aとの係合によってタイバ191で型締部50を支持することで行う構成である。
【0046】
<型締部(上側)の移動機構>
図1乃至図3及び図7を参照して型締部40を移動する駆動ユニット90の構成について説明する。図7は駆動ユニット90の説明図であり、取付部42を一部破断してその内部機構を示した図である。各駆動ユニット90は、ベース9に型締方向に立設され、その先端(上端)にネジ91aが形成されたボールネジ軸であるタイバ91を備える。取付部42には、駆動ユニット90の駆動源であるモータ92が搭載されている。モータ92は本実施形態の場合、ステッピングモータである。
【0047】
取付部42の内部では、タイバ91のネジ91aと螺合するボールナット95が、ベアリング96を介して取付部42の内壁に回転自在に支持されている。取付部42の内部には、また、減速機94が配設されている。減速機94はモータ92の出力軸に取り付けられたピニオン92aの出力を減速してボールナット95を回転させる。
【0048】
このような構成によってモータ92を回転するとボールナット95が回転し、タイバ91のネジ91aとボールナット95との螺合により、ボールナット95がタイバ91に沿って移動する。こうして、モータ92の回転により、型締部40はタイバ91に案内されて型締方向に移動することになる。
【0049】
なお、本実施形態では、駆動ユニット90としてボールネジ機構を採用したが、軸(タイバ)に沿って型締部を移動させる機構はこれに限られず、種々の機構が利用可能である。
【0050】
型締部40は、駆動ユニット90によって、型締めが完了する最下位置(型締位置)と、型締力が完全に解除される、最上方の位置(退避位置)との間で移動される。本実施形態では、型締部40の、型締位置と退避位置との間の移動距離は数ミリ程度である場合を想定している。
【0051】
センサ93は、型締部40の位置、特に個々の取付部42の位置(移動量)を検出する。本実施形態の場合、センサ93はモータ92に取り付けられ、その回転量を検出するエンコーダであり、センサ93が検出した回転量から取付部42の位置(移動量)を演算する構成であるが、取付部42の位置(移動量)が検出できれば他の種類のセンサでもよい。
【0052】
本実施形態の場合、モータ92がステッピングモータであるため、駆動パルスによって取付部42の移動量は推定移動量として演算可能であるが、脱調する場合があるため、センサ93によって実移動量を検出するようにしている。
【0053】
<制御部の構成>
次に、図12を参照して制御系の構成について説明する。制御部100は、CPU101、記憶部102及びI/F(インタフェース)103を備える。CPU101は、センサの検出結果を取得し、記憶部102に記憶されたプログラムにしたがって、モータやヒータ等の制御を行う。ここで、図12のセンサは例えば、センサ93のほか、上述した各センサが含まれる。モータにはモータ92のほか、上述した各モータが含まれる。ヒータにはバンドヒータ13が含まれる。
【0054】
各モータの制御は、モータ毎のドライバ130により個別に行う。CPU101はドライバ130に対してトルク指令値(例えば電流指令値)と、移動量の指令値(例えば駆動パルス数)を指示し、ドライバ130は指示されたこれらの制御内容を実現する。なお、図示しないが、ヒータにもドライバが、また、センサには信号処理回路等がそれぞれ設けることができる。
【0055】
記憶部102には、例えば、ROM、RAM、ハードディスク等が含まれる。I/F103はCPU101と、外部のデバイスとのインタフェースである。入力部110は、例えば、キーボード、マウス等である。作業者は入力部110を介して制御部100に動作指令を行うことができる。表示部120は、例えば、LCD等のディスプレイであり、射出成形機の状況等を表示する。
【0056】
<射出成形機の動作例>
図13乃至図18を参照して射出成形機1の動作例について説明する。図13乃至図18は射出成形機1の動作説明図である。ここでは、1回の成形動作について説明する。
【0057】
図13は、射出成形機1が型締装置3による型締力が金型4及び金型5に付与されない型開き状態にあることを示している。型締部50は型開き位置に位置し、回転板81は上記の図4の位置にある。型締部40は退避位置にあり、金型支持部60は止め輪91bによって規制された最下位置にある。金型4と金型5とは上下に分離している。
【0058】
図14は、図13の状態から駆動ユニット70を駆動し、型締部50を型締部40に近接する方向に移動している途中の状態を示している。型締部50及び金型5は、その移動途中で金型支持部60及び金型4と接触し、図4に示すようにこれらが搭載された状態となる。駆動ユニット70は、型締部50の移動を継続し、図15に示す型締開始位置まで移動する。図15の状態において、ノズル部11の先端面11aと金型4の注入面4aとは僅かに離間しているか、互いに押圧しない程度で接触している。
【0059】
型締部50を型締開始位置まで移動したので、型締部50を位置ロック機構80でロックする。つまり、図16に示すように回転板81を上記の図6の位置に回転させ、ロック支柱83と同軸上にロックブロック82を位置させる。これにより、型締部50が型締力に抗して下方に下がらないようになる。
【0060】
次に、型締めを開始する。つまり、図17に示すように、各駆動ユニット90を駆動して型締部40を型締部50に近接する方向に、型締位置まで移動する。これにより、型締装置3からの型締力が金型4及び金型5に付与された状態(型締め状態)となる。具体的には、射出シリンダ10は、ノズル部11の周縁部(フランジ部)が型締部40の溝部43の周縁部で押圧されることにより、ノズル部11の先端面11aが金型4の注入面4aに密着する。そして、この状態で、型締部40から射出シリンダ10を介して金型4と金型5との間に型締力が付与されることになる。なお、このとき、バンドヒータ13の下端面は、型締部40の溝部43の周縁部に当接しておらず、金型4と型締部40(溝部43の周縁部)との間でノズル部11の周縁部が挟持される。これにより、射出シリンダ10の型締め及び型開き方向(図17の上下方向)への移動が実質的に規制された状態となる。
【0061】
また、この型締め状態においては、ノズル部11の先端面11aと金型4の注入面4aとが互いに押圧しあって、溶融樹脂の漏れを防ぐシールが形成されることになる。これは、ノズル部11の先端面11aが、注入口4bを有する金型4の注入面4aに当接されてその注入口4bを覆うようになっているためである。すなわち、本実施形態では、型締め状態では金型4の注入口4bをノズル部11で実質的に覆うようにしてノズルの位置の調整作業を不要としながら溶融樹脂の漏れを防ぐシール構造を実現している。
【0062】
続いて、駆動ユニット90の駆動によって型締部40を型締位置に位置させた状態で、駆動ユニット20を駆動し、プランジャ14を移動し、ノズル部11から金型4へ溶融樹脂を射出する。その後、逆の手順で図13の状態の戻り、成形品を取り出して1回の成形動作が終了する。
【0063】
<基準姿勢への復帰>
本実施形態では、上記の通り、4つの駆動ユニット90を同調的に制御することで型締部40の移動を行うが、同調がうまくいかなかった場合等にタイバ91に対して型締部40が意図せず傾いてしまう事態が生じ得る。図22(A)は型締部40が傾いた例を示す図であり、型締部40が傾いている状態を誇張して表した図である。
【0064】
図22((B)は型締部40の姿勢が基準姿勢である場合を示しており、型締部40がタイバ91に対して直交する方向に延在している。本実施形態の場合、タイバ91が鉛直方向に延びていることから、型締部40は水平姿勢をその基準姿勢としており、型締部40の下面の法線方向はタイバ91と平行である。
【0065】
以下、図22(A)に示すように傾いた状態から図22(B)に示す基準姿勢に型締部40の姿勢を戻す、すなわち、型締部40の姿勢を基準姿勢となるように位置決め(補正)するための制御について説明する。この制御は、例えば、成形実行時の最初に毎回行ったり、型締回数が規定回数に達したら行う等、定期的に行って型締部40を常時基準姿勢に保つことが好ましい。
【0066】
図23(A)乃至(C)はこの制御の内容を模式的に示した図である。まず、図23(A)に示すように、説明の便宜上、4つの駆動ユニット90を区別するために#1〜#4の符号を付す。以下の説明では、対応する各構成について区別する場合に同様の符号を付した表記とする場合がある。
【0067】
本実施形態では、まず、型締部40をその限界まで傾かせた第1姿勢とする(第1傾斜制御)。図23(B)はその一例を示している。型締部40をその限界まで傾かせるため、#1及び#2のグループの駆動ユニット90については、対応する取付部42(#1、#2)がタイバ91の軸方向の第1軸方向(図23(B)では下方向)に移動するように、各モータ92(#1、#2)を駆動する。#3及び#4のグループの駆動ユニット90については、対応する取付部42(#3、#4)が第1軸方向と逆の第2軸方向(図23(B)では上方向)に移動するように、各モータ92(#3、#4)を駆動する。
【0068】
各モータ92(#1〜#4)は、それぞれが動作限界を向かえて回転不能となるまで駆動することで、型締部40をその限界まで傾かせる。各モータ92(#1〜#4)が動作限界を迎えたか否かは、各センサ93が検出した取付部42の移動量(対応モータ92の回転量)と、モータ92に対する制御移動量との差分が、予め定めた規定値を超えたか否かを判定する。この差分が規定値を超えた場合とは、動かそうとしているのに動かない場合であり、動作限界を迎えて回転不能の状態である。本実施形態の場合、モータ92がステッピングモータであることから、モータ92が脱調している状態である。
【0069】
なお、モータ92が動作限界を迎えるまで駆動すると、機構系の噛み込みが生じる場合があることから、噛み込んだとしても逆転させることで復旧できるよう、モータ92の駆動トルクは低いことが好ましい。
【0070】
型締部40が第1姿勢になると、次に、型締部40を第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする(第2傾斜制御)。図23(C)はその一例を示している。第1姿勢の場合と逆方向に限界まで傾かせるため、各モータ92(#1〜#4)の回転方向は第1傾斜制御の場合と逆になる。
【0071】
つまり、#1及び#2の駆動ユニット90については、対応する取付部42(#1、#2)がタイバ91の第2軸方向の逆方向(図23(C)では上方向)に移動するように、各モータ92(#1、#2)を駆動する。#3及び#4の駆動ユニット90については、対応する取付部42(#3、#4)がタイバ91の第1軸方向(図23(C)では下方向)に移動するように、各モータ92(#3、#4)を駆動する。第1傾斜制御の場合と同様、各モータ92(#1〜#4)は、それぞれが動作限界を向かえて回転不能となるまで駆動することで、型締部40をその限界まで傾かせる。
【0072】
型締部40が第2姿勢に至ると、型締部40第1姿勢から第2姿勢に移行する間の各取付部42(#1〜#4)の移動量(図23(C)において、X(#1)は取付部42(#1)の移動量を示す。)、つまり、センサ93(#1〜#4)が検出した回転量に基づき、型締部40の姿勢を第2姿勢から基準姿勢に復帰させる。
【0073】
本実施形態の場合、基準姿勢は第1姿勢と第2姿勢との中間の姿勢のはずである。そこで、基準姿勢に復帰させるための各モータ92(#1〜#4)への制御量は、各取付部42(#1〜#4)が第1姿勢から第2姿勢へ至る際に移動した移動量の半分に相当し、かつ、第2姿勢の位置から第1姿勢の位置へ戻す方向の移動とする。例えば、図23(C)において、駆動ユニット90(#1)について言えば、取付部42(#1)をX(#1)/2だけ下向きに移動させるよう、モータ92(#1)を制御することになる。
【0074】
こうして本実施形態では、基準姿勢が第1姿勢と第2姿勢との中間の姿勢であるとみなすことで、型締部40の姿勢を基準姿勢に復帰させることができる。型締部40の現在の絶対的な位置ないし傾斜を検出する必要がないため、そのような検出を行うセンサが不要であり、より安価に型締部40を基準姿勢に戻すことができる。
【0075】
<制御処理例>
次に、上述した基準姿勢への復帰に関する具体的な制御処理例を図24を参照して説明する。図24はCPU101が実行する処理の例を示すフローチャートである。S1〜S4までの処理は上記の第1傾斜制御に相当し、S5〜S9までの処理は上記の第2傾斜制御に相当する。
【0076】
S1では全モータ92(#1〜#4)の駆動を開始する。各モータ92の回転方向は、図23(B)を参照して説明したように、モータ92(#1、#2)については、対応する取付部42(#1、#2)がタイバ91の下方向に移動するように、モータ92(#3、#4)については、対応する取付部42(#3、#4)が上方向に移動するように、設定する。また、各モータ92のトルク、回転速度は同じにする。
【0077】
S2では、いずれかのモータ92が回転不能となっているか否かを判定する。具体的には、上記の通り、各センサ93が検出した対応モータ92の回転量と、モータ92に対する制御移動量との差分が、予め定めた規定値を超えているモータ92があるか否かを判定する。該当するモータ92がある場合はS3へ進み、そのモータ92の駆動を停止する。該当するモータ92がない場合はS2へ戻る。
【0078】
S4では全てのモータ92の駆動を停止したか否かを判定する。該当する場合は型締部40が限界まで傾斜したとしてS5へ進み、該当しない場合はS2へ戻る。
【0079】
S5では、再び全モータ92(#1〜#4)の駆動を開始する。各モータ92の回転方向は、S1で駆動を開始した場合と逆方向となる。各モータ92のトルク、回転速度は同じにする。S6では、いずれかのモータ92が回転不能となっているか否かを判定する。S2と同様の処理である。該当するモータ92がある場合はS7へ進み、そのモータ92の駆動を停止する。該当するモータ92がない場合はS5へ戻る。
【0080】
S8では、S7で駆動を停止したモータ92に対応するセンサ93が検出した回転量を保存する。S9では全てのモータ92の駆動を停止したか否かを判定する。該当する場合は型締部40が限界まで傾斜したとしてS10へ進み、該当しない場合はS5へ戻る。
【0081】
S10では、型締部40の姿勢を現在の姿勢(第2姿勢)から基準姿勢に戻すための制御量を設定する。ここでは、S8で保存した、各モータ92に対応する各センサ93が検出した回転量の半分の制御回転量として設定し、回転方向はS5で駆動を開始した場合と逆方向とする。
【0082】
S11ではS10で設定した制御量で各モータ92を駆動する。これにより型締部40の姿勢が基準姿勢に戻ることになる(姿勢復帰)。
【0083】
<基準姿勢への復帰に関する他の例>
本実施形態では、型締部40の移動を、駆動ユニット90を4つ設けた4軸機構により行ったが、駆動ユニットを2〜3つ、或いは、5つ以上設けた多軸機構としてもよい。駆動ユニットを2つ設けた2軸機構の場合、第1傾斜制御、第2傾斜制御において、双方の駆動ユニットのモータの一方は停止していてもよい。例えば、2つのモータ(#1)、モータ(#2)について、第1傾斜制御ではモータ(#1)のみ駆動、第2傾斜制御でもモータ(#1)のみ駆動としてもよい。或いは、第1傾斜制御ではモータ(#1)のみ駆動、第2傾斜制御ではモータ(#2)のみ駆動としてもよい。
【0084】
<他の実施形態>
上記実施形態では、モータ92等の各モータをステッピングモータとしたが他の電動モータでもよい。
【0085】
上記実施形態では、型締部40では金型4を支持せず、金型支持部60で支持する構成としたが、型締部40で金型4を支持する構成としてもよい。
【0086】
上記実施形態では、型締部40と型締部50の双方が型締方向に移動する構成としたが、いずれか一方のみが移動する構成としてもよい。但し、本実施形態の構成の方が、型締部の移動に必要な時間を短縮可能である。
【0087】
上記実施形態では、射出成形機1を竪型成形機として構成したが、横型成形機として構成してもよい。また、金型は2プレートや3プレートでも、ホットランナー方式でも構わない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機等に用いられる型締装置及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機等に用いられる型締装置は、型締力を発揮するための駆動機構として種々の方式が提案されている。そのうち、複数軸によって駆動対象を進退させる駆動機構を備えた射出装置が知られており(例えば特許文献1及び2)、負荷慣性等において単軸駆動による駆動機構よりも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−314512号公報
【特許文献2】特開2007−136961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数軸によって型締部を移動させるため、軸に対して型締部が意図せず傾いてしまう場合がある。型締部が傾くと、型締時における型締力の分布が意図しない分布となったり、型締部が移動できなくなる場合がある。そこで、型締部を本来の姿勢(基準姿勢)に戻すことが必要となる。型締部を基準姿勢に戻すにあたっては、型締部の現在の姿勢、つまり、各部の現在の絶対位置を検出してその検出結果に基づき姿勢を戻すことが考えられる。しかし、この方法では型締部の絶対位置を検出するためのセンサが必要となり、装置コストが増加する。
【0005】
本発明の目的は、より安価に型締部を基準姿勢に戻すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御手段と、前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御手段と、前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰手段と、を備えたことを特徴とする型締装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、上記型締装置を備えた射出成形機が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、を備えた型締装置の制御方法であって、前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御工程と、前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御工程と、前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰工程と、を備えたことを特徴とする型締装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より安価に型締部を基準姿勢に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機の斜視図。
【図2】視点を変えた前記射出成形機の斜視図。
【図3】前記射出成形機の分解斜視図。
【図4】型締部(下側)をロックする位置ロック機構の説明図。
【図5】型締部(下側)をロックする位置ロック機構の説明図。
【図6】型締部(下側)をロックする位置ロック機構の説明図。
【図7】駆動ユニットの説明図。
【図8】(A)は型締部(上側)の平面図、(B)は型締部(上側)の正面図。
【図9】(A)は射出シリンダを装着した型締部(上側)の正面図、(B)は射出シリンダを装着した型締部(上側)の底面図。
【図10】金型とノズル部の配置関係の説明図。
【図11】(A)及び(B)は金型とノズル部の配置関係の説明図。
【図12】制御系のブロック図。
【図13】前記射出成形機の動作説明図。
【図14】前記射出成形機の動作説明図。
【図15】前記射出成形機の動作説明図。
【図16】前記射出成形機の動作説明図。
【図17】前記射出成形機の動作説明図。
【図18】前記射出成形機の動作説明図。
【図19】型締部(下側)の位置ロック機構の他の構成例の説明図。
【図20】型締部(下側)の位置ロック機構の他の構成例の説明図。
【図21】型締部(下側)の位置ロック機構の他の構成例の説明図。
【図22】(A)は型締部(上側)が傾いた状態を示す図、(B)は型締部(上側)が基準姿勢である状態を示す図。
【図23】(A)乃至(C)は型締部(上側)を基準姿勢へ復帰させる制御を模式的に示した説明図。
【図24】型締部(上側)を基準姿勢へ復帰させる制御の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<射出成形機>
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る射出成形機1を視点を変えて示した斜視図、図3は射出成形機1の分解斜視図である。射出成形機1は射出装置2と型締装置3とを備える。型締装置3は金型4及び5に型締力を付与して型締めを行い、射出装置2は金型4及び5に射出材料(本実施形態の場合、溶融樹脂である。)を射出し、樹脂成形品を成形する。金型4は、その上面が溶融樹脂の注入口4bを有する平坦な注入面4aを構成している。金型5の下には、受け板6が配設されている。受け板6はリターンスプリング8を介してエジェクタプレート7に連結されている。これらは樹脂成形品の排出に関わる構成であるが、その詳細は割愛する。
【0012】
<射出装置>
射出装置2は、射出シリンダ10と、射出用の駆動ユニット20と、材料供給ユニット30と、を備える。
【0013】
<射出シリンダ>
射出シリンダ10は、溶融樹脂を射出するノズル部11をその先端部に備える。ノズル部11には加熱筒部12の先端が接続されている。加熱筒部12はその中心線上に加熱筒部12を貫通する樹脂通路を有して円筒状に形成され、この樹脂通路の上部にはプランジャ14が進退自在に挿入されている。加熱筒部12内には材料供給ユニット30から樹脂材料が供給される。樹脂材料は例えばペレット状をなしている。
【0014】
加熱筒部12の周囲にはバンドヒータ13が設けられ、加熱筒部12の樹脂通路内の樹脂材料を加熱して溶融する。溶融した樹脂材料はプランジャ14の進退動作によってノズル部11から射出される。本実施形態ではプランジャ14の進退動作で射出する構成としたが、スクリューの回転動作により射出する構成としてもよい。
【0015】
ノズル部11は、本実施形態の場合、射出シリンダ10の径方向(加熱筒部12の径方向)に突出したフランジ状をなしており、かつ、その外形が円柱形状となっている。すなわち、ノズル部11の周縁部は、射出シリンダ10の径方向に突出したフランジ部となっている。ノズル部11の先端面11aは平坦面をなし、その中心には加熱筒部12の樹脂通路と連通した射出口11bが形成されている。本実施形態の場合、この先端面11aは金型4の注入面4aに当接する当接面を構成している。
【0016】
<射出用の駆動ユニット>
駆動ユニット20は、ユニットベース21を備える。ユニットベース21は、後述する上側の型締部40に立設された一対の支柱21aに支持されている。ユニットベース21には、減速機23bが取り付けられ、減速機23bにはモータ23aが取り付けられている。モータ23aは本実施形態の場合、ステッピングモータである。モータ23aの出力は減速機23bで減速され、減速機23bの出力軸に取り付けられたプーリ23cを回転させる。
【0017】
ユニットベース21には、また、ボールネジ軸25aが回転自在に支持されており、その上端にはプーリ25cが取り付けられている。プーリ23cとプーリ25cとには無端ベルト24が巻きまわされ、モータ23aの出力がボールネジ軸25aに伝達されてボールネジ軸25aを回転させる。
【0018】
ボールネジ軸25aにはボールナット25bが螺着しており、ボールナット25bにはプランジャガイド板26が連結されている。プランジャガイド板26には、一対の支柱21aが貫通しており、プランジャガイド板26は一対の支柱21aに案内されて上下方向に移動可能になっている。しかして、モータ23aがボールネジ軸25aを回転させると、その回転方向によってプランジャガイド板26が昇降する。プランジャガイド板26には、プランジャ14の上端部が係合し、プランジャガイド板26の昇降によりプランジャ14も昇降する。この昇降動作によって、プランジャ14が加熱筒部12内の樹脂通路を進退し、溶融樹脂の射出動作が行われることになる。
【0019】
一対の支柱21aには、また、シリンダ支持部22が移動不能に支持されている。シリンダ支持部22にはセンサユニット27が取り付けられている。センサユニット27はプランジャガイド板26の昇降位置を検出するセンサを搭載しており、その検出結果を参照することでプランジャ14の進退動作を行うことができる。
【0020】
シリンダ支持部22は、凹状のシリンダ取付部22aが形成されている。射出シリンダ10は、その加熱筒部12の上部がこのシリンダ取付部22aに装着され、ロックレバー22cの開閉によりシリンダ支持部22に対して着脱自在に支持される。シリンダ取付部22aには、供給筒用の取付孔22bが形成されている。この取付孔22bはシリンダ支持部22を貫通しており、材料供給ユニット30の供給筒31の先端部が挿入される。供給筒31の供給口31aと、加熱筒部12とは、シリンダ取付部22aにおいて連結され、樹脂材料が材料供給ユニット30から射出シリンダ10へ供給される。
【0021】
<材料供給ユニット>
材料供給ユニット30は、供給筒31と、ホッパ32と、モータ33とを備える。供給筒31は、その中心線上に樹脂材料の供給通路を有する円筒体であり、その先端の供給口31aが上記の通り加熱筒部12の側部に接続されて連結される。ホッパ32は、樹脂材料を貯留する容器であり、本実施形態ではボトル状をなしている。ホッパ32内の樹脂材料は自重により供給筒31内の供給通路内に落下する。モータ33は、供給筒31内の供給通路に設けたスクリュ(不図示)を回転駆動するモータであり、スクリュの回転により樹脂材料を加熱筒部12に送出する。本実施形態の場合、モータ33はステッピングモータである。なお、樹脂材料の送出機構はスクリュを用いたものに限られず、例えば、プランジャを進退させる送出機構等、他の送出機構でもよい。
【0022】
<型締装置>
型締装置3は、金型4及び5を挟む型締部40及び型締部50と、金型4を支持する金型支持部60と、型締部50を型締方向(型締部40に対して近接・離間する方向)に移動する駆動ユニット70と、型締部50をロックする位置ロック機構80と、型締部40を型締方向(型締部40に対して近接・離間する方向)に移動する複数の駆動ユニット90と、を備える。
【0023】
<型締部及び金型支持部>
図1乃至図3、図8及び図9を参照して型締部40について説明する。図8(A)は型締部40の平面図、図8(B)は型締部40の正面図、図9(A)は射出シリンダ10を装着した型締部40の正面図、図9(B)は射出シリンダ10を装着した型締部40の底面図である。
【0024】
型締部40は、板状方形のプレート部41と、互いに離間して形成された筒状の取付部42と、を備える。本実施形態の場合、取付部42はプレート部41の4隅にそれぞれ形成されている。取付部42には後述する駆動ユニット90がそれぞれ取り付けられ、取付部42には駆動ユニット90から型締部40を型締方向に移動させる移動力が独立して付勢(付与)される。つまり、取付部42は被付勢部位として機能する。
【0025】
プレート部41には支柱21aが取り付けられる取付孔41aが形成されている。また、プレート部41には、射出シリンダ10が装着される溝部43が形成されている。溝部43は平面視でU字型をなし、上部43aは相対的に幅が狭く、下部43bは相対的に幅が広く形成されている。上部43aの幅は射出シリンダ10の加熱筒部12の外径に合わせて設定され、加熱筒部12の下端部が装着される。下部43bの幅は射出シリンダ10のノズル部11の外径に合わせて設定され、ノズル部11が装着される。固定部材44は、射出シリンダ10の装着後に溝部43に嵌合し、溝部43の残りの部分を埋めて射出シリンダ10の脱落を防止する。
【0026】
図9(A)に示すように、下部43bの上下の厚みはノズル部11の厚みよりも薄く設定されており、射出シリンダ10が型締部40に装着された状態では、ノズル部11が型締部40の底面から下方に突出した態様となる。このとき、バンドヒータ13の下端面は、射出シリンダ10の自重が作用して、型締部40の溝部43の周縁部に当接している。なお、バンドヒータ13は、射出成形時において高温状態となるため、バンドヒータ13と接触する型締部40の一部(具体的には溝部43の周縁部)は断熱部によって覆われている。これにより、バンドヒータ13から型締部40への熱伝達を低減することができる。
【0027】
また、詳細は後述するが、型締め状態においては、上部43aの底面43a'はノズル部11の上面に当接する。型締部40に対して駆動ユニット90から型締力が作用すると、底面43a'を介してノズル部11に型締力が伝達し、ノズル部11の先端面11aが金型4の注入面4aに当接し、押圧する。これにより先端面11aと注入面4aとが密着してシールが形成される。シール性能は先端面11aと注入面4aの平滑度が高いほど向上する。
【0028】
なお、本実施形態では、先端面11aと、注入面4aとがそれぞれ平坦面であるが、平坦面でもなくてもよく、曲面や凹凸面等、互いに密着し合う面形状であればよい。また、本実施形態では、ノズル部11に型締力が伝達するようにしたが、射出シリンダ10のノズル部11以外の部位でもよい。尤も、ノズル部11に型締力が伝達するようにすることで、ノズル部11のみが型締力に耐久できる強度を有すれば足り、射出シリンダ10全体が型締力に耐久できる強度を有することが必ずしも主要件とならない。
【0029】
図10は型締時における金型4とノズル部11の配置関係の説明図である。ノズル部11の射出口11bは、金型4の注入口4b上に位置しており、射出口11bから注入口4bに溶融樹脂が射出される位置関係にある。ノズル部11の先端面11aは、注入口4bを覆う大きさを有しており、上記の型締力の伝達で注入口4bの周囲においては先端面11aと注入面4aとが密着してシールが形成される。よって、溶融樹脂の漏れが防止される。しかも、型締力を利用してノズル部11を金型4に押し付ける方式なので、従来必要とされたノズルの先端位置の調整作業は不要である。
【0030】
本実施形態の場合、各取付部42が互いに離間していることから、駆動ユニット90を同期的に駆動することでより均一にノズル部11に型締力をかけ易くなる。特に、本実施形態では、各取付部42がプレート部41の4隅に位置し、ノズル部11はプレート部41の略中央に位置していることから、より均一にノズル部11に型締力をかけ易くなる。
【0031】
なお、金型には成形時に生じるランナを排出する目的でランナロック部材を金型に着脱自在に装着し、ランナロック部材に溶融樹脂の注入口を設ける場合がある。図11(A)はその例を示し、ランナロック部材4cに注入口4bが形成されている。この構成の場合も、ノズル部11の先端面11aが注入口4bを覆う大きさを有していれば溶融樹脂の漏れを防ぐことができる。ランナロック部材4cと、金型本体との間で、ランナロック部材4cの輪郭部分に隙間が生じて溶融樹脂が漏れるような場合は、ノズル部11の先端面11aが該隙間をも覆う大きさを有するものとすることが望ましい。図11(B)はその例を示し、注入口4bが2つある。この場合は、ノズル部11の先端面11aが同図に示すように双方の注入口4bを覆う大きさを有するものとすることで、双方の注入口4bからの溶融樹脂の漏れを防止できる。
【0032】
なお、本実施形態ではノズル部11を円柱形状としたが、角柱形状や三角柱形状でもよく、その外形は適宜選択可能である。先端面11aの大きさは、注入口4bを覆うだけでなく、注入面4a全体を覆うよう、注入面4aと同じか、それよりも大きくしてもよい。これは、金型4への型締力が注入面4a全体に分布する点で有利な場合がある。
【0033】
次に、図1乃至図3を参照して金型支持部60について説明する。金型支持部60は、金型4を支持するための部材である。金型支持部60は、金型4と係合するコの字型をなし、ロックレバー61の開閉で金型4の保持及び解除を行う。金型支持部60はタイバ91が挿通する挿通部62に案内されて型締方向に移動可能である。但し、タイバ91には止め輪91bが設けられており、金型支持部60の最下位置はこの止め輪91bによって規定される。
【0034】
次に、図1乃至図3を参照して型締部50について説明する。型締部50は、受け板6及び金型5が搭載される搭載部51を備え、ロックレバー53の開閉で受け板6及び金型5の保持及び開放を行う。型締部50は、また、搭載部51から窪んでエジェクタプレート7やリターンスプリング8を収容する収容部52を備える。型締部50は更に、タイバ91が挿通する挿通部54を備え、タイバ91に案内されて型締方向に移動可能となっている。
【0035】
<型締部(下側)の移動機構>
図1乃至図3を参照して、駆動ユニット70は、駆動源として、ベース9に支持されたモータ71を備える。モータ71は本実施形態の場合、ステッピングモータである。モータ71には、ベース9に支持された減速機73が接続されており、モータ71の出力を減速する。減速機73の出力軸にはプーリ74が取り付けられている。プーリ75は、プーリ74の上方で、ベース9上に立設された不図示の支柱により回転自在に支持されている。プーリ74とプーリ75とには無端ベルト76が巻きまわされており、モータ71を回転駆動することで無端ベルト76が走行する。
【0036】
無端ベルト76の一部と型締部50とは連結部77により連結されている。したがって、モータ71を回転することで、その回転方向によって型締部50を型締方向に移動することができる。駆動ユニット70は、型締部50を金型4と金型5とが離間する最下方の位置(型開き位置)と、金型4と金型5との型締めを開始する最上方の位置(型締開始位置)と、の間で移動する。本実施形態の場合、駆動ユニット70は型締めは行わないため、モータ71としては、その出力が比較的小さいもので足りる。
【0037】
センサ72は、型締部50の位置を検出する。本実施形態の場合、センサ72はモータ71に取り付けられ、その回転量を検出するエンコーダであり、センサ72が検出した回転量から型締部50の位置を演算する構成であるが、型締部50の位置が検出できれば他の種類のセンサでもよい。
【0038】
<型締部(下側)の位置ロック機構>
図1乃至図3及び図4乃至図6を参照して位置ロック機構80の構成について説明する。図4乃至図6は位置ロック機構80の説明図である。型締部50は、上記の通り、駆動ユニット70によって型締開始位置へ移動されるが、駆動ユニット70は型締め時に型締部50からの型締力を受けない構成になっている。位置ロック機構80は、型締時において、型締部50が型締力に抗して移動しないように型締部50を支持する機構である。
【0039】
位置ロック機構80は、中心軸81aを介して型締部50の底部に回転自在に支持された回転板81を備える。回転板81には、複数のロックブロック82がそれぞれ固定される取付孔81cと、ベース9に立設された複数のロック支柱83がそれぞれ挿通する開口部81bと、を備える。ロックブロック82とロック支柱83とは同数である。型締部50の底部には、ロック支柱83との干渉を避け、ロック支柱83が進入可能な挿入孔55が、各ロック支柱83に対応して形成されている。
【0040】
位置ロック機構80は型締部50の側部に支持されたモータ84を備える。モータ84は本実施形態の場合、ステッピングモータである。モータ84の出力軸にはピニオンギア84aが取り付けられている。回転板81の周縁にはピニオンギア84aと噛合するギア81dが形成されている。このため、モータ84を回転すると、中心軸81a回りに回転板81が回転する。
【0041】
センサ85(図4において不図示)は、回転板81の回転量を検出する。本実施形態の場合、センサ85はモータ84に取り付けられ、その回転量を検出するエンコーダであり、センサ85が検出した回転量から回転板81の回転量を演算する構成であるが、回転板81の回転量が検出できれば他の種類のセンサでもよい。
【0042】
係る構成からなる位置ロック機構80では、回転板81は、その回転により、ロック支柱83と同軸上に開口部81bが位置する位置(図4)と、ロック支柱83と同軸上にロックブロック82が位置する位置(図6)と、に位置する。
【0043】
図4の位置の場合、ロック支柱83と、回転板81及び型締部50と、が干渉しないので、型締部50を型締方向に移動可能となる。したがって、型締部50を型開き位置と型締開始位置との間で移動する場合は、回転板81を図4の位置とする。図6の位置の場合、ロックブロック82を介して型締部50がロック支柱83によって、その下方への移動が規制され、位置がロックされた状態となる。したがって、型締時には、回転板81を図6の位置とする。
【0044】
図5は図4の位置と図6の位置との中間の位置に回転板81が位置している状態を示している。以上のように、型締部50を、型開き位置→型締開始位置→(型締)→型開き位置と、移動する場合、回転板81は、図4の位置→図6の位置→(型締)→図4の位置に位置させることになる。
【0045】
型締部50の位置ロック機構としては他の構成例も採用可能である。図19乃至図21はその一例を示す。同図の例は、複数のアーム部181を回動自在に型締部50の底部に固定し、アーム部181と連結された旋回円板182を回転させることで、アーム部181のフック181aがタイバ191に設けた切り欠き191aに係合(図20)、係合解除(図19)するようにした構成である。型締部50のロックは、フック181aと切り欠き191aとの係合によってタイバ191で型締部50を支持することで行う構成である。
【0046】
<型締部(上側)の移動機構>
図1乃至図3及び図7を参照して型締部40を移動する駆動ユニット90の構成について説明する。図7は駆動ユニット90の説明図であり、取付部42を一部破断してその内部機構を示した図である。各駆動ユニット90は、ベース9に型締方向に立設され、その先端(上端)にネジ91aが形成されたボールネジ軸であるタイバ91を備える。取付部42には、駆動ユニット90の駆動源であるモータ92が搭載されている。モータ92は本実施形態の場合、ステッピングモータである。
【0047】
取付部42の内部では、タイバ91のネジ91aと螺合するボールナット95が、ベアリング96を介して取付部42の内壁に回転自在に支持されている。取付部42の内部には、また、減速機94が配設されている。減速機94はモータ92の出力軸に取り付けられたピニオン92aの出力を減速してボールナット95を回転させる。
【0048】
このような構成によってモータ92を回転するとボールナット95が回転し、タイバ91のネジ91aとボールナット95との螺合により、ボールナット95がタイバ91に沿って移動する。こうして、モータ92の回転により、型締部40はタイバ91に案内されて型締方向に移動することになる。
【0049】
なお、本実施形態では、駆動ユニット90としてボールネジ機構を採用したが、軸(タイバ)に沿って型締部を移動させる機構はこれに限られず、種々の機構が利用可能である。
【0050】
型締部40は、駆動ユニット90によって、型締めが完了する最下位置(型締位置)と、型締力が完全に解除される、最上方の位置(退避位置)との間で移動される。本実施形態では、型締部40の、型締位置と退避位置との間の移動距離は数ミリ程度である場合を想定している。
【0051】
センサ93は、型締部40の位置、特に個々の取付部42の位置(移動量)を検出する。本実施形態の場合、センサ93はモータ92に取り付けられ、その回転量を検出するエンコーダであり、センサ93が検出した回転量から取付部42の位置(移動量)を演算する構成であるが、取付部42の位置(移動量)が検出できれば他の種類のセンサでもよい。
【0052】
本実施形態の場合、モータ92がステッピングモータであるため、駆動パルスによって取付部42の移動量は推定移動量として演算可能であるが、脱調する場合があるため、センサ93によって実移動量を検出するようにしている。
【0053】
<制御部の構成>
次に、図12を参照して制御系の構成について説明する。制御部100は、CPU101、記憶部102及びI/F(インタフェース)103を備える。CPU101は、センサの検出結果を取得し、記憶部102に記憶されたプログラムにしたがって、モータやヒータ等の制御を行う。ここで、図12のセンサは例えば、センサ93のほか、上述した各センサが含まれる。モータにはモータ92のほか、上述した各モータが含まれる。ヒータにはバンドヒータ13が含まれる。
【0054】
各モータの制御は、モータ毎のドライバ130により個別に行う。CPU101はドライバ130に対してトルク指令値(例えば電流指令値)と、移動量の指令値(例えば駆動パルス数)を指示し、ドライバ130は指示されたこれらの制御内容を実現する。なお、図示しないが、ヒータにもドライバが、また、センサには信号処理回路等がそれぞれ設けることができる。
【0055】
記憶部102には、例えば、ROM、RAM、ハードディスク等が含まれる。I/F103はCPU101と、外部のデバイスとのインタフェースである。入力部110は、例えば、キーボード、マウス等である。作業者は入力部110を介して制御部100に動作指令を行うことができる。表示部120は、例えば、LCD等のディスプレイであり、射出成形機の状況等を表示する。
【0056】
<射出成形機の動作例>
図13乃至図18を参照して射出成形機1の動作例について説明する。図13乃至図18は射出成形機1の動作説明図である。ここでは、1回の成形動作について説明する。
【0057】
図13は、射出成形機1が型締装置3による型締力が金型4及び金型5に付与されない型開き状態にあることを示している。型締部50は型開き位置に位置し、回転板81は上記の図4の位置にある。型締部40は退避位置にあり、金型支持部60は止め輪91bによって規制された最下位置にある。金型4と金型5とは上下に分離している。
【0058】
図14は、図13の状態から駆動ユニット70を駆動し、型締部50を型締部40に近接する方向に移動している途中の状態を示している。型締部50及び金型5は、その移動途中で金型支持部60及び金型4と接触し、図4に示すようにこれらが搭載された状態となる。駆動ユニット70は、型締部50の移動を継続し、図15に示す型締開始位置まで移動する。図15の状態において、ノズル部11の先端面11aと金型4の注入面4aとは僅かに離間しているか、互いに押圧しない程度で接触している。
【0059】
型締部50を型締開始位置まで移動したので、型締部50を位置ロック機構80でロックする。つまり、図16に示すように回転板81を上記の図6の位置に回転させ、ロック支柱83と同軸上にロックブロック82を位置させる。これにより、型締部50が型締力に抗して下方に下がらないようになる。
【0060】
次に、型締めを開始する。つまり、図17に示すように、各駆動ユニット90を駆動して型締部40を型締部50に近接する方向に、型締位置まで移動する。これにより、型締装置3からの型締力が金型4及び金型5に付与された状態(型締め状態)となる。具体的には、射出シリンダ10は、ノズル部11の周縁部(フランジ部)が型締部40の溝部43の周縁部で押圧されることにより、ノズル部11の先端面11aが金型4の注入面4aに密着する。そして、この状態で、型締部40から射出シリンダ10を介して金型4と金型5との間に型締力が付与されることになる。なお、このとき、バンドヒータ13の下端面は、型締部40の溝部43の周縁部に当接しておらず、金型4と型締部40(溝部43の周縁部)との間でノズル部11の周縁部が挟持される。これにより、射出シリンダ10の型締め及び型開き方向(図17の上下方向)への移動が実質的に規制された状態となる。
【0061】
また、この型締め状態においては、ノズル部11の先端面11aと金型4の注入面4aとが互いに押圧しあって、溶融樹脂の漏れを防ぐシールが形成されることになる。これは、ノズル部11の先端面11aが、注入口4bを有する金型4の注入面4aに当接されてその注入口4bを覆うようになっているためである。すなわち、本実施形態では、型締め状態では金型4の注入口4bをノズル部11で実質的に覆うようにしてノズルの位置の調整作業を不要としながら溶融樹脂の漏れを防ぐシール構造を実現している。
【0062】
続いて、駆動ユニット90の駆動によって型締部40を型締位置に位置させた状態で、駆動ユニット20を駆動し、プランジャ14を移動し、ノズル部11から金型4へ溶融樹脂を射出する。その後、逆の手順で図13の状態の戻り、成形品を取り出して1回の成形動作が終了する。
【0063】
<基準姿勢への復帰>
本実施形態では、上記の通り、4つの駆動ユニット90を同調的に制御することで型締部40の移動を行うが、同調がうまくいかなかった場合等にタイバ91に対して型締部40が意図せず傾いてしまう事態が生じ得る。図22(A)は型締部40が傾いた例を示す図であり、型締部40が傾いている状態を誇張して表した図である。
【0064】
図22((B)は型締部40の姿勢が基準姿勢である場合を示しており、型締部40がタイバ91に対して直交する方向に延在している。本実施形態の場合、タイバ91が鉛直方向に延びていることから、型締部40は水平姿勢をその基準姿勢としており、型締部40の下面の法線方向はタイバ91と平行である。
【0065】
以下、図22(A)に示すように傾いた状態から図22(B)に示す基準姿勢に型締部40の姿勢を戻す、すなわち、型締部40の姿勢を基準姿勢となるように位置決め(補正)するための制御について説明する。この制御は、例えば、成形実行時の最初に毎回行ったり、型締回数が規定回数に達したら行う等、定期的に行って型締部40を常時基準姿勢に保つことが好ましい。
【0066】
図23(A)乃至(C)はこの制御の内容を模式的に示した図である。まず、図23(A)に示すように、説明の便宜上、4つの駆動ユニット90を区別するために#1〜#4の符号を付す。以下の説明では、対応する各構成について区別する場合に同様の符号を付した表記とする場合がある。
【0067】
本実施形態では、まず、型締部40をその限界まで傾かせた第1姿勢とする(第1傾斜制御)。図23(B)はその一例を示している。型締部40をその限界まで傾かせるため、#1及び#2のグループの駆動ユニット90については、対応する取付部42(#1、#2)がタイバ91の軸方向の第1軸方向(図23(B)では下方向)に移動するように、各モータ92(#1、#2)を駆動する。#3及び#4のグループの駆動ユニット90については、対応する取付部42(#3、#4)が第1軸方向と逆の第2軸方向(図23(B)では上方向)に移動するように、各モータ92(#3、#4)を駆動する。
【0068】
各モータ92(#1〜#4)は、それぞれが動作限界を向かえて回転不能となるまで駆動することで、型締部40をその限界まで傾かせる。各モータ92(#1〜#4)が動作限界を迎えたか否かは、各センサ93が検出した取付部42の移動量(対応モータ92の回転量)と、モータ92に対する制御移動量との差分が、予め定めた規定値を超えたか否かを判定する。この差分が規定値を超えた場合とは、動かそうとしているのに動かない場合であり、動作限界を迎えて回転不能の状態である。本実施形態の場合、モータ92がステッピングモータであることから、モータ92が脱調している状態である。
【0069】
なお、モータ92が動作限界を迎えるまで駆動すると、機構系の噛み込みが生じる場合があることから、噛み込んだとしても逆転させることで復旧できるよう、モータ92の駆動トルクは低いことが好ましい。
【0070】
型締部40が第1姿勢になると、次に、型締部40を第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする(第2傾斜制御)。図23(C)はその一例を示している。第1姿勢の場合と逆方向に限界まで傾かせるため、各モータ92(#1〜#4)の回転方向は第1傾斜制御の場合と逆になる。
【0071】
つまり、#1及び#2の駆動ユニット90については、対応する取付部42(#1、#2)がタイバ91の第2軸方向の逆方向(図23(C)では上方向)に移動するように、各モータ92(#1、#2)を駆動する。#3及び#4の駆動ユニット90については、対応する取付部42(#3、#4)がタイバ91の第1軸方向(図23(C)では下方向)に移動するように、各モータ92(#3、#4)を駆動する。第1傾斜制御の場合と同様、各モータ92(#1〜#4)は、それぞれが動作限界を向かえて回転不能となるまで駆動することで、型締部40をその限界まで傾かせる。
【0072】
型締部40が第2姿勢に至ると、型締部40第1姿勢から第2姿勢に移行する間の各取付部42(#1〜#4)の移動量(図23(C)において、X(#1)は取付部42(#1)の移動量を示す。)、つまり、センサ93(#1〜#4)が検出した回転量に基づき、型締部40の姿勢を第2姿勢から基準姿勢に復帰させる。
【0073】
本実施形態の場合、基準姿勢は第1姿勢と第2姿勢との中間の姿勢のはずである。そこで、基準姿勢に復帰させるための各モータ92(#1〜#4)への制御量は、各取付部42(#1〜#4)が第1姿勢から第2姿勢へ至る際に移動した移動量の半分に相当し、かつ、第2姿勢の位置から第1姿勢の位置へ戻す方向の移動とする。例えば、図23(C)において、駆動ユニット90(#1)について言えば、取付部42(#1)をX(#1)/2だけ下向きに移動させるよう、モータ92(#1)を制御することになる。
【0074】
こうして本実施形態では、基準姿勢が第1姿勢と第2姿勢との中間の姿勢であるとみなすことで、型締部40の姿勢を基準姿勢に復帰させることができる。型締部40の現在の絶対的な位置ないし傾斜を検出する必要がないため、そのような検出を行うセンサが不要であり、より安価に型締部40を基準姿勢に戻すことができる。
【0075】
<制御処理例>
次に、上述した基準姿勢への復帰に関する具体的な制御処理例を図24を参照して説明する。図24はCPU101が実行する処理の例を示すフローチャートである。S1〜S4までの処理は上記の第1傾斜制御に相当し、S5〜S9までの処理は上記の第2傾斜制御に相当する。
【0076】
S1では全モータ92(#1〜#4)の駆動を開始する。各モータ92の回転方向は、図23(B)を参照して説明したように、モータ92(#1、#2)については、対応する取付部42(#1、#2)がタイバ91の下方向に移動するように、モータ92(#3、#4)については、対応する取付部42(#3、#4)が上方向に移動するように、設定する。また、各モータ92のトルク、回転速度は同じにする。
【0077】
S2では、いずれかのモータ92が回転不能となっているか否かを判定する。具体的には、上記の通り、各センサ93が検出した対応モータ92の回転量と、モータ92に対する制御移動量との差分が、予め定めた規定値を超えているモータ92があるか否かを判定する。該当するモータ92がある場合はS3へ進み、そのモータ92の駆動を停止する。該当するモータ92がない場合はS2へ戻る。
【0078】
S4では全てのモータ92の駆動を停止したか否かを判定する。該当する場合は型締部40が限界まで傾斜したとしてS5へ進み、該当しない場合はS2へ戻る。
【0079】
S5では、再び全モータ92(#1〜#4)の駆動を開始する。各モータ92の回転方向は、S1で駆動を開始した場合と逆方向となる。各モータ92のトルク、回転速度は同じにする。S6では、いずれかのモータ92が回転不能となっているか否かを判定する。S2と同様の処理である。該当するモータ92がある場合はS7へ進み、そのモータ92の駆動を停止する。該当するモータ92がない場合はS5へ戻る。
【0080】
S8では、S7で駆動を停止したモータ92に対応するセンサ93が検出した回転量を保存する。S9では全てのモータ92の駆動を停止したか否かを判定する。該当する場合は型締部40が限界まで傾斜したとしてS10へ進み、該当しない場合はS5へ戻る。
【0081】
S10では、型締部40の姿勢を現在の姿勢(第2姿勢)から基準姿勢に戻すための制御量を設定する。ここでは、S8で保存した、各モータ92に対応する各センサ93が検出した回転量の半分の制御回転量として設定し、回転方向はS5で駆動を開始した場合と逆方向とする。
【0082】
S11ではS10で設定した制御量で各モータ92を駆動する。これにより型締部40の姿勢が基準姿勢に戻ることになる(姿勢復帰)。
【0083】
<基準姿勢への復帰に関する他の例>
本実施形態では、型締部40の移動を、駆動ユニット90を4つ設けた4軸機構により行ったが、駆動ユニットを2〜3つ、或いは、5つ以上設けた多軸機構としてもよい。駆動ユニットを2つ設けた2軸機構の場合、第1傾斜制御、第2傾斜制御において、双方の駆動ユニットのモータの一方は停止していてもよい。例えば、2つのモータ(#1)、モータ(#2)について、第1傾斜制御ではモータ(#1)のみ駆動、第2傾斜制御でもモータ(#1)のみ駆動としてもよい。或いは、第1傾斜制御ではモータ(#1)のみ駆動、第2傾斜制御ではモータ(#2)のみ駆動としてもよい。
【0084】
<他の実施形態>
上記実施形態では、モータ92等の各モータをステッピングモータとしたが他の電動モータでもよい。
【0085】
上記実施形態では、型締部40では金型4を支持せず、金型支持部60で支持する構成としたが、型締部40で金型4を支持する構成としてもよい。
【0086】
上記実施形態では、型締部40と型締部50の双方が型締方向に移動する構成としたが、いずれか一方のみが移動する構成としてもよい。但し、本実施形態の構成の方が、型締部の移動に必要な時間を短縮可能である。
【0087】
上記実施形態では、射出成形機1を竪型成形機として構成したが、横型成形機として構成してもよい。また、金型は2プレートや3プレートでも、ホットランナー方式でも構わない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、
駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、
各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、
前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御手段と、
前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御手段と、
前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰手段と、
を備えたことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記基準姿勢は、前記第1の型締部が前記軸に対して直交する方向に延在する姿勢であり、
前記姿勢復帰手段は、
前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量の半分だけ、前記被付勢部位の位置を前記第2姿勢の位置から戻すことにより、前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させることを特徴とする請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記駆動手段を4つ備え、
前記第1傾斜制御手段は、
前記駆動手段のうちの2つである第1グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記軸の第1軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転し、前記駆動手段のうちの残りの2つである第2グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記第1軸方向と逆方向の第2軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転し、
前記第2傾斜制御手段は、
前記第1グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記第2軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転し、前記第2グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記第1軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の型締装置。
【請求項4】
前記軸がボールネジ軸であり、
前記複数の駆動手段は、それぞれ、
前記第1の型締部に搭載された前記モータと、
前記ボールネジ軸に螺合すると共に前記第1の型締部に回転自在に支持され、前記モータの駆動力で回転するボールナットと、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の型締装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の型締装置を備えた射出成形機。
【請求項6】
金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、
駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、
各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、
を備えた型締装置の制御方法であって、
前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御工程と、
前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御工程と、
前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰工程と、
を備えたことを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項1】
金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、
駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、
各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、
前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御手段と、
前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御手段と、
前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰手段と、
を備えたことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記基準姿勢は、前記第1の型締部が前記軸に対して直交する方向に延在する姿勢であり、
前記姿勢復帰手段は、
前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量の半分だけ、前記被付勢部位の位置を前記第2姿勢の位置から戻すことにより、前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させることを特徴とする請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記駆動手段を4つ備え、
前記第1傾斜制御手段は、
前記駆動手段のうちの2つである第1グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記軸の第1軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転し、前記駆動手段のうちの残りの2つである第2グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記第1軸方向と逆方向の第2軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転し、
前記第2傾斜制御手段は、
前記第1グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記第2軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転し、前記第2グループの前記駆動手段の前記モータを、前記被付勢部位が前記第1軸方向に移動するよう、それぞれ回転不能となるまで回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の型締装置。
【請求項4】
前記軸がボールネジ軸であり、
前記複数の駆動手段は、それぞれ、
前記第1の型締部に搭載された前記モータと、
前記ボールネジ軸に螺合すると共に前記第1の型締部に回転自在に支持され、前記モータの駆動力で回転するボールナットと、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の型締装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の型締装置を備えた射出成形機。
【請求項6】
金型に型締力を付与する第1及び第2の型締部と、
駆動源としてのモータと、前記第1の型締部の移動を案内する軸とを含み、前記第1の型締部の互いに異なる被付勢部位に対して、前記第2の型締部に近接・離間する方向に前記第1の型締部を移動させる移動力をそれぞれ独立して付勢する、複数の駆動手段と、
各々の前記被付勢部位の移動量を検出する検出手段と、
を備えた型締装置の制御方法であって、
前記モータを制御して、前記第1の型締部をその限界まで傾かせた第1姿勢とする第1傾斜制御工程と、
前記モータを制御して、前記第1の型締部を前記第1姿勢から逆方向にその限界まで傾かせた第2姿勢とする第2傾斜制御工程と、
前記検出手段が検出した、前記第1の型締部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移行する間の前記被付勢部位の移動量に基づいて、前記モータを制御して前記第1の型締部の姿勢を基準姿勢に復帰させる姿勢復帰工程と、
を備えたことを特徴とする型締装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−157981(P2012−157981A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17044(P2011−17044)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
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