説明

基地局間協調通信システム

【課題】周波数利用効率を向上させて、増大するユーザトラヒックを高効率に収容することにより、限られた無線帯域を有効利用可能な基地局間協調通信システムを得る。
【解決手段】マクロ基地局MBSによるマクロセル内、またはマクロセル内に配置されたフェムト基地局FBSによるフェムトセル内に位置する携帯端末との間で相互通信を行う通信システムにおいて、マクロ基地局MBSからの無線フレームの送信タイミングとフェムト基地局FBSからの無線フレームの送信タイミングとの間にオフセット期間τを設け、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSが同時に通信を行う第1期間と、フェムト基地局FBSのみが通信を行う第2期間とを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マクロ基地局およびフェムト基地局の各セル(カバーエリア)の相互間の干渉を回避可能に構成した基地局間協調通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、3GPP(3rd Generation Partnership Project)においては、第4世代無線通信システムの無線アクセスインタフェース仕様LTE−Advanced(Long Term Evolution−Advanced)の標準化が行われている。
【0003】
また、LTE−Advancedにおいては、増大するユーザトラヒックを高効率に収容するために、ピコセル(小型基地局)やフェムトセルなどの狭域のセルを既存の広域マクロセル(大出力基地局)と併存させ、広域セルでカバレッジを確保しつつ局所的に発生する高密度トラヒックを狭域セルで収容するヘテロジニアスネットワーク(Heterogeneous Network)が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記ヘテロジニアスネットワークにおいては、図7に示すように、マクロ基地局MBSの広域セル(1点鎖線参照)と、フェムト基地局FBSの狭域セル(2点鎖線参照)とが重なり、これらのセルが同一の周波数で運用されている場合には、広域セルからの干渉によって狭域セルのカバレッジが縮退し、狭域セル内に収容可能な携帯端末の台数が減少するうえ伝送容量が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、3GPPにおいて、LTE−AdvancedでAlmost Blank Subframe(ABS)と呼ばれる非通信無線フレームフォーマットを導入し、上記干渉関係にある広域セルと狭域セルとの間で無線通信タイミングを分離することにより、干渉を回避する技術が提案されている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0006】
また、干渉を回避するために、どのタイミングで広域セルと狭域セルが通信を行うかについては、当該セルを形成している基地局間でタイミングを通知するか、またはオペレーションセンターからの遠隔操作で通知するか、または基地局の装置パラメータとしてあらかじめ設定しておく、などの方法が考えられている(たとえば、非特許文献3参照)。
【0007】
ただし、限られた無線帯域を有効利用して、ユーザトラヒックを高効率に収容するためには、広域セルと狭域セルとで無線通信タイミングを分離する際に、より多くの携帯端末を収容しているセルにおいてより多くの通信を行えるように、無線通信タイミングを調整する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】丹野、森本、阿部、岸山、中山、「LTE−Advancedにおけるヘテロジニアスネットワーク」電子情報通信学会信学技法、RCS2009−317/MoMuC2009−90/SR2009−114/AN2009−83、2010年3月
【非特許文献2】3GPP TS 36.300「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E−UTRAN);Overall description;Stage 2(Release 10)」V10.2.0(2010−12)
【非特許文献3】3GPP「Draft Report of 3GPP TSG RAN meeting #50」Dec.,2010.http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/TSG_RAN/TSGR_50/Report/RP−11xxxx_Draft−report−RAN50_v200.zip
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の基地局間協調通信システムは、上記非特許文献1〜3に記載のように、何らかの基準に基づいて決定した無線通信タイミングの通知技術が開示されているのみであり、セル内に収容されている携帯端末の台数や要求される収容トラヒックに応じて、無線通信タイミングを如何に調整するか、または動的に変化し得る無線通信タイミングを如何に基地局間で共有するかの技術については何ら開示されていないので、限られた無線帯域を有効利用するために必要な上記要求に応えることができないという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ヘテロジニアスネットワークの干渉関係にあるセル間において、各セルで収容している携帯端末の台数や要求収容トラヒック量に応じて無線通信タイミングを動的に調整および共有し、干渉を回避することにより、周波数利用効率を向上させ、増大するユーザトラヒックを高効率に収容することのできる基地局間協調通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る基地局間協調通信システムは、マクロ基地局およびフェムト基地局を備え、マクロ基地局によるマクロセル内、またはマクロセル内に配置されたフェムト基地局によるフェムトセル内に位置する携帯端末との間で相互通信を行う基地局間協調通信システムにおいて、マクロ基地局からの無線フレームの送信タイミングとフェムト基地局からの無線フレームの送信タイミングとの間にオフセット期間を設け、マクロ基地局およびフェムト基地局が同時に通信を行う第1期間と、フェムト基地局のみが通信を行う第2期間とを設定し、第1期間では、フェムトセル内において、マクロセルからの受信レベルよりもフェムトセルからの受信レベルの方が高い位置に存在する携帯端末のみを通信させ、第2期間では、フェムトセル内において、マクロセルからの受信レベルよりもフェムトセルからの受信レベルの方が低い位置に存在する携帯端末、またはマクロセルからの受信レベルよりもフェムトセルからの受信レベルが高い位置に存在する携帯端末を通信させ、マクロセルとフェムトセルとの間の干渉を回避して、フェムト基地局の実質的な通信エリアを拡大させるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、周波数利用効率を向上させて、増大するユーザトラヒックを高効率に収容することにより、限られた無線帯域を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る基地局間協調通信システムを概略的に示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるマクロ基地局とフェムト基地局との間の連携送信動作を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2における携帯端末の各セル内での配置関係を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態3における携帯端末の各セル内での配置関係を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態4によるマクロ基地局とフェムト基地局との間の連携送信動作を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態5によるマクロ基地局とフェムト基地局との間の連携送信動作を示す説明図である。
【図7】従来の基地局間協調通信システムを概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
なお、以下の説明では、狭域セル(ピコセルやフェムトセルなど)を「フェムトセル」と総称し、広域セル(マクロセルなど)を「マクロセル」と総称し、フェムトセルを形成する無線基地局を「フェムト基地局」と称し、マクロセルを形成する無線基地局を「マクロ基地局」と称するものとする。
【0015】
図1はこの発明の実施の形態1に係る基地局間協調通信システムを概略的に示す構成図である。
図1においては、マクロ基地局MBSによるマクロセルと、フェムト基地局FBSによるフェムトセルとのカバレッジ状況を、各地点における各基地局MBS、FBSからの受信レベル(1点鎖線、2点鎖線参照)により表している。
【0016】
フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSからの送信信号が到達するマクロセル内に配置されている。
マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSの各セル内には、移動可能な任意台数の携帯端末UE、UE(A)、UE(B)が存在する。
【0017】
フェムト基地局FBSからの送信信号が到達するフェムトセルは、マクロセルとの干渉によって縮退した中心部領域からなるカバレッジAと、フェムト基地局FBSからの受信レベルがマクロ基地局MBSからの受信レベルよりも低い外周部領域からなるカバレッジBとに分けられる。
【0018】
通常、携帯端末は、受信レベルが高い方のセル内に在圏するので、カバレッジA(フェムトセル)の圏外およびカバレッジBに存在する携帯端末UE、UE(B)は、マクロセル内に在圏することになる。
一方、フェムト基地局FBSの近傍のカバレッジAにおいては、マクロ基地局MBSからの受信レベルよりもフェムト基地局FBSからの受信レベルの方が高いので、携帯端末UE(A)はフェムトセル内に在圏することになる。
この結果、従来システム(図7)においては、フェムト基地局FBSが提供する通信エリアは、カバレッジAのみとなる。
【0019】
これに対し、この発明の実施の形態1(図1)においては、カバレッジBに位置する携帯端末UE(B)を、フェムト基地局FBSと通信させることにより、フェムト基地局FBSが提供する通信エリアが、カバレッジAのみならずカバレッジBまで広げた基地局間協調通信システム(マクロ基地局−フェムト基地局間連携送信システム)を実現する。
【0020】
図2はこの発明の実施の形態1によるマクロ基地局MBSとフェムト基地局FBSとの間の連携送信動作を示す説明図である。
図2において、マクロ基地局MBSは、時間(横軸)経過とともに、無線信号からなるフレーム#a、フレーム#a+1、・・・を送信し、同様に、フェムト基地局FBSは、フレーム#b、フレーム#b+1、・・・を送信する。
【0021】
マクロ基地局MBSから送信されるフレーム#a、フレーム#a+1は、それぞれ先頭から順次に、シンボル数Pに相当する下り共通制御チャネル区間PDCCH(Physical Downlink Common Control Channel)と、マクロ基地局MBSからマクロセルに在圏している携帯端末UEへの無線リソース区間「MBS→UE」と、無線送信停止区間「No TX」とからなる。
【0022】
また、フェムト基地局FBSから送信されるフレーム#b、フレーム#b+1は、それぞれ先頭から順次に、下り共通制御チャネル区間PDCCHと、フェムト基地局FBSからカバレッジB内の携帯端末UE(B)への無線リソース区間「FBS→UE(B)」と、無線送信停止区間「No TX」とからなる。
マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSは、無線送信停止区間「No TX」で示される領域で無線信号の送信を停止する。
【0023】
フェムト基地局FBSの無線フレーム(フレーム#b)の送信タイミングは、マクロ基地局MBSの無線フレーム(フレーム#a)の送信タイミングよりも、オフセット期間τだけ遅延している。
オフセット期間τにより、フレーム#bの無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミングは、フレーム#aの無線送信停止区間「No TX」の終了タイミングと一致している。
【0024】
この結果、図2に示すように、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSの両方が同時に携帯端末との間で通信を行う期間(「MBS→UE」、「FBS→UE(A)」参照)と、フェムト基地局FBSのみが携帯端末との間で通信を行う期間(PDCCHおよび「FBS→UE(B)」参照)と、マクロ基地局MBSのみが制御情報を送信している期間(PDCCH参照)と、の3つの期間が繰り返し発生する。
【0025】
すなわち、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSが同時に通信を行う期間においては、マクロ基地局MBSは、無線リソース「MBS→UE」を用いて、自身のマクロセルに在圏している携帯端末UEと通信を行う。
【0026】
また、これと同時に、フェムト基地局FBSは、無線リソース「FBS→UE(A)」を用いて、自身のフェムトセルに在圏し且つカバレッジA(図1参照)に位置している携帯端末UE(A)との間で通信を行うように、携帯端末UE(A)に対する無線リソース割り当てを行う。
【0027】
続いて、フェムト基地局FBSのみが通信を行う期間においては、マクロ基地局MBSは、自身のマクロセルに在圏している携帯端末への無線リソース割り当てを行わない一方で、フェムト基地局FBSは、無線リソース「FBS→UE(B)」を用いて、自身のフェムトセルに在圏し且つカバレッジB(図1参照)に位置している携帯端末UE(B)との間で通信を行うように、携帯端末UE(B)に対する無線リソース割り当てを行う。
【0028】
最後に、マクロ基地局MBSのみが制御情報の送信を行う期間においては、マクロセルに在圏中の携帯端末UEが、自身宛のデータの有無や無線フレームにおけるデータの位置および通信パラメータを当該制御情報から読み取る。
【0029】
また、これと同時に、フェムト基地局FBSは、無線フレームのオフセット期間τを示すタイミング情報を当該制御情報から読み取る。
なお、フェムト基地局FBSがマクロ基地局MBSの当該制御情報を読み取っている間は、フェムト基地局FBSは無線送信を停止する。
【0030】
この結果、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSが同時に通信を行う期間において、マクロ基地局MBSとの間で通信中の携帯端末UEは、フェムトセルの圏外に位置しているので、フェムトセルからの干渉を受けることはない。
一方、フェムト基地局FBSとの間で通信中の携帯端末UE(A)は、干渉レベル(マクロセルからの受信レベル)よりもフェムトセルからの受信レベルが高いので、マクロセルからの干渉を受けつつも通信可能である。
【0031】
続いて、フェムト基地局FBSのみが通信を行う期間において、カバレッジB内に位置する携帯端末UE(B)は、干渉レベル(フェムトセル内でのマクロセルからの受信レベル)よりもフェムトセルからの受信レベルが低い領域内でフェムト基地局FBSとの間で通信を行うが、この期間中、マクロ基地局MBSは、無線信号の送信を停止しているので、マクロセルからの干渉を受けることなく通信が可能となる。
【0032】
なお、ここでは、フェムト基地局FBSのみが通信を行う期間において、フェムト基地局FBSとの間で通信可能な携帯端末が、図1内のカバレッジBに位置する携帯端末UE(B)である場合を例にとって説明したが、これに限定されることはない。
たとえば、カバレッジAに位置する携帯端末UE(A)とフェムト基地局FBSとの間で通信したとしても、他のセルに干渉を与えることはないので、カバレッジBに位置している携帯端末UE(B)が通信していない場合には、カバレッジAに位置している携帯端末UE(A)とフェムト基地局FBSとが通信を行うようにしてもよい。
【0033】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1、図2)に係る基地局間協調通信システムは、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSを備え、マクロ基地局MBSによるマクロセル内、またはマクロセル内に配置されたフェムト基地局FBSによるフェムトセル内に位置する携帯端末UE、UE(A)、UE(B)との間で相互通信を行う基地局間協調通信システムにおいて、マクロ基地局MBSからの無線フレーム(#a)の送信タイミングとフェムト基地局FBSからの無線フレーム(#b)の送信タイミングとの間にオフセット期間τを設け、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSが同時に通信を行う第1期間と、フェムト基地局FBSのみが通信を行う第2期間とを設定する。
【0034】
第1期間では、フェムトセル内において、マクロセルからの受信レベルよりもフェムトセルからの受信レベルの方が高い位置に存在する携帯端末UE(A)のみを通信させる。
第2期間では、フェムトセル内において、マクロセルからの受信レベルよりもフェムトセルからの受信レベルの方が低い位置に存在する携帯端末UE(B)、またはマクロセルからの受信レベルよりもフェムトセルからの受信レベルが高い位置に存在する携帯端末UE(A)を通信させる。
【0035】
マクロ基地局MBSは、オフセット期間τを制御情報として無線送信し、フェムト基地局FBSは、オフセット期間τを無線受信して読み取る。
また、フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSの制御チャネルを読み取る際に、フェムト基地局FBSからの無線送信を停止する。
【0036】
これにより、マクロセルとフェムトセルとの間の干渉を回避して、フェムト基地局FBSの実質的な通信エリアを拡大させることが可能となるので、周波数利用効率を向上させて、増大するユーザトラヒックを高効率に収容し、限られた無線帯域を有効利用することができる。
【0037】
すなわち、マクロ基地局MBSにおける無線送信停止区間「No TX」を最小限とし、且つフェムト基地局FBSが提供する通信エリアを、カバレッジAのみならずカバレッジBまで拡大することができる。
【0038】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1、図2)では、特に言及しなかったが、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSからの各無線フレームの送信タイミングを、各セルに在圏する携帯端末が通信に必要とする無線リソース量に応じて決定してもよい。
以下、各携帯端末の要求無線リソースの量に応じて送信タイミングを決定するように構成したこの発明の実施の形態2について説明する。
【0039】
図3はこの発明の実施の形態2における携帯端末UE#1〜UE#5の各セル内での配置関係を示す説明図である。
図3において、マクロ基地局MBSによるマクロセルC内には、2個のフェムト基地局FBS#1、FBS#2によるフェムトセルc#1、c#2が形成されている。
【0040】
5個の携帯端末UE#1〜UE#5のうち、携帯端末UE#1〜UE#3は、マクロセルC内に在圏し、携帯端末UE#4は、フェムトセルc#1のカバレッジB(図1参照)に在圏し、携帯端末UE#5は、フェムトセルc#2のカバレッジA(図1参照)に在圏しているものとする。
【0041】
各携帯端末UE#1〜UE#5が測定する周辺基地局レベルは、携帯端末UE#1〜UE#3については、マクロセルCのみの受信レベルとなる。
また、携帯端末UE#4については、マクロセルCおよびフェムトセルc#1の受信レベル(ただし、「マクロセルCの受信レベル>フェムトセルc#1の受信レベル」)となり、携帯端末UE#5については、マクロセルCおよびフェムトセルc#2の受信レベル(ただし、「マクロセルCの受信レベル<フェムトセルc#2の受信レベル」)となる。
【0042】
マクロ基地局MBSは、各携帯端末UE#1〜UE#5からの周辺基地局レベル測定の報告結果(以下、「周辺レベル測定報告」という)と、各携帯端末UE#1〜UE#5の要求無線リソースとに基づき、マクロ基地局MBSの無線送信停止区間「No TX」(図2参照)の先頭タイミング(オフセット期間τ)を決定する。
【0043】
決定したオフセット期間τは、マクロ基地局MBSから送信される下り共通制御チャネル区間PDCCHにより通知される。
無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミング(オフセット期間τ)は、1つの無線フレームのシンボル数Nsと、DPCCHシンボル数Pと、マクロセルC内に配置されたフェムトセルc(c#1、c#2)に関するパラメータFc、Acとを用いて、以下の式(1)で表される。
【0044】
【数1】

【0045】
ただし、式(1)において、Fcは、「周辺レベル測定報告内にフェムトセルc(c#1、c#2)の受信レベルを含んでいる携帯端末UE#4、UE#5」の要求無線リソースの総和である。
また、Mは、「周辺レベル測定報告内にマクロセルCの受信レベルのみを含んでいる携帯端末UE#1〜UE#3」の要求無線リソースの総和である。
【0046】
さらに、式(1)において、Acは、「周辺レベル測定報告内にフェムトセルc(c#2)の受信レベルを含み、且つ当該受信レベルがマクロセルCの受信レベルよりも大きい携帯端末UE#5(図1内のUE(A)に相当)」の要求無線リソースの総和である。
【0047】
ここで、たとえば、1フレームのシンボル数Ns=7、DPCCHシンボル数P=2、各携帯端末UE#1〜UE#5の要求無線リソース比(UE#1:UE#2:UE#3:UE#4:UE#5)=1:1:1:2:3、である場合を仮定すると、式(1)から、無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミング(オフセット期間τ)は約「4」(シンボル)となる。
【0048】
したがって、図2内の無線リソース「MBS→UE」、「FBS→UE(A)」、「FBS→UE(B)」に対応付けると、図3内のマクロセルCにおいて、携帯端末UE#1〜UE#3(図3)が使用する無線リソース「MBS→UE」(τ−P)は、「2シンボル分」となる。
【0049】
また、このとき、フェムトセルc#1において携帯端末UE#4が使用する無線リソース「FBS→UE(B)」は、「1シンボル分」となり、フェムトセルc#2において携帯端末UE#5が使用する無線リソース「FBS→UE(A)」は、「2シンボル分」となる。
【0050】
なお、図3においては、携帯端末UE#4以外の端末がフェムトセルc#1内に在圏していないことから、空いている無線リソース「FBS→UE(B)」を携帯端末UE#4が用いても、他セルに対して干渉を与えることはないので、携帯端末UE#4は、無線リソース「FBS→UE(B)」の「2シンボル分」の無線リソースを使用することができる。
【0051】
一方、フェムトセルc#2においては、フェムトセルc#1内の携帯端末UE#4の場合と同様に、携帯端末UE#5以外の端末がフェムトセルc#2内に在圏していないが、携帯端末UE#5が無線リソース「FBS→UE(A)」を使用すると、マクロセルCと干渉を引き起こす可能性がある。したがって、図3内の携帯端末UE#5に対しては、無線リソース「FBS→UE(B)」以外を割り当ててはならない。
【0052】
また、携帯端末UE#1〜UE#3の要求無線リソースの総和MおよびDPCCHシンボル数Pは、マクロ基地局MBSにおける無線パラメータと、マクロセルCに在圏中の携帯端末からの周辺レベル測定報告とを用いて、マクロ基地局MBSにおいて取得可能である。
【0053】
また、フェムトセルc(c#1、c#2)ごとの要求無線リソースの総和Fc、Acについては、各フェムト基地局FBS#1、FBS#2が自セルに在圏中の携帯端末UE#4、UE#5からの周辺レベル測定報告に基づき取得可能である。
マクロ基地局MBSは、上記情報(Fc、Ac)を、基地局間インタフェース(たとえば、LTEで規定されているX2インタフェース)を介して、フェムト基地局FBS#1、FBS#2から取得する。
【0054】
以上のように、この発明の実施の形態2(図3)によれば、オフセット期間τは、マクロセルC内に在圏中の携帯端末が使用する第1の無線リソースと、フェムトセルcに在圏し、且つマクロセルCからの受信レベルが在圏中のフェムトセルcからの受信レベルよりも高い位置に存在する携帯端末が使用する第2の無線リソースと、フェムトセルcに在圏し、且つマクロセルCからの受信レベルが在圏中のフェムトセルcからの受信レベルよりも低い位置に存在する携帯端末が使用する第3の無線リソースと、の比率に応じて決定される。
【0055】
このように、マクロ基地局MBSとフェムト基地局FBSの無線フレームの送信タイミングを、同時に通信可能なマクロセルCおよびフェムトセルcの携帯端末が使用する無線リソース、およびフェムト基地局FBSのみ通信時に通信可能なフェムトセルcの携帯端末が使用する無線リソースとの割合に応じて決定することにより、マクロ基地局MBSにおける無線送信停止区間「No TX」を必要最小限とすることができる。
【0056】
すなわち、ヘテロジニアスネットワークの干渉関係にあるセル間において、各セルC、cで収容している携帯端末の要求収容トラヒック量に応じて無線通信タイミングを動的に調整および共有し、干渉を回避することにより、周波数利用効率を向上させ、増大するユーザトラヒックを高効率に収容することができる。
【0057】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図3)では、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBS#1、FBS#2の各無線フレームの送信タイミングを、各セルC、c内に在圏する携帯端末UE#1〜UE#5が通信に必要とする要求無線リソースの量に応じて決定したが、図4に示すように、各セルC、c内に在圏する携帯端末UE#1〜UE#8の台数に応じて決定してもよい。
【0058】
図4はこの発明の実施の形態3における携帯端末UE#1〜UE#8の各セル内での配置関係を示す説明図であり、前述(図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0059】
図4において、マクロ基地局MBSのマクロセルC内には、8個の携帯端末UE#1〜UE#8が存在し、このうち、フェムト基地局FBS#1のフェムトセルc#1内には、2個の携帯端末UE#4、UE#5が存在し、フェムト基地局FBS#2のフェムトセルc#2内には、3個の携帯端末UE#6〜UE#8が存在する。
【0060】
すなわち、携帯端末UE#1〜UE#3は、マクロセルCに在圏し、携帯端末UE#4、UE#5は、フェムトセルc#1のカバレッジB(図1参照)に在圏する。
また、携帯端末UE#6、UE#7は、フェムトセルc#2のカバレッジBに在圏し、携帯端末UE#8は、フェムトセルc#2のカバレッジAに在圏する。
【0061】
この場合、各携帯端末UE#1〜UE#8が測定する周辺基地局レベル(周辺レベル測定報告)に関しては、以下の通りである。
すなわち、携帯端末UE#1〜UE#3については、マクロセルCのみの受信レベルとなる。また、携帯端末UE#4、UE#5については、マクロセルCおよびフェムトセルc#1の受信レベル(ただし、「マクロセルCの受信レベル>フェムトセルc#1の受信レベル」)となる。
【0062】
また、携帯端末UE#6〜UE#8については、マクロセルCおよびフェムトセルc#2の受信レベルとなる。
ただし、この場合、携帯端末UE#6、UE#7については、「マクロセルCの受信レベル>フェムトセルcの受信レベル」の関係にあり、携帯端末UE#8については、「マクロセルCの受信レベル<フェムトセルcの受信レベル」の関係にある。
【0063】
マクロ基地局MBSにおいては、各携帯端末UE#1〜UE#8からの周辺レベル測定報告と、各携帯端末UE#1〜UE#8の台数とに基づき、マクロ基地局MBSの無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミング(オフセット期間τ)を決定する。
オフセット期間τは、前述の式(1)により算出され、マクロ基地局MBSから送信される下り共通制御チャネル区間PDCCH(図2参照)により通知される。
【0064】
ただし、この場合、式(1)内のパラメータFc、M、Acが、前述の「要求無線リソースの総和」ではなく、Fcは「周辺レベル測定報告内にフェムトセルcの受信レベルを含んでいる携帯端末UE#4〜UE#8」の台数「5」であり、Mは「周辺レベル測定報告内にマクロセルCの受信レベルのみを含んでいる携帯端末UE#1〜UE#3」の台数「3」である。
【0065】
また、Acは「周辺レベル測定報告内にフェムトセルcの受信レベルを含み、且つ当該受信レベルがマクロセルCの受信レベルよりも大きい携帯端末UE#6、UE#7(図1内のUE(A)に相当)」の台数「2」である。
【0066】
ここで、たとえば、1フレームのシンボル数Ns=7、DPCCHシンボル数P=2、である場合を仮定すると、式(1)から、無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミング(オフセット期間τ)は、約「4」(シンボル)となる。
【0067】
したがって、図2内の無線リソース「MBS→UE」、「FBS→UE(A)」、「FBS→UE(B)」に対応付けると、図4内のマクロセルCにおいて携帯端末UE#1〜UE#3が使用する無線リソース「MBS→UE」は、「2シンボル分」となる。
また、フェムトセルc#1において携帯端末UE#4、UE#5が使用する無線リソース「FBS→UE(B)」は、「1シンボル分」となる。
【0068】
さらに、このとき、フェムトセルc#2において携帯端末UE#6、UE#7が使用する無線リソース「FBS→UE(B)」は、「1シンボル分」となり、フェムトセルc#2において携帯端末UE#8が使用する無線リソース「FBS→UE(A)」は、「2シンボル分」となる。
【0069】
なお、図4では、フェムトセルc#2において、携帯端末UE#8が無線リソース「FBS→UE(B)」を使用しても他セルに対して干渉を与えることはないので、携帯端末UE#8に対して無線リソース「FBS→UE(B)」を割り当てることができる。
ただし、携帯端末UE#4〜UE#7が使用していない無線リソース「FBS→UE(A)」は、マクロセルCにおいて携帯端末UE#1〜UE#3に割り当てて同一タイミングで使用されることから、干渉を引き起こす可能性があるので、携帯端末UE#4〜UE#7に対しては割り当ててはならない。
【0070】
以上のように、この発明の実施の形態3(図4)によれば、オフセット期間τは、マクロセルCに在圏中の携帯端末の第1の台数と、フェムトセルcに在圏し、且つマクロセルCからの受信レベルが在圏中のフェムトセルcからの受信レベルよりも高い位置に存在する携帯端末の第2の台数と、フェムトセルcに在圏し、且つマクロセルCからの受信レベルが在圏中のフェムトセルcからの受信レベルよりも低い位置に存在する携帯端末の第3の台数と、の比率に応じて決定される。
【0071】
このように、マクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSの無線フレームの送信タイミングを、同時に通信可能なマクロセルCおよびフェムトセルc内の携帯端末の台数と、フェムト基地局FBSのみへの通信時に通信可能なフェムトセルcの携帯端末の台数との割合に応じて決定することにより、マクロ基地局MBSにおける無線送信停止区間「No TX」(図2参照)を必要最小限とすることができる。
【0072】
すなわち、ヘテロジニアスネットワークの干渉関係にあるセル間において、各セルC、cで収容している携帯端末の台数に応じて無線通信タイミングを動的に調整および共有し、干渉を回避することにより、周波数利用効率を向上させ、増大するユーザトラヒックを高効率に収容することができる。
【0073】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態2、3(図3、図4)では、具体的に言及しなかったが、マクロ基地局MBSにおいて、前述の式(1)により決定したマクロ基地局MBSおよびフェムト基地局FBSの無線フレームの送信タイミング(オフセット期間τ)を、図5に示すように、下り共通制御チャネル区間PDCCH(無線通信)を用いて、マクロ基地局MBSからフェムト基地局FBSに通知してもよい。
【0074】
図5はこの発明の実施の形態4によるマクロ基地局MBSとフェムト基地局FBSとの間の連携送信動作を示す説明図である。
なお、図5においては、複数のフェムト基地局FBSのうちの1つ(後述する無線網臨時識別RNTI=z)のフェムト基地局に注目した場合の、マクロ基地局MBSとの間の通信例を示している。
【0075】
前述の図2において、下り共通制御チャネル区間PDCCHは、各基地局が携帯端末に対して、データの無線フレームにおける格納位置や無線送信システムなどを通知するのに用いられる。
【0076】
すなわち、各携帯端末への通知情報は、携帯端末ごとに割り当てられる無線網臨時識別子RNTI(Radio Network Temporary Identity)に基づくスクランブル処理を行うことによって無線フレームに設定されている。
また、各携帯端末は、自身の無線網臨時識別子RNTIを用いて、下り共通制御チャネル区間PDCCHのデスクランブル処理を行い、正しく復元された通知情報を自身宛の情報と認識して取得する構成となっている。
【0077】
マクロ基地局MBSは、無線フレームの送信タイミング(オフセット期間τ)を通知するフェムト基地局FBSに対して、携帯端末と同様に、無線網臨時識別子RNTIを割り当て、下り共通制御チャネル区間PDCCH内のオフセット期間τを格納する領域に対し、当該フェムト基地局FBSに向けた無線網臨時識別子RNTIに基づくスクランブル処理を行い無線フレームに設定する。
【0078】
図5において、まず、起動されたフェムト基地局FBSは、周辺無線基地局の報知システム情報を受信し、無線基地局種別情報が他のフェムト基地局からの情報(基地局種別=フェムト基地局:最上段の2点鎖線矢印参照)を示す場合には、受信した報知システム情報を無視する。
【0079】
一方、無線基地局種別情報がマクロ基地局MBSからの情報(基地局種別=マクロ基地局:最上段の実線矢印参照)であった場合には、フェムト基地局FBSは、無線基地局種別情報とともに受信した報知システム情報を取り込む。
【0080】
続いて、フェムト基地局FBSは、基地局間インタフェース(たとえば、LTEで規定されているX2インタフェース)を介して、無線網臨時識別子RNTIの取得要求メッセージ(2段目の2点鎖線矢印参照)をマクロ基地局MBSに送信する。
【0081】
次に、マクロ基地局MBSは、フェムト基地局FBSからの無線網臨時識別子RNTIの取得要求に応答し、フェムト基地局通知用の無線網臨時識別子RNTIが未割り当であれば、フェムト基地局FBSの無線網臨時識別子RNTIを取得して新規割り当を行い、基地局間インタフェース(X2)を介したRNTI通知メッセージ(2段目の実線矢印参照)により、フェムト基地局FBSに無線網臨時識別子RNTI(たとえば、RNTI=z)を通知する。
【0082】
最後に、マクロ基地局MBSは、先立って通知した無線網臨時識別子RNTI(=z)の情報領域に、無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミングの情報(オフセット期間τ=a)を設定した下り共通制御チャネル区間PDCCHの送信動作(最下段の実線矢印参照)を開始する。
このとき、マクロ基地局MBSからは、複数のフェムト基地局(RNTI)に対応したオフセット期間τの情報が同時に送信されるが、各フェムト基地局FBSは、自身の無線網臨時識別子RNTIに対応した情報のみを受信する。
【0083】
これにより、フェムト基地局FBS(RNTI=z)は、マクロ基地局MBSからの下り共通制御チャネル区間PDCCHを受信し、マクロ基地局MBSから取得した無線網臨時識別子RNTI(=z)を用いてデスクランブル処理を行うことにより、情報領域を読み出し、設定されているオフセット期間τ(=a)を取得する。
以下、各フェムト基地局FBSは、自身が取得した無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミングで送信割当を開始する。
【0084】
以上のように、この発明の実施の形態4(図5)によれば、フェムト基地局FBSは、複数のフェムト基地局からなり、マクロ基地局MBSは、オフセット期間τを読み取るフェムト基地局FBSが共通に使用する無線網臨時識別子RNTIを用いて、オフセット期間τに対してスクランブル処理を行い、マクロ基地局MBSが送信する無線フレームに格納する。
【0085】
フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSから送信された無線フレーム上の制御データに対して、自身に割り当てられた無線網臨時識別子RNTIを復元パラメータとして用いてデスクランブル処理を行い、正しく復元された情報をオフセット期間τとして認識して取得する。
また、複数のフェムト基地局FBSは、各々に割り当てられる無線網臨時識別子RNTIを、基地局間インタフェース(X2)を介してマクロ基地局MBSから取得する。
【0086】
このように、マクロ基地局MBSは、フェムト基地局FBS用の無線網臨時識別子RNTIを割り当て、マクロ基地局MBSとフェムト基地局FBSとの無線フレームの送信タイミングのオフセット期間τに対して、携帯端末と同様に、当該無線網臨時識別子RNTIを用いてスクランブル処理を行うことにより無線フレームに設定する。
【0087】
また、フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSに対してオフセット期間通知用の無線網臨時識別子RNTIを要求し、携帯端末と同様に、下り共通制御チャネル区間PDCCHのデスクランブル処理を行うことによりオフセット期間τを取得する。
これにより、マクロ基地局MBSから複数のフェムト基地局FBSの各々に対して、マクロ基地局MBSが決定したオフセット期間τを確実に通知することができる。
【0088】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4(図5)では、各フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSに対して無線網臨時識別子RNTIの割り当て(RNTI取得要求)を行うか、または、割り当て済みの無線網臨時識別子RNTIをマクロ基地局MBSから基地局間インタフェース(X2)を介して取得したが、図6のように、マクロ基地局MBSにおいてフェムト基地局FBS用の無線網臨時識別子RNTIをあらかじめ割り当て、マクロセルCにおける報知情報として無線同報送信してもよい。
【0089】
以下、図6を参照しながら、この発明の実施の形態5による無線同報送信動作について説明する。
図6において、まず、起動されたフェムト基地局FBSは、他のフェムト基地局からの報知システム情報(最上段の2点鎖線矢印参照)を無視し、マクロ基地局MBSからの報知システム情報(最上段の実線矢印参照)を受信する。
【0090】
このとき、マクロ基地局MBSは、フェムト基地局通知用の無線網臨時識別子RNTI(=z)を割り当て、これを報知システム情報(最上段の実線矢印参照)により周辺無線基地局に通知する。
これにより、フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSからの報知情報により、自身の無線網臨時識別子RNTI(=z)を取得する。
【0091】
続いて、マクロ基地局MBSは、先立って通知した無線網臨時識別子RNTI(=z)の情報領域に、マクロ基地局MBSとフェムト基地局FBS(RNTI=z)との無線フレームの送信タイミングのオフセット期間τ(=a)を設定した下り共通制御チャネル区間PDCCHの送信(2段目の実線矢印参照)を開始する。
【0092】
フェムト基地局FBSは、マクロ基地局MBSからの下り共通制御チャネル区間PDCCHを受信し、先立って通知された無線網臨時識別子RNTI(=z)の情報領域を読み出し、設定されている自身のオフセット期間τ(=a)を取得する。
以下、各フェムト基地局FBSは、自身が取得した無線送信停止区間「No TX」の先頭タイミングで送信割当を開始する。
【0093】
以上のように、この発明の実施の形態5(図6)によれば、マクロ基地局MBSは、複数のフェムト基地局FBSの各々に割り当てる無線網臨時識別子RNTIを、マクロセルCにおける報知情報として無線同報送信する。
これにより、前述の実施の形態4(図5)と同様に、複数のフェムト基地局FBSの各々は、自身のオフセット期間τを確実に取得することができる。
【符号の説明】
【0094】
c#1、c#2 フェムトセル、C マクロセル、FBS フェムト基地局、MBS マクロ基地局、PDCCH 下り共通制御チャネル区間、RNTI 無線網臨時識別子、UE、UE#1〜UE#8 携帯端末、τ オフセット期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロ基地局およびフェムト基地局を備え、前記マクロ基地局によるマクロセル内、または前記マクロセル内に配置された前記フェムト基地局によるフェムトセル内に位置する携帯端末との間で相互通信を行う基地局間協調通信システムにおいて、
前記マクロ基地局からの無線フレームの送信タイミングと前記フェムト基地局からの無線フレームの送信タイミングとの間にオフセット期間を設け、
前記マクロ基地局および前記フェムト基地局が同時に通信を行う第1期間と、前記フェムト基地局のみが通信を行う第2期間とを設定し、
前記第1期間では、前記フェムトセル内において、前記マクロセルからの受信レベルよりも前記フェムトセルからの受信レベルの方が高い位置に存在する携帯端末のみを通信させ、
前記第2期間では、前記フェムトセル内において、前記マクロセルからの受信レベルよりも前記フェムトセルからの受信レベルの方が低い位置に存在する携帯端末、または前記マクロセルからの受信レベルよりも前記フェムトセルからの受信レベルが高い位置に存在する携帯端末を通信させ、
前記マクロセルと前記フェムトセルとの間の干渉を回避して、前記フェムト基地局の実質的な通信エリアを拡大させることを特徴とする基地局間協調通信システム。
【請求項2】
前記マクロ基地局は、前記オフセット期間を制御情報として無線送信し、
前記フェムト基地局は、前記オフセット期間を無線受信して読み取ることを特徴とする請求項1に記載の基地局間協調通信システム。
【請求項3】
前記フェムト基地局は、前記マクロ基地局の制御チャネルを読み取る際に、前記フェムト基地局からの無線送信を停止することを特徴とする請求項2に記載の基地局間協調通信システム。
【請求項4】
前記フェムト基地局は、複数のフェムト基地局からなり、
前記マクロ基地局は、前記オフセット期間を読み取るフェムト基地局が共通に使用する無線網臨時識別子を用いて前記オフセット期間に対してスクランブル処理を行い、前記マクロ基地局が送信する無線フレームに格納し、
前記フェムト基地局は、前記マクロ基地局から送信された前記無線フレーム上の制御データに対して、自身に割り当てられた無線網臨時識別子を復元パラメータとして用いてデスクランブル処理を行い、正しく復元された情報を前記オフセット期間として認識して取得することを特徴とする請求項2に記載の基地局間協調通信システム。
【請求項5】
前記複数のフェムト基地局は、各々に割り当てられる無線網臨時識別子を、基地局間インタフェースを介して前記マクロ基地局から取得することを特徴とする請求項4に記載の基地局間協調通信システム。
【請求項6】
前記マクロ基地局は、前記複数のフェムト基地局の各々に割り当てる無線網臨時識別子を、前記マクロセルにおける報知情報として無線同報送信することを特徴とする請求項4に記載の基地局間協調通信システム。
【請求項7】
前記オフセット期間は、
前記マクロセル内に在圏中の携帯端末が使用する第1の無線リソースと、
前記フェムトセルに在圏し、且つ前記マクロセルからの受信レベルが在圏中の前記フェムトセルからの受信レベルよりも高い位置に存在する携帯端末が使用する第2の無線リソースと、
前記フェムトセルに在圏し、且つ前記マクロセルからの受信レベルが在圏中の前記フェムトセルからの受信レベルよりも低い位置に存在する携帯端末が使用する第3の無線リソースと、
の比率に応じて決定されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の基地局間協調通信システム。
【請求項8】
前記オフセット期間は、
前記マクロセルに在圏中の携帯端末の第1の台数と、
前記フェムトセルに在圏し、且つ前記マクロセルからの受信レベルが在圏中の前記フェムトセルからの受信レベルよりも高い位置に存在する携帯端末の第2の台数と、
前記フェムトセルに在圏し、且つ前記マクロセルからの受信レベルが在圏中の前記フェムトセルからの受信レベルよりも低い位置に存在する携帯端末の第3の台数と、
の比率に応じて決定されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の基地局間協調通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−209653(P2012−209653A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72085(P2011−72085)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「自律的エリア設計運用技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】