説明

基地局装置、ゲートウェイ装置及びデータ通信方法

【課題】異なるネットワークに配置される基地局装置とデータ分離装置との間において、多重データを送信することができる基地局装置を提供すること
【解決手段】本発明にかかる基地局装置10は、第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置されるゲートウェイ装置20と第1のネットワークを介して接続される基地局装置10である。また、基地局装置10は、ゲートウェイ装置20と第2のネットワーク内に配置される複数のデータ分離装置に含まれるデータ分離装置30のアドレスを取得するアドレス取得部12と、データ分離装置30のアドレスを用いて基地局装置10が形成する通信エリアに位置する複数の移動局40から送信されたデータを多重するデータ多重部14と、データ多重部14により多重されたデータを、ゲートウェイ装置20を介してデータ分離装置30へ出力するデータ通信部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基地局装置、ゲートウェイ装置及びデータ通信方法に関し、特にデータを多重して送信する基地局装置、ゲートウェイ装置及びデータ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な移動通信システムにおいて、基地局と、基地局制御局もしくは交換機等とは、移動通信事業者が構築する内部ネットワークを介して接続される。しかし、近年ユーザの宅内又は電波の不感地帯等を通信エリアとするために、インターネット回線等のIPネットワークを介して設置される小型基地局が増加している。小型基地局は、フェムトセル基地局とも呼ばれる。数百メートルから数キロメートルを通信エリアとする基地局に比べて、フェムトセル基地局は、非常に小さい範囲を通信エリアとする。また、小型基地局又はフェムトセル基地局は、HNB(Home NodeB)とも呼ばれる。上述したように、小型基地局は、インターネット回線等を介して接続される。そのため、移動通信事業者は、自社のネットワークとインターネット回線との境界に、ゲートウェイ装置を配置することが多い。HNBと接続されるゲートウェイ装置を特にHNB−GWとしてもよい。小型基地局は、移動通信事業者が構築するネットワークへゲートウェイ装置を介して接続する。小型基地局は、インターネット回線上に、ゲートウェイ装置に含まれるセキュリティ装置もしくはゲートウェイ装置とは異なる装置であるセキュリティ装置との間に例えばIPsecを設定し、セキュリティを確保した通信路を構築する。
【0003】
特許文献1には、フェムトセル基地局が、インターネット等のネットワークを介してフェムトゲートウェイに接続される構成について、開示されている。具体的には、フェムトゲートウェイは、携帯網とインターネット等のネットワークとの間に配置されている。フェムトセル基地局は、必ずフェムトゲートウェイを介して携帯網と接続する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−182619号公報
【特許文献2】特開2001−285917号公報
【特許文献3】特開2007−194721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のユーザに共通に用いられるIPネットワークにおいて、回線の帯域を確保もしくは節約する手法が数多く用いられている。その中に、複数ユーザのデータを多重し、IPヘッダのオーバヘッドを低減する手法がある。具体的には、音声データを示すRTPパケットの多重化(RTP Multiplexing)が知られている。特許文献2及び3において、RTPパケットの多重化に関する技術が開示されている。ここで、RTPパケットの多重化を行う場合、データ送信元装置は、データ分離装置のIPアドレスを認識する必要がある。データ分離装置は、多重化されたRTPパケットを分離する機能を有する。つまり、上述した例において、小型基地局は、移動通信事業者が構築するネットワーク内に配置されたデータ分離装置のIPアドレスを認識する必要がある。
【0006】
しかし、一般的に、移動通信事業者が構築するネットワーク内に配置される装置構成等の情報は、開示されることはない。そのため、小型基地局を運用するユーザは、移動通信事業者が構築するネットワーク内に配置されるデータ分離装置に関するIPアドレス等のネットワーク情報を知ることはできない。その結果、小型基地局においてデータ分離装置の宛先を設定できないため、小型基地局とゲートウェイ装置との間においてデータを多重化することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、異なるネットワークに配置される基地局装置とデータ分離装置との間において、多重データを送信することができる基地局装置、ゲートウェイ装置及びデータ通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかる基地局装置は、第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置されるゲートウェイ装置と当該第1のネットワークを介して接続される基地局装置であって、前記ゲートウェイ装置と前記第2のネットワーク内に配置される複数のデータ分離装置に含まれる第1のデータ分離装置のアドレスを取得するアドレス取得部と、前記第1のデータ分離装置のアドレスを用いて前記基地局装置が形成する通信エリアに位置する複数の移動局から送信されたデータを多重するデータ多重部と、前記データ多重部により多重されたデータを、前記ゲートウェイ装置を介して前記第1のデータ分離装置へ出力するデータ通信部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の第2の態様にかかるゲートウェイ装置は、第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置され、当該第1のネットワークを介して基地局装置と接続されるゲートウェイ装置であって、前記基地局装置に対して、前記第2のネットワーク内に配置される複数のデータ分離装置の中から選択したデータ分離装置のアドレスを通知する基地局通信部と、前記基地局装置から送信されたデータに設定されている宛先アドレスに基づいて、当該宛先アドレスを用いて多重されたデータを前記データ分離装置へ出力するデータ出力部と、を備えるものである。
【0010】
本発明の第3の態様にかかるデータ通信方法は、第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置されるゲートウェイ装置と当該第1のネットワークを介して接続される基地局装置との間におけるデータ通信方法であって、前記ゲートウェイ装置と前記第2のネットワークとの間に配置される複数のデータ分離装置に含まれる第1のデータ分離装置のアドレスを取得するステップと、前記第1のデータ分離装置のアドレスを用いて前記基地局装置が形成する通信エリアに位置する複数の移動局から送信されたデータを多重するステップと、前記多重部により多重されたデータを、前記ゲートウェイ装置を介して前記第1のデータ分離装置へ出力するステップと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、異なるネットワークに配置される基地局装置とデータ分離装置との間において、多重データを送信することができる基地局装置、ゲートウェイ装置及びデータ通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる基地局装置の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかるゲートウェイ装置の図である。
【図3】実施の形態1にかかる基地局とゲートウェイ装置との間におけるデータ分離装置30の情報を通知するシーケンス図である。
【図4】実施の形態1にかかる基地局におけるデータ多重に関するフローチャートである。
【図5】実施の形態2にかかる基地局とゲートウェイ装置との間におけるデータ分離装置30の情報を通知するシーケンス図である。
【図6】実施の形態3にかかる基地局における新たなポート番号を用いたパケット生成に関するフローチャートである。
【図7】実施の形態3にかかる基地局とゲートウェイ装置とデータ分離装置との間における新たなポート番号割り当てに関するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる通信システム及び基地局の構成例について説明する。通信システムは、基地局10と、ゲートウェイ装置20と、複数のデータ分離装置30と、複数の通信装置40と、を備えている。また、基地局10は、アドレス取得部12と、データ多重部14と、データ通信部16とを備えている。データ分離装置30は、ゲートウェイ装置20と異なる装置として説明しているが、ゲートウェイ装置20が、データ分離装置30の機能を含み、ゲートウェイ装置20と、データ分離装置30とが同一の装置において実現されてもよい。以下の説明においても同様とする。
【0014】
基地局10は、移動通信事業者が構築するネットワーク(以下、事業者ネットワーク)と一般ユーザに開放されているIPネットワーク(以下、IPネットワーク)との境界に配置されるゲートウェイ装置20とIPネットワークを介して接続される。さらに、基地局10は、ゲートウェイ装置20を介して、データ分離装置30へデータを送信する。データ分離装置は、事業者ネットワーク内に複数配置されている。基地局10と、ゲートウェイ装置20との間の回線は、IPsec等によりセキュリティが確保された状態とする。これにより、一般ユーザに開放して用いられるIPネットワーク上においても、基地局10とゲートウェイ装置20との間の通信データが第三者に改竄等されることを防止することができる。また、IPネットワークは、例えばインターネットを含む。もしくは、IPネットワークは、複数の事業者により共有して用いられるネットワークを含む。また、IPsec等は、基地局10と、ゲートウェイ装置20及び基地局10の間に配置されるセキュリティ装置(図示せず)と、の間において設定されてもよく、ゲートウェイ装置20がセキュリティ装置の機能を含み、基地局10とゲートウェイ装置20との間において設定されてもよい。以下の説明においても同様とする。
【0015】
アドレス取得部12は、事業者ネットワークに配置される複数のデータ分離装置のうちの一つに該当するデータ分離装置30のアドレスを取得する。データ分離装置30のアドレスは、例えばIPアドレスである。アドレス取得部12は、IPネットワークを介して、データ分離装置30のアドレスを取得する。アドレス取得部12は、IPネットワークを介して取得したデータ分離装置30のアドレスを、データ多重部14へ出力する。
【0016】
データ多重部14は、アドレス取得部12から取得したデータ分離装置30のアドレスを用いて、複数の移動局40から送信されるデータを多重する。複数の移動局40は、基地局が形成する通信エリアに位置する。データ多重部14は、IPパケットのヘッダ部にアドレス取得部12から取得したアドレスを設定する。さらに、IPパケットのペイロード部に、複数の移動局40から送信されたデータを多重して設定する。このようにして、ひとつのIPパケットに、複数の移動局40から送信されたデータを設定することにより、データが多重されたIPパケットを生成することができる。データ多重部14は、生成した多重データを、データ通信部16へ出力する。
【0017】
データ通信部16は、データ多重部14により多重されたデータを、ゲートウェイ装置20を介してデータ分離装置30へ出力する。基地局10と、ゲートウェイ装置20との間にIPsecが設定されている場合、データ出力部16は、出力すべきデータに、IPsec通信に必要なヘッダを付加して出力する。例えば、データ出力部16は、認証機能を有するAHヘッダと、データの暗号化を行うESPヘッダとをIPパケットに付加して、出力する。
【0018】
ゲートウェイ装置20は、基地局10から送信されたデータに設定されている宛先アドレスを抽出する。ゲートウェイ装置20は、抽出した宛先アドレスに対応するデータ分離装置へ基地局10から送信されたデータを出力する。ゲートウェイ装置20の構成及び動作については後に詳述する。
【0019】
データ分離装置30は、複数ユーザのデータが多重されたデータを分離して、コアネットワーク50へ出力する。
【0020】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる基地局を用いることにより、事業者ネットワークに配置されるデータ分離装置30のアドレスを取得することができる。そのため、基地局10からゲートウェイ装置20に対して、複数の移動局40から送信されるデータを多重して送信することができる。ゲートウェイ装置20は、多重データに設定された宛先アドレスから、データ分離装置を決定し、当該データ分離装置へ多重データを出力する。これより、データ分離装置30において多重データは分離され、コアネットワーク50へ移動局毎のデータを出力することができる。これにより、ゲートウェイ装置とIPネットワークを介して接続されている基地局が、事業者ネットワーク内に配置されているデータ分離装置を特定して多重データを送信することができる。
【0021】
続いて、図2を用いて本発明の実施の形態1にかかるゲートウェイ装置の構成例について説明する。ゲートウェイ装置20は、基地局通信部22と、コア通信部24とを備えている。さらに、コア通信部24は、取得部25と、出力部26とを有している。ゲートウェイ装置20を含む通信ネットワークの構成は、図1と同様であるため、説明を省略する。
【0022】
取得部25は、ゲートウェイ装置20と接続されているデータ分離装置30、32及び34のIPアドレスを取得する。さらに、データ分離装置30、32及び34から、それぞれのデータ分離装置が指定するUDPポート番号を取得する。取得部25は、データ分離装置30、32及び34におけるIPアドレスと、それぞれのデータ分離装置が指定するUDPポート番号を基地局通信部22へ出力する。もしくは、取得部25は、データ分離装置のIPアドレス及びそれぞれのデータ分離装置が指定するUDPポート番号を管理する記録装置(図示せず)から、IPアドレス及びUDPポート番号を取得してもよい。
【0023】
基地局通信部22は、基地局10に対して、データ分離装置30のIPアドレス及びデータ分離装置30が指定するUDPポート番号を通知する。ゲートウェイ装置20には、複数の基地局が接続されている。そのため、それぞれの基地局に対していずれのデータ分離装置の情報を通知するかを決定する必要がある。それぞれの基地局に対していずれのデータ分離装置の情報を通知するかの決定は、次のように決定してもよい。例えば、基地局通信部22は、基地局とデータ分離装置との対応関係を保持する。その後新たに基地局からゲートウェイ装置20へ接続要求がなされた場合に、関連づけられている基地局が最もすくないデータ分離装置の情報を通知するようにしてもよい。つまり、データ分離装置30に関連付けられている基地局の数が1であり、データ分離装置32及び34に関連付けられている基地局の数が2の場合、新たに接続要求がなされた基地局に対しては、データ分離装置30のIPアドレス及びデータ分離装置30が指定するUDPポート番号を通知する。もしくは、基地局通信部22は、接続要求がなされた基地局に対して、データ分離装置32、34及び36の順番に基地局とデータ分離装置とを関連付けてもよい。また、基地局とデータ分離装置との関連付けは、ゲートウェイ装置20が有する制御部(図示せず)により実行されてもよい。
【0024】
出力部26は、基地局10から送信されたデータをデータ分離装置へ出力する。基地局10は、基地局通信部22から通知されたデータ分離装置30のアドレスおよびUDPポート番号を設定してゲートウェイ装置20に対してデータを送信する。そのため、出力部26は、データに設定されたアドレスに基づいて出力すべきデータ分離装置を決定し、当該データ分離装置へ出力する。基地局10とゲートウェイ装置20との間にIPsecが設定されている場合、出力部26は、基地局10より送信されたデータからIPsecに関するヘッダを取り除いて、データ分離装置を指定するアドレスを抽出する。IPsecに関するヘッダを取り除くいわゆるプロトコル処理は、基地局通信部22が実行してもよい。もしくは、ゲートウェイ装置20の外部に配置され、基地局10と接続されるセキュリティ装置において、IPsecに関するヘッダを取り除くプロトコル処理が実行されてもよい。
【0025】
続いて、図3を用いて本発明の実施の形態1にかかる基地局10とゲートウェイ装置20との間におけるデータ分離装置30の情報を通知する処理の流れについて説明する。
【0026】
はじめに、基地局10は、ゲートウェイ装置20に対してHNBAP(HNB Application Part) UE Register Requestメッセージを送信する(S11)。基地局10は、例えばHNBが用いられる。また、ゲートウェイ装置20は、例えばHNB−GWが用いられる。HNBAP UE Register Requestメッセージは、基地局10がADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、光回線ネットワーク等を介してIPネットワークに接続され、基地局10をゲートウェイ装置20もしくは事業者ネットワーク内の交換機等の装置に登録を要求する際に送信される。HNBAP UE Register Requestメッセージは、基地局10の位置情報及び事業者ネットワークに接続するために事前に移動通信事業者等から割り振られた識別子等を含む。
【0027】
次に、ゲートウェイ装置20は、基地局10に対してHNBAP UE Register Acceptメッセージを送信する(S12)。HNBAP UE Register Acceptメッセージは、基地局10をゲートウェイ装置20もしくは事業者ネットワーク内の装置に登録を許可する場合に送信される。ゲートウェイ装置20は、HNBAP UE Register Requestメッセージに設定されている基地局10の識別子に基づいて、登録が許可されている基地局か否かを確認する。また、ゲートウェイ装置20は、HNBAP UE Register Acceptメッセージに、データ分離装置30のアドレス及びデータ分離装置30が指定するUDPポート番号を設定して送信する。基地局10は、HNBAP UE Register Acceptメッセージを取得することにより、宛先となるデータ分離装置30のアドレス及びデータ分離装置30が指定するUDPポート番号を取得する。これにより、基地局10は、取得したデータ分離装置30のアドレス及びUDPポート番号を用いて、複数の移動局から送信されるデータを多重してパケットを生成し、当該パケットを出力することができる。
【0028】
続いて、図4を用いて本発明の実施の形態1にかかる基地局における、データ多重に関する処理の流れについて説明する。図3と同様に、基地局10は、例えばHNBが用いられる。はじめに、データ通信部16は、ゲートウェイ装置20に対して、登録要求メッセージを出力する(S21)。上述したように、基地局10は、登録要求メッセージとして、HNBAP UE Register Requestメッセージを出力する。
【0029】
次に、データ通信部16は、ゲートウェイ装置20から登録許可メッセージを取得する。上述したように、基地局10は、登録許可メッセージとして、HNBAP UE Register Acceptメッセージを取得する(S22)。
【0030】
次に、アドレス取得部12は、登録許可メッセージに設定されているデータ分離装置30のアドレス及びデータ分離装置30によって指定されたUDPポート番号を取得する。さらに、データ多重部14は、アドレス取得部12において取得したデータ分離装置30のアドレス及びデータ分離装置30によって指定されたUDPポート番号を用いて複数の移動局40から送信されるデータを多重する(S23)。データ多重部14は、パケットのヘッダ部にアドレス及びUDPポート番号を設定する。さらに、パケットのペイロード部に複数の移動局40から送信されるデータとして、例えば音声データを多重する。音声データは主にRTPパケットを用いて送信される。
【0031】
次に、データ通信部16は、データ多重部14において複数の移動局40から送信されるデータを多重したパケットを、ゲートウェイ装置20へ送信する。基地局10とゲートウェイ装置20との間にIPsecが設定されている場合、データ通信部16は、IPsecに関連するヘッダを付加してゲートウェイ装置20へ送信する(S24)。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる基地局及びゲートウェイ装置を用いることにより、基地局は、事業者が提供するネットワークに配置され、ネットワークの外部に公開されないデータ分離装置のアドレスを取得することができる。これにより、データ分離装置のアドレスを宛先として、多重したデータを送信することができる。
【0033】
(実施の形態2)
続いて、図5を用いて本発明の実施の形態2にかかる基地局とゲートウェイ装置との間において、データ分離装置30の情報を通知する処理の流れについて説明する。図3と同様に、基地局は、例えばHNBが用いられる。図3においては、データ分離装置30のアドレス及びデータ分離装置30が指定するUDPポート番号を、基地局10の接続要求時に通知する方法について説明した。ここでは、図5を用いて、基地局10とゲートウェイ装置20とが接続されている状態において、ゲートウェイ装置20から異なるデータ分離装置32のアドレス及びデータ分離装置32が指定するUDPポート番号を通知する方法について説明する。はじめに、ゲートウェイ装置20はデータ分離装置30に異常状態が発生していることを検出する(S21)。ゲートウェイ装置20は、定期的に複数のデータ分離装置の状態をヘルスチェック等により確認する際に異常状態を検出してもよく、データ分離装置から通知される故障メッセージ等により異常状態を検出してもよい。次に、ゲートウェイ装置20は、新たに、データ分離装置32のアドレス及びデータ分離装置32が指定するUDPポート番号を設定したHNBAP Downlink Configuration Updateメッセージを基地局10へ送信する(S22)。データ通信部16は、HNBAP Downlink Configuration Updateメッセージを取得する。次に、データ多重部14は、HNBAP Downlink Configuration Updateメッセージから、データ分離装置32のアドレス及びデータ分離装置32が指定するUDPポート番号を抽出する。これにより、基地局10は、多重データを送信するための宛先をデータ分離装置32へ変更する(S23)。
【0034】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかるデータ分離装置のアドレス及びUDPポート番号を通知する方法を用いることにより、データ分離装置30に異常状態が発生した場合においても、基地局10は、新たなデータ分離装置32を指定して、ゲートウェイ装置20に対して多重データを送信することができる。図5に説明した方法を用いない場合、基地局10は、ゲートウェイ装置20への接続時にのみデータ分離装置のアドレス及びUDPポート番号を取得する。そのため、データ分離装置30に異常状態が発生した場合、基地局10は、ゲートウェイ装置20との接続を解除するDe−registrationを実行し、再接続を実施してデータ分離装置32のアドレス及びUDPポート番号を取得する必要がある。そのため、図5に説明した方法を用いることにより、基地局10は、再接続を行うことなく複数の移動局40から送信されるデータを多重してゲートウェイ装置20へ送信することができる。
【0035】
(実施の形態3)
続いて、基地局10においてデータの多重を実施する際に、多重後のデータサイズが基地局10とゲートウェイ装置20との間において定められているMTU(Maximum Transmission Unit)サイズを超えた場合について説明する。一般的に、MTUサイズを超えたデータ(パケット)は、フラグメンテーション処理が実行され、MTUサイズに収まるサイズにパケットが分割された後に送信される。データ受信側装置は、分割された複数のパケットを全て受信した場合に、分割前のパケットに復元する処理が実行される。データ受信装置は、分割された複数のIPパケットをすべて受信できなかった場合、分割前のパケットに復元することなく、そのパケットを破棄する。そのため、フラグメンテーション処理が実行された場合に、分割後のパケットが1つでも欠損してしまった場合、多重された複数の移動局40のデータが全て破棄される。このような事象は、複数の移動局の通信に影響を及ぼしてしまう。
【0036】
そこで、複数の移動局40から送信されたデータを多重すると、MTUサイズを超えてしまう場合、基地局10は、異なるUDPポート番号を有するパケットを用いてデータの送信を行う。図6を用いて本発明の実施の形態3にかかるMTUサイズを超えた場合の基地局10の処理の流れについて説明する。
【0037】
はじめに、データ多重部14は、複数の移動局40から送信されたデータを多重したパケットを生成する(S31)。次に、データ多重部14は、生成されたパケットのMTUサイズが規定のサイズを超えているか否かについて判定を行う(S32)。パケットのMTUサイズが規定のサイズを超えている場合、データ通信部16は、ポート番号の割り当て要求を行い、ポート番号を取得する(S33)。次に、データ多重部14は、新たに割り当てられたポート番号を用いてパケットを生成する(S34)。新たに割り当てられたポート番号を用いたパケットは、多重することによりMTUサイズを超える原因となった移動局40に関するデータをペイロード部に設定することにより生成される。例えば、基地局10に接続されている3台の移動局40のデータを多重することによりMTUサイズを超えてしまう場合、既存のポート番号を用いたパケットには2台の移動局40のデータを多重し、新たに割り当てられたポート番号を用いたパケットには残りの1台の移動局40のデータを多重する。次に、データ通信部16は、ステップS32において生成されたパケットのMTUサイズが規定のサイズ以下であった場合及びステップS34において生成されたパケットを、ゲートウェイ装置20へ出力する。
【0038】
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態3にかかるポート番号割り当てに関する処理の流れについて説明する。はじめに、基地局10は、ゲートウェイ装置20に対して、ポート番号の割り当て要求を設定したHNBAP Uplink Configuration Updateメッセージを送信する(S41)。次に、ゲートウェイ装置20は、基地局10と対応付けられているデータ分離装置30に対して、ポート番号の割り当て要求メッセージを送信する(S42)。次に、データ分離装置30は、ゲートウェイ装置20に対して、新たなポート番号を設定したポート番号割り当てメッセージを送信する(S43)。次に、ゲートウェイ装置20は、基地局10に対してHNBAP Downlink Configuration Updateメッセージを送信し、新たに割り当てられたポート番号を通知する。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかる処理を実行することにより、MTUサイズを超えないパケットを生成することができる。複数の移動局から送信されるデータを多重することによりMTUサイズを超えてしまう場合、新たなポート番号を用いてパケットを生成することにより、フラグメンテーション処理が実行されることを防止することができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 基地局
12 アドレス取得部
14 データ多重部
16 データ通信部
20 ゲートウェイ装置
22 基地局通信部
24 コア通信部
25 取得部
26 出力部
30 データ分離装置
32 データ分離装置
34 データ分離装置
40 移動局
50 コアネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置されるゲートウェイ装置と当該第1のネットワークを介して接続される基地局装置であって、
前記第2のネットワーク内に配置される第1のデータ分離装置のアドレスを取得するアドレス取得部と、
前記第1のデータ分離装置のアドレスを用いて前記基地局装置が形成する通信エリアに位置する複数の移動局から送信されたデータを多重するデータ多重部と、
前記データ多重部により多重されたデータを、前記ゲートウェイ装置を介して前記第1のデータ分離装置へ出力するデータ通信部と、を備える基地局装置。
【請求項2】
前記データ通信部は、
前記ゲートウェイ装置へ接続する際に接続メッセージを送信し、当該接続メッセージを受信した前記ゲートウェイ装置から応答される応答メッセージを取得し、
前記アドレス取得部は、
前記応答メッセージに設定された前記第1のデータ分離装置のアドレスを取得する、請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記データ通信部は、
前記第1のデータ分離装置に異常状態が発生した場合において、前記多重されたデータの出力先を変更する宛先変更メッセージを取得し、
前記アドレス取得部は、
前記宛先変更メッセージに設定された第2のデータ分離装置のアドレスを取得し、
前記データ多重部は、前記第2のデータ分離装置のアドレスを用いて、前記複数の移動局から送信されるデータを多重する、請求項1又は2記載の基地局装置。
【請求項4】
前記アドレス取得部は、
前記第1のデータ分離装置のアドレスとともに当該第1のデータ分離装置が指定するポート番号を取得し、
前記データ多重部は、前記複数の移動局から送信される音声データを、前記第1のデータ分離装置のアドレス及び当該第1のデータ分離装置が指定するポート番号を用いて同一のパケットに多重する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項5】
前記データ多重部は、
前記複数の移動局から送信されるデータを、前記第1のデータ分離装置のアドレス及び当該第1のデータ分離装置が指定するポート番号を用いて同一のパケットに多重する際に、前記複数の移動局から送信されたデータを多重したパケットが前記基地局装置と前記ゲートウェイ装置との間において規定されるMTUサイズを超えた場合、前記データ通信部は、前記第1のデータ分離装置が指定する異なるポート番号を取得し、前記データ多重部は、当該取得したポート番号を用いてMTUサイズを下回るパケットを生成する、請求項4に記載の基地局装置。
【請求項6】
前記データ通信部は、
前記第1のネットワークにおいてセキュリティが確保された経路により前記ゲートウェイ装置から前記応答メッセージ又は前記宛先変更メッセージを取得する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項7】
第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置され、当該第1のネットワークを介して基地局装置と接続されるゲートウェイ装置であって、
前記基地局装置に対して、前記第2のネットワーク内に配置される複数のデータ分離装置の中から選択した第1のデータ分離装置のアドレスを通知する基地局通信部と、
前記基地局装置から送信されたデータに設定されている宛先アドレスに基づいて、当該宛先アドレスを用いて多重されたデータを当該宛先アドレスに対応するデータ分離装置へ出力するデータ出力部と、を備えるゲートウェイ装置。
【請求項8】
前記基地局通信部は、
前記基地局装置から送信される接続メッセージに応答する応答メッセージに、前記第1のデータ分離装置のアドレスを設定して通知する、請求項7記載のゲートウェイ装置。
【請求項9】
前記基地局通信部は、
前記第1のデータ分離装置に異常状態が発生した場合に、前記複数のデータ分離装置の中から選択した第2のデータ分離装置のアドレスを通知する、請求項7又は8記載のゲートウェイ装置。
【請求項10】
第1のネットワークと第2のネットワークとの境界に配置されるゲートウェイ装置と当該第1のネットワークを介して接続される基地局装置との間におけるデータ通信方法であって、
前記ゲートウェイ装置と前記第2のネットワークとの間に配置されるデータ分離装置のアドレスを取得するステップと、
前記データ分離装置のアドレスを用いて前記基地局装置が形成する通信エリアに位置する複数の移動局から送信されたデータを多重するステップと、
前記多重部により多重されたデータを、前記ゲートウェイ装置を介して前記データ分離装置へ出力するステップと、を備えるデータ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−182214(P2011−182214A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45073(P2010−45073)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】