説明

基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法

本発明は、以下の処理工程:(a)基体を連続的か又は非連続的に搬送方向に移動させる工程(b)施与領域において、粘着性材料の、低粘度の、重合性の及び/又は架橋性の前駆体材料を、少なくとも1つの可動式の施与装置の少なくとも1つの本質的にスロット状に配置された開口部を通じて平面的に基体上に施与し、その際、基体に対する施与装置の移動によりパターンを形成する工程(c)施与領域の下流で、施与された前駆体材料を重合及び/又は架橋させる工程を含むことを特徴とする、基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法に関する。
【0002】
身に着ける衛生用品、例えば自己粘着性の幼児用おむつ、失禁用おむつを製造する際には、粘着性材料から成る層を、基体上の所定の離散パターン中に施与するという問題が生じる。
【0003】
人の体に固定される衛生用品に関連して、しばしば、いわゆるヒドロゲルをベースとする材料が使用される。これは、3次元の網状構造を形成する、親水性、水不溶性のポリマーをベースとする含水ゲルである。これに加え、粘着層は、親水コロイド、例えばデンプン、変性デンプン、セルロースエーテル、植物ゴム又はカルボキシポリメチレン及び/又はプレポリマー、部分架橋ポリマー、ポリマー混合物、分枝鎖ポリマー並びにそのグラフト(コ)ポリマーを含有する。
【0004】
ヒドロゲルから成る粘着層は、適当な前駆体化合物の溶液、例えば適当な親水性モノマー又は適当な未架橋の親水性ポリマー又はそれらの混合物の溶液を架橋剤の存在で光重合させることにより得られる。この場合、基体を前駆体化合物の溶液で被覆し、層を高エネルギー線で照射することにより光重合ないし光架橋させるか、又は別の適当な方法により重合又は架橋させる。そのようにして得られる、粘着層で被覆された基体から、所望の形のパターンを打ち抜き、例えば上記の衛生用品を製造する際に使用する。
【0005】
この方法は煩雑であり、かつ、大量の切断屑が生じ、これが廃棄物となるという欠点を有する。
【0006】
上記のような流し込みの施与方法は、例えばF. W. v. Bach, T. Duda, Moderne Beschichtungsverfahren, Wiley-VCH Weinheim, Berlin, New-York, 2000又はK. W. Mertz, Praxishandbuch moderne Beschichtungen, Hanser, 2001に記載されている。公知技術の流し込みの施与方法を用いた場合、低粘度の液体を縁部がきれいな状態で離散形で施与することは不可能である。
【0007】
本発明の課題は、経済的であり、かつ公知技術の欠点を有しない、基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法を提供することである。
【0008】
前記課題は、以下の処理工程
(a)基体を連続的か又は非連続的に搬送方向に移動させる工程
(b)施与領域において、粘着性材料の、低粘度の、重合性の及び/又は架橋性の前駆体材料を、少なくとも1つの可動式の施与装置の少なくとも1つの本質的にスロット状の開口部を通じて平面的に基体上に施与し、その際、基体に対する施与装置の移動によりパターンを形成する工程
(c)施与領域の下流で、施与された前駆体材料を重合及び/又は架橋させる工程
場合により、次いで
(d)重合及び/又は架橋された材料を後処理し、加工及び/又は完成させる工程
を含む、基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法により解決される。
【0009】
低粘度の前駆体材料は、一般に0.3〜5mm、有利に0.5〜2mmの層厚で基体上に施与される。
【0010】
公知技術の流し込みの施与方法を用いた場合、極めて薄い層のみを施与できるに過ぎなかった。
【0011】
基体は連続的か又は非連続的に搬送方向に移動される。この場合、基体は施与領域及び重合−及び/又は架橋領域を通過する。通常、基体は基体ベルトとして存在し、これは施与領域の上流でベルトロールから巻き出され、重合−及び架橋領域の下流で、場合により保護箔と結合した後に再度バンドロールに巻き取られる。有利に、本発明による方法は、基体の被覆、被覆の重合及び/又は架橋、場合により、1つ以上の他の成分の施与による後処理、保護箔での被覆、並びに形成された箔複合体の巻き取りを含む。材料を巻き出しかつ再度巻き取るのではなく、フェスツーン、シート、又は適当な他の方法を、貯蔵のため、輸送のため及びシート状材料を分配するために用いることも可能である。
【0012】
本発明の実施態様の1つにおいて、少なくとも1つの施与装置を、少なくとも基体面で、しかしながら通常は3つの全ての空間方向に自由可動式であるロボットアームを用いて基体面に移動させ、低粘度の前駆体材料を施与する間に基体に対してロボットアームを移動させることによりパターンを形成させる。ロボットアームの移動が基体の移動を補正するようにロボットアームをプログラムすることができるため、施与の間に基体を更に搬送方向へ移動させることができる。
【0013】
本発明の有利な実施態様において、少なくとも1つの施与装置を、並進装置に沿って、基体の搬送方向に対して角度をなして移動させる。従って、基体を搬送方向に移動させ、これに対して施与装置を横方向に移動させることにより被覆パターンを形成させる。合理的には、並進装置は搬送方向に対して垂直に配置されており、少なくとも1つの施与装置の移動を基体の搬送方向に対して垂直に行うが、しかしながら、並進装置を90°ずらした角度で配置することも容易に可能である。
【0014】
並進装置に沿って別々に移動することのできる2つの施与装置が並進装置に備えられていることは殊に有利である。このようにして閉じたパターンを形成することができ、例えば、施与装置を離してか又は一緒に移動させることにより、環形の閉じた、例えば円形又は長円形のパターンを形成させることができる。
【0015】
基体の施与工程の間にまず搬送方向に移動させ、その際、パターンの一部を形成させ、引き続き、基体の移動方向を短時間逆にしてパターンを完成させることにより、並進装置に沿って可動の施与装置を1つだけを用いて環形の閉じたパターンを形成させることも可能である。
【0016】
重合性及び/又は架橋性の低粘度の前駆体材料を平面的に基体上に施与し、即ち、層の施与厚は層の施与幅に対して小さい。施与幅は、施与装置のスロット状の開口部の傾斜により変動し得る。
【0017】
有利に、層の施与幅は3〜50mmである。
本発明による方法において使用される可動の施与装置は、十分に小型化可能である。その寸法は利用可能な技術のサイズによってのみ制限される。
【0018】
施与領域の下流で、パターン形に施与された重合性及び/又は架橋性の前駆体材料を重合及び/又は架橋し、最後にパターン形の粘着性被覆が得られる。有利に、前駆体材料は光重合性及び/又は放射線架橋性である。光重合及び/又は放射線架橋を、高エネルギー線、例えば電子線、有利にUV線を照射することにより生じさせることができ、その際、前駆体材料中に適当な開始剤が含まれていてよい。
【0019】
光重合及び/又は放射線架橋は、特別な架橋雰囲気中で、例えば、適当なガス混合物が充填された、基体のための入口スロット及び出口スロットと放射線透明窓とを有する単一の容器中で実施することができる。適当なガスは、例えば希ガス、窒素、二酸化炭素、又は、空気よりも少量の酸素を含有している酸素含有ガス混合物(希薄空気)である。
【0020】
本発明の有利な実施態様において、粘着性被覆はヒドロゲルを形成するポリマーから形成される。ヒドロゲルを形成するポリマーは特に(共)重合した親水性モノマーからなるポリマー、1種又は数種の親水性モノマーの適当なグラフト基体へのグラフト(コ)ポリマー、櫛形ポリマー及びポリマー網状構造、架橋したセルロースエーテル又はデンプンエーテル、架橋したカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋したポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然生成物、例えばグアール誘導体(Guarderivate)、アルギネート及びカラゲナンである。
【0021】
それに応じて、低粘度の重合性又は架橋性の前駆体材料は、相応する重合性及び/又は架橋性モノマー及び/又はポリマー、及び、架橋の際にヒドロゲルを形成する、架橋したポリマーを形成させる架橋剤、及び適当な開始剤を含有する。更に、架橋性の前駆体材料は、親水コロイド、可塑剤、ポリオール、炭水化物、ポリエーテル、多糖類、安定剤、増粘剤、レオロジー調節剤、酸化防止剤、UV安定剤、スキンケア剤、殺菌剤又は静菌剤、充填剤、例えば無機又は有機コロイド、顔料、水溶性塩化合物、ベントナイト、シリケート、二酸化チタン、ナノ粒子、界面活性剤、保存剤、着色料、香料及び水を含有してよい。
【0022】
適当なポリマーは天然又は合成の原料であることができる。この例は、デンプン、セルロース又はセルロース誘導体並びに他の多糖類及びオリゴ糖類、ポリビニルアルコール、ポリアルケンオキシド、特にポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド、高分子電解質、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド並びに親水性ポリエステルである。適当なポリアルキレンオキシドは、例えば式
【0023】
【化1】

[式中、
及びRは、相互に無関係に、水素、アルキル、アルケニル又はアシルであり、
Xは水素又はメチルであり、
nは1〜10000の整数を表す]を示す。
【0024】
及びRは、有利に水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル又はフェニルである。
【0025】
ヒドロゲルを形成する有利なポリマーは、塩の形で、一般にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩の形で存在する酸基を有するポリマーである。この種のポリマーは水性液体と接触した場合に特に著しく膨潤してゲルになる。
【0026】
酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマー又はその塩の架橋重合又は共重合により得られるポリマーが有利である。更に、モノマーを架橋剤なしで(共)重合させ、後から架橋させることは可能である。
【0027】
酸基を有するモノマーは、例えばモノエチレン性不飽和C〜C25−カルボン酸又は無水物、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸及びフマル酸である。更に、モノエチレン性不飽和スルホン酸又はホスホン酸及びその塩を挙げることができ、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、スチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。これらのモノマーは単独で又は相互に混合して使用することができる。
【0028】
低粘度の前駆体材料中に含まれていてよい有利なモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びそれらの誘導体及び塩である。同様に、前記及びその塩の混合物、例えば、アクリル酸とメタクリル酸とからの混合物、アクリル酸とアクリルアミドプロパンスルホン酸とのからの混合物、又はアクリル酸とビニルスルホン酸とからの混合物は適当である。
【0029】
粘着性被覆の特性を最適化するために、架橋性の低粘度の前駆体材料中に、水溶性又は水分散性のモノマー、及び、酸基を有していないが酸基を有するモノマーと共重合可能な付加的なモノエチレン性不飽和化合物が含有されていてよい。これには、例えばモノエチレン性不飽和カルボン酸のアミド及びニトリル、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド及びN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチルビニルアセトアミド、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが属する。さらに適当な化合物は、例えば飽和C〜C−カルボン酸のビニルエステル、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル、アルキル基中に少なくとも2個のC原子を有するアルキルビニルエーテル、例えばエチルビニルエーテル又はブチルビニルエーテル、モノエチレン性不飽和C〜C−カルボン酸のエステル、例えば1価のC〜C18−アルコールとアクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸とからなるエステル、マレイン酸の半エステル、例えばマレイン酸モノメチルエステル、N−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタム、アルコキシル化された1価の飽和アルコール、例えばアルコール1モル当たり2〜200モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと反応している10〜25個のC原子を有するアルコールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、並びにポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノアクリル酸エステル及びモノメタクリル酸エステルであり、その際、ポリアルキレングリコールの分子量(M)は例えば2000までであることができる。さらに、適当なモノマーはスチレン及びアルキル置換スチレン、例えばエチルスチレン又はt−ブチルスチレンである。
【0030】
これらの酸基を有していないモノマーは、他のモノマーと混合した形で、例えばビニルアセテートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの任意の割合での混合物の形で使用することができる。これらの酸基を有していないモノマーは0〜90質量%、有利に20質量%未満の量で低粘度の前駆体材料中に添加される。
【0031】
有利なヒドロゲルを形成する架橋性ポリマーは、モノマーの全質量に対して、場合によりそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩に変換された酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマー60〜100質量%と、酸基を有していないモノエチレン性不飽和モノマー0〜40質量%とから成る。
【0032】
モノエチレン性の不飽和C〜C12−カルボン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩からなる架橋したポリマーは殊に有利である。殊に、酸基が10〜100%までアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として存在している架橋したポリアクリル酸は有利である。
【0033】
架橋剤として、少なくとも2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。このタイプの化合物の例は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート及びポリエチレングリコールジメタクリレート(これらはそれぞれ分子量106〜8500、有利に400〜2000のポリエチレングリコールから誘導される)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとからなるブロックコポリマーのジアクリレート及びジメタクリレート、2個もしくはそれ以上のアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化された多価アルコール、例えばグリセリン又はペンタエリトリット、トリアリルアミン、ジアルキルジアリルアンモニウムハロゲニド、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びジエチルジアリルアンモニウムクロリド、テトラアリルエチレンジアミン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、分子量106〜4000のポリエチレングリコールのポリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル1モルとペンタエリトリトールトリアリルエーテル又はアリルアルコール2モルとの反応生成物、及び/又はジビニルエチレン尿素である。有利に、水溶性架橋剤、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート及びポリエチレングリコールジメタクリレート(これらはエチレンオキシド2〜400モルとジオール又はポリオール1モルとの付加生成物から誘導される)、エチレンオキシド2〜400モルとジオール又はポリオール1モルとの付加生成物のビニルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート又はエチレンオキシド6〜20モルとグリセリン、ペンタエリトリットトリアリルエーテル及び/又はジビニル尿素1モルとの付加生成物のトリアクリレート及びトリメタクリレートが使用される。
【0034】
架橋剤として、さらに、少なくとも1個の重合可能なエチレン性不飽和基と、少なくとも1個の他の官能基とを有する化合物も挙げられる。この架橋剤の官能基は、モノマーの官能基、主に酸基と反応できなければならない。適当な官能基は、例えばヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基及びアジリジノ基である。例えば上記のモノエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及びヒドロキシブチルメタクリレート、アリルピペリジニウムブロミド、N−ビニルイミダゾール類、例えばN−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール及びN−ビニルイミダゾリン類、例えばN−ビニルイミダゾリン、1−ビニル−2−メチルイミダゾリン、1−ビニル−2−エチルイミダゾリン又は1−ビニル−2−プロピルイミダゾリンが使用でき、これらは遊離塩基の形、4級化された形または塩として重合に使用することができる。さらに、ジアルキルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート及びジエチルアミノエチルメタクリレートが適している。塩基性のエステルは、4級化された形又は塩として使用するのが有利である。さらに、例えばグリシジル(メタ)アクリレートも使用できる。
【0035】
さらに、架橋剤として、モノマーの官能基、主に酸基と反応することができる少なくとも2個の官能基を含有する化合物が挙げられる。このために適した官能基は、既に前記したものが挙げられる、例えばヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、エステル基、アミド基及びアジリジノ基が挙げられる。このような架橋剤の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリエタノールアミン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとからなるブロックコポリマー、エタノールアミン、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリビニルアルコール、ソルビット、デンプン、ポリグリシジルエーテル、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビットポリグリシジルエーテル、ペンタエリトリットポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアジリジン化合物、例えば2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)−プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレン尿素、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレン尿素、ハロゲンエポキシ化合物、例えばエピクロロヒドリン及びα−メチルエピフルオロヒドリン、ポリイソシアネート、例えば2,4−トルイレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート、アルキレンカーボネート、例えば1,3−ジオキソラン−2−オン及び4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、さらにビスオキサゾリン及びオキサゾリドン、ポリアミドアミン並びにこれらとエピクロロヒドリンとの反応生成物、さらにポリ4級化アミン、例えばジメチルアミンとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー並びにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートのホモポリマー及びコポリマー(これらは場合により塩化メチルで4級化されている)である。
【0036】
他の適当な架橋剤は、イオン性架橋を形成することができる多価金属イオンである。このような架橋剤の例は、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、クロムイオン、チタンイオン及びジルコンイオンである。この架橋剤は、例えば水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩として使用される。他の適当な架橋剤は、同様にイオン性架橋を形成できる多官能性塩基、例えばポリアミン又はこの4級化塩である。ポリアミンの例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン及びポリエチレンイミン並びにそれぞれ分子量4000000までのポリアミンである。
【0037】
架橋剤は、重合性及び/又は架橋性の低粘度の前駆体材料中に、通常0.001〜20質量%、有利に0.01〜5質量%の量で含有されている。
【0038】
パターン形で基体上に施与された低粘度の前駆体材料を光重合及び/又は放射線架橋して粘着性被覆にすることは、適当な開始剤の存在で行うことができる。開始剤として、UV光又は電子線を照射する際にラジカルを発生させる全ての化合物を使用することができる。これは、例えばいわゆるα−スプリッター、H−引抜系又はアジドであることもできる。このような開始剤の例は、ベンゾフェノン誘導体、例えばミヒラーケトン、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、アントラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾインエーテル及びその誘導体、アゾ化合物、例えば上記のラジカル形成剤、置換されたヘキサアリールビスイミダゾール又はアシルホスフィンオキシドである。アジドの例は、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル−4−アジドシンナメート、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル−4−アジドナフチルケトン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル−4−アジドベンゾエート、5−アジド−1−ナフチル−2’−(N,N−ジメチルアミノ)エチルスルホン、N−(4−スルホニルアジドフェニル)マレインイミド、N−アセチル−4−スルホニルアジドアニリン、4−スルホニルアジドアニリン、4−アジドアニリン、4−アジドフェナシルブロミド、p−アジド安息香酸、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン及び2,6−ビス−(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノンである。光開始剤は、通常、重合すべきモノマーに対して0.001〜5質量%の量で使用される。
【0039】
適当なUV架橋剤は、一般に、UV光を照射した際に架橋反応を生じさせる全ての分子である。他の例は、ビニルエーテル、ビニルカプロラクタム、(登録商標)Laromer(登録商標)−商標、例えばLaromer(登録商標) TMPTA、Laromer(登録商標)BDDA、Laromer(登録商標) HDDA、Laromer(登録商標) TPGDA、Laromer(登録商標)DPGDA、Laromer(登録商標) UR8837及びLaromer(登録商標) TBCHである。
【0040】
更に、重合性及び/又は架橋性の低粘度の前駆体材料は、通常1種以上の可塑剤を含有する。適当な可塑剤は、水、アルコール、ポリオール、例えばグリセリン又はソルビトール、グリコール及びグリコールエーテル、例えばポリアルキレングリコールモノー又は−ジエーテル、ポリアルキレングリコールモノー又は−ジエステル、グリコレート、グリセリン−及びソルビタンエステル、酒石酸−又はクエン酸エステル、イミダゾリンから由来した両性界面活性剤、ラクタム、アミド、ポリアミド、4級アンモニウム化合物、ポリエチレンイミンとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、フタレート、アジペート、ステアレート、パルミテート、セバケート及びミリステート、並びに、天然油又は合成油、例えば植物油又は鉱油である。
【0041】
有利な可塑剤は、ポリオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、多糖類、ポリビニルアルコール、水及びそれらの混合物である。
【0042】
可塑剤は通常、放射線架橋性の低粘度の前駆体材料中に含まれる全成分の合計に対して5〜75質量%の量で含有されている。
【0043】
更に、低粘度の前駆体材料は、親水コロイド、例えばデンプン、変性デンプン、例えばデキストリン、セルロースエステル、例えばカルボキシメチルセルロース、植物性ゴム、例えばペクチン カラヤ、ゼラチン、グアールゴム、アラビアゴム、イナゴマメゴム又はカルボキシポリメチレンを含有してよい。
【0044】
低粘度の重合性及び/又は架橋性前駆体材料は、通常、50〜10000mPas、有利に50〜1000mPasの粘度を有する。
【0045】
上に重合性及び/又は架橋性の低粘度の前駆体材料が施与される適当な基体は、ISO 9092/EN29092による、PU−フォーム、不織布−材料、例えばポリエチレン/ポリプロピレン−不織布−材料、紙、テキスタイル、フリース材料、金属箔又はプラスチック箔である。
【0046】
本発明の実施例を以下に図をもとに詳説する。
【0047】
図1は、低粘度の放射線架橋性の前駆体材料をウェブ形の基体上に施与するための装置の概略図である。
【0048】
図2は、スロット状の開口部を有する施与装置の半分である。
【0049】
図1中に示される、低粘度の放射線架橋性の前駆体材料をウェブ形の基体上に施与するための装置1は、本質的に、ホッパー17と供給部16とを有し、並進装置に沿って可動である第一及び第二の施与装置14ないし15を有する支持体11上の並進装置10から成る。設備の運転の間に、供給部16を通じて施与装置14及び15のホッパー17に低粘度の重合性及び/又は架橋性材料を供給し、その際、示されていないバルブにより供給物を調節する。基体2を、施与装置14及び15の下方で軸7上で回転するように据え置かれ、第一及び第二の回転方向12及び13に回転可能である基体ストックロール4から巻き出し、これにより搬送方向5に移動させる。基体厚さ6及び基体幅9を有する基体2は、上面1及び下面3を有する。施与装置14及び15を用いて、その都度、低粘度の放射線架橋性の前駆体材料から成る材料施与体19を基体2の上面3の上に施与する。基体2が搬送方向5に移動する間に並進装置10に沿って施与装置14及び15を離してか又は一緒に移動させることにより、基体2上の自由に選択可能な、離散した、開いた、又は閉じたパターン8に材料を施与する。
【0050】
図2に示した施与装置は、供給部19、分配チャンバ20、供給スロット21及び出口開口部22を有する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】低粘度の放射線架橋性の前駆体材料をウェブ形の基体上に施与するための装置を示す概略図。
【図2】スロット状の開口部を有する施与装置の半分を示す概略図。
【符号の説明】
【0052】
1 上面
2 基体
3 下面
4 基体ストックロール
5 搬送方向
6 基体厚さ
7 回転軸
8 離散パターン
9 基体幅
10 並進装置
11 支持体
12 第一の回転方向
13 第二の回転方向
14 第一の施与装置
15 第二の施与装置
16 供給部
17 ホッパー
18 材料施与体
19 供給部
20 分配チャンバ
21 供給スロット
22 出口開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法において、以下の処理工程:
(a)基体を連続的か又は非連続的に搬送方向に移動させる工程
(b)施与領域において、粘着性材料の、低粘度の、重合性の及び/又は架橋性の前駆体材料を、少なくとも1つの可動式の施与装置の少なくとも1つの本質的にスロット状に配置された開口部を通じて平面的に基体上に施与し、その際、基体に対する施与装置の移動によりパターンを形成する工程
(c)施与領域の下流で、施与された前駆体材料を重合及び/又は架橋させる工程
を含むことを特徴とする、基体上の粘着性被覆の離散パターンの製造法。
【請求項2】
低粘度の前駆体材料を0.3〜5mmの層厚で基体上に施与する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
低粘度の前駆体材料を3〜50mmの施与幅で基体上に施与する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
低粘度の前駆体材料が50〜10000mPasの粘度を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの施与装置を、基体面で自由可動式であるロボットアームを用いて移動させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの施与装置を、並進装置に沿って、基体の搬送方向に対して角度をなして移動させる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
施与装置を基体の搬送方向に対して垂直に移動させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
2つの施与装置を用いて閉じたパターンを形成する、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
低粘度の前駆体材料が光重合性及び/又は放射線架橋性である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−511630(P2006−511630A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−518686(P2004−518686)
【出願日】平成15年7月3日(2003.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007105
【国際公開番号】WO2004/005416
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】