説明

基地局管理装置およびプログラムならびに無線通信ネットワークシステム

【課題】システムの異常を通信サービスの停止を伴うことなく検知し、自動復旧を可能とすることで、信頼性の向上は勿論のこと、可用性、サービス性の向上に寄与する。
【解決手段】基地局管理装置(EMSサーバ4)は、ネットワークを介して接続される基地局装置の管理下にある複数のクライアント端末に対し、第1データを送信し、その応答を受信する第1データ送受信部431と、第1データに対する応答の受信に失敗したクライアント端末の数に応じて基地局装置の異常を判定する異常判定部44と、異常を回復するために用意された複数の第2データが記憶された記憶部46と、異常と判定された基地局装置に対し、記憶部46に記憶された第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する第2データ送受信部432で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置の障害発生検知および自動障害復旧を行なう、特に、iBurst(登録商標)システムに用いて好適な、基地局管理装置およびプログラムならびに無線通信ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
iBurst(登録商標)は、電子メール、Web(World Wide Web)閲覧、IP(Internet Protocol)電話、映像配信等、通常インターネットを利用するうえで困らない下り最大約1Mbpsの速度を維持しながら携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)のようにどこでも使えるユビキタス環境を提供する無線通信技術として知られている。
【0003】
従来、iBurst(登録商標)システムにおいて、基地局装置に障害が発生した場合、EMS(Element Management System)サーバは、基地局装置からアラームメッセージを受信し、内蔵のデータベースにそのアラーム情報を保存していた。したがって、EMSサーバに接続されるクライアント端末は、アラームウインドウ上からそのアラームの内容を閲覧することができる。
【0004】
ところで、従来、ネットワークに障害が発生した場合の障害発生検知、自動障害回復に関する技術は、多数提案されてする。たとえば、通信ネットワークに障害が発生した場合、あらかじめ登録した携帯端末等に障害情報を通知する技術(たとえば、特許文献1参照)、自動復旧不能を検知した場合、通信経路を任意に判定し、外部に対してその障害情報を通知する技術(たとえば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2002−33731号公報
【特許文献2】特開平7−57008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した背景技術によれば、基地局は基地局自身の異常を検知することができず、保守管理端末等の基地局管理装置から基地局装置の異常を監視することはできても復旧のために用意された手段は、強制的に基地局装置をリセットして動作回復を図るのみである。
基地局装置のリセットは通信サービスの停止を伴い、ユーザは勿論のこと通信事業者にとっても好ましくない。
【0006】
また、基地局にネットワーク経由で接続されるEMSサーバは、基地局装置の異常を能動的に監視する機能を持たず、このため、基地局装置とクライアント端末間の通信不通等、システム全体としての異常状態を、サービスダウンを伴うことなく自動復旧できるシステムの構築が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、システム異常(基地局装置とクライアント端末間の通信不通)を、通信サービスの停止を伴うことなく検知して自動復旧可能とすることにより、信頼性の向上は勿論のこと、可用性、サービス性の向上に寄与することができる、基地局管理装置およびプログラムならびに無線通信ネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点の基地局管理装置は、基地局装置の管理下にあって、第1のネットワークを介して接続される複数のクライアント端末に対して第1データを送信し、その応答を受信する第1送受信手段と、前記第1データに対する応答の受信に失敗した前記クライアント端末の数に応じて前記基地局装置の異常を判定する異常判定手段と、前記異常を回復するために用意された複数の第2データが記憶された記憶手段と、前記異常と判定された前記基地局装置に対し、前記記憶手段に記憶された第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する第2送受信手段とを備えている。
【0009】
好適には、前記異常判定手段は、前記基地局装置との間で前記第1データの応答に失敗した前記クライアント端末の数と、前記基地局装置の管理下にある前記クライアント端末の全体数との比率を閾値として前記基地局装置の異常を判定するとともに、前記閾値を可変とする。
【0010】
好適には、前記第2送受信手段による前記基地局装置からの応答によっては、前記ネットワークを介して接続される保守管理端末に対し、前記第2データの送受信の履歴を含む、前記基地局装置が未復旧の状態にあることを示す情報を送信する状態情報送信手段とを備えている。
【0011】
好適には、前記保守管理端末から前記未復旧の状態から復旧の状態に移行させるための問題解決処理識別番号を受信し、前記記憶手段にあらかじめ記憶されている前記問題解決識別番号に対応する問題解決処理方法を読み出し、前記基地局装置に送信して前記問題解決処理方法の実行を指示し、その応答を受信する第3送受信手段をさらに備えている。
【0012】
好適には、前記記憶手段に登録された問題解決処理方法以外の方法により前記異常が回復した場合、前記問題解決処理方法を前記記憶手段に記憶し、対応する問題解決識別番号を付与して管理する記憶制御手段をさらに備えている。
【0013】
本発明の第2の観点は、基地局装置とは第1のネットワークを介して接続される基地局管理装置に用いられるプログラムであって、前記基地局装置の管理下にあって、第2のネットワークを介して接続される複数のクライアント端末に対し、第1データを送信し、その応答を受信する処理と、前記第1データに対する応答の受信に失敗した前記クライアント端末の数に応じて前記基地局装置の異常を判定する処理と、前記異常と判定された前記基地局装置に対し、前記異常を回復するためにあらかじめ用意された複数の第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する処理とをコンピュータに実行させる。
【0014】
本発明の第3の観点の無線通信ネットワークシステムは、複数のクライアント端末と、無線チャネルの割り当て、隣接基地局とのチャネル切替えを行なう基地局制御装置、および基地局アンテナを含む複数の基地局装置と、前記それぞれの基地局装置の管理下にあって、ネットワークを介して接続される前記複数のクライアント端末に対し、第1データを送信してその応答を受信し、前記第1データに対する応答の受信に失敗した前記クライアント端末の数に応じて前記基地局装置の異常を判定し、前記異常と判定された前記基地局装置に対し、前記異常を回復するためにあらかじめ用意された複数の第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する基地局管理装置とを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、システム異常(基地局装置とクライアント端末間の通信不通)を、通信サービスの停止を伴うことなく検知して自動復旧することが可能になり、信頼性の向上は勿論のこと、可用性、サービス性の向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態にかかわる無線通信システム、ここでは、iBurst(登録商標)システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0018】
図1において、符号1は、基地局アンテナ(#1〜#3)であり、変調方式により通信速度を向上させるiBurst(登録商標)では、アダプタィブアレイアンテナが使用される。符号2は、基地局装置3から分離されたパワーユニット(PA:増幅器)であり、基地局アンテナ1に近づけることでケーブルロスによる送信パワーの減衰を軽減するように設計されている。
ここでは、最大12本(PAユニット4毎、各3本)の基地局アンテナが配列できるように設定され、それぞれの基地局アンテナをサービスエリアに合わせて最適化するものである。
【0019】
符号3は、基地局装置を示し、ベースバンド信号を高周波数信号に変換する復調装置31、および無線チャネルの割り当てや隣接基地局とのチャネル切替えを行なうTRXボードを含む送受信装置32から構成される。なお、送受信装置32には、ネットワークボード(Network)も含まれる。
【0020】
上記した基地局装置3は、サービスエリアによって決まる数だけ複数、本発明の基地局管理装置としてのEMSサーバ4に接続される。
【0021】
EMSサーバ4は、後述するように、それぞれの基地局装置3の管理下にあって、網7を介して接続される複数のクライアント端末(UT)5に対し、第1データを送信してその応答を受信し、第1データ(後述するPingコマンド)に対する応答の受信に失敗したクライアント端末5の数に応じて基地局装置の異常を判定し、異常と判定された基地局装置3に対し、異常を回復するためにあらかじめ用意された複数の第2データ(後述する状態復旧コマンド)を順次送信し、都度、その応答を受信する。
【0022】
なお、符号6は、保守管理端末を示し、iBurst(登録商標)システムの保守管理者が操作する端末であり、ここではメール送受信端末としての役割を持つ。
【0023】
図2は、図1に示すEMSサーバ4の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【0024】
図2に示されるように、EMSサーバ4は、基地局装置インタフェース部41と、保守管理端末インタフェース部42と、コマンド実行管理部43と、異常判定部44と、閾値DB45と、コマンド実行&コマンド実行履歴データベース(DB)46と、状態情報送信部47と、DB制御部48とにより構成される。
【0025】
基地局装置インタフェース部41は、接続される基地局装置3とのインタフェースを司り、基地局装置3との間のデータ通信のためのデータパスとなる。また、保守管理端末インタフェース部42は、接続される保守管理端末6とのインタフェースを司り、ここでは、Eメールを交換することにより通信を行なうものとする。
【0026】
コマンド実行管理部43は、あらかじめ用意されたコマンドおよび問題解決処理方法(コマンド群)をクライアント端末5に送信してその実行を指示する機能を持ち、ここでは、データ送受信部A431と、データ送受信部B432と、データ送受信部C433と、シーケンス制御部434とにより構成される。
【0027】
データ送受信部A431は、基地局装置3の管理下にある、網7を介して接続される複数のクライアント端末5に対し、Ping(Packet Internet Groper)コマンドから成る第1データを送信し、その応答(コマンド実行結果)を受信する第1データ送受信手段として機能する。
【0028】
また、データ送受信部B432は、異常と判定された基地局装置3に対し、後述するコマンド&コマンド履歴DB46に記録された状態復旧コマンドから成る第2データを順次送信し、都度、その応答(コマンド実行結果)を受信する第2データ送受信手段として機能する。
【0029】
更に、データ送受信部C433は、保守管理端末6から、基地局装置3を未復旧の状態から復旧の状態に移行させるための問題解決処理識別番号を受信し、コマンド&コマンド実行履歴DB46にあらかじめ記録されている問題解決識別番号に対応する問題解決処理方法を読み出し、基地局装置3に送信して問題解決処理方法の実行を指示し、その応答(問題解決処理方法の実行結果)を受信する第3データ送受信手段として機能する。
【0030】
なお、シーケンス制御部434は、データ送受信部A431、データ送受信部B432、データ送受信部C433の順序制御を行うものであり、たとえば、図4の動作シーケンスにしたがう。詳細は後述する。
【0031】
一方、異常判定部44は、Pingコマンドに対する応答の受信に失敗したクライアント端末5の数(閾値DB45に設定されている)に応じて基地局装置5の異常を判定する異常判定手段として機能する。
異常判定部44は、基地局装置3との間でPingコマンドに対する応答に失敗したクライアント端末5の数と、基地局装置3の管理下にあるクライアント端末5の全体数との比率を閾値として基地局装置3の異常を判定するものであり、このとき、閾値DB45にはあらかじめ複数の閾値が設定されており、設定される閾値の選択は任意とする。
【0032】
コマンド&コマンド実行履歴DB46のデータ構造の一例が図3に示されている。図3に示されるように、コマンド&コマンド実行履歴DB46には、アラームメッセージ通知先461となる保守管理端末6のメールアドレスと、アンテナの校正等に関する問題処理方法462があらかじめ登録されており、また、上記したPingコマンド、あるいは状態復旧コマンドの実行履歴463が、都度生成され、保存されるものとする。
【0033】
なお、状態情報送信部47は、データ送受信部B432による基地局装置3からの応答によっては、網7を介して接続される保守管理端末6に対し、基地局装置状態回復コマンド実行履歴を含む、基地局装置3が未復旧の状態にあることを示すアラームメッセージを送信する状態情報送信手段として機能する。
【0034】
また、DB制御部48は、コマンド&コマンド実行履歴DB46に登録された問題解決処理方法以外の方法により基地局装置3の異常が回復した場合、その問題解決処理方法をコマンド&コマンド実行履歴DB46に新規登録し、対応する問題解決識別番号を付与して管理する記憶制御手段として機能する。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態の形態にかかわる無線通信ネットワークシステムの動作を説明するために引用した動作シーケンス図である。ここでは、EMSサーバ4と、基地局装置3(BS)と、クライアント端末(UT)5間の動作の流れが示されている。
以下、図4に示す動作シーケンス図を参照しながら、本発明の実施の形態にかかわる無線通信ネットワークシステムの動作について詳細に説明する。
【0036】
まず、EMSサーバ4は、管理下にある各々の基地局装置3に対してPingコマンド実行指示データを送信してその実行を指示する(S301)。
このことにより、基地局装置3は、その管理下にある全てのクライアント端末5に対してPingコマンドを実行する。ここで、Pingコマンドとは、ネットワーク疎通を確認したいホスト、ここでは、管理下にある複数のクライアント端末5にデータが正しく届けられ、返信されるか否かを判定するために発行されるコマンドである。
各々の基地局装置3は、EMSサーバ4からPingコマンド実行指示データを受信し、管理下にある全てのクライアント端末5に対してPingコマンドを実行し、その実行結果を一時的に保持する(S302〜S307)。そして、各々の基地局装置3は、全てのクライアント端末5に対するPingコマンドの実行結果をEMSサーバ4に送信する(S308)。
【0037】
EMSサーバ4は、上記したPingコマンドの実行結果を受信したとき、Pingに失敗したクライアント端末5の数が、所定の割合(閾値)に達しているか否か判定する。もしその割合に達していなければ、所定時間経過後に、再度、管理下にある各々の基地局装置3に対してPingコマンドを送信してその実行を指示し、管理下にあるクライアント端末5からの応答を基地局装置3経由で受信する(S310〜S315、S316)。
そして、仮に、Pingに失敗したクライアント端末5が閾値に達していた場合、EMSサーバ4は、その基地局装置3が(アラームメッセージは上がってきていないかが)異常状態にあると判定する。
【0038】
EMSサーバ4は、基地局装置3を異常状態であると判定した場合、あらかじめEMSサーバ4内に記録されている状態復旧コマンドを送信し、基地局装置3に対して実行を指示する(S317)。
なお、ここで、状態復旧コマンドとは、たとえば、無線状態の劣化を疑い、アンテナのキャリブレーションを行うコマンド、TRXボードのリブートを行うコマンド、PAユニットのリブートを行う、等である。PAユニットにはパワーアンプ、LAN等が搭載されている。
【0039】
基地局装置3は、EMSサーバ4により送信される状態復旧コマンドを実行し(S318)、その結果を応答としてEMSサーバ4に送信する(S319)。
EMSサーバ4は、基地局装置3による状態復旧コマンドの実行結果を応答として受信し、再度、管理下にある各々の基地局装置3に対してPingコマンド実行指示データを送信し、管理下にあるクライアント端末5に対しその実行を指示し(S320)、その応答を基地局装置3経由で受信する(S321〜S326、S327)。
【0040】
なお、上記した復旧処理は、EMSサーバ4に保存されたN個の状態復旧コマンドを都度送信し、また、その実行を都度指示し、異常が回復されるまで繰り返し実行される(S328〜S331)。
【0041】
以上説明のように本発明の実施の形態にかかわるiBurstシステムによれば、基地局管理装置(EMSサーバ4)は、能動的に、自動、かつ定期的に基地局装置3の異常の有無を監視することにより、基地局装置3の自動回復を、基地局装置3のリセットを伴うことなく、すなわちサービスの停止を伴うことなく実行できる。
したがって、信頼性は勿論のこと、可用性、サービス性の向上に寄与する無線通信ネットワークシステムを提供することができる。
【0042】
図5は、本発明の実施の形態にかかわる基地局管理装置(EMSサーバ4)の動作を説明するために引用したフローチャートである。図5に示すフローチャートは、本発明の実施の形態にかかわるプログラムの処理手順も合わせて示している。
以下、図5に示すフローチャートを参照しながら、図2に示すEMSサーバ4の動作について詳細に説明する。
【0043】
まず、コマンド実行管理部43のシーケンス制御部434は、データ送受信部A431を起動し、このことにより、データ送受信部A431は、基地局装置3の管理下にある全てのクライアント端末5に対してPingコマンド実行指示データを送信し、その実行を指示する(S501)。
そして、データ送受信部A431は、全てのクライアント端末5からの応答であるPingコマンドの実行結果を待つ。
ここで、基地局装置3の管理下にある全てのクライアント端末5から応答があれば(S502“Yes”)、異常判定部44は、データ送受信部A431の出力に基づき、Pingコマンドの実行に失敗し、エラーと認識されたクライアント端末5の数αと、あらかじめ閾値DB45に登録されてある閾値(Pingコマンドの実行に失敗したクライアント端末の数と基地局装置3の管理下にあるクライアント端末の全体数との比率β、たとえば、0.75)とを比較する(S503)。
【0044】
ここで、異常判定部44で、α<βの関係にあると判定された場合(S503“α<β”)、所定時間t経過後(S504“Yes”)、ステップS501の処理に戻り、全てのクライアント端末5にPingコマンドの実行を指示し、上記同様の処理を繰り返す。
一方、α≧βの関係にあると判定された場合(S503“α≧β”)、異常判定部44は、データ送受信部B432を起動し、このことにより、データ送受信部B432では、基地局装置3に対してN回状態復旧コマンドを送信し、その実行を指示したか否かをチェックする(S505)。
ここでは、データ送受信部B432は、未だ状態復旧コマンドを発行していないため(S505“No”)、あらかじめコマンド&コマンド実行履歴DB46に記録してある状態復旧コマンドAを基地局3に送信し、その実行を指示する(S506)。
【0045】
ステップS506の処理において、データ送受信部B432は、基地局装置3から基地局インタフェース部41経由で受信される状態復旧コマンドの実行結果を待ち(S507)、受信が成功したタイミングでステップS501の処理に戻る。
すなわち、データ送受信部B432は、シーケンス制御部434による制御の下、データ送受信部A431と協働して管理下にあるクライアント端末5にPingコマンドを送信し、また、エラー端末数を閾値と比較し、更に、状態復旧コマンドを順次装置してその実行結果を待つ処理(S501〜S507)を、N個の状態復旧コマンドを送信して都度基地局装置3による実行結果を受信するまで繰り返す(S505“YES”)。
【0046】
ここで、基地局装置3に対し、N個の状態復旧コマンドを送信し、基地局装置3がそれぞれ実行しても異常が回復されなかった場合、データ送受信部B432は、状態情報送信部47を起動する。
ここで、状態情報送信部47は、コマンド&コマンド実行履歴DB46を参照し、アラーム通知先となる保守管理端末6に、保守管理端末インタフェース部42を介してアラームメッセージにコマンド実行履歴463を添付し、Eメール送信する(S508)。
【0047】
なお、Eメールを受信した保守担当者(保守管理端末6)は、アラームメッセージと、添付されたコマンド実行履歴を解析し、その問題解決処理方法を探り、あらかじめコマンド&コマンド実行履歴DB46に記録してある問題解決処理方法があれば、その識別番号をEメールで保守管理端末インタフェース部42経由EMSサーバ4へ送信する。
問題解決処理方法識別番号を受信したデータ送受信部C433は、コマンド&コマンド実行履歴DB46を参照し、既に記録されている該当問題処理方法を読み出す。そして、基地局装置3にその問題処理方法を送信し、その実行を指示し、応答を受信する。
【0048】
なお、このとき、状態情報送信部47は、その問題解決処理方法に従って基地局装置3に対して実行した処理結果を、再度、保守担当者(保守管理端末6)に通知する。上記処理は、保守担当者が終了の指示を発行するまで繰り返し実行される。
また、コマンド&コマンド実行履歴DB46に記録されている自動復旧処理のための新たな問題解決処理方法が実行されて異常が回復した場合、その問題解決処理方法は、コマンド&コマンド実行履歴DB46に新規に記録され、次回、同じ異常が発生した場合には自動的にその問題解決処理方法が実行されるようになっている。
このとき、DB制御部48は、その問題解決処理方法をコマンド&コマンド実行履歴DB46に新規登録し、対応する問題解決識別番号を付与して管理するものとする。
【0049】
上記したように、EMSサーバ4(コマンド&コマンド実行履歴DB46)には、基地局装置復旧処理のための複数の手順があらかじめ記録保存されている。また、基地局装置3へコマンド群を送受信して、基地局装置3からの応答により、次に、EMSサーバ4から送信するコマンドを逐次変化させる問題解決処理方法がプログラムされ記録されている。このとき、保守管理者は、アラームメッセージを受信後、問題解決処理方法の識別番号を通知するだけで障害(異常)回復のための自動実行が可能である。
【0050】
また、登録されている問題解決処理方法だけでは障害が回復されなかった場合、個々のコマンドを送信してコマンドの実行結果を受信することも可能であり、これを新規に登録し、以降、同じ異常が発生した場合には自動的にその問題解決処理方法が実行されるように制御することで、EMSサーバ4に学習機能を持たせることができる。
【0051】
なお、上記した本発明の実施の形態によれば、記憶手段としてのコマンド&コマンド実行履歴DB46に、アラームメッセージ通知先、問題解決処理方法、コマンド実行履歴が領域分けされ保存されるものとして説明したが、たとえば、問題解決処理方法等については別の独立した記憶手段に保存してもよい。問題解決処理手順については新規に追加されることもあるため、その方が管理上、好都合である。
【0052】
また、図2の基地局インタフェース部41、保守管理端末インタフェース部42、コマンド実行管理部43、異常判定部44、状態情報送信部47、DB制御部48のそれぞれが持つ機能は、コンピュータシステム(EMSサーバ4のCPU)が、主記憶に記録されたプログラムを逐次読み出し実行することにより実現されるものとする。ここで、プログラムは、OS(基本ソフトウェア)も含むものとする。なお、CPUならびに主記憶は図示省略してある。
【0053】
また、本実施形態に係る各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0054】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態にかかわる無線通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す基地局管理装置(EMSサーバ)の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図3】図2に示すコマンド&コマンド実行履歴DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかわる無線通信システムの動作を説明するための動作シーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかわる基地局管理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…基地局アンテナ、2…PAユニット、3…基地局装置、4…EMSサーバ(基地局管理装置)、5…クライアント端末、6…保守管理端末、7…網(ネットワーク)、41…基地局装置インタフェース部、42…保守管理端末インタフェース部、43…コマンド実行管理部、44…異常判定部、45…閾値DB、46…コマンド実行&コマンド実行履歴DB、47…状態情報送信部、48…DB制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置の管理下にあって、第1のネットワークを介して接続される複数のクライアント端末に対して第1データを送信し、その応答を受信する第1送受信手段と、
前記第1データに対する応答の受信に失敗した前記クライアント端末の数に応じて前記基地局装置の異常を判定する異常判定手段と、
前記異常を回復するために用意された複数の第2データが記憶された記憶手段と、
前記異常と判定された前記基地局装置に対し、前記記憶手段に記憶された第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する第2送受信手段と
を備えたことを特徴とする基地局管理装置。
【請求項2】
前記異常判定手段は、
前記基地局装置との間で前記第1データの応答に失敗した前記クライアント端末の数と、前記基地局装置の管理下にある前記クライアント端末の全体数との比率を閾値として前記基地局装置の異常を判定するとともに、前記閾値を可変とする
ことを特徴とする請求項1記載の基地局管理装置。
【請求項3】
前記第2送受信手段による前記基地局装置からの応答によっては、前記ネットワークを介して接続される保守管理端末に対し、前記第2データの送受信の履歴を含む、前記基地局装置が未復旧の状態にあることを示す情報を送信する状態情報送信手段と
を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の基地局管理装置。
【請求項4】
前記保守管理端末から前記未復旧の状態から復旧の状態に移行させるための問題解決処理識別番号を受信し、前記記憶手段にあらかじめ記憶されている前記問題解決識別番号に対応する問題解決処理方法を読み出し、前記基地局装置に送信して前記問題解決処理方法の実行を指示し、その応答を受信する第3送受信手段を
さらに備えたことを特徴とする請求項3記載の基地局管理装置。
【請求項5】
前記記憶手段に登録された問題解決処理方法以外の方法により前記異常が回復した場合、前記問題解決処理方法を前記記憶手段に記憶し、対応する問題解決識別番号を付与して管理する記憶制御手段を
さらに備えたことを特徴とする請求項4記載の基地局管理装置。
【請求項6】
基地局装置と第1のネットワークを介して接続される基地局管理装置に用いられるプログラムであって、
前記基地局装置の管理下にあって、第2のネットワークを介して接続される複数のクライアント端末に対し、第1データを送信し、その応答を受信する処理と、
前記第1データに対する応答の受信に失敗した前記クライアント端末の数に応じて前記基地局装置の異常を判定する処理と、
前記異常と判定された前記基地局装置に対し、前記異常を回復するためにあらかじめ用意された複数の第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
複数のクライアント端末と、
無線チャネルの割り当て、隣接基地局とのチャネル切替えを行なう基地局制御装置、および基地局アンテナを含む複数の基地局装置と、
前記それぞれの基地局装置の管理下にあって、ネットワークを介して接続される前記複数のクライアント端末に対し、第1データを送信してその応答を受信し、前記第1データに対する応答の受信に失敗した前記クライアント端末の数に応じて前記基地局装置の異常を判定し、前記異常と判定された前記基地局装置に対し、前記異常を回復するためにあらかじめ用意された複数の第2データを順次送信し、都度、その応答を受信する基地局管理装置と、
を備えたことを特徴とする無線通信ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−17026(P2008−17026A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184556(P2006−184556)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】