基地局装置及び基地局装置障害時のエリア救済方法
【課題】ベースバンド処理(BBP)カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置及び基地局装置障害時のエリア救済方法に関し,BBPカードに障害が発生してもそのセクタがカバーする通信エリアの通信を維持すること。
【解決手段】BBPカードの障害検出手段と,障害検出カードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のBBPカードを選択する手段と,選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示する手段と,救済先カードに対し縮退・移設を指示する手段とを備えた制御部と,制御部から指示された共有無線チャネルとユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行する手段と,障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設する手段とを備えた救済先カードとを有し,障害BBPカードのエリアの信号処理を他のBBPカードにより救済するよう構成する。
【解決手段】BBPカードの障害検出手段と,障害検出カードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のBBPカードを選択する手段と,選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示する手段と,救済先カードに対し縮退・移設を指示する手段とを備えた制御部と,制御部から指示された共有無線チャネルとユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行する手段と,障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設する手段とを備えた救済先カードとを有し,障害BBPカードのエリアの信号処理を他のBBPカードにより救済するよう構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,移動通信用の基地局装置及び基地局装置(以下,無線基地局装置と呼ぶ)障害時のエリア救済方法に関し,具体的には無線基地局装置及び無線基地局装置のベースバンド処理カード(BBPカード:Base-Band Processor Card) の障害時の共有無線チャネルのエリア救済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,第3世代の移動通信の技術に関して高速無線通信システムはいくつか提案されている。その中でITU(International Telecommunication Union)によりIMT−2000の標準化がなされ, その要求条件を実現するための標準規格の具体的な詳細仕様のグループの一つとして3GPP(3rd Generation Partnership Project)がある。また,この3GPPを更に拡張した仕様としてスーパー3Gリリース99といった規格が提案されている。
【0003】
そのような移動通信の規格が適用されるネットワーク構成の概要を図13に示す。移動機80は無線基地局装置81と無線区間を通って通信が行われ,無線基地局装置81は有線によりコアネットワーク(Core Network) 82 と接続される。
【0004】
図14は無線基地局装置の構成を示す。図14の無線基地局装置81は,ベースバンド処理カード(BBPカード)82−1〜82−n,制御部83,制御信号(C-Plane) を伝送する伝送路84−1とユーザデータ(U-Plane) を伝送する伝送路84−2,及び伝送路終端部85とで構成される。
【0005】
この無線基地局装置81がカバーする周囲のエリアは複数のセクタ1〜nのエリアに分けられ,各セクタ1〜nのエリア内に位置する移動機との通信はそれぞれのセクタに対応して設けられたベースバンド処理カード(BBPカード)82−1〜82−nにより処理され,制御信号が制御部83と送受され,ユーザデータは伝送路終端部85を介してコアネットワーク(図13の82)と送受信される。
【0006】
ベースバンド処理カードの機能としては,収容している共有無線チャネルを縮退する機能,共有無線チャネルを移設する機能がある。また,送信側(ダウンリンク)の機能としては誤り検出符号の付加機能,複数アンテナから信号を送信する機能,送信電力制御を行う機能等がある。受信側(アップリンク)では,ランダムアクセスチャネルを受信して,無線区間の往復伝搬遅延を推定する機能,ダイバーシティ受信を行う機能,リファレンスチャネルを用いてチャネル推定を行う機能等がある。
【0007】
従来の技術では,3GPPの標準仕様では,複数の移動機が共有するチャネルとして,DSCH(下り方向の共有チャネル:Downlink Shared Channel)や,CPCH(上り方向の共有チャネル:Common Packet Channel)や,PCH(ページンク信号の送信に使用する上り方向の共有チャネル:Paging Channel)や,HS−DSCH(高速下りリンク共有チャネル:High-Speed−Downlink Shared Channel)等の各種の共有チャネルが使用され,スーパー3GであるLTE(Long Term Evolution)の仕様でも「SCH(Synchronization Channel)」という多数のユーザで共有されるタイプの無線チャネルが各ベースバンド処理カードに固定的に割り当てられて処理されている。
【0008】
図14の構成において,移動機が位置するセクタに割り当てられたベースバンド処理カードで障害が発生すると,割り当てられている共有無線チャネルが使用不可になることにより,該当チャネルがカバーしているエリア全域の移動機による共有無線チャネルの使用が不可になってしまう。
【0009】
これを救済するための従来の技術として,障害が発生したベースバンド処理カードで処理していた共有無線チャネルを,他の正常に動作している他のベースバンド処理カードに移す方法が考えられるが,ベースバンド処理カードの性能や,設備数などの制限で共有無線チャネルを移せないケースが存在する。
【0010】
また,ベースバンド処理カードを冗長構成とした場合,冗長分のベースバンド処理カードが余分に必要になると共に,冗長機能をインプリメントする必要があるため,開発コストや設備コストの上昇が発生する可能性が高い。
【0011】
仮にベースバンド処理カードが冗長構成を取っていた場合でも,冗長ベースバンド処理カードまで多重障害になった場合には,こうしたケースが発生する。
【0012】
なお,無線通信システムの技術において,基地局によって規定されているセル内のトラフィック量を監視して,トラフィック量が大きい場合に音声の圧縮度を高めて低いビットレートで伝送し,トラフィック量が小さい場合に音声の圧縮度を下げて高いビットレートで伝送するよう情報ビット量を可変とし,送受信周期を固定のまま,実行伝送速度を確保する技術が知られている(特許文献1参照)。しかし,この技術は,基地局の各セクタ,つまりエリアの移動機に対する共有チャネルの制御を含む処理機能を備えるベースバンド処理カードの障害に対処するものではない。
【特許文献1】特開平7−38465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記したように共有無線チャネルの制御機能含むベースバンド処理カードに障害が発生した場合,共有無線チャネルが収容する帯域・ユーザ数よりも,カバーするエリア領域を維持することの方が利用者へのサービスとして重要であることは明らかである。これは,繋がらない人が出る影響より,繋がらないエリアが発生した場合の影響の方が重大であるからである。
【0014】
本発明はセクタに対して割り付けられた共有無線チャネルを使用して通信処理を行う各ベースバンド処理カードに障害が発生した場合に冗長化することなく,そのセクタがカバーする通信エリアの通信を維持することができる基地局装置及び基地局装置障害時のエリア救済方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図1は本発明の原理構成を示す図である。図中,1は無線基地局装置,2は無線基地局装置1内に設けられた複数のベースバンド処理カード(BBPカード)であり,2−1〜2−nは個別のカードを表し,各カードはそれぞれのセクタのエリアの範囲に位置する移動機と固有の共有無線チャネルを使用して通信を行う。この説明では,ベースバンド処理カード2−2はセクタ2のエリアの移動機について処理を行うがこのカードに障害が発生し,ベースバンド処理カード2−1がその救済先のベースバンド処理カードであるものとする。また,各ベースバンド処理カードは同一構成であるが,カード2−1には救済先として機能するための手段として2a〜2cを備えるものとして示し,2aは共有無線チャネル・ユーザ状態確認手段,2bは共有無線チャネル縮退手段,2cは共有無線チャネル移設手段である。
【0016】
3は3a〜3eの各手段により構成された制御部であり,3aは障害が発生したベースバンド処理カードを検出する障害カード検出手段,3bは障害カードが使用していた共有無線チャネルによる処理を救済する他のカードを選択する救済先カード選択手段,3cは救済先カード配下移動機への再構成指示手段,3dは共有無線チャネルの縮退・移設指示手段,3eは各BBPカード別に配下のエリア名,共有無線チャネル数,収容ユーザ数等の情報を格納したベースバンド処理カード管理テーブル,10は各ベースバンド処理カード2−1〜2−nとユーザデータの経路により接続され,制御部3と制御信号の経路により接続される一方,他方が外部のコアネットワーク(図示省略)と接続される伝送路終端部である。
【0017】
4は無線基地局装置1の管理下の移動機であり,4−1はセクタ1のエリアに位置してベースバンド処理カード2−1により通信処理が行われる移動機,4−2はセクタ2のエリアに位置してベースバンド処理カード2−2により通信処理が行われる移動機である。
【0018】
ベースバンド処理カード2−2に障害が発生すると制御部3の障害カード検出手段3aで障害を発生したベースバンド処理カード2−2を検出し,救済先カード選択手段3bは障害発生カード2−2の共有無線チャネルを用いた処理機能を救済,つまり代行する現用のベースバンド処理カードの中からベースバンド処理カード管理テーブル3eを参照して障害を発生したカードの共有無線チャネルを移設できるカードを選択する。なお,この移設の中には救済カードの共有無線チャネルの縮退をして移設することも含む。この説明ではベースバンド処理カード2−1が救済先カードとして選択されたものとする。次に再構成指示手段3cが,選択された救済先カードであるベースバンド処理カード2−1を介してその配下の移動機4−1を含む各移動機に対し共有無線チャネルの縮退を含む再構成の指示をする。なお,カード2−1において,障害カード2−2の共有無線チャネルを受け入れるために現在使用している共有無線チャネルの帯域を縮退する必要がない,例えば空きの帯域がある場合は,縮退をしない。続いて縮退・移設指示手段3dが救済先のベースバンド処理カード2−1に対して共有無線チャネルの縮退の必要があれば縮退を行い,障害になったカード2−2の共有無線チャネルの移設を指示する。なお,この救済先のベースバンド処理カード2−1の共有無線チャネルを縮退するのは障害となったベースバンド処理カード2−2の共有無線チャネルの全部またはそれを縮退したものを移設するためである。
【0019】
この指示を受けた救済先のベースバンド処理カード2−1では,共有無線チャネル・ユーザ状態確認手段2aは共有無線チャネル,例えば使用するチャネル数,その帯域幅等とユーザ状態,例えばエリア内のユーザ数や,使用状態等を確認する。共有無線チャネル縮退手段2bは確認した現在の共有無線チャネルを縮退する必要があると,縮退する処理を行い,続いて共有無線チャネル移設手段2cは障害となったベースバンド処理カード2−2の共有無線チャネルを当該カード2−1に移設する処理を実行する。この移設の実行に伴って,ベースバンド処理カード2−2がカバーするセクタ2のエリアに対する,新たにベースバンド処理カード2−1によりセクタ1に対して提供される共有無線チャネル情報を含む報知情報を更新し,報知情報をセクタ2の各移動機に対して報知する。
【0020】
上記の説明では,救済先カード2−1で使用している共有無線チャネルの縮退を行って,帯域幅に空き帯域を設けて障害を受けたカード2−2の共有無線チャネルを移設する例について説明したが,救済先カード2−1での縮退により得られた空き帯域が少ない場合は,障害を受けたカード2−2の共有無線チャネルの縮退を行った上で救済先カード2−1に移設を行うように構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により,障害発生ベースバンド処理カードで使用されていた共有無線チャネルを正常に運用している他ベースバンド処理カードに移設することで共有無線チャネルとそのカバーするエリアを維持することが可能となる。
【0022】
また,ベースバンド処理カード性能の制限などから,障害ベースバンド処理カードが使用していた共有無線チャネルをそのまま移設できない場合,縮退をして移設することで共有無線チャネルの帯域や収容ユーザ数の維持よりもカバーする通信エリアの維持を優先させるために帯域や収容ユーザ数の削減,つまり縮退を実行することで,通信エリアを維持することが可能となる。
【0023】
帯域変更や収容ユーザ数の削減に伴い,実施される共有無線チャネルで接続中の移動機に対して共有無線チャネルの再構成等を実施,または実施される共有無線チャネルで新規に接続してくる移動機に対して報知情報の変更を実施することで,既存呼の接続が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図2は実施例の無線基地局装置内の各部の間及び移動機との相互の動作シーケンスである。図2の無線基地局装置は上記図1に示すベースバンド処理カード(以下,BBPカードという)がBBPカード2−1とBBPカード2−2の2つだけ設けられているものとし,図1と同様にBBPカード2−2に障害が発生し,BBPカード2−1がBBPカード2を救済するカードである。
【0025】
図3はベースバンド処理カードの構成例であり,図1に示すベースバンド処理カード2−1〜2−n(図2のBBPカード1,2を含む)の内部のブロック構成の例を示す。図中,2はBBPカード,20は無線側(移動機側との無線機構)とのインタフェイス(I/F),21はダウンリンク(DL:下り側)処理部であり,その内部の21aはRLC(Radio Link Control)/MAC(Madia Access Control)レイヤ処理部,21bは符号化処理部,21cは変調部である。22はアップリンク(UL:上り側)処理部であり,その内部の22aは復調部,22bは符号化処理部,22cはRLC/MACレイヤ処理部である。23はIPパケット終端処理部,24はCPU・監視制御部である。
【0026】
CPU・監視制御部24のCPUは無線基地局装置の制御部(図1の3)と通信を行い,BBPカードと制御部間での装置内のHC動作(ヘルスチェック:制御部(図1の3)からの一定周期で発生する問い合わせに対して応答をすることで,BBPカードが正常に動作していることを知らせる動作)や,ベースバンド処理カード管理テーブル3eに設定する情報(共有無線チャネル情報,ユーザ数等)を制御部に通知する等の動作を行い,CPU・監視制御部24は,BBPカード内の各機能部の状態を定期的に監視することで,障害発生等を即座に検出する機能を備える。
【0027】
ダウンリンク処理部21は,下り方向のユーザデータ処理や,制御信号の処理を行い,処理の流れとしては,コアネットワーク側からのデータに対しRLC/MACレイヤ処理部21aで3GPPで定義されているRLC/MACの処理を行い,符号化処理部21bでターボ符号化などの処理を行う。処理したデータを変調部21cで無線側に伝送できる形式に変調し,BBPカードからデータがユーザへ送信される。なお,誤り検出符号の付加機能は符号化処理部21bで実行し,複数アンテナから信号を送信するための機能や送信電力制御はI/F部20に備える。
【0028】
アップリンク処理部22は,上り方向のユーザデータの処理や,制御信号の処理を行い,処理の流れとしては,無線側(ユーザ側)より送信されてきたデータを,復調部22aで復調を行い,符号化処理部22bでディジタル信号に符号化し,RLC/MACレイヤ処理部22cで3GPPで定義されているRLC/MACの処理を行い,BBPカードからデータが上位ネットワークへ伝送される。なお,ランダムアクセスチャネルを受信して,無線区間の往復伝搬遅延を推定する機能やダイバーシティ受信を行う機能は,I/F部20で実行し,リファレンスチャネルを用いてチャネル推定を行う機能はCPU/監視制御部24において実行する。
【0029】
図2に示す無線基地局装置内の制御部3は,プログラム制御の処理装置(CPU及びメモリ)により構成することができ,上記図1に示す制御部3の各手段3a〜3dの機能を,ベースバンド処理カード管理テーブル3eの情報を用いて実現することができる。
【0030】
最初にBBPカード2(2−2)に障害が発生すると(図2のa),動作が停止する。この障害は制御部3において検出される(同b)。BBPカードに障害が発生したことを検出する方法は後述するように複数の方法の中から一つを選択することができる。制御部3ではBBPカード2で収容していた共有無線チャネルを救済するため救済先BBPカード選択を行う(図2のc)。この時,救済先の候補となるBBPカードが2個以上有る場合はベースバンド処理カード管理テーブル(図1の3e)を参照することにより障害になったBBPカードを除いた他のセクタのBBPカードの中から一つを選択する。その場合,各セクタ(エリア)における帯域幅,総発信数,総着信数等を比て,処理能力に余裕のあるセクタのBBPカードを選択する。
【0031】
図2の例では,BBPカードが2個しか設けられてないので,BBPカード2が障害になるとBBPカード1が救済先カードとして選択される。制御部3はBBPカード1配下の移動機に対して3GPPのネットワークレイヤ(レイヤ3)のRRC(Radio Resource Control)プロトコルによる「Physical Channel Reconfiguration」(物理チャネル再構成)を実施し,共有無線チャネルが縮退されることを含むメッセージを通知する(図2のd)。このメッセージはBBPカード1で受け取られ,BBPカード1から更にBBPカード1カード配下エリアの移動機4−1に対して通知される(図2のe)。BBPカード1配下のエリアの移動機4−1で受信されると,移動機4−1は受信確認を表す「Physical Channel Reconfiguration Complete 」(物理チャネル再構成完了)をBBPカード1に送信し(図2のf),BBPカード1から更に制御部3に送信する(同g)。これを受け取った制御部3は救済先BBPカード1に対して共有無線チャネルの帯域幅縮退・移設開始指示を送信する(図2のh)。この指示には,移設するBBPカード2の共有無線チャネルの情報も含まれている。
【0032】
BBPカード1はこの指示を受け取ると,BBPカード1共有無線チャネル状態を確認し,BBPカード1収容ユーザを確認する(図2のi),共有無線チャネルの縮退を開始する(同j)。続いて,共有無線チャネルの移設(BBPカード2の共有無線チャネルのBBPカード1への移設)を開始し(図2のk),移設を完了するとBBPカード1から共有無線チャネル/帯域幅縮退/移設完了通知を制御部3へ通知する(図2のl)。これを受けた制御部3はページングチャネルによる報知情報(共有無線チャネル等)が変化したことをBBPカード1に通知する(図2のm)。具体的には「Page/BCH/BCCH Modify Information」(ページング/共有無線チャネルBCH/BCCHを変更する情報)という内容である。BBPカード1はこの通知を更にBBPカード1配下エリアの移動機4−1及びBBPカード2配下エリア(障害発生セクタのエリア)の移動機4−2に対してページングチャネルにより通知する(同n,o)。これにより,BBPカード2配下エリアの移動機の通信が再開され(図2のp),エリア救済が完了する(同q)。
【0033】
BBPカードの障害検出方法
(1) 無線基地局装置内のヘルスチェック(RAS機能相当)による検出方法1
無線基地局装置は,BBPカードと制御部で構成されており,制御部では装置内状態監視,収容エリア情報,収容ユーザ等を管理しており,装置内状態監視では制御部と各配下BBPカードとでヘルスチェックを行っている。装置内に実装されているBBPカードにおいて障害が発生した際,制御部はヘルスチェックの状態を監視し,障害となったBBPカードからのヘルスチェック信号が検出できなくなったことにより,BBPカードの障害を検出する。
【0034】
図4はBBPカード障害の検出方法1の説明図である。図中,1は無線基地局装置,2−1〜2−3はBBPカード1〜BBPカード3,3は制御部であり,BBPカードを3枚備えている。図4のA.は制御部3が各BBPカード1〜3に対してヘルスチェックをしている状態を表す。この状態でBBPカード1に障害が発生した場合,図4のB.に示すように制御部3でBBPカード1とのヘルスチェック断を検出し,このBBPカード1で障害が発生したことを検出する。
【0035】
(2) 各BBPカードが収容しているセクタ別発着信数の比較による検出方法2
セクタ別発着信総数を監視し,比較するものであり,セクタ別の発着信数を制御部3で監視し,特定のセクタにおいて発着信数が著しく低下(例えば,10分の1に低下)することにより,BBPカードの障害を検出する。この方法を採ることで,BBPカードがヘルスチェック信号のチェックは通っているが,BBPカードで処理ができないような状態であるとき,そのBBPカードを使用せず,正常に動作しているBBPカードで救済し,サービス停止を継続できる。また,BBPカードが停止,復旧を繰り返すような動作をしている場合にも,障害発生を検出可能である。
【0036】
図5はBBPカード障害検出方法2の説明図であり,図6はBBPカード管理テーブル(図1の3eに対応)の構成を示す図である。図5のA.〜D.において各部の符号は上記図4と同じものを表し,BBPカードはBBPカード1〜BBPカード3の3枚備えている。A.において,制御部3においてBBPカード1〜BBPカード3がカバーするセクタの発着信数を監視している。その後,B.に示すように制御部3からのヘルスチェックに対しBBPカード1からチェック信号が送信されて,ヘルスチェックによる異常は検出されないが,その他の処理がBBPカード1で処理不可の状態になると,C.に示すようにBBPカード1がカバーするセクタの発着信数が0または保護段数として30秒の総発着信数が,その前の発着信数の1/10以下になったことを検出すると,図5のD.に示すように制御部3はBBPカード1において障害が発生したと判断し,エリア救済シーケンスに移行しBBPカード1配下の共有無線チャネルを移設する。
【0037】
発着信数低下の判断は,図6に示すBBPカード管理テーブルを用いる。このテーブルの例では,収容エリア名,共有無線チャネル,帯域幅,収容ユーザ数,総発信数,総着信数という情報が設定されている。この情報は各BBPカード毎に保持されている。このテーブルは,周期的(例えば,1秒毎)に更新され,制御部はこのテーブルを監視し,上記の発着信数の上記した低下率で低下するという条件が発生したことを検出すると障害と判定する。
【0038】
次に無線基地局装置におけるBBPカードの障害発生時の救済先BBPカードの選択方法を説明する。制御部3は上記図6に示すようなBBPカード管理テーブルから,各BBPカードの状態を監視し,障害となったBBPカードに収容されている共有無線チャネル情報,帯域情報,収容ユーザ情報,エリア情報を制御部3で認識し,そこに収容されていた各共有無線チャネル,エリア情報等を別の正常に稼働しているBBPカードに移設する指示を行う。
【0039】
図7は制御部による救済先BBPカード検出の具体例である。図7のA.〜D.において1,2−1〜2−3,3の各符号上記図4,図5と同じものを表し説明を省略する。この例でも無線基地局装置に実装されるBBPカードは3枚である。
【0040】
図7のA.に示すように制御部3でBBPカード1の障害を検出すると,B.に示すように制御部3は正常動作しているBBPカード2,BBPカード3の状態を確認する。この場合も,制御部3は上記図6に示すようなBBPカード管理テーブルを管理し,このテーブルから正常稼働しているBBPカードの状態を確認し,障害となったBBPカード1で収容している共有無線チャネルを移設できるか判断する。BBPカード2とBBPカード3に,BBPカード1で収容していた共有無線チャネルを収容可能であれば,分散して移設し,BBPカード1のエリアを救済する。この時,BBPカード2とBBPカード3の縮退は行わない(縮退することなく移設可能な時)。図7のC.のようにBBPカード2とBBPカード3において縮退しなければ共有無線チャネルを移設できない場合は,図6のBBPカード管理テーブルから収容ユーザ数の最も少ないBBPカードを選択し,そのBBPカードに対して共有無線チャネル帯域幅等の縮退指示を出す。図7のC.の例では,BBPカード2が救済先として選択された場合であり,縮退指示がBBPカード2に出され,D.に示すように縮退が完了するとBBPカード1で収容していた共有無線チャネルをBBPカード2に移設して,BBPカード2とBBPカード3で全エリアが網羅される。
【0041】
BBPカードによる共有無線チャネルの縮退と共有無線チャネルの移設の具体例
BBPカード1〜BBPカード3が実装されている無線基地局装置において,BBPカードで障害が発生した時,救済先として選択されたBBPカード2において,BBPカード1で収容していた共有無線チャネルを収容するためにBBPカード2において縮退を行う必要があるかの判断が行われる。
【0042】
その判断は,障害発生時に残りのBBPカードで障害が発生しているBBPカードに収容されている共有無線チャネルが縮退なしに収容可能でないという条件を満たしているかを判別する。この条件を満たしていると,正常稼働している各BBPカードのリソースは100%使用しているため,障害BBPカードがカバーするエリアを救済するために正常稼働しているBBPカードに対して縮退指示を制御部から通知する。
【0043】
上記条件を満たさない場合,正常稼働しているBBPカードを全て,または複数枚使用することで,障害となったBBPカードに収容されていた共有無線チャネルを縮退無しに救済できる場合,BBPカードにおける縮退は実施しない。
【0044】
図8は縮退を実施しないで1つのBBPカードで救済する例を示す。この例でも無線基地局装置にBBPカードが3枚設けられ,A.に示すようにBBPカード1が無線チャネル(CH)♯1,♯2,BBPカード2が無線チャネル♯3,♯4,BBPカード3が無線チャネル♯5,♯6を収容して動作している時,BBPカード1に障害が発生したものとする。この時,BBPカード2とBBPカード3の共有無線チャネルの帯域に余裕があり,BBPカード1の無線チャネル♯1,♯2を両BBPカード2,3の何れにも縮退なしで収容可能である。図8のB.の場合,BBPカード2にBBPカード1の無線チャネル♯1,♯2を移設している。
【0045】
図9は縮退を実施しないで,複数のBBPカードで救済する例を示す。この例でも無線基地局装置にBBPカードが3枚設けられ,A.に示す状態では各BBPカード1〜3には,それぞれ共有無線チャネルが2チャネル分収容され,各BBPカードには各無線チャネルが持つ帯域の1チャネル分を収容できる余裕があるものとする。この状態でBBPカード1に障害が発生した場合,B.に示すようにBBPカード1の無線チャネル♯1,♯2を2つに分けて,BBPカード2に共有無線チャネル♯1を移設し,BBPカード3に共有無線チャネル♯2を移設するだけでBBPカード2,3での縮退を実施することなく救済を行う。
【0046】
図10は障害BBPカードに収容されたエリア救済のフローチャートであり,無線基地局装置の制御部(CPU及びメモリを含む処理装置により構成)において実行される。
【0047】
BBPカードで障害が発生すると(図10のS1),BBPカードの障害を制御部(CONT部で表示)で検出し(同S2),制御部において救済先BBPカードを選択し(同S3),救済先BBPカードに収容されているユーザ(UEで表示)に対して物理チャネル再構成(Physical Channel Reconfiguration) を実施する(同S4)。次に救済先BBPカードの共有無線チャネル状態確認と帯域幅の状態確認を行い(図10のS5),縮退無しでBBPカードに移設可能か判別する(同S6)。この場合,障害を発生したBBPカードに収容されている共有無線チャネルの帯域の合計が,救済先のBBPカードにそのまま移設できるかを判定し,救済先のBBPカードにそのまま移設できない時は,縮退の必要があると判定する。但し,上記ステップS3において救済先として1枚のBBPカードが選択されたものとする。
【0048】
ステップS6で縮退無しでBBPカードに移設することができないと判別されると,救済先のBBPカードの共有無線チャネル,帯域幅の縮退を開始し(同S7),縮退完了かの判定をし(同S8),完了すると共有無線チャネル(障害BBPカードの)を救済先のBBPカードへ移設を開始する(同S9)。ステップS6で縮退無しで救済先のBBPカードに移設可能な場合,上記ステップS9に移行する。ステップS10で移設完了と判断されると,縮退/移設した共有無線チャネル配下のユーザ装置に対してページングチャネルによる報知情報(共有無線チャネルのBCH,BCCH Modyfy 情報) が変化したことを通知し(図10のS11),エリア救済を完了する。
【0049】
図11は占有帯域を含む縮退と移設の具体例である。図11のA.〜E.は3枚のBBPカードを使用する例であり,初期の状態はA.に示され,BBPカード1は共有無線チャネルとしてチャネル1(CH1)とチャネル2(CH2)が収容され,それぞれ20MHzの占有帯域を備え,BBPカード2は共有無線チャネルとしてチャネル3(CH3)とチャネル4(CH4)が収容され,それぞれ20MHzの占有帯域を備えており,BBPカード3は共有無線チャネルとしてチャネル5(CH5)とチャネル6(CH6)が収容され,それぞれ20MHzの占有帯域を備えている。また,11a〜11eはそれぞれA.〜E.の状態における共有無線チャネルがカバーするエリア(セクタ)で使用する無線チャネルの状態を表す。
【0050】
A.に示す初期状態においてBBPカード1に障害が発生すると図11のB.のようにBBPカード1が使用不可となり,その時のエリア(セクタ)の状態は11bに示すように無線チャネル1(CH1)と無線チャネル2(CH2)が使用不可となる。この場合,救済BBPカードとしてBBPカード2が選択されたものとすると,図11のC.に示すように救済BBPカードとしてBBPカード2が選択されると,その中で使用しているチャネル4(CH4)の占有帯域幅20MHzを縮退して5MHzにし,BBPカード1のチャネル1(CH1)とチャネル2(CH2)をそれぞれ20MHzから5MHzに縮退して,BBPカード2に移設することで,BBPカード2では無線チャネル3はそのままで,無線チャネル4は縮退して5MHzとすることで縮退が完了すると,無線チャネル1,2も縮退してそれぞれ5MHzとしてBBPカード2に移設される。
【0051】
この図11のC.の状態において,BBPカード3に障害が発生すると,D.に示す状態になる。この場合,E.に示すようにBBPカード2の無線チャネル3を縮退して帯域に余裕を設け,BBPカード3に収容されていた無線チャネル5,6を縮退して,BBPカード2に移設する。これにより,各セクタでの共有無線チャネルの帯域は狭くなるが図11のE.に示すように全エリアでの通信が可能となる。
【0052】
上記図11のE.の状態においてBBPカード3の障害が復旧(カードの交換等)した場合,D.のようにBBPカード2の無線チャネル3の帯域幅を元の20MHzに拡張し,BBPカード3に無線チャネル5,6を移設(復旧)してB.の状態になり,更に,その後BBPカード1が復旧した場合は,図11のB.からA.へ状態が変化する。
【0053】
図12は縮退・移設した無線チャネル配下のユーザに対する呼接続のシーケンスを示す。図中,1は無線基地局(BBPカード,制御部等を含む),4は移動機,5はコアネットワーク(CNで表示)である。
【0054】
最初にBBPカードの障害が発生すると(図12のa),救済先BBPカードの選択と救済先BBPカードにおいて縮退させる無線チャネル(CH)の選択をする(同b)。このように,障害が発生したBBPカードがカバーするエリアの移動機4を宛先とするコアネットワーク5からパケットデータ♯1(Packet Data ♯1)が無線基地局装置1に送信され(図12のc),ここから更に移動機4へ送信されることになっているが(同c’),移動機4との通信を処理するBBPカードに障害が発生したため,そのパケットデータ♯1は破棄される(同d)。この後,救済先のBBPカードでの縮退や,移設の処理を行う期間にパケットデータ♯2が送られてくると,そのデータは蓄積手段(図示省略)に蓄積される。
【0055】
この後,選択された救済先のBBPカードにおいて,縮退を行う。縮退を実施する場合,救済先のBBPカードの配下の移動機4に対し「物理チャネル再構成」のメッセージ(そのメッセージ中に,「ノード障害」や「エリア/リソース不足」等の要因を含む)が送信され(図12のf),移動機4からの「物理チャネル再構成完了」の応答が返ってくる(同g)。この「物理チャネル再構成指示」の受信と「物理チャネル再構成完了」の応答の処理期間は図12に示すように移動機4の駆動時間(Activation Time)と呼ばれる。
【0056】
その移動機4(救済先のエリア内)では無線パラメータ変更(占有帯域幅等)を実行し(図12のh),無線基地局装置では救済先BBPカードの無線チャネルの縮退を行い(同i),救済先カードに無線チャネルを移設する(同j)。これによりデータ送信が再開され(図12のk),障害になったBBPカードの配下の移動機を宛先とする蓄積されていたパケットデータ♯2を送信し(同l),続いてコアネットワーク5から送信されてきたパケットデータ♯3は移動機に対して送信される(同m,m’)。続いて,縮退/移設された無線チャネルのエリアに対する報知情報を変更すると(同n),共有無線チャネルが移設された移動機(障害BBPカードがカバーしたいたエリアの移動機)に対して報知情報(ページング/BCH,BCCH等)の通知を行い(同o),エリア救済を完了する。
【0057】
図12の動作シーケンスにより,エリア救済と一度通信が切れた移動機との呼接続を再開することができる。
【0058】
(付記1) 移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置において,前記ベースバンド処理カードの障害を検出する手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーするベースバンド処理カードを選択する救済先カード選択手段と,前記選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示する手段と,前記救済先カードに対し縮退・移設を指示する手段とを備えた制御部と,前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行する縮退手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設する移設手段とを備えた救済先カードとを有し,障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置。
【0059】
(付記2) 付記1において,前記ベースバンド処理カードの障害検出手段は,各ベースバンド処理カードに対して順次周期的なヘルスチェックを実行して,ヘルスチェックが検出できないベースバンド処理カードを障害として検出する,あるいは前記複数の各ベースバンド処理カードにおけるセクタ別の総発着信数を監視し,発着信数が著しく低下したセクタのベースバンド処理カードを障害として検出することを特徴とする基地局装置。
【0060】
(付記3) 移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置障害時のエリア救済方法において,前記基地局装置の制御部は,ベースバンド処理カードの障害を検出し,障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーする救済先ベースバンド処理カードを選択し,選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示し,救済先カードに対し縮退・移設を指示し,前記救済先カードは,前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行し,障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設することにより,障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置障害時のエリア救済方法。
【0061】
(付記4) 付記1において,前記制御部は,各ベースバンド処理カードが収容するエリア,使用する共有無線チャネル数及び帯域幅,収容ユーザ数や発着信数等の情報を格納したカード管理テーブルを備え,前記救済先カード選択手段は,前記カード管理テーブルを参照して救済先カードを選択することを特徴とする基地局装置。
【0062】
(付記5) 付記4において,前記救済先カード選択手段は,障害となったベースバンド処理カードの共有無線チャネルの全てを他の1つのベースバンド処理カードに縮退することなく移設できるか,他の複数のベースバンド処理カードでそれぞれで縮退することなく分割して移設できるかを判別し,救済先カードとして1または複数を選択することを特徴とする基地局装置。
【0063】
(付記6) 付記4において,前記救済先カード選択手段は,障害となったベースバンド処理カードの共有無線チャネルを他のベースバンド処理カードで使用する共有無線チャネルを縮退しても,障害となったカードの共有無線チャネルをそのまま移設するための帯域幅が不足する場合,障害となったカードの共有無線チャネルを縮退して前記救済先カードに移設することを特徴とする基地局装置。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】実施例の無線基地局装置内の各部の間及び移動機との相互の動作シーケンスを示す図である。
【図3】ベースバンド処理カードの構成例を示す図である。
【図4】BBPカード障害の検出方法1の説明図である。
【図5】BBPカード障害検出方法2の説明図である。
【図6】BBPカード管理テーブルの構成を示す図である。
【図7】制御部による救済先BBPカード検出の具体例を示す図である。
【図8】縮退を実施しないで1つのBBPカードで救済する例を示す図である。
【図9】縮退を実施しないで複数のBBPカードで救済する例を示す図である。
【図10】障害BBPカードに収容されたエリア救済のフローチャートを示す図である。
【図11】占有帯域を含む縮退と移設の具体例を示す図である。
【図12】縮退・移設した無線チャネル配下のユーザに対する呼接続のシーケンスを示す図である。
【図13】移動通信のネットワーク構成の概要を示す図である。
【図14】無線基地局装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 無線基地局装置
2 ベースバンド処理カード(BBPカード)
2−1〜2−n BBPカード1〜BBPカードn
2a 共有無線チャネル・ユーザ状態確認手段
2b 共有無線チャネル縮退手段
2c 共有無線チャネル移設手段
3 制御部
3a 障害カード検出手段
3b 救済先カード選択手段
3c 再構成指示手段
3d 縮退・移設指示手段
3e ベースバンド処理カード管理テーブル
10 伝送路終端部
4 移動機
4−1 セクタ1の移動機
4−2 セクタ2の移動機
【技術分野】
【0001】
本発明は,移動通信用の基地局装置及び基地局装置(以下,無線基地局装置と呼ぶ)障害時のエリア救済方法に関し,具体的には無線基地局装置及び無線基地局装置のベースバンド処理カード(BBPカード:Base-Band Processor Card) の障害時の共有無線チャネルのエリア救済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,第3世代の移動通信の技術に関して高速無線通信システムはいくつか提案されている。その中でITU(International Telecommunication Union)によりIMT−2000の標準化がなされ, その要求条件を実現するための標準規格の具体的な詳細仕様のグループの一つとして3GPP(3rd Generation Partnership Project)がある。また,この3GPPを更に拡張した仕様としてスーパー3Gリリース99といった規格が提案されている。
【0003】
そのような移動通信の規格が適用されるネットワーク構成の概要を図13に示す。移動機80は無線基地局装置81と無線区間を通って通信が行われ,無線基地局装置81は有線によりコアネットワーク(Core Network) 82 と接続される。
【0004】
図14は無線基地局装置の構成を示す。図14の無線基地局装置81は,ベースバンド処理カード(BBPカード)82−1〜82−n,制御部83,制御信号(C-Plane) を伝送する伝送路84−1とユーザデータ(U-Plane) を伝送する伝送路84−2,及び伝送路終端部85とで構成される。
【0005】
この無線基地局装置81がカバーする周囲のエリアは複数のセクタ1〜nのエリアに分けられ,各セクタ1〜nのエリア内に位置する移動機との通信はそれぞれのセクタに対応して設けられたベースバンド処理カード(BBPカード)82−1〜82−nにより処理され,制御信号が制御部83と送受され,ユーザデータは伝送路終端部85を介してコアネットワーク(図13の82)と送受信される。
【0006】
ベースバンド処理カードの機能としては,収容している共有無線チャネルを縮退する機能,共有無線チャネルを移設する機能がある。また,送信側(ダウンリンク)の機能としては誤り検出符号の付加機能,複数アンテナから信号を送信する機能,送信電力制御を行う機能等がある。受信側(アップリンク)では,ランダムアクセスチャネルを受信して,無線区間の往復伝搬遅延を推定する機能,ダイバーシティ受信を行う機能,リファレンスチャネルを用いてチャネル推定を行う機能等がある。
【0007】
従来の技術では,3GPPの標準仕様では,複数の移動機が共有するチャネルとして,DSCH(下り方向の共有チャネル:Downlink Shared Channel)や,CPCH(上り方向の共有チャネル:Common Packet Channel)や,PCH(ページンク信号の送信に使用する上り方向の共有チャネル:Paging Channel)や,HS−DSCH(高速下りリンク共有チャネル:High-Speed−Downlink Shared Channel)等の各種の共有チャネルが使用され,スーパー3GであるLTE(Long Term Evolution)の仕様でも「SCH(Synchronization Channel)」という多数のユーザで共有されるタイプの無線チャネルが各ベースバンド処理カードに固定的に割り当てられて処理されている。
【0008】
図14の構成において,移動機が位置するセクタに割り当てられたベースバンド処理カードで障害が発生すると,割り当てられている共有無線チャネルが使用不可になることにより,該当チャネルがカバーしているエリア全域の移動機による共有無線チャネルの使用が不可になってしまう。
【0009】
これを救済するための従来の技術として,障害が発生したベースバンド処理カードで処理していた共有無線チャネルを,他の正常に動作している他のベースバンド処理カードに移す方法が考えられるが,ベースバンド処理カードの性能や,設備数などの制限で共有無線チャネルを移せないケースが存在する。
【0010】
また,ベースバンド処理カードを冗長構成とした場合,冗長分のベースバンド処理カードが余分に必要になると共に,冗長機能をインプリメントする必要があるため,開発コストや設備コストの上昇が発生する可能性が高い。
【0011】
仮にベースバンド処理カードが冗長構成を取っていた場合でも,冗長ベースバンド処理カードまで多重障害になった場合には,こうしたケースが発生する。
【0012】
なお,無線通信システムの技術において,基地局によって規定されているセル内のトラフィック量を監視して,トラフィック量が大きい場合に音声の圧縮度を高めて低いビットレートで伝送し,トラフィック量が小さい場合に音声の圧縮度を下げて高いビットレートで伝送するよう情報ビット量を可変とし,送受信周期を固定のまま,実行伝送速度を確保する技術が知られている(特許文献1参照)。しかし,この技術は,基地局の各セクタ,つまりエリアの移動機に対する共有チャネルの制御を含む処理機能を備えるベースバンド処理カードの障害に対処するものではない。
【特許文献1】特開平7−38465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記したように共有無線チャネルの制御機能含むベースバンド処理カードに障害が発生した場合,共有無線チャネルが収容する帯域・ユーザ数よりも,カバーするエリア領域を維持することの方が利用者へのサービスとして重要であることは明らかである。これは,繋がらない人が出る影響より,繋がらないエリアが発生した場合の影響の方が重大であるからである。
【0014】
本発明はセクタに対して割り付けられた共有無線チャネルを使用して通信処理を行う各ベースバンド処理カードに障害が発生した場合に冗長化することなく,そのセクタがカバーする通信エリアの通信を維持することができる基地局装置及び基地局装置障害時のエリア救済方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図1は本発明の原理構成を示す図である。図中,1は無線基地局装置,2は無線基地局装置1内に設けられた複数のベースバンド処理カード(BBPカード)であり,2−1〜2−nは個別のカードを表し,各カードはそれぞれのセクタのエリアの範囲に位置する移動機と固有の共有無線チャネルを使用して通信を行う。この説明では,ベースバンド処理カード2−2はセクタ2のエリアの移動機について処理を行うがこのカードに障害が発生し,ベースバンド処理カード2−1がその救済先のベースバンド処理カードであるものとする。また,各ベースバンド処理カードは同一構成であるが,カード2−1には救済先として機能するための手段として2a〜2cを備えるものとして示し,2aは共有無線チャネル・ユーザ状態確認手段,2bは共有無線チャネル縮退手段,2cは共有無線チャネル移設手段である。
【0016】
3は3a〜3eの各手段により構成された制御部であり,3aは障害が発生したベースバンド処理カードを検出する障害カード検出手段,3bは障害カードが使用していた共有無線チャネルによる処理を救済する他のカードを選択する救済先カード選択手段,3cは救済先カード配下移動機への再構成指示手段,3dは共有無線チャネルの縮退・移設指示手段,3eは各BBPカード別に配下のエリア名,共有無線チャネル数,収容ユーザ数等の情報を格納したベースバンド処理カード管理テーブル,10は各ベースバンド処理カード2−1〜2−nとユーザデータの経路により接続され,制御部3と制御信号の経路により接続される一方,他方が外部のコアネットワーク(図示省略)と接続される伝送路終端部である。
【0017】
4は無線基地局装置1の管理下の移動機であり,4−1はセクタ1のエリアに位置してベースバンド処理カード2−1により通信処理が行われる移動機,4−2はセクタ2のエリアに位置してベースバンド処理カード2−2により通信処理が行われる移動機である。
【0018】
ベースバンド処理カード2−2に障害が発生すると制御部3の障害カード検出手段3aで障害を発生したベースバンド処理カード2−2を検出し,救済先カード選択手段3bは障害発生カード2−2の共有無線チャネルを用いた処理機能を救済,つまり代行する現用のベースバンド処理カードの中からベースバンド処理カード管理テーブル3eを参照して障害を発生したカードの共有無線チャネルを移設できるカードを選択する。なお,この移設の中には救済カードの共有無線チャネルの縮退をして移設することも含む。この説明ではベースバンド処理カード2−1が救済先カードとして選択されたものとする。次に再構成指示手段3cが,選択された救済先カードであるベースバンド処理カード2−1を介してその配下の移動機4−1を含む各移動機に対し共有無線チャネルの縮退を含む再構成の指示をする。なお,カード2−1において,障害カード2−2の共有無線チャネルを受け入れるために現在使用している共有無線チャネルの帯域を縮退する必要がない,例えば空きの帯域がある場合は,縮退をしない。続いて縮退・移設指示手段3dが救済先のベースバンド処理カード2−1に対して共有無線チャネルの縮退の必要があれば縮退を行い,障害になったカード2−2の共有無線チャネルの移設を指示する。なお,この救済先のベースバンド処理カード2−1の共有無線チャネルを縮退するのは障害となったベースバンド処理カード2−2の共有無線チャネルの全部またはそれを縮退したものを移設するためである。
【0019】
この指示を受けた救済先のベースバンド処理カード2−1では,共有無線チャネル・ユーザ状態確認手段2aは共有無線チャネル,例えば使用するチャネル数,その帯域幅等とユーザ状態,例えばエリア内のユーザ数や,使用状態等を確認する。共有無線チャネル縮退手段2bは確認した現在の共有無線チャネルを縮退する必要があると,縮退する処理を行い,続いて共有無線チャネル移設手段2cは障害となったベースバンド処理カード2−2の共有無線チャネルを当該カード2−1に移設する処理を実行する。この移設の実行に伴って,ベースバンド処理カード2−2がカバーするセクタ2のエリアに対する,新たにベースバンド処理カード2−1によりセクタ1に対して提供される共有無線チャネル情報を含む報知情報を更新し,報知情報をセクタ2の各移動機に対して報知する。
【0020】
上記の説明では,救済先カード2−1で使用している共有無線チャネルの縮退を行って,帯域幅に空き帯域を設けて障害を受けたカード2−2の共有無線チャネルを移設する例について説明したが,救済先カード2−1での縮退により得られた空き帯域が少ない場合は,障害を受けたカード2−2の共有無線チャネルの縮退を行った上で救済先カード2−1に移設を行うように構成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により,障害発生ベースバンド処理カードで使用されていた共有無線チャネルを正常に運用している他ベースバンド処理カードに移設することで共有無線チャネルとそのカバーするエリアを維持することが可能となる。
【0022】
また,ベースバンド処理カード性能の制限などから,障害ベースバンド処理カードが使用していた共有無線チャネルをそのまま移設できない場合,縮退をして移設することで共有無線チャネルの帯域や収容ユーザ数の維持よりもカバーする通信エリアの維持を優先させるために帯域や収容ユーザ数の削減,つまり縮退を実行することで,通信エリアを維持することが可能となる。
【0023】
帯域変更や収容ユーザ数の削減に伴い,実施される共有無線チャネルで接続中の移動機に対して共有無線チャネルの再構成等を実施,または実施される共有無線チャネルで新規に接続してくる移動機に対して報知情報の変更を実施することで,既存呼の接続が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図2は実施例の無線基地局装置内の各部の間及び移動機との相互の動作シーケンスである。図2の無線基地局装置は上記図1に示すベースバンド処理カード(以下,BBPカードという)がBBPカード2−1とBBPカード2−2の2つだけ設けられているものとし,図1と同様にBBPカード2−2に障害が発生し,BBPカード2−1がBBPカード2を救済するカードである。
【0025】
図3はベースバンド処理カードの構成例であり,図1に示すベースバンド処理カード2−1〜2−n(図2のBBPカード1,2を含む)の内部のブロック構成の例を示す。図中,2はBBPカード,20は無線側(移動機側との無線機構)とのインタフェイス(I/F),21はダウンリンク(DL:下り側)処理部であり,その内部の21aはRLC(Radio Link Control)/MAC(Madia Access Control)レイヤ処理部,21bは符号化処理部,21cは変調部である。22はアップリンク(UL:上り側)処理部であり,その内部の22aは復調部,22bは符号化処理部,22cはRLC/MACレイヤ処理部である。23はIPパケット終端処理部,24はCPU・監視制御部である。
【0026】
CPU・監視制御部24のCPUは無線基地局装置の制御部(図1の3)と通信を行い,BBPカードと制御部間での装置内のHC動作(ヘルスチェック:制御部(図1の3)からの一定周期で発生する問い合わせに対して応答をすることで,BBPカードが正常に動作していることを知らせる動作)や,ベースバンド処理カード管理テーブル3eに設定する情報(共有無線チャネル情報,ユーザ数等)を制御部に通知する等の動作を行い,CPU・監視制御部24は,BBPカード内の各機能部の状態を定期的に監視することで,障害発生等を即座に検出する機能を備える。
【0027】
ダウンリンク処理部21は,下り方向のユーザデータ処理や,制御信号の処理を行い,処理の流れとしては,コアネットワーク側からのデータに対しRLC/MACレイヤ処理部21aで3GPPで定義されているRLC/MACの処理を行い,符号化処理部21bでターボ符号化などの処理を行う。処理したデータを変調部21cで無線側に伝送できる形式に変調し,BBPカードからデータがユーザへ送信される。なお,誤り検出符号の付加機能は符号化処理部21bで実行し,複数アンテナから信号を送信するための機能や送信電力制御はI/F部20に備える。
【0028】
アップリンク処理部22は,上り方向のユーザデータの処理や,制御信号の処理を行い,処理の流れとしては,無線側(ユーザ側)より送信されてきたデータを,復調部22aで復調を行い,符号化処理部22bでディジタル信号に符号化し,RLC/MACレイヤ処理部22cで3GPPで定義されているRLC/MACの処理を行い,BBPカードからデータが上位ネットワークへ伝送される。なお,ランダムアクセスチャネルを受信して,無線区間の往復伝搬遅延を推定する機能やダイバーシティ受信を行う機能は,I/F部20で実行し,リファレンスチャネルを用いてチャネル推定を行う機能はCPU/監視制御部24において実行する。
【0029】
図2に示す無線基地局装置内の制御部3は,プログラム制御の処理装置(CPU及びメモリ)により構成することができ,上記図1に示す制御部3の各手段3a〜3dの機能を,ベースバンド処理カード管理テーブル3eの情報を用いて実現することができる。
【0030】
最初にBBPカード2(2−2)に障害が発生すると(図2のa),動作が停止する。この障害は制御部3において検出される(同b)。BBPカードに障害が発生したことを検出する方法は後述するように複数の方法の中から一つを選択することができる。制御部3ではBBPカード2で収容していた共有無線チャネルを救済するため救済先BBPカード選択を行う(図2のc)。この時,救済先の候補となるBBPカードが2個以上有る場合はベースバンド処理カード管理テーブル(図1の3e)を参照することにより障害になったBBPカードを除いた他のセクタのBBPカードの中から一つを選択する。その場合,各セクタ(エリア)における帯域幅,総発信数,総着信数等を比て,処理能力に余裕のあるセクタのBBPカードを選択する。
【0031】
図2の例では,BBPカードが2個しか設けられてないので,BBPカード2が障害になるとBBPカード1が救済先カードとして選択される。制御部3はBBPカード1配下の移動機に対して3GPPのネットワークレイヤ(レイヤ3)のRRC(Radio Resource Control)プロトコルによる「Physical Channel Reconfiguration」(物理チャネル再構成)を実施し,共有無線チャネルが縮退されることを含むメッセージを通知する(図2のd)。このメッセージはBBPカード1で受け取られ,BBPカード1から更にBBPカード1カード配下エリアの移動機4−1に対して通知される(図2のe)。BBPカード1配下のエリアの移動機4−1で受信されると,移動機4−1は受信確認を表す「Physical Channel Reconfiguration Complete 」(物理チャネル再構成完了)をBBPカード1に送信し(図2のf),BBPカード1から更に制御部3に送信する(同g)。これを受け取った制御部3は救済先BBPカード1に対して共有無線チャネルの帯域幅縮退・移設開始指示を送信する(図2のh)。この指示には,移設するBBPカード2の共有無線チャネルの情報も含まれている。
【0032】
BBPカード1はこの指示を受け取ると,BBPカード1共有無線チャネル状態を確認し,BBPカード1収容ユーザを確認する(図2のi),共有無線チャネルの縮退を開始する(同j)。続いて,共有無線チャネルの移設(BBPカード2の共有無線チャネルのBBPカード1への移設)を開始し(図2のk),移設を完了するとBBPカード1から共有無線チャネル/帯域幅縮退/移設完了通知を制御部3へ通知する(図2のl)。これを受けた制御部3はページングチャネルによる報知情報(共有無線チャネル等)が変化したことをBBPカード1に通知する(図2のm)。具体的には「Page/BCH/BCCH Modify Information」(ページング/共有無線チャネルBCH/BCCHを変更する情報)という内容である。BBPカード1はこの通知を更にBBPカード1配下エリアの移動機4−1及びBBPカード2配下エリア(障害発生セクタのエリア)の移動機4−2に対してページングチャネルにより通知する(同n,o)。これにより,BBPカード2配下エリアの移動機の通信が再開され(図2のp),エリア救済が完了する(同q)。
【0033】
BBPカードの障害検出方法
(1) 無線基地局装置内のヘルスチェック(RAS機能相当)による検出方法1
無線基地局装置は,BBPカードと制御部で構成されており,制御部では装置内状態監視,収容エリア情報,収容ユーザ等を管理しており,装置内状態監視では制御部と各配下BBPカードとでヘルスチェックを行っている。装置内に実装されているBBPカードにおいて障害が発生した際,制御部はヘルスチェックの状態を監視し,障害となったBBPカードからのヘルスチェック信号が検出できなくなったことにより,BBPカードの障害を検出する。
【0034】
図4はBBPカード障害の検出方法1の説明図である。図中,1は無線基地局装置,2−1〜2−3はBBPカード1〜BBPカード3,3は制御部であり,BBPカードを3枚備えている。図4のA.は制御部3が各BBPカード1〜3に対してヘルスチェックをしている状態を表す。この状態でBBPカード1に障害が発生した場合,図4のB.に示すように制御部3でBBPカード1とのヘルスチェック断を検出し,このBBPカード1で障害が発生したことを検出する。
【0035】
(2) 各BBPカードが収容しているセクタ別発着信数の比較による検出方法2
セクタ別発着信総数を監視し,比較するものであり,セクタ別の発着信数を制御部3で監視し,特定のセクタにおいて発着信数が著しく低下(例えば,10分の1に低下)することにより,BBPカードの障害を検出する。この方法を採ることで,BBPカードがヘルスチェック信号のチェックは通っているが,BBPカードで処理ができないような状態であるとき,そのBBPカードを使用せず,正常に動作しているBBPカードで救済し,サービス停止を継続できる。また,BBPカードが停止,復旧を繰り返すような動作をしている場合にも,障害発生を検出可能である。
【0036】
図5はBBPカード障害検出方法2の説明図であり,図6はBBPカード管理テーブル(図1の3eに対応)の構成を示す図である。図5のA.〜D.において各部の符号は上記図4と同じものを表し,BBPカードはBBPカード1〜BBPカード3の3枚備えている。A.において,制御部3においてBBPカード1〜BBPカード3がカバーするセクタの発着信数を監視している。その後,B.に示すように制御部3からのヘルスチェックに対しBBPカード1からチェック信号が送信されて,ヘルスチェックによる異常は検出されないが,その他の処理がBBPカード1で処理不可の状態になると,C.に示すようにBBPカード1がカバーするセクタの発着信数が0または保護段数として30秒の総発着信数が,その前の発着信数の1/10以下になったことを検出すると,図5のD.に示すように制御部3はBBPカード1において障害が発生したと判断し,エリア救済シーケンスに移行しBBPカード1配下の共有無線チャネルを移設する。
【0037】
発着信数低下の判断は,図6に示すBBPカード管理テーブルを用いる。このテーブルの例では,収容エリア名,共有無線チャネル,帯域幅,収容ユーザ数,総発信数,総着信数という情報が設定されている。この情報は各BBPカード毎に保持されている。このテーブルは,周期的(例えば,1秒毎)に更新され,制御部はこのテーブルを監視し,上記の発着信数の上記した低下率で低下するという条件が発生したことを検出すると障害と判定する。
【0038】
次に無線基地局装置におけるBBPカードの障害発生時の救済先BBPカードの選択方法を説明する。制御部3は上記図6に示すようなBBPカード管理テーブルから,各BBPカードの状態を監視し,障害となったBBPカードに収容されている共有無線チャネル情報,帯域情報,収容ユーザ情報,エリア情報を制御部3で認識し,そこに収容されていた各共有無線チャネル,エリア情報等を別の正常に稼働しているBBPカードに移設する指示を行う。
【0039】
図7は制御部による救済先BBPカード検出の具体例である。図7のA.〜D.において1,2−1〜2−3,3の各符号上記図4,図5と同じものを表し説明を省略する。この例でも無線基地局装置に実装されるBBPカードは3枚である。
【0040】
図7のA.に示すように制御部3でBBPカード1の障害を検出すると,B.に示すように制御部3は正常動作しているBBPカード2,BBPカード3の状態を確認する。この場合も,制御部3は上記図6に示すようなBBPカード管理テーブルを管理し,このテーブルから正常稼働しているBBPカードの状態を確認し,障害となったBBPカード1で収容している共有無線チャネルを移設できるか判断する。BBPカード2とBBPカード3に,BBPカード1で収容していた共有無線チャネルを収容可能であれば,分散して移設し,BBPカード1のエリアを救済する。この時,BBPカード2とBBPカード3の縮退は行わない(縮退することなく移設可能な時)。図7のC.のようにBBPカード2とBBPカード3において縮退しなければ共有無線チャネルを移設できない場合は,図6のBBPカード管理テーブルから収容ユーザ数の最も少ないBBPカードを選択し,そのBBPカードに対して共有無線チャネル帯域幅等の縮退指示を出す。図7のC.の例では,BBPカード2が救済先として選択された場合であり,縮退指示がBBPカード2に出され,D.に示すように縮退が完了するとBBPカード1で収容していた共有無線チャネルをBBPカード2に移設して,BBPカード2とBBPカード3で全エリアが網羅される。
【0041】
BBPカードによる共有無線チャネルの縮退と共有無線チャネルの移設の具体例
BBPカード1〜BBPカード3が実装されている無線基地局装置において,BBPカードで障害が発生した時,救済先として選択されたBBPカード2において,BBPカード1で収容していた共有無線チャネルを収容するためにBBPカード2において縮退を行う必要があるかの判断が行われる。
【0042】
その判断は,障害発生時に残りのBBPカードで障害が発生しているBBPカードに収容されている共有無線チャネルが縮退なしに収容可能でないという条件を満たしているかを判別する。この条件を満たしていると,正常稼働している各BBPカードのリソースは100%使用しているため,障害BBPカードがカバーするエリアを救済するために正常稼働しているBBPカードに対して縮退指示を制御部から通知する。
【0043】
上記条件を満たさない場合,正常稼働しているBBPカードを全て,または複数枚使用することで,障害となったBBPカードに収容されていた共有無線チャネルを縮退無しに救済できる場合,BBPカードにおける縮退は実施しない。
【0044】
図8は縮退を実施しないで1つのBBPカードで救済する例を示す。この例でも無線基地局装置にBBPカードが3枚設けられ,A.に示すようにBBPカード1が無線チャネル(CH)♯1,♯2,BBPカード2が無線チャネル♯3,♯4,BBPカード3が無線チャネル♯5,♯6を収容して動作している時,BBPカード1に障害が発生したものとする。この時,BBPカード2とBBPカード3の共有無線チャネルの帯域に余裕があり,BBPカード1の無線チャネル♯1,♯2を両BBPカード2,3の何れにも縮退なしで収容可能である。図8のB.の場合,BBPカード2にBBPカード1の無線チャネル♯1,♯2を移設している。
【0045】
図9は縮退を実施しないで,複数のBBPカードで救済する例を示す。この例でも無線基地局装置にBBPカードが3枚設けられ,A.に示す状態では各BBPカード1〜3には,それぞれ共有無線チャネルが2チャネル分収容され,各BBPカードには各無線チャネルが持つ帯域の1チャネル分を収容できる余裕があるものとする。この状態でBBPカード1に障害が発生した場合,B.に示すようにBBPカード1の無線チャネル♯1,♯2を2つに分けて,BBPカード2に共有無線チャネル♯1を移設し,BBPカード3に共有無線チャネル♯2を移設するだけでBBPカード2,3での縮退を実施することなく救済を行う。
【0046】
図10は障害BBPカードに収容されたエリア救済のフローチャートであり,無線基地局装置の制御部(CPU及びメモリを含む処理装置により構成)において実行される。
【0047】
BBPカードで障害が発生すると(図10のS1),BBPカードの障害を制御部(CONT部で表示)で検出し(同S2),制御部において救済先BBPカードを選択し(同S3),救済先BBPカードに収容されているユーザ(UEで表示)に対して物理チャネル再構成(Physical Channel Reconfiguration) を実施する(同S4)。次に救済先BBPカードの共有無線チャネル状態確認と帯域幅の状態確認を行い(図10のS5),縮退無しでBBPカードに移設可能か判別する(同S6)。この場合,障害を発生したBBPカードに収容されている共有無線チャネルの帯域の合計が,救済先のBBPカードにそのまま移設できるかを判定し,救済先のBBPカードにそのまま移設できない時は,縮退の必要があると判定する。但し,上記ステップS3において救済先として1枚のBBPカードが選択されたものとする。
【0048】
ステップS6で縮退無しでBBPカードに移設することができないと判別されると,救済先のBBPカードの共有無線チャネル,帯域幅の縮退を開始し(同S7),縮退完了かの判定をし(同S8),完了すると共有無線チャネル(障害BBPカードの)を救済先のBBPカードへ移設を開始する(同S9)。ステップS6で縮退無しで救済先のBBPカードに移設可能な場合,上記ステップS9に移行する。ステップS10で移設完了と判断されると,縮退/移設した共有無線チャネル配下のユーザ装置に対してページングチャネルによる報知情報(共有無線チャネルのBCH,BCCH Modyfy 情報) が変化したことを通知し(図10のS11),エリア救済を完了する。
【0049】
図11は占有帯域を含む縮退と移設の具体例である。図11のA.〜E.は3枚のBBPカードを使用する例であり,初期の状態はA.に示され,BBPカード1は共有無線チャネルとしてチャネル1(CH1)とチャネル2(CH2)が収容され,それぞれ20MHzの占有帯域を備え,BBPカード2は共有無線チャネルとしてチャネル3(CH3)とチャネル4(CH4)が収容され,それぞれ20MHzの占有帯域を備えており,BBPカード3は共有無線チャネルとしてチャネル5(CH5)とチャネル6(CH6)が収容され,それぞれ20MHzの占有帯域を備えている。また,11a〜11eはそれぞれA.〜E.の状態における共有無線チャネルがカバーするエリア(セクタ)で使用する無線チャネルの状態を表す。
【0050】
A.に示す初期状態においてBBPカード1に障害が発生すると図11のB.のようにBBPカード1が使用不可となり,その時のエリア(セクタ)の状態は11bに示すように無線チャネル1(CH1)と無線チャネル2(CH2)が使用不可となる。この場合,救済BBPカードとしてBBPカード2が選択されたものとすると,図11のC.に示すように救済BBPカードとしてBBPカード2が選択されると,その中で使用しているチャネル4(CH4)の占有帯域幅20MHzを縮退して5MHzにし,BBPカード1のチャネル1(CH1)とチャネル2(CH2)をそれぞれ20MHzから5MHzに縮退して,BBPカード2に移設することで,BBPカード2では無線チャネル3はそのままで,無線チャネル4は縮退して5MHzとすることで縮退が完了すると,無線チャネル1,2も縮退してそれぞれ5MHzとしてBBPカード2に移設される。
【0051】
この図11のC.の状態において,BBPカード3に障害が発生すると,D.に示す状態になる。この場合,E.に示すようにBBPカード2の無線チャネル3を縮退して帯域に余裕を設け,BBPカード3に収容されていた無線チャネル5,6を縮退して,BBPカード2に移設する。これにより,各セクタでの共有無線チャネルの帯域は狭くなるが図11のE.に示すように全エリアでの通信が可能となる。
【0052】
上記図11のE.の状態においてBBPカード3の障害が復旧(カードの交換等)した場合,D.のようにBBPカード2の無線チャネル3の帯域幅を元の20MHzに拡張し,BBPカード3に無線チャネル5,6を移設(復旧)してB.の状態になり,更に,その後BBPカード1が復旧した場合は,図11のB.からA.へ状態が変化する。
【0053】
図12は縮退・移設した無線チャネル配下のユーザに対する呼接続のシーケンスを示す。図中,1は無線基地局(BBPカード,制御部等を含む),4は移動機,5はコアネットワーク(CNで表示)である。
【0054】
最初にBBPカードの障害が発生すると(図12のa),救済先BBPカードの選択と救済先BBPカードにおいて縮退させる無線チャネル(CH)の選択をする(同b)。このように,障害が発生したBBPカードがカバーするエリアの移動機4を宛先とするコアネットワーク5からパケットデータ♯1(Packet Data ♯1)が無線基地局装置1に送信され(図12のc),ここから更に移動機4へ送信されることになっているが(同c’),移動機4との通信を処理するBBPカードに障害が発生したため,そのパケットデータ♯1は破棄される(同d)。この後,救済先のBBPカードでの縮退や,移設の処理を行う期間にパケットデータ♯2が送られてくると,そのデータは蓄積手段(図示省略)に蓄積される。
【0055】
この後,選択された救済先のBBPカードにおいて,縮退を行う。縮退を実施する場合,救済先のBBPカードの配下の移動機4に対し「物理チャネル再構成」のメッセージ(そのメッセージ中に,「ノード障害」や「エリア/リソース不足」等の要因を含む)が送信され(図12のf),移動機4からの「物理チャネル再構成完了」の応答が返ってくる(同g)。この「物理チャネル再構成指示」の受信と「物理チャネル再構成完了」の応答の処理期間は図12に示すように移動機4の駆動時間(Activation Time)と呼ばれる。
【0056】
その移動機4(救済先のエリア内)では無線パラメータ変更(占有帯域幅等)を実行し(図12のh),無線基地局装置では救済先BBPカードの無線チャネルの縮退を行い(同i),救済先カードに無線チャネルを移設する(同j)。これによりデータ送信が再開され(図12のk),障害になったBBPカードの配下の移動機を宛先とする蓄積されていたパケットデータ♯2を送信し(同l),続いてコアネットワーク5から送信されてきたパケットデータ♯3は移動機に対して送信される(同m,m’)。続いて,縮退/移設された無線チャネルのエリアに対する報知情報を変更すると(同n),共有無線チャネルが移設された移動機(障害BBPカードがカバーしたいたエリアの移動機)に対して報知情報(ページング/BCH,BCCH等)の通知を行い(同o),エリア救済を完了する。
【0057】
図12の動作シーケンスにより,エリア救済と一度通信が切れた移動機との呼接続を再開することができる。
【0058】
(付記1) 移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置において,前記ベースバンド処理カードの障害を検出する手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーするベースバンド処理カードを選択する救済先カード選択手段と,前記選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示する手段と,前記救済先カードに対し縮退・移設を指示する手段とを備えた制御部と,前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行する縮退手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設する移設手段とを備えた救済先カードとを有し,障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置。
【0059】
(付記2) 付記1において,前記ベースバンド処理カードの障害検出手段は,各ベースバンド処理カードに対して順次周期的なヘルスチェックを実行して,ヘルスチェックが検出できないベースバンド処理カードを障害として検出する,あるいは前記複数の各ベースバンド処理カードにおけるセクタ別の総発着信数を監視し,発着信数が著しく低下したセクタのベースバンド処理カードを障害として検出することを特徴とする基地局装置。
【0060】
(付記3) 移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置障害時のエリア救済方法において,前記基地局装置の制御部は,ベースバンド処理カードの障害を検出し,障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーする救済先ベースバンド処理カードを選択し,選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示し,救済先カードに対し縮退・移設を指示し,前記救済先カードは,前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行し,障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設することにより,障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置障害時のエリア救済方法。
【0061】
(付記4) 付記1において,前記制御部は,各ベースバンド処理カードが収容するエリア,使用する共有無線チャネル数及び帯域幅,収容ユーザ数や発着信数等の情報を格納したカード管理テーブルを備え,前記救済先カード選択手段は,前記カード管理テーブルを参照して救済先カードを選択することを特徴とする基地局装置。
【0062】
(付記5) 付記4において,前記救済先カード選択手段は,障害となったベースバンド処理カードの共有無線チャネルの全てを他の1つのベースバンド処理カードに縮退することなく移設できるか,他の複数のベースバンド処理カードでそれぞれで縮退することなく分割して移設できるかを判別し,救済先カードとして1または複数を選択することを特徴とする基地局装置。
【0063】
(付記6) 付記4において,前記救済先カード選択手段は,障害となったベースバンド処理カードの共有無線チャネルを他のベースバンド処理カードで使用する共有無線チャネルを縮退しても,障害となったカードの共有無線チャネルをそのまま移設するための帯域幅が不足する場合,障害となったカードの共有無線チャネルを縮退して前記救済先カードに移設することを特徴とする基地局装置。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】実施例の無線基地局装置内の各部の間及び移動機との相互の動作シーケンスを示す図である。
【図3】ベースバンド処理カードの構成例を示す図である。
【図4】BBPカード障害の検出方法1の説明図である。
【図5】BBPカード障害検出方法2の説明図である。
【図6】BBPカード管理テーブルの構成を示す図である。
【図7】制御部による救済先BBPカード検出の具体例を示す図である。
【図8】縮退を実施しないで1つのBBPカードで救済する例を示す図である。
【図9】縮退を実施しないで複数のBBPカードで救済する例を示す図である。
【図10】障害BBPカードに収容されたエリア救済のフローチャートを示す図である。
【図11】占有帯域を含む縮退と移設の具体例を示す図である。
【図12】縮退・移設した無線チャネル配下のユーザに対する呼接続のシーケンスを示す図である。
【図13】移動通信のネットワーク構成の概要を示す図である。
【図14】無線基地局装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 無線基地局装置
2 ベースバンド処理カード(BBPカード)
2−1〜2−n BBPカード1〜BBPカードn
2a 共有無線チャネル・ユーザ状態確認手段
2b 共有無線チャネル縮退手段
2c 共有無線チャネル移設手段
3 制御部
3a 障害カード検出手段
3b 救済先カード選択手段
3c 再構成指示手段
3d 縮退・移設指示手段
3e ベースバンド処理カード管理テーブル
10 伝送路終端部
4 移動機
4−1 セクタ1の移動機
4−2 セクタ2の移動機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置において,
前記ベースバンド処理カードの障害を検出する手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーするベースバンド処理カードを選択する救済先カード選択手段と,前記選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示する手段と,前記救済先カードに対し縮退・移設を指示する手段とを備えた制御部と,
前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行する縮退手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設する移設手段とを備えた救済先カードとを有し,
障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
請求項1において,
前記ベースバンド処理カードの障害検出手段は,
各ベースバンド処理カードに対して順次周期的なヘルスチェックを実行して,ヘルスチェックが検出できないベースバンド処理カードを障害として検出する,
あるいは前記複数の各ベースバンド処理カードにおけるセクタ別の総発着信数を監視し,発着信数が著しく低下したセクタのベースバンド処理カードを障害として検出することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置障害時のエリア救済方法において,
前記基地局装置の制御部は,ベースバンド処理カードの障害を検出し,
障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーする救済先ベースバンド処理カードを選択し,
選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示し,
救済先カードに対し縮退・移設を指示し,
前記救済先カードは,前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行し,障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設することにより,
障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置障害時のエリア救済方法。
【請求項1】
移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置において,
前記ベースバンド処理カードの障害を検出する手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーするベースバンド処理カードを選択する救済先カード選択手段と,前記選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示する手段と,前記救済先カードに対し縮退・移設を指示する手段とを備えた制御部と,
前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行する縮退手段と,前記障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設する移設手段とを備えた救済先カードとを有し,
障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
請求項1において,
前記ベースバンド処理カードの障害検出手段は,
各ベースバンド処理カードに対して順次周期的なヘルスチェックを実行して,ヘルスチェックが検出できないベースバンド処理カードを障害として検出する,
あるいは前記複数の各ベースバンド処理カードにおけるセクタ別の総発着信数を監視し,発着信数が著しく低下したセクタのベースバンド処理カードを障害として検出することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
移動機に対する無線信号の変復調とコアネットワークに対する信号の処理を行うベースバンド処理カードを各エリア対応に複数枚備えた基地局装置障害時のエリア救済方法において,
前記基地局装置の制御部は,ベースバンド処理カードの障害を検出し,
障害が検出されたカードの共有無線チャネルがカバーするエリアを救済するための他のエリアをカバーする救済先ベースバンド処理カードを選択し,
選択された救済先カードの配下の移動機に対する共有無線チャネルの再構成を指示し,
救済先カードに対し縮退・移設を指示し,
前記救済先カードは,前記制御部から指示された前記共有無線チャネルと前記ユーザ状態に応じて自共有無線チャネルの縮退を実行し,障害が検出されたカードの共有無線チャネルを自カードに移設することにより,
障害となったベースバンド処理カードのエリアの共有無線チャネルによる信号処理を他のエリアのために設けたベースバンド処理カードにより救済することを特徴とする基地局装置障害時のエリア救済方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−38692(P2009−38692A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202528(P2007−202528)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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